IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マツモト交商の特許一覧 ▶ 日本製紙株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135436
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】低粘度水中油型日焼け止め化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20240927BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20240927BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q17/04
A61K8/39
A61K8/73
A61K8/29
A61K8/27
A61K8/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046115
(22)【出願日】2023-03-23
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】500154423
【氏名又は名称】株式会社マツモト交商
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】末長 麻衣子
(72)【発明者】
【氏名】多田 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】宮田 苑加
(72)【発明者】
【氏名】中山 恭子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB231
4C083AB241
4C083AB242
4C083AC011
4C083AC122
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB23
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】 保存安定性に優れた水中油型日焼け止め化粧料を提供する。
【解決手段】 下記成分A、成分B、成分C、および成分Dを含有し、系中で油滴と撥水性無機粉体が独立していることを特徴とする、粘度が10,000mPa・s以下である水中油型日焼け止め化粧料。
成分A:ラウリン酸ポリグリセリル-4及びラウリン酸ポリグリセリル-6
成分B:撥水性無機粉体
成分C:平均繊維径が2~400nmのアニオン変性セルロースナノファイバー
成分D:40質量%以下含まれる油性成分
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分A、成分B、成分C、および成分Dを含有し、系中で油滴と撥水性無機粉体が独立していることを特徴とする、粘度が10,000mPa・s以下である水中油型日焼け止め化粧料。
成分A:ラウリン酸ポリグリセリル-4及びラウリン酸ポリグリセリル-6
成分B:撥水性無機粉体
成分C:平均繊維径が2~400nmのアニオン変性セルロースナノファイバー
成分D:40質量%以下含まれる油性成分
【請求項2】
前記成分Bにおいて、撥水性無機粉体が、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウムおよび微粒子酸化鉄よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、成分Bの含有量が0.1質量%~40質量%以下である請求項1に記載の水中油型日焼け止め化粧料。
【請求項3】
前記成分Cにおいて、アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシメチル化セルロースナノファイバー及び/又はカルボキシル化セルロースナノファイバーである請求項1~2の何れかに記載の水中油型日焼け止め化粧料。
【請求項4】
前記成分Dにおいて、40質量%以下含まれる油性成分が常温で液体の油剤又はワックス及び/又は常温で固体の油剤又はワックスである請求項1~2の何れかに記載の水中油型日焼け止め化粧料。
【請求項5】
前記成分Bと前記成分Dが、系中で水相と油相にそれぞれ独立して存在することを特徴とする請求項1~2の何れかに記載の水中油型日焼け止め化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度10,000mPa・s以下の水中油型日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け止め化粧料には無機粉体が含まれていることが多い。しかしながら無機粉体は粘度10,000mPa・s以下の組成物中で沈降や凝集を起こしやすく、保存安定性に優れない。これにより十分な紫外線防御能が得られないという解決すべき課題があった。
【0003】
粘度が10,000mPa・s以下の日焼け止め化粧料には、使用時に振とうしてから皮膚上に塗布する油中水型日焼け止め化粧料が知られている。また撥水性無機粉体の沈降を抑制する目的で、粘度を10,000mPa・s以上に調製する方法が用いられる。さらに組成物にαゲルや液晶構造を形成し、沈降・凝集を抑制する方法も知られている。
【0004】
しかしながら粘度10,000mPa・s以上に調製した組成物を何らかの低粘度成分で希釈し、組成物の粘度を10,000mPa・s以下に調製した場合、撥水性無機粉体の沈降・凝集を抑制できないという解決すべき課題があった。
【0005】
油滴と撥水性無機粉体を系中で独立させる技術として、国際公開第2018/230228号に記載の技術があるものの低粘度とは言えない。
【0006】
その他、低粘度の乳化物を得る手法は種々提案されているが何れも撥水性無機粉体を含む水中油型化粧料とは言えず、低粘度で保存安定性に優れた水中油型日焼け止め化粧料の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-074071
