(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013551
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタの固定構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6581 20110101AFI20240125BHJP
H01R 13/74 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H01R13/6581
H01R13/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115717
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三栖 健史
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA14
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC21
5E021LA08
5E021LA14
5E021LA18
5E021LA21
(57)【要約】
【課題】電磁シールド性能の低下を抑制できるコネクタを提供する。
【解決手段】導電性の筐体11に固定されるコネクタハウジング21は、筐体11の外部に配置される外側配置部21Xと筐体11の内部に配置される内側配置部21Yとを有する。シールドシェル24は、外側配置部21Xの内部に配置される第1部分24Xと、第1部分24Xよりも第1方向D1と反対方向にずれた位置に配置される第2部分24Yとを有する。第1部分24Xは、電線23の電磁シールド部材83と電気的に接続される第1接続部102及び第2接続部112を有するとともに、電線23における外側配置部21Xの内部に配置される部分の外周を覆う。第2部分24Yは、筐体11の内部で筐体11に固定されるとともに電気的に接続される第2シールド接続部113を有する。第2シールド接続部113は、第1方向D1から見てコネクタハウジング21の外縁21Aよりも内側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器が備える導電性の筐体に固定されるコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングに保持される端子と、
前記端子に電気的に接続され且つ第1方向に沿って前記コネクタハウジングの内部から外部に引き出される電線と、
導電性を有するシールドシェルと、
を備え、
前記電線は、芯線と、前記芯線の外周を覆う第1絶縁被覆と、導電性を有し前記第1絶縁被覆の外周を覆う電磁シールド部材と、前記電磁シールド部材の外周を覆う第2絶縁被覆とを有するシールド電線であり、
前記コネクタハウジングは、前記筐体の外部に配置される外側配置部と、前記筐体の内部に配置される内側配置部とを有し、
前記シールドシェルは、前記外側配置部の内部に配置される第1部分と、前記第1部分よりも前記第1方向と反対方向にずれた位置に配置される第2部分とを有し、
前記第1部分は、前記電磁シールド部材と電気的に接続される第1シールド接続部を有するとともに、前記電線における前記外側配置部の内部に配置される部分の外周を覆っており、
前記第2部分は、前記筐体の内部で前記筐体に固定されるとともに電気的に接続される第2シールド接続部を有し、
前記第2シールド接続部は、前記第1方向から見て、前記コネクタハウジングの外縁よりも内側に位置するコネクタ。
【請求項2】
前記第2シールド接続部は、前記筐体と前記第2シールド接続部とを固定するボルトが貫通する第1貫通孔を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子は、前記筐体の内部に配置される相手端子と前記端子とを固定するための端子固定ボルトが貫通する第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は、前記第1方向と直交する第2方向に前記第2シールド接続部を貫通しており、
前記第2貫通孔は、前記第2方向に前記端子を貫通している、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記シールドシェルは、前記第1貫通孔に固定されており且つ前記ボルトに取り付けられるナットを有する、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
機器が備える導電性の筐体と、
端子及び前記端子に電気的に接続され且つ第1方向に沿って引き出される電線を保持するコネクタハウジングと、
導電性を有するシールドシェルと、
を備え、
前記筐体は、前記端子が挿入される装着口と、前記筐体の内部に設けられるシールドシェル接続部とを有し、
前記コネクタハウジングは、前記筐体の外部に配置される外側配置部と、前記筐体の内部に配置される内側配置部とを有し、
前記外側配置部は、前記筐体の外面に固定される固定部を有し、
前記電線は、芯線と、前記芯線の外周を覆う第1絶縁被覆と、導電性を有し前記第1絶縁被覆の外周を覆う電磁シールド部材と、前記電磁シールド部材の外周を覆う第2絶縁被覆とを有するシールド電線であり、
前記シールドシェルは、前記外側配置部の内部に配置される第1部分と、前記内側配置部と共に前記筐体の内部に配置される第2部分とを有し、
前記第1部分は、前記電磁シールド部材と電気的に接続される第1シールド接続部を有するとともに、前記電線における前記外側配置部の内部に配置される部分の外周を覆っており、
前記第2部分は、第2シールド接続部を有し、
前記第2シールド接続部は、前記第1方向から見て、前記コネクタハウジングの外縁よりも内側に位置しており、前記筐体の内部で前記シールドシェル接続部に固定されるとともに電気的に接続されているコネクタの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ及びコネクタの固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタには、自動車等の車両に搭載される機器が備える導電性の筐体に取り付けられるものがある。このようなコネクタは、例えば、コネクタハウジングと、コネクタハウジングに保持される端子と、コネクタから電磁ノイズが放射されることを抑制するためのシールドシェルとを有する。端子には、電線が接続されている。電線は、コネクタハウジングから引き出されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載されたコネクタにおいては、シールドシェルは、コネクタハウジングの外側に配置されている。シールドシェルは、コネクタハウジングの外面を覆うシェル本体と、シェル本体から延びるボルト固定部とを有する。シェル本体には、シェル本体との間に電線の外周を覆う編組線を挟み込んで固定するシールドリングが装着されている。編組線は、シールドリングとシェル本体との間でシェル本体の外周面に接触することにより、シールドシェルに電気的に接続されている。また、筐体は、コネクタ取付面と、コネクタ取付面と直交するボルト固定面とを有している。ボルト固定部は、コネクタ取付面に沿って延びる部分と、ボルト固定面に沿って延びる部分とを有する。ボルト固定部は、ボルト固定面に取り付けられるボルトによって筐体に固定される。これにより、シールドシェルは、筐体に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたコネクタを筐体に固定した場合、シールドシェルと編組線との接続部分、及び、シールドシェルと筐体との電気的な接続部分は、筐体及びコネクタの外部に露出する。そのため、機器が被水する可能性のある場所に配置されている場合には、シールドシェルと編組線との接続部分、及び、シールドシェルと筐体との電気的な接続部分に水が付着するおそれがある。シールドシェルと編組線との接続部分に水が付着すると、シールドシェルと編組線との電気的な接続が不安定になる可能性がある。シールドシェルと筐体との接続部分についても同様に、水が付着すると、電気的な接続が不安定になる可能性がある。そのため、電磁シールド性能の低下が懸念される。
