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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135452
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1345 20060101AFI20240927BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240927BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240927BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G02F1/1345
G02F1/1334
G02F1/13357
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046143
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健太郎
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H193
2H391
【Fターム(参考)】
2H092GA59
2H092GA60
2H092GA63
2H092JA24
2H092NA25
2H092PA01
2H092PA13
2H092QA15
2H092RA10
2H189AA04
2H189HA16
2H189LA02
2H189LA03
2H189LA10
2H189LA20
2H189MA15
2H189NA09
2H193ZA04
2H193ZG04
2H193ZG05
2H193ZG14
2H193ZG27
2H193ZG34
2H193ZH18
2H193ZH65
2H193ZP01
2H193ZP03
2H193ZQ13
2H193ZR20
2H391AA15
2H391AA23
2H391AA25
2H391AB05
2H391CB03
2H391FA01
2H391FA02
(57)【要約】
【課題】表示パネルを加熱する機構を備えた表示装置において、表示パネルの面内温度分布を改善すること。
【解決手段】表示装置は、一対の基板の間に設けられた液晶層を含む表示パネルと、互いに離隔して配置された複数の電極を含み、前記表示パネルに隣接して配置されたヒータと、を備え、前記複数の電極は、第1温度で加熱される第1電極と前記第1温度よりも低い第2温度で加熱される第2電極とを含む。前記複数の電極のそれぞれは、透明基板の上に設けられた透明電極であってもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板の間に設けられた液晶層を含む表示パネルと、
互いに離隔して配置された複数の電極を含み、前記表示パネルに隣接して配置されたヒータと、
を備え、
前記複数の電極は、第1温度で加熱される第1電極と前記第1温度よりも低い第2温度で加熱される第2電極とを含む、表示装置。
【請求項2】
前記複数の電極は、複数の透明電極であり、
前記ヒータは、透明基板及び前記複数の透明電極で構成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記液晶層は、高分子分散型液晶を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記一対の基板の少なくとも一方の側面に隣接して配置された光源をさらに備え、
平面視において、前記第2電極は、前記第1電極よりも前記光源に近い側に配置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光源は、前記一対の基板の少なくとも一方における互いに対向する2つの側面のそれぞれに隣接して配置される、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の電極は、平面視において前記光源と重畳しない位置に配置される、請求項4又は5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記一対の基板の少なくとも一方にはドライバ回路が配置され、
平面視において、前記第2電極は、前記第1電極よりも前記ドライバ回路に近い側に配置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の電極は、平面視において前記ドライバ回路と重畳しない位置に配置される、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の電極は、ストライプ状に配置されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記複数の電極は、マトリクス状に配置されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1電極には、第1電圧が印加され、
前記第2電極には、前記第1電圧よりも低い第2電圧が印加される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第2電極の膜厚は、前記第1電極の膜厚よりも厚く、
前記第1電極及び前記第2電極には、共通の電圧が印加される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項13】
前記ヒータは、基板の上に前記複数の電極が設けられた構造を有し、
前記基板は、前記表示パネルと前記複数の電極との間に位置する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項14】
前記ヒータは、基板の上に前記複数の電極が設けられた構造を有し、
前記複数の電極は、前記表示パネルと前記基板との間に位置する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項15】
平面視において、前記表示パネルと重畳する位置に複数のセンサが配置され、
前記第1電極及び前記第2電極の温度は、前記複数のセンサの出力に基づいて制御される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項16】
一対の基板の間に設けられた液晶層を含む表示パネルと、互いに離隔して配置された複数の電極を含み、前記表示パネルに隣接して配置されたヒータと、を備える表示装置の駆動方法であって、
