(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135479
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物
(51)【国際特許分類】
C08G 59/22 20060101AFI20240927BHJP
C08G 59/06 20060101ALI20240927BHJP
C07D 303/28 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
C08G59/22
C08G59/06
C07D303/28
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046178
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】前原 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】中西 政隆
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】遠島 隆行
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AC01
4J036DA01
4J036DB06
4J036DB15
4J036DC02
4J036DC03
4J036DC06
4J036DC09
4J036DC10
4J036DC21
4J036DC26
4J036DC31
4J036DC40
4J036DD07
4J036FA01
4J036JA01
4J036JA06
4J036JA07
4J036JA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】その硬化物が低吸水性、高耐熱性、低誘電正接に優れるエポキシ樹脂、およびこれを含有する硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるエポキシ樹脂。
(式(1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1~5のアルキル基を表す。複数存在するpはそれぞれ独立して0~4の整数を表す。qは0~9の整数を表す。)
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるエポキシ樹脂。
【化1】
(式(1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1~5のアルキル基を表す。複数存在するpはそれぞれ独立して0~4の整数を表す。qは0~9の整数を表す。)
【請求項2】
【請求項3】
請求項1または2に記載のエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、硬化剤または硬化促進剤を含有する請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項3または4に記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエポキシ樹脂、硬化性樹脂組成物、およびその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、電気的性質、機械的性質、接着性、熱的性質などに優れているため、注型品、積層板、IC封止材料等の電気・電子分野、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
【0003】
近年、電気・電子分野においては、樹脂組成物の難燃性、耐湿性、密着性、誘電特性等の性能向上、高純度化、フィラー(無機または有機充填剤)を高充填させるための低粘度化、成型サイクルを短くするための反応性向上等の諸特性の一層の向上が求められている(特許文献1)。また、構造用材料としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途などにおいて軽量で機械物性の優れた材料が求められている。特に半導体封止分野、基板(基板自体、もしくはその周辺材料)においては、その半導体の変遷に従い、薄層化、スタック化、システム化、三次元化と複雑になっていき、非常に高いレベルの耐熱性や低吸水、低誘電正接といった特性が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、その硬化物が低吸水性、高耐熱性、低誘電正接に優れるエポキシ樹脂、およびこれを含有する硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は以下の[1]~[5]に関する。なお、本願において「(数値1)~(数値2)」は上下限値を含むことを示す。
[1]
下記式(1)で表されるエポキシ樹脂。
【0007】
【0008】
(式(1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1~5のアルキル基を表す。複数存在するpはそれぞれ独立して0~4の整数を表す。qは0~9の整数を表す。)
[2]
下記式(2)で表されるエポキシ樹脂。
【0009】
【0010】
[3]
前項[1]または[2]に記載のエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物。
[4]
さらに、硬化剤または硬化促進剤を含有する前項[3]に記載の硬化性樹脂組成物。
[5]
前項[3]に記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、その硬化物が低吸水性、高耐熱性、低誘電正接に優れるエポキシ樹脂、およびこれを含有する硬化性樹脂組成物を提供することが可能である。そのため、本発明のエポキシ樹脂は電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態のエポキシ樹脂は、下記式(1)で表される。
【0014】
【0015】
(式(1)中、複数存在するRはそれぞれ独立して、水素原子または炭素数1~5のアルキル基を表す。複数存在するpはそれぞれ独立して0~4の整数を表す。qは0~9の整数を表す。)
【0016】