【0006】
本開示の目的は、電磁シールド性能の低下を抑制できるコネクタ及びコネクタの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のコネクタは、機器が備える導電性の筐体に固定されるコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに保持される端子と、前記端子に電気的に接続され且つ第1方向に沿って前記コネクタハウジングの内部から外部に引き出される電線と、導電性を有するシールドシェルと、を備え、前記電線は、芯線と、前記芯線の外周を覆う第1絶縁被覆と、導電性を有し前記第1絶縁被覆の外周を覆う電磁シールド部材と、前記電磁シールド部材の外周を覆う第2絶縁被覆とを有するシールド電線であり、前記コネクタハウジングは、前記筐体の外部に配置される外側配置部と、前記筐体の内部に配置される内側配置部とを有し、前記シールドシェルは、前記外側配置部の内部に配置される第1部分と、前記第1部分よりも前記第1方向と反対方向にずれた位置に配置される第2部分とを有し、前記第1部分は、前記電磁シールド部材と電気的に接続される第1シールド接続部を有するとともに、前記電線における前記外側配置部の内部に配置される部分の外周を覆っており、前記第2部分は、前記筐体の内部で前記筐体に固定されるとともに電気的に接続される第2シールド接続部を有し、前記第2シールド接続部は、前記第1方向から見て、前記コネクタハウジングの外縁よりも内側に位置するコネクタである。
【0008】
本開示のコネクタの固定構造は、機器が備える導電性の筐体と、端子及び前記端子に電気的に接続され且つ第1方向に沿って引き出される電線を保持するコネクタハウジングと、導電性を有するシールドシェルと、を備え、前記筐体は、前記端子が挿入される装着口と、前記筐体の内部に設けられるシールドシェル接続部とを有し、前記コネクタハウジングは、前記筐体の外部に配置される外側配置部と、前記筐体の内部に配置される内側配置部とを有し、前記外側配置部は、前記筐体の外面に固定される固定部を有し、前記電線は、芯線と、前記芯線の外周を覆う第1絶縁被覆と、導電性を有し前記第1絶縁被覆の外周を覆う電磁シールド部材と、前記電磁シールド部材の外周を覆う第2絶縁被覆とを有するシールド電線であり、前記シールドシェルは、前記外側配置部の内部に配置される第1部分と、前記内側配置部と共に前記筐体の内部に配置される第2部分とを有し、前記第1部分は、前記電磁シールド部材と電気的に接続される第1シールド接続部を有するとともに、前記電線における前記外側配置部の内部に配置される部分の外周を覆っており、前記第2部分は、第2シールド接続部を有し、前記第2シールド接続部は、前記第1方向から見て、前記コネクタハウジングの外縁よりも内側に位置しており、前記筐体の内部で前記シールドシェル接続部に固定されるとともに電気的に接続されているコネクタの固定構造である。
【発明の効果】
【0009】
本開示のコネクタ及びコネクタの固定構造によれば、電磁シールド性能の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態における筐体に固定されている状態のコネクタの断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すコネクタを筐体との固定面から見た平面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すコネクタが備える第3ハウジング、端子、シールドシェル及び電線を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すコネクタの一部を拡大した断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すコネクタの一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]機器が備える導電性の筐体に固定されるコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに保持される端子と、前記端子に電気的に接続され且つ第1方向に沿って前記コネクタハウジングの内部から外部に引き出される電線と、導電性を有するシールドシェルと、を備え、前記電線は、芯線と、前記芯線の外周を覆う第1絶縁被覆と、導電性を有し前記第1絶縁被覆の外周を覆う電磁シールド部材と、前記電磁シールド部材の外周を覆う第2絶縁被覆とを有するシールド電線であり、前記コネクタハウジングは、前記筐体の外部に配置される外側配置部と、前記筐体の内部に配置される内側配置部とを有し、前記シールドシェルは、前記外側配置部の内部に配置される第1部分と、前記第1部分よりも前記第1方向と反対方向にずれた位置に配置される第2部分とを有し、前記第1部分は、前記電磁シールド部材と電気的に接続される第1シールド接続部を有するとともに、前記電線における前記外側配置部の内部に配置される部分の外周を覆っており、前記第2部分は、前記筐体の内部で前記筐体に固定されるとともに電気的に接続される第2シールド接続部を有し、前記第2シールド接続部は、前記第1方向から見て、前記コネクタハウジングの外縁よりも内側に位置するコネクタである。
【0012】
この構成によれば、シールドシェルと筐体との電気的な接続部分を、筐体の内部に配置することができる。また、電磁シールド部材と電気的に接続される第1シールド接続部を、外側配置部の内部に配置される第1部分が有している。即ち、シールドシェルと電磁シールド部材との電気的な接続部分は、コネクタハウジングの内部に配置されている。これらのことから、シールドシェルと筐体との電気的な接続部分、並びに、シールドシェルと電磁シールド部材との電気的な接続部分が被水することを抑制できる。従って、シールドシェルと筐体との電気的な接続部分、並びに、シールドシェルと電磁シールド部材との電気的な接続部分に水が付着することに起因する電磁シールド性能の低下を抑制できる。
【0013】
