(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135516
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】医用画像撮影制御装置、医用画像撮影システム、プログラム及び医用画像撮影制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046240
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 直輝
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智
(72)【発明者】
【氏名】廣重 陽
(72)【発明者】
【氏名】濱元 一朗
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093CA15
4C093FA13
4C093FB09
4C093FH03
4C093FH06
(57)【要約】
【課題】同一患者の複数の検査オーダーをまとめて表示する同一患者複数検査表示機能において、複数の撮影オーダーのうち、適切な撮影オーダーを識別可能とする医用画像撮影制御装置を提供する。
【解決手段】医用画像撮影制御装置110は、同一患者及び異なる患者の複数の検査を検査リストに表示する検査表示部10と、検査リストに表示された複数の検査から一の検査を特定する検査特定部11と、検査特定部11により特定された一の検査に対応する撮影オーダー情報と、一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報とを撮影制御画面に一覧表示する一覧表示部12と、検査特定部11により特定された一の検査に対応する撮影オーダー情報を、他の検査に対応する撮影オーダー情報に対して識別可能に表示する識別表示部13とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一患者及び異なる患者の複数の検査を表示する検査表示部と、
前記検査表示部に表示された前記複数の検査から一の検査を特定する検査特定部と、
前記検査特定部により特定された前記一の検査に対応する撮影オーダー情報と、前記一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報とを一覧表示する一覧表示部と、
前記検査特定部により特定された前記一の検査に対応する撮影オーダー情報を、前記他の検査に対応する撮影オーダー情報に対して識別可能に表示する識別表示部と
を備えた医用画像撮影制御装置。
【請求項2】
前記識別表示部は、前記一の検査に対応する前記撮影オーダー情報を、前記他の検査に対応する前記撮影オーダー情報とは異なる態様で表示する
請求項1に記載の医用画像撮影制御装置。
【請求項3】
前記検査表示部は、前記複数の検査を第1の画面に表示し、
前記一覧表示部は、前記一の検査に対応する前記撮影オーダー情報と前記他の検査に対応する前記撮影オーダー情報とを第2の画面に一覧表示し、
前記識別表示部は、
前記第1の画面から前記第2の画面への遷移に応答して、前記一の検査に対応する少なくとも1つの撮影オーダー情報が、前記検査特定部により特定された前記一の検査に対応する前記撮影オーダー情報であることを識別可能に表示する
請求項1に記載の医用画像撮影制御装置。
【請求項4】
前記複数の検査に関する付帯情報を記憶する記憶部を備えた
請求項1に記載の医用画像撮影制御装置。
【請求項5】
前記付帯情報は、
患者特定情報、撮影部位、検査識別情報、検査の受付番号、検査登録日、検査予約日、撮影手技の少なくとも一つである
請求項4に記載の医用画像撮影制御装置。
【請求項6】
前記識別表示部は、
前記付帯情報に基づいて、前記一の検査に対応する少なくとも1つの撮影オーダー情報が、前記検査特定部により特定された前記一の検査に対応する前記撮影オーダー情報であることを識別可能に表示する
請求項4に記載の医用画像撮影制御装置。
【請求項7】
前記複数の検査から前記一の検査を選択する操作を受ける操作受付部を備え、
前記検査特定部は、前記操作受付部の操作に基づき前記一の検査を特定する
請求項1に記載の医用画像撮影制御装置。
【請求項8】
前記検査特定部は、前記付帯情報に基づいて前記複数の検査から前記一の検査を特定する
請求項4に記載の医用画像撮影制御装置。
【請求項9】
医用画像撮影装置が接続される医用画像撮影制御装置を備えた医用画像撮影システムであって、
前記医用画像撮影制御装置は、
同一患者及び異なる患者の複数の検査を表示する検査表示部と、
前記検査表示部に表示された前記複数の検査から一の検査を特定する検査特定部と、
