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  • 特開-養殖場の遠隔監視システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013547
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】養殖場の遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/04 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A01K63/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115707
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大竹 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】岩本 丈司
(72)【発明者】
【氏名】小久保 純一
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104CA01
2B104EB01
2B104EC01
(57)【要約】
【課題】電動弁の開閉動作を遠隔監視できる養殖場の遠隔監視システムを提供する。
【解決手段】養殖場の遠隔監視システム10は、養殖場に設けられ、養殖槽100を管理する管理装置11と、管理装置11と通信可能であり、養殖場情報を記憶する外部サーバ12とを有している。管理装置11は、溶存酸素センサ22を含む測定装置20と、酸素濃度調整装置31を含む調整装置30と、測定装置20の測定結果に基づいて調整装置30を制御するとともに養殖場情報を外部サーバ12に送信する制御装置40とを有している。酸素濃度調整装置31は、養殖槽100内に酸素が供給される開状態と養殖槽100内に酸素が供給されない閉状態とに開閉動作可能な電動弁34を有している。制御装置40は、溶存酸素センサ22の測定結果に基づいて電動弁34の開閉を制御する。制御装置40は、養殖場情報として電動弁34の開閉状態を外部サーバ12に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
養殖場に設けられ、養殖槽を管理する管理装置と、
前記管理装置と通信可能であり、前記養殖場に関する情報である養殖場情報を記憶する外部サーバと、
を備え、
前記管理装置は、
前記養殖槽内の水温を測定する水温センサ及び前記養殖槽内の酸素濃度を測定する溶存酸素センサを含む測定装置と、
前記養殖槽内の酸素濃度を調整する酸素濃度調整装置を含む調整装置と、
前記測定装置の測定結果に基づいて前記調整装置を制御するとともに前記養殖場情報を前記外部サーバに送信する制御装置と、
を有し、
前記酸素濃度調整装置は、前記養殖槽内に酸素が供給される開状態と前記養殖槽内に酸素が供給されない閉状態とに開閉動作可能な電動弁を有し、
前記制御装置は、前記溶存酸素センサの測定結果に基づいて前記電動弁の開閉を制御するとともに前記養殖場情報として前記電動弁の開閉状態を前記外部サーバに送信することを特徴とする養殖場の遠隔監視システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記電動弁の累積の開閉回数を記憶しており、前記養殖場情報として前記電動弁の累積の開閉回数を前記外部サーバに送信する請求項1に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【請求項3】
前記外部サーバと通信可能な1つ以上の情報端末を備え、
前記外部サーバは、1つ以上の前記情報端末に前記養殖場情報を送信可能である請求項1又は請求項2に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【請求項4】
前記情報端末は、モバイル端末である請求項3に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【請求項5】
前記情報端末は、任意の時間における前記養殖場情報を前記外部サーバに要求可能であり、
前記外部サーバは、前記情報端末から要求された時間における前記養殖場情報を前記情報端末に送信する請求項3に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記調整装置の制御に用いられる制御用閾値を記憶しており、前記測定装置の測定結果と前記制御用閾値とに基づいて前記調整装置を制御し、
前記情報端末は、前記制御用閾値を設定可能であり、設定した前記制御用閾値を前記外部サーバに送信し、
前記外部サーバは、前記情報端末から受信した前記制御用閾値を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記外部サーバから前記制御用閾値を受信すると、記憶している前記制御用閾値を前記外部サーバから受信した前記制御用閾値に更新する請求項3に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記養殖槽内の異常を検知可能であり、前記養殖槽内に異常を検知した場合、前記外部サーバに異常発生信号を送信し、
前記外部サーバは、前記制御装置から前記異常発生信号を受信すると、前記情報端末に対して異常発生通知を行う請求項3に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記養殖槽内の異常の検知に用いられる異常検知用閾値を記憶しており、前記測定装置の測定結果と前記異常検知用閾値とに基づいて前記養殖槽内の異常を検知し、
前記情報端末は、前記異常検知用閾値を設定可能であり、設定した前記異常検知用閾値を前記外部サーバに送信し、
前記外部サーバは、前記情報端末から受信した前記異常検知用閾値を前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記外部サーバから前記異常検知用閾値を受信すると、記憶している前記異常検知用閾値を前記外部サーバから受信した前記異常検知用閾値に更新する請求項7に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記管理装置の電気的な接続不良を検知可能であり、前記管理装置の電気的な接続不良を検知した場合、前記外部サーバに接続不良信号を送信し、
