(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135439
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】シェアリングシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/0645
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046118
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】片岡 夏海
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB53
5L049BB53
(57)【要約】
【課題】適切に動作可能なシェアリングシステムを提供する。
【解決手段】所有者Sの敷地10の駐車場12で管理されるシェアカーSCを利用者Uに貸し出すためのシェアリングシステム20であって、利用者Uが駐車場12を利用する場合に当該利用者Uの行動を規制可能な規制部材を動作させる規制装置30と、駐車場12を監視する監視装置、監視装置の監視結果、又は利用者Uの利用者端末50の位置情報の少なくとも一方に基づいて規制装置30を制御することで、規制部材による利用者Uの行動の規制状態の可否を切り替える制御部80と、を具備する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所有者の敷地の駐車場で管理される車両を利用者に貸し出すためのシェアリングシステムであって、
前記利用者が前記駐車場を利用する場合に当該利用者の行動を規制可能な規制部材を動作させる規制装置と、
前記駐車場を監視する監視装置と、
前記監視装置の監視結果、又は前記利用者の携帯端末の位置情報の少なくとも一方に基づいて前記規制装置を制御することで、前記規制部材による前記利用者の行動の規制状態の可否を切り替える制御部と、
を具備する、
シェアリングシステム。
【請求項2】
前記規制装置は、
前記規制部材として、前記駐車場の出入口に設けられた扉を開閉可能な第1規制装置と、
前記規制部材として、前記所有者の敷地内の建物に形成された採光部を遮蔽可能な遮蔽部材を有する第2規制装置と、
を含み、
前記規制状態は、
前記制御部の制御により前記扉が開けられ、前記利用者の前記駐車場への出入りを規制せず、かつ、前記制御部の制御により前記遮蔽部材が前記採光部を遮蔽し、前記建物の屋外から屋内への前記採光部を介した視認を規制する第1規制状態と、
前記制御部の制御により前記扉が閉められ、前記利用者の前記駐車場への出入りを規制し、かつ、前記制御部の制御により前記遮蔽部材が前記採光部を遮蔽せず、前記建物の屋外から屋内への前記採光部を介した視認を規制しない第2規制状態と、
を含む、
請求項1に記載のシェアリングシステム。
【請求項3】
前記規制装置は、
前記規制部材として、前記駐車場の出入口に設けられた扉を開閉可能な第1規制装置を含み、
前記規制状態は、
前記制御部の制御により前記扉が開けられ、前記利用者の前記駐車場への出入りを規制しない第3非規制状態と、
前記制御部の制御により前記扉が閉められ、前記利用者の前記駐車場への出入りを規制する第3規制状態と、
を含む、
請求項1に記載のシェアリングシステム。
【請求項4】
前記規制装置は、
前記規制部材として、前記所有者の敷地内の建物に形成された採光部を遮蔽可能な遮蔽部材を有する第2規制装置を含み、
前記規制状態は、
前記制御部の制御により前記遮蔽部材が前記採光部を遮蔽せず、前記建物の屋外から屋内への前記採光部を介した視認を規制しない第4非規制状態と、
前記制御部の制御により前記遮蔽部材が前記採光部を遮蔽し、前記建物の屋外から屋内への前記採光部を介した視認を規制する第4規制状態と、
を含む、
請求項1に記載のシェアリングシステム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記車両が貸し出される前の状態において、前記携帯端末の現在位置に基づいて前記利用者が前記駐車場に到着する予定時刻を算出し、当該算出結果が第1閾値以内である場合、前記規制装置を制御して前記第1規制状態に切り替える第1制御を開始する、
請求項2に記載のシェアリングシステム。
【請求項6】
前記監視装置は、
前記駐車場に駐車された車両を検知可能であり、
前記制御部は、
前記車両が貸し出される前の状態において、当該車両を前記監視装置が検知しない場合は、前記予定時刻の算出結果が前記第1閾値以内であったとしても前記第1制御を開始しない、
請求項5に記載のシェアリングシステム。
【請求項7】
前記監視装置は、
前記駐車場に駐車される車両を検知可能であり、
前記制御部は、
前記利用者が前記車両を利用可能な時間に当該車両を前記監視装置が検知しない場合、前記規制装置を制御して前記第2規制状態に切り替える第2制御を開始する、
請求項2に記載のシェアリングシステム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第2制御の後で、前記携帯端末の現在位置に基づいて前記利用者が前記駐車場に到着する予定時刻を算出し、当該算出結果が第2閾値以内である場合、前記規制装置を制御して前記第1規制状態に切り替える第3制御を開始する、
請求項7に記載のシェアリングシステム。
【請求項9】
前記閾値は、
前記第1規制状態への切り替えが完了するまでに要する時間を考慮して設定される、
請求項5又は請求項8に記載のシェアリングシステム。
【請求項10】
前記監視装置は、
前記駐車場にある障害物を検知可能であり、
前記制御部は、
前記第2制御の後で、前記障害物を前記監視装置が検知した場合は、前記予定時刻の算出結果が前記第2閾値以内であったとしても前記第3制御を開始しない、
請求項8に記載のシェアリングシステム。
【請求項11】
前記監視装置は、
前記駐車場において、人の存在を検知可能であり、
前記制御部は、
前記第3制御の後で前記監視装置が人を検知しない場合、又は、前記第3制御の後で前記監視装置が検知した人が前記所有者である場合の少なくとも一方において、前記規制装置を制御して前記第2規制状態に切り替える第4制御を開始する、
請求項8又は請求項10に記載のシェアリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を貸し出すためのシェアリングシステムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を貸し出すためのシェアリングシステムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の運行管理システムは、ドライバーが自家用車を運転して運行サービスを行うことで、自家用車を貸し出して交通空白地域における交通の便を良くするためのものである。前記運行管理システムでは、前記運行サービスの利用者を乗せた自家用車が当該利用者の自宅から所定距離以上離れた場合に、前記利用者の自宅内に設置された照明器具等(在宅偽装機用器)を作動させることができる。これによって利用者の留守時の防犯機能を高めることができる。
【0004】
ここで近年、車両の所有者が利用者に対して直接車両を貸し出す個人間のカーシェアリングが行われている。こうした個人間のカーシェアリングでは、車両の貸し借りのため、利用者が所有者の自宅を訪れることとなる。このような場合、不特定の利用者が所有者の敷地に入り込むため、プライバシーや防犯上の懸念が生じる。そこで、シェアリングシステムにプライバシーの保護や防犯機能の向上を図るための機能を設けて、当該機能が実行されるようにシェアリングシステムを適切に動作させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、適切に動作可能なシェアリングシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、所有者の敷地の駐車場で管理される車両を利用者に貸し出すためのシェアリングシステムであって、前記利用者が前記駐車場を利用する場合に当該利用者の行動を規制可能な規制部材を動作させる規制装置と、前記駐車場を監視する監視装置と、前記監視装置の監視結果、又は前記利用者の携帯端末の位置情報の少なくとも一方に基づいて前記規制装置を制御することで、前記規制部材による前記利用者の行動の規制状態の可否を切り替える制御部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記規制装置は、前記規制部材として、前記駐車場の出入口に設けられた扉を開閉可能な第1規制装置と、前記規制部材として、前記所有者の敷地内の建物に形成された採光部を遮蔽可能な遮蔽部材を有する第2規制装置と、を含み、前記規制状態は、前記制御部の制御により前記扉が開けられ、前記利用者の前記駐車場への出入りを規制せず、かつ、前記制御部の制御により前記遮蔽部材が前記採光部を遮蔽し、前記建物の屋外から屋内への前記採光部を介した視認を規制する第1規制状態と、前記制御部の制御により前記扉が閉められ、前記利用者の前記駐車場への出入りを規制し、かつ、前記制御部の制御により前記遮蔽部材が前記採光部を遮蔽せず、前記建物の屋外から屋内への前記採光部を介した視認を規制しない第2規制状態と、を含むものである。
【0010】
請求項3においては、前記規制装置は、前記規制部材として、前記駐車場の出入口に設けられた扉を開閉可能な第1規制装置を含み、前記規制状態は、前記制御部の制御により前記扉が開けられ、前記利用者の前記駐車場への出入りを規制しない第3非規制状態と、前記制御部の制御により前記扉が閉められ、前記利用者の前記駐車場への出入りを規制する第3規制状態と、を含むものである。
