(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135504
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60L 53/20 20190101AFI20240927BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240927BHJP
B60L 58/27 20190101ALI20240927BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B60L53/20
B60L50/60
B60L58/27
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046222
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆弘
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA08
5G503FA06
5G503GB03
5H125AA01
5H125AC12
5H125BB05
5H125BC19
5H125CD09
5H125FF27
(57)【要約】
【課題】車両に搭載される充電器を有効活用できる車両を提供する。
【解決手段】車両11は、バッテリ15と、コイル16と、コイルに発生する磁界が及ぶ位置に配置される金属体17と、外部から供給される交流電力を直流電力に変換してバッテリに供給し、バッテリから供給される直流電力を時間経過とともに変動させながらコイルに供給する充電器14と、充電器を制御する制御部18と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
コイルと、
前記コイルに発生する磁界が及ぶ位置に配置される金属体と、
外部から供給される交流電力を直流電力に変換して前記バッテリに供給し、前記バッテリから供給される直流電力を時間経過とともに変動させながら前記コイルに供給する充電器と、
前記充電器を制御する制御部と、を備える車両。
【請求項2】
流体が循環する流体管を備え、
前記流体管は、前記流体と前記バッテリとが熱交換するように延び、
前記金属体は、前記流体と接触するように配置される請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記金属体は、前記流体管内に配置される請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記流体管は、前記流体と前記充電器とが熱交換するように延びる請求項2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部電源からの電力を変換してバッテリに供給する充電器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される充電器は、車両が停止している時にバッテリを充電するために使用されるが、車両が走行中においては使用されない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する車両は、バッテリと、コイルと、前記コイルに発生する磁界が及ぶ位置に配置される金属体と、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して前記バッテリに供給し、前記バッテリから供給される直流電力を時間経過とともに変動させながら前記コイルに供給する充電器と、前記充電器を制御する制御部と、を備える。
【0006】
充電器を制御部が制御することによってコイルに電力が供給されると、コイルに磁界が発生する。この磁界が金属体に及ぶと、金属体が誘導加熱される。すなわち、コイルがヒーターとして機能する。このように、上記構成によれば、車両の走行中にも充電器が活用される。したがって、充電器を有効活用できる。
【0007】
上記車両は、流体が循環する流体管を備え、前記流体管は、前記流体と前記バッテリとが熱交換するように延び、前記金属体は、前記流体と接触するように配置されてもよい。上記構成によれば、流体管を流れる流体を介してバッテリを加熱できる。
【0008】
上記車両において、前記金属体は、前記流体管内に配置されてもよい。上記構成によれば、流体管を流れる流体を効率よく加熱できる。
上記車両において、前記流体管は、前記流体と前記充電器とが熱交換するように延びてもよい。上記構成によれば、コイルによる誘導加熱だけでなく、充電器から発生する熱によってバッテリを加熱できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両に搭載される充電器を有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】
図4とは異なる充電器の別例を示す回路図である。
【
図6】
図4及び
図5とは異なる充電器の別例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、車両の一実施例について図を参照しながら説明する。車両は、BEV車、PHEV車、PFCEV車など、電動モーターによって走行する車である。車両は、外部から電力が供給されることによって充電される。