前記外部サーバは、前記制御装置から前記接続不良信号を受信すると、前記情報端末に対して接続不良通知を行う請求項3に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記測定装置の故障を検知可能であり、前記測定装置の故障を検知した場合、前記外部サーバに故障信号を送信し、
前記外部サーバは、前記制御装置から前記故障信号を受信すると、前記情報端末に対して故障通知を行う請求項3に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養殖場の遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、養殖槽内の酸素濃度をコントロールする酸素コントロールシステムが開示されている。酸素コントロールシステムは、溶存酸素センサと、電動弁と、制御装置とを有している。溶存酸素センサは、養殖槽内の酸素濃度を測定する。電動弁は、養殖槽内に酸素が供給される開状態と養殖槽内に酸素が供給されない閉状態とに開閉動作可能である。制御装置は、溶存酸素センサが測定した養殖槽内の酸素濃度に基づいて電動弁の開閉を制御する。
【0003】
特許文献2には、生産物の生育を管理する生産物の管理システムが開示されている。生産物の管理システムは、生産拠点側装置と管理拠点側装置とを有している。生産拠点側装置は、生産拠点において生産物を生育する過程で生成又は入力される管理データを管理拠点側装置に出力する。この場合、管理拠点側装置は、生産拠点側装置から入力された管理データによって、生産拠点を遠隔で管理できる。このような生産物の管理システムは、養殖場を遠隔監視するための養殖場の遠隔監視システムにも適用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6798736号公報
【特許文献2】特開2021-013361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
養殖場の遠隔監視システムでは、電動弁の開閉動作の遠隔監視が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための養殖場の遠隔監視システムの各態様を記載する。
[態様1]養殖場に設けられ、養殖槽を管理する管理装置と、前記管理装置と通信可能であり、前記養殖場に関する情報である養殖場情報を記憶する外部サーバと、を備え、前記管理装置は、前記養殖槽内の水温を測定する水温センサ及び前記養殖槽内の酸素濃度を測定する溶存酸素センサを含む測定装置と、前記養殖槽内の酸素濃度を調整する酸素濃度調整装置を含む調整装置と、前記測定装置の測定結果に基づいて前記調整装置を制御するとともに前記養殖場情報を前記外部サーバに送信する制御装置と、を有し、前記酸素濃度調整装置は、前記養殖槽内に酸素が供給される開状態と前記養殖槽内に酸素が供給されない閉状態とに開閉動作可能な電動弁を有し、前記制御装置は、前記溶存酸素センサの測定結果に基づいて前記電動弁の開閉を制御するとともに前記養殖場情報として前記電動弁の開閉状態を前記外部サーバに送信することを特徴とする養殖場の遠隔監視システム。
【0007】
[態様2]前記制御装置は、前記電動弁の累積の開閉回数を記憶しており、前記養殖場情報として前記電動弁の累積の開閉回数を前記外部サーバに送信する[態様1]に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【0008】
[態様3]前記外部サーバと通信可能な1つ以上の情報端末を備え、前記外部サーバは、1つ以上の前記情報端末に前記養殖場情報を送信可能である[態様1]又は[態様2]に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【0009】
[態様4]前記情報端末は、モバイル端末である[態様3]に記載の養殖場の遠隔監視システム。
[態様5]前記情報端末は、任意の時間における前記養殖場情報を前記外部サーバに要求可能であり、前記外部サーバは、前記情報端末から要求された時間における前記養殖場情報を前記情報端末に送信する[態様3]又は[態様4]に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【0010】
[態様6]前記制御装置は、前記調整装置の制御に用いられる制御用閾値を記憶しており、前記測定装置の測定結果と前記制御用閾値とに基づいて前記調整装置を制御し、前記情報端末は、前記制御用閾値を設定可能であり、設定した前記制御用閾値を前記外部サーバに送信し、前記外部サーバは、前記情報端末から受信した前記制御用閾値を前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記外部サーバから前記制御用閾値を受信すると、記憶している前記制御用閾値を前記外部サーバから受信した前記制御用閾値に更新する[態様3]~[態様5]の何れか1つに記載の養殖場の遠隔監視システム。
【0011】
[態様7]前記制御装置は、前記養殖槽内の異常を検知可能であり、前記養殖槽内に異常を検知した場合、前記外部サーバに異常発生信号を送信し、前記外部サーバは、前記制御装置から前記異常発生信号を受信すると、前記情報端末に対して異常発生通知を行う[態様3]~[態様6]の何れか1つに記載の養殖場の遠隔監視システム。
【0012】
[態様8]前記制御装置は、前記養殖槽内の異常の検知に用いられる異常検知用閾値を記憶しており、前記測定装置の測定結果と前記異常検知用閾値とに基づいて前記養殖槽内の異常を検知し、前記情報端末は、前記異常検知用閾値を設定可能であり、設定した前記異常検知用閾値を前記外部サーバに送信し、前記外部サーバは、前記情報端末から受信した前記異常検知用閾値を前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記外部サーバから前記異常検知用閾値を受信すると、記憶している前記異常検知用閾値を前記外部サーバから受信した前記異常検知用閾値に更新する[態様7]に記載の養殖場の遠隔監視システム。
【0013】
[態様9]前記制御装置は、前記管理装置の電気的な接続不良を検知可能であり、前記管理装置の電気的な接続不良を検知した場合、前記外部サーバに接続不良信号を送信し、
前記外部サーバは、前記制御装置から前記接続不良信号を受信すると、前記情報端末に対して接続不良通知を行う[態様3]~[態様8]の何れか1つに記載の養殖場の遠隔監視システム。
【0014】
