(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135453
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】チャージポンプ回路、表示ドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H02M3/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046144
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土 弘
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AS01
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB02
5H730BB03
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG01
(57)【要約】
【目的】リップルを低減させることが可能なチャージポンプ回路、当該チャージポンプ回路を含む表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【構成】本発明では、チャージポンプ駆動信号によってコンデンサを繰り返し充放電させることで目標電圧値まで昇圧又は降圧した出力電圧を生成するにあたり、当該出力電圧の電圧値が目標電圧値に到達する手前で、上記したチャージポンプ駆動信号を生成する出力バッファの駆動能力を低下させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンデンサを含み、チャージポンプ駆動信号によって前記コンデンサを繰り返し充放電させつつ前記コンデンサの一端の第1のノードに生じた電圧を出力ノードに導出することで前記出力ノードの電圧を目標電圧値に至らせるまで昇圧又は降圧し、前記出力ノードの電圧を出力電圧として出力するチャージポンプ回路であって、
前記出力電圧に追従して電圧値が変化する帰還電圧と前記目標電圧値に対応した第1の参照電圧との大きさを比較し前記帰還電圧が前記第1の参照電圧を超えたか否かを示す第1の比較結果信号と共に、前記目標電圧値の手前の電圧値に対応した第2の参照電圧と前記帰還電圧との大きさを比較し前記帰還電圧が前記第2の参照電圧を超えたか否かを示す第2の比較結果信号を生成するコンパレータ回路と、
前記第1の比較結果信号が、前記帰還電圧が前記第1の参照電圧を超えたことを示す場合には前記コンデンサの充放電を停止させるチャージポンプ制御信号を生成する一方、前記帰還電圧が前記第1の参照電圧を超えていないことを示す場合には前記コンデンサを充放電させる発振信号を前記チャージポンプ制御信号として生成する第1の制御回路と、
前記第2の比較結果信号が、前記帰還電圧が前記第2の参照電圧を超えたことを示す場合には低駆動モードを示し、前記帰還電圧が前記第2の参照電圧を超えていないことを示す場合には高駆動モードを示す駆動能力制御信号を生成する第2の制御回路と、
前記チャージポンプ制御信号を増幅した信号を第2のノードを介して前記チャージポンプ駆動信号として出力する出力バッファと、を含み、
前記出力バッファは、前記駆動能力制御信号が前記低駆動モードを示す場合には前記高駆動モードを示す場合に比べて前記第2のノードに流す電流を低くすることを特徴とするチャージポンプ回路。
【請求項2】
前記コンパレータ回路は、
前記第1の参照電圧と前記帰還電圧との差分に対応した第1の差動出力電流及び第2の差動出力電流を出力する差動対と、
前記第1の差動出力電流をミラーしてソースタイプの2系統の第1のミラー電流及び第2のミラー電流を生成し、前記第1のミラー電流を第1の出力ノードに送出すると共に前記第2のミラー電流を第2の出力ノードに送出する第1のカレントミラー回路と、
前記第2の差動出力電流をミラーしてシンクタイプの2系統の第3のミラー電流及び第4のミラー電流を生成し、前記第3のミラー電流を前記第1の出力ノードから引き抜くと共に前記第4のミラー電流を前記第2の出力ノードから引き抜く第2のカレントミラー回路と、を含み、