【0012】
<車両>
図1に示すように、車両11は、ACインレット12を備える。車両11には、ACインレット12を通じて外部から交流電力が供給される。ACインレット12は、例えば、交流電源91と接続可能に構成される。ACインレット12には、単相又は三相の交流電源91が接続される。ACインレット12に交流電源91が接続されることによって、車両11内に交流電力が供給される。
【0013】
車両11は、充電器14を備える。充電器14は、ACインレット12と接続される。充電器14は、ACインレット12を通じて、外部から供給された交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器31と、AC/DC変換器31から出力される直流電力を異なる電圧を有する直流電力に変換して後述するバッテリ15に供給するDC/DC変換器32とから構成される。
【0014】
充電器14は、バッテリ15から供給される直流電力を交流電力に変換することもできる。充電器14は、変換した交流電力を、ACインレット12を通じて車両11の外部に供給することもできるし、コイル16に供給することもできる。充電器14の詳細については、後で説明する。すなわち、充電器14は、バッテリ15から供給される直流電力を時間経過とともに変動させながらコイル16に供給するといえる。
【0015】
車両11は、バッテリ15を備える。バッテリ15は、直流電力が入力されることによって充電される。バッテリ15は、例えば、二次電池、電気二重層キャパシタなどである。バッテリ15は、充電器14と接続される。バッテリ15には、充電器14が変換した直流電力が供給される。バッテリ15は、放電することによって、充電器14に直流電力を供給できる。
【0016】
車両11は、コイル16を備える。コイル16は、充電器14に接続される。コイル16には、充電器14によって変換された交流電力が供給される。コイル16に交流電力が供給されることによって、コイル16に流れる電流が変化する。これにより、コイル16に磁界が発生する。
【0017】
車両11は、金属体17を備える。金属体17は、金属で構成される部材である。金属体17は、コイル16に発生する磁界が及ぶ位置に配置される。金属体17に磁界が及ぶと、金属体17に渦電流が流れる。金属体17に渦電流が流れると、そのジュール熱によって金属体17が発熱する。このように、金属体17は、コイル16によって誘導加熱される。したがって、コイル16は、金属体17を加熱するヒーターとして機能する。コイル16と金属体17とは電気的に絶縁されるため、金属体17が安全に加熱される。
【0018】
車両11においては、金属体17の発熱によって、種々の構成を加熱することが考えられる。一例では、金属体17の発熱によって、バッテリ15を加熱する。これにより、バッテリ15の充電性能、放電性能が安定する。バッテリ15に限らず、金属体17の発熱によって、座席を加熱してもよいし、車両空間を加熱してもよいし、ステアリング装置を加熱してもよい。例えば、金属体17は、座席内に埋め込まれていてもよいし、エアコンユニット内に配置されていてもよいし、ステアリング装置に取り付けられていてもよい。
【0019】
車両11は、制御部18を備える。制御部18は、充電器14を制御する。詳しくは、制御部18は、充電器14が含む複数のスイッチング素子を制御する。さらに詳述すると、制御部18は、AC/DC変換器31のスイッチング素子及びDC/DC変換器32のスイッチング素子を制御する。これにより、制御部18は、充電器14に交流電力を直流電力に変換させたり、充電器14に直流電力を交流電力に変換させたりする。
【0020】
制御部18は、コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサを含んでもよい。制御部18は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路などの1つ以上の専用のハードウェア回路で構成されてもよい。制御部18は、プロセッサ及びハードウェア回路の組み合わせを含む回路として構成されてもよい。プロセッサは、CPU、並びに、RAM及びROMなどのメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納する。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる媒体を含む。
【0021】
図2に示すように、車両11は、循環機構21を備える。循環機構21は、流体を循環させる機構である。循環機構21は、流体を循環させることによって、バッテリ15の温度を調整する。流体は、液体でも気体でもよく、液体と気体が混合されたものでもよい。一例では、流体は、冷却水である。したがって、循環機構21は、冷却水を循環させる。
【0022】
循環機構21は、流体管22を備える。流体管22は、流体が循環する管である。流体管22は、ループ状に延びる。流体管22内を、流体が流れる。流体管22は、流体とバッテリ15とが熱交換するように延びる。一例では、流体管22は、バッテリ15と直接接触する。流体管22は、例えば、熱交換器を介してバッテリ15と接触してもよい。
【0023】
循環機構21は、ポンプ23を備える。ポンプ23は、流体管22の途中に位置する。ポンプ23は、流体管22において流体を一方向に流動させる。一例では、ポンプ23は、
