(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135448
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】健康支援サーバ、健康支援プログラム、健康支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240927BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046134
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】596165589
【氏名又は名称】学校法人 聖マリアンナ医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】貝原 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】明石 嘉浩
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】ユーザの状態に適した治療の継続支援を行うこと。
【解決手段】本明細書で開示する健康支援サーバは、ユーザの健康維持又は増進を支援する健康支援サーバであって、前記ユーザが取り組むべきアクションの実行時に計測された計測値を取得する実施状況取得部と、前記アクションの実行時に計測される計測値に対する、前記ユーザの呈する症状によって事前に定められた範囲の設定を受け付ける範囲設定部と、前記アクションが実行された場合に前記ユーザにリワードを与えるリワード付与部と、を備え、前記リワード付与部は、前記計測値が前記範囲内であるか否かに応じて異なる前記リワードを前記ユーザに付与すること、を特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの健康維持又は増進を支援する健康支援サーバであって、
前記ユーザが取り組むべきアクションの実行時に計測された計測値を取得する実施状況取得部と、
前記アクションの実行時に計測される計測値に対する、前記ユーザの呈する症状によって事前に定められた範囲の設定を受け付ける範囲設定部と、
前記アクションが実行された場合に前記ユーザにリワードを与えるリワード付与部と、
を備え、
前記リワード付与部は、前記計測値が前記範囲内であるか否かに応じて異なる前記リワードを前記ユーザに付与すること、
を特徴とする健康支援サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の健康支援サーバであって、
前記アクションが実行された後に前記ユーザから主観情報を取得する主観情報取得部と、
をさらに備え、
前記リワード付与部は、前記主観情報をもとに前記リワードを前記ユーザに与えること、
を特徴とする健康支援サーバ。
【請求項3】
請求項1に記載の健康支援サーバであって、
前記計測値は心拍数であり、
前記心拍数が前記範囲内である場合には、前記心拍数が前記範囲外である場合よりも高いリワードが与えられること、
を特徴とする健康支援サーバ。
【請求項4】
請求項2に記載の健康支援サーバであって、
前記範囲は、ユーザの基準心拍数から正・負の方向に所定の値離れた心拍数を上限と下限とする目標心拍数範囲であること、
を特徴とする健康支援サーバ。
【請求項5】
ユーザの健康維持又は増進を支援する健康支援プログラムであって、
プロセッサに、
前記ユーザが取り組むべきアクションの実行時に計測された計測値を取得する実施状況取得ステップと、
前記アクションの実行時に計測される計測値に対する、前記ユーザの呈する症状によって事前に定められた範囲の設定を受け付ける範囲設定ステップと、
前記アクションが実行された場合に前記ユーザにリワードを与えるリワード付与ステップと、
を実行させ、
前記リワード付与ステップは、前記計測値が前記範囲内であるか否かに応じて異なる前記リワードを前記ユーザに付与すること、
を特徴とする健康支援プログラム。
【請求項6】
ユーザの健康維持又は増進を支援する健康支援方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザが取り組むべきアクションの実行時に計測された計測値を取得する実施状況取得ステップと、
前記アクションの実行時に計測される計測値に対する、前記ユーザの呈する症状によって事前に定められた範囲の設定を受け付ける範囲設定ステップと、
前記アクションが実行された場合に前記ユーザにリワードを与えるリワード付与ステップと、
を実行し、
前記リワード付与ステップは、前記計測値が前記範囲内であるか否かに応じて異なる前記リワードを前記ユーザに付与すること、
