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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135522
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】パンツ型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/505 20060101AFI20240927BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20240927BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240927BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61F13/505 100
A61F13/496
A61F13/49 410
A61F13/534 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046247
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 景
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200CA03
3B200CA11
3B200DA21
3B200DA25
3B200DB18
3B200DE07
3B200DE10
(57)【要約】
【課題】排泄後に吸収性シートを簡便に取り外して、経済的に使用することが可能なパンツ型吸収性物品を提供する。
【解決手段】本開示に係るパンツ型吸収性物品10は、着用時に着用者の股下に位置する股下領域23を有し、パンツ型の外形形状を形成する外装体20と、互いに積層された状態で外装体20の股下領域23に対して固定される複数の吸収性シート30と、を備え、複数の吸収性シート30は、肌側から1枚ずつ取り外し可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用時に着用者の股下に位置する股下領域を有し、パンツ型の外形形状を形成する外装体と、
互いに積層された状態で前記外装体の前記股下領域に対して固定される複数の吸収性シートと、を備え、
前記複数の吸収性シートは、肌側から1枚ずつ取り外し可能である
ことを特徴とするパンツ型吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収性シートは、肌側の液透過性のトップシートと、非肌側の液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される液透過性のセカンドシートと、前記トップシートと前記セカンドシートとの間に配置される高吸収性ポリマーとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
前記複数の吸収性シートの周縁部は、前記外装体側へ固定されており、
前記複数の吸収性シートのうち最も非肌側に位置する最下層の吸収性シートを除く他の吸収性シートには、前記他の吸収性シートの前記周縁部を破断して前記他の吸収性シートを前記外装体側から取り外し可能な開封テープが、前記周縁部に沿って全周域に亘って設けられる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性シートは、3層以上設けられ、
前記他の吸収性シートの前記開封テープの色及び幅の少なくとも一方は、互いに異なっている
ことを特徴とする請求項3に記載のパンツ型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多層生理用品が開示されている。この多層生理用品は、裏面に下層裏張りシートを有する下層複合吸収シートの上に、裏面に上層裏張りシートを有する上層複合吸収シートを裏面側を下にして重ね、下層裏張りシート周縁と上層複合吸収シートの上層裏張りシートの周縁同士を、該周縁の少なくとも対向する2縁において、仮固定してなる2枚以上の複合吸収シートの積層構造を有し、最下層の複合吸収シートの最下層裏張りシートの裏面に感圧接着剤を塗布した剥離紙を貼着されてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-187084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のパンツ型紙おむつ(パンツ型吸収性物品)では、尿とりパッドやパンツ用パッド等の吸収性シートをパンツの中に挿入して使用し、排泄後はパッドのみを交換してパンツは複数回使用するという、経済的な使い方をしているケースが多い。
【0005】
しかしながら、一度排泄をするとパッドの交換が必要であるため、手間がかかる。特に身体機能が衰え始めた着用者は、自らでパッドの交換を行う動作が難しく、繰り返しの交換作業は身体的負担が大きかった。
【0006】
特許文献1に記載の多層生理用品は、尿や大便が排泄された使用済みのパッドを衛生的、かつ簡便に取り外して、パンツを経済的に使用できるものではない。
【0007】