前記第1のミラー電流と前記第3のミラー電流の比と、前記第2のミラー電流と前記第4のミラー電流の比と、が異なる値となるように前記第1~第4のミラー電流が設定され、
前記第1のミラー電流と前記第3のミラー電流とが前記第1の出力ノードで結合することで前記第1の出力ノードに生じた電圧を前記第1の比較結果信号として出力すると共に、前記第2のミラー電流と前記第4のミラー電流とが前記第2の出力ノードで結合することで前記第2の出力ノードに生じた電圧を前記第2の比較結果信号として出力することを特徴とする請求項1に記載のチャージポンプ回路。
【請求項3】
前記第1のカレントミラー回路における前記第1の差動出力電流に対する前記第1のミラー電流及び前記第2のミラー電流各々の電流ミラー比は等しく、
前記第2のカレントミラー回路における前記第2の差動出力電流に対する前記第4のミラー電流の電流ミラー比が、前記第2の差動出力電流に対する前記第3のミラー電流の電流ミラー比よりも高いことを特徴とする請求項2に記載のチャージポンプ回路。
【請求項4】
前記第1のカレントミラー回路における前記第1の差動出力電流に対する前記第2のミラー電流の電流ミラー比が、前記第1の差動出力電流に対する前記第1のミラー電流の電流ミラー比より高く、
前記第2のカレントミラー回路における前記第2の差動出力電流に対する前記第3のミラー電流及び前記第4のミラー電流各々の電流ミラー比が等しいことを特徴とする請求項2に記載のチャージポンプ回路。
【請求項5】
前記出力バッファは、夫々が前記チャージポンプ制御信号を自身のゲートで受け、前記チャージポンプ制御信号に基づく電流を前記第2のノードに送出又は前記第2のノードから引き抜く複数のトランジスタを含み、
前記駆動能力制御信号が前記高駆動モードを示す場合には前記複数のトランジスタを全て活性化させる一方、前記駆動能力制御信号が前記低駆動モードを示す場合には前記複数のトランジスタのうちの少なくとも1つを非活性化させることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のチャージポンプ回路。
【請求項6】
複数の表示セルが配置されている表示パネルを映像信号に基づき駆動する表示ドライバであって、
前記表示パネルを駆動する信号群を生成して前記表示パネルに供給する回路群と、
請求項3に記載のチャージポンプ回路を含み、前記チャージポンプ回路から出力された前記出力電圧に基づき前記回路群を動作させる電源電圧を生成する電源回路と、を有することを特徴とする表示ドライバ。
【請求項7】
複数の表示セルが配置されている表示パネルと、映像信号に基づき前記表示パネルを駆動する信号群を生成する表示ドライバと、を有する表示装置であって、
前記表示ドライバは、
前記表示パネルを駆動する信号群を生成して前記表示パネルに供給する回路群と、
請求項3に記載のチャージポンプ回路を含み、前記チャージポンプ回路から出力された前記出力電圧に基づき前記回路群を動作させる電源電圧を生成する電源回路と、を有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源電圧を生成するチャージポンプ回路、当該チャージポンプ回路を含む表示ドライバ及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号に基づく駆動信号を液晶又は有機EL表示パネルに供給するデータドライバには、所定の電源電圧に基づき、当該データドライバに含まれる各種回路を動作させる為の内部電源電圧を生成する電源回路が設けられている。内部電源電圧は当該各種回路の動作に応じた電流を出力する。
【0003】
また、このような電源回路として、所定の電源電圧の電圧値を降圧又は昇圧するチャージポンプ回路を備えたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
