IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧

特開2024-135456自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法
<>
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図1
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図2
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図3
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図4
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図5
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図6
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図7
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図8
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図9
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図10
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図11
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図12
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図13
  • 特開-自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135456
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240927BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240927BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G05D1/02 P
B65G1/00 501C
B65G1/137 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046147
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 和也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠也
(72)【発明者】
【氏名】月舘 統宙
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
5H301
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF01
3F022LL07
3F022MM13
3F022MM15
3F522AA02
3F522AA03
3F522BB01
3F522CC01
3F522CC10
3F522KK08
5H301AA02
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG12
5H301GG14
5H301KK02
5H301KK08
5H301QQ01
(57)【要約】
【課題】車載センサーの性能を最大限に活かし、車両を走行不可状態から復帰させる可能性を向上する。
【解決手段】自律走行システム300は、予め作成された走行環境の通常分解能地図を参照して、自車両の走行開始位置から目標位置までの大局経路を計画する大局経路計画部305と、自車両が大局経路に沿って自律走行する際、走行不可状態になったか否かを判定する走行不可判定部307と、走行不可判定部により自車両が走行不可状態になったと判定された場合、通常分解能地図より高解像度の高解像度周辺地図を生成する高解像度周辺地図生成部308と、を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め作成された走行環境の通常分解能地図を参照して、自車両の走行開始位置から目標位置までの大局経路を計画する大局経路計画部と、
前記自車両が前記大局経路に沿って自律走行する際、走行不可状態になったか否かを判定する走行不可判定部と、
前記走行不可判定部により前記自車両が前記走行不可状態になったと判定された場合、前記通常分解能地図より高解像度の高解像度周辺地図を生成する高解像度周辺地図生成部と、を備える
自律走行システム。
【請求項2】
前記通常分解能地図を参照して、前記大局経路に沿って、前記自車両の現在位置と前記目標位置との間に位置する第1の局所目標位置を設定し、前記自車両の現在位置から前記局所目標位置までの第1の局所経路を計画する第1局所経路計画部を備える
請求項1に記載の自律走行システム。
【請求項3】
前記走行不可判定部により前記走行不可状態になったと判定された場合、前記大局経路に沿って、前記高解像度周辺地図における第2の局所目標位置を設定し、前記自車両の現在位置から前記第2の局所目標位置までの第2の局所経路を計画する第2局所経路計画部を備える
請求項2に記載の自律走行システム。
【請求項4】
前記通常分解能地図を管理し、前記自車両から前記高解像度周辺地図を受信し、受信した前記高解像度周辺地図を前記通常分解能地図の解像度に変換し、変換後の前記高解像度周辺地図で前記通常分解能地図を更新する通常分解能地図更新部と、
前記通常分解能地図更新部により更新された前記通常分解能地図を前記走行環境にある車両に送信する地図配信部と、を備える
請求項3に記載の自律走行システム。
【請求項5】
前記車両が有する車載センサーの性能情報を管理する車載センサー情報管理部と、
前記車両の目標位置を管理する目標位置管理部と、を備え、
前記走行不可判定部により前記自車両が目標位置到達不可と判断された場合、前記目標位置管理部は、前記自車両から、前記目標位置到達不可の状態情報、前記目標位置到達不可と判断された際の、前記通常分解能地図にける前記自車両の位置、姿勢、及び前記自車両の目標位置を含む走行状態情報を受信し、前記走行状態情報及び前記車載センサー情報管理部の情報を基に、前記自車両の代わりに前記自車両の目標位置までに走行可能な他車両を探し出し、探し出した他車両へ前記自車両の目標位置を送信する
請求項4に記載の自律走行システム。
【請求項6】
前記車載センサーの性能情報は、前記車載センサーの最大照射距離、レーザー光の水平方向の分解能、測距範囲、及び測距誤差のうち、少なくとも一つを含む
請求項5に記載の自律走行システム。
【請求項7】
予め作成された走行環境の通常分解能地図を参照して、自車両の走行開始位置から目標位置までの大局経路を計画する大局経路計画部と、
前記自車両が前記大局経路に沿って自律走行する際、走行不可状態になったか否かを判定する走行不可判定部と、
前記走行不可判定部により前記自車両が前記走行不可状態になったと判定された場合、前記通常分解能地図より高解像度の高解像度周辺地図を生成する高解像度周辺地図生成部と、を備える
地図再生成システム。
【請求項8】
予め作成された走行環境の通常分解能地図を参照して、自車両の走行開始位置から目標位置までの大局経路を計画するステップと、
前記自車両が前記大局経路に沿って自律走行する際、走行不可状態になったか否かを判定するステップと、
前記自車両が前記走行不可状態になったと判定された場合、前記通常分解能地図より高解像度の高解像度周辺地図を生成するステップと、を含む