図2において矢印で示す方向に流体を流動させる。これにより、流体管22において流体が循環する。
【0024】
循環機構21は、金属体17から発せられた熱をバッテリ15に伝熱させることによって、バッテリ15を加熱する。詳しくは、循環機構21は、金属体17によって加熱された流体を循環させることにより、バッテリ15を加熱する。
【0025】
金属体17は、流体管22内に配置される。これにより、流体管22を流れる流体が金属体17に接触するため、流体が効果的に加熱される。
金属体17は、ポンプ23が流体を循環させる方向において、ポンプ23よりも下流且つバッテリ15よりも上流に位置する。こうすると、金属体17によって加熱された流体がすぐさまバッテリ15に到達するため、バッテリ15を加熱しやすい。
【0026】
金属体17は、流体管22内に位置することに限らず、例えば、流体管22の一部を構成してもよいし、流体管22を覆う金属ケースであってもよい。この場合、流体管22が加熱されることによって、流体が加熱される。
【0027】
流体管22は、流体と充電器14とが熱交換するように延びてもよい。一例では、流体管22は、充電器14と直接接触する。流体管22は、例えば、熱交換器を介して充電器14と接触してもよい。充電器14は、電力を変換することによって発熱する。すなわち、充電器14は、コイル16に電力を供給する場合に、発熱する。そのため、流体管22が充電器14を経由することによって、充電器14から生じる熱で流体を加熱できる。この場合、コイル16だけで流体を加熱する場合と比べて、熱効率が向上する。また、流体管22が充電器14を経由することによって、充電器14を冷却できる。
【0028】
流体管22は、流体とラジエーターとが熱交換するように延びてもよい。この場合、ラジエーターを通じて流体の熱を外部に放出できるため、バッテリ15の温度を調整しやすくなる。
【0029】
流体管22は、エアコンユニットを経由してもよい。この場合、例えば、加熱された流体によって、エアコンユニットから吹き出される空気を加熱できる。これにより、車内空間が加熱される。このように、流体管22を流れる流体を金属体17が加熱することによって、加熱対象に金属体17が直接取り付けられる場合と比べて、加熱された流体により種々の構成を加熱しやすい。
【0030】
<充電器>
次に、充電器14の一例について説明する。
図3に示すように、充電器14は、AC/DC変換器31と、DC/DC変換器32とを備える。
【0031】
AC/DC変換器31は、ACインレット12と接続される。AC/DC変換器31は、ACインレット12から供給される交流電力を直流電力に変換するいわゆるAC/DC変換を行う。AC/DC変換器31は、DC/DC変換器32と接続される。AC/DC変換器31は、変換した直流電力をDC/DC変換器32に供給する。AC/DC変換器31は、DC/DC変換器32から供給される直流電力を交流電力に変換したうえでACインレット12を通じて交流電源91に供給してもよい。
【0032】
DC/DC変換器32は、1次側回路33と、2次側回路34とを備える。1次側回路33と2次側回路34とは、1次側巻線35aと2次側巻線35bとからなるトランス35を介して電気的に接続されている。
【0033】
ここで、2次側回路34について詳述する。
2次側回路34は、複数のスイッチング素子からなるスイッチング部36と、出力切替部37とを備える。
【0034】
スイッチング部36は、一例では、第1上アームスイッチング素子Q1と、第1下アームスイッチング素子Q2と、第2上アームスイッチング素子Q3と、第2下アームスイッチング素子Q4とを含む。複数のスイッチング素子は、それぞれボディダイオードを有する。複数のスイッチング素子は、半導体スイッチング素子であり、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ、絶縁ゲート型バイポーラートランジスタ、GanHEMT等である。
【0035】
スイッチング部36は、ブリッジ回路である。スイッチング部36は、第1レグ38と、第2レグ39とを備える。第1レグ38は、第1上アームスイッチング素子Q1と第1下アームスイッチング素子Q2とが直列に接続された直列接続体である。第2レグ39は、第2上アームスイッチング素子Q3と第2下アームスイッチング素子Q4とが直列に接続された直列接続体である。
【0036】
第1上アームスイッチング素子Q1と第2上アームスイッチング素子Q3との接続点は、バッテリ15の一端に接続され、第1下アームスイッチング素子Q2と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点は、バッテリ15の他端に接続されている。
【0037】
出力切替部37は、第1スイッチ37aと第2スイッチ37bとを備える。第1スイッチ37aの一端は、第1上アームスイッチング素子Q1と第1下アームスイッチング素子Q2との接続点に接続され、第1スイッチ37aの他端は、2次側巻線35bの一端又はコイル16の一端と選択的に接続される。第2スイッチ37bの一端は、第2上アームスイッチング素子Q3と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点に接続され、第2スイッチ37bの他端は、2次側巻線35bの他端又はコイル16の他端と選択的に接続される。
