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特開2024-135488発酵処理装置及びこれを用いた堆肥化処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135488
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】発酵処理装置及びこれを用いた堆肥化処理方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/60 20220101AFI20240927BHJP
   C05G 5/12 20200101ALI20240927BHJP
   C05F 17/00 20200101ALI20240927BHJP
   B09B 101/70 20220101ALN20240927BHJP
   B09B 101/85 20220101ALN20240927BHJP
【FI】
B09B3/60 ZAB
C05G5/12
C05F17/00
B09B101:70
B09B101:85
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046197
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】514082295
【氏名又は名称】マスダ商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】増田 幸次
【テーマコード(参考)】
4D004
4H061
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AA04
4D004AC04
4D004BA04
4D004CA18
4D004CB03
4D004CB04
4D004CC08
4H061AA03
4H061CC42
4H061EE64
4H061EE66
4H061FF08
4H061GG13
4H061GG41
4H061GG43
4H061GG49
4H061LL03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発酵処理用コンテナを利用し、このコンテナ内で廃棄物を発酵させて堆肥化することができる発酵処理装置を提供すること。
【解決手段】発酵処理すべき廃棄物が収容されるコンテナ本体54を備えた発酵処理用コンテナ52と、コンテナ本体54の底部に配設された空気噴出手段68と、空気噴出手段68に空気を導入するための空気導入部76と、第1圧力の空気を供給するための第1空気供給手段78と、第1圧力よりも低い第2圧力の空気を供給するための第2空気供給手段80と、を具備する発酵処理装置。廃棄物を発酵処理するときには、第1空気供給手段78が空気導入部76に接続されてコンテナ本体54内の廃棄物に対して一次発酵処理が行われ、次いで第2空気供給手段80がこの空気挿入部76に接続されてコンテナ本体54内の廃棄物に対して二次発酵処理が行われる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵処理すべき廃棄物が収容されるコンテナ本体を備えた発酵処理用コンテナと、前記コンテナ本体の底部に配設された空気噴出手段と、前記空気噴出手段に空気を供給するための空気供給手段と、を具備し、
前記空気噴出手段は、前記コンテナ本体の一端側に配設された空気分配管と、前記空気分配管に間隔をおいて接続された複数の分岐噴出管とを含み、前記複数の分岐噴出管の先端側は前記コンテナ本体の前記一端側から他端側に延び、それらの長手方向に間隔をおいて複数の空気噴出孔が設けられており、
前記コンテナ本体内の前記廃棄物を発酵処理するときには、前記空気供給手段から前記空気噴出手段に第1圧力の空気が供給されて前記コンテナ本体内の前記廃棄物に対して一次発酵処理が行われ、次いで前記空気供給手段から前記空気噴出手段に、前記第1圧力よりも小さい第2圧力の空気が供給されて前記コンテナ本体内の前記廃棄物に対して二次発酵処理が行われることを特徴とする発酵処理装置。
【請求項2】
前記コンテナ本体内側の底面及び4側面の実質上全域は、小さな網目状又はすのこ状の樹脂シート又は樹脂プレートで覆われており、前記空気噴出手段から前記コンテナ本体内に噴出した空気は、前記コンテナ本体の前記内側面と前記樹脂シート又は樹脂プレートとの間の間隙乃至前記樹脂シート又は前記樹脂プレート自体の間隙を通して流れることを特徴とする請求項1に記載の発酵処理装置。
【請求項3】
前記空気噴出手段の前記複数の分岐噴出管のそれぞれの両側には、対応する分岐噴出管の長手方向に沿って一対の支持仕切り壁が設けられ、前記一対の支持仕切り壁は、対応する前記分岐噴出管よりも上方に突出しており、前記樹脂シート又は前記樹脂プレートは、前記複数の分岐噴出管及びこれらに対応する支持仕切り壁を覆うように配設されることを特徴とする請求項2に記載の発酵処理装置。
【請求項4】
前記樹脂シート又は前記樹脂プレートは、前記コンテナ本体の前記4側面に固定プレートにより固定され、前記コンテナ本体の前記底面においては固定されない状態に保持されることを特徴とする請求項2に記載の発酵処理装置。
【請求項5】
前記空気供給手段は、供給空気の圧力を切換可能な圧力切換供給手段から構成され、前記一次発酵処理のときには、前記圧力切換供給手段は前記第1圧力の空気を前記空気噴出手段に供給し、前記二次発酵のときには、前記圧力切換供給手段は前記第2圧力の空気を前記空気噴出手段に供給することを特徴とする請求項2に記載の発酵処理装置。
【請求項6】
前記空気供給手段は、前記第1圧力の空気を供給する第1供給手段と前記第2圧力の空気を供給する第2供給手段から構成され、前記一次発酵処理のときには、前記第1供給手段からの前記第1圧力の空気が前記空気噴出手段に供給され、前記二次発酵のときには、前記第2供給手段からの前記第2圧力の空気が前記空気噴出手段に供給されることを特徴とする請求項2に記載の発酵処理装置。
【請求項7】
前記コンテナ本体の底部の一端側には、幅方向に間隔をおいて一対の支持脚部が設けられ、その他端側には、前記幅方向に間隔をおいて一対の支持輪が回転自在に設けられ、前記コンテナ本体は、車両側の積載用アーム機構を利用して車両の積載台部に積載可能であることを特徴とする請求項1に記載の発酵処理装置。
【請求項8】