を特徴とする健康支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康支援サーバ、健康支援プログラム、健康支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの健康の改善を目的としたシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、患者に起こったライフイベントに応じて、どの程度の治療負荷の治療であれば実行可能かを判定する発明が開示されている。しかしながら、患者にとって治療の継続を妨げるものは治療負荷だけではなく、治療へのモチベーション低下であることも知られている。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、ユーザの状態に適した治療の継続支援を行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する健康支援サーバは、ユーザの健康維持又は増進を支援する健康支援サーバであって、前記ユーザが取り組むべきアクションの実行時に計測された計測値を取得する実施状況取得部と、前記アクションの実行時に計測される計測値に対する、前記ユーザの呈する症状によって事前に定められた範囲の設定を受け付ける範囲設定部と、前記アクションが実行された場合に前記ユーザにリワードを与えるリワード付与部と、を備え、前記リワード付与部は、前記計測値が前記範囲内であるか否かに応じて異なる前記リワードを前記ユーザに付与すること、を特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの状態に適した治療の継続支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る健康支援システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るユーザ情報の構成例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る診察情報の構成例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る介入情報の構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る介入情報の構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る代表的な処理の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
ユーザの健康維持又は増進を支援する健康支援サーバであって、
前記ユーザが取り組むべきアクションの実行時に計測された計測値を取得する実施状況取得部と、
前記アクションの実行時に計測される計測値に対する、前記ユーザの呈する症状によって事前に定められた範囲の設定を受け付ける範囲設定部と、
前記アクションが実行された場合に前記ユーザにリワードを与えるリワード付与部と、
を備え、
前記リワード付与部は、前記計測値が前記範囲内であるか否かに応じて異なる前記リワードを前記ユーザに付与すること、
を特徴とする健康支援サーバ。
[項目2]
項目1に記載の健康支援サーバであって、
前記アクションが実行された後に前記ユーザから主観情報を取得する主観情報取得部と、
をさらに備え、
前記リワード付与部は、前記主観情報をもとに前記リワードを前記ユーザに与えること、
を特徴とする健康支援サーバ。
[項目3]
項目1に記載の健康支援サーバであって、
前記計測値は心拍数であり、
前記心拍数が前記範囲内である場合には、前記心拍数が前記範囲外である場合よりも高いリワードが与えられること、
を特徴とする健康支援サーバ。
[項目4]
項目2に記載の健康支援サーバであって、
前記範囲は、ユーザの基準心拍数から正・負の方向に所定の値離れた心拍数を上限と下限とする目標心拍数範囲であること、
を特徴とする健康支援サーバ。
[項目5]
ユーザの健康維持又は増進を支援する健康支援プログラムであって、
プロセッサに、
前記ユーザが取り組むべきアクションの実行時に計測された計測値を取得する実施状況取得ステップと、
前記アクションの実行時に計測される計測値に対する、前記ユーザの呈する症状によって事前に定められた範囲の設定を受け付ける範囲設定ステップと、
前記アクションが実行された場合に前記ユーザにリワードを与えるリワード付与ステップと、
を実行させ、
前記リワード付与ステップは、前記計測値が前記範囲内であるか否かに応じて異なる前記リワードを前記ユーザに付与すること、
を特徴とする健康支援プログラム。
[項目6]
ユーザの健康維持又は増進を支援する健康支援方法であって、
プロセッサが、
前記ユーザが取り組むべきアクションの実行時に計測された計測値を取得する実施状況取得ステップと、
前記アクションの実行時に計測される計測値に対する、前記ユーザの呈する症状によって事前に定められた範囲の設定を受け付ける範囲設定ステップと、
前記アクションが実行された場合に前記ユーザにリワードを与えるリワード付与ステップと、
を実行し、
前記リワード付与ステップは、前記計測値が前記範囲内であるか否かに応じて異なる前記リワードを前記ユーザに付与すること、
を特徴とする健康支援方法。
