IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像読取装置 図1
  • 特開-画像読取装置 図2
  • 特開-画像読取装置 図3
  • 特開-画像読取装置 図4
  • 特開-画像読取装置 図5
  • 特開-画像読取装置 図6
  • 特開-画像読取装置 図7
  • 特開-画像読取装置 図8
  • 特開-画像読取装置 図9
  • 特開-画像読取装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135484
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20240927BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20240927BHJP
   B65H 3/68 20060101ALI20240927BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20240927BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20240927BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240927BHJP
   H04N 1/12 20060101ALI20240927BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65H1/04 310A
B65H3/52 310C
B65H3/52 310K
B65H3/68
B65H11/00 A
B65H5/38
H04N1/00 567Q
H04N1/12
H04N1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046192
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佳大
(72)【発明者】
【氏名】一ノ▲瀬▼ 裕一郎
【テーマコード(参考)】
3F063
3F101
3F343
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
3F063BA02
3F063BA04
3F063BA09
3F101FB01
3F101FB17
3F101FC05
3F101LA11
3F101LB02
3F343FA03
3F343GA02
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA12
3F343HD02
3F343HD11
3F343JD08
3F343JD09
3F343KA11
3F343KA14
3F343KB03
3F343KB06
3F343KB14
3F343KB17
3F343KB19
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC09
5C062AC11
5C062AC15
5C062AD02
5C062AE01
5C062AE15
5C062BA01
5C062BA08
5C072AA01
5C072BA01
5C072DA25
5C072EA05
5C072EA07
5C072LA02
5C072LA08
5C072LA18
5C072MA01
5C072MB01
5C072NA01
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】上下方向及び第1方向の小型化を実現できる画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置1において、原稿載置部61は、載置面61Aと、摩擦部材55と、載置面61Aから下向きに凹み、給送ローラ41が進入可能な凹部62と、各突出部73を一対一で進入させ、各突出部73の露出面73Aを載置面61A側において露出させる複数の開口63と、を有する。摩擦部材55と凹部62と各開口63とは、第2方向に沿って互いに離隔して配置される。給送ローラ41が第1方向の一方に向けて原稿SHを給送する方向を給送方向DF1とする。摩擦部材55と凹部62とは、第2方向に沿って見たときに、露出面73Aにおける給送方向DF1の上流に位置する第1端縁73A1よりも給送方向DF1の下流、かつ露出面73Aにおける給送方向DF1の下流に位置する第2端縁73A2よりも給送方向DF1の上流に位置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される原稿載置部と、
前記原稿載置部から原稿を第1方向の一方に向けてガイドした後に下向きにUターンさせ、さらに前記第1方向の他方に向けてガイドする搬送ガイドと、
前記原稿載置部から前記搬送ガイドに原稿を給送する給送ローラと、
前記給送ローラから前記第1方向の前記一方に離隔した位置で前記第1方向及び上下方向に直交する第2方向に延びる揺動軸心周りに揺動可能であり、前記給送ローラを回転可能に支持するホルダアームと、
前記給送ローラによって給送される原稿を前記搬送ガイドに沿って搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラによって前記第1方向の前記他方に向けて搬送される原稿の下を向く面の画像を読み取る第1読取センサと、
前記第1読取センサから前記第1方向の前記他方に離隔した位置に配置され、前記第1読取センサを通過した原稿の上を向く面の画像を読み取る第2読取センサと、
前記第2読取センサよりも上方に位置し、前記第2読取センサを前記第1方向の前記他方に向けて搬送される原稿に向けて押圧する複数の押圧部と、
を備えた画像読取装置であって、
前記搬送ガイドの一部を構成するシュート部材であって、前記第2読取センサと、各前記押圧部の下部と、を収容する収納部と、前記収納部に連通して前記収納部よりも上方に突出し、各前記押圧部の上部を収容する複数の突出部と、が一体に形成された前記シュート部材をさらに備え、
前記原稿載置部は、原稿を支持する載置面と、
前記載置面に支持された原稿に下から当接する摩擦部材と、