当該チャージポンプ回路は、例えば所定の電源電圧をアノードで受けるダイオードと、当該ダイオードのカソードに一端が接続されている容量素子と、当該容量素子を充放電させる駆動回路と、を少なくとも含み、当該ダイオードのカソードと当該容量素子との接続ノードに生じた電圧が導出される出力ノードを更に含む。駆動回路は、クロック信号による2値(論理レベル0、1)の電圧を交互に容量素子の他端に印加することで、当該容量素子を充電する充電動作と放電させる放電動作とを交互に繰り返し実行する。尚、駆動回路は、当該出力ノードに生成される電圧が所定の目標電圧値を超えたら、上記した容量素子に対する2値の電圧の印加動作を停止し、当該出力ノードに生成される電圧が目標電圧値を下回ったら再び上記した2値の電圧の印加動作を再開することで容量素子を充放電させる。これにより、所定の電源電圧を昇圧又は降圧して当該出力ノードの電圧値を上記目標電圧値に収束させた電圧が内部電源電圧として生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、チャージポンプ回路では、電圧を迅速に昇圧(降圧)した場合にはその電圧が目標電圧に到達した後の電圧の降下(上昇)に生じるリップルが大きくなる。
【0007】
そこで、本願発明は、リップルを低減させることが可能なチャージポンプ回路、当該チャージポンプ回路を含む表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るチャージポンプ回路は、コンデンサを含み、チャージポンプ駆動信号によって前記コンデンサを繰り返し充放電させつつ前記コンデンサの一端の第1のノードに生じた電圧を出力ノードに導出することで前記出力ノードの電圧を目標電圧値に至らせるまで昇圧又は降圧し、前記出力ノードの電圧を出力電圧として出力するチャージポンプ回路であって、前記出力電圧に追従して電圧値が変化する帰還電圧と前記目標電圧値に対応した第1の参照電圧との大きさを比較し前記帰還電圧が前記第1の参照電圧を超えたか否かを示す第1の比較結果信号と共に、前記目標電圧値の手前の電圧値に対応した第2の参照電圧と前記帰還電圧との大きさを比較し前記帰還電圧が前記第2の参照電圧を超えたか否かを示す第2の比較結果信号を生成するコンパレータ回路と、前記第1の比較結果信号が、前記帰還電圧が前記第1の参照電圧を超えたことを示す場合には前記コンデンサの充放電を停止させるチャージポンプ制御信号を生成する一方、前記帰還電圧が前記第1の参照電圧を超えていないことを示す場合には前記コンデンサを充放電させる発振信号を前記チャージポンプ制御信号として生成する第1の制御回路と、前記第2の比較結果信号が、前記帰還電圧が前記第2の参照電圧を超えたことを示す場合には低駆動モードを示し、前記帰還電圧が前記第2の参照電圧を超えていないことを示す場合には高駆動モードを示す駆動能力制御信号を生成する第2の制御回路と、前記チャージポンプ制御信号を増幅した信号を第2のノードを介して前記チャージポンプ駆動信号として出力する出力バッファと、を含み、前記出力バッファは、前記駆動能力制御信号が前記低駆動モードを示す場合には前記高駆動モードを示す場合に比べて前記第2のノードに流す電流を低くする。
【0009】
本発明に係る表示ドライバは、複数の表示セルが配置されている表示パネルを映像信号に基づき駆動する表示ドライバであって、前記表示パネルを駆動する信号群を生成して前記表示パネルに供給する回路群と、上記したチャージポンプ回路を含み、前記チャージポンプ回路から出力された前記出力電圧に基づき前記回路群を動作させる電源電圧を生成する電源回路と、を有する。
【0010】
本発明に係る表示装置は、複数の表示セルが配置されている表示パネルと、映像信号に基づき前記表示パネルを駆動する信号群を生成する表示ドライバと、を有する表示装置であって、前記表示ドライバは、前記表示パネルを駆動する信号群を生成して前記表示パネルに供給する回路群と、請求項3に記載のチャージポンプ回路を含み、前記チャージポンプ回路から出力された前記出力電圧に基づき前記回路群を動作させる電源電圧を生成する電源回路と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るチャージポンプ回路では、チャージポンプ駆動信号によってコンデンサを繰り返し充放電させることで目標電圧値まで昇圧又は降圧した出力電圧を生成するにあたり、当該出力電圧の電圧値が目標電圧値に到達する手前で、上記したチャージポンプ駆動信号を生成する出力バッファの駆動能力を低下させる。
【0012】
これにより、目標電圧値の手前で、チャージポンプ動作による出力電圧の昇圧又は降圧時の電圧変化速度が低下するので、当該出力電圧に生じるリップルを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る第1の実施例としてのチャージポンプ回路100_1の構成を示す回路図である。