前記検査特定部により特定された前記一の検査に対応する撮影オーダー情報と、前記一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報とを一覧表示する一覧表示部と、
前記検査特定部により特定された前記一の検査に対応する撮影オーダー情報を、前記他の検査に対応する撮影オーダー情報に対して識別可能に表示する識別表示部とを備えた
医用画像撮影システム。
【請求項10】
同一患者及び異なる患者の複数の検査を表示するステップと、
前記複数の検査から一の検査を特定するステップと、
前記一の検査に対応する撮影オーダー情報と、前記一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報とを一覧表示するステップと、
前記一の検査に対応する前記撮影オーダー情報を、前記他の検査に対応する前記撮影オーダー情報に対して識別可能に表示するステップと
を制御部に実行させる
プログラム。
【請求項11】
同一患者及び異なる患者の複数の検査を表示するステップと、
前記複数の検査から一の検査を特定するステップと、
前記一の検査に対応する撮影オーダー情報と、前記一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報とを一覧表示するステップと、
前記一の検査に対応する前記撮影オーダー情報を、前記他の検査に対応する前記撮影オーダー情報に対して識別可能に表示するステップとを実行する
医用画像撮影制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像撮影制御装置、医用画像撮影システム、プログラム及び医用画像撮影制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般撮をはじめとするX線撮影は、RIS(Radiology Information System)からの検査オーダーを受けて、そのオーダーに従い、撮影を行う。一方で、X線撮影を行いたい医師は、呼吸器内科や循環器内科、整形外科など、多岐に亘るため、患者の状態によっては複数の科からの検査オーダーが同日に入ることもある。
【0003】
しかし、検査オーダーは科毎に発行される一方で、X線撮影システムにおけるコンソール上では検査オーダー単位で検査が行われるため、例えば同一患者に対して呼吸器と循環器でそれぞれ胸部撮影を必要としても、検査オーダーが2つとなり、2回撮影する形となる。
【0004】
これに対し、同一患者に対する検査をまとめて撮影実施可能とする操作性(機能)として同一患者複数検査表示機能が提供されている。同一患者複数検査表示機能は、撮影画面上で同一患者の検査をまとめて表示し、検査間を跨いで撮影順を変えたり、撮影画像を他の同一部位条件に複製したりすることで、対象患者に対する撮影時間の短縮(負担軽減)を図った機能である。
【0005】
同一患者複数検査表示機能として、特許文献1では、まとめて表示することと、表示後に順番を切り替えることが記載されている。また、特許文献2では、複数オーダーをまとめて表示している状態について記載され、その表示の順番の切り替えに関して記載されている。さらに、特許文献3では、複数オーダーをまとめて表示することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4516464号公報
【特許文献2】特許第6397178号公報
【特許文献3】特開2021-118837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
同一患者複数検査表示機能のメリットとしては、同一患者を対象とした複数の検査において、属する撮影オーダーが一括で一覧に表示される点にある。同一患者複数検査表示機能では、複数の患者、複数の検査が検査リストに一覧表示され、この中から1つの検査を選択すると、撮影画面に遷移する。撮影画面では、同一患者の複数の撮影オーダーが一覧で表示される。
【0008】
しかし、複数の検査オーダーが一括表示されるため、検査リスト画面上で選択した検査がどれなのか分からなくなったり、異なる検査で同一部位の撮影オーダーが含まれるなどで識別が付かなかったり、どの撮影オーダーを最初に選択すべきだったか解り難い状態となりやすい。いずれの特許文献でも、検査リストから撮影画面に遷移する際に、最初にどの検査オーダーが選択されるべきか考慮して、撮影画面を表示することについて検討されていない。