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
==概要==
図1は、本発明の一実施形態に係る健康支援システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の健康支援システムは、サーバ装置1とユーザ端末3と医療従事者端末4を含んで構成される。サーバ装置1は、ユーザ端末3と、医療従事者端末4と、通信ネットワーク2を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク3は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0013】
==ユーザ端末3==
ユーザ端末3は、健康支援の対象者であるユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末3は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどであるが、それらに限定されない。ユーザは、たとえばユーザ端末3で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。また、ユーザ端末3は、ウェアラブルセンサなど、Bluetooth(登録商標)等で接続される、各種センサ等装置を含んで構成されていてもよく、歩数や走行速度、移動距離等の運動の状態や程度を測定するセンサ、心拍や脈拍等の生体データを取得するセンサ等を含んでもよい。
【0014】
==医療従事者端末4==
医療従事者端末4は、ユーザの健康支援を行う医師、看護師、薬剤師等の医療従事者が操作するコンピュータである。医療従事者端末4は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどであるが、それらに限定されない。医療従事者は、たとえば医療従事者端末4で実行されるアプリケーションやWebブラウザによりサーバ装置1にアクセスすることができる。
【0015】
以下、サーバ装置1の構成について説明する。
【0016】
図2は、サーバ装置1のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。サーバ装置1は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、通信インタフェース104、入力装置105、出力装置106を備える。記憶装置103は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース104は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置105は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置106は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述するサーバ装置1の各処理部はCPU101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、サーバ装置1の各記憶部はメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0017】
図3は、サーバ装置1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、サーバ装置1は、ユーザ情報取得部111と、診察情報取得部112と、介入選定部113と、範囲設定部114と、介入提示部115と、継続支援部116と、実施状況取得部117と、リワード付与部118と、の各処理部と、ユーザ情報記憶部131と、診察情報記憶部132と、介入情報記憶部133と、継続支援法記憶部134と、の各記憶部と、を含んで構成される。
【0018】
なお、上記各処理部は、サーバ装置1が備えるプロセッサ101が記憶装置103に記憶されているプログラムをメモリ102に読み出して実行することにより実現され、上記各記憶部は、サーバ装置1が備えるメモリ102及び記憶装置103が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0019】
ここで、本実施の形態において、ユーザ情報記憶部131と、診察情報記憶部132と、介入情報記憶部133と、継続支援法記憶部134と、のデータ構成について示す。
【0020】
ユーザ情報記憶部131は、ユーザ情報取得部111が取得した、
図4に一例を示すユーザ情報を記憶する。
図4に示すように、ユーザ情報は、一例として、ユーザID、氏名、年齢、性別、身長、体重、BMI、腹囲、居住地域、喫煙状況、飲酒習慣、平均睡眠時間、既往歴、処方歴、アレルギー情報、血縁者の既往歴、各種試験(例えば心肺運動負荷試験等)の結果、各種検査(採血検査、心電図検査、超音波検査、画像検査、尿検査等)の結果、生活環境(勤務時間帯、配偶者の有無等)などを含むがこれらに限定されない。
【0021】
診察情報記憶部132は、診察情報取得部112が取得した、
