(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135483
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】体重測定装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/52 20060101AFI20240927BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240927BHJP
A47K 13/24 20060101ALI20240927BHJP
G01G 19/44 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01G19/52 F
E03D9/00 Z
A47K13/24
G01G19/44 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046190
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】太田 尚久
(72)【発明者】
【氏名】勝田 穣
(72)【発明者】
【氏名】吉村 麻里
(72)【発明者】
【氏名】三原 唯
(72)【発明者】
【氏名】村上 裕哉
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AA11
2D037AD16
2D037BA00
2D038KA03
2D038ZA03
(57)【要約】
【課題】体重測定を高い精度で行うことが可能な体重測定装置を提供すること。
【解決手段】制御装置は、便器の便座に使用者が着座したことを荷重センサが検出し始める前の第1所定時間よりも前に荷重センサが検出した値を、便座に使用者が着座していない状態の値である非着座値として使用する制御を行う、体重測定装置である。制御装置は、第1所定時間の直前の第2所定時間に荷重センサが検出した値の平均値を、非着座値として使用する制御を行う。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の上方に配置され、
荷重センサと、
前記荷重センサに電気的に接続される制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記便器の便座に使用者が着座したことを前記荷重センサが検出し始める前の第1所定時間よりも前に前記荷重センサが検出した値を、前記便座に使用者が着座していない状態の値である非着座値として使用する制御を行う、体重測定装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1所定時間の直前の第2所定時間に前記荷重センサが検出した値の平均値を、前記非着座値として使用する制御を行う、請求項1に記載の体重測定装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記便座に使用者が着座し終えたことを前記荷重センサが検出してから前記第1所定時間と前記第2所定時間との和の時間経過前に、前記便座に使用者が着座したことを前記荷重センサが検出し始めたときには、前記便座に使用者が着座し終える前に前記便座に使用者が着座していない状態の値として使用した値を、前記非着座値として使用する制御を行う、請求項2に記載の体重測定装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記荷重センサが所定の値以上の体重を検知した場合に、使用者が着座した旨の判定をする請求項1~請求項3のいずれかに記載の体重測定装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記荷重センサが所定値以上の体重を所定回数検知した場合に、使用者が着座した旨の判定をする請求項1~請求項3のいずれかに記載の体重測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、体重測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病などの生活習慣病に罹患する人の増加が社会問題となっている。生活習慣病への罹患や重症化を防止するためには、体重を適正に管理することが重要である。日常生活において、使用者に負担感がなく定期的に体重を測定できる体重測定装置として、便器装置に取り付けて使用できる便器用体重計に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-231717号公報
【特許文献2】特開2003-070688号公報