[態様10]前記制御装置は、前記測定装置の故障を検知可能であり、前記測定装置の故障を検知した場合、前記外部サーバに故障信号を送信し、前記外部サーバは、前記制御装置から前記故障信号を受信すると、前記情報端末に対して故障通知を行う[態様3]~[態様9]の何れか1つに記載の養殖場の遠隔監視システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電動弁の開閉動作を遠隔監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態における養殖場の遠隔監視システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、養殖場の遠隔監視システムを具体化した一実施形態を図1にしたがって説明する。
図1に示すように、養殖場内には、魚などの養殖対象を養殖する養殖槽100が設けられている。養殖槽100には、養殖対象に応じた水が貯留されている。例えば、養殖対象が淡水魚である場合には、養殖槽100には淡水が貯留されている。養殖対象が海水魚である場合には、養殖槽100には海水又は人工海水が貯留されている。
【0018】
養殖場の遠隔監視システム10は、管理装置11と、外部サーバ12と、複数の情報端末13とを備えている。
<管理装置>
管理装置11は、養殖場内に設けられている。管理装置11は、養殖槽100を管理する。管理装置11は、測定装置20と、調整装置30と、制御装置40とを有している。
【0019】
測定装置20は、水温センサ21と溶存酸素センサ22とを含んでいる。水温センサ21及び溶存酸素センサ22は、養殖槽100内の水中に設けられている。水温センサ21は、養殖槽100内の水の温度を測定する。溶存酸素センサ22は、養殖槽100内の水の溶存酸素量を測定する。以下では、養殖槽100内の水の温度を、養殖槽100内の水温という。養殖槽100内の水の溶存酸素量を、養殖槽100内の酸素濃度という。
【0020】
調整装置30は、養殖槽100内の酸素濃度を調整する酸素濃度調整装置31を含んでいる。酸素濃度調整装置31は、酸素溶解装置32と、酸素供給源33と、電動弁34とを有している。
【0021】
酸素溶解装置32は、図示しない水供給源から供給された水に酸素供給源33から供給された酸素を溶解することによって、高濃度酸素水を生成する。高濃度酸素水の酸素濃度は、養殖槽100内の酸素濃度よりも高い濃度に設定されている。酸素溶解装置32は、生成した高濃度酸素水を供給配管35を介して養殖槽100内に供給する。高濃度酸素水が養殖槽100内に供給されると、養殖槽100内の酸素濃度は上昇する。なお、水供給源から酸素溶解装置32に供給される水は、養殖槽100内の水に濾過等の処理を施した水であってもよいし、養殖槽100内の水とは別の水であってもよい。
【0022】
酸素供給源33は、例えば、酸素を貯留する酸素タンクである。酸素溶解装置32と酸素供給源33とは、接続配管36によって接続されている。
電動弁34は、接続配管36の途中に設けられている。つまり、電動弁34は、酸素供給源33と酸素溶解装置32との間に設けられている。本実施形態の電動弁34は、電磁弁である。電動弁34が開状態のとき、酸素供給源33から酸素溶解装置32に酸素が供給される。したがって、酸素溶解装置32は、高濃度酸素水を生成して養殖槽100内に供給する。一方、電動弁34が閉状態のとき、酸素供給源33から酸素溶解装置32に酸素が供給されない。この場合、酸素溶解装置32は高濃度酸素水を生成しないため、養殖槽100内には高濃度酸素水が供給されない。つまり、電動弁34は、養殖槽100内に酸素が供給される開状態と養殖槽100内に酸素が供給されない閉状態とに開閉動作可能である。
【0023】
電動弁34には、電動弁34の開閉状態を検出する検出部37が設けられている。検出部37は、例えば、電磁弁にかかる電圧や電磁弁で発生する磁束を検出することによって、電動弁34の開閉状態を検出する。
【0024】
制御装置40は、測定装置20と有線接続されている。本実施形態では、制御装置40は、第1配線41によって水温センサ21と接続されている。制御装置40は、第2配線42によって溶存酸素センサ22と接続されている。また、制御装置40は、調整装置30と有線接続されている。本実施形態では、制御装置40は、第3配線43によって電動弁34と接続されている。制御装置40は、第4配線44によって検出部37と接続されている。制御装置40は、CPU40aとメモリ40bとを有している。制御装置40は、メモリ40bに記憶されたプログラムをCPU40aが実行することによって、各種処理を実行する。
【0025】
制御装置40は、測定装置20の測定結果を取得する。本実施形態では、制御装置40は、水温センサ21から養殖槽100内の水温を取得する。制御装置40は、溶存酸素センサ22から養殖槽100内の酸素濃度を取得する。
【0026】
制御装置40は、調整装置30を制御する。制御装置40は、調整装置30の制御に用いられる制御用閾値を記憶している。制御装置40は、測定装置20の測定結果と、記憶している制御用閾値とに基づいて、調整装置30を制御する。
【0027】
本実施形態では、制御装置40は、溶存酸素センサ22の測定結果と、制御用閾値としての制御用酸素濃度閾値とに基づいて、電動弁34の開閉を制御する。制御装置40は、溶存酸素センサ22が測定した養殖槽100内の酸素濃度が制御用酸素濃度閾値未満の場合、電動弁34を開状態にする。制御装置40は、溶存酸素センサ22が測定した養殖槽100内の酸素濃度が制御用酸素濃度閾値以上の場合、電動弁34を閉状態にする。
【0028】
つまり、養殖槽100内の酸素濃度が制御用酸素濃度閾値未満の場合には、酸素供給源33から酸素溶解装置32に酸素が供給されるため、酸素溶解装置32は、高濃度酸素水を生成する。そして、生成された高濃度酸素水が養殖槽100内に供給されることによって、養殖槽100内の酸素濃度は上昇する。一方、養殖槽100内の酸素濃度が制御用酸素濃度閾値以上の場合には、酸素供給源33から酸素溶解装置32に酸素が供給されないため、酸素溶解装置32は、高濃度酸素水を生成しない。したがって、養殖槽100内には高濃度酸素水が供給されないため、養殖槽100内の酸素濃度はほぼ変化しない。このように制御装置40が溶存酸素センサ22の測定結果と制御用酸素濃度閾値とに基づいて電動弁34の開閉を制御することによって、養殖槽100内の酸素濃度は、制御用酸素濃度閾値以上の状態で維持される。
【0029】