【0038】
出力切替部37は、制御部18によって制御される。出力切替部37は、スイッチング部36の接続先を、2次側巻線35b又はコイル16に切り替えるものである。言い換えると、出力切替部37が、スイッチング部36と2次側巻線35bとを接続すると、スイッチング部36とコイル16との接続が遮断される。また、出力切替部37が、スイッチング部36とコイル16とを接続すると、スイッチング部36と2次側巻線35bとの接続が遮断される。
【0039】
<スイッチング動作>
次に、制御部18による充電器14のスイッチング動作、詳しくは2次側回路34のスイッチング動作について説明する。
【0040】
ACインレット12を通じて交流電源91から車両11に電力が供給される場合、充電器14は、充電のために電力変換を行う。制御部18は、充電器14のスイッチング素子を制御することによって、交流電源91から供給された交流電力を直流電力に変換し、バッテリ15を充電する。
【0041】
また、制御部18は、バッテリ15から充電器14に供給される直流電力を時間経過とともに変動させながらコイル16に供給するように、充電器14を制御する。一例では、制御部18は、走行時において、第1上アームスイッチング素子Q1、第1下アームスイッチング素子Q2、第2上アームスイッチング素子Q3、及び、第2下アームスイッチング素子Q4を制御することによって、コイル16に交流電力を供給する。例えば、制御部18は、第1上アームスイッチング素子Q1及び第2下アームスイッチング素子Q4と、第1下アームスイッチング素子Q2及び第2上アームスイッチング素子Q3とを、交互にON/OFFさせる。すなわち、制御部18は、第1上アームスイッチング素子Q1及び第2下アームスイッチング素子Q4がONであり且つ第1下アームスイッチング素子Q2及び第2上アームスイッチング素子Q3がOFFである状態と、第1上アームスイッチング素子Q1及び第2下アームスイッチング素子Q4がOFFであり且つ第1下アームスイッチング素子Q2及び第2上アームスイッチング素子Q3がONである状態とを、交互に切り換える。このように、制御部18は、バッテリ15から充電器14に供給される直流電力を交流電力に変換する。制御部18は、変換した交流電力をコイル16に供給する。交流電力は、時間経過とともに変動する電力である。これにより、コイル16に磁界が発生し、金属体17が誘導加熱される。
【0042】
制御部18は、複数のスイッチング素子についてON/OFFの間隔、すなわちスイッチング周期を制御することによって、コイル16に流れる電流量を制御する。これにより、制御部18は、コイル16による金属体17の加熱温度を調整する。したがって、制御部18は、複数のスイッチング素子を制御することによって、バッテリ15の温度を調整できる。制御部18は、バッテリ15の温度を検出する温度センサの出力値に基づいて、複数のスイッチング素子を制御してもよい。制御部18は、スイッチングの際に、デッドタイムを設けてもよい。
【0043】
制御部18は、充電器14を構成する複数のスイッチング素子によってコイル16による誘導加熱を制御できる。そのため、車両11は、コイル16による誘導加熱を制御するための素子を別途備える必要がない。したがって、バッテリ15を加熱するにあたって、車両11の構成が複雑化するおそれが低減される。
【0044】
[作用及び効果]
次に、上述した実施例の作用及び効果について説明する。
(1)制御部18は、充電器14を制御することによって、バッテリ15から供給される直流電力を時間経過とともに変動させながらコイル16に供給する。
【0045】
充電器14を制御部18が制御することによってコイル16に電力が供給されると、コイル16に磁界が発生する。この磁界が金属体17に及ぶと、金属体17が誘導加熱される。すなわち、コイル16がヒーターとして機能する。このように、上記構成によれば、車両11の走行中にも充電器14が活用される。したがって、充電器14を有効活用できる。
【0046】
(2)金属体17は、流体管22を循環する流体と接触するように配置される。上記構成によれば、流体管22を流れる流体を介してバッテリ15を加熱できる。
(3)金属体17は、流体管22内に配置される。上記構成によれば、流体管22を流れる流体を効率よく加熱できる。
【0047】
(4)流体管22は、流体と充電器14とが熱交換するように延びる。上記構成によれば、コイル16による誘導加熱だけでなく、充電器14から発生する熱によってバッテリ15を加熱できる。
【0048】
[変更例]
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0049】
○ 車両11は、DCインレットを備えてもよい。DCインレットは、充電器14と接続される。DCインレットは、例えば、AC/DC変換器31とDC/DC変換器32との接続点と接続される。充電器14は、DCインレットを通じて供給される直流電力の電圧を異なる電圧に変換する。
【0050】
なお、車両11がDCインレットを備える場合、1次側回路33と1次側巻線35aとの間に出力切替部37を設け、出力切替部37によって、1次側回路33の接続先を、1次側巻線35a又はコイル16に切り替えるように構成されていてもよい。この場合、DCインレットから供給される電力によって、金属体17を加熱できる。