【0011】
請求項4においては、前記規制装置は、前記規制部材として、前記所有者の敷地内の建物に形成された採光部を遮蔽可能な遮蔽部材を有する第2規制装置を含み、前記規制状態は、前記制御部の制御により前記遮蔽部材が前記採光部を遮蔽せず、前記建物の屋外から屋内への前記採光部を介した視認を規制しない第4非規制状態と、前記制御部の制御により前記遮蔽部材が前記採光部を遮蔽し、前記建物の屋外から屋内への前記採光部を介した視認を規制する第4規制状態と、を含むものである。
【0012】
請求項5においては、前記制御部は、前記車両が貸し出される前の状態において、前記携帯端末の現在位置に基づいて前記利用者が前記駐車場に到着する予定時刻を算出し、当該算出結果が第1閾値以内である場合、前記規制装置を制御して前記第1規制状態に切り替える第1制御を開始するものである。
【0013】
請求項6においては、前記監視装置は、前記駐車場に駐車された車両を検知可能であり、前記制御部は、前記車両が貸し出される前の状態において、当該車両を前記監視装置が検知しない場合は、前記予定時刻の算出結果が前記第1閾値以内であったとしても前記第1制御を開始しないものである。
【0014】
請求項7においては、前記監視装置は、前記駐車場に駐車される車両を検知可能であり、前記制御部は、前記利用者が前記車両を利用可能な時間に当該車両を前記監視装置が検知しない場合、前記規制装置を制御して前記第2規制状態に切り替える第2制御を開始するものである。
【0015】
請求項8においては、前記制御部は、前記第2制御の後で、前記携帯端末の現在位置に基づいて前記利用者が前記駐車場に到着する予定時刻を算出し、当該算出結果が第2閾値以内である場合、前記規制装置を制御して前記第1規制状態に切り替える第3制御を開始するものである。
【0016】
請求項9においては、前記閾値は、前記第1規制状態への切り替えが完了するまでに要する時間を考慮して設定されるものである。
【0017】
請求項10においては、前記監視装置は、前記駐車場にある障害物を検知可能であり、前記制御部は、前記第2制御の後で、前記障害物を前記監視装置が検知した場合は、前記予定時刻の算出結果が前記第2閾値以内であったとしても前記第3制御を開始しないものである。
【0018】
請求項11においては、前記監視装置は、前記駐車場において、人の存在を検知可能であり、前記制御部は、前記第3制御の後で前記監視装置が人を検知しない場合、又は、前記第3制御の後で前記監視装置が検知した人が前記所有者である場合の少なくとも一方において、前記規制装置を制御して前記第2規制状態に切り替える第4制御を開始するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
請求項1においては、監視装置の監視結果や携帯端末の位置情報に応じて適切に動作することができる。
【0021】
請求項2においては、駐車場の扉及び遮蔽部材を適切に制御することができる。
【0022】
請求項3においては、駐車場の扉を適切に開閉し、所有者の敷地に不審者が侵入するのを抑制することができる。
【0023】
請求項4においては、遮蔽部材を適切に制御し、所有者のプライバシーを保護することができる。
【0024】
請求項5においては、利用者が駐車場に近づいたタイミングで規制装置の動作を開始することができるため、第1規制状態に適切に切り替えることができる。
【0025】
請求項6においては、利用者が車両を借りることができない状況では規制装置が動作しないため、所有者の敷地に不審者が侵入するのを抑制することができる。
【0026】
請求項7においては、利用者に貸し出された車両が駐車場を出た後で規制装置の動作を開始することができるため、第2規制状態に適切に切り替えることができる。
【0027】
請求項8においては、車両に乗った利用者が駐車場に近づいたタイミングで規制装置の動作を開始することができるため、第1規制状態に適切に切り替えることができる。
【0028】
請求項9においては、利用者が駐車場に到着するタイミングで規制装置の動作を終了することができるため、第1規制状態に、より適切に切り替えることができる。
【0029】
請求項10においては、車両を駐車場に止めることができない状況では規制装置が動作しないため、所有者の敷地に不審者が侵入するのを抑制することができる。
【0030】
請求項11においては、車両を返却した利用者が駐車場を出た後で規制装置の動作を開始することができるため、第2規制状態に適切に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】本発明の一実施形態に係るシェアリングシステムの構成を示す図。
【
図3】利用者に車両が貸し出される際のシェアリングシステムの態様を示す図。
【
図4】(a)車両を借りた利用者が駐車場から退去する様子を示す図。(b)退去後の駐車場を示す図。(c)規制装置が動作した後の状態を示す図。
【
図5】利用者から車両が返却される際のシェアリングシステムの態様を示す図。
【
図6】(a)車両を返却した利用者が駐車場から退去する様子を示す図。(b)退去後の駐車場を示す図。(c)規制装置が動作した後の状態を示す図。
【
図7】利用者に車両が貸し出される際に規制装置を制御するための第1処理を示すフローチャート。
【
図8】利用者に貸し出される車両がない状態を示す図。
【
図9】車両が貸し出された後に規制装置を制御するための第2処理を示すフローチャート。
【
図10】利用者から車両が返却される際に規制装置を制御するための第3処理を示すフローチャート。
【
図11】障害物により駐車場が使用不能である状態を示す図。
【
図12】利用者から車両が返却された後に規制装置を制御するための第4処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の一実施形態に係るシェアリングシステム20について説明する。
【0033】
図2に示すシェアリングシステム20は、所有者Sの敷地10の駐車場12で管理される車両を利用者Uに貸し出すためのものである。本実施形態では、貸し出しの対象となる車両は、一般的な用途に使われる四輪の自動車(所有者Sの自家用車)であるものとしている。以下では、シェアリングシステム20で貸し出される車両を「シェアカーSC」と称する。
【0034】
シェアリングシステム20では、複数のシェアカーSC及び複数の所有者Sについての情報(シェアカーSCのナンバーや所有者Sの住所等)が管理されており、利用者Uは、各シェアカーSCの中から条件に合ったものを借りることができる。以下では、
図1及び
図2に示す1台のシェアカーSCを貸し出す場合を例に挙げ、シェアリングシステム20の構成を説明する。まず、シェアカーSCを所有する所有者Sの敷地10の一例について説明する。
【0035】
図1に示すように、敷地10には、建物11が建てられている。建物11は、所有者Sが居住する戸建て住宅であり、建物11内に光を取り入れるための採光部が形成される。
図1には、採光部の一例として、建物11の2階に形成された窓11aが記載されている。当該窓11aの屋内側には、カーテン11bが設けられる(
図2参照)。また窓11aの屋外側には、シャッター11cが設けられる(
図3参照)。所有者Sは、これらカーテン11b、シャッター11cを閉じることで、窓11aを遮蔽することができる。
【0036】
このように、本実施形態では、カーテン11b及びシャッター11cが、採光部を遮蔽する部材(遮蔽部材)となっている。なお採光部を遮蔽する遮蔽部材は、カーテン11b等に限定されるものではなく、採光部を遮蔽可能なその他の部材(ロールスクリーン、ブラインド等)であってもよい。
【0037】
また本実施形態では、建物11の2階の窓11aが採光部であるものとしているが、採光部は、建物11内に光を取り入れ可能なものであれば、特に限定されるものではない。例えば、建物11の1階に形成された窓でもよいし、建物11に形成された出入口等でもよい。また所有者Sはカーテン11b等を閉じることで、窓11aを遮蔽することができるが、窓11aを遮蔽する方法は、カーテン11b等の遮蔽部材を閉じる方法に限定されるものではなく、その他の方法を採用可能である。例えば所定の装置を用いて窓11aのガラスを曇らせることでも、窓11aを遮蔽することができる。
【0038】
図1に示すように、建物11の近傍には、シェアカーSCを駐車するための駐車場12が設けられる。当該駐車場12の出入口には、開閉可能な扉12aが設けられる。
【0039】
次に、シェアリングシステム20の構成を説明する。
図2に示すように、シェアリングシステム20は、規制装置30、駐車場カメラ40、利用者端末50、所有者端末60、管理者端末70及び制御部80を具備する。
【0040】
規制装置30は、利用者Uが駐車場12を利用する場合に当該利用者Uの行動を規制可能な規制部材を動作させるためのものである。なお本実施形態の規制部材は、セキュリティの強化を目的として設置されたものとなっている。具体的には規制部材は、プライバシーの保護を目的として窓11aを遮蔽するためのカーテン11b及びシャッター11cと、防犯を目的として駐車場12を開閉するための扉12aとを含む。規制装置30は、これらカーテン11b等を開閉可能に構成される。
【0041】
より詳細には、規制装置30は、カーテン11bを開閉可能な電動カーテン装置31、シャッター11cを開閉可能な電動シャッター装置32、及び駐車場12の扉12aを開閉可能な電動カーゲート33を具備する。