そこで、本開示は、排泄後に吸収性シートを簡便に取り外して、経済的に使用することが可能なパンツ型吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様のパンツ型吸収性物品は、着用時に着用者の股下に位置する股下領域を有し、パンツ型の外形形状を形成する外装体と、互いに積層された状態で前記外装体の前記股下領域に対して固定される複数の吸収性シートと、を備え、前記複数の吸収性シートは、肌側から1枚ずつ取り外し可能である。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第の態様のパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性シートは、肌側の液透過性のトップシートと、非肌側の液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される液透過性のセカンドシートと、前記トップシートと前記セカンドシートとの間に配置される高吸収性ポリマーとを有する。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のパンツ型吸収性物品であって、前記複数の吸収性シートの周縁部は、前記外装体側へ固定されており、前記複数の吸収性シートのうち最も非肌側に位置する最下層の吸収性シートを除く他の吸収性シートには、前記他の吸収性シートの前記周縁部を破断して前記他の吸収性シートを前記外装体側から取り外し可能な開封テープが、前記周縁部に沿って全周域に亘って設けられる。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様のパンツ型吸収性物品であって、前記吸収性シートは、3層以上設けられ、前記他の吸収性シートの前記開封テープの色及び幅の少なくとも一方は、互いに異なっている。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、排泄後に吸収性シートを簡便に取り外して、外装体を経済的に使用することが可能なパンツ型吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るパンツ型吸収性物品の前方からの外観斜視図である。
図2図1のパンツ型吸収性物品を展開した状態の肌側からの平面図である。
図3図2のパンツ型吸収性物品の要部を矢印III方向から視た状態を示す側面図である。
図4】吸収性シートの概略的な断面図である。
図5】吸収性シートの開封テープを開封している状態を示す説明図である。
図6】3枚の吸収性シートを積層した状態を示す変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るパンツ型吸収性物品について説明する。
【0015】
本明細書において、パンツ型吸収性物品の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、パンツ型吸収性物品を身体に装着した状態を意味する。また、「前側」とは、パンツ型吸収性物品を着用したときに着用者の腹側となる方向を意味し、「後側」とは、着用者の背側となる方向を意味する。また、「上側」とは、パンツ型吸収性物品を着用したときに着用者の頭側となる方向を意味し、「下側」とは、着用者の足側となる方向を意味する。また、左右方向とは、前方を向いた状態の着用者から視た左右方向をいう。また、パンツ型吸収性物品の各構成部材の長手方向とは、パンツ型吸収性物品を展開した状態(図2に示す状態)における長手となる方向を意味し、図中の矢印Xに沿った方向である。また、パンツ型吸収性物品の各構成部材の幅方向とは、パンツ型吸収性物品を展開した状態における長手方向と交叉(直交)する方向(左右に沿った方向)をいい、図中の矢印Yに沿った方向を意味する。また、パンツ型吸収性物品の各構成部材の厚み方向とは、各構成部材を積層する方向をいい、図中の矢印Zに沿った方向を意味する。また、「肌側」とは、厚み方向のうちパンツ型吸収性物品を着用したときの着用者の身体に向かう方向を意味し、「非肌側」とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向を意味する。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るパンツ型吸収性物品の前方からの外観斜視図である。図2は、図1のパンツ型吸収性物品を展開した状態の肌側からの平面図である。図3は、図2のパンツ型吸収性物品の要部を矢印III方向から視た状態を示す側面図である。図4は、吸収性シートの概略的な断面図である。図5は、吸収性シートの開封テープを開封している状態を示す説明図である。なお、各図は、パンツ型吸収性物品の構成部材の寸法の大小関係を規定するものではなく、各構成部材の寸法は、パンツ型吸収性物品の用途、使用対象とする着用者の年齢等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。
【0017】
[パンツ型吸収性物品]
図1図3に示すように、本実施形態に係るパンツ型吸収性物品10は、パンツ状の外形形状を構成する外装体20と、外装体20の肌側面に固定される複数の吸収性シート30とを備える。
【0018】
[外装体]
図1及び図2に示すように、外装体20は、パンツ型吸収性物品10の外形形状を構成する部材であり、不織布及び伸縮性部材を積層して形成される。例えば、外装体20は、非肌側の外装不織布シートと、肌側の内装不織布シートと、外装不織布シートと内装不織布シートとの間に介在する複数の弾性伸縮部材とを積層して形成してもよい。外装不織布シート及び内装不織布シートには、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等の不織布、好ましくはエアスルー不織布又はスパンボンド不織布であって、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂からなる不織布を用いることができる。
【0019】
外装体20は、着用時に着用者の腹部の前方に位置する腹側領域21と、着用者の背部の後方に位置する背側領域22と、着用者の股下に位置する股下領域23とを有する。腹側領域21の左右の両端部と背側領域22の左右の両端部とは、互いに接合されて(例えば、超音波接着によって互いに接合されて)左右のサイドシール部24を構成する。
【0020】
