(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135495
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】計測方法、計測装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01B 15/00 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01B15/00 H
H01L21/66 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046206
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】松永 健太郎
【テーマコード(参考)】
2F067
4M106
【Fターム(参考)】
2F067AA24
2F067AA31
2F067BB04
2F067CC17
2F067EE04
2F067HH04
2F067JJ03
2F067KK09
2F067RR35
4M106AA01
4M106CA48
4M106DH25
4M106DH34
(57)【要約】
【課題】段階的に深さが異なるパターンの周期構造の深さの計測を非破壊で行うこと。
【解決手段】実施形態の計測方法は、開口部からの深さが段階的に異なる複数のパターンの周期構造が形成された基板に対し、照射装置から異なる照射角で照射された電磁波の散乱強度に基づく回折像をそれぞれ取得し、複数の開口部が形成される第1面に基づく回折像を特定する第1の照射角と、パターンの底部が並ぶ第2面に基づく回折像を特定する第2の照射角と、を取得し、第1の照射角、及び第2の照射角の差分に基づいて、第1面と、第2面と、がなす角度を算出することを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部からの深さが段階的に異なる複数のパターンの周期構造が形成された基板に対し、照射装置から異なる照射角で照射された電磁波の散乱強度に基づく回折像をそれぞれ取得し、
複数の前記開口部が形成される第1面に基づく前記回折像を特定する第1の照射角と、
前記パターンの底部が並ぶ第2面に基づく前記回折像を特定する第2の照射角と、を取得し、
前記第1の照射角、及び前記第2の照射角の差分に基づいて、前記第1面と、前記第2面と、がなす角度を算出する、
ことを含む、
計測方法。
【請求項2】
前記角度と、前記角度について予め定められた目標角度と、の差分に基づいて、
前記周期構造の深さと、前記周期構造の目標とする深さと、のずれ量を算出し、
前記ずれ量が基準の範囲内か否かを判断する、
請求項1に記載の計測方法。
【請求項3】
前記目標角度は、
前記周期構造の設計情報に基づいて予め定められる、
請求項2に記載の計測方法。
【請求項4】
前記目標角度は、
前記基板とは異なる基板について取得された回折像に基づいて算出された角度である、
請求項2に記載の計測方法。
【請求項5】
前記基板の反り量に基づいて、所定の基準面に対する前記基板の位置毎の傾斜角を算出し、
前記照射装置、または前記基板を保持する試料台の少なくとも一方を、前記基板の基板面に沿う第1の方向及び、前記基板面に沿うとともに前記第1の方向と交差する第2の方向を中心に回動させることにより、
前記照射角に、前記傾斜角を反映させることをさらに含む、
請求項1に記載の計測方法。
【請求項6】
開口部からの深さが段階的に異なる複数のパターンの周期構造が形成された、基板に対し、照射装置から異なる照射角で照射された電磁波の散乱強度に基づく回折像を取得する計測部と、
複数の前記開口部で形成される第1面に基づく前記回折像を特定する第1の照射角と、前記パターンの底部が並ぶ第2面に基づく前記回折像を特定する第2の照射角と、を取得する特定部と、
前記第1の照射角、及び前記第2の照射角の差分に基づいて、前記第1面と、前記第2面と、がなす角度を算出する演算部と、
を備える、
計測装置。
【請求項7】
複数の第1絶縁層と複数の第2絶縁層とを1層ずつ交互に積層した積層体と、
前記積層体に形成され、開口部からの深さが段階的に異なる複数のパターンの周期構造と、を有する基板を用意し、
前記基板に対し、照射装置から異なる照射角で照射された電磁波の散乱強度に基づく回折像をそれぞれ取得し、
複数の前記開口部が形成される第1面に基づく前記回折像を特定する第1の照射角と、
前記パターンの底部が並ぶ第2面に基づく前記回折像を特定する第2の照射角と、を取得し、
前記第1の照射角、及び前記第2の照射角の差分に基づいて、前記第1面と、前記第2面と、がなす角度を算出し、
前記角度と、前記角度について予め定められた目標角度と、の差分に基づいて、
前記周期構造の深さと、前記周期構造が目標とする深さと、のずれ量を算出し、
前記ずれ量が基準の範囲内か否かを判断することを含む、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、計測方法、計測装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造に際して、段階的に深さが異なる複数のパターンの深さの計測が行われる場合がある。このような計測においては、パターンを上方から撮像した撮像画像のコントラスト等に基づいて深さを計測する技術が用いられている。しかしながら、パターンが所定の深さを超えるとコントラスト等の確保が困難になる場合がある。