【特許文献2】国際公開第2018/230228号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】エマルションの粒子サイズ制御と化粧品機能 日本化粧品技術者会誌 44(3),199-207,2010
【非特許文献2】シリコーンW/Oエマルションの開発とファンデーションへの応用 油化学会5(3),119-128,2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述の課題に鑑み行われたものであり、油滴と撥水性無機粉体を独立させることで撥水性無機粉体の沈降や凝集を抑制し、さらに粘度10,000のmPa・s以下の保存安定性に優れた水中油型日焼け止め化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、粘度が10,000mPa・s以下で、油滴と撥水性無機粉体が系中で独立して存在し、特定のセルロースナノファイバーを組み合わせることにより保存安定性に優れた水中油型日焼け止め化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、下記成分A、成分B、成分C、および成分Dを含有し、系中で油滴と撥水性無機粉体が独立していることを特徴とする、粘度が10,000mPa・s以下である水中油型日焼け止め化粧料である。
成分A:ラウリン酸ポリグリセリル-4及びラウリン酸ポリグリセリル-6
成分B:撥水性無機粉体
成分C:平均繊維径が2~400nmのアニオン変性セルロースナノファイバー
成分D:40質量%以下含まれる油性成分
また前記成分Bにおいて、撥水性無機粉体が、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウムおよび微粒子酸化鉄よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であり、成分Bの含有量が0.1質量%~40質量%以下である前記水中油型日焼け止め化粧料である。
また前記成分Cにおいて、アニオン変性セルロースナノファイバーがカルボキシメチル化セルロースナノファイバー及び/又はカルボキシル化セルロースナノファイバーである前記水中油型日焼け止め化粧料である。
また前記成分Dにおいて、40質量%以下含まれる油性成分が常温で液体の油剤又はワックスおよび常温で固体の油剤又はワックスである前記水中油型日焼け止め化粧料である。
また前記成分Bと前記成分Dが、系中で水相と油相にそれぞれ独立して存在することを特徴とする前記水中油型日焼け止め化粧料である。
【発明の効果】
【0012】
油滴と撥水性無機粉体を含み、粘度10,000のmPa・s以下である保存安定性に優れた水中油型日焼け止め化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明にかかる水中油型日焼け止め化粧料は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステル、水に分散させた撥水性無機粉体、特定のセルロースナノファイバー及び油性成分を含有するものである。
【0014】
本発明にかかるラウリン酸ポリグリセリルー4及びラウリン酸ポリグリセリルー6(以下「成分A」という)は、ポリグリセリルの4量体及び6量体以外の重合度のポリグリセリルを多く含まず、純度の高いラウリン酸ポリグリセリルー4及びラウリン酸ポリグリセリルー6を使用することが好適である。
また、ラウリン酸ポリグリセリルー4及びラウリン酸ポリグリセリルー6の比率は55:45~65:35が好適である。
例えばinnovacos社製のPolyAqual LWが使用可能である。
【0015】
成分Aの含有量は、本発明の水中油型日焼け止め化粧料全体の1.5質量%~11質量%が好ましく、3質量%~10質量%がより好ましい。成分Aの含有量が1質量%より少ないと十分に安定性を向上させることが出来ない場合があり、一方、15質量%より多いと化粧品製剤としての使用性が損なわれる場合がある。
【0016】
本発明にかかる撥水性粉体(以下「成分B」という)は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム及びこれらの複合体からなる群から選択される少なくとも1であることが好ましい。
【0017】
成分Bは、撥水性物質で表面処理された紫外線吸収・散乱能を持つ無機酸化物であることが好ましい。上記反応性表面処理剤は、シリコーン、シラン系処理剤及びチタネート系処理剤からなる 群から選択される少なくとも1であることが好ましい。
【0018】
成分Bは、撥水性有機表面処理をされた無機粉体を水に均一に分散させた分散体でありとして使用しても良い。当該水分散体は、撥水性無機粉体、分散剤及び水の含有量が分散体全量に対して80質量%以上であることを特徴とする分散体である。撥水性無機粉体の量が分散体全体に対して10~60質量%を占めることが好ましい。
また、撥水性無機粉体の量として5~65質量%であることが好ましい。
【0019】
本発明にかかるアニオン変性セルロースナノファイバー(以下「成分C」という)の平均繊維径の上限は400nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが更に好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。また、成分Cのアスペクト比は、10以上が好ましく、20以上がより好ましく、1000以下が好ましく、100以下がより好ましい。なお、成分Cの平均繊維径、平均繊維長及びアスペクト比の測定は以下のようにして測定することができる。
【0020】
平均繊維径および平均繊維長は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて ランダムに選んだ200本の繊維について解析した値である。なおアスペクト比は下記 の式により算出した値である。
【0021】
【数1】
【0022】