【
図2】コンパレータ及びチャージポンプ回路の動作状態を表す図である。
【
図3】チャージポンプ回路100_1の動作を表すタイムチャートである。
【
図4】第2の実施例としてのチャージポンプ回路100_2の構成を示す回路図である。
【
図5】コンパレータ回路10の内部構成を示す回路図である。
【
図6】第3の実施例としてのチャージポンプ回路100_3の構成を示す回路図である。
【
図7】第4の実施例としてのチャージポンプ回路100_4の構成を示す回路図である。
【
図8】
図7に示すコンパレータ回路10B及びチャージポンプ回路100_4の動作状態を表す図である。
【
図9】コンパレータ回路10Bの内部構成を示す回路図である。
【
図10】表示装置300の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0014】
図1は、本発明に係る第1の実施例としてのチャージポンプ回路100_1の構成を示す回路図である。
【0015】
チャージポンプ回路100_1は、電源電圧VDDを受け、当該電源電圧VDDの電圧値を昇圧してその電圧値を所定の目標電圧値に至らせた出力電圧VGHを生成する昇圧回路である。チャージポンプ回路100_1は、チャージポンプ部PMP及び駆動部DRVを有する。尚、チャージポンプ回路100_1の出力電圧VGHは、昇圧生成された電源電圧として不図示の負荷回路に供給され、当該負荷回路の動作に応じた電流を出力する。
【0016】
チャージポンプ部PMPは、ダイオードD0及びD1、コンデンサC0及びCh、抵抗Ra及びRbを含む。
【0017】
ダイオードD0は、電源電圧VDDを自身のアノードで受け、当該電源電圧VDDから自身の順方向電圧Vfを差し引いた電圧をノードn0を介してダイオードD1のアノード及びコンデンサC0の一端に印加する。ダイオードD1のカソードは出力ノードn1を介してコンデンサChの一端、及び抵抗Raの一端に接続されている。抵抗Raの他端は抵抗Rbの一端に接続されており、当該抵抗Rbの他端には接地電圧GNDが印加されている。
【0018】
チャージポンプ部PMPは、上記した出力ノードn1に生じている電圧を出力電圧VGHとして出力すると共に、当該出力電圧VGHを以下の数式(1)に示されるように、抵抗Ra及びRbによって分圧した電圧を帰還電圧Vfbhとして駆動部DRVに供給する。
【0019】
Vfbh=VGH・Rb/(Ra+Rb) …(1)
また、数式(1)より、帰還電圧Vfbhの目標電圧を第1の参照電圧Vrefにより指定することにより、出力電圧VGHの目標電圧を設定することができる。すなわち、出力電圧VGHの目標電圧は以下の数式(2)で示される。
【0020】
VGH=Vref・(Ra+Rb)/Rb …(2)
尚、チャージポンプ部PMPに含まれるコンデンサC0の他端が駆動部DRVに接続されている。
【0021】
駆動部DRVは、コンパレータ101及び102、制御部40及び出力バッファ部50で構成される。
【0022】
コンパレータ101は、出力電圧VGHの目標電圧値に対応した所定の電圧値を有する第1の参照電圧Vrefと、上記した帰還電圧Vfbhとを受け、両者の大きさを比較する。ここで、
図2に示すように、帰還電圧Vfbhが参照電圧Vref以下である場合には、コンパレータ101は、論理レベル1の第1の比較結果信号Soを制御部40に供給する。一方、帰還電圧Vfbhが参照電圧Vrefより大きい場合には、コンパレータ101は、論理レベル0の比較結果信号Soを制御部40に供給する。
【0023】
コンパレータ102は、参照電圧Vrefよりも低い所定の電圧値を有する第2の参照電圧VrefAと、上記した帰還電圧Vfbhと、を受け、両者の大きさを比較する。ここで、
図2に示すように帰還電圧Vfbhが参照電圧VrefA以下である場合には、コンパレータ102は、論理レベル1の第2の比較結果信号Scを制御部40に供給する。一方、帰還電圧Vfbhが参照電圧VrefAより大である場合には、コンパレータ102は、論理レベル0の比較結果信号Scを制御部40に供給する。
【0024】
制御部40は、ナンドゲート41、インバータ42及び43を含む。
【0025】