【0003】
そこで例えば、基板表面に作成された既知の厚さの被加工膜にパターンの加工を施し、被加工膜を剥離後、基板表面の加工跡を観察することによりパターン深さを推測する等の破壊検査が提案されている。しかしながら、このような破壊検査は、検査後の基板を製品へ利用できなくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-173222号公報
【特許文献2】特開2022-38389号公報
【特許文献3】特表2021-518533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの実施形態は、段階的に深さが異なるパターンの周期構造の深さの計測を非破壊で行うことが可能な計測方法、計測装置、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の計測方法は、開口部からの深さが段階的に異なる複数のパターンの周期構造が形成された基板に対し、照射装置から異なる照射角で照射された電磁波の散乱強度に基づく回折像をそれぞれ取得し、複数の前記開口部が形成される第1面に基づく前記回折像を特定する第1の照射角と、前記パターンの底部が並ぶ第2面に基づく前記回折像を特定する第2の照射角と、を取得し、前記第1の照射角、及び前記第2の照射角の差分に基づいて、前記第1面と、前記第2面と、がなす角度を算出することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態にかかる計測装置の構成の一例を模式的に示す図。
【
図2】実施形態における基板に形成された周期構造の一例を示す図。
【
図3】実施形態におけるX線の散乱の概要を説明する図。
【
図4】実施形態にかかる統括制御部の機能構成の一例を計測装置の他の構成とともに示すブロック図。
【
図5】実施形態にかかる基板の傾斜角の概要を説明する図。
【
図7】実施形態における基板の設計情報の一例に、角度を重畳させて示す図。
【
図8】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図9】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図10】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図11】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図12】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図13】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図14】実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示するフローチャート。
【
図15】変形例1にかかる半導体装置の製造方法の手順の一部を例示するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0009】
(計測装置の構成例)
図1は、実施形態にかかる計測装置1の構成の一例を模式的に示す図である。
【0010】
実施形態の計測装置1は、複数のホールパターンを有する基板SBの3次元形状を計測可能な計測装置として構成されている。計測装置1は、計測対象としての基板SBに電磁波としてのX線Liを照射し、その散乱X線Loの強度に基づいて基板SBの形状を計測する。計測装置1は、例えばT-SAXSと呼ばれる、透過型のSAXS(Small angle X-ray Scattering)である。基板SBは、例えば、シリコンウエハ等の半導体基板である。
【0011】
図1に示すように、計測装置1は、計測機構10と、統括制御部20と、動作制御部21と、記憶装置31と、表示装置32と、入力装置33と、を備える。
【0012】
計測機構10は、計測装置1の物理的、機械的な構成部分である。計測機構10は、X線照射部11と、計測ステージ12と、X線検出部13と、を有する。
【0013】
なお、本明細書においては、計測ステージ12に支持される基板SBの基板面(例えば、上面または表面とも称する)に沿う2方向を第1の方向としてのX方向、及び第2の方向としてのY方向とする。X方向、及びY方向は直交する。また、Z方向は、基板SBの基板面と交差する方向であり、Z方向と、X方向、及びY方向と、は互いに直交する。
【0014】
照射装置としてのX線照射部11は、所定の波長のX線を発生させる光源等を含むユニットである。X線照射部11は、X線源111と、X線光学系112と、を有する。
【0015】
X線源111は、基板SBに向けてX線Liを照射する。
【0016】
X線光学系112は、X線源111から出射されたX線Liを成形して基板SBへ導く。X線光学系112は、X線Liをコリメート化してもよいし、基板SB近傍で集束させてもよい。
【0017】