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、同一患者の複数の検査オーダーをまとめて表示する同一患者複数検査表示機能において、複数の撮影オーダーのうち、適切な撮影オーダーを識別可能とする医用画像撮影制御装置、医用画像撮影システム、プログラム及び医用画像撮影制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、同一患者及び異なる患者の複数の検査を表示する検査表示部と、検査表示部に表示された複数の検査から一の検査を特定する検査特定部と、検査特定部により特定された一の検査に対応する撮影オーダー情報と、一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報とを一覧表示する一覧表示部と、検査特定部により特定された一の検査に対応する撮影オーダー情報を、他の検査に対応する撮影オーダー情報に対して識別可能に表示する識別表示部とを備えた医用画像撮影制御装置である。
【0011】
また、本発明は、医用画像撮影装置が接続される医用画像撮影制御装置を備えた医用画像撮影システムであって、医用画像撮影制御装置は、同一患者及び異なる患者の複数の検査を表示する検査表示部と、検査表示部に表示された複数の検査から一の検査を特定する検査特定部と、検査特定部により特定された一の検査に対応する撮影オーダー情報と、一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報とを一覧表示する一覧表示部と、検査特定部により特定された一の検査に対応する撮影オーダー情報を、他の検査に対応する撮影オーダー情報に対して識別可能に表示する識別表示部とを備えた医用画像撮影システムである。
【0012】
さらに、本発明は、同一患者及び異なる患者の複数の検査を表示するステップと、複数の検査から一の検査を特定するステップと、一の検査に対応する撮影オーダー情報と、一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報とを一覧表示するステップと、一の検査に対応する撮影オーダー情報を、他の検査に対応する撮影オーダー情報に対して識別可能に表示するステップとを制御部に実行させるプログラムである。
【0013】
また、本発明は、同一患者及び異なる患者の複数の検査を表示するステップと、複数の検査から一の検査を特定するステップと、一の検査に対応する撮影オーダー情報と、一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報とを一覧表示するステップと、一の検査に対応する撮影オーダー情報を、他の検査に対応する撮影オーダー情報に対して識別可能に表示するステップとを実行する医用画像撮影制御方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、同一患者で複数の撮影オーダーを一覧表示する際に、最初に選択すべき適切な撮影オーダーを識別し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態の医用画像撮影システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】医用画像撮影制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】本実施の形態の医用画像撮影制御方法の一例を示すフローチャートである。
【
図6】選択条件情報の設定画面の一例を示す説明図である。
【
図7】検査リストでの選択条件の切替例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の医用画像撮影制御装置、医用画像撮影システム、プログラム及び医用画像撮影制御方法の実施の形態について説明する。
【0017】
<医用画像撮影システムの全体構成例>
図1は、本実施の形態の医用画像撮影システムの機能構成を示すブロック図である。医用画像撮影システム100は、医用画像撮影装置150と、医用画像撮影制御装置110を備える。医用画像が放射線(X線)画像である場合、医用画像撮影装置は放射線画像撮影装置とも称される。また、医用画像撮影制御装置は、放射線画像撮影制御装置とも称される。さらに、医用画像撮影システムは、放射線撮影システムとも称される。
【0018】
医用画像撮影制御装置110は、制御部111と、記憶部112と、操作受付部113と、表示部114と、通信部115などを備える。医用画像撮影制御装置110は、例えば、パーソナルコンピューター(Personal Computer:PC)などでよい。
【0019】
制御部111は、医用画像撮影制御装置110の各部の動作を制御する。制御部111は、CPU111a(Central Processing Unit)と、RAM111b(Random Access Memory)などを有するハードウェアプロセッサーである。CPU111aは、演算処理を行い、各種制御動作を行う。RAM111bは、CPU111aに作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