本発明の成分Cは、セルロース原料をアニオン変性した、アニオン変性セルロースを解繊することにより得られる。セルロース原料としては 、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未 漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂 白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白 サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモ メカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等))、動物(例えばホヤ類)、藻類、 微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等が挙げられる。これらの中でも、植物や微生物等が好ましく、植物がより好ましい。
【0023】
上記アニオン変性セルロースは、上記セルロース原料を原料としたセルロースに、例えばカルボ キシメチル基、カルボキシル基、リン酸エステル基、硫酸エステル基等のアニオン性基を導入したものであり、例えば、カルボキシメチル化セルロース、カルボキシル化セルロース、リン酸エステル化セルロース、亜リン酸エステル化セルロース、及び硫酸エステルセルロース等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。また、これらの中でも、カルボキシメチル化セルロースおよびカルボキシル化セルロースが好ましく、カルボキシメチル化セルロースは食品添加物として使用できるため特に好ましい。
【0024】
成分Cとしては、日本製紙社製のCELLENPIA(登録商標)シリーズ(カルボキシメチル化セルロースナノファイバー、カルボキシル化セルロースナノファイバー)、第一工業製薬社製のレオクリスタ(登録商標)RHEOCRYSTA Cellulose NanofiberGel(カルボキシル化セルロースナノファイバー)、王子ホールディングス社製のアウロ・ヴィスコ(登録商標)(リン酸エステル化セルロースナノファイバー)などの市販品が使用可能である。
【0025】
上記成分Cの含有量は特に限定されないが、本発明の水中油型日焼け止め化粧料全体に対して、固形分として0.001質量%~5質量%が好ましく、0.005質量%~ 1質量%がより好ましい。成分Cの含有量が、固形分として0.001質量%より少ない と十分に安定性を向上させることが出来ない場合があり、一方、成分Cの含有量が固形分として5質量%より多いと、化粧品製剤としての使用性が損なわれる場合がある。
【0026】
(カルボキシメチル置換度)
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が、0.50以下であることが好ましい。カルボキシメチル置換度が0.50を超えると水へ溶解し、繊維形状を維持できなくなると考えられる。また、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が、0.01以上であることが好ましい。カルボキシメチル置換度が0.01未満であるとカルボキシメチル化セルロースナノファイバーへと解繊するためには多大なエネルギーが必要になると考えられる。操業性の観点から、当該置換度は0.02~0.50であることがより好ましく、0.05~0.50であることがさらに好ましく、0.10~0.40であることがさらに好ましい。セルロースにカルボキシメチル基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発するため、ナノファイバーへと解繊することができるようになる。カルボキシメチル置換度は、反応させるカルボキシメチル化剤の添加量、マーセル化剤の量、水と有機溶媒の組成比率をコントロールすること等によって調整することができる。
【0027】
本発明において無水グルコース単位とは、セルロースを構成する個々の無水グルコース(グルコース残基)を意味する。また、カルボキシメチル置換度(エーテル化度ともいう。)とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基のうちカルボキシメチルエーテル基に置換されているものの割合(1つのグルコース残基当たりのカルボキシメチルエーテル基の数)を示す。
【0028】
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、水に分散した際にも繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものである。すなわち、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの水分散体を電子顕微鏡で観察すると、繊維状の物質を観察することができる。また、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーをX線回折で測定した際にセルロースI型結晶のピークを観測することができる。
【0029】
(セルロースI型の結晶化度)
本発明に用いられるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーにおけるセルロースI型の結晶化度は、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。セルロースI型の結晶化度が40%以上と高いと、水等の溶媒中で溶解せずに結晶構造を維持するセルロースの割合が高いため、チキソ性が高くなり(チキソトロピー)、増粘剤等の粘度調整用途に適するようになる。また、水系化粧料の原料に添加した際に、優れた保形性を付与できるという利点が得られる。セルロースの結晶性は、マーセル化剤の濃度と処理時の温度、並びにカルボキシメチル化の度合によって制御できる。マーセル化及びカルボキシメチル化においては高濃度のアルカリが使用されるために、セルロースのI型結晶がII型に変換されやすいが、アルカリ(マーセル化剤)の使用量を調整するなどして変性の度合いを調整することによって、所望の結晶性を維持させることができる。セルロースI型の結晶化度の上限は特に限定されない。現実的には90%程度が上限となると考えられる。
【0030】