【0042】
電動カーテン装置31は、窓11aの側方に設けられる。電動カーテン装置31は、例えばカーテンレールを摺動可能なライナー及び電動モータを具備する(不図示)。前記ライナーには、カーテン11bが取り付けられる。電動カーテン装置31は、前記電動モータの動力によって前記ライナーを移動させることにより、カーテン11bを開閉することができる。
【0043】
電動シャッター装置32は、例えば窓11aの上部に設けられる。電動シャッター装置32は、シャッター11cを巻き取り可能なシャフト及び電動モータを具備する(不図示)。電動シャッター装置32は、前記電動モータの動力によって前記シャフトを回動させることにより、シャッター11cを開閉(昇降)することができる。
【0044】
電動カーゲート33は、例えば支柱、当該支柱に揺動可能に連結されるアーム、及び電動モータを具備する(不図示)。前記アームには扉12aが連結されており、電動カーゲート33は、前記アームを電動モータの動力によって揺動させることで、扉12aを開閉することができる。
【0045】
なお、上述した電動カーテン装置31等の構成は一例であり、電動カーテン装置31の設置場所等に応じて適宜変更可能である。
【0046】
駐車場カメラ40は、駐車場12を撮影(監視)するためのものである。駐車場カメラ40は、敷地10に設けられる。本実施形態の駐車場カメラ40は、駐車場12に車両が駐車された場合に当該車両のナンバーを撮影可能となるように設けられる。具体的には、駐車場カメラ40は、駐車場12にバックで駐車されたシェアカーSC(
図2の状態)を基準に前後方向を規定する場合、駐車場12を後側から撮影するように設置される。なお駐車場カメラ40の設置方法は、本実施形態に限定されるものではないが、車両のナンバーを撮影可能であることが望ましい。これにより、駐車場カメラ40の撮像結果に写ったナンバーに基づいて、車両を容易に特定することができる。
【0047】
利用者端末50は、利用者Uが携帯する機器である。利用者端末50は、演算装置、記憶装置及び入出力装置を具備する。また利用者端末50は、外部の機器と通信可能な通信機能、及び自身の現在位置を測定可能な測位機能(例えばGPS機能)を有する。利用者端末50としては、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等を用いることが可能である。本実施形態では、利用者端末50としてスマートフォンが用いられるものとする。
【0048】
所有者端末60は、所有者Sが所有する機器である。所有者端末60は、演算装置、記憶装置及び入出力装置を具備する。所有者端末60は、外部の機器と通信可能な通信機能を有し、通信の内容に応じた情報を入出力装置に出力する(例えばメッセージを表示する)ことができる。所有者端末60としては、例えば利用者端末50と同じ種類の端末(スマートフォン)を用いることが可能である。
【0049】
管理者端末70は、シェアリングシステム20を管理する管理会社が所有する機器である。管理者端末70は、演算装置、記憶装置及び入出力装置を具備する。また管理者端末70は、外部の機器と通信可能な通信機能を有する。管理者K(管理会社の担当者等)は、管理者端末70の通信機能を利用して、シェアリングシステム20を管理することができる。例えば管理者Kは、制御部80の処理で必要となる情報を制御部80に事前に登録することができる。
【0050】
制御部80は、規制装置30を制御するためのものである。制御部80は、演算装置及び記憶装置を具備する。演算装置は、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、シェアリングシステム20の動作に必要な演算処理を実行できるように構成される。制御部80は、規制装置30、駐車場カメラ40、利用者端末50、所有者端末60及び管理者端末70と通信可能に接続される(不図示)。
【0051】
制御部80は、規制装置30に信号を送信することで、規制装置30を制御することができる。より詳細には制御部80は、電動カーテン装置31に信号を送信することで、カーテン11bを開閉させることができる。また制御部80は、電動シャッター装置32に信号を送信することで、シャッター11cを開閉させることができる。また制御部80は、電動カーゲート33に信号を送信することで、駐車場12の扉12aを開閉させることができる。
【0052】
また制御部80は、駐車場カメラ40からの信号に基づいて、駐車場カメラ40の撮影結果を取得することができる。制御部80は、当該撮影結果を用いて、各種処理を行うことができる。なお、撮影結果を用いた処理内容については後述する。
【0053】
また制御部80は、利用者端末50と通信することで、利用者UがシェアカーSCを予約できるように構成される。以下、その一例を説明する。
【0054】
利用者端末50にはシェアカーSCを予約するためのアプリがインストールされている。利用者Uは、当該アプリを使用することで、シェアカーSCの予約に関する予約情報を制御部80に送信することができる。なお予約情報は、どの利用者Uがどの時間帯にシェアカーSCを利用予定であるのかを示す情報である。
【0055】
制御部80は、利用者端末50から予約情報が送信された場合に、当該予約情報に基づいて、シェアカーSCを利用可能な時間を利用者Uに割り当てる。以下では、こうして割り当てられた時間を「予約時間」と称する。本実施形態では、一定の時間(具体的には15分)単位で予約時間が割り当てられるものとしているが、予約時間を割り当てる単位は15分に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
【0056】
また制御部80は、シェアカーSCの予約時間が重複しないように、予約時間を適宜管理している。例えば制御部80は、利用者端末50のアプリで予約が重複する時間帯を選択できないようにする等して、予約時間が重複しないように利用者Uに予約時間を割り当てている。
【0057】
また制御部80は、所有者端末60及び管理者端末70と通信することで、所有者端末60及び管理者端末70に各種情報を通知することができる。
【0058】
以下では
図2から
図6を参照し、シェアリングシステム20によりシェアカーSCを利用する手順、具体的には、予約時間が割り当てられた利用者U(予約済みの利用者U)がシェアカーSCを借りてから返却するまでの手順を説明する。
【0059】
本実施形態では、利用者Uが利用者端末50を携帯していれば、規制装置30が自動的に動作して、駐車場12の扉12aの開閉等が行われる。以下では、
図2に示す状態を初期状態(シェアカーSCの貸し出し前の状態)として、利用手順を説明する。なお
図2に示す初期状態において、カーテン11b及びシャッター11cは開いた状態となっている。また初期状態において、駐車場12の扉12aは閉じた状態となっている。
【0060】
図2に示す利用者Uは、予約時間にシェアカーSCを借りるため、駐車場12へ向けて移動する。
図3に示すように、制御部80は、利用者端末50の位置情報に基づいて利用者Uが駐車場12の近くにいることを検知した場合に、規制装置30を制御する。
【0061】
具体的には、制御部80は、カーテン11b及びシャッター11cを閉じるように電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32を制御する。また、近々利用者Uが駐車場12を利用すると考えられるため、制御部80は、駐車場12の扉12aを開くように電動カーゲート33を制御する。こうして制御部80は、利用者Uによる駐車場12への出入りを許可すると共に、当該利用者Uにより窓11aを介して建物11内が見られてしまうのを規制する状態に切り替える。以下では、この状態(駐車場12の扉12aが開き、かつ、カーテン11b等が閉じた状態)を「第1規制状態」と称する。
【0062】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、利用者Uは、第1規制状態において、シェアカーSCに乗って駐車場12から退去する。制御部80は、駐車場カメラ40の撮影結果に基づいてシェアカーSCの退去を検知した場合に、規制装置30を制御する。
【0063】
具体的には、
図4(c)に示すように、制御部80は、駐車場12の扉12aを閉じるように電動カーゲート33を制御する。また利用者Uによる覗き見の心配がないと考えられるため、制御部80は、カーテン11b及びシャッター11cを初期状態(閉じる前の状態)に戻すように規制装置30を制御する。こうして制御部80は、利用者U及び車両の駐車場12への出入りを規制する状態に切り替える。以下では、この状態(駐車場12の扉12aが閉じ、かつ、カーテン11b等が戻った状態)を「第2規制状態」と称する。制御部80は、第2規制状態に切り替えることで、カーテン11b等を開いて建物11内に光を入れることができる。
【0064】
図5に示すように、利用者Uは、予約時間内にシェアカーSCを返却するために、シェアカーSCに乗って駐車場12へ向けて移動する。制御部80は、利用者端末50の位置情報に基づいて利用者Uが駐車場12の近くにいることを検知した場合に、規制装置30を制御して第1規制状態に切り替える。
【0065】
図6(a)及び
図6(b)に示すように、利用者Uは、第1規制状態となった後でシェアカーSCを駐車場12に駐車し、駐車場12から退去する。
図6(c)に示すように、制御部80は、駐車場カメラ40の撮影結果に基づいて利用者Uの退去を検知した場合に、規制装置30を制御して第2規制状態に切り替える。
【0066】