式(1)中、Rは水素原子または炭素数1~5のアルキル基を表し、より好ましくは水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、さらに好ましくは水素原子またはメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。pは0~4の整数を表し、より好ましくは0~2の整数であり、さらに好ましくは0である。qは0~9の整数を表し、より好ましくは0~7の整数であり、さらに好ましくは0~5の整数であり、特に好ましくは0である。なお、qが9であるときはフルオレン環の水素原子全てが置換されることを示す。
【0017】
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂は、常温で半固形~固体の樹脂状の形状を取り得る。この場合、軟化点は120℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは100℃以下である。軟化点が120℃より高い場合、粘度が高く、プリプレグ作成時に繊維含侵性が低下する。
【0018】
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂のエポキシ当量は200~1000g/eqであることが好ましく、さらに好ましくは220~800g/eq、特に好ましくは240~700g/eq、最も好ましくは245~600g/eqである。
【0019】
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂の150℃でのICI粘度は0.01~1.2Pa・sであることが好ましく、0.01~1.0Pa・sであることがより好ましく、さらに好ましくは0.01~0.8Pa・sである。上記の範囲であれば、封止材組成物とした際に、封止材としての適切な流動性を確保することができる。
【0020】
前記式(1)で表されるエポキシ樹脂の好ましい構造の一例としては下記式(2)で表されるエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0021】
【0022】
本実施形態のエポキシ樹脂の製法は特に限定されないが、たとえば下記式(3)で表されるフェノール樹脂とエピハロヒドリンを溶剤、触媒の存在下に付加もしくは閉環反応させることで得ることができる。エピハロヒドリンの使用量はフェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対し1.0~20.0モルであることが好ましく、より好ましくは1.5~10.0モルである。
【0023】
【0024】
式(3)中、R、p、qの値および好ましい範囲は、前記式(1)と同じである。
【0025】
エポキシ化反応において使用できるアルカリ金属水酸化物としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ金属水酸化物は固形物であっても、その水溶液を使用してもよい。水溶液を使用する場合は該アルカリ金属水酸化物の水溶液を連続的に反応系内に添加すると共に減圧下または常圧下連続的に水及びエピハロヒドリンを留出させ、更に分液して水を除去し、エピハロヒドリンを反応系内に連続的に戻す方法でもよい。アルカリ金属水酸化物の使用量はフェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対して0.9~2.5モルであることが好ましく、より好ましくは0.95~1.5モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量が少ないと反応が十分に進行しない。一方で、フェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対して2.5モルを超えるアルカリ金属水酸化物の過剰使用は不必要な廃棄物の副生を招く。
【0026】
上記反応を促進するためにテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩を触媒として添加しても良い。4級アンモニウム塩の使用量としてはフェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対し通常0.1~15gであり、好ましくは0.2~10gである。使用量が少なすぎると十分な反応促進効果が得られず、使用量が多すぎるとエポキシ樹脂中に残存する4級アンモニウム塩量が増えてしまうため、電気信頼性を悪化させる原因ともなり得る。
【0027】
エポキシ化反応の際、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒などを添加して反応を行うことが反応進行上好ましい。アルコール類を使用する場合、その使用量はエピハロヒドリンの使用量に対し2~50重量%であることが好ましく、より好ましくは4~20重量%である。また非プロトン性極性溶媒を用いる場合はエピハロヒドリンの使用量に対し5~100重量%であることが好ましく、より好ましくは10~80重量%である。反応温度は30~90℃であることが好ましく、より好ましくは35~80℃である。反応時間は0.5~100時間であることが好ましく、より好ましくは1~30時間である。
反応終了後、反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行い、閉環を確実なものにすることもできる。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はグリシジル化に使用したフェノール樹脂のフェノール性水酸基1モルに対して0.01~0.3モルであることが好ましく、より好ましくは0.05~0.2モルである。反応温度は50~120℃であることが好ましく、反応時間は0.5~24時間であることが好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下溶剤を留去することにより本実施形態のエポキシ樹脂が得られる。
【0028】