前記複数の電極は、第1電極と前記第1電極に隣接する第2電極を含み、
前記第2電極に印加する電圧を前記第1電極に印加する電圧に比べて小さくする、表示装置の駆動方法。
【請求項17】
平面視において、前記表示パネルと重畳する位置に複数のセンサが配置され、
前記第1電極及び前記第2電極に印加する電圧は、前記複数のセンサの出力に基づいて制御される、請求項16に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項18】
第1期間において前記複数の電極のそれぞれに同一の電圧を印加し、前記第1期間に続く第2期間において、前記第2電極に印加する電圧を前記第1電極に印加する電圧に比べて小さくする、請求項16に記載の表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な電子機器の表示インターフェースとして液晶表示装置が利用されている。液晶表示装置は、一対の基板間に介在させた液晶層に印加する電圧を制御することにより複数の画素のオン/オフ制御を行う表示装置である。液晶の応答特性は、液晶表示装置の表示品質に大きく影響される。例えば、外部環境の温度が低温になるほど液晶の粘度が上がるため、液晶の応答特性は劣化する。具体的には、低温下で液晶表示装置を使用する場合、電圧の変化に対する液晶分子の応答速度が遅くなり、各画素のオン/オフ動作の切替が遅くなるという問題がある。
【0003】
上述のような問題を解決するために、液晶を含む表示パネルを加熱する機構としてヒータを備え、表示パネルをヒータで温めて低温下でも液晶の応答特性を維持する試みがなされている。例えば、特許文献1には、透明基板と透明電極とを組み合わせた透明ヒータを表示パネルに併設することにより、短時間で表示パネルを適正な温度まで加熱することができる液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-47455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の透明ヒータを備えた液晶表示装置は、表示パネルが一様に加熱されるため、全体の温度をすばやく上昇させることができる。しかしながら、実際の表示パネルには、TFT基板に配置されたドライバ回路のような発熱源が存在しているため、透明ヒータで一様に温度を上げた場合、ドライバ回路近傍の温度が他の場所より高くなるという状態になり得る。この場合、表示パネルの面内温度分布に偏りが生じ、液晶の応答特性にも偏りが生じることとなる。その結果、従来の透明ヒータを備えた液晶表示装置は、表示パネルの面内温度分布に起因して、表示画面内において表示品質にばらつきが生じるという問題があった。
【0006】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑みてなされたものであり、表示パネルを加熱する機構を備えた表示装置において、表示パネルの面内温度分布を改善することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態の表示装置は、一対の基板の間に設けられた液晶層を含む表示パネルと、互いに離隔して配置された複数の電極を含み、前記表示パネルに隣接して配置されたヒータと、を備え、前記複数の電極は、第1温度で加熱される第1電極と前記第1温度よりも低い第2温度で加熱される第2電極とを含む。
【0008】
本発明の一実施形態における表示装置の駆動方法は、一対の基板の間に設けられた液晶層を含む表示パネルと、互いに離隔して配置された複数の電極を含み、前記表示パネルに隣接して配置されたヒータと、を備える表示装置の駆動方法であって、前記複数の電極は、第1電極と前記第1電極に隣接する第2電極を含み、前記第2電極に印加する電圧を前記第1電極に印加する電圧に比べて小さくする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す背面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す背面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す背面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す背面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図9】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す背面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面に関して、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて各部の幅、厚さ、形状等を模式的に表す場合があるが、それら模式的な図は一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0011】
本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同一又は類似の要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。なお、本明細書等において、序数は、部品や部位等を区別するために便宜上付与するためのものであり、優先順位や順番を示すものではない。また、同一の要素が複数配置される場合において、個々の要素を区別する必要がある場合は、要素を示す符号の後に異なるアルファベットを付して各要素を区別する場合がある。ただし、各要素を区別する必要がない場合は、要素を示す符号からアルファベットを省略して説明する場合がある。
【0012】
本発明において、ある一つの膜を加工して複数の膜を形成した場合、これら複数の膜は、異なる機能又は役割を有することがある。しかしながら、これら複数の膜は、同一の工程において同一の層として形成された膜に由来し、同一の層構造及び同一の材料を有する。したがって、これら複数の膜は、同一層に存在しているものと定義する。また、ある一つの膜を加工して複数のパターンを形成した場合、本明細書等において、各パターンに対して序数を付して区別する場合がある。
【0013】
なお、本明細書等において、「上」、「下」などの表現は、着目する構造体と他の構造体との相対的な位置関係を表現している。本明細書等では、側面視において、後述するアレイ基板から対向基板に向かう方向を「上」と定義し、その逆の方向を「下」と定義する。本明細書および特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0014】