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのセルロースI型の結晶化度の測定方法は、以下の通りである:
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、島津製作所製)を用いて測定する。
結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°~30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
【0031】
【数2】
Xc=セルロースI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度
【0032】
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーにおけるI型結晶の割合は、ナノファイバーとする前のカルボキシメチル化セルロースにおけるものと、通常、同じである。
【0033】
本発明にかかる油性成分(以下「成分D」という)は、液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、ローズヒップ油、ラベンダー油等が挙げられる。
【0034】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0035】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0036】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0037】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0038】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0039】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0040】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0041】
上記成分Dの含有量は本発明の水中油型日焼け止め化粧料全体に対して、0.45~36.3質量%が好ましく、さらに成分Aと成分Dの比率は1:0.3~3.3であることが好ましい。
【0042】
本発明の水中油型日焼け止め化粧料には、上記必須成分の他、通常化粧品や医薬部外品の水中油型日焼け止め化粧料に用いられる成分を配合することができ、常法に応じて製造される。以下に具体的な配合可能成分を列挙する。
【0043】
保湿剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0044】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、チタン酸鉄等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられる。
【0045】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0046】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0047】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0048】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0049】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラPOE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0050】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0051】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0052】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0053】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA、PVM、PVP、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0054】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が挙げられる。
【0055】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。
【0056】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0057】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0058】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0059】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。
【0060】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0061】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0062】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);血行促進剤(ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸β-ブトキシエステル、ミノキシジル又はその類縁体、ビタミンE類、γ-オリザノール、アルコキシカルボニルピリジンN-オキシド、塩化カルプロニウム、及びアセチルコリン又はその誘導体等);各種抽出物(例えば、ショウガ、ウバク、オウレン、シコン、バーチ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、ボタン、海藻等)、賦活剤(例えば、パンテニールエチルエーテル、ニコチン酸アミド、ビオチン、パントテン酸、ローヤルゼリー、コレステロール誘導体等);抗脂漏剤(例えば、ピリドキシン類、チアントール等)等が挙げられる。