このように、本実施形態のシェアリングシステム20は、所有者Sではなく、制御部80が規制装置30を制御することで、利用者Uが駐車場12を出入りする場合に限り、駐車場12を第1規制状態に切り替えることができる。これによって所有者Sの敷地10に不審者が侵入するのを抑制できる。
【0067】
また
図3及び
図5に示す第1規制状態では、カーテン11b等の遮蔽部材によって窓11aが遮蔽されるため、利用者Uが駐車場12に立ち入ったとしても建物11内を見られることはない。これによって、所有者Sのプライバシーを保護することができる。
【0068】
ここで、利用者UがシェアカーSCに乗って駐車場12を出た場合(
図4(b)参照)、駐車場12に別の車両が誤って駐車されることが懸念される。この点に関して本実施形態では、駐車場カメラ40の撮影結果に基づいて速やかに駐車場12の扉12aを閉じることができるため、別の車両が駐車場12に駐車されるのを抑制し、返却時のトラブルの発生を抑制することができる。
【0069】
以下では、上述したシェアカーSCの利用手順を実現するために行われる、制御部80の各種処理について説明する。具体的には、シェアカーSCが貸し出される際の第1処理、シェアカーSCが貸し出された後で駐車場12の扉12aを閉めるための第2処理、シェアカーSCが返却される際の第3処理、及びシェアカーSCが返却された後で駐車場12の扉12aを閉めるための第4処理について説明する。
【0070】
まず、
図7及び
図8を参照し、シェアカーSCが貸し出される際の第1処理について説明する。制御部80は、
図7に示す第1処理を定期的に実行する。制御部80は、第1処理を実行することで、利用者Uが駐車場12の近くに移動した場合に、駐車場12の扉12aを開くことができる(
図3参照)。以下、具体的に説明する。
【0071】
制御部80は、第1処理を開始するとステップS10へ移行する。ステップS10において制御部80は、カーシェアサービスの利用予定がある(シェアカーSCが貸し出される前の状態である)か否かを判定する。例えば制御部80は、予約情報を確認し、所定時間内にシェアカーSCを貸し出す予定がある場合に、カーシェアサービスの利用予定があると判定する(ステップS10:YES)。より詳細には制御部80は、予約開始時間まで1時間を切っている場合等にシェアカーSCを貸し出す予定があると判定する。この場合制御部80は、ステップS20へ移行する。一方制御部80は、カーシェアサービスの利用予定がないと判定した場合(ステップS10:NO)、再びステップS10へ移行する。
【0072】
なお上述した判定処理の内容は一例であり、適宜変更可能である。例えば上記判定処理では、1時間という閾値を用いるものとしたが、この閾値の設定値を適宜変更することも可能である。また、予約開始時間とは異なる情報(貸し出し予定の日付等)を用いて、シェアカーSCの貸し出し予定の有無を判定することも可能である。
【0073】
ここで、本実施形態では、15分単位で利用者Uに予約時間が割り当てられる。このため利用者Uは、この15分を1つの目安として、駐車場12へ向かうことが想定される。そうすると利用者Uは、予約開始時間の15分前後に駐車場12の近くにいることが想定される。そこで制御部80は、ステップS20・S30の処理において、予約開始時間及び利用者Uの位置の関係を確認する。
【0074】
具体的には、ステップS20において制御部80は、現在の時刻が、予約開始時間の前後15分の範囲内でない場合(ステップS20:NO)、
図7に示す第1処理を終了する。一方制御部80は、現在の時刻が前記範囲内である場合(ステップS20:YES)、ステップS30へ移行する。
【0075】
ステップS30において制御部80は、利用者端末50から位置情報(現在位置)を取得し、記憶装置に予め記憶される駐車場12の住所と前記位置情報とに基づいて、利用者端末50から駐車場12までの直線距離を算出する。そして制御部80は、当該算出結果が所定の閾値(50m)よりも大きい場合(ステップS30:NO)、再びステップS20へ移行する。一方制御部80は、前記算出結果が前記閾値以内である場合(ステップS30:YES)、ステップS40へ移行する。こうして制御部80は、予約開始時間の前後に駐車場12の半径50mの範囲内に利用者Uがいる場合に、ステップS40以降の処理を行う。
【0076】
ここで、
図8に示すように、何らかの理由で(例えば所有者Sが失念してシェアカーSCで外出した場合等に)駐車場12にシェアカーSCが駐車されていないことも想定される。そこで制御部80は、
図7に示すステップS40の処理でシェアカーSCの有無を確認し、シェアカーSCがある場合はステップS50~S70の処理を行って駐車場12の扉12aを開く等し、シェアカーSCがない場合はステップS80・S90の処理を行って関係者に連絡する。以下、具体的に説明する。
【0077】
ステップS40において制御部80は、駐車場カメラ40の撮像結果を解析することで、駐車場12にシェアカーSCがあるか否かを判定(検知)する。例えば制御部80は、駐車場カメラ40の撮像結果に写った車両のナンバーを取得し、そのナンバーが記憶装置に予め記憶されるシェアカーSCのナンバーと一致する場合にシェアカーSCがあると判定する(ステップS40:YES)。この場合制御部80は、ステップS50へ移行する。一方制御部80は、その他の場合にシェアカーSCがないと判定し(ステップS40:NO)、ステップS80へ移行する。制御部80がステップS80へ移行する場合としては、例えばナンバーが一致しない場合、そもそも車両が写っていない場合等が想定される。
【0078】
ステップS50において制御部80は、利用者端末50の位置情報に基づいて、利用者Uが駐車場12に到着する予定の時刻(到着予定時刻)を計算する。例えば制御部80は、利用者端末50の位置情報の履歴を用いて利用者Uの移動速度を算出すると共に、利用者端末50の現在位置及び駐車場12の住所に基づいて駐車場12までの距離を算出する。そして制御部80は、各算出結果を用いて到着予定時刻を計算する。なおこの到着予定時刻の計算方法は一例であり、適宜変更可能である。制御部80は、現在の時刻が到着予定時刻の所定時間前になると、ステップS60へ移行する。
【0079】
なお、ステップS50における所定時間(閾値)は、扉12aを開くのに要する時間(電動カーゲート33の動作時間)に応じて設定される。本実施形態では、扉12aを開き始めてから開き終えるまでに16秒かかるため、前記所定時間として、それよりも長い時間が設定される。具体的には、30秒が設定される。
【0080】
また到着予定時刻は状況に応じて変化するため、本実施形態の制御部80は、ステップS50において到着予定時刻をリアルタイムに更新する。そして制御部80は、最新の到着予定時刻の30秒以内である場合、ステップS60へ移行する。これによって、例えば信号待ちで利用者Uが立ち止まったり、利用者Uが途中で走り出したりした場合でも、ステップS60へタイミングよく移行することができる。
【0081】
ステップS60において制御部80は、駐車場12の扉12aを開くように電動カーゲート33の動作を開始させる。ステップS60の処理が終了すると制御部80は、ステップS70へ移行する。
【0082】
ステップS70において制御部80は、カーテン11b及びシャッター11cを閉じるように電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32の動作を開始させる。また制御部80は、動作前の状態(カーテン11b及びシャッター11cの開度)を記憶装置に記憶させる。ステップS70の処理が終了すると制御部80は、
図7に示す第1処理を終了する。制御部80は、上記ステップS60・S70の処理により、駐車場12へ出入り可能な第1規制状態に切り替えることができる。
【0083】
図7及び
図8に示すように、ステップS40において駐車場12にシェアカーSCがないと判定した場合に移行するステップS80において、制御部80は、シェアカーSCがないことを所有者S及び管理会社(管理者K)に連絡する。例えば制御部80は、所有者端末60及び管理者端末70に、シェアカーSCがないこと含むメッセージを表示させる。ステップS80の処理が終了すると制御部80は、ステップS90へ移行する。
【0084】
ステップS90において制御部80は、利用者Uに別のシェアカーSCを利用するように提案する。例えば制御部80は、利用者Uの予約情報及び利用者端末50の現在位置に基づいて、シェアリングシステム20で管理される各シェアカーSCの中から、利用者Uの予約時間中に利用可能であり、かつ、利用者Uの周辺に駐車されている別のシェアカーSCを抽出する。そして制御部80は、予約したシェアカーSCが駐車場12にないこと、近くの駐車場に駐車された別のシェアカーSCが利用可能であることを含むメッセージを利用者端末50に表示させる。
【0085】
これによって制御部80は、駐車場12にシェアカーSCがなかった場合でも、利用者Uが駐車場12に到着する前に別のシェアカーSCを利用者Uに提案することができるため、利用者Uに与えるストレスを緩和することができる。ステップS90の処理が終了すると制御部80は、
図7に示す第1処理を終了する。
【0086】
制御部80は
図7に示す第1処理を実行することで、利用者Uが駐車場12に到着する前に、駐車場12の扉12aを開き終えることができる。
【0087】