各実施形態において、「αはA、B又はCを含む」、「αはA、B及びCのいずれかを含む」、「αはA、B及びCからなる群から選択される一つを含む」といった表現は、特に明示が無い限り、αはA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0015】
(第1実施形態)
<表示装置の概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の概要を示す斜視図である。図1に示すように、表示装置10は、表示パネル102、光源104、保護基板151A、及び保護基板151Bを含む。図1において、表示パネル102における平面の一方向をD1方向とし、D1方向と直交する方向をD2方向とし、D1-D2平面に直交する方向をD3方向とする。
【0016】
表示パネル102は、アレイ基板150、対向基板152、アレイ基板150と対向基板152との間の液晶層210(図2参照)、ゲート駆動回路28、及び、データ駆動回路38を含む。本実施形態において、アレイ基板150及び対向基板152は、いずれも透光性を有する。具体的には、アレイ基板150及び対向基板152のベースとなる支持基板は、いずれも可視光に対して透明である。対向基板152は、アレイ基板150に対向するようにD3方向に配置される。アレイ基板150と対向基板152とは間隙を有して対向配置された状態で、シール材154によって貼り合わされている。前述のとおり、アレイ基板150と対向基板152との間の間隙には、液晶層210が設けられている。
【0017】
アレイ基板150は、表示領域12と、表示領域12の外側に位置する周辺領域14とを有する。表示領域12には、D1方向に複数のゲート配線16(走査信号線ともいう)が配設され、D2方向に複数のデータ配線17(映像信号線ともいう)が配設される。これらのゲート配線16とデータ配線17とで囲まれた領域が、画素15として機能する。そのため、複数の画素15は、行方向及び列方向に配置される。ここで、行方向とは、D1方向に平行な方向を指し、列方向とは、D2方向に平行な方向を指すものとする。表示領域12には、行方向にm個の画素15が配列され、列方向にはn個の画素15が配列される。mとnとの値は、垂直方向の表示解像度と水平方向の表示解像度に応じて適宜設定される。
【0018】
表示領域12に配置された複数の画素15の各々は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)によって形成されたスイッチング素子を含む画素回路を有する。画素回路は、スイッチング素子と容量素子とを含み、各画素15のオン/オフ動作を制御する。薄膜トランジスタは、アレイ基板150を構成する支持基板上に形成される。
【0019】
アレイ基板150の周辺領域14には、ゲート駆動回路28及びデータ駆動回路38(これらを総称してドライバ回路と呼ぶ場合がある)が設けられる。また、図示は省略するが、周辺領域14には、ゲート配線16とゲート駆動回路28とを接続する配線群、及びデータ配線17とデータ駆動回路38とを接続する配線群が設けられる。図1は、ゲート駆動回路28及びデータ駆動回路38が、集積回路(IC)で提供され、支持基板に対してCOG(Chip on Glass)方式で実装された態様を示している。ただし、この例に限らず、ゲート駆動回路28及びデータ駆動回路38は、COF(Chip on Film)方式で支持基板に実装されてもよいし、上述の画素回路と同様に、薄膜トランジスタによって支持基板上に形成されてもよい。
【0020】
光源104は、D1方向に沿って延在する長尺状の部材である。光源104は、例えば、D1方向に沿って配列された複数の発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)により構成される。光源104は、発光ダイオードに加え、反射板、拡散板、レンズなどの光学部材を含んでいてもよい。本実施形態において、光源104は、ゲート駆動回路28及びデータ駆動回路38と同期する発光制御回路110により発光のタイミングが制御される。図1では、発光制御回路110がアレイ基板150上にCOG方式で実装される例を示すが、この例に限られるものではない。例えば、光源104及び発光制御回路110は、表示パネル102と独立した別部材(発光ユニット)で設けられていてもよい。また、発光制御回路110は、ゲート駆動回路28又はデータ駆動回路38に組み込まれていてもよい。
【0021】
保護基板151A及び151Bは、表示パネル102を保護する部材である。保護基板151Aは、アレイ基板150に隣接して設けられ、保護基板151Bは、対向基板152に隣接して設けられる。保護基板151A及び151Bは、透光性を有する基板(例えば、ガラス基板又はプラスチック基板)で構成される。図2に示すように、保護基板151A及び151Bは、光源104から出射された光を表示パネル102に導くする導光板としての機能を有する。そのため、保護基板151A及び151Bは、アレイ基板150及び対向基板152と同等の屈折率を有していることが好ましい。アレイ基板150と保護基板151A、及び、対向基板152と保護基板151Bとは、透光性を有する接着剤で固定される。
【0022】
表示パネル102は、アレイ基板150と、対向基板152とが対向するように配置され、その間に液晶層210が設けられる。アレイ基板150は対向基板152より大きく、周辺領域14の一部が対向基板152から露出するような大きさを有する。図示は省略するが、アレイ基板150の周縁部には、ゲート駆動回路28及びデータ駆動回路38に外部信号を供給するためのフレキシブルプリント回路基板を取り付けるための端子部が設けられている。
【0023】
光源104は、保護基板151A又は151Bの一つの側面に隣接するように配置される。本実施形態では、光源104は、アレイ基板150の上に配置され、保護基板151Bの側面に隣接して配置される。図2は、光源104がアレイ基板150に取り付けられた構成を示すが、この例に限られるものではなく、取り付け位置を固定できるものであれば如何なる構成であってもよい。例えば、光源104は、表示パネル102を囲む筐体によって支持されてもよい。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す断面図である。具体的には、図2は、図1に示す表示装置のA1-A2間の断面に対応する構造を示す断面模式図である。図2に示すように、光源104から照射された光Lの大部分は、保護基板151Bの側面15Cに入射する。保護基板151Bの側面15Cから入射した光Lは、保護基板151A、保護基板151B、及び表示パネル102を通過して、保護基板151Bの外表面15B又は保護基板151Aの外表面15A(もしくは透明電極160の外表面16)に到達する。