制御装置40は、検出部37の検出結果を取得する。すなわち、制御装置40は、検出部37から電動弁34の開閉状態を取得する。制御装置40は、電動弁34の累積の開閉回数を記憶している。詳しくは、制御装置40のメモリ40bには、電動弁34の開閉回数をカウントするためのカウント値が記憶されている。制御装置40は、電動弁34が開閉する度にカウント値をカウントアップさせる。
【0030】
ところで、上述したように、養殖槽100内の酸素濃度は、制御用酸素濃度閾値以上に維持されるように、管理装置11によって管理されている。しかしながら、例えば、電動弁34の故障、大雨などの外乱、酸素供給源33内の酸素不足といった様々な要因によって、養殖槽100内の酸素濃度は低下することがある。
【0031】
制御装置40は、このような養殖槽100内の異常を検知可能である。制御装置40は、養殖槽100内の異常の検知に用いられる検知用閾値を記憶している。制御装置40は、測定装置20の測定結果と、記憶している異常検知用閾値とに基づいて、養殖槽100内の異常を検知する。
【0032】
本実施形態では、制御装置40は、養殖槽100内の酸素濃度の異常を検知可能である。制御装置40は、溶存酸素センサ22の測定結果と、異常検知用閾値としての異常検知用酸素濃度閾値とに基づいて、養殖槽100内の酸素濃度の異常を検知する。異常検知用酸素濃度閾値は、制御用酸素濃度閾値未満に設定されている。制御装置40は、溶存酸素センサ22が測定した養殖槽100内の酸素濃度が、所定の時間、異常検知用酸素濃度閾値未満であり続ける場合、養殖槽100内の酸素濃度に異常が発生していると判断する。
【0033】
制御装置40は、管理装置11の電気的な接続不良を検知可能である。本実施形態の制御装置40は、管理装置11の電気的な接続不良として、制御装置40と水温センサ21との接続不良、制御装置40と溶存酸素センサ22との接続不良、制御装置40と電動弁34との接続不良、及び制御装置40と検出部37との接続不良を検知可能である。制御装置40は、水温センサ21から水温が入力されない場合、制御装置40と水温センサ21との電気的な接続不良が発生していると判断する。制御装置40は、溶存酸素センサ22から酸素濃度が入力されない場合、制御装置40と溶存酸素センサ22との電気的な接続不良が発生していると判断する。制御装置40は、電動弁34の開閉指令を出力できない場合、制御装置40と電動弁34との電気的な接続不良が発生していると判断する。制御装置40は、検出部37から電動弁34の開閉状態が入力されない場合、制御装置40と検出部37との電気的な接続不良が発生していると判断する。
【0034】
制御装置40は、測定装置20の故障を検知可能である。本実施形態の制御装置40は、測定装置20の故障として、水温センサ21の故障及び溶存酸素センサ22の故障を検知可能である。制御装置40は、水温センサ21から入力された水温が取り得ない温度の場合、水温センサ21が故障していると判断する。制御装置40は、溶存酸素センサ22から入力された酸素濃度が取り得ない酸素濃度の場合、溶存酸素センサ22が故障していると判断する。
【0035】
制御装置40は、図示しないネットワークを介して外部サーバ12と情報を授受可能に構成されている。制御装置40は、無線通信によって外部サーバ12と通信可能である。制御装置40は、養殖場に関する情報である養殖場情報を外部サーバ12に送信する。養殖場情報としては、養殖槽100に関する情報である養殖槽情報と、調整装置30に関する情報である装置情報とが挙げられる。養殖槽情報としては、水温センサ21が測定した養殖槽100内の水温、及び溶存酸素センサ22が測定した養殖槽100内の酸素濃度が挙げられる。養殖槽情報には、タイムスタンプ機能によって、測定時刻データが付与されている。装置情報としては、電動弁34の開閉状態及び電動弁34の開閉回数が挙げられる。装置情報には、タイムスタンプ機能によって、電動弁34の動作時刻データが付与されている。制御装置40は、外部サーバ12から制御装置40の設定情報を受信する。制御装置40の設定情報としては、制御用閾値及び異常検知用閾値が挙げられる。
【0036】
<外部サーバ>
外部サーバ12は、養殖場外に設けられている。本実施形態の外部サーバ12は、ネットワーク上に仮想的に構築されているクラウドである。外部サーバ12は、CPU12a及びメモリ12bを有している。外部サーバ12は、メモリ12bに記憶されたプログラムをCPU12aが実行することによって、各種処理を実行する。
【0037】
外部サーバ12は、ネットワークを介して制御装置40及び情報端末13と情報を授受可能に構成されている。外部サーバ12は、制御装置40と通信可能である。外部サーバ12は、情報端末13と通信可能である。外部サーバ12は、制御装置40から養殖場情報を受信する。外部サーバ12は、制御装置40から受信した養殖場情報をメモリ12bに記憶する。また、外部サーバ12は、制御装置40から受信した養殖場情報を管理したり分析したりする。外部サーバ12は、メモリ12bに記憶された養殖場情報を情報端末13に送信する。外部サーバ12は、情報端末13から制御装置40の設定情報を受信する。外部サーバ12は、情報端末13から受信した制御装置40の設定情報を制御装置40に送信する。
【0038】
外部サーバ12は、情報端末13に対して各種通知を行う。本実施形態では、外部サーバ12は、情報端末13に対する各種通知として、異常発生通知と、接続不良通知と、故障通知とを行う。異常発生通知は、養殖槽100内に異常が発生した場合に行われる。接続不良通知は、管理装置11の電気的な接続不良が発生した場合に行われる。故障通知は、測定装置20が故障した場合に行われる。
【0039】
外部サーバ12には、各種通知を行う通知対象情報が登録されている。本実施形態の通知対象情報は、メールアドレスである。本実施形態では、外部サーバ12は、登録されているメールアドレスにメールを送信することによって、情報端末13に対して各種通知を行う。
【0040】
<情報端末>
情報端末13は、養殖場の管理者によって所持されている。本実施形態の情報端末13は、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末である。養殖場の管理者が他の作業場や自宅など養殖場外にいる場合には、情報端末13は養殖場外で用いられる。
【0041】
情報端末13は、ネットワークを介して外部サーバ12と情報を授受可能に構成されている。情報端末13は、無線通信によって外部サーバ12と通信する。情報端末13は、外部サーバ12から養殖場情報を受信する。情報端末13は、制御装置40の設定情報を外部サーバ12に送信する。