廃棄物を発酵させて堆肥化する廃棄物の堆肥化処理方法であって、
前記廃棄物を粉砕して小さくつぶす粉砕・つぶし工程と、前記粉砕・つぶし工程にてつぶした前記廃棄物に紅色非硫黄型光合成細菌群を添加して混合した添加混合物を多数の粒状体に形成する粒状体形成工程と、前記粒状体形成工程にて形成した多数の添加混合粒状体を、底面及び4側面の実質上全域を網目状又はすのこ状の樹脂シート又は樹脂プレートで覆った発酵処理用コンテナに収容する添加混合粒状体収容工程と、前記空気供給手段から第1圧力の空気を供給して前記発酵処理用コンテナ内の前記添加混合粒状体に対して一次発酵処理を行う一次発酵工程と、前記一次発酵工程の後に、前記空気供給手段から前記第1圧力よりも小さい第2圧力の空気を供給して前記発酵処理用コンテナの前記添加混合粒状体に対して二次発酵処理を行う二次発酵工程と、を含むことを特徴とする廃棄物の堆肥化処理方法。
















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選定枝、雑草、食品残渣などを含む廃棄物を発酵処理する発酵処理装置及びこれを用いた堆肥化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
畜糞などの有機性廃棄物を発酵処理する方法として、処理前に予め粒状化した後に発酵槽内に収容し、好気性発酵である一次発酵させ、その後嫌気性発酵である二次発酵させ、この二次発酵の後に乾燥させて肥料として利用する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この発酵処理方法では、一次発酵の際に、発酵槽内に60~70℃の温風を供給してその内部の温度が35℃前後(1次発酵が維持される温度)まで上昇させるようにし、このように発酵槽内の温度を上昇させて一次発酵が継続して行われるようにている。また、一次発酵終了後の二次発酵の開始の際にも、この発酵槽内に70℃前後の温風を供給して発酵槽内の温度を上昇させるようにし、このようにして二次発酵が短時間で終了するようにしている。
【0003】
この二次発酵終了時には処理物(粒状の廃棄物)の含水率が50~65%であるので、この処理物の乾燥が行われ、例えば自然乾燥又は乾燥機を用いた強制乾燥が行われて35%前後となるように乾燥され、かく乾燥された処理物の一部は、処理する廃棄物の水分調整材として利用され、その残部は、例えば肥料として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-170693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この発酵処理方法では、一次発酵を行うときには発酵槽に収容した処理物(粒状の廃棄物)に60~70℃の温風を例えば2~3時間供給して温度上昇させ、また二次発酵を行うときにもこの処理物に70℃前後の温風を例えば6~8時間供給して温度上昇させており、それ故に、温風を供給するための設備を設ける必要があるために、設備コストが上昇するという問題がある。また、発酵処理するのに温風を送る必要があるために、温風を生成するための燃料コスト、換言すると処理コストが高くなる問題がある。
【0006】
本発明の目的は、発酵処理用コンテナを利用し、このコンテナ内で廃棄物を発酵させて堆肥化することができる発酵処理装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、発酵処理用コンテナを利用し、このコンテナ内に収容した状態にて廃棄物を堆肥化することができる堆肥化処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の発酵処理装置は、発酵処理すべき廃棄物が収容されるコンテナ本体を備えた発酵処理用コンテナと、前記コンテナ本体の底部に配設された空気噴出手段と、前記空気噴出手段に空気を供給するための空気供給手段と、を具備し、
前記空気噴出手段は、前記コンテナ本体の一端側に配設された空気分配管と、前記空気分配管に間隔をおいて接続された複数の分岐噴出管とを含み、前記複数の分岐噴出管の先端側は前記コンテナ本体の前記一端側から他端側に延び、それらの長手方向に間隔をおいて複数の空気噴出孔が設けられており、
前記コンテナ本体内の前記廃棄物を発酵処理するときには、前記空気供給手段から前記空気噴出手段に第1圧力の空気が供給されて前記コンテナ本体内の前記廃棄物に対して一次発酵処理が行われ、次いで前記空気供給手段から前記空気噴出手段に、前記第1圧力よりも小さい第2圧力の空気が供給されて前記コンテナ本体内の前記廃棄物に対して二次発酵処理が行われることを特徴とする。
【0009】
このような発酵処理装置においては、コンテナ本体内側の底面及び4側面の実質上全域を小さな網目状又はすのこ状の樹脂シート又は樹脂プレートで覆うのが好ましく、このようにすることにより、空気噴出手段からコンテナ本体内に噴出した空気の一部は、コンテナ本体の内側面と樹脂シート又は樹脂プレートの間の間隙乃至この樹脂シート又は樹脂プレート自体の間隙を通して流れ、この空気の流れによって、樹脂シート又は樹脂プレートの表面側の廃棄物が適度に乾燥され、収容した廃棄物のコンテナ本体への付着を抑えることができる。
【0010】
また、空気噴出手段の複数の分岐噴出管のそれぞれの両側に各分岐噴出管の長手方向に沿って一対の支持仕切り壁を設け、複数の分岐噴出管及びこれらに対応する支持仕切り壁を覆うように樹脂シート又は樹脂プレートを設けるのが好ましく、このように構成することにより、複数の分岐噴出管からの空気を廃棄物に向けて上方に流すことができるとともに、廃棄物のこれら分岐噴出管への付着を抑えることができる。
【0011】
この樹脂シート又は樹脂プレートは、コンテナ本体の4側面に固定プレートにより固定し、コンテナ本体の底面においては固定しない状態とするのが好ましく、このように構成することによって、コンテナ本体の底部において樹脂シート又は樹脂プレートはこの底部に接触支持される状態となり、樹脂シート又は樹脂プレートに大きな負荷が加わるのを防止することができる。
【0012】
また、空気供給手段を供給空気の圧力の切換え可能な圧力切換供給手段から構成することができ、この場合、一次発酵のときには圧力切換供給手段から供給される空気の圧力を第1圧力に設定し、また二次発酵のときには圧力切換手段から供給される空気の圧力を第2圧力に設定することができる。