【0025】
保護基板151Aの外表面15A(もしくは透明電極160の外表面16)及び保護基板151Bの外表面15Bでは、光Lが屈折率の大きな媒質から屈折率の小さな媒質へ進むことになる。このとき、保護基板151Aの外表面15A(もしくは透明電極160の外表面16)及び保護基板151Bの外表面15Bへ入射する光Lの入射角が臨界角よりも大きい場合には、光Lは全反射する。つまり、全反射条件を満たした光Lは、保護基板151Aの外表面15A(もしくは透明電極160の外表面16)及び保護基板151Bの外表面15Bで全反射を繰り返しながらD2方向へ進行する。
【0026】
液晶層210は、高分子分散型液晶で構成される。高分子分散型液晶で構成される液晶層210は、画素15ごとに散乱状態と非散乱状態が制御される。ここで、「散乱状態」とは、侵入した光が散乱するように液晶分子が配向した状態を指し、「非散乱状態」とは、侵入した光が散乱せずにそのまま通過するように液晶分子が配向した状態を指す。
【0027】
表示パネル102を通過しながらD2方向に向かって進行する光Lは、液晶層210が散乱状態になっている画素を通過する際、少なくとも一部の光が散乱される。このとき、一部の散乱光は、前述の全反射条件を満たさずに散乱光LA及びLBとして外部に出射され、表示装置10のユーザに観察される。逆に、液晶層210が非散乱状態になっている画素は、散乱光LA及びLBが発生しないため、外部から侵入した光が画素を通過してそのまま背面側(観察者が存在する側とは反対側)に抜ける。すなわち、ユーザは表示装置10を通して背面側を視認することができる。
【0028】
このように、本実施形態の表示装置10は、特定の画素の液晶層210を散乱状態(例えば、オン状態)にして散乱光LA及びLBを出射させることにより、ユーザに対して画像を表示する。また、特定の画素以外の画素は、非散乱状態(例えば、オフ状態)であるため、散乱光LA及びLBが発生せず、ユーザには透明な画素として認識される。
【0029】
<透明ヒータの概要>
図2に示すように、本実施形態の表示装置10は、保護基板151Aの外表面15Aに、複数の透明電極160A~160Dが互いに離隔して配置されている。図示は省略するが、複数の透明電極160A~160Dは、それぞれ所定の電源に接続されており、所定の電圧が印加できる(所定量の電流が流せる)ように構成されている。
【0030】
各透明電極160A~160Dは、例えばITO(Indiumu Tin Oxide)等の透光性を有する金属酸化物で構成される電極である。金属酸化物で構成される電極は、金属で構成される電極よりも抵抗値が高いため、電流を流すと発熱する。ただし、各透明電極160A~160Dは、金属酸化物で構成される電極に限られるものではなく、ワイヤグリッド(金属細線)やカーボンナノチューブを用いた透明電極を用いてもよい。
【0031】
本実施形態では、複数の透明電極160A~160Dを表示パネル102を加熱する加熱部材として用いることができる。このように、本実施形態の表示装置10は、保護基板151A(透明基板)と複数の透明電極160A~160Dとで構成される透明ヒータ200を備えている。透明ヒータ200は、複数の透明電極160A~160Dが発熱することにより表示パネル102を温めることができる。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態に係る表示装置10の構成を示す背面図である。具体的には、図3は、複数の透明電極160A~160Dが配置された側から表示装置10を見た図に相当する。透明ヒータ200は、保護基板151Aと複数の透明電極160A~160Dとで構成される。図3に示すように、本実施形態では、D1方向を長手方向とする複数の透明電極160A~160DがD2方向に並んでストライプ状に配置される。ただし、透明電極160の数は、4つに限るものではなく、2つ以上の任意の数にすることができる。
【0033】
図示は省略するが、各透明電極160A~160Dは、電圧を印加するための配線に接続されている。各透明電極160A~160Dは、それぞれ独立した異なる配線に接続されていてもよいし、透明電極160A~160Dの一部が共通の配線に接続されていてもよい。例えば、各透明電極160A~160Dが、それぞれ異なる配線によって異なる電源に接続されている場合、各透明電極160A~160Dには、独立して異なる電圧を印加することができる。また、透明電極160A~160Dの一部が共通の配線に接続されている場合、共通の配線に接続されている透明電極160には、同一の電圧を印加することができる。
【0034】
本実施形態では、透明電極160B~160Dは、共通の配線によって第1電圧を出力可能な第1電源(図示せず)に接続され、透明電極160Aは、別の配線によって第1電圧よりも低い第2電圧を出力可能な第2電源(図示せず)に接続される。すなわち、本実施形態では、透明電極160Aに印加する電圧を透明電極160B~160Dに印加する電圧よりも低くすることができる。その結果、透明電極160Aは、透明電極160B~160Dよりも低い温度に加熱される。
【0035】
図3に示すように、表示装置10の一辺には、光源104、ゲート駆動回路28、データ駆動回路38、及び発光制御回路110が配置されており、これらの要素が発熱源として振る舞う。そのため、発熱源近傍の領域における表示パネル102の温度は、他の領域に比べて相対的に高くなる。そこで、本実施形態では、複数の透明電極160のうち、光源104、ドライバ回路(ゲート駆動回路28、データ駆動回路38、)及び発光制御回路110などの発熱源に最も近い位置に配置される透明電極160Aを、他の透明電極160B~160Dよりも低い温度で加熱する。このような構成とすることにより、本実施形態の表示装置10は、発熱源の近傍が過剰に加熱されることを防ぎ、表示パネル102の面内温度分布を改善することができる。
【0036】