【0051】
○ コイル16には、コンデンサが接続されてもよい。コンデンサは、コイル16に対して並列に接続されてもよいし、直列に接続されてもよい。
○
図4に示すように、2次側回路34の第1上アームスイッチング素子Q1及び第2下アームスイッチング素子Q4をダイオードに変更してもよい。すなわち、この変更例の2次側回路41は、第1上ダイオードD1、第1下アームスイッチング素子Q2、第2上アームスイッチング素子Q3及び第2下ダイオードD4を備える構成である。この変更例において、充電器14にDCインレット13が接続されてもよいし、コイル16にコンデンサ40が接続されてもよい。
【0052】
2次側回路41においては、制御部18は、ACインレット12を通じてバッテリ15を充電する場合に、2次側回路41の第1下アームスイッチング素子Q2及び第2上アームスイッチング素子Q3を含むスイッチング素子をON/OFFさせる。これにより、制御部18は、トランス35から2次側回路41に供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリ15に供給する。
【0053】
制御部18は、走行時において、第1下アームスイッチング素子Q2及び第2上アームスイッチング素子Q3の双方を同時にON/OFFさせる。すなわち、制御部18は、バッテリ15から充電器14に供給される直流電力を時間経過とともに変動させながらコイル16に供給するように、充電器14を制御する。これにより、コイル16に磁界が発生する。
【0054】
制御部18は、複数のスイッチング素子についてスイッチング周期を制御することによって、コイル16に流れる電流量を制御する。これにより、制御部18は、コイル16による金属体17の加熱温度を調整する。したがって、制御部18は、複数のスイッチング素子を制御することによって、バッテリ15の温度を調整できる。
【0055】
○
図5に示すように、2次側回路34の第1下アームスイッチング素子Q2及び第2上アームスイッチング素子Q3をダイオードに変更してもよい。すなわち、この変更例の2次側回路42は、第1上アームスイッチング素子Q1、第1下ダイオードD2、第2上ダイオードD3及び第2下アームスイッチング素子Q4を備える構成である。この変更例において、充電器14にDCインレット13が接続されてもよいし、コイル16にコンデンサ40が接続されてもよい。
【0056】
2次側回路42においては、制御部18は、ACインレット12を通じてバッテリ15を充電する場合に、2次側回路42の第1上アームスイッチング素子Q1及び第2下アームスイッチング素子Q4を含むスイッチング素子をON/OFFさせる。これにより、制御部18は、トランス35から2次側回路42に供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力をバッテリ15に供給する。
【0057】
制御部18は、走行時において、第1上アームスイッチング素子Q1及び第2下アームスイッチング素子Q4の双方を同時にON/OFFさせる。すなわち、制御部18は、バッテリ15から充電器14に供給される直流電力を時間経過とともに変動させながらコイル16に供給するように、充電器14を制御する。これにより、コイル16に磁界が発生する。
【0058】
制御部18は、複数のスイッチング素子についてスイッチング周期を制御することによって、コイル16に流れる電流値を制御する。これにより、制御部18は、コイル16による金属体17の加熱温度を調整する。したがって、制御部18は、複数のスイッチング素子を制御することによって、バッテリ15の温度を調整できる。
【0059】
○ 制御部18は、コイル16に電力を供給する場合に、
図4に示す2次側回路41と同様のスイッチング動作を実行してもよい。詳しくは、制御部18は、第1上アームスイッチング素子Q1及び第2下アームスイッチング素子Q4がOFFの状態で、第1下アームスイッチング素子Q2及び第2上アームスイッチング素子Q3の双方をON/OFFさせてもよい。これにより、コイル16に流れる電流が変化するようにコイル16に電力が供給される。
【0060】
○ 制御部18は、コイル16に電力を供給する場合に、
図5に示す2次側回路42と同様のスイッチング動作を実行してもよい。詳しくは、制御部18は、第1下アームスイッチング素子Q2及び第2上アームスイッチング素子Q3がOFFの状態で、第1上アームスイッチング素子Q1及び第2下アームスイッチング素子Q4の双方をON/OFFさせてもよい。これにより、コイル16に流れる電流が変化するようにコイル16に電力が供給される。
【0061】
○
図6に示すように、出力切替部37は、1つのスイッチで構成されてもよい。例えば、出力切替部37は、第1スイッチ37aのみで構成されてもよい。第1スイッチ37aは、2次側巻線35bの一端又はコイル16の一端と選択的に接続される。そのため、コイル16の一端は、第1スイッチ37aと接続可能である。コイル16の他端は、第1下アームスイッチング素子Q2と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点、すなわちバッテリ15の他端と接続される。第1スイッチ37aがコイル16に接続する状態で、制御部18は、充電器14を構成する複数のスイッチング素子を制御することによって、コイル16による誘導加熱を制御できる。