また、第2シールド接続部は、第1方向から見て、コネクタハウジングの外縁よりも内側に位置している。そのため、第2シールド接続部は、第1方向から見て、コネクタハウジングの外縁よりも外側に位置する場合に比べて、電線に近い位置で筐体に固定される。従って、第2シールド接続部が筐体に固定されているときに電線が振動した場合に、筐体に対してコネクタが振動することを抑制しやすい。
【0014】
[2]上記[1]において、前記第2シールド接続部は、前記筐体と前記第2シールド接続部とを固定するボルトが貫通する第1貫通孔を有していてもよい。
この構成によれば、ボルトと、当該ボルトに取り付けられるナットとにより、第2シールド接続部を筐体に容易に固定できる。また、ボルトとナットとによって第2シールド接続部を筐体に固定すると、第2シールド接続部が筐体に一体化されるため、筐体に対する第2シールド接続部の相対移動をより抑制できる。従って、筐体に対するコネクタの振動をより抑制できる。
【0015】
[3]上記[2]において、前記端子は、前記筐体の内部に配置される相手端子と前記端子とを固定するための端子固定ボルトが貫通する第2貫通孔を有し、前記第1貫通孔は、前記第1方向と直交する第2方向に前記第2シールド接続部を貫通しており、前記第2貫通孔は、前記第2方向に前記端子を貫通していてもよい。
【0016】
この構成によれば、端子と相手端子とを接続するために端子固定ボルトを端子及び相手端子に通す方向と、第2シールド接続部を筐体に固定するためにボルトを筐体及び第2シールド接続部に通す方向とを同じ方向にできる。従って、第2シールド接続部と筐体との接続作業性、並びに、端子と相手端子との接続作業性を向上できる。
【0017】
[4]上記[2]又は[3]において、前記シールドシェルは、前記第1貫通孔に固定されており且つ前記ボルトに取り付けられるナットを有していてもよい。
この構成によれば、第2シールド接続部を筐体に固定するためのボルトを、第1貫通孔に固定されているナットに挿入することにより、第2シールド接続部を筐体に容易に固定できる。
【0018】
本開示のコネクタの固定構造は、
[5]機器が備える導電性の筐体と、端子及び前記端子に電気的に接続され且つ第1方向に沿って引き出される電線を保持するコネクタハウジングと、導電性を有するシールドシェルと、を備え、前記筐体は、前記端子が挿入される装着口と、前記筐体の内部に設けられるシールドシェル接続部とを有し、前記コネクタハウジングは、前記筐体の外部に配置される外側配置部と、前記筐体の内部に配置される内側配置部とを有し、前記外側配置部は、前記筐体の外面に固定される固定部を有し、前記電線は、芯線と、前記芯線の外周を覆う第1絶縁被覆と、導電性を有し前記第1絶縁被覆の外周を覆う電磁シールド部材と、前記電磁シールド部材の外周を覆う第2絶縁被覆とを有するシールド電線であり、前記シールドシェルは、前記外側配置部の内部に配置される第1部分と、前記内側配置部と共に前記筐体の内部に配置される第2部分とを有し、前記第1部分は、前記電磁シールド部材と電気的に接続される第1シールド接続部を有するとともに、前記電線における前記外側配置部の内部に配置される部分の外周を覆っており、前記第2部分は、第2シールド接続部を有し、前記第2シールド接続部は、前記第1方向から見て、前記コネクタハウジングの外縁よりも内側に位置しており、前記筐体の内部で前記シールドシェル接続部に固定されるとともに電気的に接続されているコネクタの固定構造である。
【0019】
この構成によれば、上記[1]と同様の作用効果を奏することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタ及びコネクタの固定構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。各図面では、互いに直交するXYZ軸を図示している。本明細書における「直交」は、厳密に直交の場合にのみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。また、本明細書において使用される「環状」という用語は、ループ、すなわち端部のない連続形状、を形成する任意の構造、並びに、C字形のようなギャップを有する、全体としてループ形状をなす構造を指すことがある。「環状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれるが、これらに限定されない。また、本開示における「第1」「第2」「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
以下、コネクタ及びコネクタの固定構造の一実施形態について説明する。
図1に示すように、コネクタ20は、ワイヤハーネスの端部に設けられるものである。なお、
図1は、
図3における1-1断面図である。コネクタ20は、車両に配置される。車両は、例えば、高圧バッテリ、インバータ、車輪駆動用のモータ等の複数の機器を有している。コネクタ20は、複数の機器のうちの1つの機器10に取り付けられる。
【0021】
(筐体11の構成)
機器10は、導電性を有する筐体11を備える。例えば、筐体11は、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属製である。なお、筐体11は、金属製に限らず、導電性樹脂材料により形成されていてもよい。
【0022】
筐体11は、例えば、箱状の本体部12と、本体部12の内部、即ち筐体11の内部に設けられるシールドシェル接続部13とを有する。本体部12は、コネクタ20の端子22が挿入される装着口14を有する。装着口14は、本体部12の内部と外部とを連通する。装着口14は、例えば、X軸に沿って本体部12の側壁を貫通している。シールドシェル接続部13は、本体部12と電気的に接続されている。本体部12とシールドシェル接続部13とは、例えば、一体に形成されている。なお、シールドシェル接続部13は、本体部12とは別体に形成されていてもよい。この場合、シールドシェル接続部13は、本体部12に固定されることにより、本体部12と電気的に接続される。シールドシェル接続部13は、例えば、貫通孔15を有する。貫通孔15は、例えば、Y軸に沿ってシールドシェル接続部13を貫通している。
【0023】
(コネクタ20の構成)
コネクタ20は、筐体11に固定されるコネクタハウジング21と、コネクタハウジング21に保持される端子22と、電線23と、導電性を有するシールドシェル24とを備えている。
【0024】
(コネクタハウジング21の構成)
図1及び
図2に示すように、コネクタハウジング21は、例えば、第1ハウジング31と、第2ハウジング41と、第3ハウジング61とを有している。
【0025】
第1ハウジング31は、例えば合成樹脂製である。第1ハウジング31は、例えば、第1方向D1に沿って延びる筒状をなす筒状部32と、筒状部32の外周面に一体に設けられている固定部33とを有する。第1方向D1は、装着口14を通って筐体11の内部から外部に向かう方向である。第1方向D1は、例えば、X軸に沿った一方向(
図1に示す右矢印方向)である。また、第1方向D1と直交する方向を第2方向D2とする。第2方向D2は、例えば、Z軸に沿った一方向である。また、第1方向D1と直交し且つ第2方向D2と直交する方向を第3方向D3とする。第3方向D3は、例えば、Y軸に沿った一方向である。以下、第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3は、特に説明の無い限り、コネクタ20が組み上がっている状態における方向である。