また、上述のとおり、光源104やゲート駆動回路28等の発熱源の近傍は過剰に加熱される虞があるため、本実施形態では、平面視において発熱源と重畳する領域には透明電極160を設けない構成となっている。例えば、図3に示すように、複数の透明電極160A~160Dは、平面視において光源104やドライバ回路と重畳しない位置に配置される。
【0037】
本実施形態では、発熱源として、光源104、ゲート駆動回路28、データ駆動回路38、及び発光制御回路110が配置された例を示したが、この例に限られるものではない。すなわち、本実施形態の表示装置10では、アレイ基板150上に配置された発熱源(光源104、ゲート駆動回路28、データ駆動回路38、及び発光制御回路110の少なくともいずれか一つの要素)に最も近い位置に配置される透明電極の加熱温度を、他の透明電極よりも低く設定すればよい。
【0038】
ここで、本実施形態の表示装置10は、液晶層210が高分子分散型液晶で構成されているため、カラー表示の方式として、フィールド・シーケンシャル方式を採用している。フィールド・シーケンシャル方式では、RGBの各色の光を時分割で照射するため、表示パネルを高速駆動する必要がある。したがって、フィールド・シーケンシャル方式を採用する場合、温度低下に伴い液晶の応答特性の低下が表示画質に顕著に影響する。しかしながら、本実施形態の表示装置10は、透明ヒータ200によって表示パネル102を適切な温度に維持しつつ、表示パネル102の面内温度分布のばらつきも低減されている。そのため、表示装置10を用いてフィールド・シーケンシャル方式によるカラー表示を行った場合に、表示画質の劣化を抑制することが可能である。
【0039】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態では、透明電極160B~160Dを第1温度で加熱し、発熱源に最も近い透明電極160Aを第1温度よりも低い第2温度で加熱する例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、透明電極160は、3つ以上の温度で加熱されてもよい。具体的には、透明電極160C及び160Dを第1温度で加熱し、透明電極160Bを第1温度よりも低い第2温度で加熱し、透明電極160Aを第2温度よりも低い第3温度で加熱してもよい。
【0040】
また、第1実施形態では、光源104等の発熱源に最も近い透明電極160Aを、他の透明電極160B~160Dよりも低い温度で加熱する例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、相対的に発熱源から遠い透明電極160C及び160Dを第1温度で加熱し、相対的に発熱源に近い透明電極160A及び160Bを第1温度よりも低い第2温度で加熱してもよい。
【0041】
このように、本実施形態の表示装置10は、表示パネル102の面内温度分布(例えば、温度勾配)を考慮して、各透明電極160A~160Dの加熱温度を設定することにより、表示パネル102の面内温度分布を平均化させてもよい。
【0042】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造を有する表示装置10Aについて説明する。具体的には、本実施形態の表示装置10Aは、平面視において発熱源と重畳するように透明ヒータ200Aが配置される。本実施形態において、第1実施形態と共通の要素については、第1実施形態と同一の符号を付して図示することにより詳細な説明を省略する。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Aの構成を示す背面図である。具体的には、図4は、複数の透明電極160A~160Eが配置された側から表示装置10Aを見た図に相当する。透明ヒータ200Aは、保護基板151Aと複数の透明電極160A~160Eとで構成される。
【0044】
図4に示すように、本実施形態の透明ヒータ200Aは、第1実施形態で説明した透明電極160A~160Dに加えて、透明電極160Eを含む。平面視において、透明電極160Eは、光源104、ゲート駆動回路28、データ駆動回路38、及び発光制御回路110などの発熱源と重畳するように配置される。
【0045】
本実施形態において、透明電極160Eは、予備的な加熱部材として機能する。例えば、透明電極160Eは、透明電極160Aよりも低い温度で加熱されてもよい。つまり、透明電極160Eは、光源104等の発熱源から発する熱だけでは熱量が足りない状況下において、表示パネル102における光源104等の発熱源が配置される領域を加熱するための部材として設けられていてもよい。
【0046】
また、透明電極160Eは、加熱されなくてもよい。すなわち、透明電極160Eは、透明ヒータ200Aを駆動する際に電圧が印加されなくてもよい。この場合、透明電極160Eは、ゲート駆動回路28、データ駆動回路38、及び発光制御回路110などの回路を電磁波から保護する電磁シールドとして機能させることができる。また、保護基板151Aに対して均等に透明電極160を配置することは、保護基板151Aに作用する応力や外部温度を平均化する上で好ましい。
【0047】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造を有する表示装置10Bについて説明する。具体的には、本実施形態の表示装置10Bは、複数の透明電極160がマトリクス状に配置された透明ヒータ200Bを備える。本実施形態において、第1実施形態と共通の要素については、第1実施形態と同一の符号を付して図示することにより詳細な説明を省略する。
【0048】
図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Bの構成を示す背面図である。具体的には、図5は、複数の透明電極160A~160Lが配置された側から表示装置10Bを見た図に相当する。透明ヒータ200Bは、保護基板151Aと複数の透明電極160A~160Lとで構成される。
【0049】
図5に示すように、本実施形態では、12個の透明電極160A~160Lが行方向及び列方向に並んで配置されている。本実施形態では、透明電極160B~160D、160F~160H、及び160J~160Lを第1温度で加熱し、透明電極160A及び160Iを第1温度よりも低い第2温度で加熱し、透明電極160Eを第2温度よりも低い第3温度で加熱する。つまり、表示パネル102の面内のうち、最も温度が高まる位置(発熱源に最も近く、かつ、表示パネル102の中心部に近い位置)に配置される透明電極160Eの温度を最も低く設定する。そして、次に温度が高まる位置(発熱源に最も近く、かつ、表示パネル102の端部に近い位置)に配置される透明電極160A及び160Iの温度を透明電極160Eよりも高く、かつ、他の透明電極160B~160D、160F~160H、及び160J~160Lよりも低く設定する。