試料台としての計測ステージ12は、基板SBを支持可能なユニットである。計測ステージ12は、上下方向に延びる支持軸121と、中空のリング状部材であるチャック122と、を有する。
【0018】
チャック122は、パターンが形成されている基板SBの基板面をX線照射部11に向けた状態で基板SBを支持する。チャック122は、支持軸の121の端部に接続されている。チャック122は、X方向、及びY方向に延びる図示せぬ回転軸を中心に回動可能に構成されている。これにより、基板SBに対するX線Liの照射角を、YZ平面、及びXZ平面に沿って変更可能となる。言い換えると、基板SBに対し、X線Liを異なる照射角で照射可能となる。
【0019】
X線検出部13は、基板SBから発生した散乱X線Loを受光し、散乱強度に基づく回折像を生成する。X線検出部13は、例えば、2次元のアレイ状に配置された複数個の半導体検出素子で構成される。X線検出部13は、受光した散乱X線Loを、X線検出部13の投影領域に配置された半導体検出素子により光電変換する。これにより、回折像が生成される。
【0020】
ここで
図2~3を用いて、X線Liの照射対象である基板SBと、X線Liの散乱の概要について説明する。
【0021】
図2は、実施形態における基板SBに形成された周期構造の一例を示す図である。
図2(a)は基板SBの透視斜視図である。
図2(b)は基板SBの上面図である。
図2(c)は、基板SBの全体構成を模式的に示す側面図である。
【0022】
図2(c)に示すように、基板SB上に形成された所定膜FLには、第1面としての上面SUからの深さd(da,db,dc・・・)が段階的に異なる複数のホールパターンCH(CHa,CHb,CHc・・・)が形成されている。ホールパターンCHのそれぞれは、上面SUから深さ方向に延びる円柱状である。ホールパターンCHのそれぞれは、上面SUに露出する開口部OPと、底部BTと、を有している。また開口部OPのそれぞれと、底部BTのそれぞれの面積は略等しい。これらのホールパターンCHの個数は、例えば数十~百程度であってよいが、特に限定されない。なお、以降の説明において、基板SB上に形成された所定膜FLを含めて「基板SB」と称することがある。
【0023】
図2(a)、(b)は、上述の複数のホールパターンCHのうちの一部を示している。
図2(b)に示すように、上面SUには、X方向、及びY方向に均一な開口部OPの周期構造が形成されている。具体的には、複数のホールパターンCHのうち、ホールパターンCHa~CHdは、例えばX方向に向かって一列に配置されている。また、ホールパターンCHa~CHdの配列と交差するY方向には、これらのホールパターンCHa~CHdに隣接して、ホールパターンCHe~CHhが一列に配置されている。これにより、基板SBの上面SUには、開口部OPが、X方向、及びY方向に周期的に並ぶこととなる。
【0024】
図2(a)に示すように、ホールパターンCHの底部BTのそれぞれを結んでできる第2面としての傾斜面SPには、X方向、及びY方向に均一な底部BTの周期構造が形成されている。具体的には、複数のホールパターンCHのうち、ホールパターンCHa~CHdは、例えばX方向に向かって順次、上面SUからの深さdが減少するように一列に配置されている。これらのホールパターンCHa~CHdにおいて、隣接するホールパターンCHの底部BT同士の深さdの差は、例えば100~200nm程度である。また、ホールパターンCHa~CHdの配列と交差するY方向には、これらのホールパターンCHa~CHdに隣接して、同様に上面SUからの深さdが減少していくホールパターンCHe~CHhが一列に配置されている。ホールパターンCHe~CHhのうち最も深いホールパターンCHeの深さdeは、ホールパターンCHa~CHdのうち最も浅いホールパターンCHdの深さddよりも小さい。ホールパターンCHd,CHeの底部BTの深さdd、deの差も、例えば100~200nm程度であってよいが特に限定されない。
【0025】
このように、基板SBには、一方方向に向かって順次、底部BTの深さdが段階的に減少していく複数列のホールパターンCHa~CHd,CHe~CHh,CHi~CHl,CHm~CHp・・・が、これらの配列方向と交差する方向に配置されている。このようなホールパターンCHのそれぞれの底部BTを結ぶと、ホールパターンCHd、CHh、CHlが配置される側から、ホールパターンCHa、CHe、CHiが配置される側に向かって下る傾斜面SPが形成される。このような傾斜面SPには、ホールパターンCHa~CHd,CHe~CHh,CHi~CHl,CHm~CHp・・それぞれの底部BTがX方向、及びY方向に周期的に並ぶこととなる。
【0026】
このとき、
図2(c)に示すように、上面SUと、傾斜面SPと、のなす角は、角度θである。即ち、角度θは、上面SUに対する傾斜面SPの傾きの度合いを示す。角度θを特定することにより、底部BTの周期構造の深さd(da,db,dc・・・)が特定可能となる。
【0027】
ただし、
図2(a)(b)に示すこれら複数のホールパターンCHの配列順、及び配置位置等はあくまで一例であり、基板SBの複数のホールパターンCHは上記とは異なる配列順、または配置を有していてもよい。
【0028】
図3は、実施形態におけるX線Liの散乱の概要を説明する図である。