【0013】
この空気供給手段を第1圧力の空気を供給する第1供給手段と第2圧力の空気を供給する第2供給手段から構成するようにしてもよく、この場合、一次発酵のときには第1供給手段を空気噴出手段に接続して第1圧力の空気を供給するようにし、また二次発酵のときには第2供給手段を空気噴出手段に接続して第2圧力空気を供給するようにすることができる。
【0014】
更に、コンテナ本体の底部の一端側に一対の支持脚部を設け、その他端側に一対の支持輪を回転自在に設けるのが好ましく、このように構成することにより、車両側の積載用アーム機構を利用してコンテナ本体を車両の積載台部に積載することが可能となる。
【0015】
また、本発明の廃棄物の堆肥化処理方法は、廃棄物を発酵させて堆肥化する廃棄物の堆肥化処理方法であって、
前記廃棄物を粉砕して小さくつぶす粉砕・つぶし工程と、前記粉砕・つぶし工程にてつぶした前記廃棄物に紅色非硫黄型光合成細菌群を添加して混合した添加混合物を多数の粒状体に形成する粒状体形成工程と、前記粒状体形成工程にて形成した多数の添加混合粒状体を、底面及び4側面の実質上全域を網目状又はすのこ状の樹脂シート又は樹脂プレートで覆った発酵処理用コンテナに収容する添加混合粒状体収容工程と、前記空気供給手段から第1圧力の空気を供給して前記発酵処理用コンテナ内の前記添加混合粒状体に対して一次発酵処理を行う一次発酵工程と、前記一次発酵工程の後に、前記空気供給手段から前記第1圧力よりも小さい第2圧力の空気を供給して前記発酵処理用コンテナの前記添加混合粒状体に対して二次発酵処理を行う二次発酵工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の発酵処理装置(及びこれを用いた堆肥化処理方法)によれば、発酵処理すべき廃棄物が発酵処理用コンテナのコンテナ本体に収容され、このコンテナ本体の底部に空気噴出手段が配設され、空気供給手段からの空気が空気噴出手段に供給され、かく供給された空気は空気噴出手段から噴出される。そして、コンテナ本体内の廃棄物を発酵処理するときには、まず空気供給手段からの第1圧力の空気がコンテナ本体の底部から廃棄物に噴出されるので、この第1圧力の空気はコンテナ本体に収容された廃棄物を通して流れ、この廃棄物に対して一次発酵処理を行うことができる。その後、空気供給手段からの第2圧力の空気がコンテナ本体の底部から廃棄物に供給されるので、この第2圧力の空気が廃棄物を通して流れ、一次発酵後の廃棄物に対して二次発酵を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に従う一実施形態の発酵処理装置を運搬するための車両の一例を簡略的に示す側面図。
図2】発酵処理装置を車両側に引っ張っている状態を示す簡略部分説明図。
図3】発酵処理装置を車両に積載しようとその一部を積載台部に載せた状態を示す簡略部分説明図。
図4】発酵処理装置を車両の積載台部に引き上げた状態を示す簡略部分説明図。
図5】発酵処理装置を車両の積載台部に引き上げて前側に移動させた状態を示す簡略部分説明図。
図6】発酵処理装置の一実施形態を車両の背面側から見た背面図。
図7図6の発酵処理装置を示す平面図。
図8図7におけるVIII-VIII線による断面図。
図9図7におけるIX-IX線による断面図。
図10図6の発酵処理装置のコンテナ本体の角部を拡大して示す部分断面図。
図11】本発明に従う廃棄物の堆肥化処理方法の処理工程の一例を示す工程図。
図12】本発明に従う他の実施形態の発酵処理装置を取り扱うために用いる車両の一例を簡略的に示す斜視図。
図13】他の実施形態の発酵処理装置を簡略的に示す斜視図。
図14】本発明に従う廃棄物の堆肥化処理方法の処理工程の他の例を示す工程図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う発酵処理装置およびこれを用いた廃棄物の堆肥化処理方法の一実施形態について説明する。まず、図1図5を参照して、発酵処理装置とこれを運搬するための車両について概説する。図1及び図2において、車両2(例えば、コンテナ用荷役車両)は車両本体4を備え、この車両本体4の前部に運転室部6が設けられ、その後部に積載台部8が設けられている。この積載台部8には、積載用アーム機構12及びロック装置14が設けられている。積載用アーム機構12は、積載台部8に発酵処理装置10(図2図5参照)を積載し、積み降ろすときに用いるものであり、ロック装置14は、積載した発酵処理装置10を積載台部8上にロック保持するためのものである。
【0019】
積載用アーム機構12は、発酵処理装置10を移動させるときに用いるアーム機構16を備え、このアーム機構16は、前後方向に回動自在に支持された荷役アーム18と、先端部にフック20を有するフックアーム22とを備え、このフックアーム22は、荷役アーム18の先端部に回動自在に装着されている。尚、この荷役アーム18は、略直線状に延びる筒状の基部材24と、基部材24に前後方向にスライド自在に装着される略L字状の可動部材26とを含み、この可動部材26の先端部にフックアーム22が設けられている。
【0020】
この積載用アーム機構12に関連して、荷役アーム18を回動させるための第1シリンダ機構28と、フックアーム22を回動させるための第2シリンダ機構30と、荷役アーム18の可動部材26を基部材24に対して前後方向にスライドさせるための第3シリンダ機構(図示せず)とが設けられている。
【0021】
また、積載台部8の後端部には一対のガイドローラ32(図1図5において一方のみ示す)が回転自在に設けられている。かかるガイドローラ32は、積載台部8への脱着時に発酵処理装置10の底面に作用して回転し、その底面を支持して脱着作業がスムースとなるように作用する。尚、積載台部8側のロック装置14に対応して、発酵処理装置10の底部に係止部34(図2参照)が設けられ、発酵処理装置10が積載台部8の所定積載位置に位置付けられると、この係止部34がロック装置14にロック係止され、発酵処理装置10はこの所定積載位置に固定される。
【0022】
また、この発酵処理装置10の前底部には、幅方向(図2図5において紙面に対して垂直な方向、図6及び図8において左右方向)に間隔をおいて一対の支持脚部36(図2図5において一方のみ示す)が設けられ、その後底部には、この幅方向に間隔をおいて一対の支持輪38が(図2図5において一方のみ示す)回転自在に設けられ、発酵処理装置10を地面に設置した状態では、その前側においては一対の支持脚部36が地面に接地され、その後側においては一対の支持輪38が接地される(図9も参照)。