つづいて、前記式(3)で表されるフェノール樹脂の製法について説明する。前記式(3)で表されるフェノール樹脂の製法は特に限定されないが、例えば、アセチルフルオレン系化合物とフェノール系化合物を塩酸等の酸触媒下で反応させることにより得ることができる。この際、フェノール系化合物の置換基としては無置換、または炭素数1~5のアルキル基を有していることが好ましく、耐熱性向上の観点から、無置換、または炭素数1~3のアルキル基を有していることがより好ましい。合成の際には、酸触媒として塩酸、燐酸、硫酸、蟻酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸のほか、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸、活性白土、酸性白土、ホワイトカーボン、ゼオライト、シリカアルミナ等の固体酸、酸性イオン交換樹脂等を用いることができる。これらは単独でも二種以上併用しても良い。触媒の使用量は、反応基質であるフルオレン系化合物およびフェノール系化合物の重量の総和に対して、1~200重量%であることが好ましく、より好ましくは50重量%である。触媒の使用量が多すぎると無用な廃棄物が増える恐れがあり、少なすぎると反応の進行が遅くなる恐れがある。反応は必要によりトルエン、キシレンなどの有機溶剤を使用して行っても、無溶剤で行っても良い。使用する溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族溶剤、シクロヘキサン、n-ヘキサンなどの脂肪族溶剤、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンなどのケトン系溶剤などの非水溶性溶剤が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、2種以上を併用しても良い。また、前記非水溶性溶剤に加えて非プロトン性極性溶剤を併用することもできる。例えば、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドンなどが挙げられ、2種以上を併用しても良い。非プロトン性極性溶剤を使用する場合は、併用する非水溶性溶剤よりも沸点の高いものを使用することが好ましい。反応温度は20~120℃が好ましく、30~110℃がより好ましく、40℃から100℃がさらに好ましい。反応終了後、アルカリ水溶液等で酸性触媒を中和後、油層に非水溶性有機溶剤を加えて廃水が中性になるまで水洗を繰り返したのち、溶剤を加熱減圧下において除去する。活性白土やイオン交換樹脂を用いた場合は、反応終了後に反応液を濾過して触媒を除去する。
【0029】
前記式(3)で表されるフェノール樹脂の好ましい構造の一例としては下記式(4)で表されるフェノール樹脂を挙げることができる。
【0030】
【0031】
以下、本実施形態の硬化性樹脂組成物について説明する。
本実施形態の硬化性樹脂組成物において、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂は単独、または他のエポキシ樹脂と併用して使用することができる。併用する場合、前記式(1)で表されるエポキシ樹脂が全エポキシ樹脂中に占める割合は10~98重量%であることが好ましく、より好ましくは20~95重量%、さらに好ましくは30~95重量%である。添加量を10%以上とすることで低誘電正接向上や高耐熱性、低吸水性、高弾性率、高流動性を発現することができる。
【0032】
本実施形態のエポキシ樹脂と併用しうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)もしくはフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物;前記フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物;前記フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物;前記フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物;前記ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物またはアルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0033】
本実施形態の硬化性樹脂組成物において使用しうる硬化剤としては、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミド系硬化剤、フェノール系硬化剤などが挙げられる。使用できる硬化剤の具体例としては、例えばo-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、2,2’-ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチル-5,5’-ジメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトラメチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトラエチルジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-3,3’,5,5’-テトライソプロピルジフェニルメタン、4,4’-メチレンビス(N-メチルアニリン)、ビス(アミノフェニル)フルオレン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2’-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-(1,3-フェニレンジソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(1,4-フェニレンジソプロピリデン)ビスアニリン、ナフタレンジアミン、ベンジジン、ジメチルベンジジン、国際公開第2017/170551号合成例1および合成例2に記載の芳香族アミン化合物等の芳香族アミン化合物、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ノルボルナンジアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ダイマージアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン等が挙げられるが、これに限定されず、組成物に付与したい特性に応じ好適に用いることができる。ポットライフを確保するためには芳香族アミンを使用することが好ましく、即硬化性を付与したい場合には脂肪族アミンを使用することが好ましい。2官能成分を主成分として含有するアミン系化合物を硬化剤として用いることで、硬化反応時、直線性の高いネットワークを構築することができ、特に優れた強靭性を発現することができる。