前記載置面から下向きに凹み、前記給送ローラが進入可能な凹部と、
各前記突出部を一対一で進入させ、各前記突出部における上を向く露出面を前記載置面側において露出させる複数の開口と、
を有し、
前記摩擦部材と前記凹部と各前記開口とは、前記第2方向に沿って互いに離隔して配置され、
前記給送ローラが前記第1方向の前記一方に向けて原稿を給送する方向を給送方向とすると、
前記摩擦部材と前記凹部とは、前記第2方向に沿って見たときに、前記露出面における前記給送方向の上流に位置する第1端縁よりも前記給送方向の下流、かつ前記露出面における前記給送方向の下流に位置する第2端縁よりも前記給送方向の上流に位置していることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記露出面の前記第1端縁は、前記載置面における各前記開口を前記給送方向の上流で区画する第3端縁よりも下方に位置し、
前記露出面の前記第2端縁は、前記載置面における各前記開口を前記給送方向の下流で区画する第4端縁よりも上方に位置している請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記載置面は、前記第2方向において前記凹部及び前記露出面と並ぶ隣接面を有し、
前記露出面は、前記隣接面と平行に延び、かつ前記隣接面よりも一段低い位置にあって、前記載置面に支持される原稿に当接可能である請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
各前記突出部は、前記給送ローラに対して前記第2方向の一方及び他方に配置されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記摩擦部材は、前記給送ローラに対して前記第2方向の一方及び他方に複数配置され、
前記載置面に支持される原稿がない状態で、前記ホルダアームが前記摩擦部材に当接することによって前記給送ローラの下限位置が決まり、
前記下限位置にある前記給送ローラは、前記凹部に進入しているが、前記凹部には接触しない請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
各前記突出部は、各前記摩擦部材に対して前記第2方向における前記給送ローラとは反対側に配置されている請求項5記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第2方向における前記摩擦部材及び前記凹部のそれぞれの投影面は、前記突出部の少なくとも一部と重なっている請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記露出面は、前記第1方向に延びる複数のリブによって構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項9】
各前記突出部は、前記露出面とは反対を向いて前記押圧部に当接する当接面を有し、
前記当接面は、前記第1方向に延びる複数のリブによって構成されている請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記載置面は、前記第2方向において前記凹部及び前記露出面と並ぶ隣接面を有し、
前記凹部における前記第2方向の両端部分は、前記第2方向の外側に向かって上り傾斜して前記隣接面に接続する傾斜面を有している請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項11】
原稿が載置面に載置される原稿載置部と、
前記原稿載置部から原稿を第1方向の一方に向けてガイドした後に下向きにUターンさせ、さらに前記第1方向の他方に向けてガイドする搬送ガイドと、
前記原稿載置部から前記搬送ガイドに原稿を給送し、上限位置と下限位置とに移動可能な給送ローラと、
前記第1方向の前記他方に向けて搬送される原稿の下を向く面の画像を読み取る第1読取センサと、
前記第1読取センサを通過した原稿の上を向く面の画像を読み取る第2読取センサと、
前記第2読取センサを前記第1方向の前記他方に向けて搬送される原稿に向けて押圧する押圧部と、を備え、
前記搬送ガイドは、前記押圧部を収容し、上を向く露出面を有する突出部を有し、
前記原稿載置部は、前記載置面に支持された原稿に下から当接する摩擦部材と、
前記載置面から下向きに凹み、前記下限位置にある前記給送ローラが進入する凹部と、
前記突出部の前記露出面を前記載置面側において露出させる複数の開口と、
を有し、
前記摩擦部材と前記凹部と各前記開口とは、前記第1方向及び上下方向と直交する第2方向に沿って互いに離隔して配置され、
前記第2方向における前記摩擦部材及び前記凹部のそれぞれの投影面は、前記露出面の少なくとも一部と重なっていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
各前記突出部は、前記給送ローラに対して前記第2方向の一方及び他方に配置されている請求項11記載の画像読取装置。
【請求項13】
各前記突出部は、各前記摩擦部材に対して前記第2方向における前記給送ローラとは反対側に配置されている請求項12記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の画像読取装置の一例が開示されている。この画像読取装置は、原稿載置トレイ、原稿搬送路、呼出ローラ、ピックアップホルダ、第一、第二搬送ローラ、画像読取部及び裏面画像読取モジュールを備えている。
【0003】
原稿搬送路は、原稿載置トレイから原稿シートを第1方向の一方(給紙方向)に向けてガイドした後に下向きにUターンさせ、さらに第1方向の他方(給紙方向とは逆向きの方向)に向けてガイドする。
【0004】
呼出ローラは、原稿載置トレイから原稿搬送路に原稿シートを給送する。ピックアップホルダは、呼出ローラから第1方向の一方に離隔した位置でフィードローラ軸周りに揺動可能であり、呼出ローラを回転可能に支持している。
【0005】