【0023】
このような車両2としては、それ自体周知のコンテナ用荷役車両を用いることができ、このコンテナ用荷役車両に積載する発酵処理装置10側の積載構造としては、この荷役車両に積載されるコンテナに採用されているそれ自体周知の積載構造を採用することができ、それらの具体的構成については、例えば、特開2010-58753号公報などを参照されたい。
【0024】
次に、この車両2の積載台部8への発酵処理装置10の積載作業について説明する。図1及び図2とともに、図3図5を参照して、この発酵処理装置10を積載するときには、地面に設置した発酵処理装置10に車両2を近づける。そして、図2から理解されるように、荷役アーム18の可動部材26を後方へスライド移動させ、荷役アーム18を発酵処理装置10に近づける。その後、荷役アーム18を回動し、この回動動作に伴い、フックアーム16も回動される。
【0025】
次に、発酵処理装置10の実際の積み込み作業を行う。第2シリンダ機構30を伸張させてフックアーム16を前方側(上向き)に回動さ、そのフック20を発酵処理槽10の前面に設けた係合部42(図6以降においては省略している)に係合させる。その後、図2に示すように、荷役アーム18を前方側に回動させ、このように回動させることによって、一対の支持輪38が地面40に接地した状態で発酵処理装置10が車両本体4側に移動され、発酵処理装置10の前側が上方に持ち上げられた状態となる。
【0026】
そして、この状態から荷役アーム18を前方側に回動させると、図3に示すように、発酵処理装置10の前底部が一対のガイドローラ32に当接して支持され、更に前方側に回動させると、発酵処理装置10が車両本体4の積載台部8に持ち上げられ、発酵処理装置10は積載台部8に載置され、一対のガイドローラ32に支持された状態となる。
【0027】
その後、図4に示すように、積載用アーム機構14の可動部材26を前方にスライド移動させ、この前方移動に伴い発酵処理装置10が積載台部8上を前方側に移動される。そして、図5に示すように、この可動部材26を前方停止位置まで移動させると、発酵処理槽10は積載台部8の所定積載位置まで移動され、この積載台部8に所要の通りに積載された状態となり、発酵処理装置10側の係止部34が積載台部8側のロック装置14に係止されることによって、この発酵処理装置10は、車両本体4の積載台部8上に積載された状態で固定される。
【0028】
このように車両2の積載台部8に積載することによって、この発酵処理装置10を所望の場所に搬送して設置することができ、車両2に搭載された積載用アーム機構14を用いて発酵処理装置10に収容された廃棄物を簡単に搬送、設置することができる。
【0029】
次に、図6図11を参照して、上述した発酵処理装置10及びこれを用いた廃棄物の堆肥化処理方法について説明する。図6及び図7において、この発酵処理装置10は発酵処理用コンテナ52を有し、この発酵処理用コンテナ52は、発酵処理すべき廃棄物が収容されるコンテナ本体54を備えている。このコンテナ本体54は全体が略直方体状であり、前壁56、右側壁58、左側壁60及び後壁62の4側壁と底壁64とを備え、これらの4側壁56~62及び底壁64によって、上面が開放された収容空間66が規定され、この収容空間66(コンテナ本体54)内に発酵処理すべき廃棄物が投入される。前壁56、左右の側壁58,60及び後壁62の外面には、必要に応じて、補強するための縦補強部材65及び横補強部材67が設けられる(図6において前壁56に設けられたもののみを示す。)。
【0030】
このコンテナ本体54の底部には、収容された廃棄物に向けて空気を噴出する空気噴出手段68が設けられている。図示の空気噴出手段68は、コンテナ本体54の一端側、この実施形態ではコンテナ本体54の後端側に配設された空気分配管70と、この空気分配管70の軸方向(即ち、コンテナ本体54の幅方向)に間隔をおいて連通接続された複数(この形態では、5本)の分岐噴出管72を有している。複数の分岐噴出管72は、コンテナ本体54(収容空間66)の一端側の空気分配管70から他端側に延び、コンテナ本体54の一端部から他端部まで縦方向にほぼ全長にわたって延びている。これら分岐噴出管72の上部には、所定間隔(例えば、30~60cm間隔)おきに複数の空気噴出孔74が設けられている。
【0031】
このコンテナ本体54の後壁62には空気導入接続管76(空気を導入するための空気導入部を構成する。)が設けられ、この空気導入接続管76は後壁62を貫通して空気分配管70に接続されている。この空気導入接続管76には、空気を供給すための空気供給手段が接続される。この実施形態では、空気供給手段は、第1圧力の空気を供給するための第1供給手段78と、この第1圧力よりも小さい第2圧力の空気を供給するための第2供給手段80とから構成され、廃棄物を一次発酵させるときには第1供給手段78が空気導入接続管76に着脱自在に接続され、廃棄物を二次発酵させるときには第2供給手段80が空気導入接続管76に着脱自在に接続される。
【0032】
このように構成されているので、第1供給手段78(又は第2供給手段80)が接続されたときには、この第1供給手段78(又は第2供給手段80)からの空気は、空気挿入接続管76を通して空気分配管70に送給され、この空気分配管70により複数の分岐噴出管72に分配された後に各分岐噴出管72を流れて複数の空気噴出孔74からコンテナ本体54内に噴出される。
【0033】
この実施形態においては、空気導入接続管76をコンテナ本体54の後壁62に設けているが、このような構成に代えて、空気分配管70の一端側(又は他端側)を右側壁58(又は左側壁60)を貫通して外側に突出させ、この突出端部を空気導入部として機能させるようにしてもよく、このような空気導入接続部をコンテナ本体54の前壁56に設けるようにしてもよい。
【0034】
また、この実施形態では、空気分配管70をコンテナ本体54内に配設しているが、このような構成に限定されず、この空気分配管70をコンテナ本体54の後壁62(又は前壁56)の外側に配設し、この空気分配管70から延びる複数の分岐噴出管72をこの後壁62(又は前壁56)を貫通してコンテナ本体54内を前壁56(又は後壁62)に向けて延びるように設けるようにしてもよい。