自律走行方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行システム、地図再生成システム及び自律走行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少子高齢化による労働力不足やE-コマース市場拡大に伴い、物流倉庫内や工場内などの省人化、及び作業効率の向上が求められている。そこで、無人で動作可能な自律走行車両を動作させる自律走行システムの導入が進められている。これまでの自律走行システムでは、安全の観点から、車両が移動可能な範囲は限られており、現場の作業員等の作業範囲と車両の移動範囲とは異なることが一般的であった。一方で、ロボティクス分野における自律走行技術の発展に伴い、車両と人の動線が重複しても、車両自身が回避や迂回などの必要性を判断し、周囲の状況に応じた柔軟な行動を選択可能となっている。このため、今後車両の移動範囲を限定せず、複数の車両と人とが一つの現場全域を共有できる自律走行システムが望ましい。
【0003】
ところで、広域の自律走行を実現するため、時々刻々と変化する環境における車両の自律走行が求められている。例えば、搬送業務に係る倉庫や工場などにおいて、目的地によっては、棚の間、入り組んだ通路内等の車両走行が要求される。一般的には、自律走行車両が車載センサーを備え、車載センサーは、現在の計測情報と、事前に作成された地図情報とを比較し、作成された地図座標系における車両の位置や車両の走行を阻害する障害物を検知する。
【0004】
しかしながら、倉庫や工場などの環境では、棚、パレット、カゴ車等の配置が時々刻々と変化するため、場合によって、車両の車載センサーが現在に検知した情報と事前に作成された地図情報との乖離がある。この場合、事前に作成された地図情報を基に計画された経路が障害物等で塞がれ、目的地までに走行不可になる状況が発生する。そこで、車両の走行不可状態が発生した場合、車載センサーにより検知された情報を用いて地図を再生成し、周辺環境の変化に応じた適切な走行軌道を再設定することで、走行不可状態から復帰する技術、例えば、特許文献1が提案されている。
【0005】
特許文献1には、「軌道シミュレータは、再設定判断部により走行軌道を再設定すると判断された場合に、周辺環境生成部により生成された周辺環境を用いて軌道シミュレーションを再実施し、軌道評価部は、軌道シミュレータにより再実施された軌道シミュレーションの結果に基づいて、車両の走行軌道を新たに決定し、車両連携部は、軌道評価部により新たに決定された走行軌道の情報を車載装置に送信する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-140534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、車両の走行不可状態が発生した場合、地図を再生成し、周辺環境の変化に応じた適切な走行軌道を再設定することにより、走行不可状態から復帰する技術が提案されている。ところで、地図情報は、LiDAR(Light Detection and Ranging)等の車載センサーを用いて生成された格子地図であることが一般的である。格子地図は、実空間を格子状に区切り、車載センサーが障害物を検知しなかった走行可能領域、車載センサーの観測値が得られた障害物領域、障害物領域より前のまだ観測されていない未知領域に分類し、各格子における障害物の存在確率を数値で表現するものである。
【0008】
格子により区切られた地図の粒度は、格子地図の分解能として表現され、具体には各格子の実空間での大きさ(cm/pixel)で表せる。地図を高分解能にすることにより、障害物形状をより精細に捉えることができるため、走行可能領域が微細に表現でき、狭路走行が実現できる可能性が高くなる。しかし、例えば、低分解能地図を5cm/pixelとし、高分解能地図を1cm/pixelとした場合、地図情報は25倍のデータ容量の差がある。それゆえ、車載コントローラーの演算性能(メモリ、CPU等の性能)の制約を受けるため、一般的には、車載センサーの性能から導出できる最高分解能より余裕をもった分解能、すなわち、最高分解能より小さい分解能の地図が生成される。最高分解能は、LiDAR(車載センサー)のビーム光の幅や、水平方向の分解能(隣接するビーム光の間隔)、各LiDARメーカーが提示する計測誤差から推定することができる。また、地図の分解能は、地図生成時のアルゴリズムに依存する場合もあるため、実際に複数の分解能を設定し、周囲の障害物の形状が破綻なく表現できる地図分解能を選択してもよい。
【0009】
なお、特許文献1に記載の技術では、車両が走行不可状態になった場合、地図の再生成処理において、車載センサーの性能を最大限に活かして、格子地図の分解能を変更する処理等が行われていない。このため、狭路や煩雑環境において、地図上での障害物の形状をより精細に捉えることができないので、車両が再度走行不可状態になる可能性が高い。
【0010】
本発明は、上記状況を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、車載センサーの性能を最大限に活かし、車両を走行不可状態から復帰させる可能性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、予め作成された走行環境の通常分解能地図を参照して、自車両の走行開始位置から目標位置までの大局経路を計画する大局経路計画部と、自車両が大局経路に沿って自律走行する際、走行不可状態になったか否かを判定する走行不可判定部と、走行不可判定部により自車両が走行不可状態になったと判定された場合、通常分解能地図より高解像度の高解像度周辺地図を生成する高解像度周辺地図生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の本発明によれば、車載センサーの性能を最大限に活かし、車両を走行不可状態から復帰させる可能性を向上することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る走行環境の一例を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る自律走行車両の構成例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る自律走行システムの機能構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る自律走行システムの車載コントローラーのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る走行環境の一部を表現した概念図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る走行環境に、新たに障害物が設置された様子の一例を示す概念図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る通常分解能地図及び目標位置までの大局経路を示す概念図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る通常分解能地図における、障害物及び大局経路が膨張した様子を示す図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る通常分解能地図における、新たに障害物が設置された場合に障害物及び大局経路が膨張した様子を示す概念図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る自車両周辺の高解像度周辺地図の一例を示す概念図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る自律走行システムにおける自律走行処理の手順を示すフローチャートである。
図12】本発明の第2実施形態に係る自律走行システムの機能構成例を示すブロック図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る自律走行システムの機能構成例を示すブロック図である。