【0020】
記憶部112は、不揮発性のメモリーであり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)及び/またはフラッシュメモリーなどを有する。記憶部112には、プログラム112aと撮影データ112b及び検査要求データ112c、選択条件情報112dなどが記憶される。
【0021】
プログラム112aは、本実施の形態の医用画像撮影制御方法に係る処理などを含むプログラムを含む。プログラム112aは、CPU111aによって読み出されて実行される。
【0022】
撮影データ112bは、医用画像撮影装置150により撮影された撮影画像データと、当該撮影画像データに対応付けられた付加情報データ、例えば、受付番号、患者ID、患者氏名、年齢、性別、撮影日時及び撮影条件などを含む。
【0023】
検査要求データ112cは、HIS(Hospital Information System)/RIS(Radiology Information System)などから取得された医用画像撮影、例えば放射線撮影の検査要求に係るデータである。検査要求データ112cには、例えば、受付番号、患者ID、患者氏名、年齢、性別、検査登録日、依頼科及び撮影部位などの情報が含まれる。
【0024】
選択条件情報112dは、一の検査を特定するため用いられる情報である。選択条件情報については後述する
【0025】
操作受付部113は、医用画像撮影制御装置110のユーザーである検査者などによる外部からの入力操作を受け付けて入力信号として制御部111に出力する。操作受付部113は、例えば、表示部114に重なって位置するタッチパネル、キー操作を受け付けるキーボード、マウスなどのポインティングデバイス、各種スイッチボタンなどのうち一部または全部を有する。
【0026】
表示部114は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などのディスプレイにより構成される。表示部114は、制御部111の制御に基づいて後述する撮影制御画面Dなどを表示する。
【0027】
通信部115は、外部機器や周辺機器との間で行われる通信やデータの送受信を制御する。通信部115は、例えば、有線または無線通信によりLAN(Local Area Network)に接続して通信を行う。通信部115で通信接続される装置には、医用画像撮影装置150が含まれる。
【0028】
<撮影制御画面の一例>
次に、医用画像撮影制御装置110で表示部114に表示される撮影制御画面Dについて説明する。
図2は、撮影制御画面の表示例を示す説明図である。撮影制御画面Dは、上部にタイトル画面WTが表示される。タイトル画面WTは、患者氏名、患者IDなど、撮影対象の患者を特定する情報が表示される。また、撮影制御画面Dは、中央に撮影画像データのプレビュー画面W1が表示され、その右側に図示しない設定画面がされる。
【0029】
さらに、撮影制御画面Dは、プレビュー画面W1の左側に、同一患者に対して設定されている医用画像、本例では放射線画像の撮影に係る検査情報D1の一覧画面W2が表示される。
【0030】
検査情報D1は、受付番号、撮影部位、撮影枚数が表示されるタイトル欄D2と、撮影オーダー情報D3が表示される。撮影オーダー情報D3は、サムネイル表示欄D4と、撮影部位及び条件の概略などの撮影情報を示す情報表示欄D5が表示される。なお、タイトル欄D2の内容は、撮影オーダー情報D3に内包され、情報表示欄D5に併せて表記されることで、タイトル欄D2が表示されない表示形式でもよい。
【0031】
検査情報D1は、例えば撮影部位ごとにまとめられる。1つの撮影部位で1枚の撮影を行う場合、1つの検査情報D1に対して、1つの撮影オーダー情報D3(1)が表示される。これに対し、1つの撮影部位で体位を変えるなどにより複数枚の撮影を行う場合、1つの検査情報D1に対して、複数の撮影オーダー情報D3(1)~D3(n)が表示される。なお、検査情報D1は、撮影部位ごと限らず、検査単位でまとめられる場合もある。
【0032】
一覧画面W2は、一度に表示できない数の検査情報D1がある場合、スクロールボタンB1の操作により、検査情報D1の表示が切り替えられる。なお、一覧画面W2の横にスライダーバーを表示し、スライダーバーの操作により、検査情報D1の表示が切り替えられてもよい。
【0033】
検査オーダー情報D3は、サムネイル表示欄D4を見ることで、撮影済み/未撮影のオーダーが識別可能となり、撮影制御画面D上で画像のコピーが可能である。これにより、同部位の撮影など、別検査に撮影済みの画像を転用することができ、撮影回数を減らすができる。