【0026】
固定部33は、例えば、筒状部32における第1方向D1と反対方向の端部領域から筒状部32の外側に向かって鍔状に延びている。固定部33は、例えば、筒状部32を囲む環状をなしている。固定部33は、筐体11の外面と対向する対向面34を有する。例えば、対向面34は、第1方向D1における固定部33の両端面のうち、第1方向D1と反対方向の端面である。例えば、対向面34は、第1方向D1と垂直な平面状をなしている。
【0027】
図1及び
図3に示すように、固定部33は、対向面34から第1方向D1に凹むシール溝35を有していてもよい。シール溝35は、第1方向D1から見て、筒状部32を囲む環状をなしている。コネクタ20は、シール溝35に配置される第1シール部材36を有していてもよい。第1シール部材36は、例えば、ゴムリングである。
【0028】
固定部33は、例えば4つの固定孔37を有する。なお、固定部33が有する固定孔37の数は、4つに限らず複数であればよい。各固定孔37は、固定部33を第1方向D1に貫通している。各固定孔37は、第1方向D1から見て、シール溝35よりも外側に位置している。また、第1方向D1から見て、複数の固定孔37は、例えば、固定部33の外縁31Aに沿って等間隔に離れている。各固定孔37の内周面には、環状をなす金属製のカラー38が装着されていてもよい。
【0029】
第1ハウジング31は、筐体11の本体部12における装着口14の外周部分に固定されている。第1ハウジング31は、第1方向D1から見て筒状部32の内側に装着口14が配置されるように筐体11に対して配置される。また、第1ハウジング31は、対向面34を本体部12の外面に対向させて筐体11に対して配置される。第1ハウジング31は、各固定孔37を貫通する図示しないネジによって本体部12に固定される。なお、第1シール部材36は、シール溝35の内面と筐体11の外面とに密着することにより、筐体11の外面と固定部33との間をシールする。即ち、第1シール部材36は、筐体11の外面と固定部33との間から筐体11の内部もしくはコネクタ20の内部に水が浸入することを抑制する。
【0030】
図1及び
図2に示すように、第2ハウジング41は、例えば、第1方向D1に沿って延びる筒状をなす第2ハウジング本体42と、第2ハウジング本体42の外周面に一体に設けられている外嵌部43とを有する。第2ハウジング41は、例えば合成樹脂製である。
【0031】
第2ハウジング本体42は、第1端42aと、第1方向D1において第1端42aとは反対側の第2端42bとを有している。第2ハウジング41は、第1方向D1と反対方向に沿って端子22が突出する突出口44を有していてもよい。突出口44は、第2ハウジング本体42の第1端42aに位置している。また、第2ハウジング41は、第1方向D1に電線23が貫通する貫通口45を有する。貫通口45は、第2ハウジング本体42の第2端42bに位置している。
【0032】
第2ハウジング本体42は、筒状部32の内側を貫通した状態に配置される。また、第2ハウジング本体42は、例えば、装着口14を通って筐体11の内部に挿入されている。例えば、第2ハウジング本体42は、第1端42aが筐体11の内部に配置される一方で、第2端42bが筐体11の外部に配置される。
【0033】
第2ハウジング本体42は、例えば、第2ハウジング本体42における第1端42aを含む端部領域に、露出凹部51を有する。露出凹部51は、第2方向D2における第2ハウジング本体42の端部に位置している。露出凹部51は、第1端42aから第1方向D1に凹んでいる。第2ハウジング本体42の内部は、露出凹部51から第2ハウジング本体42の外部に露出する。露出凹部51は、筐体11の内部に配置される。
【0034】
図1に示すように、外嵌部43は、第2ハウジング本体42の外周面から鍔状に延びる底壁47と、底壁47の外縁から第1方向D1と反対方向に延びる環状の嵌合部48とを有する。筒状部32は、嵌合部48の内側に嵌合されている。
【0035】
第2ハウジング本体42の外周面と筒状部32の内周面との間には、第2シール部材49が配置されている。第2シール部材49は、外嵌部43の内部に配置されている。第2シール部材49は、例えば、ゴムリングである。第2シール部材49は、筒状部32の内周面と第2ハウジング本体42の外周面との間をシールする。即ち、第2シール部材49は、第2ハウジング本体42の外周面と筒状部32の内周面との間から筐体11の内部もしくはコネクタ20の内部に水が浸入することを抑制する。
【0036】
図2に示すように、第2ハウジング本体42は、第1係合部52を有していてもよい。例えば、第1係合部52は、第2ハウジング本体42の両側面にそれぞれ1つずつ設けられている。各第1係合部52は、例えば、第1端42aを含む第2ハウジング本体42の先端領域に設けられた一対の溝の間の部分である。各第1係合部52は係合孔53を有する。各第1係合部52は、自身の基端に対して先端が第3方向D3に沿ってずれるように弾性変形可能である。
【0037】
図1及び
図4に示すように、第3ハウジング61は、例えば、第1分割ハウジング62と、第1分割ハウジング62に組み付けられる第2分割ハウジング63とを有する。第1分割ハウジング62及び第2分割ハウジング63の各々は、例えば樹脂製である。第2分割ハウジング63は、第1分割ハウジング62よりも第2方向D2にずれた位置で、第1分割ハウジング62に重ね合わせられている。また、第2分割ハウジング63は、第2分割ハウジング63に固定されている。
【0038】
第1分割ハウジング62は、例えば、第1端子保持部64と、第1電線保持部65とを有している。第2分割ハウジング63は、例えば、第2端子保持部66と、第2電線保持部67とを有している。第2端子保持部66は、第1端子保持部64よりも第2方向D2にずれた位置で、第1端子保持部64に重ね合わせられている。第3ハウジング61は、第1端子保持部64と第2端子保持部66との間に端子22を保持している。
【0039】
第1端子保持部64は、例えば、第1端子露出口68を有する。第2分割ハウジング63は、例えば、第2端子露出口69を有する。第1端子露出口68と第2端子露出口69とは第2方向D2に並んでいる。第1端子露出口68と第2端子露出口69との間に端子22の一部が配置されている。端子22における第1端子露出口68と第2端子露出口69との間に位置する部分は、第2方向D2における両端面が第1端子露出口68及び第2端子露出口69からコネクタ20の外部に露出している。
【0040】
第1電線保持部65は、例えば、第1端子保持部64における第1方向D1の端部から第1方向D1に延びている。第2電線保持部67は、例えば、第2端子保持部66における第1方向D1の端部から第1方向D1に延びている。第3ハウジング61は、第1電線保持部65と第2電線保持部67との間に、電線23における第1方向D1と反対方向の端部領域を保持している。第1電線保持部65及び第2電線保持部67は、例えば、第2方向D2の両側から電線23を挟むように重ね合わせられている。互いに重ね合わせられた第1電線保持部65及び第2電線保持部67は、第1方向D1に延びる円筒状をなす。