【特許文献3】特開2018-111918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に開示された技術は、体重測定を高い精度で行うことが困難であるという課題があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、体重測定を高い精度で行うことが可能な体重測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、便器の上方に配置され、荷重センサと、前記荷重センサに電気的に接続される制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記便器の便座に使用者が着座したことを前記荷重センサが検出し始める前の第1所定時間よりも前に前記荷重センサが検出した値を、前記便座に使用者が着座していない状態の値である非着座値として使用する制御を行う、体重測定装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る体重測定装置の概要図である。
【
図2】第1実施形態に係る体重測定装置の取付状態を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る体重測定装置の側面図である。
【
図6】第1実施形態に係るズレ防止ピンの接続状態を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る体重測定装置の下面図である。
【
図9】第2実施形態における、
図7のA-A線に相当する位置の断面図である。
【
図11】第4実施形態に係る下型と上型とを係止する係止部及び被係止部を説明する図である。
【
図12】第5実施形態に係るシート部材を説明する図である。
【
図13】一実施形態に係る体重測定装置の各ロードセルにより検出される荷重の値の変化を示すグラフである。
【
図14】一実施形態に係る体重測定装置のロードセルにより検出され使用される荷重の値がどのタイミングで取得されたかについて説明する図である。
【
図15】一実施形態に係る体重測定装置を適用したシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<体重測定装置>
(第1実施形態)
本実施形態に係る体重測定装置1は、
図1に示すように、便器装置10における便座装置2と、便器3との間に配置される。体重測定装置1は、上型11と、下型12と、を有する。上型11と下型12との間には、荷重センサとしてのロードセル13が収容される。上型11は、固定具21及び取付板22を介して便座装置2と接続され、下型12は、固定具31を介して便器3と接続される。上型11と、下型12とは、互いに直接当接しないように配置されており、ロードセル13を介して当接し、分離可能に接続される。これにより、下型12のみが便器3に対して固定されており、上型11が下型12にも便器3にも固定されていないため、正確に体重が測定できる。
【0009】
以下の説明においては、便器装置10の便座2aに着座した使用者(以下、単に「使用者」と記載する場合がある)から視た場合の前後方向の向きをそれぞれY1方向及びY2方向とする。同様に、使用者から視た場合の左右方向の向きをそれぞれX1方向及びX2方向とする。同様に、便器装置10の下方向をZ1方向とし、上方向をZ2方向とする。
【0010】
便座装置2は、
図2に示すように、便座2aと、便蓋2bと、機能部4と、を備える。便座2a及び便蓋2bは、便器3の上部に、便器3に対して枢動可能に取り付けられる。機能部4は、便器3のY1方向端部の中央部付近に配置される。機能部4は、例えば、便座2aを温める、便器3を洗浄する等の各種機能を実行する制御装置、及び局部洗浄装置41を有する。
【0011】
便座装置2は、取付板22を介して上型11に固定される。取付板22は、固定具21を上型11の固定孔111に挿通し締結することによって上型11に固定される。取付板22は、上型11に固定された状態で、便座装置2をY1方向にスライドさせることで便座装置2と接続される。
【0012】
体重測定装置1は、使用者の体重を測定可能な装置である。一方で、体重測定装置1は一定の厚みを有するため、便座2aの座面を高くすることができ、補高便座としての機能も有する。
【0013】
上型11は、
図3に示すように、Z1方向に開口する筐体部11aと、固定板11bと、ロードセル13a、13b、13c、及び13dと、ズレ防止ピン14a及び14bと、を有する。筐体部11aは、平面視で便座2aの形状と同様の中央部に空隙を有する形状を有する。
【0014】
ロードセル13a、13b、13c、及び13dは、使用者の体重を検出する部材である。上記ロードセルは、上型11の固定板11bに固定される。また、ロードセルが固定されている上型11の部分の下側に位置する下型12の外表面には、弾性変形可能な部材としてのゴム材が固定される。これにより、体重測定装置1のこの部分にゴム材を介して接する便器3の便鉢の上面が平坦面ではないことによる不陸の発生を抑えることが可能となる。上型11の固定板11bに平坦でない部分が成形により生じていた場合であっても、上記ロードセルが固定される部分をならすことが可能となる。上記ロードセルとしては、公知のものを用いることができ、例えば、歪みゲージを有し、抵抗変化から荷重を検出するロードセルを用いることができる。