【実施例0063】
以下表1~7に実施例及び比較例をあげて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
実施例の説明に先立ち、アニオン変性セルロースナノファイバーの調製方法及び本発明について説明する。
【0064】
アニオン変性セルロースナノファイバー(CNF1)の調製
回転数を100rpmに調節した5L容の二軸ニーダーに、イソプロパノール(IPA)1089部と、水酸化ナトリウム31部を水121部に溶解したものとを加え、広葉樹パルプ(日本製紙(株)製、LBKP)を100℃で60分間乾燥した際の乾燥質量で200部仕込んだ。30℃で60分間撹拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に撹拌しつつモノクロロ酢酸ナトリウム117部を添加し、30℃で30分間撹拌した後、30分かけて70℃に昇温し、70℃で60分間カルボキシメチル化反応をさせた。マーセル化反応時及びカルボキシメチル化反応時の反応媒中の水の割合は、10質量%である。反応終了後、中和し、65%含水メタノールで洗浄し、脱液、乾燥、粉砕して、カルボキシメチル置換度0.27、セルロースI型の結晶化度64%のカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を得た。なお、カルボキシメチル置換度及びセルロースI型の結晶化度の測定方法は、先述の通りである。
得られたカルボキシメチル化セルロースのナトリウム塩を水に分散し、2%(w/v)水分散体とした。これを、150MPaの高圧ホモジナイザーで3回処理し、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの分散体(以下、これを「CNF1」という)を得た。得られたカルボキシメチル化セルロースナノファイバーは、平均繊維径が15nm、アスペクト比が40であった。
【0065】
アニオン変性セルロースナノファイバー(CNF2)の調製
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)500g(絶乾)を2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシラジカル(TEMPO(Sigma Aldrich))780mgと臭化ナトリウム75.5gを溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/g、結晶化度76%であった。上記の工程で得られた酸化パルプを水で1.0%(w/v)に調整し、キャビテーション噴流装置(20℃、14Mpa)で3回処理して、カルボキシル化セルロースナノファイバーの水分散液(以下、これを「CNF2」という)を得た。なお、得られたカルボキシル化セルロースナノファイバーは、平均繊維径が200nm、アスペクト比が25であった。
【0066】
(評価基準)
乳化の安定性
実施例1~5と比較例1~5の日焼け止め乳液を50℃の恒温槽に1ヶ月間(30日間)静置し、乳化の安定性を目視にて外観観察した。分離や離水が認められるまでの日数を確認した。
〇:30日後まで分離や離水が認められない
△:2日~29日の間で分離や離水が認められた
×:1日で分離や離水が認められた
【0067】
(評価基準)
撥水性無機粉体の沈降・凝集
実施例1~5と比較例1~5の日焼け止め乳液を50℃の恒温槽に1ヶ月間(30日間)静置し、撥水性無機粉体の沈降・凝集を目視にて観察した。撥水性無機粉体の沈降・凝集が認められるまでの日数を確認した。
〇:30日後まで撥水性無機粉体の沈降・凝集が認められない
△:2日~29日の間で撥水性無機粉体の沈降・凝集が認められた
×:1日で撥水性無機粉体の沈降・凝集が認められた
【0068】
(SPF測定方法)
各試料をPMMA板に塗布し、乾燥後、PMMA板上の試料の所定5箇所をSPFアナライザー(Labsphere UV-2000S、Labsphere社製)を用いて測定した。
―:測定不能
【0069】
(粘度測定方法)
試料を25℃に保存し、調製翌日の粘度をB型粘度計(東機産業製)で測定した。(No.3ローター、ローター回転速度6rpm、測定開始後60秒後)
―:測定不能
【0070】
はじめに、本発明者らは、撥水性無機粉体を配合した水中油型日焼け止め化粧料について好適に用いられる界面活性剤の検討を行った。
【0071】
実施例1:日焼け止め乳液
表1に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0072】
(製造方法)
(1)水相成分を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分A相及び成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0073】
比較例1:日焼け止め乳液
表1に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0074】
(製造方法)
(1)水相成分及び成分A相を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0075】
【表1】
【0076】
(※1)PolyAqual LW:ラウリン酸ポリグリセリルー4とラウリン酸ポリグリセリル-6の混合原料(innovacos社製)
(※2)CNF1 2質量%水分散液
(※3)DIF-AB-33W(堺化学工業社製)
(※4)DIS-AB-10W(堺化学工業社製)
【0077】