【0041】
図1に示すように、第3ハウジング61は、第1方向D1に電線23が貫通する電線貫通口71を有する。例えば、電線貫通口71は、第1方向D1における第3ハウジング61の端部、即ち、第1方向D1における第1電線保持部65及び第2電線保持部67の端部に位置している。第3ハウジング61は、電線貫通口71が第2ハウジング本体42の内部に配置されるように、第1方向D1に沿って第2ハウジング本体42の内部に挿入されている。第1端子保持部64及び第2端子保持部66は、突出口44から第1方向D1と反対方向に第2ハウジング本体42の外部に突出している。
【0042】
図2に示すように、第3ハウジング61は、第2ハウジング41の第1係合部52に嵌まる第2係合部72を有していてもよい。例えば、第3ハウジング61は、第3方向D3における第1分割ハウジング62の両端に第2係合部72を有する。第2係合部72は、例えば、第1分割ハウジング62の外面からY軸方向に突出する突部である。第3ハウジング61は、第1方向D1に沿って第2ハウジング41の内側に挿入されている。そして、第3方向D3における第3ハウジング61の両側で第2係合部72が第1係合部52の係合孔53に嵌まることにより、第2ハウジング41と第3ハウジング61とが固定されている。
【0043】
(端子22の構成)
図1に示すように、端子22は、例えば、第2方向D2と直交する平板状をなしている。端子22は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料により形成されている。端子22には、電線23が電気的に接続されている。端子22と電線23とは、例えば、圧着、超音波溶着やレーザ溶着などの溶着、その他の公知の接合方法で接合されている。第3ハウジング61は、第1分割ハウジング62と第2分割ハウジング63との間に、電線23と端子22との電気的な接続部分を収容している。
【0044】
端子22は、筐体11の内部に配置される相手端子201と端子22とを固定するための端子固定ボルト202が貫通する第2貫通孔25を有していてもよい。第2貫通孔25は、例えば、第2方向D2に端子22を貫通している。第2貫通孔25は、第1端子露出口68及び第2端子露出口69からコネクタ20の外部に露出している。
【0045】
(電線23の構成)
図5に示すように、電線23は、電磁シールド構造を有するシールド電線である。なお、
図5は、
図1の部分拡大図である。電線23は、導体よりなる芯線81と、芯線81の外周を被覆する第1絶縁被覆82と、第1絶縁被覆82の外周を覆う電磁シールド部材83と、電磁シールド部材83の外周を被覆する第2絶縁被覆84とを有している。電線23は、例えば、高電圧及び大電流に対応可能な高圧電線である。芯線81の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。第1絶縁被覆82及び第2絶縁被覆84の各々は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料からなる。電磁シールド部材83は、例えば、銅合金やアルミニウム合金などの導電性の素線が筒状に編み込まれた編組線である。
【0046】
電線23は、第1方向D1に沿って延びている。電線23は、第1方向D1に沿ってコネクタハウジング21の内部から外部に引き出されている。即ち、第1方向D1は、電線23がコネクタハウジング21の内部から外部に引き出される方向である。電線23は、電線貫通口71を貫通して第3ハウジング61の外部に出るとともに、貫通口45を通って第2ハウジング41の外部、即ちコネクタハウジング21の外部に出ている。
【0047】
コネクタ20は、第2ハウジング本体42の内周面と電線23の外周面との間をシールする第3シール部材85を備えていてもよい。第3シール部材85は、第2ハウジング本体42における第2端42bを含む端部領域の内周面と電線23の外周面との間に配置されている。第3シール部材85は、第3ハウジング61よりも第1方向D1にずれた位置にある。第3シール部材85は、例えば、ゴムリングである。第3シール部材85は、貫通口45からコネクタ20の内部に水が浸入することを抑制する。
【0048】
図1及び
図2に示すように、コネクタ20は、第2ハウジング本体42における第2端42bを含む端部領域に装着されるバックリテーナ86を有していてもよい。バックリテーナ86は、第2ハウジング41からの第3シール部材85の脱落を防止する。バックリテーナ86は、例えば、第3方向D3に2つに分割された分割リテーナ87a,87bと、分割リテーナ87a,87bを第2ハウジング41に対して固定する固定部材88とを有している。固定部材88は、例えば環状をなしている。固定部材88は、分割リテーナ87a,87bの外側に嵌められている。なお、電線23は、バックリテーナ86を第1方向D1に貫通している。
【0049】
図5に示すように、電線23における第3ハウジング61の内部に配置される部分は、第1絶縁被覆82が露出している。例えば、第2絶縁被覆84は、電線23における第1方向D1と反対方向の端から、第3ハウジング61の外部であって電線貫通口71の近傍となる位置までの範囲にわたって除去されている。また、電線23には、第1固定部材89が固定されている。第1固定部材89は、例えば、第2ハウジング本体42の内部であって、第1方向D1における電線貫通口71と貫通口45との間に位置している。詳しくは、第1固定部材89は、電線貫通口71と第3シール部材85との間に位置している。第1固定部材89は、第1方向D1と反対方向における第2絶縁被覆84の端部領域の外周に装着されている。第1固定部材89は、例えば、金属製のかしめリングである。
【0050】
例えば、電磁シールド部材83は、第1方向D1と反対方向の端部領域に、第1方向D1に折り返されている折り返し部83aを有する。折り返し部83aは、第1固定部材89の外周面を覆うように、第1方向D1と反対方向における第2絶縁被覆84の端部領域に重ね合わせられている。
【0051】
(シールドシェル24の構成)
図1及び
図4に示すように、シールドシェル24は、例えば、第1被覆部101と、第2被覆部111とを有する。第1被覆部101と第2被覆部111とは、第2方向D2における第3ハウジング61の両側に配置されている。第1被覆部101及び第2被覆部111の各々は、例えば、金属板にプレス加工を施して形成されている。
【0052】
図4及び
図5に示すように、第1被覆部101は、例えば、第1方向D1における端部領域に第1接続部102を有する。第2被覆部111は、例えば、第1方向D1における端部領域に第2接続部112を有する。なお、例えば、第1接続部102及び第2接続部112は、「第1シールド接続部」に該当する。第1接続部102及び第2接続部112の各々は、例えば、第1方向D1から見た形状が半円状をなしている。第1接続部102は、第1電線保持部65の外周面を覆っている。第2接続部112は、第2電線保持部67の外周面を覆っている。また、第1接続部102及び第2接続部112は、折り返し部83aの外周面を覆っている。そして、第1接続部102及び第2接続部112の各々は、各自の内面が折り返し部83aの外周面に接触している。第1接続部102及び第2接続部112は、コネクタ20が筐体11に固定されているときに、電線23における筐体11の外部に配置される部分であって、電磁シールド部材83によって覆われていない部分の外周を覆う。第1接続部102及び第2接続部112は、第2ハウジング本体42の内部に配置されている。