【0034】
なお、検査オーダー情報D3の表示順は、本例では受付番号順としているが、検査登録日順など、任意である。また、検査情報D1の表示順、検査オーダー情報D3の表示順は、表示後に変更することが可能で、例えば、撮影実施順に変更することもできる。さらに、検査オーダー情報D3は、撮影部位ごとに検査情報D1としてまとめられているが、撮影部位ごとにまとめず、羅列してもよい。
【0035】
<検査リストの一例>
次に、医用画像撮影制御装置110で表示部114に表示される検査リストLについて説明する。
図3は、検査リストの表示例を示す説明図である。検査リストLは、患者ID情報L1、撮影部位情報L2、受付番号情報L3、検査登録日情報L4及び撮影数情報L5が、対応付けられて表示される。
【0036】
検査リストLは、患者ID情報L1で患者固有の識別情報である患者IDが特定される。また、検査リストLは、撮影部位情報L2で、患者ごとの撮影部位が特定され、受付番号情報L3で、検査の受付番号が特定される。さらに、検査リストLは、検査登録日情報L4で検査登録日が特定され、撮影数情報L5で撮影ごとの撮影数が特定される。同一の患者で異なる撮影部位の撮影を行う場合、同じ患者IDで、撮影部位ごとに受付番号が付与された検査リストLが作成される。
【0037】
<医用画像撮影制御装置の機能構成例>
同一患者の複数検査を対象に、一括で撮影を行うことを可能とする機能として、同一患者複数検査表示機能が提案されている。同一患者複数検査表示機能では、複数の患者及び複数の検査が表示された検査リストL上で、1つの検査が選択されると、撮影制御画面Dに遷移する。撮影制御画面Dでは、選択した検査に対応する患者の全ての撮影オーダー情報の一覧が表示される。
【0038】
そして、複数の検査から一の検査を特定し、この一の検査に対応する一の撮影オーダー情報が、同一患者の他の撮影オーダー情報と識別可能に表示されるようにする。
【0039】
図4は、医用画像撮影制御装置の構成の一例を示すブロック図である。医用画像撮影制御装置110は、機能ブロックとして、検査表示部10、検査特定部11、一覧表示部12、識別表示部13を備える。
【0040】
検査表示部10は、同一患者及び異なる患者の複数の検査を、
図3に示す検査リストLとして表示する。検査リストLは、第1の画面の一例である。
【0041】
検査特定部11は、付帯情報の一例である所定の選択条件情報112dに基づき一の検査を特定する。
【0042】
一覧表示部12は、選択検査に対応した患者IDで患者を特定する。選択検査とは、検査リストLに表示された複数の患者及び複数の検査から、操作受付部113で受け付けた操作により選択された検査である。一覧表示部12は、選択検査に対応した患者IDで特定される患者の全ての検査に対応する撮影オーダー情報D3を取得し、
図2に示す撮影制御画面Dに一覧表示する。撮影制御画面Dは、第2の画面の一例である。検査特定部11は、選択検査に対応した患者IDで特定される一人の患者の全ての検査から、選択条件情報112dに基づき一の検査を特定する。これにより、同一患者の全ての検査に対応する撮影オーダー情報D3は、検査特定部11により特定された一の検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)を含む。また、同一患者の全ての検査に対応する撮影オーダー情報D3は、一の検査と同一患者の他の検査に対応する撮影オーダー情報D3を含む。
【0043】
識別表示部13は、一の検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)を、他の検査に対応する撮影オーダー情報D3に対して識別可能に撮影制御画面Dに表示する。識別可能に表示するとは、例えば、撮影オーダー情報D3(m)が表示される領域の色を変える、枠を設けるなどのフォーカス表示である。また、フォーカス表示以外にも、撮影オーダー情報D3(m)を指す矢印を表示する、撮影オーダー情報D3(m)の受付番号を強調表示するなども含まれる。さらに、撮影オーダー情報D3(m)に所定の文言を追加して表示するなども含まれる。
【0044】
<プログラムの機能構成例>
次に、制御部111で実行されるプログラム112aについて説明する。プログラム112aは、同一患者及び異なる患者の複数の検査を検査リストLとして表示部114に表示するステップを制御部111に実行させる。制御部111は、検査リストLを表示部114に表示する上記ステップがプログラム112aにより実行されることで、検査表示部10として機能する。
【0045】