図14】本発明の第3実施形態に係る、異なる車種の車両を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0015】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る走行環境の一例を説明する。図1は、本実施形態に係る走行環境の一例を示す図である。走行環境100は、搬送業務に係る倉庫の一例における走行環境であり、図1では、図面上の水平方向である「X」方向が、倉庫の幅方向を示し、「X」方向に交差する「Y」方向が、倉庫の縦方向を示す。また、図1では、同じ図形は同じものを示し、その中の1つのみに符号を付けて説明する。
【0016】
走行環境100は、図1に示すように、棚111、パレット113、各車両の充電ユニット114、他のエリアから荷物を搬送するコンベア115等が置いてある環境である。灰色の正方形で示される荷112は、荷物であり、棚111、パレット113、及びコンベア115等に置かれている。走行環境100には、棚111、パレット113、コンベア115等により囲まれた狭い経路が存在する。搬送作業は、図1に示す、台車型搬送車両である車両101、牽引車両である車両102、フォークリフトである車両103等の自律走行により行われる。
【0017】
[自律走行車両の構成例]
次に、自律走行車両の構成例について説明する。自律走行車両は、例えば、図1に示す、車両101、車両102及び車両103である。車両101、車両102及び車両103は、自律走行に関連する主要構成部及びその動作が基本的に同様であるため、以下の説明では、車両101を自律走行車両の例として説明し、車両102及び車両103の説明を省略する。図2は、本実施形態に係る自律走行車両の構成例を示す図である。車両101は、バンパー202を備えた車両フレーム201と、車両フレーム201において上下及び左右に移動可能な移載装置203と、荷112を支持する荷役部材204とを備える。また、車両101は、駆動輪206と、従動輪207と、車両フレーム201の上に配置される車載センサー211とを備える。また、車両フレーム201の内部には、移載装置203を駆動する移載モーター205、駆動輪206を駆動する走行モーター208が備えられる。また、車両フレーム201の内部には、駆動輪206の回転量に基づいて車両101の移動距離や現在速度を含む移動情報を計測するエンコーダー209、及び車載コントローラー220が備えられる。
【0018】
車載センサー211は、例えば、LiDARで構成される。LiDARは、レーザー光の照射角度を変化しながら照射範囲に存在する物体、及びその物体との距離を計測するセンサーである。LiDARは、レーザー照射時の光軸角度の情報と、物体との距離情報から、物体の位置を示す点群情報を取得する。なお、本実施例では、レーザー光が垂直する方向に1層のみの2次元情報を取得する2D(Dimensions)-LiDARを車載センサー211の一例とするが、本発明はこれに限定されない。車載センサー211は、多層に照射し、3次元情報を取得する3D-LiDARであってもよい。また、図2に示す車両101には、1台の車載センサー211のみが設置されるが、本発明はこれに限定されず、車両101に複数台の車載センサー211を設置してもよい。
【0019】
車載コントローラー220は、車両101を自律走行させるように、車両101の各構成部の動作を制御する情報処理装置の一例である。なお、車載コントローラー220の機能構成について、後述の図3で説明し、車載コントローラー220のハードウェア構成について、後述の図4で説明する。
【0020】
[自律走行システムの機能構成例]
次に、本実施形態に係る自律走行システムの機能構成例について説明する。図3は、本実施形態に係る自律走行システム300の機能構成例を示すブロック図である。自律走行システム300は、図3に示すように、車載コントローラー220と、車両101が有する駆動輪206と、走行モーター208と、エンコーダー209と、車載センサー211とを備える。車載コントローラー220は、走行モーター208、エンコーダー209及び車載センサー211のそれぞれに接続する。走行モーター208及びエンコーダー209は、駆動輪206に接続する。
【0021】
車載コントローラー220は、駆動部301と、通常分解能地図生成部302と、自己位置推定部303と、目標位置入力部304と、大局経路計画部305と、局所経路計画部306とを備える。また、自律走行システム300は、走行不可判定部307と、高解像度周辺地図生成部308と、局所目標位置及び経路演算部309と、制御指令生成部310とを備える。
【0022】
駆動部301は、走行モーター208に接続され、走行モーター208へ駆動輪206の駆動指令を出力する。通常分解能地図生成部302、自己位置推定部303、高解像度周辺地図生成部308及び制御指令生成部310は、エンコーダー209の出力側に接続され、エンコーダー209から車両の移動情報を入力する。また、通常分解能地図生成部302、自己位置推定部303、局所経路計画部306及び高解像度周辺地図生成部308は、車載センサー211の出力側に接続され、車載センサー211が計測した障害物の点群情報、障害物までの距離を含む計測情報を入力する。
【0023】
通常分解能地図生成部302、目標位置入力部304、大局経路計画部305、局所経路計画部306、走行不可判定部307、制御指令生成部310、及び駆動部301は、この順で接続される。また、高解像度周辺地図生成部308、局所目標位置及び経路演算部309はこの順で接続される。局所目標位置及び経路演算部309は、さらに、局所経路計画部306の入力側に接続される。また、通常分解能地図生成部302及び高解像度周辺地図生成部308は、それぞれ、自己位置推定部303の入力側に接続され、自己位置推定部303は、さらに、大局経路計画部305、局所経路計画部306及び制御指令生成部310の入力側に接続される。また、通常分解能地図生成部302は、自己位置推定部303、及び大局経路計画部305入力側にも接続される。また、大局経路計画部305及び走行不可判定部307は、それぞれ、高解像度周辺地図生成部308の入力側に接続される。
【0024】
駆動部301は、制御指令生成部310から入力した車両101に対する駆動指令を所定の電流値に変換して走行モーター208に出力する。また、エンコーダー209は、各時刻に出力された走行モーター208の回転量を取得し、駆動輪206の車輪径を加味して、車両の移動距離及び現在速度を含む移動情報を計測する。エンコーダー209により計測された移動情報は、通常分解能地図生成部302、自己位置推定部303、高解像度周辺地図生成部308及び制御指令生成部310のそれぞれに送信される。
【0025】
通常分解能地図生成部302は、車載センサー211の計測情報を入力し、エンコーダー209から車両101の移動情報を入力する。また、通常分解能地図生成部302は、車載センサー211の計測情報、及び、エンコーダー209から取得した車両101の移動情報に基づき、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)手法等を利用して通常分解能の格子地図を作成する。ここで、通常分解能の格子地図は、5cm/pixelの格子地図を想定する(後述の図7図9参照)。また、以下の説明では、通常分解能の格子地図を、「通常分解能地図」と称する。なお、通常分解能地図生成部302は、車両101が自律走行する前に、走行環境、例えば、図1に示す走行環境100の通常分解能地図、すなわち、走行環境100の全域地図を作成して、後述の記憶装置22d(図4参照)に登録する。また、通常分解能地図生成部302は、生成した通常分解能地図(全域地図)を、自己位置推定部303、目標位置入力部304、及び大局経路計画部305に出力する。
【0026】