【0053】
第1被覆部101及び第2被覆部111は、第2固定部材121によって電線23に固定されている。第2固定部材121は、第2ハウジング本体42の内部であって、第1方向D1における電線貫通口71と貫通口45との間に位置している。詳しくは、第2固定部材121は、電線貫通口71と第3シール部材85との間に位置している。第2固定部材121は、第1接続部102及び第2接続部112の外周であって、第1固定部材89との間に、第1接続部102、第2接続部112、及び折り返し部83aを挟む位置に装着されている。第2固定部材121は、例えば、金属製のかしめリングである。第2固定部材121は、第1接続部102及び第2接続部112の各々と、折り返し部83aとが密着するように、第1接続部102及び第2接続部112の各々及び電線23を締め付ける。これにより、電磁シールド部材83と、第1被覆部101及び第2被覆部111の各々とが電気的に接続されている。
【0054】
図1及び
図4に示すように、第2被覆部111は、例えば、第2接続部112よりも第1方向D1と反対方向にずれた位置に第2シールド接続部113を有する。例えば、第2シールド接続部113は、第1方向D1と反対方向における第2接続部112の端部から第2方向D2に延びる連結被覆部114によって第2接続部112と連結されている。連結被覆部114は、第2端子保持部66における第1方向D1の端面を覆っている。第2シールド接続部113は、例えば、第2方向D2と直交する平板状をなしている。第2方向D2と反対方向から見て、第2シールド接続部113は、例えば、第3ハウジング61における第2端子露出口69と第2電線保持部67との間の部分を覆っている。
【0055】
図1に示すように、第2シールド接続部113における第1方向D1と反対方向の端部領域は、第1方向D1と反対方向に第2ハウジング41から突出している。第2シールド接続部113における第1方向D1の端部領域は、第2ハウジング41が有する露出凹部51と第2方向D2に重なる位置にある。このため、第2方向D2における第2シールド接続部113の端面は、全体的にコネクタハウジング21の外部に露出する。
【0056】
図3に示すように、コネクタ20において、第2シールド接続部113は、第1方向D1から見て、コネクタハウジング21の外縁21Aよりも内側に位置する。例えば、第2シールド接続部113は、第1方向D1から見て、第1ハウジング31の固定部33の外縁31Aよりも内側に位置する。また、例えば、第2シールド接続部113は、第1方向D1から見て、第2ハウジング41の外縁41Aよりも内側に位置する。なお、外縁41Aは、
図1及び
図2に図示している。
【0057】
図1及び
図4に示すように、第2シールド接続部113は、筐体11のシールドシェル接続部13と第2シールド接続部113とを固定するボルト122が貫通する第1貫通孔115を有する。第1貫通孔115は、例えば、第2方向D2に第2シールド接続部113を貫通している。例えば、第1貫通孔115は、第2貫通孔25よりも第1方向D1にずれた位置にある。また、例えば、第2方向D2から見て、第1貫通孔115は、第2貫通孔25と第1方向D1に並ぶ。
【0058】
図6に示すように、シールドシェル24は、第1貫通孔115に固定されており且つボルト122に取り付けられるナット123を有していてもよい。ナット123は、例えば、第2方向D2における第2シールド接続部113と第2端子保持部66との間に位置する。例えば、ナット123は、第1貫通孔115に圧入により固定されている。
【0059】
次に、コネクタ20を筐体11に固定する手順について説明する。
図1に示すように、まず、第1ハウジング31が、筐体11の本体部12における装着口14の外周部分に固定される。その後、互いに固定された状態の第2ハウジング41及び第3ハウジング61が、第1ハウジング31に対して取り付けられる。なお、第2ハウジング41及び第3ハウジング61には、電線23及び端子22といった、コネクタ20における第1ハウジング31、第1シール部材36及びカラー以外の部品が予め組み付けられている。第2ハウジング41及び第3ハウジング61が第1ハウジング31に対して取り付けられるとき、第1端子保持部64、第2端子保持部66、端子22、及び第2シールド接続部113は、筒状部32及び装着口14を通って筐体11の内部に挿入される。そして、第2シールド接続部113は、筐体11の内部でシールドシェル接続部13と第2方向D2に重なる位置に配置される。
【0060】
その後、筐体11の内部で、第2方向D2と反対方向から貫通孔15及び第1貫通孔115にボルト122が挿入されるとともに、ナット123にボルト122が嵌められる。このとき、ボルト122とナット123とを締めるための工具は、例えば、筐体11において装着口14とは別の位置に設けられた開口部から筐体11の内部に挿入される。ナット123及びボルト122によって締め付けられることにより、第2シールド接続部113は、筐体11の内部でシールドシェル接続部13に固定されるとともに電気的に接続される。そして、第2シールド接続部113がシールドシェル接続部13に固定されると、コネクタ20の筐体11への固定が完了する。
【0061】
なお、端子22と相手端子201との接続は、第2シールド接続部113とシールドシェル接続部13との接続を行う前に行われてもよいし、第2シールド接続部113とシールドシェル接続部13との接続を行った後に行われてもよい。端子22と相手端子201とは、第2貫通孔25を貫通し、且つ、相手端子201を貫通する端子固定ボルト202と、端子固定ボルト202に取り付けられるナット203とによって、固定されるとともに互いに電気的に接続される。例えば、端子固定ボルト202は、ボルト122と同様に、第2方向D2と反対方向から第2貫通孔25に挿入される。なお、端子固定ボルト202は、第2方向D2から相手端子201及び端子22を貫通するものであってもよい。また、端子固定ボルト202とナット203とを締めるための工具は、例えば、ボルト122及びナット123を締める工具と同様に、筐体11において装着口14とは別の位置に設けられた開口部から筐体11の内部に挿入される。
【0062】
図1には、筐体11の外部の領域である外側領域A1と、筐体11の内部の領域である内側領域A2との境界B1を、一点鎖線で図示している。例えば、境界B1は、筐体11の外面上に位置する。コネクタハウジング21は、筐体11の外部に配置される外側配置部21Xと、筐体11の内部に配置される内側配置部21Yとを有する。即ち、コネクタハウジング21は、外側領域A1に配置される外側配置部21Xと、内側領域A2に配置される内側配置部21Yとを有する。
図1において、外側配置部21Xは、コネクタハウジング21における境界B1よりも第1方向D1にずれた範囲に配置される部分である。内側配置部21Yは、コネクタハウジング21における境界B1よりも第1方向D1と反対方向にずれた範囲に配置される部分である。