より詳細には、制御部80は、利用者Uが駐車場12に到着する予定時刻の30秒前になると、扉12aを開き始めるように電動カーゲート33を制御する(ステップS50・S60)。この30秒という時間は、扉12aを開き終えるまでに要する時間(16秒)よりも長いため、利用者Uの到着前に駐車場12の扉12aを開き終えることができる。これによって利用者Uは、速やかに(扉12aが開くのを待つことなく)シェアカーSCを借りることができる。
【0088】
また制御部80は、到着予定時刻の30秒前になるまでは、扉12aを閉じた状態を維持することができる。これによって駐車場12から敷地10内に不審者が侵入するのを抑制できる。このようにして制御部80は、タイミングよく駐車場12の扉12aを開けることができる。
【0089】
また制御部80は、駐車場12の扉12aとほぼ同じタイミングで、シャッター11c及びカーテン11bを閉じるように電動カーテン装置31等を制御する(ステップS70)。これによって利用者Uが駐車場12に入る際にカーテン11b等を閉じて所有者Sのプライバシーを保護することができる。また、到着予定時刻の30秒前になるまでは、カーテン11b等を開けて採光に与える影響を小さくすることができる。
【0090】
また制御部80は、駐車場12にシェアカーSCがなかった場合(ステップS40:NO)、駐車場12の扉12aを必ずしも開く必要はないため、規制装置30を動作させない。これにより、駐車場12から不審者が侵入するのを抑制することができる。
【0091】
ここで、本実施形態の制御部80は、利用者Uが駐車場12の半径50m以内の範囲にいる場合に(ステップS30:YES)、ステップS40以降の処理を行うようにしている。これによって、到着予定時刻の計算回数を減らすことができるため、第1処理の負荷を低減することができる。以下、具体的に説明する。
【0092】
上述の如く制御部80は、ステップS50において到着予定時刻を1回だけ算出するのではなく、到着予定時刻の30秒以内という条件を満たすまで繰り返し到着予定時刻を算出する。利用者Uの歩行速度が80m/分(一般的な歩行速度)であるとすると、利用者Uは、30秒歩行することで40m進むこととなる。
【0093】
そこで制御部80は、この40mよりも少し(2割程度)長い半径50m以内に利用者Uがいる場合に、到着予定時刻の算出を繰り返すステップS50の処理を開始し、次のステップS60へ移行する条件(到着予定時刻の30秒以内という条件)を速やかに満たすようにしている。これによって、利用者Uの歩行速度に合わせて到着予定時刻の計算を開始することができるため、到着予定時刻を再計算する回数を減らして、第1処理の負荷を低減することができる。
【0094】
なお、上述した駐車場12の半径50m以内という条件(ステップS60への移行条件)は一例であり、適宜変更可能である。例えば制御部80は、地図情報を用いることで、駐車場12を中心とした半径ではなく、利用者Uから駐車場12までの道路距離に基づいて前記条件を設定することも可能である。
【0095】
また制御部80は、ステップS40への移行条件を状況に応じて切り替えることも可能である。具体的には、利用者Uは状況に応じて駐車場12に向かって走ることがあるため、制御部80は、利用者Uが走っていると考えられる場合に、ステップS40への移行条件(駐車場12の半径50m以内という条件)を緩くすることも可能である。例えば制御部80は、利用者端末50の位置情報の履歴に基づいて利用者Uの移動速度を算出し、当該移動速度が所定の閾値以上である場合、駐車場12から200m以内に利用者Uがいる場合に、ステップS40へ移行することも可能である。これによって、利用者Uの状況に応じてタイミングよく扉12a等の制御を開始することができる。
【0096】
次に、
図7及び
図9を参照し、シェアカーSCが貸し出された後で駐車場12の扉12aを閉めるための第2処理について説明する。制御部80は、
図7に示すステップS60・S70の実行後(カーテン11b等を閉じると共に駐車場12の扉12aを開けた後)に、
図9に示す第2処理を繰り返し実行する。これによって制御部80は、利用者UがシェアカーSCに乗って駐車場12を退去した後で、速やかに駐車場12の扉12aを閉めることができる(
図4参照)。以下、具体的に説明する。
【0097】
制御部80は、第2処理を開始するとステップS110へ移行する。ステップS110において制御部80は、現在の時刻が予約時間内である場合(ステップS110:YES)、ステップS120へ移行する。一方制御部80は、予約時間外である場合(ステップS110:NO)、再びステップS110へ移行する。
【0098】
ステップS120において制御部80は、
図7に示すステップS40と同様の処理により、駐車場12にシェアカーSCがないか(駐車場12でシェアカーSCのナンバーが検出されないか)否かを判定する。
図9に示すように、制御部80は、駐車場12にシェアカーSCがないと判定した場合(ステップS120:YES)、ステップS130へ移行する。一方制御部80は、駐車場12にシェアカーSCがあると判定した場合(検出したナンバーがシェアカーSCのナンバーと一致した場合、ステップS120:NO)、第2処理を終了する。
【0099】
ステップS130において制御部80は、ステップS120でシェアカーSCがないと判定してから(シェアカーSCのナンバーが検出されなくなってから)所定時間が経過したか否かを判定する。本実施形態では、忘れ物の確認等のために利用者Uが駐車場12に戻ることを考慮して、前記所定時間として3分が設定されている。制御部80は、シェアカーSCがないと判定してから3分が経過した場合(ステップS130:YES)、ステップS140へ移行する。一方制御部80は、3分が経過していない場合(ステップS130:NO)、再びステップS120へ移行する。なおステップS130における閾値(3分)は一例であり、本実施形態に限定されるものではない。
【0100】
ステップS140において制御部80は、駐車場12の扉12aを閉じるように電動カーゲート33の動作を開始させる。ステップS140の処理が終了すると制御部80は、ステップS150へ移行する。
【0101】
ステップS150において制御部80は、カーテン11b及びシャッター11cを閉じる前の状態に戻すように、電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32の動作を開始させる。
【0102】
より詳細には、制御部80は、
図7に示すステップS70で記憶させたカーテン11b及びシャッター11cの開度を記憶装置から取得する。そして制御部80は、カーテン11b及びシャッター11cの開度がこの取得した開度となるように、電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32を制御する。
図9に示すステップS150の処理が終了すると制御部80は、第2処理を終了する。制御部80は、上記ステップS140・S150の処理により、駐車場12へ出入り不能な第2規制状態に切り替えることができる。
【0103】
制御部80は第2処理を実行することによって、駐車場12からシェアカーSCが退去したと考えられるタイミングで(退去の3分後に)、駐車場12の扉12aを閉じることができる(ステップS120~S140)。これによって、扉12aを速やかに閉じて、駐車場12から敷地10内に不審者が侵入するのを抑制できる。また、シェアカーSC以外の車両が誤って駐車場12に駐車されるのも抑制できる。
【0104】
また制御部80は、駐車場12の扉12aとほぼ同じタイミングで、シャッター11c及びカーテン11bを元に戻すように電動カーテン装置31等を制御する(ステップS150)。これによってカーテン11b等を速やかに開くことが可能となるため、採光に与える影響を小さくして、日常生活の住環境が損なわれるのを抑制することができる。
【0105】
次に、
図7、
図9から
図11を参照し、シェアカーSCが返却される際の第3処理について説明する。制御部80は、
図9に示すステップS140・S150の実行後(カーテン11b等を元の状態に戻すと共に駐車場12の扉12aを閉じた後)に、
図10に示す第3処理を繰り返し実行する。これによって制御部80は、利用者UがシェアカーSCを返却するために駐車場12の近くに移動した場合に、駐車場12の扉12aを開くことができる(
図5参照)。以下、具体的に説明する。
【0106】
制御部80は、第3処理を開始するとステップS210へ移行する。ステップS210において制御部80は、現在の時刻が、予約終了時間の前後15分の範囲内でない場合(ステップS210:NO)、再びステップS210へ移行する。一方制御部80は、現在の時刻が前記範囲内である場合(ステップS210:YES)、ステップS220へ移行する。これによって制御部80は、利用者UがシェアカーSCを返却すると考えられる時間が近くなった場合に、ステップS220以降の処理を行う。
【0107】
なお、利用者Uが予約終了時間15分前よりもさらに前のタイミングで、駐車場12にシェアカーSCを駐車することも想定される。例えば、急用ができたためシェアカーSCをすぐに返却することも想定されるし、予約時間内に一時的にシェアカーSCを駐車することも想定される。制御部80は、こうした事態に対応するために、ステップS210において、現在の時刻が予約時間内であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0108】
ステップS220において制御部80は、
図7に示すステップS30と同様の処理により、駐車場12から半径500mの範囲内に利用者Uがいるか否か判定する。制御部80は、前記範囲内に利用者Uがいる場合(ステップS220:YES)、ステップS230へ移行する。一方制御部80は、前記範囲内に利用者Uがいない場合(ステップS220:NO)、第3処理を終了する。