【0042】
本実施形態の養殖場の遠隔監視システム10では、以下の処理が行われる。
<養殖場の遠隔監視>
制御装置40は、養殖場情報を外部サーバ12に送信する。本実施形態では、制御装置40は、養殖場情報として、水温センサ21から取得した養殖槽100内の水温を外部サーバ12に送信する。制御装置40は、養殖場情報として、溶存酸素センサ22から取得した養殖槽100内の酸素濃度を外部サーバ12に送信する。制御装置40は、例えば、数分毎に養殖槽100内の水温及び酸素濃度の送信を行う。また、制御装置40は、養殖場情報として、電動弁34の開閉状態を外部サーバ12に送信する。制御装置40は、養殖場情報として、電動弁34の累積の開閉回数を外部サーバ12に送信する。制御装置40は、例えば、電動弁34が開閉動作する毎に、電動弁34の開閉状態及び電動弁34の開閉回数の送信を行う。外部サーバ12は、制御装置40から養殖場情報を受信する。外部サーバ12は、受信した養殖場情報をメモリ12bに記憶する。
【0043】
情報端末13は、管理者の操作に基づいて、外部サーバ12に養殖場情報を要求する。外部サーバ12は、情報端末13から要求を受けると、メモリ12bに記憶された養殖場情報を情報端末13に送信する。情報端末13は、外部サーバ12から養殖場情報を受信する。情報端末13は、受信した養殖場情報を図示しない表示画面に表示する。
【0044】
管理者は、情報端末13の表示画面に表示された養殖場情報によって養殖場を監視する。詳しくは、管理者は、養殖槽100内の水温や酸素濃度などの養殖槽情報によって、養殖槽100を監視する。また、管理者は、電動弁34の開閉状態や開閉回数などの装置情報によって、調整装置30を監視する。より詳しくは、管理者は、電動弁34の開閉状態によって、電動弁34の開閉動作を監視する。管理者は、電動弁34の開閉回数を確認する。
【0045】
本実施形態では、情報端末13は、外部サーバ12に対して、任意の種類の養殖場情報を要求可能である。すなわち、情報端末13は、養殖槽100内の水温、養殖槽100内の酸素濃度、電動弁34の開閉状態、及び電動弁34の開閉回数のうちの一部の情報を外部サーバ12に要求することができる。外部サーバ12は、記憶している養殖場情報のうち、情報端末13から要求された種類の養殖場情報を情報端末13に送信する。
【0046】
また、情報端末13は、外部サーバ12に対して、任意の時間における養殖場情報を要求可能である。なお、任意の時間は、任意の時刻であってもよいし、任意の期間であってもよい。すなわち、情報端末13は、現在時刻の養殖場情報を外部サーバ12に要求したり、過去数日間の養殖場情報を外部サーバ12に要求したりすることができる。外部サーバ12は、記憶している養殖場情報のうち、情報端末13から要求された時間における養殖場情報を情報端末13に送信する。
【0047】
例えば、管理者は、養殖槽100内の養殖対象を出荷する場合、情報端末13を用いて、養殖期間における養殖槽情報を外部サーバ12に要求してもよい。外部サーバ12は、情報端末13から要求された養殖期間における養殖槽情報を情報端末13に送信する。情報端末13は、情報端末13から養殖期間における養殖槽情報を受信する。情報端末13は、管理者の操作に基づいて養殖期間における養殖槽情報をダウンロードする。管理者は、例えば、ダウンロードされた情報を養殖対象の品質保証として出荷先に提出する。
【0048】
<制御用閾値の設定>
情報端末13は、制御用閾値を設定可能である。養殖場の管理者は、情報端末13の図示しない入力手段によって、情報端末13に制御用閾値を入力する。情報端末13は、入力された制御用閾値を外部サーバ12に送信する。外部サーバ12は、情報端末13から受信した制御用閾値を制御装置40に送信する。制御装置40は、外部サーバ12から制御用閾値を受信する。制御装置40は、記憶している制御用閾値を、外部サーバ12から受信した制御用閾値に更新する。制御装置40は、更新した制御用閾値、すなわち情報端末13によって設定された制御用閾値に基づいて調整装置30を制御する。本実施形態では、情報端末13は、制御用閾値として制御用酸素濃度閾値を設定可能である。制御装置40は、情報端末13によって設定された制御用酸素濃度閾値に基づいて、電動弁34の開閉を制御する。
【0049】
<異常発生通知>
制御装置40は、養殖槽100内の異常を検知した場合、外部サーバ12に異常発生信号を送信する。異常発生信号は、養殖槽100内に異常が発生したことを外部サーバ12に知らせるための信号である。本実施形態では、制御装置40は、養殖槽100内の酸素濃度の異常を検知した場合に外部サーバ12に異常発生信号を送信する。また、本実施形態の制御装置40は、養殖槽100内の酸素濃度の異常を検知した場合、電動弁34の制御、すなわち電動弁34の開閉動作を中断する。
【0050】
外部サーバ12は、制御装置40から異常発生信号を受信すると、情報端末13に対して異常発生通知を行う。異常発生通知は、情報端末13を所持している管理者に対し、養殖槽100内に異常が発生したことを知らせるための通知である。本実施形態では、外部サーバ12は、予め登録されているメールアドレスに対し、養殖槽100内に異常が発生している旨のメッセージを含むメールである異常発生メールを送信することによって、情報端末13に対して異常発生通知を行う。
【0051】
情報端末13は、外部サーバ12から異常発生メールを受信する。管理者は、情報端末13が受信したメールのメッセージを確認することによって、養殖槽100内に異常が発生していることに気付くことができる。例えば、管理者は、養殖場外において養殖槽100内に異常が発生していることに気付いた場合、養殖場に向かう。そして、管理者は、養殖槽100の確認を行う。管理者は、必要に応じて、養殖槽100に処置を施したり、養殖槽100内の異常の原因を解消したりする。本実施形態では、管理者は、養殖槽100内の異常の原因を確認した後、制御装置40による電動弁34の制御、すなわち電動弁34の開閉動作を再開させる。
【0052】
<異常検知用閾値の設定>