図5に示すように、体重測定装置1に水平方向の力が加えられていない状態では、上型11に固定された各ロードセルの歪みゲージ(例えば、ロードセル13bの歪みゲージ13b1等)のみが下型12に当接した状態となっている。これによって、便座2aに着座した使用者の体重が、固定具などの部材を通じて逃げることなく、正確に体重測定を行うことができる。
【0015】
ロードセル13a、13b、13c、及び13dは、便座2aに使用者が着座した際に高い荷重が加わる高荷重位置に配置されることが好ましい。これによって、体重測定装置1により正確に体重測定を行うことができる。高荷重位置は、例えば、便座2aに使用者が着座した際に、所定の各位置に加えられる荷重又は変形量を解析した結果に基づき、比較的荷重又は変形量が高い位置として求めることができる。具体的には、高荷重位置は、便座2aに設けられた脚部に対応する位置やそれよりも後側の位置、機能部4の右側及び左側等が挙げられる。本実施形態において、ロードセル13a及び13bは、機能部4の右側及び左側にそれぞれ配置され、ロードセル13c及び13dは、便座2aに設けられた脚部に対応する位置に配置される。本実施形態において、便座2aの脚部はY2方向側に2つ設けられることを想定しているが、ロードセルの数および配置は上記に限定されない。例えば、便座2aに設けられた脚部の数が4つである場合、ロードセルは上記脚部に対応する位置、並びに機能部4の右側及び左側の合計6つ配置されてもよい。
【0016】
ズレ防止ピン14a及び14bは、上型11に設けられ、下型12に配置されるガイド15a及び15bに挿入可能な部材である。
図3に示すように、ズレ防止ピン14a及び14bは、上型の後方寄りに配置される。ここで後方寄りとは、使用者が便座に着座した際、使用者の背後側になる方向を意味する。ズレ防止ピン14a及び14bにより、使用者が便座2aに着座した際の、上型11と、下型12との間の水平方向のズレが防止される。ズレ防止ピン14a及び14bの構成については後段で詳述する。
【0017】
下型12は、
図4に示すように、Z2方向に開口する筐体部12aと、固定板12bと、ガイド15a及び15bと、を有する。筐体部12aは、筐体部11aと同様に、平面視で便座2aの形状と同様の中央部に空隙を有する形状を有する。筐体部12aは、筐体部11aよりも一回り小さな開口を有する。下型12は、固定具31を固定孔121に挿通し締結することによって便器3に固定される。
【0018】
ガイド15a及び15bは、下型12の固定板12bにおける、ズレ防止ピン14a及び14bに対応する位置に固定される。ガイド15a及び15bは、内部にズレ防止ピン14a及び14bが挿通可能な孔部hを有する。
【0019】
以下、
図5及び
図6を参照して、上記ズレ防止ピン及びガイドの構成について、ズレ防止ピン14b及びガイド15bを例に挙げて説明する。以下の説明は、他のズレ防止ピン及びガイドに対しても適用できる。
【0020】
ズレ防止ピン14bは、
図6に示すように、固定板11bに固定される基部14b1と、先端部14b2を有する。ガイド15bは、固定板12bに固定される基部15b1と、孔部hを有する。先端部14b2は、孔部hに挿入可能な略円柱形状を有するとともに、上記略円柱形状の突出方向の中央部付近に凸部Cを有する。先端部14b2の最大径である凸部Cの径L1は、孔部hの内径L2よりも小さい。これによって、ズレ防止ピン14bは、体重測定装置1に水平方向の力が加えられていない場合には、ガイド15bに当接していない状態となっている。
【0021】
上型11と下型12に対して水平方向の力が加えられた場合には、先端部14b2の凸部Cが孔部hの内径面に当接することで、上型11と下型12のズレが防止される。これによって、ズレ防止ピン14bとガイド15bが最小限の接触面積で当接するため、上型11と下型12に対して水平方向の力が加えられた場合であっても、上記ズレ防止ピン及びガイドを介して逃げてしまう荷重を最小限に抑制することができる。先端部14b2の凸部C、及び孔部hの内径面のうち、少なくともいずれかには、摺動性を向上させる潤滑剤が塗布されるか、又は、摺動の際の摩擦を低減して摺動性を高めるための摺動テープが貼り付けられることが好ましい。これにより、上記荷重の逃げをより好ましく抑制できる。上記ズレ防止ピン及びガイドは、回転を抑制するため、
図2及び
図3に示すように、少なくとも2つ配置されることが好ましい。更に、荷重の逃げを最小限に抑制する観点から、2つ配置されることが最も好ましい。
【0022】
上記ズレ防止ピン及びガイドは、便座2aに使用者が着座した際に、体重測定装置1の変形量の少ない箇所に配置されることが好ましい。仮に変形量の大きい箇所にズレ防止ピン及びガイドを配置した場合、先端部14b2及び孔部hの中心軸に対して斜め方向に荷重が加わるため、ズレ防止ピンとガイドが接触して荷重がロードセルを介さずに逃げやすくなるためである。体重測定装置1において、変形量の大きい箇所は、Y1方向端部の中心付近である、機能部4に対応する箇所、及び、便座2aの固定箇所から遠く、便器3の形状に応じて少し傾斜して配置されるY2方向の端部付近である。このため、上記ズレ防止ピン及びガイドは、変形量の少ない箇所である、機能部4の左右に2つ配置されることが好ましい。上記ズレ防止ピン及びガイドは、上記以外の変形量の少ない箇所に配置してもよい。