ナンドゲート41は、所定周期で第1の電圧(VDD)の状態(論理レベル1)及び第2の電圧(GND)の状態(論理レベル0)を交互に繰り返す発振信号としてのクロック信号CLK、及び上記した比較結果信号Soを受ける。この際、ナンドゲート41は、比較結果信号Soが論理レベル1を示している間は、クロック信号CLKをチャージポンプ制御信号So1として出力バッファ部50に供給する。また、比較結果信号Soが論理レベル0を示している間は、ナンドゲート41は、論理レベル1の状態に固定されたチャージポンプ制御信号So1を出力バッファ部50に供給する。
【0026】
インバータ42は、上記した比較結果信号Scを受け、当該比較結果信号Scの論理レベルを反転させた信号を出力バッファ部50の電流出力能力を示す駆動能力制御信号Sc1vとしてインバータ43及び出力バッファ部50に供給する。すなわち、インバータ42は、比較結果信号Scが、帰還電圧Vfbhが参照電圧VrefA以下であることを示す場合には高駆動モードを示す論理レベル0の駆動能力制御信号Sc1vを生成し、これをインバータ43及び出力バッファ部50に供給する。一方、比較結果信号Scが、帰還電圧Vfbhが参照電圧VrefAより大きいことを示す場合には低駆動モードを示す論理レベル1の駆動能力制御信号Sc1vを生成し、これをインバータ43及び出力バッファ部50に供給する。
【0027】
インバータ43は、かかる駆動能力制御信号Sc1vの論理レベルを反転させた信号を駆動能力制御信号Sc1として出力バッファ部50に供給する。
【0028】
出力バッファ部50は、Pチャネル型のトランジスタ51、53、Nチャネル型のトランジスタ52、スイッチ素子54及び55を含む。
【0029】
トランジスタ51は、自身のゲートでチャージポンプ制御信号So1を受け、自身のソースで電源電圧VDDを受ける。トランジスタ52は、自身のゲートでチャージポンプ制御信号So1を受け、自身のソースで接地電圧GNDを受ける。トランジスタ51及び52各々のドレインは共にノードn2に接続されている。よって、トランジスタ51及び52は、当該チャージポンプ制御信号So1に応じて相補的に一方がオン状態、他方がオフ状態に設定される。具体的には、チャージポンプ制御信号So1が論理レベル0を示す場合にはトランジスタ51がオン状態となり、電源電圧VDDに基づく電流をノードn2に送出する。一方、チャージポンプ制御信号So1が論理レベル1を示す場合にはトランジスタ52がオン状態となり、ノードn2の電圧を接地電圧GNDに至らせる。
【0030】
スイッチ素子54は、低駆動モードを指定する論理レベル1の駆動能力制御信号Sc1vを受けた場合にオフ状態になる。一方、高駆動モードを指定する論理レベル0の駆動能力制御信号Sc1vを受けた場合にはスイッチ素子54はオン状態となり、チャージポンプ制御信号So1をトランジスタ53のゲートに供給する。
【0031】
スイッチ素子55は、高駆動モードを指定する論理レベル1の駆動能力制御信号Sc1を受けた場合にオフ状態になる。一方、低駆動モードを指定する論理レベル0の駆動能力制御信号Sc1を受けた場合には、スイッチ素子55はオン状態となり、電源電圧VDDをトランジスタ53のゲートに供給する。
【0032】
トランジスタ53は、自身のソースで電源電圧VDDを受け、自身のドレインがノードn2に接続されている。トランジスタ53は、スイッチ素子54がオン、スイッチ素子55がオフ状態となる場合に当該スイッチ素子54を介してチャージポンプ制御信号So1を自身のゲートで受ける。この際、トランジスタ53は、当該チャージポンプ制御信号So1に応じて、電源電圧VDDに基づく電流をノードn2に送出する。一方、スイッチ素子54がオフ、スイッチ素子55がオン状態となる場合には、トランジスタ53はオフ状態(非活性状態)となり、上記したノードn2への電流送出動作を停止する。
【0033】
よって、上記したトランジスタ51~53、スイッチ素子54及び55の動作により、ノードn2は電源電圧VDD又は接地電圧GNDの状態となる。
【0034】
出力バッファ部50は、当該ノードn2に生じた電圧(VDD又はGND)を有する信号を、チャージポンプ駆動信号Spとしてチャージポンプ部PMPに供給する。
【0035】
以下に、