【0035】
第1供給手段78は、例えば、空気を供給する第1供給源82と、この第1供給源82からの空気をコンテナ本体54の空気導入接続管76に送給する第1供給ライン84を有し、第1供給源82は、例えばコンプレッサなどから構成され、第1供給ライン84は、例えば供給管、供給チューブなどから構成される。この第1供給手段78(第1供給源82)は、第1圧力、例えば0.3~0.7kPa(例えば0.5kPa)の空気を第1供給ライン84を通して供給する。
【0036】
また、第2供給手段80は、例えば、空気を供給する第2供給源86と、この第2供給源86からの空気をコンテナ本体54の空気導入接続管76に送給する第2供給ライン88を有し、第2供給源86は、例えば送風ブロアなどから構成され、第2供給ライン88は、例えば供給管、供給チューブなどから構成される。この第2供給手段80(第2供給源86)は、第1圧力よりも小さい第2圧力、例えば0.1~0.3kPa(例えば0.25kPa)の空気を第2供給ライン88を通して供給する。
【0037】
この空気供給手段として、空気の圧力を切換可能な圧力切換供給手段(図示せず)、例えば空気の供給圧力を調整できるコンプレッサなどから構成するようにしてもよい。このように構成した場合、後の記載から理解されるように、一次発酵処理のときには、圧力切換供給手段から供給される空気の圧力が第1圧力(例えば0.5kPa)に設定され、二次発酵処理のときには、圧力切換供給手段から供給される空気の圧力が第2圧力(例えば0.25kPa)に設定される。
【0038】
この実施形態の発酵処理装置10においては、図7図10に示すように、コンテナ本体54の4側壁56~62及び底壁64の内面全域が可撓性の樹脂シート90により覆われている。この樹脂シート90は、小さな網目状又はすのこ状のものでよく、コンテナ本体54内の空気がこの樹脂シート90を通して流れるものであればよく、このような樹脂シート90を用いることによって、空気噴出手段68からコンテナ本体54内に噴出された空気の一部は、樹脂シート90を通してコンテナ本体54の4側壁56~62の内面側に流れ、これら4側壁56~62の内側面と樹脂シート90との間の間隙を通して、またこの樹脂シート90自体の間隙を通して流れるようになる。尚、このような空気の適度な流れが生じるように、4側壁56~62の内面と樹脂シート90との間に少しの間隙、例えば2~15mm程度の間隙が生じるようにするのが望ましい。
【0039】
この樹脂シート90は、コンテナ本体54の4側壁56~62の内側面全域を覆う必要ななく、それらの内側面の実質上全域、具体的には、コンテナ本体54内に収容される廃棄物が接触する領域よりも少し上側の領域まで覆うようにすれば充分であるが、このコンテナ本体54内に廃棄物をほぼ満杯に収容して後述する如く発酵処理するときにはこの実施形態のように4側壁56~62の内側面の全域を覆うように樹脂シート90を設けるようにするのが好ましい。
【0040】
この樹脂シート90は、コンテナ本体54内の廃棄物による負荷に耐え得るように、ある程度の肉厚を有し且つ充分な強度を備えるものが用いられる。このような樹脂シート90に代えて、小さな網目状又はすのこ状の樹脂プレートを用いるようにしてもよい。
【0041】
このような樹脂シート90を用いる場合、図8及び図10に示すように、例えば、細長い固定用プレート92を用いて固定される。例えば、コンテナ本体54の4側壁56~62(前壁56、左右の側壁58,60及び後壁62)の内面を樹脂シート90で覆い、この樹脂シート90に固定用プレート92を押し当て、このような状態にて固定用プレート92を通して固定ねじ94をコンテナ本体54に螺着すればよく、このようにして樹脂シート90をコンテナ本体54に取り付けることができる。
【0042】
この実施形態では、コンテナ本体54の上端開口部においては、固定用プレート92(図8において、参照番号92aで示す。)は、この上端開口部に連続して配設され、樹脂シート90をコンテナ本体54の上端開口部内面の全周にわたって取り付けている。また、コンテナ本体54の中間部及び底部においては、固定プレート92(図8において、参照番号92bで示す。)は、上下方向及び横方向に間隔をおいて配設され、このように配設することにより、コンテナ本体54の4側壁56~62の内面と樹脂シート90との間の間隙は、上下方向に連続して生成されるように構成されている。
【0043】
この実施形態では、図8図10に示すように、空気噴出手段68の複数の分岐噴出管72の各々の両側に一対の支持仕切り壁94が設けられ、一対の支持仕切り壁94は、対応する分岐噴出管72の長手方向に沿ってその基部から先端まで延びている(図7においては、支持仕切り壁94を省略して示している。)。一対の支持仕切り壁94は、対応する分岐噴出管72を収容する収容空間を規定し、この収容空間に分岐噴出管72が収容配置される。
【0044】
一対の支持仕切り壁94は、それらの間に収容される分岐噴出管72よりも上方に突出するように設けられる。例えば、分岐噴出管72の外径が20~30mm程度(例えば、25mm程度)であるときに、この支持仕切り壁94の高さは25~40mm程度(例えば、30mm程度)となり、支持仕切り壁94は、分岐噴出管72よりも5~10mm程度上方に突出するように構成される。このように構成することにより、分岐噴出管72の複数の空気噴出孔74から噴出された空気は、図10に矢印で示すように、一対の支持仕切り壁94に案内されて上方の廃棄物に導かれる(図10においては、廃棄物の一部のみを示す。)。
【0045】
この実施形態では、樹脂シート90は、図8及び図10に示すように、複数の分岐噴出管72及び複数の支持仕切り壁94を覆うように設けられ、コンテナ本体54の底壁64に固定しない状態で4側壁56~62に取り付けられる。それ故に、廃棄物を収容した状態においては、樹脂シート90は廃棄物の自重によって撓んで底壁64の底面及び複数の支持仕切り壁94によって支持され、廃棄物の状態によって移動して変形し、このように変形することによって、樹脂シート90に大きな負荷が作用するのを防止することができ、またコンテナ本体54内の廃棄物が空気分配管70及び複数の分岐噴出管72に付着するのを抑えることができる。
【0046】
次に、主として図7図8及び図11を参照して、上述した発酵処理装置10を用いた堆肥化処理方法について説明する。この堆肥化処理方法では、廃棄物を堆肥化するものであり、廃棄物としては、例えば、雑草、剪定枝、食品残渣(例えば、給食残渣)などであり、これら廃棄物を堆肥化処理して堆肥として利用するものである。