第一、第二搬送ローラは、呼出ローラによって給送される原稿シートを原稿搬送路に沿って搬送する。停止読取領域にある画像読取部は、第一、第二搬送ローラによって第1方向の他方に向けて搬送される原稿シートの下を向く面の画像を読み取る。裏面画像読取モジュールは、画像読取部から第1方向の他方に離隔した位置に配置され、画像読取部を通過した原稿シートの上を向く面の画像を読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7013723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の画像読取装置は、上述した裏面画像読取モジュールの配置構成により、原稿搬送路におけるUターンする側に配置される部品を少なくできるので、第1方向の小型化を実現し易い。
【0008】
しかしながら、この画像読取装置は、呼出ローラと、裏面画像読取モジュールと、裏面画像読取モジュールを原稿に向けて押圧する押圧部と、原稿載置トレイに載置された最下位の原稿シートの重送を抑制するための摩擦部材と、が上下方向に並んで配置され易いため、上下方向の小型化を実現し難いという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、上下方向及び第1方向の小型化を実現できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像読取装置は、原稿が載置される原稿載置部と、
前記原稿載置部から原稿を第1方向の一方に向けてガイドした後に下向きにUターンさせ、さらに前記第1方向の他方に向けてガイドする搬送ガイドと、
前記原稿載置部から前記搬送ガイドに原稿を給送する給送ローラと、
前記給送ローラから前記第1方向の前記一方に離隔した位置で前記第1方向及び上下方向に直交する第2方向に延びる揺動軸心周りに揺動可能であり、前記給送ローラを回転可能に支持するホルダアームと、
前記給送ローラによって給送される原稿を前記搬送ガイドに沿って搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラによって前記第1方向の前記他方に向けて搬送される原稿の下を向く面の画像を読み取る第1読取センサと、
前記第1読取センサから前記第1方向の前記他方に離隔した位置に配置され、前記第1読取センサを通過した原稿の上を向く面の画像を読み取る第2読取センサと、
前記第2読取センサよりも上方に位置し、前記第2読取センサを前記第1方向の前記他方に向けて搬送される原稿に向けて押圧する複数の押圧部と、
を備えた画像読取装置であって、
前記搬送ガイドの一部を構成するシュート部材であって、前記第2読取センサと、各前記押圧部の下部と、を収容する収納部と、前記収納部に連通して前記収納部よりも上方に突出し、各前記押圧部の上部を収容する複数の突出部と、が一体に形成された前記シュート部材をさらに備え、
前記原稿載置部は、原稿を支持する載置面と、
前記載置面に支持された原稿に下から当接する摩擦部材と、
前記載置面から下向きに凹み、前記給送ローラが進入可能な凹部と、
各前記突出部を一対一で進入させ、各前記突出部における上を向く露出面を前記載置面側において露出させる複数の開口と、
を有し、
前記摩擦部材と前記凹部と各前記開口とは、前記第2方向に沿って互いに離隔して配置され、
前記給送ローラが前記第1方向の前記一方に向けて原稿を給送する方向を給送方向とすると、
前記摩擦部材と前記凹部とは、前記第2方向に沿って見たときに、前記露出面における前記給送方向の上流に位置する第1端縁よりも前記給送方向の下流、かつ前記露出面における前記給送方向の下流に位置する第2端縁よりも前記給送方向の上流に位置していることを特徴とする。
【0011】
本発明の画像読取装置において、摩擦部材は、原稿載置部に載置された最下位の原稿の重送を抑制する。凹部は、給送ローラが進入する分だけ、上下方向の小型化に寄与する。複数の開口は、各突出部を一対一で進入させ、各突出部の露出面を載置面側において露出させることにより、上下方向の小型化に寄与する。
【0012】
そして、摩擦部材と凹部と各開口とが第2方向に沿って互いに離隔して配置されることにより、上下方向の小型化を実現できる。
【0013】
また、この画像読取装置は、摩擦部材と凹部とが第2方向に沿って見たときに、露出面の第1端縁よりも給送方向の下流、かつ露出面の第2端縁よりも給送方向の上流に位置する構成により、第1方向の小型化を実現できる。
【0014】
したがって、本発明の画像読取装置は、上下方向及び第1方向の小型化を実現できる。
【0015】
さらに、本発明の画像読取装置について、仮に各開口が各突出部を一対一で進入させ、各突出部の露出面を載置面側において露出させる構成を採用せずに、各突出部を原稿載置部に下から当接させることにより上下方向の小型化を図ろうとする場合を想定する。この場合、給送ローラ及び原稿載置部等から振動が各突出部を経由して第2読取センサに伝わり易くなり、第2読取センサの画像読取品質が低下するおそれがある。この点、本発明の画像読取装置は、各開口により、給送ローラ及び原稿載置部等から振動が各突出部を経由して第2読取センサに伝わることを抑制できるので、第2読取センサの画像読取品質が低下し難い。
【0016】
本発明の別の画像読取装置は、原稿が載置面に載置される原稿載置部と、
前記原稿載置部から原稿を第1方向の一方に向けてガイドした後に下向きにUターンさせ、さらに前記第1方向の他方に向けてガイドする搬送ガイドと、
前記原稿載置部から前記搬送ガイドに原稿を給送し、上限位置と下限位置とに移動可能な給送ローラと、
前記第1方向の前記他方に向けて搬送される原稿の下を向く面の画像を読み取る第1読取センサと、
前記第1読取センサを通過した原稿の上を向く面の画像を読み取る第2読取センサと、
前記第2読取センサを前記第1方向の前記他方に向けて搬送される原稿に向けて押圧する押圧部と、を備え、
前記搬送ガイドは、前記押圧部を収容し、上を向く露出面を有する突出部を有し、
前記原稿載置部は、前記載置面に支持された原稿に下から当接する摩擦部材と、
前記載置面から下向きに凹み、前記下限位置にある前記給送ローラが進入する凹部と、
前記突出部の前記露出面を前記載置面側において露出させる複数の開口と、
を有し、
前記摩擦部材と前記凹部と各前記開口とは、前記第1方向及び上下方向と直交する第2方向に沿って互いに離隔して配置され、