図3(a)は、X線照射部11から照射されるX線Li、及び基板SBで散乱される散乱X線Loの一例を示す模式図である。
図3(b)~(c)は、散乱X線Loにより得られる回折像IMの一例を示している。
【0029】
図3(a)に示すように、X線Liは、基板SBに対し照射角αで照射される。照射角αは、基板SBの基板面と直交する軸Axに対する角度である。X線Liは、基板SBに形成されたホールパターンCHによって散乱される。
【0030】
例えば、X線Liが、基板SBに形成されたXY方向に均一な周期構造に対して略垂直に当たっている場合、散乱X線Loは、X及びY方向に均一に散乱される。即ち例えば、X線Liが、上面SU、及び傾斜面SPのそれぞれに対して略垂直に当たっている場合には、散乱X線Loは、X及びY方向に均一に散乱される。これにより、
図3(b)に示すような、対称性を有する回折像IMが得られる。
【0031】
一方で、例えば、X線Liが、基板SBに形成された周期構造に対して略垂直に当たっていない場合、散乱X線Loは、X及びY方向において不均一に散乱される。これにより、
図3(c)に示すような、非対象の回折像IMが得られる。
【0032】
このように、回折像IMを解析することにより、基板SBに形成された周期構造の微妙な変化を把握できる。このような回折像IMは、X線検出部13によって統括制御部20へ送信される。
【0033】
図1に戻り、統括制御部20は、計測装置1の全体を管理する。例えば、統括制御部20は、各種の制御信号を生成して動作制御部21へと送ることにより、計測機構10を制御する。統括制御部20の詳細の構成については後述する。
【0034】
動作制御部21は、統括制御部20からの指示に基づいて、計測機構10の動作を制御する。例えば、動作制御部21は、計測ステージ12の回転方向、及び回転角度等の動作を制御することにより、基板SBに対するX線Liの照射角αを調整する。また例えば、動作制御部21は、X線照射部11を制御することにより、X線の出力等を調整する。
【0035】
記憶装置31は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、またはSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体である。記憶装置31は、統括制御部20の補助記憶装置として機能する。記憶装置31には、例えばX線検出部13に出力された回折像IM、傾斜角取得部201において特定された基板SBの傾斜角β、ホールパターンCHの設計情報(設計データ)、各種計測条件、及びホールパターンCHの形状の良否を判定するための基準としての判定基準値等が格納される。
【0036】
表示装置32は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等のモニタである。表示装置32は、例えば上述の回折像IM、基板SBの傾斜角β、ホールパターンCHの設計情報、各種計測条件、及び判定基準値等を表示する。
【0037】
入力装置33は、例えばキーボード、マウス、その他計測装置1のユーザの、統括制御部20への指示を入力可能なインターフェースである。ユーザは、入力装置33を介して、計測装置1への指示、各種計測条件、及び判定基準値等を入力できる。
【0038】
(統括制御部の構成例)
次に、
図4を用いて、実施形態の計測装置1が備える統括制御部20の詳細の構成例について説明する。
図4は、実施形態にかかる統括制御部20の機能構成の一例を計測装置1の他の構成とともに示すブロック図である。
【0039】
実施形態の統括制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備えたコンピュータとして構成されている。統括制御部20のCPUが、ROM等に格納される制御プログラムをRAMに展開して実行することで、以下に述べる機能部が実現される。
【0040】
図4に示すように、統括制御部20は、機能部として、傾斜角取得部201と、計測部202と、画像取得部203と、表示制御部204と、特定部205と、演算部206と、判定部207と、を有する。
【0041】
図5は、実施形態にかかる基板SBの傾斜角βの概要を説明する図である。
【0042】
基板SBには、その基板面に種々の層が積層して形成されている場合がある。そのため、
図5に示すように、基板SBは、基準面BLに対してお椀状に反るように変形していることがある。このとき例えば、基板SBの中心点Oからraだけ離間した位置Paと、基板SBの中心点Oからrbだけ離間した位置Pbと、では基準面BLに対する傾きが異なる。これにより、位置Paと、位置Pbと、において、X線Liの照射角αが異なる場合がある。
【0043】
図4に戻り、傾斜角取得部201は、図示せぬ反り測定器から、基板SBの反り量を取得する。反り測定器は、例えばレーザ変位センサを有する測定器である。反り測定器は、基板SBの各位置において、当該位置と、基準面BLと、の間の距離を測定する。基準面BLは、例えば、反り測定器の基板SBを載置するステージの上面である。反り測定器は、測定した距離と、当該位置の位置情報と、を対応づけた反り量情報を基板SBの位置毎に出力する。
【0044】
傾斜角取得部201は、基板SBの位置毎の反り量情報に基づいて、基準面BLに対する基板SBの傾斜角βを算出する。傾斜角取得部201は、基板SBの位置毎に算出された傾斜角βを記憶装置31へ格納する。