【0047】
この堆肥化処理方法では、まず、処理すべき廃棄物(雑草、剪定枝、食品残渣など)を粉砕して小さくつぶす粉砕・つぶし工程S1が行われる。粉砕・つぶし工程S1では、例えば市販の粉砕装置(図示せず)を用いて処理すべき廃棄物の粉砕乃至つぶしが行われ、この粉砕・つぶし工程S1により、処理すべき廃棄物は、10mm以下の大きさ、好ましくは8mm以下の大きさに粉砕乃至つぶし処理される。
【0048】
次いで、粉砕乃至つぶした廃棄物を混合して多数の粒状体に形成する粒状体形成工程S2が遂行される。この粒状体形成工程S2では、例えば市販の攪拌造粒機(図示せず)を用いて行われる。粉砕乃至つぶし処理された廃棄物は、この攪拌造粒機のホッパー(図示せず)から投入され、この投入の際に紅色非硫黄型光合成細菌群が添加される。攪拌造粒機は、投入された廃棄物と添加された紅色非硫黄型光合成細菌群とを混合し、この添加混合物を造粒して多数の団子状の添加混合粒状体H(図10参照)を生成する。
【0049】
攪拌造粒機により生成される添加混合粒状体Hは、これらの添加混合粒状体Hの間を通して空気が流れるとともにこれら添加混合粒状体Hの内部まで発酵(後述する、好気性発酵及び嫌気性発酵)が進行するように、例えば外形5~25mmの大きさとなるように形成され、5~20mmの大きさになるようにするのが好ましい。
【0050】
紅色非硫黄型光合成細菌群としては、緑色を呈したもの、黒ずんだもの、薄いピンク状の物その他種々の物が作られたり、販売されているが、例えば、ワインレッド色を呈したもので、少しどぶの臭いがあるものを用いることができ、例えば粉砕乃至つぶし処理した廃棄物8m当たり400cc~700程度、例えば500cc前後添加して用いるのが好ましい。
【0051】
この実施形態では、粉砕乃至つぶし処理した廃棄物に紅色非硫黄型光合成細菌群を添加して混合しているが、後述する発酵が効果的に行われるように、また添加混合粒状体Hの水分を調整するために、この堆肥化処理方法により生成された堆肥を戻し堆肥として、この粉砕乃至つぶし処理した廃棄物に混合するのが好ましく、この場合、添加混合粒状体Hは、粉砕乃至つぶし処理した廃棄物、堆肥化処理された堆肥及び紅色非硫黄型光合成細菌群を含むものとなる。
【0052】
粉砕乃至つぶし処理した廃棄物(質量W1)と戻し堆肥として添加する堆肥(堆肥化処理された堆肥)(質量W2)との割合(W1:W2)は、例えば(40~60):(60~40)程度となるように混合され、このような割合で混合することによって、添加混合粒状体Hの含水率を40~60%程度に調整することができ、このような含水率にすることによって、後述する発酵(好気性発酵及び嫌気性発酵)を促進させることができる。
【0053】
尚、堆肥化処理されていない段階(即ち、最初の段階)においては、戻し堆肥が存在しないために、戻し堆肥に相当する種堆肥の種つくりをして粉砕乃至つぶし処理した廃棄物に添加混合するのが好ましい。この場合、食品残渣(例えば、給食残渣)、雑草、オガクズ(菌床となる)などを粉砕乃至つぶし処理したものに紅色非硫黄型光合成細菌群及びキレート剤を添加して多数の添加混合種粒状体を形成する。この場合、キレート剤としては、例えば鉄イオンと結合(配位)して二価鉄化するもの用いることができる。そして、これら添加混合種粒状体を例えばコンテナ本体54に収容し、後述の一次発酵工程S4と同様にして添加混合種粒状体の間を通して充分な空気を流して好気性発酵させる。その後、一次発酵後の添加混合種粒状体に対して、後述の二次発酵工程S5と同様にして多数の添加混合種粒状体の間を通して空気を少しずつ流して嫌気性発酵させて種堆肥をつくることができる。
【0054】
この粒状体形成工程S2において、紅色非硫黄型光合成細菌群に加えて、種堆肥の種作りに用いたキレート剤、例えば鉄イオンと結合(配位)して二価鉄化するものを添加するようにしてもよく、この場合、廃棄物、戻し堆肥、紅色非硫黄型光合成細菌群及びキレート剤が攪拌混合された添加混合粒状体Hが形成される。
【0055】
この粒状体形成工程S2の後に、添加混合粒状体Hを図10に示すように発酵処理用コンテナ52(コンテナ本体54)内に投入され(粒状体収容工程S3)、投入された添加混合粒状体Hに対して発酵処理が行われる。
【0056】
そして、この発酵処理用コンテナ52に収容された添加混合粒状体Hに対して一次発酵処理が行われる(一次発酵工程S4)。
【0057】
この一次発酵工程S4においては、コンテナ本体54の空気導入接続管76に第1供給手段78の第1供給ライン84が接続され、また第1供給源82(例えば、コンプレッサ)が作動される。かくすると、第1供給手段78からの第1圧力(例えば、0.5kPa)の空気が空気導入接続管76を通して空気噴出手段68に供給され、第1供給手段78からの空気が複数の分岐噴出管72の複数の空気噴出孔74から上方に噴出され、これら空気噴出孔74から噴出された空気は、図10に矢印で示すように、多数の添加混合粒状体H間の隙間を通って上方に流れる。
【0058】
このとき、添加混合粒状体Hは団子状であるので、コンテナ本体54に収容された状態においても隣接する添加混合粒状体H間に隙間が存在し、複数の空気噴出口74から噴出した空気は、かかる隙間を通してほぼ全体にわたって均一となるように上方に流れ、コンテナ本体54に収容された多数の添加混合粒状体Hに対して充分な空気を供給することができ、これによって、これら添加混合粒状体Hに対して好気性菌による好気性発酵が行われる。
【0059】
また、多数の添加混合粒状体Hには紅色非硫黄型光合成細菌群が添加されているので、この紅色非硫黄型光合成細菌群が微生物のエサとなって微生物の活性化が図られ、また好気性発酵の際に発生する臭いが抑えられ、発酵の際の臭いの周囲への拡散を抑えることができる。
【0060】
更に、このとき、コンテナ本体54内を上方に流れる空気の一部は、図10に示すように、樹脂シート90を通してコンテナ本体54の4側壁56~62と樹脂シート90との間の間隙に流れ込み、この間隙を通して上方に流れる空気の流れによって、樹脂シート90の表面及びこの表面近傍の添加混合粒状体Hに含まれる水分が除去されて適度に乾燥され、添加混合粒状体Hがコンテナ本体54の4側壁56~62内側面に付着するのを抑えることができる。
【0061】