前記第2方向における前記摩擦部材及び前記凹部のそれぞれの投影面は、前記露出面の少なくとも一部と重なっていることを特徴とする。
【0017】
本発明の別の画像読取装置も、上下方向及び第1方向の小型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1の画像読取装置の斜視図である。
図2図2は、実施例1の画像読取装置の模式部分断面図である。
図3図3は、上面カバーを取り外した状態の原稿カバーを示す部分斜視図である。
図4図4は、図3の要部を拡大して示す部分斜視図である。
図5図5は、図4のA-A断面を示す部分断面図である。
図6図6は、図5のB-B断面を示す部分断面図である。
図7図7は、図5のC-C断面を示す部分断面図である。
図8図8は、図5のD-D断面を示す部分断面図である。
図9図9は、摩擦部材及び凹部と、露出面の第1端縁及び第2端縁との位置関係を説明する模式部分断面図である。
図10図10は、実施例2の画像読取装置に係り、図5と同様の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施例1、2について図面を参照しつつ説明する。
【0020】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像読取装置1は、本発明の画像読取装置の具体的態様の一例である。
【0021】
図1において、画像読取装置1の操作パネル8P側が前方である。操作パネル8Pに向かった場合に左に来る側が左方である。そして、図2以降の各図に示す前後方向、左右方向及び上下方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。
【0022】
図1に示すように、画像読取装置1は、本体8及び原稿カバー9を備えている。
【0023】
<本体>
本体8は、扁平な略箱状体である。本体8の前面には、タッチパネル等である操作パネル8Pが位置している。本体8は、その下部分に画像形成部2を収容している。画像形成部2は、インクジェット方式又はレーザ方式等によりシートに画像を形成する。
【0024】
<画像読取部>
図2に示すように、本体8は、その上部分に画像読取部3を収容している。画像読取部3は、原稿支持面3M、読取面3N、第1読取センサ3A及び図示しない走査機構を有している。
【0025】
原稿支持面3Mは、本体8の上面に位置する大面積のプラテンガラスの上面である。読取面3Nは、本体8の上面において原稿支持面3Mよりも左方に位置して前後方向に細長く延びるプラテンガラスの上面である。
【0026】
原稿支持面3M及び読取面3Nはそれぞれ、左右方向及び前後方向に延びる平坦面である。左右方向は、本発明の「第1方向」の一例である。左方は、本発明の「第1方向の一方」の一例である。右方は、本発明の「第1方向の他方」の一例である。前後方向は、本発明の「第1方向及び上下方向に直交する第2方向」の一例である。
【0027】
原稿支持面3Mは、画像読取対象の原稿を支持する。画像読取対象の原稿は、用紙、OHPシート等のシートや書籍等である。読取面3Nは、後述する搬送部4が作動する場合に利用され、図2に示すシート状の原稿SHが通過する。
【0028】
第1読取センサ3Aは、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサであり、前後方向に細長く延びている。第1読取センサ3Aは、原稿支持面3M及び読取面3Nの下方に位置している。
【0029】
第1読取センサ3Aは、画像読取部3が原稿支持面3Mに支持された原稿の画像を読み取る場合、図示しない走査機構の作動により、原稿支持面3Mの左端縁の下方から右向きに、すなわち副走査方向に移動しながら、その原稿の画像を前後方向、すなわち主走査方向においてライン状に読み取る。第1読取センサ3Aは、原稿支持面3Mの右端縁の下方まで移動すると画像の読み取りを終了し、図示しない走査機構の作動により待機位置に復帰する。
【0030】
なお、後述する搬送部4が作動する場合、第1読取センサ3Aは、図示しない走査機構の作動により、読取面3Nの下方の静止読取位置に移動して静止する。
【0031】
<原稿カバー>
図1に示すように、原稿カバー9は、本体8の上方に位置している。原稿カバー9の後端は、図示しないヒンジを介して本体8の後端に連結している。原稿カバー9は、左右方向に延びる揺動軸心X9周りに揺動可能である。
【0032】
図2に示すように、原稿カバー9は、樹脂製であるベース部材39を有している。ベース部材39の下面は、原稿カバー9の底面を形成している。原稿カバー9の底面は、本体8の上面の全体を覆うことが可能な大きさを有している。原稿カバー9は、ベース部材39の下面によって、原稿支持面3Mに載置された原稿を覆う。
【0033】
図示は省略するが、ユーザが原稿カバー9を揺動軸心X9周りに上向きかつ後向きに揺動させることにより、原稿カバー9が原稿支持面3Mを開放する。この状態で、ユーザは、原稿支持面3Mへの原稿の載置、及びその原稿の取り出しを行うことができる。
【0034】
<供給トレイ及び排出トレイ>
図1及び図2に示すように、原稿カバー9は、供給トレイ95及び排出トレイ96を有している。供給トレイ95及び排出トレイ96は、原稿カバー9の右部分に位置している。
【0035】
ベース部材39の右部分の上面は、排出トレイ96を形成している。供給トレイ95は、排出トレイ96の上方に位置している。供給トレイ95は、画像読取対象であるシート状の原稿SHを積層状態で支持する。排出トレイ96は、画像読取済の原稿SHを積層状態で支持する。
【0036】
なお、本実施例においては、原稿支持面3Mを使用して画像が読み取られる原稿と、搬送部4により搬送しながら画像が読み取られる原稿SHとは、実質的に同じものであってもよい。
【0037】
図2に示すように、原稿カバー9は、それぞれ樹脂製であるロアシュート部材70、アッパーシュート部材60及び上面カバー20を有している。ロアシュート部材70は、本発明の「シュート部材」の一例である。
【0038】
ロアシュート部材70は、ベース部材39の左部分の上方に位置している。アッパーシュート部材60は、ロアシュート部材70の上方に位置している。上面カバー20は、アッパーシュート部材60の上方に位置している。