図3に示されるタイムチャートを参照して、チャージポンプ回路100_1の動作について説明する。尚、チャージポンプ回路100_1の出力ノードn1は不図示の負荷回路と接続され、電源電圧として電圧VGHが当該負荷回路に供給されているものとする。
【0036】
先ず、出力電圧VGHに対応した帰還電圧Vfbhが第1の参照電圧Vrefより低い場合、トランジスタ51及び52がクロック信号CLKに応じて交互にオン状態となる。これにより、第1の電圧(VDD)及び第2の電圧(GND)の状態が交互に現れるチャージポンプ駆動信号Spがチャージポンプ部PMPのコンデンサC0の他端に供給される。この際、コンデンサC0の他端に第2の電圧(GND)が印加されている間(充電期間)は、コンデンサC0の一端、つまりノードn0の電圧は、ダイオードD0の順方向電圧Vfにより、電圧(VDD-Vf)となる。また、コンデンサC0の他端に第1の電圧(VDD)が印加されている間(ポンプ期間)、ノードn0の電圧は昇圧される。このような充電期間及びポンプ期間でのコンデンサC0の充放電が繰り返されるチャージポンプ動作により、出力電圧VGH及び帰還電圧Vfbhの電圧値が
図3に示すように徐々に上昇する。この際、ダイオードD1の順方向電圧Vfにより、出力電圧VGHは、以下のように、電圧(2VDD-2Vf)が上限となる。
【0037】
GND<VGH≦2(VDD-Vf) …(3)
すなわち、出力電圧VGHは、上記式(3)の範囲内において、数式(2)で示される第1の参照電圧Vrefに応じた目標電圧を生成することができる。
【0038】
ところで、帰還電圧Vfbhが第2の参照電圧VrefA以下である場合には、論理レベル1の比較結果信号Scに応じてスイッチ素子54がオン、スイッチ素子55がオフ状態となる。よって、チャージポンプ回路100_1は、上記したポンプ期間においてトランジスタ51と共にトランジスタ53が活性化し、両トランジスタから電流がノードn2に送出される高駆動モードの状態となる。かかる高駆動モードにより、出力電圧VGH及び帰還電圧Vfbhは比較的急峻にその電圧値が上昇する。
【0039】
その後、
図3に示す時点t1で、帰還電圧Vfbhが第2の参照電圧VrefAを超えると、論理レベル0の比較結果信号Scに応じてスイッチ素子54がオフ、スイッチ素子55がオン状態となる。これにより、トランジスタ53が動作を停止(非活性化)するので、チャージポンプ回路100_1は、トランジスタ51及び53のうちのトランジスタ51のみで電流をノードn2に送出する低駆動モードの状態となる。よって、時点t1以降の低駆動モードでは、
図3に示すように、高駆動モード時に比べて出力電圧VGH及び帰還電圧Vfbhの電圧上昇が緩やかになる。
【0040】
そして、
図3に示す時点t2で、帰還電圧Vfbhが第1の参照電圧Vrefを超えると、論理レベル0固定の比較結果信号Soによりトランジスタ52がオン状態に固定され、チャージポンプ駆動信号Spが接地電圧GNDに固定される。これにより、コンデンサC0による充放電動作が停止するので、チャージポンプ回路100_1のチャージポンプ動作が停止し、ノードn1に接続される負荷回路への電流出力により出力電圧VGH及び帰還電圧Vfbhの電圧値が緩やかに低下してゆく。
【0041】
よって、その後、帰還電圧Vfbhが第1の参照電圧Vref以下になると、再び上記した低駆動モードでの動作に移行する。チャージポンプ回路100_1は、上記した低駆動モードの状態及び停止状態を繰り返すことで、出力電圧VGHの電圧値を、第1の参照電圧Vrefに対応した数式(2)で示される目標電圧値に収束させ、コンデンサChに保持される。
【0042】
この際、チャージポンプ回路100_1では、電源電圧VDDの電圧値を昇圧する過程で、帰還電圧Vfbhの電圧値が目標電圧値に対応した参照電圧Vrefよりも低い参照電圧VrefAに到達したら、高駆動モードから低駆動モードに移行することでチャージポンプ部PMPに対する駆動能力を低下させている。
【0043】
すなわち、帰還電圧Vfbhの電圧値が参照電圧VrefAに到達するまでの間は、高駆動モードでチャージポンプ部PMPを駆動することで出力電圧VGHの電圧値を速やかに目標電圧値の近傍まで上昇させる。そして、帰還電圧Vfbhの電圧値が参照電圧VrefAに到達したら、高駆動モードから低駆動モードに切り替わることで、出力電圧VGHの上昇速度が低下し、その後、出力電圧VGHの電圧値が目標電圧値を超えることでチャージポンプ動作が停止する。