【0023】
体重測定装置1は、便器装置10に取り付けて用いられるため、浸水防止機構を備えることが好ましい。浸水防止機構は、本実施形態において、上型11における筐体部11a、及び下型12における筐体部12aである。
【0024】
筐体部11aは、Z1方向に向けて開口する開口を有し、筐体部12aは、Z2方向に向けて開口する開口を有する。筐体部11aの上記開口は、筐体部12aの上記開口よりも一回り大きい。
図7及び
図8に示すように、上型11と下型12とを組み合わせた状態では、筐体部11aと、筐体部12aとの間には、空隙g1及び空隙g2が形成される。これによって、筐体部11aは、筐体部12aを内部に収容するように、筐体部12aと当接することなく篏合可能である。
【0025】
図8に示すように、筐体部11aは、筐体部11aの外形に沿ってZ1方向に延出する壁部11a1及び11a2を有する。同様に、筐体部12aは、筐体部12aの外形に沿ってZ2方向に延出する壁部12a1及び12a2を有する。そして、上型11と下型12とを組み合わせた状態では、壁部11a1及び11a2の内側に壁部12a1及び12a2が配置される。これによって、体重測定装置1の上記ロードセル等が配置される内部への外部からの水の侵入が防止される。上記に加えて、筐体部11aと筐体部12aとは、水平方向への力が加えられていない状態では当接することが無いため、荷重の逃げを抑制し、正確に体重測定を行うことができる。
【0026】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る体重測定装置1aは、
図9に示すように、固定板11bと、筐体部11cと、固定板12bと、を有する。固定板12bの下部には、シート部材12cが配置される。体重測定装置1aにおいて、浸水防止機構は、筐体部11cと、シート部材12cである。上記以外の体重測定装置1aの構成は、第1実施形態に係る体重測定装置1と同様である。
【0027】
筐体部11cは、筐体部11aと同様に、平面視で便座2aの形状と同様の中央部に空隙を有する形状を有し、Z2方向に向けて開口する開口を有する。筐体部11cは、筐体部11cの外形に沿ってZ2方向に向けて延出する壁部を有し、壁部の先端面には、シート部材12cを固定可能な凹み部f1及びf2が形成される。
【0028】
シート部材12cは、固定板12bの下方に配置され、固定板12bと筐体部11cとの間に形成される空間と外部との間を閉塞する部材である。シート部材12cは、筐体部11c及び固定板12bと同様に、平面視で便座2aの形状と同様の中央部に空隙を有する形状を有する。シート部材12cの端部は、筐体部11cの凹み部f1及びf2に挿入されて固定される。シート部材12cは、樹脂製シート等の耐水性及び可撓性を有する部材であり、かつ一定の撓みを有した状態で筐体部11cに固定されることが好ましい。これによって、シート部材12cは、筐体部11c及び便器3に当接する部材である一方で、筐体部11cに加えられる荷重を便器3に伝達しないようにすることができる。このため、体重測定装置1aへの外部からの水の侵入を防止すると共に、荷重の逃げを抑制し、正確に体重測定を行うことができる。
【0029】
(第3実施形態)
第3実施形態においては、体重測定装置の下型12Aの構成が、第1実施形態の下型12の構成とは異なる。これ以外の体重測定装置の構成は、第1実施形態に係る体重測定装置1と同様である。
【0030】
具体的には、
図10に示すように、下型12Aの筐体部12aには、補強部としての複数のリブ121aが設けられている。リブ121aは、壁部12a1と12a2とを直線状に結ぶように設けられている。複数のリブ121aは、筐体部12aの中央の開口から放射状に、筐体部12aの上面と、壁部12a1及び12a2と、に一体成形されて設けられている。これにより、下型12Aの剛性を高めることが可能となる。
【0031】
(第4実施形態)
第4実施形態においては、体重測定装置の上型11B及び下型12Bの構成が、第1実施形態における上型11及び下型12とは異なる。これ以外の体重測定装置の構成は、第1実施形態に係る体重測定装置1と同様である。
【0032】
具体的には、
図11に示すように、上型11Bの筐体部11aの壁部11a1の下端部には、係止部としてのフック形状の爪部112Bが、下型12Bの方向へ突出して設けられている。下型12Bの筐体部12aの壁部12a1の上部の外周面には、被係止部としての突出部122Bが、当該外周面から上型11Bの壁部11a1の方向へ突出して設けられている。下型12Bの突出部122Bが、上型11Bの112Bに係止されることにより、上型11Bが下型12Bに対して上側へ離間することを防止することができ、上型11Bが下型12Bから容易に外れてしまうことを防止することができる。
【0033】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る体重測定装置1cは、