また、プログラム112aは、表示部114で検査リストLに表示された検査から、操作受付部113で受け付けた操作により選択された検査に基づき一の検査を特定するステップを制御部111に実行させる。制御部111は、一の検査を特定する上記ステップがプログラム112aにより実行されることで、検査特定部11として機能する。
【0046】
さらに、プログラム112aは、一の検査が行われる患者の全ての検査に対応する撮影オーダー情報D3を取得する。そして、表示部114で撮影制御画面Dに一覧表示するステップを制御部111に実行させる。制御部111は、一の検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)と、他の検査に対応する撮影オーダー情報D3とを一覧表示する上記ステップがプログラム112aにより実行されることで、一覧表示部12として機能する。
【0047】
また、プログラム112aは、一の検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)を識別可能に、表示部114で撮影制御画面Dに表示するステップを制御部111に実行させる。制御部111は、一の検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)を識別可能に表示する上記ステップがプログラム112aにより実行されることで、識別表示部13として機能する。
【0048】
これらの機能について、各機能の一部または全部は、制御部111のCPU111aによる処理に替えて、または、これと共に、DSP(Digital Signal Processor)による処理によって実現されてもよい。また、同様に、各機能の一部または全部は、ソフトウェアによる処理に替えて、または、これと共に、専用のハードウェア回路による処理によって実現されてもよい。
【0049】
さらに、プログラムは、記憶部112に予め記憶されているが、これに限定されない。例えば、これらのプログラムを記録している記録媒体が用意されており、この記録媒体に記憶されているプログラムが記憶部112に記憶されてもよい。これらのプログラムを記録している記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光学ディスク、SSD(Solid State Drive)のような外部記録媒体である。また、プログラムは、医用画像撮影制御装置110と有線、無線のネットワークで接続されたサーバに格納されており、ネットワークを介してプログラムが記憶部112に送られ記憶部112に記憶されてもよい。
【0050】
<本実施の形態の医用画像撮影制御装置、医用画像撮影システムの動作例>
図5は、本実施の形態の医用画像撮影制御方法の一例を示すフローチャートである。次に、医用画像撮影制御方法として、医用画像撮影制御装置110の制御部111で実行されるプログラムの動作例について、各図を参照して説明する。
【0051】
制御部111は、
図5のステップSA1で、
図3に示す検査リストLを検査表示部10で表示部114に表示する。制御部111は、ステップSA2で、検査リストLに表示された複数の患者、複数の検査の一覧の中から、操作受付部113による検査の選択を受け付ける。ユーザーは、検査リストLに表示された複数の患者、複数の検査の一覧の中から、操作受付部113を操作することで、所望の検査を選択する。
【0052】
制御部111は、ステップSA3で、選択された検査(選択検査)に対応した患者IDに基づき、同じ患者IDに対応した複数の検査の有無を確認する。制御部111は、ステップSA4で、同じ患者IDに対応した複数の検査が有ると判定すると、ステップSA5で、検査特定部11が選択条件情報112dを確認する。
【0053】
制御部111は、ステップSA6で、同一患者の全ての検査の中から、所定の選択条件情報112dに適合した一の検査を検査特定部11が特定する。
【0054】
制御部111は、ステップSA7で、
図2に示す撮影制御画面Dに遷移し、同一患者の全ての撮影オーダー情報D3を一覧表示部12が撮影制御画面Dの一覧画面W2に表示する。一覧画面W2に表示しきれない撮影オーダー情報D3は、一覧画面W2のスクロールにより表示可能である。そして、制御部111は、一の検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)を識別可能に、識別表示部13が撮影制御画面Dに表示する。制御部111は、一の検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)に、例えば識別枠G1を表示して、他の撮影オーダー情報D3と識別可能にする。
【0055】