【0045】
計測部202は、動作制御部21に各種の制御信号を送り、計測機構10を制御する。
【0046】
計測部202は、傾斜角取得部201において算出された傾斜角βに基づき、計測ステージ12の動作を制御する。具体的には、計測部202は、X線Liの照射角αに、基板SBの傾斜角βが反映されるように、計測ステージ12を、回動させる。言い換えると、計測部202は、基板SBの傾斜角βを加味した上で、X線Liが所定の照射角αなるように、計測ステージ12を回動させる。これにより、基板SBの反りの有無によらず、基板面内で、X線Liの照射角αを均一にすることができる。
【0047】
また、計測部202は、ユーザにより入力されたX線Liの照射角αの設定範囲に基づいて、計測ステージ12を回動させる。具体的には例えば、計測部202は、ユーザによる入力に基づき、Y方向に延びる回転軸を中心に計測ステージ12を回動させる。これにより、入力された設定範囲において、X線Liの照射角αが、XZ平面に沿う方向に順次変更される。即ち、基板SBに対し、X線Liが異なる照射角αで照射される。このときの、照射角αの最小の刻み幅は、例えば0.013°程度であってよい。
【0048】
計測部202は、X線検出部13を制御して、設定範囲の照射角αにおける回折像IMを生成させる。
【0049】
画像取得部203は、X線検出部13において生成された回折像IMを取得する。画像取得部203は、取得した複数の回折像IMを記憶装置31に格納する。また、画像取得部203は、これら複数の回折像IMを記憶装置31から読み出す。
【0050】
表示制御部204は、表示装置32における各種の表示を制御する。具体的には、表示制御部204は、例えばユーザからの指示にしたがって、複数の回折像IMを表示装置32に表示させる。また、表示制御部204は、ホールパターンCHの設計情報、並びに入力装置33から入力された各種計測条件、及び判定基準値等を表示装置32に表示させる。
【0051】
図6は、実施形態における回折像IMの一例を示す図である。
図6は、X線Liの照射角αの設定範囲として、例えば、-1.2°から+6.4°がユーザにより入力された場合の例を示している。
図6(a)~(f)のそれぞれには、各照射角αにおける基板SBの模式図、及びそのときの回折像IMが例示されている。なお、例えば
図6(a)に示すように、X線Liが軸Axに沿うときの基板SBの傾きを基準として、基板SBを
図6(a)における反時計回りの方向に傾けたときの照射角αには、-(マイナス)を付して示す。一方、例えば
図6(f)に示すように、X線Liが軸Axに沿うときの基板SBの傾きを基準として、基板SBを
図6(f)における時計回りの方向に傾けたときの照射角αには、+(プラス)を付して示すものとする。
【0052】
図6(a)~(f)に示すように、基板SBに対する照射角αが、-1.2°から順次変更されることで、異なる複数の回折像IMが生成される。特定部205は、複数の回折像IMのうち、対称性を有する回折像IMを特定する。具体的には例えば、
図6に示す例において、特定部205は、対称性を有する回折像IMとして、
図6(b)の回折像IM1と、
図6(e)の回折像IM2と、を特定する。
【0053】
特定部205は、回折像IMの対称性の有無の判断に際し、例えば、各回折像IMに含まれる強度分布の、横方向、及び縦方向のピクセルを算出する。そして、特定部205は、縦方向と横方向のピクセルの差が所定の閾値以下である場合に、当該回折像IMが対称性を有すると判断してもよい。
【0054】
図6に示す例において特定された2つの回折像IM1、及びIM2のうち、
図6(b)に示す回折像IM1は、例えば、X線Liが、基板SBの上面SUに対して略垂直に入射したときに生成された回折像IMである。特定部205は、このような回折像IM1が得られたときの照射角αである-0.2°を、第1の照射角としての照射角α1と特定する。照射角α1は、基板SBの上面SUに対して略垂直である。
【0055】
また、
図6に示す例において特定された2つの回折像IM1、及びIM2のうち、
図6(e)に示す回折像IM2は、例えば、X線Liが、基板SBの傾斜面SPに対して略垂直に入射したときに生成された回折像IMである。特定部205は、このような回折像IM2が得られたときの照射角αである+5.4°を、第2の照射角としての照射角α2と特定する。照射角α2は、基板SBの傾斜面SPに対して略垂直である。
【0056】
演算部206は、照射角α1と、照射角α2の差分を算出する。これにより、
図2で説明した、基板SBの上面SUと、傾斜面SPと、がなす角度θが特定される。
【0057】
次に、
図7を用いて、角度θの概略について説明する。
【0058】
図7は、実施形態における基板SBの設計情報の一例に、角度θを重畳させて示す図である。
図7は、
図2で説明したホールパターンCHa~CHdそれぞれの中心を通るXZ断面図である。
【0059】
基板SBの設計情報には、例えば、ホールパターンCHの周期構造の設計寸法に関する情報が含まれる。具体的には