自己位置推定部303は、車載センサー211から計測情報を入力し、通常分解能地図生成部302から通常分解能地図を入力し、エンコーダー209から車両101の移動情報を入力する。また、自己位置推定部303は、車載センサー211の計測情報及び通常分解能地図を用いて、計測情報と通常分解能地図上の障害物情報とのマップマッチング処理を行う。また、自己位置推定部303は、マッチング処理結果及び車両101の移動情報を基に、通常分解能地図における車両101の自己位置及び姿勢を推定する。なお、自己位置推定技術としては、例えば、AMCL(Adaptive Monte Carlo Localization)法等、位置推定に用いられる任意の方法を利用してもよい。また、自己位置推定部303は、推定した車両101の現在の自己位置を大局経路計画部305、局所経路計画部306及び制御指令生成部310に出力する。
【0027】
目標位置入力部304は、通常分解能地図生成部302から通常分解能地図を入力し、車両101が現在行うタスクの目的地の通常分解能地図における座標を自律走行の目標位置として設定する。ここで、自律走行の目標位置は、例えば、作業員により、モバイルディスプレイ等の外部デバイスを介して直接入力されてもよい。また、自律走行の目標位置は、例えば、複数台の車両を管理する管制サーバー(後述の図12,13参照)側で事前に設定されたタスクの目的地を入力し、通常分解能地図における座標を自動的に計算されてもよい。また、目標位置入力部304は、自律走行の目標位置を大局経路計画部305に出力する。
【0028】
大局経路計画部305は、通常分解能地図生成部302から、予め作成された通常分解能地図を入力し、自己位置推定部303から自車両の現在位置を入力し、目標位置入力部304から目標位置を入力する。また、大局経路計画部305は、予め作成された走行環境の通常分解能地図を参照して、自車両の走行開始位置から目標位置までの大局経路(後述の図7参照)を計画する。大局経路は、通常分解能地図上の格子座標(行列番号等)の集合で表現され、集合中の座標順に走行することにより目標位置に到達する。なお、経路計画手法としては、例えば、ダイクストラ法やA*(A star)法など、任意の経路探索手法を利用してもよい。また、大局経路計画部305は、計画した大局経路を局所経路計画部306及び高解像度周辺地図生成部308に出力する。
【0029】
局所経路計画部306は、第1局所経路計画部の一例であり、車載センサー211の計測情報を入力し、自己位置推定部303から自車両の現在位置を入力し、大局経路計画部305から大局経路を入力する。また、局所経路計画部306は、大局経路に沿って、通常分解能地図を参照して、自車両の現在位置と目標位置との間に位置する第1の局所目標位置を設定し、現在位置から局所目標位置までの第1の局所経路(後述の図8参照)を計画する。
【0030】
具体的には、局所経路計画部306は、車載センサー211の計測情報、現在位置、及び大局経路を用いて、現在位置から所定距離(例えば、2m)を離れる大局経路上の格子座標を第1の局所目標位置として設定する。また、局所経路計画部306は、設定した第1の局所目標位置までの第1の局所経路を計画して生成する。ここで、第1の局所経路は、格子座標の集合でなく、より細かい座標の集合や、曲線を表現した関数などとし、車両101の運動特性を加味した滑らかな経路である。具体的には、局所経路計画部306は、例えば、スプライン関数補間、車両の運動モデルを加味したDWA(Dynamic Window Approach)等の手法を利用して局所経路を計画する。なお、局所経路の計画手法は、上述の手法に限定されず、大局経路より精細な経路を計画できる手法であれば、任意の手法を適用可能である。
【0031】
また、第1の局所目標位置は、現在位置から所定距離(例えば、2m)を離れる大局経路上の格子座標でなく、現在の車両速度、車両周囲の状況等に応じて動的に設定してもよい。また、例えば、現在位置から離れる所定距離を、所定係数×車両速度に設定してもよい。すなわち、現在位置から離れる所定距離を、車両の走行速度に応じて動的に変更してもよい。また、例えば、車載センサー211により検知された周囲の障害物情報を通常分解能地図に重畳し、現在の周囲の障害物形状を加味し、第1の局所目標位置を設定してもよい。
【0032】
また、局所経路計画部306は、第1の局所目標位置及び第1の局所経路を、走行不可判定部307を介して、制御指令生成部310に出力する。また、局所経路計画部306は、一定時間内に第1の局所目標位置までの第1の局所経路を生成できない場合、又は、自己位置推定部303から入力した現在位置が一定時間以上変わらない場合、すなわち、車両101が障害物等により移動できない場合、その旨を走行不可判定部307に通知する。走行不可判定部307に通知した後、局所経路計画部306は、局所目標位置及び経路演算部309から後述の第2の局所目標位置及び第2の局所経路を入力した場合、第2の局所目標位置及び第2の局所経路を、走行不可判定部307を介して、制御指令生成部310に出力する。
【0033】
走行不可判定部307は、局所経路計画部306から第1の局所目標位置及び第1の局所経路を入力して制御指令生成部310に出力する。また、走行不可判定部307は、局所目標位置及び経路演算部309から後述の第2の局所目標位置及び第2の局所経路を入力した場合、第2の局所目標位置及び第2の局所経路を制御指令生成部310に出力する。また、走行不可判定部307は、自車両が大局経路に沿って自律走行する際、走行不可状態になったか否かを判定する。なお、走行不可判定部307における処理について、後述の図11で詳述する。
【0034】
高解像度周辺地図生成部308は、エンコーダー209から自車両の移動情報を入力し、車載センサー211の計測情報を入力し、大局経路計画部305から大局経路を入力する。また、高解像度周辺地図生成部308は、走行不可判定部307により自車両が走行不可状態になったと判定された場合、通常分解能地図より高解像度の高解像度周辺地図(後述の図10参照)を生成する。この場合、車載センサー211の性能(レーザー光の水平方向の分解能、測距範囲、測距誤差等)を最大限に活かすため、高解像度周辺地図生成部308は、通常分解能地図より高分解能の解像度を設定する。そして、車両101はその場で並進や旋回などを行うように駆動され、高解像度周辺地図生成部308は、車両101の並進や旋回などに伴い、周囲の高解像度周辺地図を生成する。なお、高解像度周辺地図は、大局経路計画部305にて生成した大局経路の一部を包含する。また、高解像度周辺地図生成部308は、生成した高解像度周辺地図を局所目標位置及び経路演算部309及び自己位置推定部303に送信する。
【0035】
局所目標位置及び経路演算部309は、第2局所経路計画部の一例であり、高解像度周辺地図生成部308から高解像度周辺地図を入力する。また、局所目標位置及び経路演算部309は、走行不可判定部307により走行不可状態になったと判定された場合、大局経路に沿って、高解像度周辺地図における第2の局所目標位置を設定し、自車両の現在位置から第2局の所目標位置までの第2の局所経路を計画する。局所目標位置及び経路演算部309は、例えば、車両101の目標位置側の高解像度周辺地図の端点を第2の局所目標位置として設定して第2の局所経路(後述の図10参照)を計画する。また、局所目標位置及び経路演算部309は、生成した第2の局所目標位置及び第2の局所経路を局所経路計画部306に出力する。なお、第2の局所目標位置は、目標位置側の高解像度周辺地図の端点に限定されず、高解像度周辺地図において、現在位置から所定距離を離れる大局経路上の位置座標に設定してもよいし、車速に応じて動的に変更してもよい。
【0036】