【0050】
本実施形態の表示装置10Bは、透明ヒータ200Bを構成する複数の透明電極160の数が第1実施形態の表示装置10よりも多いため、表示パネル102の面内温度分布をより細かく適切に平均化することができる。例えば、図5では、3つの温度で各透明電極160を加熱する例を示したが、さらに多くの温度を設定してもよい。また、図5では、透明電極160B~160D、160F~160H、及び160J~160Lの温度を同一温度に設定する例を示したが、この例に限らず、少なくとも一部の温度を互いに異なる設定にしてもよい。
【0051】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造を有する表示装置10Cについて説明する。具体的には、本実施形態の表示装置10Cは、光源104が複数配置され、複数の光源104の位置に応じて透明電極160の温度が調整される。本実施形態において、第1実施形態と共通の要素については、第1実施形態と同一の符号を付して図示することにより詳細な説明を省略する。
【0052】
図6は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Cの構成を示す背面図である。具体的には、図6は、複数の透明電極160A~160Dが配置された側から表示装置10Cを見た図に相当する。透明ヒータ200Cは、保護基板151Aと複数の透明電極160A~160Dとで構成される。
【0053】
図6に示すように、本実施形態の表示装置10Cは、アレイ基板150における互いに対向する2辺に沿って2つの光源104A及び104Bが配置される。具体的には、表示装置10Cは、表示領域12を介して互いに対向する2つの光源104A及び104Bを備える。換言すれば、光源104A及び104Bは、対向基板152における互いに対向する2つの側面のそれぞれに隣接して配置される。
【0054】
光源104A及び104Bは、それぞれD1方向を長手方向とする長尺状の部材であり、D1方向に沿って配列された複数の発光ダイオードにより構成される。光源104A及び104Bは、同一の光源であってもよいし、互いに仕様の異なる光源であってもよい。
【0055】
本実施形態では、光源104Aに最も近い透明電極160A及び光源104Bに最も近い透明電極160Dの温度を他の透明電極160B及び160Cよりも低く設定する。具体的には、本実施形態では、透明電極160B及び160Cを第1温度で加熱し、透明電極160Dを第1温度よりも低い第2温度で加熱し、透明電極160Aを第2温度よりも低い第3温度で加熱する。
【0056】
透明電極160Aが配置される領域には、光源104Aの他、ゲート駆動回路28、データ駆動回路38及び発光制御回路110が隣接する。したがって、透明電極160Aが配置される領域は、他の領域よりも相対的に温度が高くなるため、透明電極160Aの温度は、最も低く設定されている。他方、透明電極160Dが配置される領域には、光源104Bのみが隣接する。つまり、透明電極160Dが配置される領域は、透明電極Aが配置される領域よりも相対的に温度が低くなるため、透明電極160Dの温度は、透明電極160Aよりも高く設定されている。
【0057】
以上のように、本実施形態では、光源104が複数設けられた場合において、各光源104の位置に応じて複数の透明電極160の温度を適切に設定する。このような構成とすることにより、本実施形態の表示装置10Cは、発熱源の近傍が過剰に加熱されることを防ぎ、表示パネル102の面内温度分布を改善することができる。
【0058】
(第4実施形態の変形例)
第4実施形態では、アレイ基板150における互いに対向する2辺に沿って2つの光源104A及び104Bが配置された例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、光源104は、アレイ基板150の互いに直交する2辺に沿って、2つの光源104が互いに直交するように配置されていてもよい。この場合、行方向及び列方向のいずれにおいても光源104に近い透明電極160の温度を選択的に低くする必要があるため、図5に示したように、複数の透明電極160は、マトリクス状に配置される。このとき、2つの光源の熱の影響を同時に受ける領域に配置された透明電極160については、他の領域に配置された透明電極160に比べてさらに温度を低く設定してもよい。
【0059】
本実施形態では、光源104を2つ配置する例について説明したが、この例に限らず、3つもしくは4つの光源104を配置することも可能である。
【0060】
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造を有する表示装置10D~10Hについて説明する。具体的には、本実施形態の表示装置10D~10Hは、透明ヒータを構成する複数の透明電極160A~160Dを配置する位置が第1実施形態とは異なる。本実施形態において、第1実施形態と共通の要素については、第1実施形態と同一の符号を付して図示することにより詳細な説明を省略する。
【0061】
図7は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Dの構成を示す断面図である。本実施形態では、透明ヒータ200Dが保護基板151Bと複数の透明電極160A~160Dとで構成される。図7に示すように、複数の透明電極160A~160Dは、保護基板151Bの外表面15Bの上に配置される。図7に示す例では、保護基板151Bに透明電極160A~160Dを形成した後、対向基板152に保護基板151Bを貼り合わせるという簡易なプロセスで、表示パネル102に透明ヒータ200Dを設けることができる。
【0062】
図8は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Eの構成を示す断面図である。本実施形態では、透明ヒータ200Eが保護基板151Aと複数の透明電極160A~160Dとで構成される。図8に示すように、複数の透明電極160A~160Dは、保護基板151Aの内表面15Dの上に配置される。つまり、複数の透明電極160A~160Dは、保護基板151Aとアレイ基板150との間に配置される。保護基板151Aとアレイ基板150とは樹脂を含む接着層165により固定される。図8に示す例では、保護基板151Aに透明電極160A~160Dを形成した後、各透明電極160がアレイ基板150に対向するように保護基板151Aを貼り合わせるという簡易なプロセスで、表示パネル102に透明ヒータ200Eを設けることができる。