また、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等のアミド系化合物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物系化合物;ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)もしくはフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、または前記フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、または前記フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、または前記フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル、ビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物、または前記ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、及びこれらの変性物等のフェノール系化合物;トリフルオロボラン-アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるがこれらに限定されることはない。また、前記式(3)で表されるフェノール樹脂、前記式(4)で表されるフェノール樹脂を硬化剤として用いることもできる。
【0034】
本実施形態の硬化性樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5~1.5当量が好ましく、0.6~1.2当量が特に好ましい。0.5~1.5当量とすることで良好な硬化物性を得ることができる。
【0035】
上記硬化剤を用いて硬化反応を行う際には硬化促進剤を併用しても差し支えない。使用できる硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフトエ酸、サリチル酸等のカルボン系酸化合物などが挙げられる。アミン系化合物とエポキシ樹脂の硬化反応を促進する観点からサリチル酸等のカルボン酸系化合物が好ましい。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.01~15重量部が必要に応じ用いられる。
【0036】
更に、本実施形態の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤は、用途によりその使用量は異なるが、例えば半導体の封止剤用途に使用する場合は硬化性樹脂組成物の硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質、難燃性などの面から硬化性樹脂組成物中で20重量%以上占める割合で使用するのが好ましく、より好ましくは30重量%以上であり、特にリードフレームとの線膨張率を向上させるために70~95重量%を占める割合で使用することがさらに好ましい。
【0037】
本実施形態の硬化性樹脂組成物には成形時の金型との離型を良くするために離型剤を配合することができる。離型剤としては従来公知のものいずれも使用できるが、例えばカルナバワックス、モンタンワックスなどのエステル系ワックス、ステアリン酸、パルチミン酸などの脂肪酸およびこれらの金属塩、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。これら離型剤の配合量は全有機成分に対して0.5~3重量%が好ましい。これより少なすぎると金型からの離型が悪く、多すぎるとリードフレームなどとの接着が悪くなる。
【0038】
本実施形態の硬化性樹脂組成物には無機充填剤と樹脂成分との接着性を高めるためにカップリング剤を配合することができる。カップリング剤としては従来公知のものをいずれも使用できるが、例えばビニルアルコキシシラン、エポキアルコキシシラン、スチリルアルコキシシラン、メタクリロキシアルコキシシラン、アクリロキシアルコキシシラン、アミノアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、イソシアナートアルコキシシランなどの各種アルコキシシラン化合物、アルコキシチタン化合物、アルミニウムキレート類などが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用しても良い。カップリング剤の添加方法は、カップリング剤であらかじめ無機充填剤表面を処理した後、樹脂と混練しても良いし、樹脂にカップリング剤を混合してから無機充填剤を混練しても良い。
【0039】
更に本実施形態の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。用いうる添加剤の具体例としては、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂、マレイミド系化合物、シアネートエステル系化合物、シリコーンゲル、シリコーンオイル、並びにカーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の着色剤などが挙げられる。以下に好ましい化合物の具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。
【0040】
ポリフェニレンエーテル化合物:ポリフェニレンエーテル化合物としては、公知のいかなるものを用いてもよいが、耐熱性と電気特性の観点から、エチレン性不飽和二重結合を有するポリフェニレンエーテル化合物であることが好ましく、アクリル基、メタクリル基、又はスチレン構造を有するポリフェニレンエーテル化合物であることがさらに好ましい。市販品としては、SA-9000-111(SABIC社製、メタクリル基を有するポリフェニレンエーテル化合物)やOPE-2St 1200(三菱瓦斯化学社製、スチレン構造を有するポリフェニレンエーテル化合物)などが挙げられる。
ポリフェニレンエーテル化合物の数平均分子量(Mn)は、500~5000であることが好ましく、2000~5000であることがより好ましく、2000~4000であることがより好ましい。分子量が500未満であると、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られない傾向がある。また、分子量が5000より大きいと、溶融粘度が高くなり、充分な流動性が得られないため、成形不良となりやすくなる傾向がある。また、反応性も低下して、硬化反応に長い時間を要し、硬化系に取り込まれずに未反応のものが増加して、硬化物のガラス転移温度が低下し、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。