図5に一例を示す、ユーザを診察して得られた診察情報を記憶する。
図5に示すように、診察情報は、一例として、診察日、ユーザID、症状、問診内容、介入方法、処方薬等の情報を含む。
【0022】
介入情報記憶部133は、
図6に一例を示す、介入情報を記憶する。
図6に示すように、継続支援法は、一例として、罹患している病気や症状、手術の前後などの治療のフェーズに紐づけて、1以上の介入方法が記憶されている。なお、ここでいう介入は、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査等を含む。)の有無又は程度を制御する行為で、要するに健康の保持増進のためにユーザが取り組むべきアクションとして主に医療従事者から患者に対して提示されるものである。
【0023】
継続支援法記憶部134は、継続支援情報を記憶する。継続支援法は、ゲームアプリのプログラム、SDKなどの形で記憶されていてもよいし、当該プログラム、SDKなどをダウンロードできるようにアップされているサーバのURL、ディレクトリなどの情報の形で記憶されていてもよいが、これらの形に限定されない。
【0024】
以上がサーバ装置1のデータ構成についての説明である。
【0025】
ここで、本実施の形態において、ユーザ情報取得部111と、診察情報取得部112と、介入選定部113と、範囲設定部114と、介入提示部115と、継続支援部116と、実施状況取得部117と、リワード付与部118と、の各処理部の機能について示す。
【0026】
ユーザ情報取得部111は、一例として、ネットワーク2を介して、ユーザ端末3にユーザ情報に関する入力フォームを提示し、ユーザの入力をもとに、ユーザ情報を取得する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。なお、ユーザ情報の一部または全体を、医療従事者が従事する施設等で問診や記入表等で回収し、ネットワーク2を介して医療従事者端末4から取得してもよい。ユーザ情報取得部111は、ユーザ情報を、ユーザ情報記憶部131に記憶する。
【0027】
診察情報取得部112は、一例として、ネットワーク2を介して、医療従事者端末4に診察情報に関する入力フォームを提示し、診察情報に関する情報を取得する。当該送受信における通信は、有線、無線のいずれでもよく、また、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。なお、診察情報の一部または全体は、医療従事者が用いる電子カルテ等の専用ソフトウェアから取得してもよい。診察情報取得部112は、診察情報を、診察情報記憶部132に記憶する。
【0028】
介入選定部113は、診察情報をもとに、ユーザの状態を維持・改善するために必要な介入に関する介入情報を、介入情報記憶部133より選定する。なお、介入選定部113は、介入情報を複数選定してもよい。
【0029】
範囲設定部114は、ユーザの呈する症状や治療過程において、介入実施時に重視する指標、例えば介入を実施する期間、回数、介入実施時やその前後の生体データ等の数値範囲を設定する。当該指標は、例えば、介入(例えば腕立て伏せ等の運動)の継続時間や実施回数、介入がウォーキング、ランニング、スイミング等の場合は継続時間や距離、また、介入実施中のユーザの生体データ(心拍数、血圧等)、介入前後の生体データの差分、ユーザが取得する食事等に含まれる成分の量、喫煙等の数量などを含むが、これらに限定されない。
【0030】
範囲設定部114は、医療関係者が入力、または選択、指定する範囲を、当該介入の範囲として設定する。
【0031】
範囲設定の例
範囲設定部114は、ユーザの生体データや、行動データ、ユーザが実施する試験の結果、ユーザの罹患している疾患などの情報をもとに、前記指標等の数値範囲を設定しても良い。範囲設定部114は、例えば心臓手術を行ったユーザに対する心肺運動負荷試験(Cardiopulmonary Exercise Testing ; CPX)により、呼気を分析して有酸素運動から無酸素運動に切り替わるときの心拍数(基準心拍数)の情報を取得する。範囲設定部114は、基準心拍数から正・負の方向に所定の値、本例ではプラス・マイナス10、離れた心拍数を目標心拍数範囲と設定する。また、範囲設定部114は、同様のユーザの最大心拍数と安静心拍数の数値を取得し、所定の計算式により、本例においては[目標心拍数=(最大心拍数-安静心拍数)×0.55+安静心拍数]の式により、目標心拍数範囲を設定してもよい。他にも、範囲設定部114は、例えば、ユーザが特定の疾患に罹患している場合に、食事等による摂取カロリー、塩分量、水分量などを設定してもよい(例:1日1600kcal未満、うち炭水化物の摂取比率50-60%等)。なお、範囲には、前期指標の上限だけ、または下限だけの場合も含まれる。
【0032】
範囲設定部114は、ユーザが罹患した病気と、ユーザに対して実施された治療法によって事前に定められた特定の指標の範囲を、範囲として設定してもよい。医療関係者が入力、または選択、指定する範囲を、当該介入の範囲として設定する。