制御指令生成部310は、走行不可判定部307を介して、局所経路計画部306からの第1の局所目標位置及び第1の局所経路、並びに、第2の局所目標位置及び第2の局所経路を入力する。また、制御指令生成部310は、エンコーダー209から、車両101の移動情報を入力し、自己位置推定部303から現在位置を入力する。また、局所経路計画部306からの第1の局所目標位置及び第1の局所経路を入力された場合、制御指令生成部310は、現在位置から第1の局所目標位置に向かって、第1の局所経路を通過するように、経路追従アルゴリズムにより、車両101に対する駆動指令を生成する。また、局所経路計画部306からの第2の局所目標位置及び第2の局所経路を入力された場合、制御指令生成部310は、現在位置から第2の局所目標位置に向かって、第2の局所経路を通過するように、経路追従アルゴリズムにより、車両101に対する駆動指令を生成する。また、制御指令生成部310は、生成した車両101に対する駆動指令を駆動部301に出力する。なお、経路追従アルゴリズムは、例えば、Pure Pursuit法やDWA(Dynamic Window Approach)法などが用いられる。
【0037】
[車載コントローラーのハードウェア構成例]
次に、自律走行システム300の車載コントローラー220のハードウェア構成について説明する。図4は、本実施形態に係る自律走行システム300の車載コントローラー220のハードウェア構成例を示すブロック図である。車載コントローラー220では、車両101の自律走行を実現するための各種演算を実施する。
【0038】
車載コントローラー220は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)22a、ROM(Read Only Memory)22b、RAM(Random Access Memory)22c、記憶装置22d、及び入出力インターフェース22eを備える。CPU22a、ROM22b、RAM22c、記憶装置22d及び入出力インターフェース22eは、バス22fにより、互いに情報データの送受信ができるように接続される。
【0039】
CPU22aは、車載コントローラー220内の各部の動作を制御する。例えば、CPU22aは、図3に示す車載コントローラー220の各機能構成部の動作を制御する。具体には、走行経路計画、自己位置推定、高解像度周辺地図の生成、車両101に対する駆動指令の生成等の処理を制御する。なお、CPU22aに代えてGPU(Graphics Processing Unit)を用いてもよく、CPU22aとGPU(Graphics Processing Unit)を併用してもよい。
【0040】
ROM22bは、例えば不揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU22aが実行及び参照するプログラムやデータ等を記憶する。
【0041】
RAM22cは、例えば揮発性メモリ等の記憶媒体で構成され、CPU22aが行う各処理に必要な情報(データ)を一時的に記憶する。
【0042】
記憶装置22dは、CPU22aによって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体で構成され、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置で構成される。記憶装置22dは、CPU22aが各部を制御するためのプログラム、OS(Operating System)、コントローラー等のプログラム、データを記憶する。また、記憶装置22dは、通常分解能地図、高解像度周辺地図等を記憶する。なお、記憶装置22dに記憶されるプログラム、データの一部は、ROM22bに記憶されてもよい。また、CPU22aによって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記録媒体は、HDDに限定されず、例えば、SSD(Solid State Drive)、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0043】
入出力インターフェース22eは、CPU22aの制御により、車載コントローラー220の外部との情報データの送受信を行う。
【0044】
次に、自律走行システム300における後述の自律走行処理において想定される走行環境について説明する。図5は、図1に示す走行環境100の一部を表現した概念図である。図5において、「X」及び「Y」方向は、図1に示すこれらの方向と同じであるため、重複説明を省略する。図5に示す「Z」方向は、[X,Y]平面に垂直方向であり、走行環境100の地面に垂直する高さ方向を示す。図5に示す目標位置G501は、走行環境100における車両101の目標位置を示す。図6は、図5に示す走行環境100に、新たにパレット801(障害物)が設置された様子の一例を示す概念図である。図6に示すように、パレット801は、車両101と目標位置G501との間の通路の一部を塞いでいる。
【0045】
ここで、図5に示す走行環境100に対して、通常分解能地図生成部302が事前に作成した通常分解能地図、及び、大局経路計画部305が生成した大局経路は、それぞれ、図7に示す通常分解能地図M700及び大局経路701であることを想定する。図7は、本実施形態に係る通常分解能地図及び目標位置までの大局経路を示す概念図である。図7において、「X」及び「Y」方向は、図1に示すこれらの方向と同じであるため、重複説明を省略する。図7では、黒い格子は、障害物を表す。ハッチングされた格子は、大局経路701を表す。図7に示すように、通常分解能地図M700を参照して、車両101は、大局経路701に従って走行することにより、目標位置G501に到着できる。なお、図7において、黒い格子で表される障害物は、障害物の実際大きさに対応する。
【0046】
図8は、本実施形態に係る通常分解能地図M700における、障害物が膨張した様子及び大局経路701を示す概念図である。図8において、「X」及び「Y」方向は、図1に示すこれらの方向と同じであるため、重複説明を省略する。図8では、障害物の実際のサイズより膨張した部分は、灰色の格子で示され、車載センサー211が検知した障害物(黒い部分)の輪郭である。図8に示すLG502は、局所経路計画部306により設定した第1の局所目標位置を示す。局所経路計画部306により計画された第1の局所経路702は、車両101と第1の局所目標位置LG502とを繋がる黒い実線で示されている。
【0047】
図9には、パレット801が設置された場合(図6参照)、通常分解能地図M700において、車載センサー211が検知したパレット801を含む障害物が膨張した様子、及び大局経路711が示されている。図9において、「X」及び「Y」方向は、図1に示すこれらの方向と同じであるため、重複説明を省略する。パレット801が新たに設置された障害物であるため、未知の障害物となる。この場合、大局経路計画部305は、図8に示す大局経路711を計画して生成する。車両101は、大局経路711に従って、車載センサー211により検知されたパレット801輪郭の手前の格子902まで走行できる。しかし、大局経路701に従って、格子902より1個先の格子(図面上では「Y」方向における格子902の1個上の格子)から、障害物の輪郭の間の距離、すなわち、経路の幅が車両101の幅より小さくなる。このため、局所経路計画部306は、大局経路701に従って、格子902を超えてG501へ進む局所経路を計画できない状況になる。すなわち、格子902において、車両101は走行不可状態になる。
【0048】
図10は、本発明の第1実施形態に係る自車周辺の高解像度周辺地図の一例を示す概念図である。ここで、高解像度周辺地図生成部308は、車載センサー211の性能を加味して、1cm/pixelの高解像度格子地図を生成することを想定する。図10に示す通常分解能地図M700は、図9に示す通常分解能地図M700を縮小したものであるため、重複説明を省略する。通常分解能地図M700上の一点鎖線で囲まれている部分は、車両101が走行不可状態になった位置(図9に示す格子902)を中心に、車載センサー211が検知できる最大の範囲である。
【0049】