【0039】
<原稿載置部>
図2及び図3に示すように、原稿カバー9は、原稿載置部61を有している。原稿載置部61は、アッパーシュート部材60の右部分であって、左向きに緩やかに下り傾斜している。原稿載置部61の右端は、上面カバー20に上から覆われた位置で、供給トレイ95の左端に隣接している。
【0040】
ユーザは、原稿SHを供給トレイ95に載置するときに、上面カバー20と原稿載置部61との間に原稿SHを差し込む。これにより、原稿載置部61には、供給トレイ95に支持された原稿SHにおける供給トレイ95の左端よりも左方に突出する部分が載置される。
【0041】
原稿載置部61の上面は、原稿SHを支持する載置面61Aである。載置面61Aは、左向きに緩やかに下り傾斜するように延び、かつ前後方向に延びている。
【0042】
<搬送ガイド、搬送部及び第2読取センサ>
図2に示すように、原稿カバー9は、搬送ガイド30、搬送部4及び第2読取センサ3Bを有している。
【0043】
搬送ガイド30は、ベース部材39の左部分、ロアシュート部材70及びアッパーシュート部材60に形成されたガイド面や、上面カバー20の裏面から下向きに突出するリブ等からなる。
【0044】
搬送ガイド30は、第1搬送ガイド31、第2搬送ガイド32及び第3搬送ガイド33を有している。搬送ガイド30は、第1搬送ガイド31、第2搬送ガイド32及び第3搬送ガイド33により、原稿載置部61から原稿SHを左方に向けてガイドした後に下向きにUターンさせ、さらに右方に向けて、すなわち排出トレイ96に向けてガイドする。ロアシュート部材70は、第2搬送ガイド32の一部と、第3搬送ガイド32の一部と、を構成している。
【0045】
搬送部4は、給送ローラ41、ホルダアーム50、分離ローラ42、分離パッド42A、搬送ローラ43、搬送ピンチローラ43P、原稿押え44A、44B、排出ローラ45、排出ピンチローラ45P、補助排出ローラ47及び弾性片48を有している。
【0046】
図2及び図3に示すように、給送ローラ41は、原稿載置部61の載置面61Aに上から対向している。
【0047】
ホルダアーム50は、揺動軸心X42を中心とする伝達軸50Sに支持され、揺動軸心X42周りに揺動可能である。揺動軸心X42は、給送ローラ41及び原稿載置部61から左方に離隔した位置で前後方向に延びている。
【0048】
ホルダアーム50は、伝達軸50Sよりも右方に延びており、その右端側において、給送ローラ41を回転可能に支持している。給送ローラ41は、原稿載置部61の載置面61Aに支持される最上位の原稿SHに当接するため、ホルダアーム50と共に揺動軸心X42周りに揺動して上下方向に移動可能である。
【0049】
図2に示すように、給送ローラ41(41D)は、下限位置に移動した状態である。給送ローラ41(41U)は、上限位置に移動した状態である。
【0050】
分離ローラ42は、ホルダアーム50に前方、後方及び上方から囲まれた状態で、揺動軸心X42周りに伝達軸50Sと一体で回転する。分離パッド42Aは、給送ローラ41及び原稿載置部61から左方に離隔した位置でアッパーシュート部材60に保持され、分離ローラ42に向けて押圧されている。
【0051】
搬送ローラ43は、原稿カバー9の左方の側壁側であって、本体8の上面に近い側に位置している。搬送ピンチローラ43Pは、搬送ローラ43に対して左方かつ下方に位置し、搬送ローラ43に向けて押圧されている。
【0052】
原稿押え44Aは、ロアシュート部材70に保持され、読取面3Nの真上に位置している。原稿押え44Bは、ベース部材39に保持され、原稿押え44Aから右方に離隔した位置にある。
【0053】
第2読取センサ3Bは、第1読取センサ3Aと同様の画像読取センサである。第2読取センサ3Bは、第1読取センサ3Aから右方に離隔した位置に配置され、原稿押え44Bに上から対向している。第2読取センサ3Bは、搬送部4が作動するときに、画像読取部3の一部として機能する。
【0054】
排出ローラ45は、排出トレイ96の左端から上方かつ左方に離隔する位置にある。排出ピンチローラ45Pは、排出ローラ45に対して下方に位置し、排出ローラ45に向けて押圧されている。
【0055】
補助排出ローラ47は、排出トレイ96の左端から上方に離隔する位置、かつ排出トレイ96の左端から左方にずれた位置にある。補助排出ローラ47の上端は、排出ローラ45と排出ピンチローラ45Pとのニップ位置よりも上方に位置している。
【0056】
弾性片48は、剛性の高いフィルム製である。弾性片48は、排出ローラ45と補助排出ローラ47との間で片持ち支持されて右方に突出し、補助排出ローラ47よりも右方の位置で屈曲して右向きに下り傾斜している。弾性片48は、補助排出ローラ47に対して前後方向にずれて配置されている。
【0057】
第1搬送ガイド31は、原稿SHを供給トレイ95及び原稿載置部61から左向きに案内して下向きにUターンさせ、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pまで案内する。
【0058】
第2搬送ガイド32は、その原稿SHを搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pから読取面3Nまで下り傾斜するように案内し、次に、原稿押え44Aと読取面3Nとの間を、すなわち静止読取位置にある第1読取センサ3Aの上方を通過させるように案内する。
【0059】
第3搬送ガイド33は、読取面3Nよりも右方において原稿SHを右向きに上り傾斜するように案内し、次に、原稿押え44Bと第2読取センサ3Bとの間を通過させるように案内する。そして、第3搬送ガイド33は、その原稿SHを補助排出ローラ47及び弾性片48まで案内する。
【0060】
<原稿載置部の凹部、開口、摩擦部材及び隣接面>
図3図5に示すように、原稿載置部61は、1つの凹部62と、2つの開口63と、2つの摩擦部材55と、を有している。原稿載置部61の載置面61Aは、隣接面61Bを有している。
【0061】