【0063】
図9は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Fの構成を示す断面図である。本実施形態では、透明ヒータ200Fが保護基板151Aと複数の透明電極160A~160Dとで構成される。図9に示すように、複数の透明電極160A~160Dは、アレイ基板150の上に配置される。つまり、複数の透明電極160A~160Dは、保護基板151Aとアレイ基板150との間に配置される。保護基板151Aとアレイ基板150とは樹脂を含む接着層165により固定される。図9に示す例では、透明電極160A~160Dが形成されたアレイ基板150に対して保護基板151Aを貼り合わせるという簡易なプロセスで、表示パネル102に透明ヒータ200Fを設けることができる。
【0064】
図10は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Gの構成を示す断面図である。本実施形態では、透明ヒータ200Gが保護基板151Bと複数の透明電極160A~160Dとで構成される。図10に示すように、複数の透明電極160A~160Dは、保護基板151Bの内表面15Eの上に配置される。つまり、複数の透明電極160A~160Dは、保護基板151Bと対向基板152との間に配置される。保護基板151Bと対向基板152とは樹脂を含む接着層166により固定される。図10に示す例では、保護基板151Bに透明電極160A~160Dを形成した後、各透明電極160がアレイ基板150に対向するように保護基板151Bを貼り合わせるという簡易なプロセスで、表示パネル102に透明ヒータ200Gを設けることができる。
【0065】
図11は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Hの構成を示す断面図である。本実施形態では、透明ヒータ200Hが保護基板151Bと複数の透明電極160A~160Dとで構成される。図11に示すように、複数の透明電極160A~160Dは、対向基板152の上に配置される。つまり、複数の透明電極160A~160Dは、保護基板151Aと対向基板152との間に配置される。保護基板151Aと対向基板152とは樹脂を含む接着層166により固定される。図11に示す例では、透明電極160A~160Dが形成された対向基板152に対して保護基板151Bを貼り合わせるという簡易なプロセスで、表示パネル102に透明ヒータ200Hを設けることができる。
【0066】
以上のとおり、透明ヒータは、アレイ基板150、対向基板152、保護基板151A、及び保護基板151Bのいずれかに複数の透明電極160を配置することにより構成することができる。どの基板に透明電極160を配置するかについては、表示装置の製造プロセスに鑑みて適宜決定すればよい。
【0067】
(第6実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造を有する表示装置10Iについて説明する。具体的には、本実施形態の表示装置10Iは、複数の透明電極160A~160Dを制御するためのフィードバック機構を備える。本実施形態において、第1実施形態と共通の要素については、第1実施形態と同一の符号を付して図示することにより詳細な説明を省略する。
【0068】
図12は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Iの構成を示す背面図である。具体的には、図12は、複数の透明電極160A~160Dが配置された側から表示装置10Iを見た図に相当する。図13は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Iの構成を示す断面図である。透明ヒータ200Iは、保護基板151Aと複数の透明電極160A~160Dとで構成される。
【0069】
図12に示すように、本実施形態では、複数の透明電極160A~160Dのそれぞれに対応してセンサ170A~170Dが配置される。各センサ170A~170Dは、温度センサであり、図13に示すように、保護基板151Aの内表面15Dに配置される。これにより、各センサ170A~170Dは、表示パネル102の面内温度分布を測定する役割を有する。本実施形態では、センサ170を周辺領域14に配置する。このように、センサ170は、画像表示の妨げにならないように表示領域12と重畳しない位置に配置することが望ましい。ただし、この例に限られるものではなく、センサ170は、表示領域12に配置されていてもよい。
【0070】
また、図13に示すように、各センサ170A~170Dは、アレイ基板150と保護基板151Aとの間に配置される。ただし、この例に限らず、各センサ170A~170Dは、対向基板152と保護基板151Bとの間に配置されてもよい。さらに、図13に示す例では、センサ170を保護基板151Aに配置する例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、各センサ170A~170Dは、アレイ基板150、対向基板152、保護基板151A、又は保護基板151Bのいずれに配置されていてもよい。
【0071】
図示は省略するが、本実施形態の表示装置10Iは、各透明電極160A~160D及び各センサ170A~170Dに接続された温度制御回路を含む。本実施形態では、各センサ170A~170Dを用いて表示パネル102の温度を測定し、上述の温度制御回路に送信する。温度制御回路は、測定した温度に基づいて、各透明電極160A~160Dの温度を制御する。すなわち、表示装置10Hは、各センサ170A~170Dによる測定結果を透明ヒータ200Iの温度制御にフィードバックする機能を有する。表示装置10Iは、表示パネル102の特定の領域における温度が高いと判断された場合に該当領域に対応する透明電極160の温度を下げたり、表示パネル102の特定の領域における温度が低いと判断された場合に該当領域に対応する透明電極160の温度を上げたりすることができる。このように、表示装置10Iは、各センサ170A~170Dによって測定された表示パネル102の温度に基づいて各透明電極160A~160Dの温度を動的に制御することにより、表示パネル102の面内温度分布をこまやかに制御することが可能である。
【0072】