この1次発酵工程S4の開始から2~3日経過すると、多数の添加混合粒状体Hの温度が60~70℃前後まで上昇して好気性発酵が活発に行われ、更に好気性発酵が進み、70℃を越える高温まで上昇して好気性発酵が行われ、このように70℃を越える温度まで上昇することにより、雑菌が非常に少ない状態のものとなる。
【0062】
この一次発酵工程S4の開始から6~10日経過すると、多数の添加混合粒状体Hの温度が60~70℃まで少し低下するようになり、このような温度まで低下した段階で好気性菌による好気性発酵が終了し、一次発酵工程S4が終了する。
【0063】
この一次発酵工程S4の後に、添付混合粒状体Hに対して二次発酵を行う二次発酵工程S5が遂行される。この2次発酵工程S5においては、コンテナ本体54に接続されていた第1供給手段78に代えて第2供給手段80が接続される。即ち、このコンテナ本体54の空気導入接続部76に第2供給手段80の第2供給ライン88が接続され、また第2供給源86(例えば、送風ブロア)が作動される。
【0064】
かくすると、第2供給手段80からの第2圧力(例えば、0.25kPa)の空気が複数の分岐噴出管72の複数の空気噴出孔74から上方に噴出され、これら空気噴出孔74から噴出された空気は、上述したと同様に、コンテナ本体54内の多数の添加混合粒状体H間の隙間を通って上方に流れる。このときには、空気噴出口74から噴出した空気は、かかる隙間を通してほぼ全体にわたって均一となるように上方に流れるが、空気の供給流量が少ないために、コンテナ本体54に収容された添加混合粒状体Hに対して空気が少しずつ供給されるようになり、これによって、これら添加混合粒状体Hに対して嫌気性菌による嫌気性発酵が行われる。また、この二次発酵のときにも紅色非硫黄型光合成細菌群が微生物のエサとなり、嫌気性発酵の際に発生する臭いも抑えられる。
【0065】
また、このときに、コンテナ本体54内を上方に流れる空気の一部は、上述したと同様に、樹脂シート90を通してコンテナ本体54の4側壁56~62と樹脂シート90との間の間隙に流れ込み、この間隙を通して上方に流れる空気の流れによって、樹脂シート90の表面及びこの表面近傍の添加混合粒状体Hに含まれる水分が除去されて乾燥され、二次発酵のときにおいても添加混合粒状体Hがコンテナ本体54の4側面56~62の内面に付着するのを抑えることができる。
【0066】
この2次発酵工程S5の開始から7~14日経過すると、多数の添加混合粒状体Hの温度が25~35℃前後まで低下するようになり、このような温度まで低下した段階で嫌気性菌による嫌気性発酵が終了し、二次発酵工程S5が終了する。尚、二次発酵工程S5が終了した後、この添加混合粒状体Hを例えばコンテナ本体54に収容した状態でそのまま放置して乾燥させるようにしてもよい。
【0067】
この二次発酵工程S5後の添加混合粒状体Hは、上述したように、粒状体形成工程S2における戻し堆肥として用いられる。尚、二次発酵工程S5後の堆肥をそのまま戻し堆肥として用いるようにしてもよいが、これを乾燥させたものを戻し堆肥として用いるようにすることもできる。
【0068】
土壌用に用いる堆肥として利用する場合、添加混合粒状体Hを完成堆肥として選別する選別工程S6が遂行される。この選別工程S6においては、添加混合粒状体Hが完成選別装置(図示せず)に送られ、この完成選別装置により所要の通りに選別され、添加混合粒状体Hに混入していた異物などが除去されて完成堆肥の完成となる(堆肥の完成S7)。この完成堆肥は、例えば、田畑に運んで土壌表面に蒔いたり、例えば肥料として袋詰めされて商品化して販売される。
【0069】
以上、本発明に従う発酵処理装置及びこれを用いた堆肥化処理方法の一実施形態について説明したが、本発明はこのような発酵処理装置及び堆肥化処理方法に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0070】
例えば、上述した実施形態では、1つの発酵処理用コンテナ52に1つの第1供給手段78及び1つ第2供給手段80を設けているが、このような構成に限定されず、複数(例えば、3~4つ)の発酵処理用コンテナ52に対して1つの第1供給手段78及び/又は1つの第2供給手段80を設けるようにしてもよい。
【0071】
複数の発酵処理用コンテナ52に対して1つの第1供給手段78(又は第2供給手段80)を設ける場合、例えば、第1供給源82(又は第2供給源86)、例えばコンプレッサ(又は送風ブロア)から複数の第1供給ライン84(又は第2供給ライン88)を分岐して設け、各第1供給ライン84(又は第2供給ライン88)に第1開閉弁(又は第2開閉弁)を配設し、発酵処理用コンテナ52の空気導入接続管76(空気導入部)に接続した第1供給ライン84(又は第2供給ライン88)の第1開閉弁(又は第2開閉弁)を開状態にして第1空気供給源82(又は第2空気供給源86)からの空気をコンテナ本体54に供給するようにすればよい。
【0072】
また、例えば、上述した発酵処理用コンテナ52には特に設けていないが、必要に応じて、コンテナ本体54の開口部を覆う開閉カバー体(図示せず)を設けるようにしてもよい。例えば、廃棄物を堆肥化処理するときなどにおいては、この開閉カバー体は、コンテナ本体54の開口部を開放する開状態に保持され、このように開状態にすることにより、廃棄物(添加混合粒状体H)間を流れる空気がコンテナ本体54の開口部を通して外部に排気される。また、発酵処理用コンテナ52を運搬するときなどにおいては、この開閉カバー体は、コンテナ本体54の開口部を覆う閉状態に保持され、このように閉状態にすることにより、コンテナ本体54内に収容された廃棄物(添加混合粒状体H)の外部への飛散などを防止することができる。
【0073】
更に、例えば、上述した実施形態では、車両2の積載用アーム機構12を用いて車両本体4の積載台部8に積載するのに適した形態の発酵処理用コンテナ52に適用して説明したが、このような形態のものに限定されず、例えば地面に設置して用いるのに適した形態のものにも同様に適用することができ、このように構成する場合、例えば図12図14に示すように構成することができる。
【0074】