凹部62は、給送ローラ41の真下に位置し、載置面61Aから下向きに凹んでいる。図6に示すように、凹部62の底面は、断面視した場合、給送ローラ41の外周面の下部分に整合する円弧を描くように湾曲している。図5に示すように、凹部62の底面の前後方向の長さは、給送ローラ41の前後方向の長さよりも大きい。
【0062】
図3に示すように、前方の開口63と後方の開口63とは、位置が異なるだけである。このため、図4では、後方の開口63の図示を省略している。
【0063】
図3図5に示すように、前方の開口63は、凹部62に対して前方に大きく離隔して配置されている。後方の開口63は、凹部62に対して後方に大きく離隔して配置されている。各開口63は、原稿載置部61を上下方向において貫通する矩形穴である。
【0064】
各摩擦部材55は、原稿SHに対して高い摩擦係数を発揮する材料からなる板材であり、例えばコルク板等である。前方の摩擦部材55は、凹部62と前方の開口63との間に位置している。後方の摩擦部材55は、凹部62と後方の開口63との間に位置している。つまり、各摩擦部材55は、給送ローラ41に対して前方及び後方に配置されている。
【0065】
各摩擦部材55と凹部62と各開口63とは、前後方向に沿って互いに離隔して配置されている。
【0066】
図4図8に示すように、隣接面61Bは、載置面61Aの一部であって、前後方向において凹部62、各摩擦部材55及び各開口63と並ぶ面である。隣接面61Bは、後述する露出面73Aとも、前後方向において並んでいる。
【0067】
図4及び図5に示すように、凹部62の前端部分62E1及び後端部分62E2は、傾斜面62Sを有している。凹部62の前端部分62E1及び後端部分62E2は、本発明の「凹部における第2方向の両端部分」の一例である。
【0068】
傾斜面62Sは、前後方向の外側に向かって上り傾斜して隣接面61Bに接続している。傾斜面62Sは、凹部62の底面の湾曲に合わせて湾曲している。
【0069】
図3に示すように、ホルダアーム50は、2つの凸部50Tを有している。前方の凸部50Tは、ホルダアーム50における前方の側壁の下端縁に形成されて下向きに突出している。図示は省略するが、後方の凸部50Tは、ホルダアーム50における後方の側壁の下端縁に形成されて下向きに突出している。
【0070】
図7に示すように、給送ローラ41の下限位置は、載置面61Aに支持される原稿SHがない状態で、ホルダアーム50が給送ローラ41を下降させるように揺動し、ホルダアーム50の各凸部50Tが各摩擦部材55に当接することによって決まる。
【0071】
図2及び図6に示すように、凹部62には、給送ローラ41が進入可能である。下限位置にある給送ローラ41(41D)は、凹部62に進入しているが、凹部62の底面には接触していない。
【0072】
図7に示すように、各摩擦部材55の上面は、その前端側が載置面61Aよりも下方に位置しているが、他の部分は隣接面61Bよりも上方に位置している。各摩擦部材55の下面側は、隣接面61Bよりも下方に位置している。各摩擦部材55は、その上面によって、載置面61Aに支持された最下位の原稿SHに下から当接する。
【0073】
<プラテンガラス、収納部、突出部及び押圧部>
図2に示すように、ロアシュート部材70は、第3搬送ガイド33における原稿押え44Bに上から対向する部分を構成するプラテンガラス70Gを保持している。
【0074】
図5図8に示すように、第2読取センサ3Bは、プラテンガラス70Gよりも上方に位置し、その下面をプラテンガラス70Gの上面に当接させている。
【0075】
図5及び図8に示すように、原稿カバー9は、2つの押圧部3Pを備えている。各押圧部3Pは、圧縮変形して復元力を蓄えた状態で、第2読取センサ3Bよりも上方に位置している。各押圧部3Pとしては、弾性変形能を有するスポンジ、ゴム、圧縮コイルバネ等を採用可能である。本実施例では、各押圧部3Pは、エチレンプロピレンジエンゴム製の略直方体である。
【0076】
各押圧部3Pは、第2読取センサ3Bの下面がプラテンガラス70Gの上面から浮き上がらないように押圧している。換言すると、各押圧部3Pは、第3搬送ガイド33に案内されて右方に向けて搬送される原稿SHに向けて第2読取センサ3Bを押圧している。
【0077】
ロアシュート部材70には、図2図5図8に示す収納部71と、図3図5及び図9に示す2つの突出部73と、が一体に形成されている。
【0078】
図5及び図8に示すように、収納部71は、下面側が開放された略箱状体であり、その下面側がプラテンガラス70Gによって閉塞されている。収納部71は、第2読取センサ3Bと、各押圧部3Pの下部と、を収容している。
【0079】
図5に示すように、前方の突出部73は、給送ローラ41に対して前方に配置されている。後方の突出部73は、給送ローラ41に対して後方に配置されている。
【0080】
前方の突出部73は、前方の摩擦部材55に対して前後方向における給送ローラ41とは反対側、すなわち前方に配置されている。後方の突出部73は、後方の摩擦部材55に対して前後方向における給送ローラ41とは反対側、すなわち後方に配置されている。
【0081】
図5及び図8に示すように、各突出部73は、下面側が開放された略箱状体であり、収納部71よりも大幅に小さい。各突出部73は、収納部71の上面側に接続し、収納部71よりも上方に突出している。各突出部73の内部空間は、収納部71の内部空間に連通している。各突出部73は、各押圧部3Pの上部を収容している。
【0082】
各突出部73は、露出面73A及び当接面73Bを有している。露出面73Aは、各突出部73における上を向く面である。露出面73Aは、左右方向に延びる複数のリブ75の上端縁によって構成されている。当接面73Bは、各突出部73における露出面73Aとは反対を向く面である。当接面73Bは、押圧部3Pの上面に当接し、押圧部3Pが圧縮変形した状態を維持する。
【0083】
前方の突出部73は、前方の開口63に進入している。後方の突出部73は、後方の開口63に進入している。つまり、各開口63は、各突出部73を一対一で進入させている。各開口63は、各突出部73の露出面73Aを載置面61A側において露出させている。
【0084】