【0063】
例えば、第1ハウジング31は、外側配置部21Xに含まれている。そのため、外側配置部21Xは、筐体11の外面に固定される固定部33を有する。
また、シールドシェル24は、外側配置部21Xの内部に配置される第1部分24Xと、第1部分24Xよりも第1方向D1と反対方向にずれた位置に配置される第2部分24Yとを有する。第1部分24Xは、シールドシェル24における外側領域A1に配置される部分である。第2部分24Yは、シールドシェル24における内側領域A2に配置される部分である。そして、第1部分24Xは、電磁シールド部材83と電気的に接続される第1接続部102及び第2接続部112を有するとともに、電線23における外側配置部21Xの内部に配置される部分の外周を覆っている。また、第2部分24Yは、筐体11の内部で筐体11に固定されるとともに電気的に接続される第2シールド接続部113を有している。
【0064】
本実施形態の作用効果について説明する。
(1)コネクタ20は、機器10が備える導電性の筐体11に固定されるコネクタハウジング21と、コネクタハウジング21に保持される端子22と、を備えている。更に、コネクタ20は、端子22に電気的に接続され且つ第1方向D1に沿ってコネクタハウジング21の内部から外部に引き出される電線23と、導電性を有するシールドシェル24と、を備えている。電線23は、芯線81と、芯線81の外周を覆う第1絶縁被覆82と、導電性を有し第1絶縁被覆82の外周を覆う電磁シールド部材83と、電磁シールド部材83の外周を覆う第2絶縁被覆84とを有するシールド電線である。コネクタハウジング21は、筐体11の外部に配置される外側配置部21Xと、筐体11の内部に配置される内側配置部21Yとを有する。シールドシェル24は、外側配置部21Xの内部に配置される第1部分24Xと、第1部分24Xよりも第1方向D1と反対方向にずれた位置に配置される第2部分24Yとを有する。第1部分24Xは、電磁シールド部材83と電気的に接続される第1接続部102及び第2接続部112を有するとともに、電線23における外側配置部21Xの内部に配置される部分の外周を覆っている。第2部分24Yは、筐体11の内部で筐体11に固定されるとともに電気的に接続される第2シールド接続部113を有する。第2シールド接続部113は、第1方向D1から見て、コネクタハウジング21の外縁21Aよりも内側に位置する。
【0065】
この構成によれば、シールドシェル24と筐体11との電気的な接続部分を、筐体11の内部に配置することができる。本実施形態において、シールドシェル24と筐体11との電気的な接続部分は、シールドシェル接続部13と第2シールド接続部113とが接触している部分である。また、電磁シールド部材83と電気的に接続される第1接続部102及び第2接続部112を、外側配置部21Xの内部に配置される第1部分24Xが有している。即ち、シールドシェル24と電磁シールド部材83との電気的な接続部分は、コネクタハウジング21の内部に配置されている。本実施形態では、シールドシェル24と電磁シールド部材83との電気的な接続部分は、第1接続部102及び第2接続部112の各々と電磁シールド部材83とが接触している部分である。これらのことから、シールドシェル24と筐体11との電気的な接続部分、並びに、シールドシェル24と電磁シールド部材83との電気的な接続部分が被水することを抑制できる。従って、シールドシェル24と筐体11との電気的な接続部分、並びに、シールドシェル24と電磁シールド部材83との電気的な接続部分に水が付着することに起因する電磁シールド性能の低下を抑制できる。
【0066】
また、第2シールド接続部113は、第1方向D1から見て、コネクタハウジング21の外縁21Aよりも内側に位置している。そのため、第2シールド接続部113は、第1方向D1から見て、コネクタハウジング21の外縁21Aよりも外側に位置する場合に比べて、電線23に近い位置で筐体11に固定される。従って、第2シールド接続部113が筐体11に固定されているときに電線23が振動した場合に、筐体11に対してコネクタ20が振動することを抑制しやすい。
【0067】
また、電線23が高電圧及び大電流に対応可能な高圧電線である場合には、一般的に電線23の直径が太くなる。電線23の直径が太くなると、電線23が振動した場合、コネクタ20は、電線23の振動の影響を受けやすくなる。本実施形態のコネクタ20においては、このような電線23を備えていても、第1方向D1から見て第2シールド接続部113がコネクタハウジング21の外縁21Aよりも内側に位置しているため、電線23の振動に起因するコネクタ20の振動を抑制しやすい。
【0068】
(2)第2シールド接続部113は、筐体11と第2シールド接続部113とを固定するボルト122が貫通する第1貫通孔115を有する。この構成によれば、ボルト122と、当該ボルト122に取り付けられるナット123とにより、第2シールド接続部113を筐体11に容易に固定できる。また、ボルト122とナット123とによって第2シールド接続部113を筐体11に固定すると、第2シールド接続部113が筐体11に一体化されるため、筐体11に対する第2シールド接続部113の相対移動をより抑制できる。従って、筐体11に対するコネクタ20の振動をより抑制できる。
【0069】
(3)端子22は、筐体11の内部に配置される相手端子201と端子22とを固定するための端子固定ボルト202が貫通する第2貫通孔25を有する。第1貫通孔115は、第1方向D1と直交する第2方向D2に第2シールド接続部113を貫通している。第2貫通孔25は、第2方向D2に端子22を貫通している。
【0070】
この構成によれば、端子22と相手端子201とを接続するために端子固定ボルト202を端子22及び相手端子201に通す方向と、第2シールド接続部113を筐体11に固定するためにボルト122を筐体11及び第2シールド接続部113に通す方向とを同じ方向にできる。従って、第2シールド接続部113と筐体11との接続作業性、並びに、端子22と相手端子201との接続作業性を向上できる。
【0071】
(4)シールドシェル24は、第1貫通孔115に固定されており且つボルト122に取り付けられるナット123を有する。この構成によれば、第2シールド接続部113を筐体11に固定するためのボルト122を、第1貫通孔115に固定されているナット123に挿入することにより、第2シールド接続部113を筐体11に容易に固定できる。
【0072】