【0062】
○
図7に示すように、コイル16は、複数設けられてもよい。この変更例では、充電器14に2つのコイル16が接続される。詳しくは、充電器14に、第1コイル16aと、第2コイル16bとが接続される。第1スイッチ37aは、2次側巻線35bの一端又は第1コイル16aの一端と選択的に接続される。そのため、第1コイル16aの一端は、第1スイッチ37aと接続可能である。第1コイル16aの他端は、第1下アームスイッチング素子Q2と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点、すなわちバッテリ15の他端と接続される。第2スイッチ37bは、2次側巻線35bの他端又は第2コイル16bの一端と選択的に接続される。そのため、第2コイル16bの一端は、第2スイッチ37bと接続可能である。第2コイル16bの他端は、第1下アームスイッチング素子Q2と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点、すなわちバッテリ15の他端と接続される。第1スイッチ37aが第1コイル16aに接続する状態で、制御部18は、充電器14を構成する複数のスイッチング素子を制御することによって、第1コイル16aによる誘導加熱を制御できる。第2スイッチ37bが第2コイル16bに接続する状態で、制御部18は、充電器14を構成する複数のスイッチング素子を制御することによって、第2コイル16bによる誘導加熱を制御できる。
【0063】
○
図8に示すように、出力切替部37は、1つのスイッチで構成されてもよい。例えば、
図6に示す変更例と同様に、出力切替部37は、第1スイッチ37aのみで構成されてもよい。第1スイッチ37aは、2次側巻線35bの一端又はコイル16の一端と選択的に接続される。そのため、コイル16の一端は、第1スイッチ37aと接続可能である。コイル16の他端は、第1上アームスイッチング素子Q1と第2上アームスイッチング素子Q3との接続点、及び、第1下アームスイッチング素子Q2と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点と接続される。すなわち、コイル16の他端は、バッテリ15の一端及びバッテリ15の他端と接続される。詳しくは、コイル16の他端は、コンデンサ40を介して、バッテリ15の一端及びバッテリ15の他端と接続される。第1スイッチ37aがコイル16に接続する状態で、制御部18は、充電器14を構成する複数のスイッチング素子を制御することによって、コイル16による誘導加熱を制御できる。
【0064】
○
図9に示すように、コイル16は、複数設けられてもよい。この変更例では、
図7に示す変更例と同様に、充電器14に2つのコイル16が接続される。詳しくは、充電器14に、第1コイル16aと、第2コイル16bとが接続される。第1スイッチ37aは、2次側巻線35bの一端又は第1コイル16aの一端と選択的に接続される。そのため、第1コイル16aの一端は、第1スイッチ37aと接続可能である。第1コイル16aの他端は、第1上アームスイッチング素子Q1と第2上アームスイッチング素子Q3との接続点、及び、第1下アームスイッチング素子Q2と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点と接続される。すなわち、第1コイル16aの他端は、バッテリ15の一端及びバッテリ15の他端と接続される。詳しくは、第1コイル16aの他端は、コンデンサ40を介して、バッテリ15の一端及びバッテリ15の他端と接続される。第2スイッチ37bは、2次側巻線35bの他端又は第2コイル16bの一端と選択的に接続される。そのため、第2コイル16bの一端は、第2スイッチ37bと接続可能である。第2コイル16bの他端は、第1上アームスイッチング素子Q1と第2上アームスイッチング素子Q3との接続点、及び、第1下アームスイッチング素子Q2と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点と接続される。すなわち、第2コイル16bの他端は、バッテリ15の一端及びバッテリ15の他端と接続される。詳しくは、第2コイル16bの他端は、コンデンサ40を介して、バッテリ15の一端及びバッテリ15の他端と接続される。第1スイッチ37aが第1コイル16aに接続する状態で、制御部18は、充電器14を構成する複数のスイッチング素子を制御することによって、第1コイル16aによる誘導加熱を制御できる。第2スイッチ37bが第2コイル16bに接続する状態で、制御部18は、充電器14を構成する複数のスイッチング素子を制御することによって、第2コイル16bによる誘導加熱を制御できる。
【0065】
○ 金属体17は、バッテリ15の構成の一部であってもよい。金属体17は、例えば、バッテリ15のケースであってもよい。この場合、コイル16は、バッテリ15のケースを加熱する。これにより、バッテリ15が効果的に加熱される。
【符号の説明】
【0066】
11…車両、12…ACインレット、13…DCインレット、14…充電器、15…バッテリ、16…コイル、17…金属体、18…制御部、21…循環機構、22…流体管、23…ポンプ、Q1…第1上アームスイッチング素子、Q2…第1下アームスイッチング素子、Q3…第2上アームスイッチング素子、Q4…第2下アームスイッチング素子。