図2に示すように、外装体20は、サイドシール部24を接合する前の展開した状態では、左右対称の形状を有する。腹側領域21と背側領域22とは、長手方向に互いに離間した位置に配置され、股下領域23は、腹側領域21と背側領域22との間に位置する。サイドシール部24は、腹側領域21及び背側領域22の幅方向の両端部に設けられて長手方向に沿って延びる。外装体20の股下領域23の肌側面には、複数の吸収性シート30が接合されている。外装体20は、腹側領域21の左右のサイドシール部24と背側領域22の左右のサイドシール部24とを接合することによって、図1に示すように、腹側領域21の左右の両端部と背側領域22の左右の両端部とが連続し、全体としてパンツ型の外形形状を構成する。複数の吸収性シート30は、主として外装体20の股下領域23の肌側に配置されるが、その一部(前後の端部)が外装体20の腹側領域21又は背側領域22にまで延在してもよい。
【0021】
なお、パンツ型吸収性物品10の展開時の長手方向(図2の矢印Xに沿った方向)の寸法Lは、500mm以上900mm以下であることが好ましい。パンツ型吸収性物品10の展開時の幅方向(図2の矢印Yに沿った方向)の寸法Wは、400mm以上1000mm以下であることが好ましい。パンツ型吸収性物品10の展開時の寸法を上記の範囲とすることにより、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ等の各種サイズの成人用のパンツ型吸収性物品を提供することができる。
【0022】
外装体20は、着用時に着用者の胴が内側に挿通するウエスト開口25と、着用者の脚が内側に挿通する左右の脚開口26a,26bとを有する。ウエスト開口25は、腹側領域21及び背側領域22の上端縁によって区画され、周方向に伸縮性を有する。左右の脚開口26a,26bは、股下領域23の左右の両端縁によって区画され、周方向に伸縮性を有する。左右のサイドシール部24は、ウエスト開口25から左右の脚開口26a,26bまで上下方向に延びている。
【0023】
図1及び図2に示すように、腹側領域21及び背側領域22の上端縁部には、ウエスト開口25の周方向に伸縮可能な複数の弾性伸縮部材27が、ウエスト開口25の周方向に沿って設けられる。また、股下領域23の左右の両端縁部には、左右の脚開口26a,26bの周方向に伸縮可能な複数の弾性伸縮部材28が、左右の脚開口26a,26bの周方向に沿って設けられる。各弾性伸縮部材27,28は、外装体20を構成する外装不織布シート及び内装不織布シートに接合されている。弾性伸縮部材27,28としては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等の糸状、紐状、平型形状のものを適宜使用することができる。
【0024】
[吸収性シート]
図2及び図3に示すように、複数の吸収性シート30は、互いに積層された状態で外装体20の股下領域23に対して固定される。本実施形態では、2枚の吸収性シート30a,30bが互いに積層された状態で外装体20の股下領域23に対して固定される。複数の吸収性シート30は、後述するように肌側から1枚ずつ取り外し可能である。
【0025】
図3に示すように、吸収性シート30は、フラッフパルプを含まない吸収性を有するシートである。吸収性シート30は、肌側の液透過性のトップシート31と、非肌側の液不透過性のバックシート32と、トップシート31及びバックシート32の間に配置される液透過性のセカンドシート33と、トップシート31とセカンドシート33との間に配置される高吸収性ポリマー34とを有する。なお、吸収性シート30の構成は、上記に限定されるものではなく、厚みが薄く、積層しても嵩張らない構成であれば、他の構成であってもよい。
【0026】
吸収性シート30の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、矩形状、砂時計状、I字状、長方形の4角が丸まった角丸四角形状、長円状、一方向に長い楕円形状等が挙げられる。また、上記と同様に、各種サイズの成人用のパンツ型吸収性物品を提供することができるようにするために、吸収性シート30の長手方向の寸法は150mm以上600mm以下、幅方向の寸法は50mm以上250mm以下であることが好ましい。
【0027】
(トップシート)
トップシート31は、体液が非肌側(高吸収性ポリマー34側)へと移動するような液透過性を備えたシート状基材である。基材の一例としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートなどが挙げられる。これらの中でも、トップシート31の基材は、エアスルー不織布が好ましい。また、トップシート31には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート31には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0028】
(バックシート)
バックシート32は、高吸収性ポリマー34が保持している体液の非肌側への漏れがないように液不透過性を備えたシート状基材である。基材の一例としては、例えば、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート32には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート32に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート32にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0029】
(セカンドシート)
セカンドシート33は、高吸収性ポリマー34を担持する基体不織布として機能する液透過性を備えたシート状基材である。セカンドシート33は、片側表面が起毛処理されており、セカンドシート33の起毛した部分の繊維間に固着担持された高吸収性ポリマー34を有している。
【0030】