情報端末13は、異常検知用閾値を設定可能である。養殖場の管理者は、情報端末13の入力手段によって、情報端末13に異常検知用閾値を入力する。情報端末13は、入力された異常検知用閾値を外部サーバ12に送信する。外部サーバ12は、情報端末13から受信した異常検知用閾値を制御装置40に送信する。制御装置40は、外部サーバ12から異常検知用閾値を受信する。制御装置40は、記憶している異常検知用閾値を、外部サーバ12から受信した異常検知用閾値に更新する。制御装置40は、更新した異常検知用閾値、すなわち情報端末13によって設定された異常検知用閾値に基づいて養殖槽100内の異常を検知する。本実施形態では、情報端末13は、異常検知用閾値として異常検知用酸素濃度閾値を設定可能である。制御装置40は、情報端末13によって設定された異常検知用酸素濃度閾値に基づいて、養殖槽100内の酸素濃度の異常を検知する。
【0053】
<接続不良通知>
制御装置40は、管理装置11の電気的な接続不良を検知した場合、外部サーバ12に接続不良信号を送信する。接続不良信号は、管理装置11に電気的な接続不良が発生したことを外部サーバ12に知らせるための信号である。本実施形態では、制御装置40は、水温センサ21との接続不良を検知した場合、溶存酸素センサ22との接続不良を検知した場合、電動弁34との接続不良を検知した場合、又は検出部37との接続不良を検知した場合に、外部サーバ12に接続不良信号を送信する。
【0054】
外部サーバ12は、制御装置40から接続不良信号を受信すると、情報端末13に対して接続不良通知を行う。接続不良通知は、情報端末13を所持している管理者に対し、管理装置11に電気的な接続不良が発生したことを知らせるための通知である。本実施形態では、外部サーバ12は、予め登録されているメールアドレスに対し、管理装置11に接続不良が発生している旨のメッセージを含むメールである接続不良メールを送信することによって、情報端末13に対して接続不良通知を行う。
【0055】
情報端末13は、外部サーバ12から接続不良メールを受信する。管理者は、情報端末13が受信したメールのメッセージを確認することによって、管理装置11に電気的な接続不良が発生していることに気付くことができる。例えば、管理者は、養殖場外において管理装置11に電気的な接続不良が発生していることに気付いた場合、養殖場に向かう。そして、管理者は、管理装置11の電気的な接続不良を解消する。
【0056】
<故障通知>
制御装置40は、測定装置20の故障を検知した場合、外部サーバ12に故障信号を送信する。故障信号は、測定装置20が故障したことを外部サーバ12に知らせるための信号である。本実施形態では、制御装置40は、水温センサ21の故障を検知した場合、又は溶存酸素センサ22の故障を検知した場合に、外部サーバ12に故障信号を送信する。
【0057】
外部サーバ12は、制御装置40から故障信号を受信すると、情報端末13に対して故障通知を行う。故障通知は、情報端末13を所持している管理者に対し、測定装置20が故障したことを知らせるための通知である。本実施形態では、外部サーバ12は、予め登録されている管理者のメールアドレスに対し、測定装置20が故障した旨のメッセージを含むメールである故障メールを送信することによって、情報端末13に対して故障通知を行う。
【0058】
情報端末13は、外部サーバ12から故障メールを受信する。管理者は、情報端末13が受信したメールのメッセージを確認することによって、測定装置20が故障したことに気付くことができる。例えば、管理者は、養殖場外において測定装置20の故障に気付いた場合、養殖場に向かう。そして、管理者は、測定装置20を修理又は交換する。
【0059】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)制御装置40は、溶存酸素センサ22の測定結果に基づいて電動弁34の開閉を制御する。制御装置40は、養殖場情報として電動弁34の開閉状態を外部サーバ12に送信する。したがって、養殖場の管理者は、制御装置40から外部サーバ12に送信された電動弁34の開閉状態によって、養殖場外にいても、電動弁34の開閉動作を監視できる。つまり、養殖場の管理者は、電動弁34の開閉動作を遠隔監視できる。
【0060】
(2)制御装置40は、電動弁34の累積の開閉回数を記憶している。制御装置40は、養殖場情報として電動弁34の累積の開閉回数を外部サーバ12に送信する。したがって、養殖場の管理者は、電動弁34の開閉回数を確認することができる。電動弁34の開閉回数は、例えば、電動弁34の劣化状態を把握するために用いることができる。したがって、養殖場の管理者は、電動弁34が故障する前に電動弁34を取り替えるといった対応が可能になる。
【0061】
(3)養殖場の遠隔監視システム10は、情報端末13を備えている。外部サーバ12は、情報端末13に養殖場情報を送信可能である。したがって、養殖場の管理者は、情報端末13を用いて養殖場情報を容易に確認できる。
【0062】
(4)情報端末13は、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末である。このため、養殖場の管理者は、情報端末13を持ち運ぶことができる。したがって、例えば、養殖場の管理者は、所望の場所で養殖場を監視したり、移動しながら養殖場を監視したりすることができる。
【0063】
(5)情報端末13は、任意の時間における養殖場情報を外部サーバ12に要求可能である。外部サーバ12は、情報端末13によって要求された時間における養殖場情報を情報端末13に送信する。したがって、例えば、養殖場の管理者は、養殖場をリアルタイムで遠隔監視したり、過去の特定の期間における養殖場情報を確認したりできる。
【0064】
(6)制御装置40は、測定装置20の測定結果と自身が記憶している制御用閾値に基づいて調整装置30を制御する。情報端末13は、制御用閾値を設定可能である。情報端末13は、設定した制御用閾値を外部サーバ12に送信する。外部サーバ12は、情報端末13から受信した制御用閾値を制御装置40に送信する。制御装置40は、外部サーバ12から制御用閾値を受信すると、記憶している制御用閾値を外部サーバ12から受信した制御用閾値に更新する。つまり、制御装置40は、情報端末13が設定した制御用閾値に基づいて調整装置30を制御する。この場合、養殖場の管理者は、養殖場外にいても、情報端末13を用いて制御用閾値を設定することができる。つまり、養殖場の管理者は、制御用閾値を遠隔で設定することができる。
【0065】
(7)制御装置40は、養殖槽100内の異常を検知可能である。制御装置40は、養殖槽100内の以上を検知した場合、外部サーバ12に異常発生信号を送信する。外部サーバ12は、制御装置40から異常発生信号を受信すると、情報端末13に対して異常発生通知を行う。したがって、養殖場の管理者は、養殖槽100内に異常が発生したことに気付きやすくなる。