図10に示す高解像度周辺地図M710は、通常分解能地図M700上の一点鎖線で囲まれている部分に対して、高解像度周辺地図生成部308により生成された、1cm/pixelの高解像度周辺地図である。高解像度周辺地図M710上のハッチングされた格子は、通常分解能地図M700に示す大局経路711の一部を含む。LG1002は、局所目標位置及び経路演算部309が高解像度周辺地図M710を基に設定された第2の局所目標位置である。局所目標位置及び経路演算部309が高解像度周辺地図M710を基に生成した局所経路1003は、車両101と第2の局所目標位置LG1002とを繋がる黒い実線で示されている。図10に示すように、高解像度周辺地図M710を構成する格子が通常分解能地図M700より細かいので、パレット801等の障害物の形状がより精細に表現されている。このため、局所目標位置及び経路演算部309は、高解像度周辺地図M710を参照して、車両101が第2の局所目標位置LG1002までの局所経路1003を計画し、走行不可状態になった車両101を走行状態に復帰させることができる。
【0050】
[自律走行システムにおける自律走行処理の手順]
次に、自律走行システム300における自律走行処理の手順について説明する。図11は、本実施形態に係る自律走行システム300における自律走行処理の手順を示すフローチャートである。以下に説明する処理は、車両101が自律走行すると開始する。
【0051】
まず、目標位置入力部304は、車両101が現在行うタスクの目的地を入力し、当該目的地が通常分解能地図における座標を自律走行の目標位置として設定する(ステップS11)。
【0052】
次いで、大局経路計画部305は、車両101の現在位置(走行開始位置)及び設定された目標位置に基づき、通常分解能地図において、走行開始位置から目標位置までの大局経路(図7参照)を計画して生成する(ステップS12)。
【0053】
次いで、局所経路計画部306は、車載センサー211の計測情報、現在位置、及び大局経路を用いて、第1の局所目標位置を設定し、第1の局所目標位置までの第1の局所経路(図8参照)を計画して生成する(ステップS13)。また、局所経路計画部306は、走行不可判定部307を介して、第1の局所目標位置及び第1の局所経路を制御指令生成部310に出力する。
【0054】
次いで、制御指令生成部310は、現在の自己位置から第1の局所目標位置に向かって、第1の局所経路を通過するように、経路追従アルゴリズムにより、車両101に対する駆動指令を生成する(ステップS14)。また、制御指令生成部310は、生成した車両101に対する駆動指令を駆動部301に出力する。駆動部301は、駆動指令に従って走行モーター108を駆動し、車両101を第1の局所経路に沿って自律走行させる。
【0055】
次いで、走行不可判定部307は、車両101が目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS15)。この処理では、走行不可判定部307は、現在位置と目標位置とを比較し、その2点間の距離が所定閾値、例えば0.1m以下である場合、目標位置に到達したと判定し、ステップS15がYES判定となる。また、走行不可判定部307は、現在位置と目標位置とを比較し、その2点間の距離が所定閾値を超える場合、目標位置に到達していないと判定し、ステップS15がNO判定となる。なお、現在位置と目標位置との間の距離に対して設定される所定閾値は、0.1mに限定されず、実際の状況に応じて適当の値に変更してもよい。
【0056】
ステップS15の処理において、走行不可判定部307は、車両101が目標位置に到達したと判定した場合(ステップS15のYES判定)、自律走行処理は、走行完了状態で終了する。
【0057】
一方、ステップS15の処理において、走行不可判定部307は、車両101が目標位置に到達していないと判定した場合(ステップS15のNO判定)、車両101が走行不可状状態であるか否かを判定する(ステップS16)。この処理では、走行不可判定部307は、局所経路計画部306が一定時間内に第1の局所経路を生成できない場合、車両101の位置が一定時間以上変わっていない場合等には、車両101が走行不可状態であると判定し、ステップS16がYES判定となる。また、走行不可判定部307は、車両101が走行不可状態でないと判定した場合、ステップS16がNO判定となる。
【0058】
ステップS16の処理において、走行不可判定部307は、車両101が走行不可状態でないと判定した場合(ステップS16のNO判定)、ステップS12の処理に戻し、ステップS12~ステップS16の処理が繰り返して実行される。
【0059】
一方、ステップS16の処理において、走行不可判定部307は、車両101が走行不可状態であると判定した場合(ステップS16のYES判定)、高解像度周辺地図生成部308は、通常分解能地図との参照関係を一度クリアする(ステップS17)。ここで、クリアとは、通常分解能地図との参照関係を一旦無くす処理であり、通常分解能地図自体は削除されない。また、この処理では、高解像度周辺地図生成部308は、通常分解能地図の座標系に対する車両101の現在位置及び姿勢を保存しておく。すなわち、通常分解能地図の座標系を継承する。これは、高解像度周辺地図生成部308が作成する高解像度周辺地図の座標系と、通常分解能地図の座標系とを可能な限り合わせるためである。
【0060】
次いで、高解像度周辺地図生成部308は、地図分解能を、通常分解能(5cm/pixel)から高分解能(1cm/pixel)に変更して設定する(ステップS18)。
【0061】
次いで、高解像度周辺地図生成部308は、自車周囲の高解像度周辺地図を作成するため、地図作成動作を設定する(ステップS19)。この処理において、高解像度周辺地図生成部308は、地図作成動作を設定する指令を制御指令生成部310に送信する。制御指令生成部310は、地図生成動作として、車両101を、例えば角速度0.3rad/sを維持して、その場で2周(720度)旋回させる駆動指令を生成して駆動部301に出力する。そして、駆動部301は、制御指令生成部310からの地図生成動作の駆動指示に従って走行モーター108を駆動して車両101を走行させる。
【0062】
次いで、高解像度周辺地図生成部308は、車両101の並進や旋回などの動作時に車載センサー211によって取得された情報に基づいて、周囲の高解像度周辺地図を生成する(ステップS20)。
【0063】
次いで、高解像度周辺地図生成部308は、車両101の地図生成動作が完了したか否か、すなわち、高解像度周辺地図の作成が完了したか否かを判定する(ステップS21)。この処理では、高解像度周辺地図生成部308は、例えば、エンコーダー209から得られた角速度を走行時間で積分した値を用いて車両101の旋回動作が完了したか否かを判定する。高解像度周辺地図生成部308は、旋回動作が完了したと判断した場合、地図生成動作が完了したと判定し、ステップS21はYES判定となる。また、高解像度周辺地図生成部308は、旋回動作が完了していないと判断した場合、地図生成動作が完了していないと判定し、ステップS21はNO判定となる。なお、通常分解能地図は、人手で車両101を動作させて、走行環境全域を走行して作成される。そのため、地図作成の終了判断は、その操作者に委ねられる。しかし、本実施形態では、車両101が自身で動作しながら、高解像度周辺地図が生成されるため、地図作成動作完了条件を事前に決定して登録する必要がある。また、より正確な値に基づいて地図生成動作を判定したい場合には、高解像度周辺地図生成部308は、通常分解能地図に基づく自己位置推定を並行して演算し、車両101の位置及び姿勢の変化を監視しながら地図生成動作が完了したか否かを判断してもよい。
【0064】
ステップS21の処理において、高解像度周辺地図生成部308は、地図生成動作が完了していないと判定した場合(ステップS21のNO判定)、ステップS20の処理に戻し、ステップS20~ステップS21の処理を繰り返して実行する。
【0065】
一方、ステップS21の処理において、高解像度周辺地図生成部308は、地図生成動作が完了したと判定した場合(ステップS21のYES判定)、生成した高解像度周辺地図(図10参照)を参照地図として設定する(ステップS22)。