ポリフェニレンエーテル化合物の数平均分子量が500~5000であれば、優れた誘電特性を維持したまま、優れた耐熱性及び成形性等を発現させることができる。なお、ここでの数平均分子量は、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
【0041】
ポリフェニレンエーテル化合物は、重合反応により得られたものであっても、数平均分子量10000~30000程度の高分子量のポリフェニレンエーテル化合物を再分配反応させて得られたものであってもよい。また、これらを原料として、メタクリルクロリド、アクリルクロリド、クロロメチルスチレン等、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物と反応させることでラジカル重合性を付与してもよい。再分配反応によって得られたポリフェニレンエーテル化合物は、例えば、高分子量のポリフェニレンエーテル化合部をトルエン等の溶媒中で、フェノール化合物とラジカル開始剤との存在下で加熱し再分配反応させて得られる。このように再分配反応により得られるポリフェニレンエーテル化合物は、分子鎖の両末端に硬化に寄与するフェノール系化合物に由来する水酸基を有するために、さらに高い耐熱性を維持することができることに加え、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物で変性した後も分子鎖の両末端に官能基を導入できる点から好ましい。また、重合反応により得られたポリフェニレンエーテル化合物は、優れた流動性を示す点から好ましい。
【0042】
ポリフェニレンエーテル化合物の分子量の調整は、重合反応により得られたポリフェニレンエーテル化合物の場合、重合条件等を調整することにより行うことができる。また、再分配反応によって得られたポリフェニレンエーテル化合物の場合は、再分配反応の条件等を調整することにより、得られるポリフェニレンエーテル化合物の分子量を調整することができる。より具体的には、再分配反応において用いるフェノール系化合物の配合量を調整すること等が考えられる。すなわち、フェノール系化合物の配合量が多いほど、得られるポリフェニレンエーテル化合物の分子量が低くなる。この際、再分配反応を受ける高分子量のポリフェニレンエーテル化合物としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)等を用いることができる。また、前記再分配反応に用いられるフェノール系化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のように、フェノール性水酸基を分子中に2個以上有する多官能のフェノール系化合物が好ましく用いられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
また、ポリフェニレンエーテル化合物の含有量は、特に限定されないが、硬化性樹脂成分合計重量に対して、10~90重量%であることが好ましく、20~80重量%であることがより好ましい。ポリフェニレンエーテル化合物の含有量が10~90重量%であると、耐熱性等に優れるだけではなく、ポリフェニレンエーテル化合物の有する優れた誘電特性を充分に発揮された硬化物が得られる点で好ましい。
【0044】
活性アルケン含有樹脂:前記のフェノール樹脂と活性アルケン含有のハロゲン系化合物(クロロメチルスチレン、アリルクロライド、メタリルクロライド、アクリル酸クロリド、アリルクロライド等)の重縮合物、活性アルケン含有フェノール類(2-アリルフェノール、2-プロペニルフェノール、4-アリルフェノール、4-プロペニルフェノール、オイゲノール、イソオイゲノール等)とハロゲン系化合物(4,4’-ビス(メトキシメチル)-1,1’-ビフェニル、1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ジブロモベンゾフェノン、塩化シアヌル等)の重縮合物、エポキシ樹脂若しくはアルコール類と置換若しくは非置換のアクリレート類(アクリレート、メタクリレート等)の重縮合物、マレイミド樹脂(4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2’-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、4,4’-ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルフォンビスマレイミド、1,3-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン)、ザイロック型マレイミド樹脂(アニリックス マレイミド、三井化学ファイン株式会社製)ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(特開2009-001783号公報の実施例4に記載のマレイミド樹脂(M2)を含む樹脂溶液を減圧下溶剤留去することにより固形化したもの)ビスアミノクミルベンゼン型マレイミド(国際公開第2020/054601号記載のマレイミド樹脂)。
【0045】
イソシアネート樹脂:p-フェニレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-キシレンジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環構造のジイソシアネート類;イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体又は、上記ジイソシアネート化合物を3量化したイソシアネート体等のポリイソシアネート;上記イソシアネート化合物とポリオール化合物とのウレタン化反応によって得られるポリイソシアネート。
【0046】
ポリアミド樹脂:アミノ酸(6-アミノカプロン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等)、ラクタム(ε-カプロラクタム、ω-ウンデカンラクタム、ω-ラウロラクタム)および「ジアミン(エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2-メチル-1,5-ジアミノペンタン、2-メチル-1,8-ジアミノオクタンなどの脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン等とジカルボン酸(シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸;これらジカルボン酸のジアルキルエステル、およびジクロリド)との混合物から選ばれた1種以上を主たる原料とした重合物。