図7に示すように、設計情報には、ホールパターンCHのピッチPt、ホールパターンCHが形成されている個数N、ホールパターンCHaの深さdr(dar,dbr,dcr,・・・)、隣接するホールパターンCHの底部BT同士の高さの差g等の情報が含まれている。ホールパターンCHのピッチPtは、例えば、1~2um程度である。また、ホールパターンCHの個数Nは、例えば60個程度である。また、ホールパターンCHaの深さdarは、例えば、8um程度である。また、隣接するホールパターンCHの底部BT同士の高さの差gは、例えば、120~180nm程度である。
【0060】
また、基板SBの設計情報には、設計上の上面SUrと、設計上の傾斜面SPrと、のなす目標角度φが含まれている。
図7に示すように、上面SUrは、設計上の開口部OPrにより形成される面である。また、傾斜面SPrは、設計上の底部BTrによって形成される面である。目標角度φは、複数のホールパターンCHのピッチPt、ホールパターンCHの個数N、及びホールパターンCHのうち底部BTの深さが最も深いホールパターンCHaの深さdar等に基づいて算出できる。目標角度φは、例えば、3.4°程度である。このような設計情報は、予め記憶装置31に格納されている。
【0061】
演算部206は、記憶装置31から上述のような設計情報を取得する。そして演算部206は、設計情報に含まれる目標角度φと、特定した角度θと、の差分角度εを算出する。これにより、設計上の傾斜面SPrと、傾斜面SPと、ずれを特定できる。なお、差分角度εは、例えば0.017°である。
【0062】
また、演算部206は、算出した差分角度εと、上述のような設計情報と、に基づいて、ホールパターンCHの周期構造の深さd(da,db,dc・・・)と、ホールパターンCHの設計上の深さdr(dar,dbr,dcr・・・)と、のずれ量δ(δa,δb、δc・・・)を算出する。深さdrは、ホールパターンCHの周期構造の目標とする深さである。ずれ量δは、X方向に沿って段階的に異なっている。
【0063】
表示制御部204は、算出した差分角度ε、及びずれ量δを表示装置32に出力させる。
【0064】
判定部207は、ユーザにより入力された判定基準値に基づき、例えば特定された差分角度εが、判定基準値の範囲内であるか否かを判定する。これにより、ホールパターンCHの形状の良否を判断できる。
【0065】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図8~
図14を用いて、実施形態の半導体装置100の製造方法について説明する。
【0066】
図8~13は、実施形態にかかる半導体装置100の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
図8~13は、基板SBのXZ断面図である。
【0067】
図8に示す処理の前に、基板SB上には、図示せぬ周辺回路が形成され、周辺回路を覆う絶縁層50が形成済であるものとする。そして、絶縁層50上には、下部ソース線DSLa、中間絶縁層SCO、上部ソース線DSLbが、この順に形成されている。また、上部ソース線DSLb上には、第1絶縁層としてのSiN層等の絶縁層NLと、第2絶縁層としてのSiO
2層等の絶縁層OLと、が1層ずつ交互に複数積層された積層体LMsが形成されている。絶縁層NLは、後に導電材料等に置き換えられてワード線WLとなる犠牲層として機能する。1層ずつ積層された絶縁層NLと絶縁層OLと、の層厚は40~60nm程度である。また、絶縁層NLと、絶縁層OLとは、交互に100~200層程度積層されている。
【0068】
図8に示すように、積層体LMsの上面に、複数のホールパターン71hを有するマスクパターン71pを形成する。マスクパターン71pは、例えば、SiO
2層等の絶縁層または炭素を含む有機層である。
【0069】
図9に示すように、マスクパターン71pの一部を覆うレジストパターン81pを積層体LMの上面に形成する。レジストパターン81pは、例えば感光性の有機膜等であるレジスト膜を塗布して一部を感光させることで形成される。レジストパターン81pから露出したマスクパターン71pを介して、積層体LMsを加工し、絶縁層NL1に到達するホールパターンCH1を形成する。そして、レジストパターン81pを剥離する。
【0070】
図10に示すように、マスクパターン71pの一部を覆うレジストパターン81pを積層体LMsの上面に形成する。レジストパターン81pから露出したマスクパターン71pを介して、積層体LMsを加工し、積層体LMsの絶縁層NL2に到達するホールパターンCH2を形成する。そして、レジストパターン81pを剥離する。このとき、レジストパターン81pから露出した既に形成済みのホールパターンCH1がより深く加工され、絶縁層NL3に到達する。この結果、積層体LMsにおける深さが順に増していくホールパターンCH1、CH2が形成される。そして、レジストパターン81pを剥離する。
【0071】
図11に示すように、マスクパターン71pの一部を覆うレジストパターン81pを積層体LMsの上面に形成する。レジストパターン81pから露出したマスクパターン71pを介して、積層体LMsを加工し、積層体LMsの絶縁層NL4に到達するホールパターンCH3を形成する。そして、レジストパターン81pを剥離する。このときレジストパターン81pから露出した既に形成済みのホールパターンCH1、CH2がより深く加工され、それぞれ絶縁層NL5、NL6、NL7に到達する。この結果、積層体LMsにおいて、深さが順に増していくホールパターンCH1、CH2、及びCH3が形成される。この後、レジストパターン81p、及びマスクパターン71pを剥離する。