【0109】
ここで、何らかの理由により駐車場12(シェアカーSCの駐車スペース)が塞がっていることも想定される。例えば駐車場12に別の車両が駐車されていたり、駐車スペースに荷物等(
図11に示す符号SG参照)が置かれていたりすることがある。そこで制御部80は、ステップS230の処理においてこうした障害物SGの有無を確認し、障害物SGがない場合はステップS240~S260の処理を行って駐車場12の扉12aを開く等し、障害物SGがある場合はステップS270~S340の処理を行って関係者に連絡する。以下、具体的に説明する。
【0110】
ステップS230において制御部80は、駐車場カメラ40の撮像結果を解析することで、駐車場12に障害物SGがあるか否かを判定する。例えば制御部80は、AIを用いて、駐車場カメラ40の撮像結果に所定以上のサイズの物(障害物SG)が写っているか否かを判定する。こうして制御部80は障害物SGの有無を確認し、障害物SGがない場合に(ステップS230:NO)、ステップS240へ移行する。一方制御部80は、障害物SGがある場合に(ステップS230:YES)、ステップS270へ移行する。なお上述した障害物SGの有無の確認方法は一例であり、適宜変更可能である。
【0111】
ステップS240において制御部80は、
図7に示すステップS50と同様に、到着予定時刻を計算する。
図10に示すように、制御部80は、現在の時刻が到着予定時刻の所定時間前になると、ステップS250へ移行する。
【0112】
なお、ステップS240における所定時間(閾値)は、扉12aを開くのに要する時間(電動カーゲート33の動作時間)に応じて設定される。本実施形態では、扉12aを開き始めてから開き終えるまでに16秒かかるため、前記所定時間として、それよりも長い時間が設定される。具体的には、30秒が設定される。
【0113】
ステップS250において制御部80は、駐車場12の扉12aを開くように電動カーゲート33の動作を開始させる。ステップS250の処理が終了すると制御部80は、ステップS260へ移行する。
【0114】
ステップS260において制御部80は、カーテン11b及びシャッター11cを閉じるように電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32の動作を開始させる。また制御部80は、動作前の状態(カーテン11b及びシャッター11cの開度)を記憶装置に記憶させる。ステップS260の処理が終了すると制御部80は、
図11に示す第3処理を終了する。制御部80は、上記ステップS250・S260の処理により、駐車場12へ出入り可能な第1規制状態に切り替えることができる。
【0115】
図10及び
図11に示すように、ステップS230で駐車場12に障害物SGがあると判定した場合に移行するステップS270において、制御部80は、駐車場カメラ40の撮像結果を解析することで、駐車場12に駐車される車両のナンバーを検知する。制御部80は、車両のナンバーを検知した場合に(ステップS270:YES)、ステップS300へ移行する。一方制御部80は、車両のナンバーを検知しなかった場合に(ステップS270:NO)、ステップS280へ移行する。
【0116】
ステップS280において制御部80は、駐車場12(駐車スペース)に車両以外の障害物SGがあると判断し、所有者Sに当該障害物SGを除去するように要請する。例えば制御部80は、シェアカーSCの駐車スペースに障害物SGがあることと、間もなく利用者UがシェアカーSCを返しに来るので障害物SGを除去するように指示するメッセージとを所有者端末60に表示させる。ステップS280の処理が終了すると制御部80は、ステップS290へ移行する。
【0117】
ステップS290において制御部80は、利用者Uに現在の状況を連絡する。この際制御部80は、利用者端末50から情報を報知させる。なおこの報知の方法は特に限定されるものではないが、利用者UはシェアカーSCを運転していることが想定されるため、運転を妨げないように情報を報知することが望ましい。例えば制御部80は、利用者端末50のスピーカから現在の状況が分かる音声、具体的には現在駐車場12に障害物SGがあることと、その障害物SGを除去するように所有者Sに要請したことと、を含む音声を出力させる。ステップS290の処理が終了すると制御部80は、
図10に示す第3処理を終了する。
【0118】
なお制御部80は、ステップS290の処理を経て第3処理を終了した場合、障害物SGの除去が完了したことを利用者Uに別途通知する。この除去の完了を検知する方法は特に限定されるものではない。例えば制御部80は、駐車場カメラ40の撮像結果に基づいて除去完了を検知することも可能であるし、所有者端末60から除去完了の通知を受けることで除去完了を検知することも可能である。当該通知に基づいて利用者UがシェアカーSCを駐車場12に返却する場合、上述したステップS210~S260の処理により、駐車場12の扉12aが開かれることとなる。
【0119】
ステップS270で車両のナンバーを検知した場合に移行するステップS300において制御部80は、当該ステップS270で検知したナンバーが、所有者Sが所有する車のナンバーと一致するか否か判定する。ここで、所有者Sが所有する車とは、所有者Sの名義で車両登録された種々の車両を含む。すなわちこの所有者Sの車には、シェアカーSCだけではなく、所有者Sがシェアすることなく使用する車両も含まれている。こうした所有者Sの車のナンバーは、例えば所有者端末60を介して制御部80の記憶装置に予め記憶されている。
【0120】
制御部80は、ステップS300において記憶装置から所有者Sの車のナンバーを取得し、ステップS270で検知したナンバーと一致する場合(ステップS300:YES)、ステップS310へ移行する。一方制御部80は、前記ナンバーが一致しない場合(ステップS300:NO)、ステップS330へ移行する。
【0121】
ステップS310において制御部80は、ステップS280と同様の処理により、所有者Sの車を駐車場12から移動するように所有者Sに要請する。ステップS310の処理が終了すると制御部80は、ステップS320へ移行する。
【0122】
ステップS320において制御部80は、ステップS290と同様の処理により、利用者Uに現在の状況を連絡する。ステップS320の処理が終了すると制御部80は、
図10に示す第3処理を終了する。
【0123】
なお制御部80は、ステップS320の処理を経て第3処理を終了した場合、ステップS290の場合と同様に、障害物SGの除去(所有者Sの車の移動)が完了したことを利用者Uに別途通知する。当該通知に基づいて利用者UがシェアカーSCを駐車場12に返却する場合、上述したステップS210~S260の処理により、駐車場12の扉12aが開かれることとなる。
【0124】
ステップS300でナンバーが一致しない場合に移行するステップS330において、制御部80は、所有者S及び管理会社(管理者K)に連絡する。より詳細には、ステップS330においては所有者S以外の者の車両が駐車場12に無断駐車された状態であるため、制御部80は、無断駐車されていることを、その車のナンバーと共に所有者S及び管理会社に連絡する。なおこの連絡方法は、
図7に示すステップS80と同様である。ステップS330の処理が終了すると制御部80は、ステップS340へ移行する。
【0125】
ステップS340において制御部80は、地図情報を用いる等して、利用者Uに周辺の駐車場12を提案する。なおこの提案方法は特に限定されるものではないが、利用者UはシェアカーSCを運転していることが想定されるため、運転を妨げないように駐車場12を提案することが望ましい。
【0126】
制御部80は第3処理を実行することによって、第1処理の場合と同様に、シェアカーSC(利用者U)が駐車場12に到着する少し前に、駐車場12の扉12aを開き終えることができる。また制御部80は、第1処理の場合と同様に、駐車場12の扉12aとほぼ同じタイミングで電動カーテン装置31等を制御することで、所有者Sのプライバシーを保護することができると共に、採光に与える影響を小さくすることができる。
【0127】
ここで、本実施形態の制御部80は、利用者Uが駐車場12の半径500m以内の範囲にいる場合に(ステップS220:YES)、到着予定時刻の算出(ステップS250)以降の処理を行うようにしている。これによって、第1処理の場合と同様に利用者Uの移動速度(シェアカーSCの走行速度、50km/hを想定)に合わせて到着予定時刻の計算を開始することができるため、
図10に示す第3処理の負荷を低減することができる。
【0128】
また制御部80は、駐車場12に障害物SGがある場合(ステップS230:YES)、駐車場12の扉12aを必ずしも開く必要はないため、規制装置30を動作させない。これにより、駐車場12から不審者が侵入するのを抑制することができる。
【0129】
次に、
図10及び
図12を参照し、シェアカーSCが返却された後で駐車場12の扉12aを閉めるための第4処理について説明する。制御部80は、
図10に示すステップS250・S260の実行後(カーテン11b等を閉じると共に駐車場12の扉12aを開けた後)、
図12に示す第4処理を繰り返し実行する。これによって制御部80は、シェアカーSCを返却した利用者Uが駐車場12を退去した後で、速やかに駐車場12の扉12aを閉めることができる(
図6参照)。以下、具体的に説明する。
【0130】