【0047】
ポリイミド樹脂:前記のジアミンとテトラカルボン酸二無水物(4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-シクロヘキセン-1,2ジカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、メチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、2,2’-プロピリデン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-トリメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,4-テトラメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,5-ペンタメチレン-4,4’-ジフタル酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸二無水物 、チオ-4,4’-ジフタル酸二無水物、スルホニル-4,4’-ジフタル酸二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、1,3-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、1,4-ビス[2-(3,4-ジカルボキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン二無水物、ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]メタン二無水物、2,2-ビス[3-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジメチルシラン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8-フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物)、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、カルボニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、メチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,2-エチレン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、1,1-エチリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、2,2-プロピリデン-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、オキシ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、チオ-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、スルホニル-4,4’-ビス(シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸)二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、rel-[1S,5R,6R]-3-オキサビシクロ[3,2,1]オクタン-2,4-ジオン-6-スピロ-3’-(テトラヒドロフラン-2’,5’-ジオン)、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、エチレングリコール-ビス-(3,4-ジカルボン酸無水物フェニル)エーテル、4,4’-ビフェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、9,9’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物)との重縮合物。
【0048】
シアネートエステル樹脂:フェノール樹脂をハロゲン化シアンと反応させることにより得られるシアネートエステル化合物であり、具体例としては、ジシアナートベンゼン、トリシアナートベンゼン、ジシアナートナフタレン、ジシアンートビフェニル、2、2’-ビス(4-シアナートフェニル)プロパン、ビス(4-シアナートフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアナートフェニル)メタン、2,2’-ビス(3,5-ジメチル-4-シアナートフェニル)プロパン、2,2’-ビス(4-シアナートフェニル)エタン、2,2’-ビス(4-シアナートフェニル)ヘキサフロロプロパン、ビス(4-シアナートフェニル)スルホン、ビス(4-シアナートフェニル)チオエーテル、フェノールノボラックシアナート、フェノール・ジシクロペンタジエン共縮合物の水酸基をシアネート基に変換したもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、特開2005-264154号公報に合成方法が記載されているシアネートエステル化合物は、低吸湿性、難燃性、低誘電特性に優れているためシアネートエステル化合物として特に好ましい。
シアネートエステル樹脂は、必要に応じてシアネート基を三量化させてsym-トリアジン環を形成するために、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉛、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、鉛アセチルアセトナート、ジブチル錫マレエート等の触媒を含有させることもできる。触媒は、硬化性樹脂組成物の合計重量100重量部に対して通常0.0001~0.10重量部、好ましくは0.00015~0.0015重量部使用する。
【0049】