各突出部73と各開口63の周縁との間には、隙間が確保されている。この隙間は、原稿載置部61が搬送部4の作動によって振動しても、各突出部73が各開口63の周縁に接触しない大きさに設定されている。
【0085】
図9に示すように、給送ローラ41が載置面61Aに沿うように左方に向けて原稿SHを給送する方向を給送方向DF1とする。
【0086】
図9に二点鎖線で示す各摩擦部材55及び凹部62は、前後方向における各摩擦部材55及び凹部62のそれぞれの投影面を示している。前後方向における各摩擦部材55及び凹部62のそれぞれの投影面は、突出部73の一部と重なっており、また、露出面73Aの一部と重なっている。
【0087】
露出面73Aにおける給送方向DF1の上流に位置する端縁を第1端縁73A1とする。露出面73Aにおける給送方向DF1の下流に位置する端縁を第2端縁73A2とする。
【0088】
各摩擦部材55と凹部62とは、前後方向に沿って見たときに、露出面73Aの第1端縁73A1よりも給送方向DF1の下流、かつ露出面73Aの第2端縁73A2よりも給送方向DF1の上流に位置している。
【0089】
載置面61Aにおける各開口63を給送方向DF1の上流で区画する端縁を第3端縁61A3とする。載置面61Aにおける各開口63を給送方向DF1の下流で区画する端縁を第4端縁61A4とする。
【0090】
露出面73Aの第1端縁73A1は、載置面61Aの第3端縁61A3よりも下方に位置している。露出面73Aの第2端縁73A2は、載置面61Aの第4端縁61A4よりも上方に位置している。
【0091】
図8に示すように、露出面73Aは、隣接面61Bと平行に延び、かつ隣接面61Bよりも一段低い位置にある。露出面73Aは、載置面61Aに支持される原稿SHに当接可能である。
【0092】
<供給トレイに支持された原稿の画像読取動作>
画像読取部3が供給トレイ95及び原稿載置部61に載置された原稿SHの画像を読み取る場合、搬送部4が作動し、給送ローラ41が供給トレイ95及び原稿載置部61から第1搬送ガイド31に原稿SHを給送する。分離ローラ42及び分離パッド42Aは、第1搬送ガイド31に案内される原稿SHを1枚ずつに分離しつつ、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pに向けて搬送する。
【0093】
次に、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pは、その原稿SHを引き継ぎ、第1搬送ガイド31及び第2搬送ガイド32に案内される原稿SHを右方に向けて搬送して読取面3Nを通過させ、第3搬送ガイド33に送る。これにより、静止読取位置にある第1読取センサ3Aは、読取面3Nを通過する原稿SHの下を向く面の画像を読み取る。
【0094】
さらに、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pは、第3搬送ガイド33に案内される原稿SHを第2読取センサ3Bに向けて搬送する。画像読取部3がその原稿SHの両面の画像を読み取る場合、第2読取センサ3Bは、読取面3N及び静止読取位置にある第1読取センサ3Aを通過した原稿SHにおける上を向く面の画像を読み取る。
【0095】
その後、排出ローラ45及び排出ピンチローラ45Pは、搬送ローラ43及び搬送ピンチローラ43Pによって搬送されて第3搬送ガイド33に案内される原稿SHを引き継いて排出トレイ96に排出する。
【0096】
この際、補助排出ローラ47及び弾性片48は、排出ローラ45及び排出ピンチローラ45Pを補助し、排出ローラ45及び排出ピンチローラ45Pのニップ位置よりも高い位置から排出トレイ96に原稿SHを排出する。
【0097】
なお、各摩擦部材55は、原稿載置部61に載置された最下位の原稿SHに下から当接して、その最下位の原稿SHの重送を抑制する。
【0098】
この際、給送ローラ41の下端が各摩擦部材55の上面よりも下降して凹部62に進入することにより、最下位の原稿SHが湾曲して各摩擦部材55に好適に押し付けられるので、その最下位の原稿SHの重送を確実性高く抑制できる。
【0099】
<作用効果>
実施例1の画像読取装置1において、図7に示す各摩擦部材55は、原稿載置部61に載置された最下位の原稿SHの重送を抑制する。図6に示す凹部62は、下限位置にある給送ローラ41(41D)が進入する分だけ、上下方向の小型化に寄与する。図5及び図8に示す各開口63は、各突出部73を一対一で進入させ、各突出部73の露出面73Aを載置面61A側において露出させることにより、上下方向の小型化に寄与する。
【0100】
そして、図3に示すように、各摩擦部材55と凹部62と各開口63とが前後方向に沿って互いに離隔して配置されることにより、上下方向の小型化を実現できる。
【0101】
また、この画像読取装置1は、図9に示すように、各摩擦部材55と凹部62とが前後方向に沿って見たときに、露出面73Aの第1端縁73A1よりも給送方向DF1の下流、かつ露出面73Aの第2端縁73A2よりも給送方向DF1の上流に位置する構成により、左右方向の小型化を実現できる。
【0102】
したがって、実施例1の画像読取装置1は、上下方向及び左右方向の小型化を実現できる。
【0103】
さらに、この画像読取装置1について、仮に各開口63が各突出部73を一対一で進入させ、各突出部73の露出面73Aを載置面61A側において露出させる構成を採用せずに、各突出部73を原稿載置部61に下から当接させることにより上下方向の小型化を図ろうとする場合を想定する。この場合、給送ローラ41及び原稿載置部61等から振動が各突出部73を経由して第2読取センサ3Bに伝わり易くなり、第2読取センサ3Bの画像読取品質が低下するおそれがある。この点、この画像読取装置は、各開口63により、給送ローラ41及び原稿載置部61等から振動が各突出部73を経由して第2読取センサ3Bに伝わることを抑制できるので、第2読取センサ3Bの画像読取品質が低下し難い。
【0104】
また、この画像読取装置1において、図9に示すように、露出面73Aの第1端縁73A1は、載置面61Aの第3端縁61A3よりも下方に位置し、露出面73Aの第2端縁73A2は、載置面61Aの第4端縁61A4よりも上方に位置している。この構成により、ユーザが原稿載置部61に原稿SHを載置したり、給送ローラ41が原稿載置部61に載置された原稿SHを給送したりするときに、原稿SHが露出面73Aの周辺で詰まることを抑制できる。