制御部80は、第4処理を開始するとステップS410へ移行する。ステップS410において制御部80は、現在の時刻が予約時間内である場合(ステップS410:YES)、ステップS420へ移行する。一方制御部80は、予約時間外である場合(ステップS410:NO)、再びステップS410へ移行する。
【0131】
ステップS420において制御部80は、駐車場カメラ40の撮像結果を解析し、駐車場12(駐車スペース)に人が写っているか否かを判定する。制御部80は、駐車場12に人が写っていない場合に(人が検出されない場合、ステップS420:YES)、ステップS430へ移行する。一方制御部80は、駐車場12に人が写っている場合に(ステップS420:NO)、ステップS440へ移行する。
【0132】
ステップS430において制御部80は、利用者Uが駐車場12から退去したと判断し、時間の計測を開始する。ステップS430の処理が終了すると制御部80は、ステップS460へ移行する。
【0133】
ステップS420で人が検出された場合に移行するステップS440において制御部80は、当該ステップS420で検出された人が所有者Sであるか確認する。例えば制御部80は、駐車場カメラ40に写った人の顔が、記憶装置に予め記憶される所有者Sの顔と一致するか否か判定する。制御部80は、顔が一致する場合(ステップS440:YES)、ステップS450へ移行する。一方制御部80は、顔が一致しない場合(ステップS440:NO)、第4処理を終了する。
【0134】
ステップS450において制御部80は、ステップS430と同様に、利用者Uが駐車場12から退去したと判断し、時間の計測を開始する。ステップS450の処理が終了すると制御部80は、ステップS460へ移行する。
【0135】
ステップS460において制御部80は、ステップS430・S450で計測される時間(利用者Uが検出されなくなってから経過した時間)が所定時間を経過したか否か判定する。本実施形態では、忘れ物の確認等のために利用者Uが駐車場12に戻ることを考慮して、前記所定時間として3分が設定されている。制御部80は、前記計測時間が3分を超えた場合に(ステップS460:YES)、ステップS470へ移行する。一方制御部80は、前記計測時間が3分を超えていない場合に(ステップS460:NO)、ステップS420へ移行する。なおステップS460における閾値(3分)は一例であり、本実施形態に限定されるものではない。
【0136】
ステップS470において制御部80は、駐車場12の扉12aを閉じるように電動カーゲート33の動作を開始させる。ステップS470の処理が終了すると制御部80は、ステップS480へ移行する。
【0137】
ステップS480において制御部80は、カーテン11b及びシャッター11cを閉じる前の状態に戻すように、電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32の動作を開始させる。より詳細には、制御部80は、
図10に示すステップS260で記憶させたカーテン11b及びシャッター11cの開度を記憶装置から取得する。そして制御部80は、カーテン11b及びシャッター11cの開度がこの取得した開度となるように、電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32を制御する。
図12に示すステップS480の処理が終了すると制御部80は、第4処理を終了する。制御部80は、上記ステップS470・S480の処理により、駐車場12へ出入り不能な第2規制状態に切り替えることができる。
【0138】
制御部80は第4処理を実行することによって、駐車場12から利用者Uが退去したと考えられるタイミングで(利用者Uが検知されなくなってから3分後に)、駐車場12の扉12aを閉じることができる。これによって、駐車場12から敷地10内に不審者が侵入するのを抑制できる。
【0139】
また制御部80は、駐車場12の扉12aとほぼ同じタイミングで、シャッター11c及びカーテン11bを元に戻すように電動カーテン装置31等を制御する(ステップS480)。これによってカーテン11b等を速やかに開くことが可能となるため、採光に与える影響を小さくして、日常生活の住環境が損なわれるのを抑制することができる。
【0140】
このように、本実施形態のシェアリングシステム20によると、カーテン11b、シャッター11c及び駐車場12の扉12aを適切なタイミングで開閉することができる。このように、シェアリングシステム20は、適切に動作することができ、プライバシーの保護や防犯機能の向上を図ることができる。
【0141】
以上の如く、本実施形態に係るシェアリングシステム20は、所有者Sの敷地10の駐車場12で管理されるシェアカーSC(車両)を利用者Uに貸し出すためのシェアリングシステム20であって、前記利用者Uが前記駐車場12を利用する場合に当該利用者Uの行動を規制可能な規制部材(カーテン11b、シャッター11c及び扉12a)を動作させる規制装置30と、前記駐車場12を監視する監視装置(駐車場カメラ40及び制御部80)と、前記監視装置の監視結果、又は前記利用者Uの利用者端末50(携帯端末)の位置情報の少なくとも一方に基づいて前記規制装置30を制御することで、前記規制部材による前記利用者Uの行動の規制状態の可否を切り替える制御部80と、を具備するものである。
【0142】
このように構成することにより、監視装置(駐車場カメラ40及び制御部80)の監視結果や利用者端末50の位置情報に応じて適切に動作することができる。
【0143】
また、前記規制装置は、前記規制部材として、前記駐車場12の出入口に設けられた扉12aを開閉可能な電動カーゲート33(第1規制装置)と、前記規制部材として、前記所有者Sの敷地10内の建物11に形成された窓11a(採光部)を遮蔽可能なカーテン11b及びシャッター11c(遮蔽部材)を有する電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32(第2規制装置)と、を含み、前記規制状態は、前記制御部80の制御により前記扉12aが開けられ、前記利用者Uの前記駐車場12への出入りを規制せず、かつ、前記制御部80の制御により前記カーテン11b及びシャッター11cが前記窓11aを遮蔽し、前記建物11の屋外から屋内への前記窓11aを介した視認を規制する第1規制状態と、前記制御部80の制御により前記扉12aが閉められ、前記利用者Uの前記駐車場12への出入りを規制し、かつ、前記制御部80の制御により前記カーテン11b及びシャッター11cが前記窓11aを遮蔽せず、前記建物11の屋外から屋内への前記窓11aを介した視認を規制しない第2規制状態と、を含むものである。
【0144】
このように構成することにより、駐車場12の扉12a、カーテン11b及びシャッター11cを適切に制御することができる。
【0145】
また、前記規制装置30は、前記規制部材として、前記駐車場12の出入口に設けられた扉12aを開閉可能な電動カーゲート33(第1規制装置)を含み、前記規制状態は、前記制御部80の制御により前記扉12aが開けられ、前記利用者Uの前記駐車場12への出入りを規制しない第3非規制状態(本実施形態では第1規制状態)と、前記制御部80の制御により前記扉12aが閉められ、前記利用者Uの前記駐車場12への出入りを規制する第3規制状態(本実施形態では第2規制状態)と、を含むものである。
【0146】
このように構成することにより、駐車場12の扉12aを適切に開閉し、所有者Sの敷地10に不審者が侵入するのを抑制することができる。
【0147】
また、前記規制装置30は、前記規制部材として、前記所有者Sの敷地10内の建物11に形成された窓11a(採光部)を遮蔽可能なカーテン11b及びシャッター11c(遮蔽部材)を有する電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32(第2規制装置)を含み、前記規制状態は、前記制御部80の制御により前記カーテン11b及びシャッター11cが前記窓11aを遮蔽せず、前記建物11の屋外から屋内への前記窓11aを介した視認を規制しない第4非規制状態(本実施形態では第2規制状態)と、前記制御部80の制御により前記カーテン11b及びシャッター11cが前記窓11aを遮蔽し、前記建物11の屋外から屋内への前記窓11aを介した視認を規制する第4規制状態(本実施形態では第1規制状態)と、を含むものである。
【0148】
このように構成することにより、カーテン11b及びシャッター11cを適切に制御し、所有者Sのプライバシーを保護することができる。
【0149】
また、前記制御部80は、前記シェアカーSCが貸し出される前の状態において(ステップS10:YES)、前記利用者端末50の現在位置に基づいて前記利用者Uが前記駐車場12に到着する予定時刻を算出し(ステップS50)、当該算出結果が第1閾値(30秒)以内である場合、前記規制装置30を制御して前記第1規制状態に切り替える前記規制装置30を制御して前記第1規制状態に切り替える第1制御を開始するものである(ステップS60・S70)。
【0150】
このように構成することにより、利用者Uが駐車場12に近づいたタイミングで規制装置30の動作を開始することができるため、第1規制状態に適切に切り替えることができる。
【0151】
また、前記監視装置(駐車場カメラ40及び制御部80)は、前記駐車場12に駐車された車両を検知可能であり、前記制御部80は、前記シェアカーSCが貸し出される前の状態において(ステップS10:YES)、当該シェアカーSCを前記監視装置が検知しない場合は(ステップS40:NO)、前記予定時刻の算出結果が前記第1閾値以内であったしても前記第1制御を開始しないものである(ステップS80・S90)。