セカンドシート33の基材の一例としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等の不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布を積層した複合不織布(SMMS)などが挙げられる。これらの中でも、セカンドシート33の基材は、エアスルー不織布が好ましい。
【0031】
セカンドシート33及び高吸収性ポリマー34を包むキャリアシート等を有してもよい。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュ、吸収紙、エアレイド不織布などの親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、キャリアシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。また、キャリアシートによる包み方は特に限定されるものではない。
【0032】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー34としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン・アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸・ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン・無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物といった材料から形成されたものを挙げることができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩系が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウム系がより好ましい。高吸収性ポリマー34は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。なお、本実施形態では、高吸収性ポリマー34を、セカンドシート33の起毛した部分の繊維間に固着担持させたが、これに限定されるものではなく、例えば、高吸収性ポリマー34を、トップシート31及びセカンドシート33の双方にホットメルト接着剤等によって固着してもよい。
【0033】
(吸収性シートの固定)
図3に示すように、本実施形態の複数の吸収性シート30は、最も非肌側に位置する最下層の吸収性シート30a(以下、「1層目の吸収性シート30a」という。)と、1層目の吸収性シート30a上に積層される吸収性シート(他の吸収性シート)30b(以下、「2層目の吸収性シート30b」という。)とである。1層目の吸収性シート30aは、その非肌側面(周縁部の非肌側面を含む)が外装体20へ接合又は接着等によって直接的に固定される。2層目の吸収性シート30bは、その周縁部が外装体20へ直接的に、或いは自身よりも下層の吸収性シート(本実施形態では1層目の吸収性シート30a)を介して外装体20側へ間接的に固定される。すなわち、複数の吸収性シート30の周縁部は、外装体20側へ固定される。外装体20側へ固定するとは、外装体20へ直接的に固定することのみならず、他の部材を介して間接的に外装体20へ固定することを含む。
【0034】
図3に示すように、2層目の吸収性シート30bのうち高吸収性ポリマー34を設けている領域よりも外側に、2層目の吸収性シート30bの周縁部を構成する固定シート部35を設け、固定シート部35を外装体20側へ固定してもよい。固定シート部35は、高吸収性ポリマー34を設けている領域よりも外側へ延長したトップシート31又はバックシート32であってもよいし、或いは固定用に設けた固定用の補助シート(図示省略)であってもよい。
【0035】
(開封テープ)
図5に示すように、2層目の吸収性シート30bの周縁部の固定シート部35には、当該周縁部(固定シート部35)を破断して2層目の吸収性シート30bを外装体20側から取り外し可能な開封テープ40が設けられる。開封テープ40は、2層目の吸収性シート30bの固定シート部35を破断するための帯状体であって、2層目の吸収性シート30bの周縁部に沿って全周域に亘って設けられる。すなわち、複数の吸収性シート30のうち最も非肌側に位置する最下層の吸収性シート(1層目の吸収性シート30a)を除く他の吸収性シート(2層目の吸収性シート30b)には、上記他の吸収性シートの周縁部を破断して上記他の吸収性シートを外装体20側から取り外し可能な開封テープ40が、周縁部に沿って全周域に亘って設けられる。例えば、互いに離間して平行な状態で延びる2本のミシン目36a,36bを、2層目の吸収性シート30bの固定シート部35に全周域に亘って設け、2本のミシン目36a,36b間の領域を開封テープ40として機能させてもよい。この場合、開封テープ40の一端部を把持して開封テープ40をミシン目36a,36bに沿って切り離すことによって、固定シート部35が破断され、ミシン目36a,36bよりも内側の2層目の吸収性シート30bを外装体20側から取り外すことができる。なお、開封テープ40の部分に、固定シート部35よりも強度が高いフィルム状のテープ等を一体的に設けてもよい。また、開封テープ40は、周方向に連続する1本の開封テープ40に限定されるものではなく、例えば、各辺に直線状に設けられる4本の開封テープであってもよい。
【0036】