撮影制御画面Dは、1つの検査情報D1に対して複数の検査オーダー情報D3(1)~D3(n)が存在する場合、複数の検査オーダー情報D3が本例では上下に並列して表示される。このため、一の検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)が、複数の検査オーダー情報D3(1)~D3(n)が存在する1つの検査情報D1に含まれる場合がある。この場合、制御部111は、一番上の検査オーダー情報D3(1)を識別可能に表示する。
【0056】
制御部111は、ステップSA4で、同じ患者IDに対応した複数の検査が無いと判定すると、ステップSA8で、選択された1つの検査に対応した撮影オーダー情報D3を、撮影制御画面Dの一覧画面W2に表示する。
【0057】
<選択条件情報の一例>
選択条件情報112dは、記憶部112に記憶される。選択条件情報112dで規定される選択条件としては、選択検査/検査ID/受付番号/検査登録日/検査予約日/撮影部位/撮影手技などが挙げられる。選択検査とは、上述したように、検査リストLに表示された検査から、操作受付部113で受け付けた操作により選択された検査である。検査ごとの識別情報である検査IDは、
図3の検査リストLでは付されていないが、検査IDが付されていれば、これを選択条件としてもよい。
【0058】
選択条件情報112dは、単独の選択条件で定義してもよいし、複数の選択条件を組み合わせて定義してもよい。複数の選択条件を組み合わせる場合、あらかじめ設定された優先順位を付加し、優先順位に沿って撮影オーダー情報を並べてもよい。昇順/降順の指定も可能である。
【0059】
また、選択条件が撮影部位である場合、部位種別で優先順位を設定して順に並べてもよい。例えば、優先順位が胸部→腹部→関節である場合、この順に従い撮影オーダー情報を並べる。
【0060】
さらに、選択条件が撮影手技(技法)である場合、あらかじめ設定された優先順位での指定が可能である。例えば、シリアル撮影(動態撮影)や長尺撮影が可能な撮影システムでは、それらの撮影条件が含まれると、他の選択条件を適用せずに、この撮影条件による検査オーダーを一の検査として特定し、優先的に識別可能に表示することもできる。撮影手技とは、立位/臥位/パネル/長尺/動態/造影といった技法や、正面/側面/P→A/A→Pなどの方向も含む。
【0061】
また、撮影済み/未撮影といった撮影実施状況を、選択条件に追加してもよい。これにより、未撮影のみ、撮影済みのみ、両方、未撮影優先、撮影済み優先などと、設定条件を絞り込み条件として使用することができる。
【0062】
図6は、選択条件情報の設定画面の一例を示す説明図である。選択条件情報112dの設定画面W5は、選択された選択条件が表示される設定表示部W6を備え、所謂プルダウンメニューで、選択可能な選択条件一覧W7が表示される。
【0063】
検査リストLで選択された検査が、本例では、
図3の検査リストLで(4)の検査であるとする。また、選択条件情報112dで選択検査が選択されとする。この場合、撮影制御画面Dでは、検査部位が肘関節である検査情報D1(3)の撮影オーダー情報D3(1)が、
図2に示すように例えば識別枠G1で識別可能に表示される。
【0064】
選択条件情報112dで受付番号が選択された場合、
図2に示す撮影制御画面Dでは、受付番号が一番早い検査部位が胸部臥位である検査情報D1(1)の撮影オーダー情報D3(1)が識別可能に表示される。選択条件情報112dで検査部位が選択された場合、例えば、優先順位が胸部→腹部→関節である場合も同じである。
【0065】
選択条件情報112dで検査登録日が選択された場合、
図2に示す撮影制御画面Dでは、検査登録日(時間)が一番早い検査部位が腹部臥位である検査情報D2(1)の撮影オーダー情報D3(1)が識別可能に表示される。
【0066】
検査リストLで選択された検査(選択検査)と、選択条件情報112dで特定された一の検査(特定検査と称す)が同じ場合がある。例えば、検査リストLで選択された検査が、
図3の検査リストLで(4)の検査であり、選択条件情報112dでは選択検査が選択された場合を考える。この場合、検査部位が肘関節である検査情報D1(3)の撮影オーダー情報D3(1)が、選択検査に対応し、かつ、選択条件情報112dに適合した特定検査に対応した撮影オーダー情報である。そこで、制御部111は、選択検査と選択条件情報112dに適合した特定検査が同じ場合、選択検査かつ特定検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)のみを識別可能に表示する。
【0067】
一方、検査リストLで選択された検査(選択検査)と、選択条件情報112dで特定された一の検査(特定検査)が異なる場合がある。例えば、検査リストLで選択された検査が、