【0044】
よって、このように出力電圧VGHの電圧値の上昇速度を目標値電圧値の手前で低下させることで、出力電圧VGHに生じるリップルが低減される。
トランジスタ11a及び12aは互いのソース同士が接続されている差動対を構成している。トランジスタ11aは第1の参照電圧Vrefを自身のゲートで受け、トランジスタ12aは帰還電圧Vfbhをゲートで受ける。トランジスタ11a及び12a各々のソースはトランジスタ13aのドレインに接続されている。トランジスタ11aのドレインはノードn7を介してトランジスタ14のドレイン及びゲートに接続されている。トランジスタ14のソースには電源電圧VDDが印加されている。トランジスタ12aのドレインはノードn8を介してトランジスタ16のドレイン及びゲートに接続されている。トランジスタ13aのソースには接地電圧GNDが印加されており、ゲートで受けた所定のバイアス電圧BIASNに基づくテイル電流を上記差動対(11a、12a)に流す。
トランジスタ16及び17は、夫々のソースで電源電圧VDDを受け、且つ夫々のゲート同士が接続されている。トランジスタ17のドレインはトランジスタ33のドレイン及びゲートに接続されている。
トランジスタ24及び34各々のドレイン同士が出力ノードnd1を介して接続されており、当該出力ノードnd1に生じている電圧が第1の比較結果信号Soとして出力される。
また、トランジスタ25及び35各々のドレイン同士が出力ノードnd2を介して接続されており、当該出力ノードnd2に生じている電圧が第2の比較結果信号Scとして出力される。
先ず、トランジスタ11a及び12aからなる差動対(11a、12a)が、帰還電圧Vfbhと参照電圧Vrefとを受け、両者の電圧差に対応した差動出力電流対(Is1、Is2)を夫々ノードn7及びn8に流す。
第1のカレントミラー回路(14、24、25)は、上記した差動出力電流Is1を、同一の電流ミラー比で夫々ミラーした一対のソースタイプの差動出力ミラー電流I1及びI2を生成し、夫々を出力ノードnd1及びnd2に送出する。
すなわち、トランジスタ24は、差動出力電流Is1を第1の電流ミラー比でミラーしたソースタイプの差動出力ミラー電流I1を出力ノードnd1に送出する。トランジスタ25は、差動出力電流Is1を第1の電流ミラー比でミラーしたソースタイプの差動出力ミラー電流I2を出力ノードnd2に送出する。
第2のカレントミラー回路(16、17、33~35)は、上記した差動出力電流Is2を折り返し、且つ互いに異なる電流ミラー比で夫々ミラーした一対のシンクタイプの差動出力ミラー電流I3及びI4を生成し、夫々を出力ノードnd1及びnd2から引き抜く。つまり、トランジスタ34は、カレントミラー回路(16、17)によって折り返された差動出力電流Is2を第2の電流ミラー比でミラーしたシンクタイプの差動出力ミラー電流I3を出力ノードnd1から引き抜く。一方、トランジスタ35は、カレントミラー回路(16、17)によって折り返された差動出力電流Is2を、第2の電流ミラー比より大きい第3の電流ミラー比でミラーしたシンクタイプの差動出力ミラー電流I4を出力ノードnd2から引き抜く。
これにより、上記したソースタイプの差動出力ミラー電流I1及びシンクタイプの差動出力ミラー電流I3が出力ノードnd1で結合すると共に、ソースタイプの差動出力ミラー電流I2及びシンクタイプの差動出力ミラー電流I4が出力ノードnd2で結合する。
ここで、上記した第1及び第2の電流ミラー比は、第1の参照電圧Vrefと帰還電圧Vfbhとが略等しい場合に、差動出力ミラー電流I1と差動出力ミラー電流I3とが等しくなるような値に設定される。
また、上記した第2及び第3の電流ミラー比は、第1の参照電圧Vrefよりも所定電圧だけ低い第2の参照電圧VrefAと、帰還電圧Vfbhとが略等しい場合に、差動出力ミラー電流I2と差動出力ミラー電流I4とが等しくなるような値に設定される。例えば、トランジスタ24及び25各々のゲート幅を同一のゲート幅Wpとした場合、トランジスタ34のゲート幅Wnよりもトランジスタ34のゲート幅Wn+を大きくする。
したがって、チャージポンプ回路100_2によれば、出力電圧VGHに生じるリップルを抑制しつつも、チャージポンプ回路の省面積化及び低消費電力化を図ることが可能となる。