【0152】
このように構成することにより、規制装置30の無駄な動作を省くことができる。
【0153】
また、前記監視装置(駐車場カメラ40及び制御部80)は、前記駐車場12に駐車される車両を検知可能であり、前記制御部80は、前記利用者Uが前記シェアカーSCを利用可能な時間に当該シェアカーSCを前記監視装置が検知しない場合(ステップS110:Yes、ステップS120:YES、ステップS130:YES)、前記規制装置30を制御して前記第2規制状態に切り替える第2制御を開始するものである(ステップS140・S150)。
【0154】
このように構成することにより、利用者Uに貸し出されたシェアカーSCが駐車場12を出た後で規制装置30の動作を開始することができるため(
図4参照)、第2規制状態に適切に切り替えることができる。
【0155】
また、前記制御部80は、前記第2制御(ステップS140・S150)の後で、前記利用者端末50の現在位置に基づいて前記利用者Uが前記駐車場12に到着する予定時刻を算出し(ステップS240)、当該算出結果が第2閾値(30秒)以内である場合、前記規制装置30を制御して前記第1規制状態に切り替える第3制御を開始するものである(ステップS250・S260)。
【0156】
このように構成することにより、シェアカーSCに乗った利用者Uが駐車場12に近づいたタイミングで規制装置30の動作を開始することができるため、第1規制状態に適切に切り替えることができる。
【0157】
また、前記閾値(第1閾値及び第2閾値)は、前記第1規制状態への切り替えが完了するまでに要する時間を考慮して設定されるものである。
【0158】
このように構成することにより、利用者Uが駐車場12に到着するタイミングで規制装置30の動作を終了することができるため、第1規制状態に、より適切に切り替えることができる。
【0159】
また、前記監視装置(駐車場カメラ40及び制御部80)は、前記駐車場12にある障害物SGを検知可能であり、前記制御部80は、前記第2制御(ステップS140・S150)の後で、前記障害物SGを前記監視装置が検知した場合は(ステップS230:YES)、前記予定時刻の算出結果が前記第2閾値以内であったとしても前記第3制御を開始しないものである(ステップS270~S340)。
【0160】
このように構成することにより、規制装置30の無駄な動作を省くことができる。
【0161】
また、前記監視装置(駐車場カメラ40及び制御部80)は、前記駐車場12において、人の存在を検知可能であり、前記制御部80は、前記第3制御の後で前記監視装置が人を検知しない場合、又は、前記第3制御の後で前記監視装置が検知した人が前記所有者Sである場合の少なくとも一方において(ステップS410~S450、ステップS460:YES)、前記規制装置30を制御して前記第2規制状態に切り替える第4制御を開始するものである(ステップS470・S480)。
【0162】
このように構成することにより、シェアカーSCを返却した利用者Uが駐車場12を出た後で規制装置30の動作を開始することができるため(
図6参照)、第2規制状態に適切に切り替えることができる。
【0163】
なお、本実施形態に係るカーテン11b、シャッター11c及び扉12aは、本発明に係る規制部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る駐車場カメラ40及び制御部80は、本発明に係る監視装置の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る利用者端末50は、本発明に係る携帯端末の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る電動カーゲート33は、本発明に係る第1規制装置の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る窓11aは、本発明に係る採光部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るカーテン11b及びシャッター11cは、本発明に係る遮蔽部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る電動カーテン装置31及び電動シャッター装置32は、本発明に係る第2規制装置の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る駐車場カメラ40及び制御部80は、本発明に係る監視装置の実施の一形態である。
【0164】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0165】
例えば本実施形態では、所有者Sの自家用車が貸し出されるものとしたが、シェアリングシステム20で貸し出しの対象となる車両は、自家用車に限定されるものではなく、その他の目的で使用される車両(事業用自動車)であってもよい。また貸し出しの対象となる車両は、四輪の自動車に限定されるものではなく、その他の種類の車両、例えばバイク等であってもよい。
【0166】
また本実施形態では、宅地でシェアカーSCが貸し出されるものとしたが、シェアカーSCが貸し出される場所(シェアカーSCの管理場所)は、所有者Sが所有する敷地であれば、宅地以外の用途に用いられる場所であってもよい。
【0167】
また制御部80は、電動カーテン装置31、電動シャッター装置32及び電動カーゲート33を制御するものとしたが、制御部80による制御対象(規制装置30)は、セキュリティ強化のために敷地10に設けられた部材を動作させるものであれば、本実施形態(電動カーテン装置31等)に限定されるものではない。例えば制御部80は、電動カーテン装置31、電動シャッター装置32又は電動カーゲート33のいずれか1つを制御するものでもよいし、その他の装置、例えば建物11の玄関ドアをロックするための電動ロック装置等を制御するものでもよい。
【0168】
また制御部80は、
図7に示すステップS40において、駐車場カメラ40の撮像結果に基づいてシェアカーSCの有無を確認するものとしたが、その他の情報に基づいてシェアカーSCの有無を確認することも可能である。例えばシェアカーSCに搭載される車載GPSからの情報(シェアカーSCの現在位置)に基づいて、シェアカーSCの有無を確認することも可能である。
【0169】
また制御部80は、
図7に示す第1処理において、シェアカーSCがない場合に規制装置30を動作させないものとしたが(ステップS40~S80)、シェアカーSCがない場合の規制装置30の制御はこれに限定されるものではない。例えば、駐車場12にシェアカーSCがないことを利用者Uが確認できるようにするために、シェアカーSCがない場合でも、駐車場12の扉12aを開くように電動カーゲート33を制御することも可能である。
【0170】
また制御部80は、
図7及び
図10に示すステップS50・S240において、到着予定時刻の30秒前になると次のステップS60・S250へ移行するものとした。この30秒という閾値は、駐車場12の扉12aの開閉に要する時間(16秒)に応じて設定されたものであるが、これに加えて、カーテン11b及びシャッター11cの開閉に要する時間も考慮して、前記閾値を設定することも可能である。このように、ステップS50・S240における閾値は、適宜変更可能である。
【0171】
また制御部80は、
図10に示す第3処理において、駐車場12に障害物SGがある場合に規制装置30を動作させないものとしたが(ステップS270~S340)、駐車場12に障害物SGがある場合の規制装置30の制御はこれに限定されるものではない。例えば、駐車場12に障害物SGがあることを利用者Uが確認できるようにするために、障害物SGがある場合でも、駐車場12の扉12aを開くように電動カーゲート33を制御することも可能である。
【0172】
また制御部80は、
図12に示すステップS420において、駐車場カメラ40の撮像結果に基づいて、駐車場12にいる人を検知するものとしたが、その他の情報に基づいて人を検知することも可能である。例えば制御部80は、駐車場12に設置された人感センサの検知結果に基づいて、駐車場12にいる人を検知することも可能である。このように、本発明に係る監視装置は、駐車場カメラ40以外の機器を含むことも可能である。
【0173】
また制御部80は、
図12に示す第4処理において、駐車場カメラ40に人が写っていない場合や所有者Sが写っていた場合に規制装置30を制御するものとしたが、第4処理では、利用者Uが駐車場12から退去したと考えられるその他の情報に基づいて、規制装置30を制御することも可能である。例えば、利用者UはシェアカーSCの返却後に駐車場12を退去すると考えられるため、制御部80は、駐車場カメラ40にシェアカーSCが写っていることを検知してから所定時間が経過した後で規制装置30を制御することも可能である。
【0174】
また制御部80は、
図12に示す第4処理のステップS410において、予約時間内であるか否かを確認するものとしたが、当該処理を行うことなく駐車場12にいる人を検出するステップS420の処理を実行することも可能である。これによって制御部80は、予約時間を過ぎた後で利用者UがシェアカーSCを返却して駐車場12を退去する場合等において、駐車場12の扉12a等を適切に制御することができる。
【符号の説明】
【0175】
10 敷地
12 駐車場
20 シェアリングシステム
30 規制装置
40 駐車場カメラ
50 携帯端末
80 制御部
S 所有者
SC シェアカー
U 利用者