【0033】
介入提示部115は、介入選定部113が選定した介入情報を、ユーザ又は医療従事者に提示する。介入提示部115は、介入情報に、範囲設定部114が設定した指標の範囲を含めて提示してもよい。
【0034】
介入提示部115は、介入選定部113が選定した介入情報を、医療従事者端末4に提示する。介入提示部115は、医療従事者による選定または優先順位付けを受けつけた推薦介入情報を、医療従事者端末4に提示する。介入提示部115は、当該推薦介入情報をユーザ端末3に提示してもよい。
【0035】
介入提示部115は、介入選定部113が選定した複数の介入を、選択肢としてユーザおよび医療従事者に提示してもよい。介入提示部115はユーザと医療従事者の両方から介入の選択を受け付け、ユーザと医療従事者の両方が選択した介入を、実際に実行するべき実行アクション(介入)として決定し、ユーザ端末3および医療従事者端末4に提示してもよい。この場合、介入提示部115は、ユーザ端末3から、提示した介入情報の中から、主観的に実施可能であると判断した介入の選択肢の選択情報を取得する。また、介入提示部115は、医療従事者から、ユーザに実施して欲しい介入の選択肢について選択情報を取得する。介入提示部115は、ユーザの選択と、医療従事者の選択から、共通する介入を、ユーザ端末3および医療従事者端末4に提示すればよい。
【0036】
介入提示部115は、介入選定部113が選定し、医療従事者により選択された複数の介入の中から、実施可能な介入をユーザに選択させてもよい。介入提示部115は、医療従事者端末4に介入選定部113が選定した複数の介入を提示し、医療従事者から、ユーザに実施して欲しい介入の選択肢について選択情報を取得する。その後、介入提示部115は、医療従事者によって選択された介入の選択肢を、ユーザ端末3に提示し、ユーザから、提示した介入情報の中から、主観的に実施可能であると判断した介入の選択肢の選択情報を取得する。介入提示部115は、ユーザが選択した介入を、ユーザ端末3および医療従事者端末4に提示すればよい。
【0037】
継続支援部116は、ユーザが介入を継続して実施するための、継続支援方法をユーザ端末3に提示する。継続支援方法は、一例として、ゲーミフィケーションであり、たとえばポケモンGo(登録商標)のようなARゲーム・トレーニングアプリ(例えば、歩行や走行することを促進する効果を有する)、パズル・クイズゲーム(例えば、疾患に対する知識を高める効果を有する)、RPG、シミュレーションゲーム(例えば、介入の実施により経験値を取得することができる)、スポーツゲームなどのゲームアプリケーションであってよい。また、ユーザ本人を投影したアバターを用意し、介入の実施目標やチャレンジを達成することにより、アバターの健康状態や、アバターの臓器(例えば、ユーザの疾患にかかわる臓器)の健康状態が改善していく、などであってもよい。
【0038】
なお、上述したゲーミフィケーションとは、ゲームを本来の目的としない物事にゲーム要素(アイテムの獲得やレベルアップ、敵との争い、相手との競争のように、ユーザを楽しませたり、熱中させたりする要素のこと)を応用することで、物事に対するユーザの意欲の向上や、物事に対するロイヤリティ(愛着)の強化を図ることを示す。したがって、継続支援方法は、すでにゲームそのものを例示したが、ゲームそのものではないものも含まれる。継続支援方法は、例えば、ユーザによる介入の実施(指定された範囲内での実施を含む。以下同様。)により、換金性を有していたり、サービス利用の対価として用いる事ができたりするポイントやトークンがリワード(マネタリーリワード)としてユーザに対して付与されるものや、介入の実施によりバッジや役職などがリワード(インナーリワード)として提示されてユーザに達成感やスキルアップ感などを醸成するもの、また同様の介入を行っているユーザが集まるコミュニティなどにおいて介入の実施によって他者からの称賛やステータスがリワード(ソーシャルリワード)として付与されるものなども含まれていてよい。
【0039】
継続支援部116は、ユーザからゲームアプリケーションの選択を受け付け、選択されたゲームアプリケーションをユーザ端末3に提示しても良いし、事前にユーザが嗜好を選択し、嗜好に合うゲームアプリケーションを提示しても良いし、ユーザ端末3のアプリ利用状況を取得し、最も多くの時間プレイされているゲームアプリケーションの種類と類似のゲームアプリケーションを選択しても良いし、それらを複合的に選択してゲームアプリケーションを選択しても良い。その場合、サーバ装置1にはユーザ端末3で使用されているゲームアプリケーション、その種類、類似のゲームアプリケーションのデータベースを有してよく、継続支援部116が取得したユーザ端末3のアプリ利用状況の情報から、類似のゲームアプリケーションを読み出してユーザ端末3に提示すればよい。
【0040】