図12に示すように、上型11Cの筐体部11aと、下型12Cの筐体部12aと、シート部材12cBと、により構成される浸水防止機構を有する。これ以外の体重測定装置1cの構成は、第1実施形態に係る体重測定装置1と同様である。
【0034】
具体的には、
図12に示すように、上型11Cの筐体部11aの、中央部の開口の周囲を構成する部分であって、下型12Cに対向する上型11Cの対向面には、下側に向けて開口する凹み部f1cが形成される。また、下型12Cの筐体部12aの、中央部の開口の周囲を構成する部分であって、上型11Cに対向する下型12Cの対向面には、上側に向けて開口する凹み部f2cが形成される。
【0035】
シート部材12cBは、凹み部f1cと凹み部f2cとの間に配置され、上型11Cの筐体部11aと下型12Cの筐体部12aとの間に形成される空間と外部との間を閉塞する部材である。シート部材12cBの両端部は、それぞれ凹み部f1c、凹み部f2cに挿入されて固定される。シート部材12cBの両端部の間の部分は、
図12に示すように、蛇腹状に折り畳まれた状態で、凹み部f1と凹み部f2との間に配置されている。
【0036】
シート部材12cBは、樹脂製シート等の耐水性及び可撓性を有する部材であり、かつ一定の撓みを有した状態で筐体部11aに固定されることが好ましい。これによって、シート部材12cBは、筐体部11aに加えられる荷重を便器3に伝達しないようにすることができる。このため、体重測定装置1cへの外部からの水の侵入を防止すると共に、荷重の逃げを抑制し、正確に体重測定を行うことができる。
【0037】
<体重測定の際のデータ処理の制御>
次に、上記第1実施形態~第5実施形態の体重測定装置におけるロードセル13a(LC1)、13b(LC2)、13c(LC3)、及び13d(LC4)により検出された荷重の値のデータ及びその和(SUM)の、機能部4の制御装置による処理について、
図13及び
図14を用いて説明する。各ロードセルは、時間の経過とともに荷重の値を、例えば200ms(ミリ秒)毎に検出するが、
図13及び
図14においては、当該検出をした順番に、横軸(時間軸)において1、2、3、・・・、として示している。各ロードセルによる荷重の値の検出は、200ms(ミリ秒)毎に限定されず、他の長さの時間毎に検出をしてもよい。
【0038】
図13に示すグラフより、各ロードセルにより検出される荷重の値は、時間軸で1~8においては、便蓋2bが閉じた状態が続いており、ほとんど変化しないことが分かる。これに対して時間軸で9~16においては、便蓋2bが開かれて使用者が便座2aに着座するまでの間の、各ロードセルにより検出される荷重の値を示している。この間には、便蓋2bが開かれる動作中に、検出される荷重の値は、不安定に変化していることが分かる。機能部4の制御装置は、このように検出される荷重の値が不安定に変化する第1所定時間に検出された荷重の値については使用しない。
【0039】
即ち、各ロードセルに電気的に接続された機能部4の制御装置は、使用者が便座2aに着座したことを各ロードセルが検出し始める前の第1所定時間に各ロードセルが検出した荷重の値を使用しない。機能部4の制御装置は、第1所定時間よりも前に各ロードセルが検出した荷重の値を、使用者が便座2aに着座していない状態の値である非着座値(0点の値)として使用する制御を行う。機能部4の制御装置は、非着座値を基準として、使用者が便座2aに着座した状態を検出する。
【0040】
具体的には、3点以上のロードセルにおいて、例えば40kg以上の荷重を検出した場合に、
図14に示すように、時間軸で27において使用者が便座2aに着座した状態であることを検出するが、これよりも第1所定時間である2秒間(時間軸で17~26)に検出した荷重の値については使用しない。機能部4の制御装置は、第1所定時間の直前の第2所定時間である3.2秒(時間軸で1~16)に検出した荷重の値の平均値を、非着座値として使用する。3点以上のロードセルにおいて検出する荷重は、40kg以上に限定されず、他の所定の値以上の荷重を検出してもよい。また、3点以上のロードセルにおいて検出する荷重は、所定回数、所定の値以上の荷重を検出したときに、着座をした旨の判定をしてもよい。これにより、高い精度で体重測定を行うためのキャリブレーション対象データと、計測対象データとを区別することが可能となる。また、所定の値以上との数値の設定をすることにより、清掃時や衝撃により荷重がかかる場合に、着座判定精度を高めることが可能となる。
【0041】
これにより、便蓋2bが開かれる動作中に検出される、不安定に変化する荷重の値を使用することを回避することができ、適切な荷重の値に基づいて非着座値を算出して使用することが可能となる。この結果、高い精度で体重測定を行うことが可能となる。
【0042】
便座2aに着座していた前使用者が、立ち上がって着座していない状態となってから、次の使用者が便座2aに着座するまでの時間が短すぎる場合には、第1所定時間の直前の第2所定時間を確保できず、各ロードセルが荷重を、時間軸で1~16の回数を検出できない。このような場合には、機能部4の制御装置は、前使用者が便座2aに着座したときに使用した非着座値を、今回の使用者の便座2aへの着座についても非着座値として使用する制御を行う。