(第7実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造を有する表示装置10Jについて説明する。具体的には、本実施形態の表示装置10Jは、複数の透明電極180A~180Dの加熱温度を、各透明電極180A~180Dの膜厚によって異ならせたものである。本実施形態において、第1実施形態と共通の要素については、第1実施形態と同一の符号を付して図示することにより詳細な説明を省略する。
【0073】
図14は、本発明の一実施形態に係る表示装置10Jの構成を示す断面図である。透明ヒータ200Jは、保護基板151Aと複数の透明電極180A~180Dとで構成される。本実施形態において、透明電極180Aの膜厚はt1であり、透明電極180B~180Dの膜厚はt2である。ここで、膜厚t1及び膜厚t2の間には、t1>t2の関係がある、すなわち、透明電極180Aの膜厚は、透明電極180B~180Dの膜厚よりも厚い。
【0074】
本実施形態では、透明電極180A~180Dに対して同一の電源(図示せず)が接続され、同一の電圧が印加される。このとき、透明電極180Aは、他の透明電極180B~180Dよりも膜厚が厚いため、電流が流れたときの抵抗が相対的に透明電極180B~180Dよりも小さい。つまり、透明電極180A~180Dに同一の電圧を印加したとき、透明電極180Aに発生するジュール熱は、相対的に透明電極180B~180Dよりも小さくなる。このように、表示装置10Jでは、光源104等の発熱源に最も近い透明電極180Aの膜厚を他の透明電極180B~180Dより厚くすることにより、透明電極180Aの温度を相対的に低く設定する。
【0075】
以上のように、本実施形態では、設定温度に応じて透明電極180の膜厚を制御することにより、発熱源の位置に対応した温度で各透明電極180A~180Dを加熱することができる。このような構成とすることにより、本実施形態の表示装置10Jは、発熱源の近傍が過剰に加熱されることを防ぎ、表示パネル102の面内温度分布を改善することができる。
【0076】
(第8実施形態)
上述の各実施形態において、保護基板151Aと透明電極160とで透明ヒータ200を構成する例について説明したが、この例に限られるものではなく、ヒータは透明でなくてもよい。例えば、保護基板151Aとして不透明な基板を用いてもよいし、透明電極160の代わりに、不透明な電極(金属層で構成された電極等)を用いてもよい。ただし、ヒータを構成する加熱部材として金属層で構成された電極を用いる場合、膜厚を薄くしたり電極幅を狭くしたりすることにより抵抗値を高くして発熱しやすくすることが望ましい。
【0077】
(第9実施形態)
上述した各実施形態では、発熱源に近い透明電極160Aの温度を他の透明電極160B~160Dの温度よりも低くする例について説明したが、透明ヒータ200の起動時からこのような温度制御を行う例には限られない。例えば、透明ヒータ200を起動してから第1期間は、複数の透明電極160A~160Dに同一の電圧を印加してもよい。この場合、各透明電極160A~160Dは、同一温度で加熱される。次に、第1期間に続く第2期間において、透明電極160Aに印加する電圧を他の透明電極160B~160Dに印加する電圧よりも小さくしてもよい。この場合、発熱源に近い透明電極160Aは、他の透明電極160B~160Dよりも相対的に低い温度で加熱される。
【0078】
本実施形態によれば、透明ヒータ200を起動してしばらくの間は、すべての透明電極160を均等に加熱してすばやく全体の温度を上げることができるため、透明ヒータ200の温度上昇を向上させ、表示装置10の表示画質を迅速に改善することができる。
【0079】
(第10実施形態)
上述した各実施形態において、外部環境の温度に応じて、透明電極160の基準温度(発熱源から遠い透明電極の設定温度)を設定してもよい。例えば、気温ごとに基準温度を関連づけた温度制御テーブルを備え、センサ等により取得した外部環境の温度に基づいて温度制御テーブルを参照し、透明電極160の基準温度を設定してもよい。この場合、光源104等の発熱源に近い透明電極160は、基準温度よりも低い温度に設定すればよい。
【0080】
また、基準温度が変われば透明ヒータ200の全体的な温度分布が変わる場合がある。その場合、第6実施形態のように、表示パネル102の面内温度分布を把握できるように複数のセンサを設け、各センサの出力をフィードバックして各透明電極160の設定温度を調整してもよい。これにより、外部環境の温度に応じて透明電極160に設定する基準温度が変更されても、各センサを用いたフィードバック制御により表示パネル102の面内温度分布を改善することが可能である。
【0081】
(第11実施形態)
上記各実施形態において、表示パネル102として、矩形状の表示パネルを例示したが、表示パネルの形状は、矩形状に限られるものではない。例えば、表示パネル102は、多角形状の表示パネルや、円形などの非矩形状の表示パネルであってもよい。また、表示パネル102として、多角形状の表示パネルや非矩形状の表示パネルを用いる場合、透明ヒータ200を構成する各電極の形状は、表示パネル102の形状に合わせた形状に適宜変更することが望ましい。例えば、表示パネル102として円形状の表示パネルを用いる場合、透明ヒータ200を構成する各電極を並べた配置した際に、全体として外形が円形となるように、各電極の形状を設計すればよい。
【0082】
本発明の実施形態として上述した各実施形態(以下、変形例も含む)は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0083】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0084】
10、10A~10J…表示装置、12…表示領域、14…周辺領域、15…画素、15A、15B…外表面、15C…側面、15D、15E…内表面、16…ゲート配線、17…データ配線、28…ゲート駆動回路、38…データ駆動回路、102…表示パネル、104、104A、104B…光源、110…発光制御回路、150…アレイ基板、151A、151B…保護基板、152…対向基板、154…シール材、160、160A~160L…透明電極、165、166…接着層、170、170A~170D…センサ、180、180A~180D…透明電極、200、200A~200J…透明ヒータ、210…液晶層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14