【0066】
(8)制御装置40は、測定装置20の測定結果と自身が記憶している異常検知用閾値とに基づいて養殖槽100内の異常を検知する。情報端末13は、異常検知用閾値を設定可能である。情報端末13は、設定した異常検知用閾値を外部サーバ12に送信する。外部サーバ12は、情報端末13から受信した異常検知用閾値を制御装置40に送信する。制御装置40は、外部サーバ12から異常検知用閾値を受信すると、記憶している異常検知用閾値を外部サーバ12から受信した異常検知用閾値に更新する。つまり、制御装置40は、情報端末13が設定した異常検知用閾値に基づいて養殖槽100内の異常を検知する。この場合、養殖場の管理者は、養殖場外にいても、情報端末13を用いて異常検知用閾値を設定することができる。つまり、養殖場の管理者は、異常検知用閾値を遠隔で設定することができる。
【0067】
(9)制御装置40は、管理装置11の電気的な接続不良を検知可能である。制御装置40は、管理装置11の電気的な接続不良を検知した場合、外部サーバ12に接続不良信号を送信する。外部サーバ12は、制御装置40から接続不良信号を受信すると、情報端末13に対して接続不良通知を行う。したがって、養殖場の管理者は、管理装置11の電気的な接続不良に気付きやすくなる。
【0068】
(10)制御装置40は、測定装置20の故障を検知可能である。制御装置40は、測定装置20の故障を検知した場合、外部サーバ12に故障信号を送信する。外部サーバ12は、制御装置40から故障信号を受信すると、情報端末13に対して故障通知を行う。したがって、養殖場の管理者は、測定装置20の故障に気付きやすくなる。
【0069】
(11)制御装置40が外部サーバ12からの指令に従って電動弁34の開閉を制御する場合、外部サーバ12と制御装置40の通信状態が不通になると、制御装置40は、電動弁34の開閉を正常に制御できなくおそれがある。この場合、養殖槽100内に高濃度酸素水が供給されなくなることによって、養殖槽100内の酸素濃度が低下するおそれがある。これに対し、本実施形態では、制御装置40は、自身が記憶している制御用閾値に基づいて電動弁34の開閉を制御する。したがって、外部サーバ12と制御装置40の通信状態が不通になった場合であっても、制御装置40は電動弁34の開閉を制御できる。
【0070】
(12)外部サーバ12は、制御装置40から送信された養殖場情報を管理したり分析したりする。例えば、外部サーバ12は、養殖場情報をデータベース化したり、養殖槽100内の水温及び酸素濃度などの養殖槽情報と養殖対象の成長率との関係が分析したりする。これにより、養殖のノウハウが得られる。
【0071】
(13)本実施形態の制御装置40は、養殖槽100内の異常を検知した場合、電動弁34の制御、すなわち電動弁34の開閉動作を中断する。したがって、電動弁34に故障が生じていた場合には、電動弁34の故障による影響が広がることを抑制できる。
【0072】
(14)情報端末13は、任意の種類の養殖場情報を外部サーバ12に要求可能である。外部サーバ12は、情報端末13によって要求された種類の養殖場情報を情報端末13に送信する。したがって、例えば、養殖場の管理者は、情報端末13によって電動弁34の開閉状態だけを外部サーバ12に要求することで、電動弁34の開閉動作のみを監視することができる。
【0073】
(15)養殖対象の品質は、養殖槽100内の水温や酸素濃度と関連している。したがって、管理者は、養殖期間における養殖槽情報を情報端末13にダウンロードすることによって、ダウンロードした情報を養殖対象の品質保証として養殖対象の出荷先に提出することができる。
【0074】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0075】
・養殖対象は、魚に限定されない。養殖対象は、貝などの魚以外の水産物であってもよい。
・外部サーバ12は、クラウドでなくてもよい。外部サーバ12は、養殖場外に設けられたサーバルームに設置されている設置型のサーバであってもよい。この場合、養殖場の遠隔監視システム10は、情報端末13を備えていなくてもよい。管理者は、例えば、外部サーバ12と接続されたディスプレイによって養殖場を遠隔監視する。管理者は、例えば、外部サーバ12と接続されたマウスやキーボードなどの入力装置によって、制御用閾値や異常検知用閾値を設定する。
【0076】
・養殖場の遠隔監視システム10は、複数の養殖場に設けられた複数の管理装置11を備えていてもよい。この場合、外部サーバ12は、複数の管理装置11と通信可能である。外部サーバ12は、複数の管理装置11から養殖場情報を受信したり、複数の管理装置11に制御装置40の設定情報を送信したりすることができる。
【0077】
・養殖場の遠隔監視システム10は、複数の情報端末13を備えていてもよい。複数の情報端末13はそれぞれ、外部サーバ12と通信可能である。外部サーバ12は、複数の情報端末13に養殖場情報を送信したり、複数の情報端末13から制御装置40の設定情報を受信したりすることができる。したがって、養殖場の管理者が複数人存在する場合において、各管理者が情報端末13を所持していれば、各管理者は、他の管理者と異なる場所いたとしても、養殖場を遠隔監視したり、制御用閾値や異常検知用閾値を設定したりできる。
【0078】
・情報端末13は、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末に限定されない。情報端末13は、デスクトップパソコンであってもよい。
・情報端末13は、1人の管理者が使用する専用端末であってもよいし、複数人の管理者が共用する共用端末であってもよい。
【0079】
・測定装置20は、水温センサ21及び溶存酸素センサ22に加えて、他のセンサも含んでいてもよい。他のセンサとしては、例えば、養殖槽100内の塩分濃度を測定するセンサや養殖槽100内のリンの量を測定するセンサ、養殖場の気温を測定する温度計などが挙げられる。制御装置40は、測定された塩分濃度やリンの量、養殖場の気温を養殖槽情報として外部サーバ12に送信してもよい。
【0080】