【0072】
形成されたホールパターンCH1、CH2、及びCH3に、例えば、図示しない犠牲層を埋めた状態で、積層体LMsの絶縁層NLをワード線WLに置換し、積層体LMを形成する。ワード線WLは、タングステン層またはモリブデン層等である。
【0073】
図12に示すように、図示しない犠牲層を除去した後、ホールパターンCH1、CH2、及びCH3の内面にSiO2層等の絶縁層Scを形成する。絶縁層Scは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成される。
【0074】
図13に示すように、ホールパターンCH1、CH2、及びCH3の底面をRIEなどの異向性エッチングを行い、底面のワード線WL1~7を露出させる。その後、ホールパターンCH1、CH2、及びCH3のそれぞれに、ワード線WL1~7と接続されるコンタクトプラグが形成される。
【0075】
実施形態におけるホールパターンCH1、CH2、及びCH3は、例えば、コンタクトホールに相当し、実施形態における半導体装置100は、例えば、3次元NANDフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含む。ホールパターンCH1、CH2、及びCH3に対して基板SBの表面に沿う方向には、積層体LMsに形成されたメモリセルアレイを有する。
【0076】
なお、
図8~13の例において、積層体LMsは200層程度であることを想定したが、この例に限定されない。任意の積層数の積層体LMsに対し、レジストパターン81pの形成と、積層体LMsの加工と、を繰り返すことで、深さが順に増していく複数のホールパターンCHの周期構造を形成できる。
【0077】
次に、
図11において積層体LMsに形成されたホールパターンCH1~CH3の周期構造の深さを、上述の計測装置1により計測する工程について、
図14を用いて説明する。計測装置1における計測処理は、半導体装置100の製造方法の一環として行われる。
【0078】
図14は、実施形態にかかる半導体装置100の製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【0079】
傾斜角取得部201は、基板SBの位置毎の反り量情報に基づいて、基板SBの位置毎の傾斜角βを算出する(S1)。
【0080】
計測部202は、X線源111を制御して、X線Liを照射させる。計測部202は、ユーザにより入力されたX線Liの照射角αの設定範囲に基づき、例えば計測ステージ12をY方向に延びる回転軸を中心に回動させる。これにより、X線Liの照射角αがXZ平面に沿う方向に順次変更される。このとき、計測部202は、X線Liの照射角αに、基板SBの傾斜角βが反映されるように、X及びY方向に延びる回転軸を中心に計測ステージ12を適宜回動させる(S2)。
【0081】
計測部202は、X線検出部13を制御して、基板SBの回折像IMを出力させる。画像取得部203は、出力された回折像IMを取得する(S3)。
【0082】
特定部205は、画像取得部203において取得された複数の回折像IMのうち、対象性を有する回折像IM1、及び回折像IM1を特定する。回折像IM1は、上面SUにおける散乱に由来するものである。また、回折像IM2は、傾斜面SPにおける散乱に由来するものである。特定部205は、回折像IM1を特定する照射角α1、回折像IM2を特定する照射角α2を取得する(S4)。
【0083】
演算部206は、照射角α1と、照射角α2と、の差分を算出する。これにより、上面SUと、傾斜面SPと、がなす角度θが特定される(S5)。
【0084】
演算部206は、設計情報に基づいて、設計上のホールパターンCHにより形成される上面SUrと、傾斜面SPrと、のなす目標角度φを取得する(S6)。
【0085】
演算部206は、目標角度φと、角度θと、の差分角度εを算出する(S7)。演算部206は、算出した差分角度εと、設計情報と、に基づいて、ホールパターンCHの周期構造の深さdと、ホールパターンCHの設計上の深さdrと、のずれ量δを算出する(S8)。
【0086】
判定部207は、判定部207は、算出したずれ量δが、判定基準値の範囲内であるか否かを判定する(S9)。
【0087】
判定部207は、ずれ量δが判定基準値の範囲外であると判断した場合(S9:YES)、基板SBを不良と判定し、例えば、除外する(S10)。またはS10において、基準値の範囲内となるように、追加の加工を行ってもよい。
【0088】
一方、S9において、判定部207が、ずれ量δが判定基準値の範囲内であると判断した場合(S9:NO)、処理は終了する。このようにして、計測装置1における計測処理が終了する。そしてこの後、
図12及び13等の工程を経て、半導体装置100の製造が終了する。
【0089】
(概括)