なお、他の吸収性シートは、1枚に限定されるものではなく、2枚以上であってもよい。図6は、3枚の吸収性シートを積層した状態を示す変形例の説明図である。例えば、図6に示すように、複数の吸収性シート30は、1層目の吸収性シート30aと、2層目の吸収性シート30bと、2層目の吸収性シート30b上に積層される吸収性シート(他の吸収性シート)30c(以下、「3層目の吸収性シート30c」という。)とであってもよい。このように吸収性シート30を3層以上設ける場合、2層目の吸収性シート30bの開封テープ40と、3層目の吸収性シート30cの開封テープ40Aの色及び幅の少なくとも一方は、互いに異なっていることが好ましい。なお、図6には、開封テープ40,40Aの色が互いに異なっており、幅が互いに同じである状態が図示されている。また、開封テープ40,40Aの色及び幅は、互いに同じであってもよい。また、図6には、下層から上層へ向かうほど小さくなる吸収性シート30を図示しているが、吸収性シート30同士の大きさはこれに限定されるものではなく、互いに同じ大きさであってもよいし、或いは、下層から上層へ向かうほど大きくなってもよい。
【0037】
(使用方法)
パンツ型吸収性物品10を使用する際には、未使用の複数の吸収性シート30を積層した状態でパンツ型吸収性物品10を着用する。排泄後には、パンツ型吸収性物品10を脱ぎ、最も肌側に位置する吸収性シート30を1枚取り外し、下層に位置する未使用の新しい吸収性シート30を露出させる。本実施形態では、最も肌側に位置する2層目の吸収性シート30bの周縁部に位置する開封テープ40の一端部を把持して引き上げ、固定シート部35を破断して2層目の吸収性シート30bを取り外して、1層目の吸収性シート30aの肌側面を露出させる。そして、パンツ型吸収性物品10を再度着用する。なお、3枚の吸収性シートを積層している場合には、1回目の排泄後には、3層目の吸収性シート30cを取り外してパンツ型吸収性物品10を再度着用し、2回目の排泄後には、2層目の吸収性シート30bを取り外してパンツ型吸収性物品10を再度着用してもよい。
【0038】
上記のように構成されたパンツ型吸収性物品10では、複数の吸収性シート30が互いに積層された状態で外装体20の股下領域23に対して固定され、複数の吸収性シート30は、肌側から1枚ずつ取り外し可能である。このため、上述したように排泄後に吸収性シート30を簡便に取り外すことができる。
【0039】
また、排泄後に上層に位置する吸収性シート30を外装体20側から取り外すという簡単な作業で、下層に位置する未使用の吸収性シート30を露出させることができる。このため、排泄後の使用済みの吸収性シートを取り外して、未使用の吸収性シートを新たに取り付けて交換する場合とは異なり、吸収性シートを交換する手間を省くことができる。これにより、交換作業者(例えば、介護者)の負担を軽減することができる。
【0040】
また、排泄後に吸収性シート30を取り外すことによって、未使用の吸収性シート30を露出させることができるので、使用済みの吸収性シートを取り外して、未使用の吸収性シートに交換する場合とは異なり、新たに使用する吸収性シートの位置決めやズレ等の問題を回避することができる。
【0041】
また、排泄後に吸収性シート30を取り外すことによって、未使用の吸収性シート30を露出させることができるので、外装体20を再度着用して、繰り返し使用することができる。
【0042】
このように、本実施形態によれば、排泄後に吸収性シート30を簡便に取り外して、外装体20を経済的に使用することが可能なパンツ型吸収性物品10を提供することができる。
【0043】
また、吸収性シート30は、トップシート31とバックシート32とセカンドシート33と高吸収性ポリマー34とを有する吸収性シート30である。このように、高吸収性ポリマー34は、フラッフパルプを含まない吸収性シート30であるので、複数枚積層しても嵩張りを抑えることができる。
【0044】
また、複数の吸収性シート30のうち1層目の吸収性シート30aを除く他の吸収性シート(2層目の吸収性シート30bや3層目の吸収性シート30c)には、上記他の吸収性シートの周縁部を破断して上記他の吸収性シートを外装体20側から取り外し可能な開封テープ40が、周縁部に沿って全周域に亘って設けられる。このため、開封テープ40の一端部を把持して引き上げ、上記他の吸収性シートの周縁部を破断することによって、排泄後に吸収性シート30を簡便に取り外すことができる。
【0045】
また、開封テープ40は、上記他の吸収性シートの周縁部に設けられ、開封テープ40の一端部を把持して引き上げることができるので、排泄後の吸収性シート30の汚れた部分に手が触れてしまうことを防止することができ、排泄後の吸収性シート30を衛生的に取り外すことができる。
【0046】
また、吸収性シート30を3層以上設ける場合に、各開封テープ40,40Aの色を互いに異なる色にすることによって、それぞれを識別することが可能となる。これにより、吸収性シート30を取り外す際の開封テープ40の間違えを抑えることができる。また、各開封テープ40,40Aの幅を互いに異なる幅にすることによっても、色を異なる色にする場合と同様に、吸収性シート30を取り外す際の開封テープ40の間違えを抑えることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、1層目の吸収性シート30aを除く他の吸収性シートの周縁部を外装体20側へ固定するとともに、当該周縁部に開封テープ40を設けたが、これに限定されるものではない。例えば、上層に位置する吸収性シートの非肌側面を、下層側に位置する吸収性シート30の肌側面に剥離可能に接着することによって、開封テープ40を設けることなく、複数の吸収性シート30を肌側から1枚ずつ取り外し可能をしてもよい。
【0048】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
10:パンツ型吸収性物品
20:外装体
23:股下領域
30:吸収性シート
30a:1層目の吸収性シート(最下層の吸収性シート)
30b:2層目の吸収性シート(他の吸収性シート)
30c:3層目の吸収性シート(他の吸収性シート)
31:トップシート
32:バックシート
33:セカンドシート
34:高吸収性ポリマー
40,40A:開封テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6