活性エステル樹脂:本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化剤として1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を必要に応じて用いることができる。活性エステル樹脂としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル樹脂は、カルボン酸化合物及びチオカルボン酸化合物の少なくともいずれかの化合物と、ヒドロキシ化合物及びチオール化合物の少なくともいずれかの化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及びナフトール化合物の少なくともいずれかの化合物とから得られる活性エステル樹脂が好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル樹脂の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂、ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル樹脂が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル樹脂の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」、「EXB-8150-65T」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂として「EXB9416-70BK」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル樹脂として「DC808」(三菱化学社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル樹脂として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱化学社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル樹脂として「DC808」(三菱化学社製);リン原子含有活性エステル樹脂としてDIC社製の「EXB-9050L-62M」;等が挙げられる。
【0050】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤(硬化触媒)を併用して硬化性を向上させることもできる。用い得る硬化促進剤の具体例として、オレフィン化合物やマレイミド化合物等のラジカル重合可能な硬化性樹脂の自己重合やその他の成分とのラジカル重合を促進する目的でラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。用い得るラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、過酸化ベンゾイル等のジアシルパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイド、1,3-ビス-(t-ブチルパーオキシイソプロピル)-ベンゼン等のジアルキルパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等のパーオキシカーボネート類、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシオクトエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物の公知の硬化促進剤が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類等が好ましく、ジアルキルパーオキサイド類がより好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量としては、硬化性樹脂組成物の100重量部に対して0.01~5重量部が好ましく、0.01~3重量部が特に好ましい。用いるラジカル重合開始剤の量が多いと重合反応時に分子量が十分に伸長しない。
【0051】
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られる。本実施形態の硬化性樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えば、エポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、無機充填剤、離型剤、シランカップリング剤及び添加剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合することより本実施形態の硬化性樹脂組成物を得て、これを溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80~200℃で2~10時間に加熱することにより硬化物を得ることができる。
【0052】
また本実施形態の硬化性樹脂組成物は必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。溶剤を含む硬化性樹脂組成物(ワニス)はガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの繊維状物質(基材)に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本実施形態の硬化性樹脂組成物の硬化物とすることができる。この硬化性樹脂組成物の溶剤含量は、内割りで通常10~70重量%、好ましくは15~70重量%程度である。溶剤としては例えばγ-ブチロラクトン類、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルイミダゾリジノン等のアミド系溶剤;テトラメチレンスルフォン等のスルフォン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、好ましくは低級(炭素数1~3)アルキレングリコールのモノ又はジ低級(炭素数1~3)アルキルエーテル;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、好ましくは2つのアルキル基が同一でも異なってもよい。ジ低級(炭素数1~3)アルキルケトン;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤等が挙げられる。これらは単独であっても、また2以上の混合溶媒であってもよい。
【0053】