図12及び図13において、この変形形態においては、積層載置可能なコンテナ102が用いられる。発酵処理用コンテナ102は上面が開放されたコンテナ本体104を備え、コンテナ本体104は、上述のものと同様に、4側壁106,108,110,112及び底壁114を備えている。このコンテナ102においても、図示していないが、図6図10に示すコンテナ52(コンテナ本体54)と同様に、4側壁106~112及び底壁114の内面の実質上全域に樹脂シート(図示せず)が配設され、この樹脂シートは、上述したと同様のものでよい。
【0075】
また、コンテナ本体104内の底部には、図示していないが、上述したと同様の構成の空気噴出手段が設けられ、この空気噴出手段は、コンテナ本体104の内側にて、例えば側壁106を貫通して設けられた空気導入接続管116に連通接続される。尚、この空気導入接続管116には、空気供給手段、例えば切換供給手段(又は第1及び第2供給手段)が接続される。
【0076】
また、コンテナ本体104の底壁114には、一対の支持脚部材118が設けられ、これら支持脚部材118の両端部は、コンテナ本体104の外側に突出しており、このように突出させることにより、発酵処理用コンテナ102を積層載置することが容易となる。また、このように一対の支持脚部材118を設けることにより、例えば、設置した地面(又は下側の発酵処理用コンテナ102)と発酵処理用コンテナ102(又は上側の発酵処理用コンテナ102)の底壁114との間にスペースが生じ、このスペースを利用してフォークリフト120による取扱いが可能となる。
【0077】
この発酵処理用コンテナ102の取扱いには、フォークリフト、例えば図12に示す回転リフト122を用いるのが好ましい。図12において、回転リフト122は、例えばバッテリにより走行可能な車両本体124を備え、車両本体124の前面側に昇降機構126を介して昇降部材128が昇降自在に装着され、この昇降部材128に回転部材130が回転自在に支持され、この回転部材130に発酵処理用コンテナ102(図13参照)を後述する如く取扱うためのアタッチメントユニット131が取り付けられている。
【0078】
このアタッチメントユニット131としては、一対の爪部材132を有する第1アタッチメント134と、蓋部材136を備えた第2アタッチメント138とを備えたものを好都合に用いることができる。第1及び第2アタッチメント134,138が相互に近接及び離隔する方向に移動自在に取り付けられ、例えば第1アタッチメント134の一対の爪部材132は、発酵処理用コンテナ102(コンテナ本体104)の下側に挿入されてその底壁114側を支持し、第2アタッチメント138の蓋部材136はこのコンテナ102(コンテナ本体104)を覆ってこの開口側を支持する。このような回転リフト122は、市販されているものを利用して製作することができる。
【0079】
このような回転リフト122を用いた場合、発酵処理用コンテナ102は、一対の爪部材132及び蓋部材136間に挟持保持され、このような保持状態において回転部材130を回転させることにより、このアタッチメントユニット131に保持された格好処理用コンテナ102を回転させることができる。尚、第2アタッチメント138の蓋部材136は、コンテナ本体104の開口部の全域を塞ぐ大きさにするのが好ましく、このような大きさにすることによって、回転させる際にコンテナ本体104内の添加混合粒状体が外側にこぼれるのを防止することができる。
【0080】
このような発酵処理用コンテナ102及び回転リフト122を用いることによって、コンテナ本体104に収容された添加混合粒状体の攪拌混合が容易となり、例えば図14に示す堆肥化処理方法によって添加混合粒状体を堆肥化することができる。図14を参照して、この堆肥化処理方法においては、図14図11とを対比することによって容易に理解される如く、粒状体収容工程S13と一次発酵工程S15との間に第1攪拌混合工程S14が設けられ、また一次発酵工程S5と二次発酵工程S7との間に第2攪拌混合工程S16が設けられており、この堆肥化処理方法におけるその他の工程は、上述した工程(図11に示す工程)と同じである。
【0081】
第1攪拌混合工程S14(又は第2攪拌混合工程S16)においては、上述したように、アタッチメントユニット131の第1及び第2アタッチメント134,138を離隔する方向に移動させる。そして、第1アタッチメント134の一対の爪部材132を発酵処理用コンテナ102(コンテナ本体104)の下側に挿入し、また第2アタッチメント138の蓋部材136をこのコンテナ102の開口側の上側に位置付け、この状態において、第1及び第2アタッチメント134,138を相互に近接する方向に移動させる。
【0082】
かくすると、第1アタッチメント134の一対の爪部材132がコンテナ本体104の底壁114を持上げるとともに、第2アタッチメント138がコンテナ本体104の開口部を閉塞し、添加混合粒状体を収容したコンテナ本体104は、第1及び第2アタッチメント134,138間に挟持保持される。
【0083】
その後、回転部材130が所定方向に回動され、この回転部材130とともにコンテナ本体104が回動され、この回転によって、コンテナ本体104内の添加混合粒状体が流動して攪拌混合され、一次発酵工程S15(又は二次発酵工程S17)の前に添加混合粒状物を攪拌混合して均一化を図ることができ、次の一次発酵工程S15(又は二次発酵工程S17)の発酵処理を促進することができる。
【0084】
この形態では、一次発酵工程S15の前において第1攪拌混合工程S14を実施し、その後において第2攪拌混合工程S16を実施しているが、例えば一次発酵工程S15の前にのみ攪拌混合工程を実施するようにしてもよく、或いは一次発酵工程S15の後にのみ攪拌混合工程を実施するようにしてもよい。或いは、堆肥化処理中における攪拌混合工程の回数を増やすようにしてもよく、例えば一次発酵工程S15中に攪拌混合を1回又は2回以上行うようにしてもよく、及び/又は例えば二次発酵工程S17中に攪拌混合を1回又は2回以上行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
2 車両
8 積載台部
10 発酵処理装置
12 積載用アーム機構
52,102 発酵処理用コンテナ
54,104 コンテナ本体
68 空気噴出手段
70 空気分配管
72 分岐噴出管
76,116 空気導入接続管
78 第1供給手段
80 第2供給手段
90 樹脂シート
94 支持仕切り壁
H 添加混合粒状体



















図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14