【0066】
次いで、局所目標位置及び経路演算部309は、高解像度周辺地図における局所目標位置である第2の局所目標位置を設定する(ステップS23)。この処理では、局所目標位置及び経路演算部309は、例えば、自律走行の目標位置側の高解像度周辺地図の端点を第2の局所目標位置として設定する。
【0067】
次いで、局所目標位置及び経路演算部309は、車両の現在位置から第2の局所目標位置までの局所経路である第2の局所経路を生成する(ステップS24)。また、この処理において、局所目標位置及び経路演算部309は、第2の局所目標位置及び生成した第2の局所経路を局所経路計画部306に出力する。そして、局所経路計画部306は、走行不可判定部307を介して、第2の局所目標位置及び第2の局所経路を制御指令生成部310に出力する。
【0068】
次いで、制御指令生成部310は、現在の自己位置から第2の局所目標位置に向かって、第2の局所経路を通過するように、経路追従アルゴリズムにより、車両101に対する駆動指令を生成する(ステップS25)。また、制御指令生成部310は、生成した車両101に対する駆動指令を駆動部301に出力する。駆動部301は、駆動指令に従って走行モーター108を駆動して、車両101を第2の局所経路に沿って走行させる。
【0069】
次いで、走行不可判定部307は、車両101が第2の局所目標位置に到達したか否かを判定する(ステップS26)。この処理では、走行不可判定部307は、現在位置と第2の局所目標位置とを比較し、その2点間の距離が所定閾値以下である場合、第2の局所目標位置に到達したと判定し、ステップS26がYES判定となる。また、走行不可判定部307は、現在位置と第2の局所目標位置とを比較し、その2点間の距離が所定閾値を超える場合、第2の局所目標位置に到達していないと判定し、ステップS26がNO判定となる。なお、ここで、目標位置側に近い高解像度周辺地図の端点を第2の局所目標位置とすることを想定する。
【0070】
ステップS26の処理において、走行不可判定部307は、車両101が第2の局所目標位置に到達したと判定した場合(ステップS26のYES判定)、高解像度周辺地図生成部308は、通常分解能地図を参照地図として再設定する(ステップS27)。この処理では、高解像度周辺地図生成部308は、高解像度周辺地図との参照関係を一旦クリアし、高解像度周辺地図自体は削除されない。ステップS27の処理後、自律走行処理は、ステップS12に戻し、ステップS12~ステップS26の処理が繰り返して実行される。
【0071】
一方、ステップS26の処理において、走行不可判定部307は、車両101が第2の局所目標位置に到達していないと判定した場合(ステップS26のNO判定)、走行不可判定部307は、走行不可状態が規定時間以上継続したか否かを判定する(ステップS27)。この処理では、走行不可判定部307は、局所目標位置及び経路演算部309が規定時間内に第2の局所経路を計画できない場合、又は、車両101が規定時間以上走行不可状態を維持した場合には、車両101の走行不可状態が規定時間以上継続したと判定し、ステップS28がYES判定となる。走行不可判定部307は、車両101の走行不可状態が規定時間以上継続していないと判定した場合、ステップS28がNO判定となる。
【0072】
ステップS28の処理において、走行不可判定部307は、走行不可状態が規定時間以上継続していないと判定した場合(ステップS28のNO判定)、ステップS24の処理に戻し、ステップS24~ステップS28の処理が繰り返して実行される。
【0073】
一方、ステップS28の処理において、走行不可判定部307は、走行不可状態が規定時間以上継続したと判定した場合(ステップS28のYES判定)、自律走行処理は、目標位置に到達不可状態で終了する。
【0074】
[効果]
上述したように、本実施形態に係る自律走行システム300は、車両が走行不可状態になった際、車載センサー211の性能(レーザー光の水平方向の分解能、測距範囲、測距誤差等)を最大限活かして、高分解能周辺地図を作成する。高解像度周辺地図を構成する格子が通常分解能地図より細かいので、車両前方の障害物の形状をより精細に表現することができる。このため、自律走行システム300は、車載センサーの性能を最大限に活かし、高解像度周辺地図を参照することにより、より精密な経路を計画し、車両を走行不可状態から復帰させる可能性を向上することができる。
【0075】
<第2実施形態>
ここで、本発明の第2実施形態に係る自律走行システム2000について説明する。図12は、本実施形態に係る自律走行システム2000の機能構成例を示すブロック図である。自律走行システム2000は、図3に示す自律走行システム300の各構成部に加え、さらに、図12に示す、管制サーバー2001、及び車載コントローラー220に設置される地図データ送信部2002を備える。管制サーバー2001は、車載コントローラー220の外部に設置され、車載コントローラー220に接続される。なお、図12では、車載コントローラー220が有する通常分解能地図生成部302、高解像度周辺地図生成部308、及び地図データ送信部2002以外の各構成部及びその機能は、図3に示す各構成部及びその機能と同様であるため、その図示及び説明を省略する。
【0076】
地図データ送信部2002は、高解像度周辺地図生成部308の出力側に接続される。地図データ送信部2002は、高解像度周辺地図生成部308により作成された高解像度周辺地図を入力して管制サーバー2001の後述の全域地図更新部2003に送信する。高解像度周辺地図を全域地図更新部2003に送信するタイミングは、例えば、車両101が走行不可状態に陥り、走行不可状態から復帰した後のタイミング等に設定する。具体には、例えば、図11に示す自律走行処理のステップS27の処理後に、高解像度周辺地図を管制サーバー2001の後述の全域地図更新部2003に送信する。なお、高解像度周辺地図を全域地図更新部2003に送信するタイミングは、高解像度周辺地図生成部308が高解像度周辺地図を作成した後、例えば、図11に示す自律走行処理のステップS22の処理後にしてもよい。
【0077】
管制サーバー2001は、図12に示すように、全域地図更新部2003及び地図配信部2004を有する。全域地図更新部2003は、地図配信部2004に接続され、車載コントローラー220の地図データ送信部2002にも情報データの受信ができるように接続される。また、地図配信部2004は、車載コントローラー220の通常分解能地図生成部302にも情報データの送信ができるように接続される。
【0078】
全域地図更新部2003は、通常分解能地図更新部の一例であり、通常分解能地図を管理する。また、全域地図更新部2003は、車両101の車載コントローラー220の地図データ送信部2002から高解像度周辺地図を受信し、受信した高解像度周辺地図を通常分解能地図の解像度に変換し、変換後の高解像度周辺地図で通常分解能地図を更新する。
【0079】
具体的には、全域地図更新部2003は、車両101の位置及び姿勢に沿って、通常分解能地図における、高解像度周辺地図に対応する領域を、高解像度周辺地図(格子の情報)に更新する。すなわち、高解像度周辺地図が生成される度に、生成された高解像度周辺地図に対応する通常分解能地図の部分が更新される。なお、第1実施形態で説明したように、高解像度周辺地図生成部308が高解像度周辺地図を生成する際、通常分解能地図の座標系に対する車両101の現在位置及び姿勢を保存しておく。地図データ送信部2002は、高解像度周辺地図を全域地図更新部2003に送信する際、保存された車両101の位置及び姿勢を同時に送信する。また、本実施形態では、高解像度周辺地図を通常分解能地図の解像度に変換する際、1cm/pixel高解像度周辺地図を、全域地図(5cm/pixelの通常分解能地図)の解像度に合わせるように、画像処理により1/5のサイズにダウンサンプリング(圧縮処理)する。