図3の検査リストLで(4)の検査であり、選択条件情報112dでは受付番号が選択された場合を考える。この場合、選択検査と特定検査が異なる。制御部111は、選択検査と特定検査が異なる場合、特定検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)と、選択検査に対応する撮影オーダー情報D3(k)を、それぞれ識別可能に表示する。制御部111は、例えば、選択検査に対応する撮影オーダー情報D3(k)の識別枠G1と、特定検査に対応する撮影オーダー情報D3(m)の識別枠G2の色を変える。また、識別枠G1と識別枠G2の線種を変えてもよい。
【0068】
検査リストLで選択された選択検査が、
図3の検査リストLで(4)の検査が選択されたとする。この場合、撮影制御画面Dでは、検査部位が肘関節である検査情報D1(3)の撮影オーダー情報D3(1)が、識別枠G1で識別可能に表示される。
【0069】
また、選択条件情報112dで選択された特定検査が、
図3の検査リストLで(2)の検査が選択されたとする。この場合、撮影制御画面Dでは、検査部位が胸部臥位である検査情報D1(1)の撮影オーダー情報D3(1)が、識別枠G2で識別可能に表示される。
【0070】
制御部111は、例えば、選択検査に対応する撮影オーダー情報の識別枠G1と、特定検査に対応する撮影オーダー情報の識別枠G2の色を変える。また、識別枠G1と識別枠G2の線種を変えてもよい。
【0071】
さらに、選択検査に対応する撮影オーダー情報については、ユーザーの操作で選択された旨を識別可能に表示してもよい。また、特定検査に対応する撮影オーダー情報については、選択条件情報に基づき選択された旨を識別可能に表示してもよい。さらに、選択検査に対応する撮影オーダー情報については、識別可能な表示にしなくてもよい。
【0072】
選択条件情報112dは、医用画像撮影制御装置110ごとのみならず、医用画像撮影制御装置110が設置された施設ごと、医用画像撮影制御装置110を使用するユーザーごとで、選択条件を変更、保持可能とする。これにより、医用画像撮影制御装置110が設置された撮影室ごとや医用画像撮影制御装置110を使用する技師毎で、効率的な撮影順番が変わっても、これに対応できる。
【0073】
また、選択条件情報112dの選択条件に応じて、撮影制御画面Dの一覧画面W2での撮影オーダー情報D3の並び替え(ソート)を連動させることが可能である。例えば、一の検査(特定検査)が胸部正面となった場合、撮影オーダー情報D3を、同一部位、同一手技の撮影が連続する並び順とすることで、なるべく患者の移動量(体位の変更)を減らす撮影とすることが可能である。
【0074】
さらに、選択条件情報112dの選択条件を、検査リストLに表示してもよい。これにより、ユーザー(技師)が選択時に何が選択された状態となるかを事前に把握し易くする。
【0075】
また、選択条件情報112dの選択条件を、検査リストL上での選択操作により切り替えられるようにしてもよい。
図7は、検査リストでの選択条件の切替例を示す説明図である。例えば、選択条件情報で選択検査を選択する場合は、実線で示す選択枠L10で所望の検査を選択する。また、選択条件情報で選択検査以外の選択条件を選択する場合は、破線で示す選択枠L20で所望の検査を選択する。これにより、選択エリアや、ダブルクリックや長押しなどの選択方法での操作性による使い分けも可能である。
【0076】
なお、従来の同一患者複数検査表示機能では、検査終了時、撮影オーダーが無い検査は、検査情報自体を削除する処理となっているものがある。しかし、同一患者複数検査表示機能では、同一患者で複数の検査が混在するため、特定の検査に撮影オーダーが残っているのかが認識し辛く、未検査の検査オーダーを見落とす可能性がある。
【0077】
そこで、検査終了の契機で、複数の検査情報D1のうち、撮影オーダー情報D3が0件となった検査が存在するかどうかを確認し、存在する場合は、警告メッセージを表示、または、検査情報を削除する検査終了処理を中断してもよい。これにより、撮影オーダーが残っている検査情報を誤って削除することが抑制される。撮影オーダー情報D3が0件となった検査が存在するかどうかの確認処理を実行するか否かを、設定できるようにしてもよい。また、同一患者複数検査表示機能が有効な場合にのみ使用可能な機能としてもよい。
【符号の説明】
【0078】
100・・・医用画像撮影システム、110・・・医用画像撮影制御装置、150・・・医用画像撮影装置、111・・・制御部、112・・・記憶部、113・・・操作受付部、114・・・表示部、10・・・検査表示部、11・・・検査特定部、12・・・一覧表示部、13・・・識別表示部