実施形態の計測方法によれば、計測部202は、X線照射部11から異なる照射角αで照射されたX線Liの散乱強度に基づく回折像IMを取得する。特定部205は、取得した回折像IMの対称性に基づき、上面SUに基づく回折像IMを特定する照射角α1と、傾斜面SPに基づく回折像IMを特定する照射角α2と、を取得する。演算部206は、照射角α1、及び照射角α2の差分に基づいて、上面SUと、傾斜面SPと、がなす角度θを算出する。これにより、周期的に並ぶホールパターンCHの段階的に異なる深さdを、非破壊で特定することができる。
【0090】
実施形態の計測方法によれば、演算部206は、角度θと、目標角度φと、の差分角度εに基づいて、ホールパターンCHの周期構造の深さdと、ホールパターンCHが目標とする深さdrと、のずれ量δを算出する。判定部207は、ずれ量δが判定基準値の範囲内か否かを判定する。これにより、基板SBに形成されたホールパターンCHの周期構造が、製品としての基準に適合しているか否か判断することができる。
【0091】
実施形態の計測方法によれば、傾斜角取得部201は、基板SBの反り量情報に基づいて、基準面BLに対する基板SBの傾斜角βを算出する。計測部202は、計測ステージ12をX方向、及びY方向に延びる回転軸を中心に回動させることにより、基板SBに対するX線Liの照射角αに、傾斜角βを反映させる。これにより、基板SBの反りの有無に関わらず、基板SBの基板面内において均一の条件で計測処理を行うことができる。
【0092】
[変形例1]
図15を用いて、変形例1の計測方法について説明する。
図15は、変形例1にかかる半導体装置100の製造方法の手順の一部を例示するフローチャートである。
【0093】
変形例1の計測方法においては、目標角度φが、予め準備された標準基板を計測することにより特定されている点が、上述の実施形態とは異なる。なお、以下において、上述の実施形態と同様の構成には同様の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0094】
傾斜角取得部201は、標準基板SAの位置毎の反り量情報に基づいて、標準基板SAの位置毎の傾斜角βを算出する(S11)。標準基板SAは、基板SBとは異なる基板であって、基板SBのホールパターンCHと同一の設計情報に基づいて予め生成されたものである。標準基板SAに形成されたホールパターンCHの周期構造は、目標とする深さを有している。
【0095】
計測部202は、ユーザにより入力されたX線Liの照射角αの設定範囲に基づき、計測ステージ12を例えばY方向に延びる回転軸を中心に回動させる。これにより、X線Liの照射角αがXZ平面に沿う方向に順次変更される。このとき、計測部202は、X線Liの照射角αに、標準基板SAの傾斜角βが反映されるように、X及びY方向に延びる回転軸を中心に計測ステージ12を適宜回動させる(S12)。
【0096】
計測部202は、X線検出部13を制御して、標準基板SAの回折像IMを出力させる。画像取得部203は、出力された回折像IMを取得する(S13)。
【0097】
特定部205は、標準基板SAについて取得された複数の回折像IMのうち、標準基板SAの上面SUにおける散乱に由来する回折像IM1と、標準基板SAの傾斜面SPにおける散乱に由来する回折像IM2と、を特定する。特定部205は、回折像IM1を特定する照射角α1、回折像IM2を特定する照射角α2を取得する(S14)。
【0098】
演算部206は、照射角α1と、照射角α2と、の差分を算出する。これにより、標準基板SAの角度θが特定される(S15)。角度θは、目標角度φの一例である。演算部206は、特定した目標角度φを、記憶装置31に格納する。
【0099】
この後、変形例1の計測方法においても、
図14のS1~S5の処理が行われる。
図14のS5の処理の後、演算部206は、標準基板SAにおいて特定された目標角度φを取得する。そして、演算部206は、目標角度φと、角度θと、の差分角度εを算出する。
【0100】
変形例1の計測方法によれば、上述の実施形態の計測方法、計測装置と同様の効果を奏する。
【0101】
(その他の変形例)
上述の実施形態、及び変形例においては、基板SBに対するX線Liの照射角αは、計測ステージ12を、X方向、及びY方向に延びる回転軸を中心に回動させることにより調整されていた。しかしながら、計測ステージ12に替えて、X線源111を、X方向、及びY方向に延びる回転軸を中心に回動させることにより、照射角αを調整してもよい。このとき、計測部202は、動作制御部21に各種の制御信号を送ることにより、X線源111の動作を制御する。動作制御部21は、X線源111の回転角度、及び回転方向等の動作を制御することにより、基板SBに対するX線Liの照射角αを調整する。
【0102】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1…計測装置、10…検査機構、11…X線照射部、12…計測ステージ、13…X線検出部、20‥統括制御部、21…動作制御部、31…記憶装置、32…表示装置、33…入力装置、111…X線源、112…X線光学系、121…支持軸、122…チャック、201…傾斜角取得部、202…計測部、203…画像取得部、204…表示制御部、205…特定部、206…演算部、207…判定部、BT…底部、CH…ホールパターン、IM…回折像、OP…開口部、SA…標準基板、SB…基板、SU…上面、SP…傾斜面、α…照射角、θ…角度、φ…目標角度。