【0080】
地図配信部2004は、全域地図更新部2003により更新された通常分解能地図、すなわち、全域地図を、車両101の車載コントローラー220内の通常分解能地図生成部302に送信する。通常分解能地図生成部302、所定のタイミング、例えば、車両のタスク待ち状態における停止時等に、現在の通常分解能地図を、受信した最新の通常分解能地図に差し替える。なお、地図配信部2004は、走行環境に複数の車両が存在する場合、全域地図更新部2003により更新された通常分解能地図を車両101のみに送信するのではなく、走行環境にある全ての車両に送信する。
【0081】
[効果]
上述したように、本実施形態に係る自律走行システム2000は、走行不可状態になった車両の車載コントローラー220の高解像度周辺地図生成部308により作成された高解像度周辺地図で、全ての車両が参照する同じ走行環境の全域地図を更新する。それゆえ、本実施形態に係る自律走行システム2000は、ある車両が走行不可状態に陥った箇所周辺の全域地図を高解像度周辺地図で更新するので、他の車両が当該箇所に通過する際、当該箇所で走行不可状態に陥ることを防ぐ可能性を向上することができる。
【0082】
<第3実施形態>
ここで、本発明の第3実施形態に係る自律走行システム3000について説明する。図13は、本発明の第3実施形態に係る自律走行システム3000の機能構成例を示すブロック図である。自律走行システム3000は、図13に示すように、管制サーバー2010と、車載コントローラー220と、車載コントローラー220Aとを備える。車載コントローラー220及び車載コントローラー220Aは、それぞれ、管制サーバー2010に接続される。また、車載コントローラー220Aは、車載コントローラー220と同じ構成を有し、車両101と異なる車両(異なる車種の車両でもよい)に配置される。なお、図13では、2台の車両の車載コントローラーが管制サーバー2010に接続される例が示されているが、本発明はこれに限定されない。管制サーバー2010に接続される車両の台数は、同じ走行環境にある自律走行車両の台数であり、任意の数に設定可能である。
【0083】
図13図12を比較して分かるように、管制サーバー2010は、図12に示す管制サーバー2001の各構成部に加え、さらに、車載センサー情報管理部3002、及び目標位置管理部3003を備える。
【0084】
車載センサー情報管理部3002は、各車両の車載センサー211の性能情報と設置位置情報とを格納する。車載センサーの性能情報は、車載センサー211の最大照射距離、レーザー光の水平方向の分解能、測距範囲、及び測距誤差のうち、少なくとも一つを含む。また、設置位置情報は、車載センサー211の各車両における設置位置に関する情報、例えば、各車両の所定部品位置(例えば、後輪車輪中心)に対する車載センサー211の設置位置及び姿勢情報である。
【0085】
目標位置管理部3003は、車載コントローラー220Aの目標位置入力部304A、及び車載コントローラー220Bの目標位置入力部304Bから、それぞれの車両の目標位置を受信して管理する。また、車両101が高解像度周辺地図を参照しても、走行不可状態から復帰できない場合、すなわち、走行不可判定部307により、目標位置到達不可と判断された(図11のステップS28のYES判定)場合、目標位置管理部3003は、車両101の目標位置までに走行可能な他車両を探し出す。目標位置管理部3003は、車両101から後述の走行状態情報を受信し、走行状態情報及び車載センサー情報管理部3002の情報を基に、車両101より高性能、具体には車載センサー211のビーム光の水平分解能がより細かい、かつ車両101の車格(車幅及び車両長)より小さい他車両を探し出す。目標位置管理部3003は、探し出した他車両へ車両101の目標位置を送信し、他車両を、車両101の代わりに、車両101の目標位置までに走行させる。なお、他車両が車両101の目標位置を受信した後、第1実施形態で説明したように、その目標位置まで自律走行する(図11参照)。
【0086】
車載コントローラー220及び車載コントローラー220Aは、同じ構成を有するので、以下の説明では、車載コントローラー220を例として説明し、車載コントローラー220Aの説明を省略する。
【0087】
車載コントローラー220は、図12に示す車載コントローラー220の各構成部に加え、さらに、走行状態送信部3001を有する。走行状態送信部3001は、自車両が目標位置到達不可の状態になった場合、自車両の走行状態情報を管制サーバー2010の目標位置管理部3003送信する。ここで、走行状態情報は、目標位置到達不可の状態情報、目標位置到達不可と判断された際の、通常分解能地図にける自車両の位置、姿勢、及び自車両の目標位置を含む。
【0088】
また、自車両が目標位置到達不可の状態になる前、走行不可状態になった際に高解像度周辺地図生成部308が作成した高解像度周辺地図は、既に管制サーバー2010の全域地図更新部2003(図12参照)に送信されている。このため、目標位置管理部3003は、車両101の代わりに目標位置まで走行可能な他車両を探す際、高解像度周辺地図で更新された全域地図を参照して、走行不可状態となった箇所を通過可能な車格を有する他車両を探す。
【0089】
次いで、本実施形態に係る自律走行車両の車種について説明する。図14は、本実施形態に係る自律走行車両の車種の一例を示す概念図である。図14に示す車両101は、図2に示す車両101と同じであるため、重複説明を省略する。図14に示す車両102は牽引車両であり、車両103は、フォークリフトである。車両101~車両103は、互いに異なる車格を有する。さらに、図14に示すように、車両101~車両103の車載センサー211、車載センサー211A及びの車載センサー211Bは、それぞれ異なる位置に設置されている。なお、本実施形態では、車載センサー211、車載センサー211A、及びの車載センサー211Bの性能は、それぞれ異なることを想定する。
【0090】
[効果]
上述したように、本実施形態に係る自律走行システム3000では、管制サーバー2010は、目標位置到達不可の状態になった車両から走行状態情報を受信した場合、当該車両の代わりに走行可能な他車両を探し出す。具体的には、管制サーバー2010は、目標位置到達不可の車両から受信した走行状態情報、及び車載センサー情報管理部3002の情報を基に、当該車両より高性能の車載センサーを有し、当該車両が走行不可状態となった箇所を通過可能な車格を有する他車両を探す。それゆえ、本実施形態に係る自律走行システム3000は、他車両の車載センサーの性能を加味し、走行不可状態に陥る原因(周囲障害物の変化、車格等)を捉えることにより、目標位置に到達可能な他車両を利用して、現場の車両の運用効率を向上することができる。
【0091】
なお、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために自律走行システムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0092】
101,102,103…車両、206…駆動輪、208…走行モーター、209…エンコーダー、211,211B,211C…車載センサー、220,220A…車載コントローラー、300,2000,3000…自律走行システム、301…駆動部、302,302A…通常分解能地図生成部、303…自己位置推定部、304,304A…目標位置入力部、305…大局経路計画部、306…局所経路計画部、307…走行不可判定部、308…高解像度周辺地図生成部、309…局所目標位置及び経路演算部、310…制御指令生成部、2001,2010…管制サーバー、2002,2002A…地図データ送信部、2003…全域地図更新部、2004…地図配信部、3001,3001A…走行状態送信部、3002…車載センサー情報管理部、3003…目標位置管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14