なお、継続支援部116が提示する継続支援方法には、範囲設定部114により指標の範囲が設定され、その範囲内で介入を実施した場合に、後述するリワード付与部118によりリワードが付与される、という仕組みが実装されていてもよい。例えば、前記ARゲームでは、地図情報にユーザの位置情報を重ね、目的地が設定されており、目的地までウォーキング(介入)を行うとリワードを付与されるという基本的な構成を有している。さらに、ウォーキング中のユーザの生体情報等を後述する実施状況取得部117が取得し、範囲設定部114が設定した心拍数の範囲内でウォーキングできている距離や時間などにより、リワード付与部118より付与されるリワードの種類や数量が変化させてもよい。例えば、前記RPGやシミュレーションゲーム等では、介入を実施した際に範囲設定部114により設定された指標の範囲(例えば食事に含まれる塩分量等)での介入(減塩食)を実施した場合に、リワード付与部118により新しいストーリーがアンロックされてもよい。
【0041】
また、前記継続支援方法がゲーム等の場合に、ゲームをプレイすること自体が介入になっていてもよいし、介入を別途行ったことを後述する実施状況取得部117が取得し、その結果をもとにリワード付与部118がゲーム中で用いることができるポイント等をユーザに付与してもよい。
【0042】
また、前記継続支援方法は、既存のアプリ、ゲーム等を活用するものでもよく、その場合も前述したように、特定の範囲内で介入を実施できたか否かによって、ユーザが受け取れるリワードが変化する。当該リワードは既存のアプリ、ゲーム等で活用できるポイント等の形でリワード付与部118により付与されればよい。
【0043】
実施状況取得部117は、ユーザによる介入の実施状況に関する情報を取得する。実施状況取得部117は、例えば、ユーザが介入を実施したか否か、介入を実施した回数・時間等の程度、また、範囲設定部114が範囲を設定した指標に関する情報等を取得する。
【0044】
実施状況取得部117は、例えば、ユーザ端末3からユーザによる介入の実施状況に関する情報を取得してもよい。また、実施状況取得部117は、例えば、ユーザ端末3が備える各種センサ装置等が取得した、ユーザの活動の状況、または生体データ等の計測値を、ネットワーク2を介して取得してもよい。
【0045】
実施状況取得部117は、例えば、ユーザによる介入の実施前、実施中、実施後のいずれかまたは複数の、ユーザの症状に関する情報を取得してもよい。症状に関する情報とは、症状そのものでもよいし、症状と連動したり症状の指標となったりする生体情報などであってもよいが、これらに限定されない。実施状況取得部117が取得した症状に関する情報をもとに、範囲設定部114は、指標の範囲を再設定し、介入提示部115がユーザまたは医療従事者に再設定された指標の範囲を提示してもよい。また、実施状況取得部117が取得した症状に関する情報をもとに、介入提示部115は、従来とは別の介入を、ユーザまたは医療従事者に、実行すべきアクション(介入)の候補として提示してもよい。介入は前述した方法に従って決定すればよい。この場合、範囲設定部114は、従来とは別の介入に対して、前述した方法により範囲を設定すればよい。
【0046】
リワード付与部118は、ユーザが介入を実施した場合に、リワードをユーザに付与する。ここでのリワードは、例えば、ゲームアプリケーション内で利用できる経験値、アイテム購入に用いることができるポイント、換金性のあるトークン等を含み、さらに当該ゲームアプリケーション内で新たに遊べるストーリー、新ステージ、新キャラクタ、新技など、ゲーム自体をさらに深く楽しめるようなものであってもよい。
【0047】
リワード付与部118は、実施状況取得部117が取得した実施状況に関する情報をもとに、ユーザに付与するリワードの数量や内容を変更してもよい。例えば、リワード付与部118は、実施状況取得部117が取得した実施状況に関する情報が、範囲設定部114が設定した指標の範囲内である場合と範囲外である場合で、異なるリワードを付与すればよい。例えば、リワード付与部118は、ユーザが介入を行っているときに実施状況取得部117が取得したある指標が、範囲設定部118が設定した範囲の内であった場合に、多くのリワードをユーザに付与し、当該指標が当該範囲を逸脱した場合には、ユーザに対して、当該指標が当該範囲の内であった場合よりも少ないリワードの付与、またはリワードを付与しないという処理を行えば良い。また、例えば、リワード付与部118は、ユーザが介入を行っているときに実施状況取得部117が取得したある指標が、範囲設定部118が設定した範囲の内であった場合、範囲を超えて逸脱した場合、範囲を下回って逸脱した場合に、それぞれ異なるリワードを付与してもよい。
【0048】
リワード付与部118は、実施状況取得部117が取得した症状に関する情報をもとに、ユーザに付与するリワードの数量や内容を変更してもよい。
【0049】
リワード付与部118は、ゲーム内のキャラクタに限らず、ユーザ端末3においてユーザに対して介入を勧めたり介入の実施状況を伝えたりするガイド役のようなキャラクタを設定し、当該キャラクタの容姿、服装等の変更ができる機能をリワードとして提示してもよい。また、ユーザ端末3において自身を表すアバターの能力値を上げたり装備を変更したりすることをリワードとして付与してもよいが、これらに限定されない。