・養殖槽100内に酸素を供給する方法は、酸素溶解装置32が生成した高濃度酸素水を養殖槽100内に供給する方法に限定されない。例えば、酸素濃度調整装置31は、酸素溶解装置32の代わりに、養殖槽100内の水を撹拌する撹拌装置と、養殖槽100内に酸素を供給する酸素供給装置とを有していてもよい。酸素供給装置と酸素供給源33とは、接続配管36によって接続されている。この場合、攪拌装置が養殖槽100内の水を撹拌している状態で、酸素供給装置が養殖槽100内に酸素を供給することにより、養殖槽100内の酸素濃度を上昇させる。なお、酸素供給装置は、養殖槽100内の水面上に配置されていてもよい。
【0081】
・調整装置30は、酸素濃度調整装置31に加えて、他の調整装置を含んでいてもよい。他の調整装置としては、例えば、養殖槽100内の水温を調整する水温調整装置などが挙げられる。水温調整装置としては、例えば、養殖槽100内に冷水や温水を供給する供給装置や、養殖槽100内の水を温めるヒータが挙げられる。
【0082】
・電動弁34は、電磁弁に限定されない。電動弁34は、例えば、ポンプによって送られた流体により、弁が動作するものであってもよい。
・電動弁34は、ノーマルオープンの弁であってもよいし、ノーマルクローズの弁であってもよい。
【0083】
・検出部37は、例えば、気体の流量計により流体の流れを検出することによって、電動弁34の開閉状態を検出してもよい。
・制御装置40は、電動弁34の累積の開閉回数を記憶していなくてもよい。
【0084】
・情報端末13は、任意の時間における養殖場情報を外部サーバ12に要求可能でなくてもよい。この場合、外部サーバ12は、記憶している全期間の養殖場情報を情報端末13に送信する。
【0085】
・情報端末13は、任意の種類の養殖場情報を外部サーバ12に要求可能でなくてもよい。この場合、外部サーバ12は、記憶している全種類の養殖場情報を情報端末13に送信する。
【0086】
・制御装置40は、調整装置30の制御として、電動弁34の開閉を制御することに加えて、例えば、上述した水温調整装置を制御してもよい。
具体的には、制御装置40は、水温調整装置を制御するための制御用閾値としての制御用水温上限閾値及び制御用水温下限閾値を記憶している。制御装置40は、水温センサ21が測定した養殖槽100内の水温が制御用水温上限閾値よりも高い場合、供給装置から養殖槽100内に冷水を供給させる。制御装置40は、水温センサ21が測定した養殖槽100内の水温が制御用水温下限閾値よりも低い場合、供給装置から養殖槽100内に温水を供給させるか、又はヒータを作動させる。
【0087】
・制御用閾値は、固定値であってもよい。この場合、情報端末13による制御用閾値の設定は行われない。
・情報端末13は、上述した制御用水温上限閾値や制御用水温下限閾値を設定可能であってもよい。
【0088】
・制御装置40は、養殖槽100内の異常を検知しなくてもよい。この場合、情報端末13に対する異常発生通知は行われない。
・制御装置40は、養殖槽100内の異常の検知として、例えば、養殖槽100内の水温の異常も検知してもよい。養殖槽100内の水温の異常は、例えば、水温調整装置の故障によって発生する。
【0089】
具体的には、制御装置40は、養殖槽100内の水温の異常を検知するための異常検知用閾値としての異常検知用水温上限閾値及び異常検知用水温下限閾値を記憶していてもよい。制御装置40は、水温センサ21が測定した養殖槽100内の水温が異常検知用水温上限閾値よりも高い場合、養殖槽100内の水温が高温になる異常が発生していると判断する。制御装置40は、水温センサ21が測定した養殖槽100内の水温が異常検知用水温下限閾値よりも低い場合、養殖槽100内の水温が低温になる異常が発生していると判断する。
【0090】
・制御装置40は、養殖槽100内の異常を検知した場合であっても、電動弁34の制御、すなわち電動弁34の開閉動作を続行してもよい。
・異常検知用閾値は、固定値であってもよい。この場合、情報端末13による異常検知用閾値の設定は行われない。
【0091】
・情報端末13は、上述した異常検知用水温上限閾値や異常検知用水温下限閾値を設定可能であってもよい。
・制御装置40は、管理装置11の電気的な接続不良を検知しなくてもよい。この場合、情報端末13に対する接続不良通知は行われない。
【0092】
・制御装置40は、測定装置20の故障を検知しなくてもよい。この場合、情報端末13に対する故障通知は行われない。
・外部サーバ12に通知対象情報として登録されるメールアドレスは1つでなくてもよい。管理者が複数人存在する場合には、例えば、管理者の人数分のメールアドレスが通知対象情報として外部サーバ12に登録されてもよい。
【0093】
・通知対象情報は、異常発生通知用の通知対象情報、接続不良通知用の通知対象情報、及び故障通知用通知対象情報として、個別に登録されていてもよい。
・管理者は、通知対象情報の追加や削除といった変更作業を任意のタイミングで行うことができる。
【0094】
・外部サーバ12は、メールの送信以外の方法によって、情報端末13に対して各種通知を行ってもよい。例えば、管理者が情報端末13にインストールされたアプリを用いて養殖場情報を閲覧する場合、外部サーバ12は、アプリを介したプッシュ通知によって、情報端末13に対して各種通知を行ってもよい。
【0095】
・制御装置40は、自身が記憶している制御用閾値に基づいて電動弁34の開閉を制御する第1制御モードと、情報端末13からの指令に従って電動弁34の開閉を制御する第2制御モードとで切り替え可能に構成されていてもよい。情報端末13は、管理者の操作に基づいて、第1制御モードと第2制御モードとを切り替える。
【0096】
第2制御モードでは、情報端末13は、管理者の操作に基づいて、外部サーバ12に電動弁34の開閉指令を送信する。外部サーバ12は、情報端末13から受信した電動弁34の開閉指令を制御装置40に送信する。制御装置40は、外部サーバ12から受信した電動弁34の開閉指令に従って電動弁34の開閉を制御する。この場合、管理者は、養殖槽100内の酸素濃度に関わらず、電動弁34の開閉を遠隔で制御できる。
【0097】
・外部サーバ12は、情報端末13が電波の届かないところにある場合など情報端末13に対して各種通知を行うことができなかった場合、再度各種通知をするように構成されていてもよい。
【0098】
・情報端末13は、制御装置40の状態を確認可能に構成されていてもよい。制御装置40の状態とは、例えば、制御装置40の通信状態や制御装置40の電源状態である。
【符号の説明】
【0099】
10…養殖場の遠隔監視システム、11…管理装置、12…外部サーバ、13…情報端末、20…測定装置、21…水温センサ、22…溶存酸素センサ、30…調整装置、31…酸素濃度調整装置、34…電動弁、40…制御装置、100…養殖槽。
図1