【0105】
さらに、この画像読取装置1において、図8に示すように、露出面73Aは、隣接面61Bと平行に延び、かつ隣接面61Bよりも一段低い位置にあって、載置面61Aに支持される原稿に当接可能である。この構成により、露出面73Aが載置面61Aと協働して原稿SHを支持できるので、原稿SHが変形していたとしても露出面73Aの周辺で詰まることを抑制できる。
【0106】
また、この画像読取装置1において、図3に示すように、各突出部73は、給送ローラ41に対して前方及び後方に配置されている。この構成により、各押圧部3Pが前後方向において第2読取センサ3Bをバランス良く押圧できる。
【0107】
さらに、この画像読取装置1において、2つの摩擦部材55が給送ローラ41に対して前方及び後方に配置されている。載置面61Aに支持される原稿SHがない状態で、ホルダアーム50の各凸部50Tが各摩擦部材55に当接することによって給送ローラ41の下限位置が決まる。図6に示すように、下限位置にある給送ローラ41(41D)は、凹部62に進入しているが、凹部62には接触しない。この構成により、給送ローラ41と凹部62との接触を給送ローラ41及び凹部62の近傍において確実性高く規制できる。このため、載置面61Aに支持される原稿SHがない状態で給送ローラ41と凹部62とが接触してモータに駆動負荷がかかったり、給送ローラ41の摩耗や摩擦音が生じたりする不具合が発生しない。
【0108】
また、この画像読取装置1において、図3に示すように、各突出部73は、各摩擦部材55に対して前後方向における給送ローラ41とは反対側に配置されている。この構成により、給送ローラ41の回転軸を短くできるとともに、各押圧部3Pが前後方向において第2読取センサ3Bをバランス良く押圧できる。
【0109】
さらに、この画像読取装置1において、図9に示すように、前後方向における各摩擦部材55及び凹部62のそれぞれの投影面は、突出部73の一部と重なっている。この構成により、上下方向の小型化を一層実現できる。
【0110】
また、この画像読取装置1において、図5に示すように、露出面73Aは、左右方向に延びる複数のリブ75によって構成されている。この構成により、各突出部73における露出面73Aを有する壁の肉厚を均一にしつつ、その壁における露出面73Aとは反対を向いて押圧部3Pに当接する当接面73Bを平面にできる。これにより、当接面73Bは、押圧部3Pを好適に支持できる。
【0111】
さらに、この画像読取装置1において、図4に示すように、凹部62の前端部分62E1及び後端部分62E2は、傾斜面62Sを有している。この構成により、隣接面61Bと凹部62の接続部分のエッジを小さくできるので、載置面61Aに支持される原稿SHの枚数が少なくなっても、原稿SHに傷がつくことを抑制できる。
【0112】
また、この画像読取装置1において、図9に示すように、前後方向における各摩擦部材55及び凹部62のそれぞれの投影面は、露出面73Aの一部と重なっている。この構成により、上下方向の小型化を一層実現できる。
【0113】
(実施例2)
図10に示すように、実施例2の画像読取装置は、実施例1の画像読取装置1に係る各突出部73の複数のリブ75の代わりに、押圧部3P側で左右方向に延びる複数のリブ76を採用している。そして、各突出部73の露出面73Aを平面とし、各突出部73の当接面73Bを各リブ76の下端縁によって構成するように変更している。
【0114】
実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0115】
このような構成である実施例2の画像読取装置は、実施例1の画像読取装置1と同様に、上下方向及び左右方向の小型化を実現できる。
【0116】
また、この画像読取装置は、当接面73Bを各リブ76によって構成することにより、各突出部73における露出面73Aを有する壁の肉厚を均一にしつつ、露出面73Aを平面にできる。これにより、露出面73Aは、載置面61Aと協働して原稿SHを好適に支持できる。
【0117】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0118】
実施例1、2では、原稿載置部61がアッパーシュート部材60の一部であって、供給トレイ95とは別部材であるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、原稿載置部が供給トレイの一部である構成も本発明に含まれる。
【0119】
実施例1、2では、載置面61Aに支持される原稿SHがない状態で、ホルダアーム50の前後2つの各凸部50Tが前後2つの摩擦部材55に当接することによって給送ローラ41の下限位置が決まるが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、ホルダアーム50の2つの凸部50Tの一方を削除した構成も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明は例えば、画像読取装置、又は、画像形成機能及び画像読取機能を備えた複合機等に利用可能である。
【符号の説明】
【0121】
1…画像読取装置、SH…原稿、61…原稿載置部
30…搬送ガイド、41…給送ローラ、X42…揺動軸心
50…ホルダアーム、43…搬送ローラ
3A…第1読取センサ、3B…第2読取センサ
3P…押圧部、71…収納部、73…突出部
70…シュート部材(ロアシュート部材)
61A…載置面、55…摩擦部材、62…凹部
73A…露出面、63…開口、DF1…給送方向
73A1…露出面の第1端縁、73A2…露出面の第2端縁
61A3…載置面の第3端縁、61A4…載置面の第4端縁
61B…隣接面、75、76…リブ、73B…当接面
62E1、62E2…凹部における第2方向の両端部分(62E1…凹部の前端部分、62E2…凹部の後端部分)
62S…傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10