また、剥離フィルム上に前記エポキシ樹脂ワニスを塗布し加熱下で溶剤を除去、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤(単にシートとも言う。)を得ることができる。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することができる。
【0054】
本実施形態で得られる硬化物は各種用途に使用できる。詳しくはエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
【0055】
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
【0056】
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI用などのポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップ用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
【実施例0057】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例において、エポキシ当量はJIS K-7236、軟化点はJIS K-7234に準じた方法で測定した。軟化点は、METLER TOLEDO社 軟化点測定器 FP90を用い測定した。
【0058】
・GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析
カラム:SHODEX GPC KF-601(2本)、KF-602、KF-602.5、KF-603
流速:1.5ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0059】
・GC-MS(ガスクロマトグラフィー重量分析法)分析
装置:JEОL製JMS-Q1500GC
カラム:Agilent製HP-5ms 30m×0.25mm i.d.(膜厚0.25μm)
キャリア:He 1.5mL/min Split 1/30
インジェクション温度:300℃
オーブン温度:100℃(2min)-310℃(37min)10℃/min昇温
イオン化電流:70eV
イオン化:EI
サンプルインジェクション:1μL
【0060】
・1H-NMR(プロトン核磁気共鳴)分析
装置:JNM-ECS400
積算回数:8
緩和時間:5秒
溶剤:CDCL3
測定温度:室温
【0061】
[合成例1]
JOURNAL OF POLYMER RESEARCH(2019)26:17を参考にして、温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、フェノール90.3部、2-アセチルフルオレン20.0部、3-メルカプトプロピオン酸2.0部、塩酸80.0部、酢酸40.0部を加え、60℃に昇温し48時間反応させた。反応の進行に伴い、生成物が析出した。析出した生成物を酢酸エチルで溶解し、廃液が中性になるまで有機層を水洗後、濃縮し粗生成物を得た。その粗生成物をカラムクロマトグラフィーと再結晶により精製し、フェノール樹脂(P1)を白色固形樹脂として13.0部得た。
【0062】
[実施例1]
温度計、冷却管、分留管、撹拌機を取り付けたフラスコに窒素パージを施しながら、合成例1で得られたフェノール樹脂(P1)22.8部、エピクロルヒドリン55.6部、ジメチルスルホキシド11.3部、水1.4部を加え、内温を45℃まで昇温した。水酸化ナトリウム5.2部を1.5時間かけて分割添加後、45℃で2時間、70℃で1時間反応させた。加熱減圧下で未反応のエピクロルヒドリンおよび溶剤を留去した。MIBK59部を加え、水26部で有機層を1回洗浄した。有機層を反応容器に戻し、30wt%水酸化ナトリウム水溶液1.6部を加え、75℃で1時間反応させた。放冷後、水10部で有機層を5回洗浄し、加熱減圧下、溶剤を留去し、うす黄色固形樹脂として目的化合物(E1)を27部得た。エポキシ当量は262g/eq、ICI粘度(150℃)は0.17Pa・s、軟化点は84.4℃であった。目的化合物のGC-MSチャートを
図1に示す。目的化合物の
1H-NMRを
図2に示す。GC-MS分析と
1H-NMR分析より目的の化合物(a)が生成していることを確認した。
【0063】
【0064】
[実施例2、比較例1]
実施例1で得られたエポキシ樹脂(E1)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(RE-310S、エポキシ当量184g/eq、日本化薬社製)に対し、硬化促進剤として2E4MZ(2-エチル-4-メチルイミダゾール、四国化成社製)を表1に示す割合で配合し、メノウ乳鉢を用いて均一に粉砕し、硬化性樹脂組成物を得た。
この硬化性樹脂組成物をプレス成型(220℃ 120分)し、評価用試験片を得た。
【0065】
評価用試験片は下記条件で測定を行い、その結果を表1に示す。
【0066】
<耐熱性試験(Tg)>
動的粘弾性試験機を用いてガラス転移温度(tanδが最大値のときの温度)を測定した。
・動的粘弾性測定器:TA-instruments製DMA-2980
・昇温速度:2℃/分
・周波数:10Hz
【0067】
<引張弾性率>
(株)島津製作所社製のオートグラフAGS-X500Nを用いて測定した。
・測定温度:室温(25℃)
・引張速度:0.5mm/min
【0068】
<吸水率>
幅2.5mm×長さ100mm×厚さ0.25mmの試験片を100℃浸水条件下、24時間保持後の重量変化より算出した。
【0069】
<誘電正接試験>
(株)AET社製の10GHz空洞共振器を用いて、25℃において空洞共振器摂動法にてテストを行った。サンプルサイズは幅2.5mm×長さ100mmとし、厚さは0.25mmで試験を行った。
【0070】
【0071】
表1の結果より、実施例2は高耐熱性、高弾性率、低吸水、低誘電正接に優れることが確認された。
本発明のエポキシ樹脂は、電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、BGA用基板、ビルドアップ基板など)、接着剤(導電性接着剤など)やCFRPを始めとする各種複合材料用、塗料等の用途に有用であり、特に、耐トラッキング性を要求される電気電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板、BGA用基板、ビルドアップ基板など)用途において有用である。