【0050】
図7を用いて、本実施形態の代表的な処理の流れを説明する。ユーザ情報取得部111はユーザ情報を取得する(1001)。診察情報取得部112は診察情報を取得する(1002)。介入選定部113は、診察情報をもとに介入を選定する(1003)。範囲設定部114は、介入において重視する指標の範囲を設定する(1004)。介入提示部115は、ユーザと医療従事者に、介入選定部113が選定した介入と、範囲設定部114が設定した指標の範囲を提示する(1005)。継続支援部116は継続支援方法をユーザに提示する(1006)。実施状況取得部117は、介入の実施状況を取得する(1007)。リワード付与部118は、実施状況取得部117が取得した介入の実施状況をもとに、ユーザにリワードを付与する(1008)。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0052】
サーバ装置1は、ユーザの主観情報を取得する主観情報取得部を備えてもよい。この場合、主観情報取得部は、例えば、介入実施後のユーザの主観情報を取得する。例えば、範囲設定部114が設定した範囲や、介入提示部115により提示された介入に対する感想の情報(主観情報)を取得し、取得した主観情報をもとに、介入選択部113による介入の再選択、範囲設定部114による範囲の再設定を行ってもよい。
【0053】
サーバ装置1は、同様の介入を実施しているユーザ間で、介入の実施状況を他のユーザと比較できる機能を備えてもよい。サーバ装置1は、同様の介入を実施しているユーザの、介入の実施回数、継続期間、また、範囲設定部114が範囲を設定した範囲での介入の実施回数や継続時間などのランキングを生成してユーザ端末3に提示してもよい。また、ユーザがリワード付与部118より付与されたリワードの数量や種類(任意の期間内で付与されたリワード数量でもよい)などを、他のユーザと比較する事ができる機能であってもよい。
【0054】
サーバ装置1は、ユーザの介入実施の状況や、リワード付与部118がリワードを付与した数量、種類、タイミングなどをユーザに提示してもよい。サーバ装置1は、例えば、カレンダー上にリワード付与部118が付与したリワードの数量、種類、また、実施状況取得部117が取得したユーザによる介入の実施状況を表示して、ユーザ端末3に提示してもよい。
【0055】
サーバ装置1は、ユーザの介入実施の状況により、介入の内容の変更や、範囲の再設定を行ってもよい。介入提示部115は、実施状況取得部117が取得した実施状況が、一定期間介入が実施されていないことを示していた場合に、他の介入の候補をユーザ端末3に提示して、選択を受け付けてもよいし、医療従事者端末4に他の介入の候補を提示して、当該ユーザに適したものを医療従事者が選択した後に、医療従事者が選択した介入の候補を、ユーザ端末3に提示し、更にユーザから選択を受け付けてもよい。また、介入提示部115は、実施状況取得部117が取得した実施状況が、ユーザが範囲を逸脱した介入を行っていることを示していた場合に、他の介入の候補を上述したように提示しても良いし、範囲設定部114が、範囲を再設定してもよい。また、サーバ装置1は、実施状況取得部117が取得した実施状況が、介入の不実施や、設定された範囲を逸脱した介入の実施を示していた場合に、ユーザ端末3および医療従事者端末4に対して、ユーザの介入実施状況に関する注意を提示してもよい。
【0056】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、サーバ装置1のCPUおよび記憶装置は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。
【0057】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、およびソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係るサーバ装置1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0058】
また、本明細書において説明した処理は、必ずしも説明した順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0059】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【符号の説明】
【0060】
1 サーバ装置
2 ネットワーク
3 ユーザ端末
4 医療従事者端末
101 CPU
102 メモリ
103 記憶装置
104 通信インタフェース
105 入力装置
106 出力装置
111 ユーザ情報取得部
112 診察情報取得部
113 介入選定部
114 範囲設定部
115 介入提示部
116 継続支援部
117 実施状況取得部
118 リワード付与部
131 ユーザ情報記憶部
132 診察情報記憶部
133 介入情報記憶部
134 継続支援法記憶部