【0043】
これにより、第1所定時間の直前の第2所定時間を確保できないことにより、適切な荷重の値に基づいて非着座値を算出できない場合であっても、非着座値を使用することが可能となる。
【0044】
<体重測定システム>
次に、上記第1実施形態~第5実施形態の体重測定装置を適用可能な体重測定システム100について、
図13を用いて説明する。体重測定システム100は、糖尿病などの生活習慣病への罹患や重症化を防ぎ、健康な暮らしを支援するためのサービスを使用者に提供する。体重測定システム100は、使用者の住宅などに設置された便器装置10(第1実施形態~第5実施形態の体重測定装置)と、ユーザ端末20と、使用者に支援サービスを提供する支援サーバ30と、使用者に食事や栄養などに関する指導や助言を行う栄養士が使用する栄養士端末40と、上記の装置を接続する通信網5と、を備える。
【0045】
便器装置10は、便器装置10を使用者が使用する際に、第1実施形態~第5実施形態の体重測定装置により測定された使用者の体重測定結果を保存する保存部を備えている。便器装置10は、体重測定結果を支援サーバ30に送信する。支援サーバ30は、受信した使用者の体重測定結果に基づいて、使用者の健康を支援するための情報をユーザ端末20に提供する。栄養士端末40は、第1実施形態~第5実施形態の体重測定装置により測定された使用者の体重測定結果や、使用者が摂取した飲食物等の情報に基づいて、使用者の食生活や栄養などに関する助言、指導、情報などをユーザ端末20に提供する。ユーザ端末20は、第1実施形態~第5実施形態の体重測定装置により測定された使用者の体重測定結果や、支援サーバ30から提供された情報や、栄養士端末40から提供された助言、指導、情報などを受信して表示装置に表示する。支援サーバ30は、使用者と栄養士とが対話することを可能とするために、ユーザ端末20と栄養士端末40との間でメールやチャットなどを実行する機能を提供する。
【0046】
上記体重測定システム100によれば、第1実施形態~第5実施形態の体重測定装置が自動的に使用者の体重を測定して管理するので、体重の測り忘れや記録忘れを防ぐことができる。更に、支援サーバ30を利用して第1実施形態~第5実施形態の体重測定装置からの情報を栄養士端末40に送ることにより、栄養士がより適切かつ効果的な助言、指導、情報提供を行うことができる。更に、簡便に使用者の体重を測定、記録、管理することができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0047】
以上、本開示の各実施形態に係る体重測定装置及び体重測定システムについて説明した。しかし、本開示は上記の実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
【0048】
上記実施形態において、各ロードセルは上型11に固定されるものとして説明した。上記に限定されない。各ロードセルは下型12に固定されてもよい。また、ロードセルが固定されている上型11の部分の下側に位置する下型12の外表面には、弾性変形可能な部材としてのゴム材が固定されたが、この構成に限定さない。例えば、ロードセルが下型12に固定される場合には、弾性変形可能な部材としてのゴム材は、当該ロードセルが固定される下型12の部分の外表面に固定されればよい。また、上記実施形態においては、荷重センサとしてロードセル13を用いたが、これに限定されず、他の荷重センサを用いてもよい。
【0049】
上記実施形態において、各ズレ防止ピンは上型11に固定され、各ガイドは下型12に固定されるものとして説明した。上記に限定されない。各ズレ防止ピンは下型12に固定され、各ガイドは上型11に固定されてもよい。また、上型11と、下型12とは、互いに直接当接しないように配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、上型、下型等の構造上、上型と下型とが当接する場合には、荷重センサの体重測定の誤差の範囲に当該体重測定への影響が収まるようにわずかに当接して、上型が荷重センサに主に荷重がかかるように配置されればよい。
【0050】
上記実施形態において、体重測定装置は、便器と便座装置との間に介装される構成としたが、便座装置と一体の構成でもよい。その場合、体重測定装置の上型が便座機能を有し、使用者は体重測定装置の上型に直接着座する構成となる。
【0051】
また、第1所定時間、第2所定時間等の時間や重量や回数等の数値については、本実施形態における第1所定時間、第2所定時間等の時間や重量や回数等の数値に限定されない。
【符号の説明】
【0052】
1,1a、1c 体重測定装置、11、11B、11C 上型、11a 筐体部、12、12A、12B、12C 下型、12a 筐体部、13,13a,13b,13c,13d ロードセル(荷重センサ)、14a,14b ズレ防止ピン、2 便座装置、3 便器、4 機能部