(5)コネクタ20の固定構造は、機器10が備える導電性の筐体11を備える。更に、コネクタ20の固定構造は、端子22及び端子22に電気的に接続され且つ第1方向D1に沿って引き出される電線23を保持するコネクタハウジング21と、導電性を有するシールドシェル24と、を備える。筐体11は、端子22が挿入される装着口14と、筐体11の内部に設けられるシールドシェル接続部13とを有する。コネクタハウジング21は、筐体11の外部に配置される外側配置部21Xと、筐体11の内部に配置される内側配置部21Yとを有する。外側配置部21Xは、筐体11の外面に固定される固定部33を有する。電線23は、芯線81と、芯線81の外周を覆う第1絶縁被覆82と、導電性を有し第1絶縁被覆82の外周を覆う電磁シールド部材83と、電磁シールド部材83の外周を覆う第2絶縁被覆84とを有するシールド電線である。シールドシェル24は、外側配置部21Xの内部に配置される第1部分24Xと、内側配置部21Yと共に筐体11の内部に配置される第2部分24Yとを有する。第1部分24Xは、電磁シールド部材83と電気的に接続される第1接続部102及び第2接続部112を有するとともに、電線23における外側配置部21Xの内部に配置される部分の外周を覆っている。第2部分24Yは、第2シールド接続部113を有する。第2シールド接続部113は、第1方向D1から見て、コネクタハウジング21の外縁21Aよりも内側に位置しており、筐体11の内部でシールドシェル接続部13に固定されるとともに電気的に接続されている。この構成によれば、上記(1)と同様の作用効果を奏することができる。
【0073】
(6)シールドシェルと筐体との電気的な接続部分、並びに、シールドシェルと電磁シールド部材との電気的な接続部分が被水することを抑制するために、筐体に固定されたコネクタハウジングの外面を全体的に覆うカバーをコネクタに備えることが考えられる。しかしながら、この場合には、コネクタが大型化されてしまう。これに対し、本実施形態においては、シールドシェル24と筐体11との電気的な接続部分を筐体11の内部に配置するとともに、シールドシェル24と電磁シールド部材83との電気的な接続部分をコネクタハウジング21の内部に配置している。従って、コネクタにカバーを備える場合に比べて、コネクタ20の大型化を抑制しつつ、シールドシェル24と筐体11との電気的な接続部分、並びに、シールドシェル24と電磁シールド部材83との電気的な接続部分が被水することを抑制できる。また、コネクタ20の部品としてカバーを備えなくてもよいため、部品点数の増大を抑制できる。
【0074】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ナット123は、第1貫通孔115に圧入により固定されていなくてもよい。例えば、ナット123は、例えば、接着もしくは溶着によりシールドシェル24に固定されてもよい。また、ナット123は、コネクタハウジング21によって保持されていてもよい。また、ナット123は、シールドシェル24及びコネクタハウジング21とは別体で準備されていてもよい。この場合、コネクタ20を筐体11に固定するときに、シールドシェル接続部13及び第2シールド接続部113を貫通したボルト122にナット123が取り付けられる。
【0075】
・上記実施形態では、シールドシェル接続部13と第2シールド接続部113とを固定するためのナット123は、コネクタ20が備えている。しかしながら、コネクタ20は、シールドシェル接続部13と第2シールド接続部113とを固定するためのボルト122を備えていてもよい。
【0076】
・第2貫通孔25は、第2方向D2と異なる方向に端子22を貫通していてもよい。また、第1貫通孔115は、第2方向D2と異なる方向に第2シールド接続部113を貫通していてもよい。また、第1貫通孔115と第2貫通孔25とは、貫通方向が互いに異なっていてもよい。
【0077】
・第2シールド接続部113とシールドシェル接続部13とは、ボルト122及びナット123を用いたボルト締結以外の方法で固定されてもよい。例えば、第2シールド接続部113とシールドシェル接続部13とは、第2シールド接続部113とシールドシェル接続部13とを挟むクリップにより固定されてもよい。また例えば、シールドシェル接続部13は、第2シールド接続部113を挟み込むクリップ形状もしくは、第2シールド接続部113が嵌入されるメス端子形状をなしていてもよい。また例えば、第2シールド接続部113とシールドシェル接続部13とは、溶着もしくは圧着により固定されてもよい。これらの場合、第2シールド接続部113は、第1貫通孔115を有していなくてもよい。また、シールドシェル接続部13は、貫通孔15を有していなくてもよい。端子22と相手端子201との固定方法も同様に変更してもよい。
【0078】
・コネクタハウジング21は、筐体11の外部に配置される外側配置部21Xと、筐体11の内部に配置される内側配置部21Yとを有していれば、上記実施形態の形状及び構成に限らない。例えば、第1ハウジング31と第2ハウジング41とは一体成形品であってもよい。
【0079】
・シールドシェル24は、外側配置部21Xの内部に配置される第1部分24Xと、第1部分24Xよりも第1方向D1と反対方向にずれた位置に配置される第2部分24Yとを有していれば、上記実施形態の形状及び構成に限らない。例えば、第1被覆部101と第2被覆部111とは、一体に形成されていてもよい。また、例えば、シールドシェル24は、第1方向D1に複数に分割された複数の部品から構成されていてもよい。
【0080】
・コネクタ20が備える端子22の数は、1つに限らず、複数であってもよい。この場合、例えば、複数の端子22は、第1方向D1と直交する方向に沿って並ぶように配置される。そして、端子22の各々に1本ずつ電線23が電気的に接続される。
【0081】
・上記実施形態における第2方向D2と反対方向を、第2方向D2としてもよい。上記実施形態における第3方向D3と反対方向を、第3方向D3としてもよい。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
10 機器
11 筐体
12 本体部
13 シールドシェル接続部
14 装着口
15 貫通孔
20 コネクタ
21 コネクタハウジング
21A 外縁
21X 外側配置部
21Y 内側配置部
22 端子
23 電線
24 シールドシェル
24X 第1部分
24Y 第2部分
25 第2貫通孔
31 第1ハウジング
31A 外縁
32 筒状部
33 固定部
34 対向面
35 シール溝
36 第1シール部材
37 固定孔
38 カラー
41 第2ハウジング
41A 外縁
42 第2ハウジング本体
42a 第1端
42b 第2端
43 外嵌部
44 突出口
45 貫通口
47 底壁
48 嵌合部
49 第2シール部材
51 露出凹部
52 第1係合部
53 係合孔
61 第3ハウジング
62 第1分割ハウジング
63 第2分割ハウジング
64 第1端子保持部
65 第1電線保持部
66 第2端子保持部
67 第2電線保持部
68 第1端子露出口
69 第2端子露出口
71 電線貫通口
72 第2係合部
81 芯線
82 第1絶縁被覆
83 電磁シールド部材
83a 折り返し部
84 第2絶縁被覆
85 第3シール部材
86 バックリテーナ
87a,87b 分割リテーナ
88 固定部材
89 第1固定部材
101 第1被覆部
102 第1接続部(第1シールド接続部)
111 第2被覆部
112 第2接続部(第1シールド接続部)
113 第2シールド接続部
114 連結被覆部
115 第1貫通孔
122 ボルト
123 ナット
121第2固定部材
201 相手端子
202 端子固定ボルト
203 ナット
A1 外側領域
A2 内側領域
B1 境界
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向