表1の結果から、本発明に用いる成分A:ラウリン酸ポリグリセリル-4及びラウリン酸ポリグリセリル-6を用いた実施例1は、低粘度にもかかわらず優れた乳化安定性を示し、且つ撥水性無機粉体の沈降抑制を示した。これに対し、一般的に汎用されるノニオン界面活性剤であるポリソルベート80を用いて日焼け止め乳液を調整した比較例1は、乳化の安定性がやや悪く低粘度の乳液を維持できず、さらに撥水性無機粉体の沈降を生ずることが分かった。
【0078】
次に発明者らは、アニオン変性セルロースナノファイバー水分散物2質量%水分散物としてCNF1及びCNF2を用いた際の水中油型日焼け止め化粧料の分散状態や乳化安定性を比較した。
【0079】
実施例1、2:日焼け止め乳液
表2に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0080】
(製造方法)
(1)水相成分を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分A相及び成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0081】
【表2】
【0082】
(※1)PolyAqual LW:ラウリン酸ポリグリセリルー4とラウリン酸ポリグリセリル-6の混合原料(innovacos社製)
(※2)CNF1 2質量%水分散液
(※3)CNF2 2質量%水分散液
(※4)DIF-AB-33W(堺化学工業社製)
(※5)DIS-AB-10W(堺化学工業社製)
【0083】
表2の実施例1~2より、アニオン変性セルロースナノファイバー水分散物2質量%水分散物としてCNF1及びCNF2のどちらを用いても、本発明の効果である低粘度でありながら無機粉体の沈降と凝集を抑制し、保存安定性に優れる結果を得られた。
【0084】
次に本発明者らは、成分Aとその他の界面活性剤を併用することについて、検討を行った。
【0085】
実施例1、3:日焼け止め乳液
表3に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0086】
(製造方法)
(1)水相成分を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分A相及び成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0087】
比較例1~4:日焼け止め乳液
表3に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0088】
(製造方法)
(1)水相成分及び成分A相を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0089】
【表3】
(※1)PolyAqual LW:ラウリン酸ポリグリセリルー4とラウリン酸ポリグリセリル-6の混合原料(innovacos社製)
(※2)2質量%水分散液
(※2)DIF-AB-33W(堺化学工業社製)
(※3)DIS-AB-10W(堺化学工業社製)
【0090】
表3の比較例1~4より、ポリソルベート80の量が増えると乳化状態は良好になるが、チキソトロピー性が低下することがわかった。よって比較例1~4で示すように、本発明の効果である低粘度でありながら無機粉体の沈降と凝集を抑制するに至らず、保存安定性に優れない結果となった。
【0091】
次に発明者らは、成分Aの好ましい配合量を検討した。
【0092】
実施例1、4、5:日焼け止め乳液
表4に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0093】
(製造方法)
(1)水相成分を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分A相及び成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0094】
比較例5~6:日焼け止め乳液
表4に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0095】
(製造方法)
(1)水相成分及び成分A相を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0096】
【表4】
(※1)PolyAqual LW:ラウリン酸ポリグリセリルー4とラウリン酸ポリグリセリル-6の混合原料(innovacos社製)
(※2)2質量%水分散液
(※3)DIF-AB-33W(堺化学工業社製)
(※4)DIS-AB-10W(堺化学工業社製)
【0097】
表4の結果から、成分Aの配合量が1質量%であると保存安定性に優れず、15質量%であると粘度が高くなりすぎるため、成分Aの配合量範囲は1.5質量%~11質量%が好ましく、さらに好ましくは3質量%~10質量%であることがわかった。
【0098】
次に発明者らは、成分Dの好ましい配合量を検討した。
【0099】
実施例1、6、7:日焼け止め乳液
表5に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0100】
(製造方法)
(1)水相成分を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分A相及び成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0101】
比較例7:日焼け止め乳液
表5に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0102】
(製造方法)
(1)水相成分及び成分A相を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0103】
【表5】
(※1)PolyAqual LW:ラウリン酸ポリグリセリルー4とラウリン酸ポリグリセリル-6の混合原料(innovacos社製)
(※2)2質量%水分散液
(※3)DIF-AB-33W(堺化学工業社製)
(※4)DIS-AB-10W(堺化学工業社製)
【0104】
成分Aの配合量を3質量%とし、成分Dの配合量範囲を検討した結果、成分A3質量%に対し成分Dを20質量%配合すると乳化ができなかった。
表5から明らかなように、成分Aに対する成分Dの比率は1:0.3~3.3であることが好ましいことがわかった。
【0105】
次に本発明者らは、乳化安定性、撥水性無機粉体の沈降抑制に有効な高分子物質について検行った。
本発明に用いる成分C:平均繊維径が2~400nmのアニオン変性セルロースナノファイバーを用いた実施例1は前述の通り優れた乳化安定性及び撥水性無機粉体の沈降抑制効果を奏するが、一方カルボマーを使用した比較例3及びセルロースナノファイバーを使用せず乳化組成物を調整した比較例5は、乳化組成物の乳化安定性、撥水性無機粉体の沈降・凝集、SPF値で大きく劣るものであった。
【0106】
実施例1:日焼け止め乳液
表6に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0107】
(製造方法)
(1)水相成分を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分A相及び成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に成分C相を添加して全体を均一混合する。
(6)(5)に成分B相を添加して全体を均一に混合する。
【0108】
比較例8~9:日焼け止め乳液
表6に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0109】
(製造方法)
(1)水相成分を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分A相及び成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相を添加して全体を均一に混合する。
【0110】
【表6】
【0111】
(※1)PolyAqual LW:ラウリン酸ポリグリセリルー4とラウリン酸ポリグリセリル-6の混合原料(innovacos社製)
(※2)2質量%水分散液
(※3)DIF-AB-33W(堺化学工業社製)
(※4)DIS-AB-10W(堺化学工業社製)
【0112】
表6の結果から、本発明に用いる成分C:平均繊維径が2~400nmのアニオン変性セルロースナノファイバーを用いた実施例1は前述の通り優れた乳化安定性及び撥水性無機粉体の沈降抑制効果を奏するが、一方カルボマーを使用した比較例8及びセルロースナノファイバーを使用せず乳化組成物を調整した比較例9は、乳化組成物の乳化安定性、撥水性無機粉体の沈降・凝集、SPF値で大きく劣るものであった。
【0113】
次に本発明者らは、系中で油滴と撥水性無機粉体とを独立させない、本発明とは異なる製造方法にて乳化組成物を調整し、製造方法の検討を行った。
【0114】
実施例1:日焼け止め乳液
表7に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0115】
(製造方法)
(1)水相成分及び成分B相を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分A相及び成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0116】
比較例10~11:日焼け止め乳液
表6に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0117】
(製造方法)
(1)水19.5質量%を加温する(70℃~80℃)。
(2)成分A相、成分D相、グリセリンを加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、液晶乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)の乳化組成物を水20質量%で希釈する。
(6)(5)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0118】
【表7】
【0119】
(※1)PolyAqual LW:ラウリン酸ポリグリセリルー4とラウリン酸ポリグリセリル-6の混合原料(innovacos社製)
(※2)2質量%水分散液
(※3)DIF-AB-33W(堺化学工業社製)
(※4)DIS-AB-10W(堺化学工業社製)
【0120】
表7の結果から、撥水性無機粉体を油滴中に分散させた比較例10は乳化の安定性を維持できなかった。液晶乳化で得られた粘度10,000mPa・s以上の乳化組成物を水で希釈し粘度10,000mPa・s以下に調整した比較例11は撥水性無機粉体の沈降を生じ乳化安定性が十分でなかった。
【0121】
これらの結果により、本発明にかかる低粘度水中油型日焼け止め化粧料を調整するにあたり、乳化安定性及び撥水性無機粉体の沈降・凝集の観点から、ラウリン酸ポリグリセリル-4及びラウリン酸ポリグリセリル-6(成分A)を用いて予め油性成分(成分D)を水性成分に添加して乳化し、その後撥水性無機粉体(成分B)及び平均繊維径が2~400nmのアニオン変性セルロースナノファイバー(成分C)を添加することが必要であることが分かった。
【0122】
以下に、さらに本発明にかかる低粘度水中油型日焼け止め化粧料の実施例を記載する。
【0123】
実施例1、8~11:日焼け止め乳液
表8に示す組成に従い、下記の製造方法により日焼け止め乳液を調製した。
【0124】
(製造方法)
(1)水相成分を加温して均一溶解する(70℃~80℃)。
(2)成分A相及び成分D相を加温混合する(70℃~80℃)。
(3)(1)に(2)を徐々に添加し、乳化する(70℃~80℃)。
(4)(3)を冷却する(30℃~40℃)。
(5)(4)に予め混合しておいた成分B相及び成分C相を添加して全体を均一混合する。
【0125】
【表8】
【0126】
(※1)PolyAqual LW:ラウリン酸ポリグリセリルー4とラウリン酸ポリグリセリル-6の混合原料(innovacos社製)
(※2)2質量%水分散液
(※3)DIF-AB-33W(堺化学工業社製)
(※4)DIS-AB-10W(堺化学工業社製)
【0127】
実施例1~11は乳化組成物の安定性を維持し、撥水性無機粉体の沈降・凝集を抑制した。さらに乳化組成物を粘度10,000のmPa・s以下に維持し、保存安定性に優れていた。