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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135524
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】複合粒子及びその用途
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/02 20060101AFI20240927BHJP
   C09D 127/12 20060101ALI20240927BHJP
   C09D 127/16 20060101ALI20240927BHJP
   C09D 127/18 20060101ALI20240927BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240927BHJP
   C08F 20/32 20060101ALI20240927BHJP
   C08F 2/22 20060101ALI20240927BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B01J13/02
C09D127/12
C09D127/16
C09D127/18
C09D7/65
C08F20/32
C08F2/22
C08J3/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046249
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 悠吾
【テーマコード(参考)】
4F070
4G005
4J011
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4F070AA32
4F070AC34
4F070AC79
4F070DA33
4F070DB09
4F070DC11
4F070DC13
4G005AA01
4G005AB13
4G005DC29Z
4G005DC34Z
4G005DD75Y
4G005DD75Z
4G005EA06
4G005EA08
4J011AA05
4J011KA02
4J011KB08
4J011KB13
4J011KB29
4J038CD091
4J038CD111
4J038CD121
4J038KA09
4J038MA04
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA01
4J100AL08Q
4J100AL10P
4J100BA77Q
4J100CA04
4J100CA29
4J100DA11
4J100EA12
4J100FA02
4J100FA03
4J100FA04
4J100FA20
4J100JA32
4J100JA43
4J100JA67
(57)【要約】
【課題】シェルにおけるピンホールの発生を抑制でき、且つ、変形による中空部のつぶれを防止し得る複合粒子を提供する。
【解決手段】中空粒子と、含フッ素化合物と含有し、該中空粒子が、シェルと、該シェルで囲まれた中空部とを有し、該含フッ素化合物が、該中空粒子の表面に付着している、複合粒子。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空粒子と、含フッ素化合物と含有し、
前記中空粒子が、シェルと、該シェルで囲まれた中空部とを有し、
前記含フッ素化合物が、前記中空粒子の表面に付着している、
複合粒子。
【請求項2】
前記含フッ素化合物が、(パー)フルオロアルキル化合物、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
前記シェルが、(メタ)アクリル系樹脂を含有する、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系樹脂が、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する重合体及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する重合体を含む、請求項3に記載の複合粒子。
【請求項5】
前記シェルの密度が、1.31~1.45である、請求項1に記載の複合粒子。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、分散液。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、コーティング剤。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、断熱フィルム。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、反射防止膜。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、光取り出し膜。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、低誘電率膜。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、感光性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合粒子及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
内部に空隙を有する粒子は、その空隙に各種の物質を内蔵させることによりマイクロカプセル粒子として使用されている。また、内部に空隙を有する粒子は、中空粒子とも称され、光散乱材料、低反射材料、断熱材料、低誘電率材料等として使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、水系溶媒中でラジカル反応性単量体と、該単量体の重合体に対して相溶性の低い疎水性の有機溶媒とを含む油滴を調製した後、重合させることにより得られる中空粒子が記載されている。
【0004】
また、特許文献3、特許文献4及び特許文献5には、シェルがフッ素原子を有する単量体から形成される中空粒子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開2002-80503号公報
【特許文献2】日本国特開2005-215315号公報
【特許文献3】日本国特開2005-213366号公報
【特許文献4】日本国特開2020-183500号公報
【特許文献5】国際公開第2005/097870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載の中空粒子は、疎水性の有機溶媒中で析出した重合体が積層してシェルが形成されるため、シェル表面から中空部に貫通している細孔(ピンホール)が発生しやすい。
【0007】
特許文献3、特許文献4及び特許文献5に記載の中空粒子は、シェルがフッ素原子を有する単量体から形成されているため、シェルの機械的強度が低下しやすく、中空部を大きくすると潰れた形状の粒子が発生することがある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、シェルにおけるピンホールの発生を抑制でき、且つ、変形による中空部のつぶれを防止し得る複合粒子及びその用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、中空粒子と含フッ素化合物とを含有する所望の粒子を開発することに成功し、該粒子を使用することにより上記目的を達成できることを見出した。本発明は、さらに研究を重ね、完成させたものである。
【0010】
本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.中空粒子と、含フッ素化合物と含有し、
前記中空粒子が、シェルと、該シェルで囲まれた中空部とを有し、
前記含フッ素化合物が、前記中空粒子の表面に付着している、
複合粒子。
項2.
前記含フッ素化合物が、(パー)フルオロアルキル化合物、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも一種である、項1に記載の複合粒子。
項3.前記シェルが、(メタ)アクリル系樹脂を含有する、項1又は2に記載の複合粒子。
項4.前記(メタ)アクリル系樹脂が、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する重合体及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する重合体を含む、項3に記載の複合粒子。
項5.前記シェルの密度が、1.31~1.45である、項1~4のいずれか一項に記載の複合粒子。
項6.項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、分散液。
項7.項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、コーティング剤。
項8.項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、断熱フィルム。
項9.項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、反射防止膜。
項10.項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、光取り出し膜。
項11.項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、低誘電率膜。
項12.項1~5のいずれか一項に記載の複合粒子を含む、感光性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の複合粒子は、シェルにおけるピンホールの発生を抑制でき、且つ、変形による中空部のつぶれを防止することができる。本発明の複合粒子は、このような優れた特性を有することから、分散液、コーティング剤、断熱フィルム、反射防止膜、光取り出し膜、低誘電率膜、感光性樹脂組成物等の多方面の用途に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態及び具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本明細書において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0014】
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値又は実施例から一義的に導き出せる値に置き換えてもよい。更に、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
【0015】
本明細書において、「A及び/又はB」とは、「A及びBの一方」又は「A及びBの両方」を意味し、具体的には、「A」、「B」、又は「A及びB」を意味する。
【0016】
本明細書において、室温とは、20℃~25℃の範囲内の温度を意味する。
【0017】
本明細書において、「(パー)フルオロアルキル化合物」とは、「(パー)フルオロアルキル基含有化合物」を意味する。
【0018】
本明細書において、「(パー)フルオロアルキル基」とは、「パーフルオロアルキル基」又は「フルオロアルキル基」を意味する。
【0019】
本明細書において、「パーフルオロアルキル基」とは、アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換された基を意味する。
【0020】
本明細書において、「フルオロアルキル基」とは、アルキル基の一部の水素原子がフッ素原子で置換された基を意味し、上記パーフルオロアルキル基を包含しない。
【0021】
本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0022】
<複合粒子>
本発明の複合粒子は、以下の構成(1)乃至(3)を備えている:
(1)中空粒子と含フッ素化合物と含有する。
(2)中空粒子が、シェルと該シェルで囲まれた中空部とを有する。
(3)含フッ素化合物が、中空粒子の表面に付着している。
【0023】
本発明の複合粒子は、上述した構成(1)乃至(3)を備えていることにより、
シェルにおけるピンホールの発生を抑制でき、且つ、変形による中空部のつぶれを防止することができる。ここで、「変形による中空部のつぶれを防止」とは、複合粒子が真球を維持していることを意味する。
【0024】
本発明の複合粒子は、実質的に中空粒子及び含フッ素化合物からなることが好ましい。ここで、「実質的に中空粒子及び含フッ素化合物からなる」とは、中空粒子及び含フッ素化合物以外に、他の化合物が本発明の効果を損なわない範囲で微量含まれることを意味する。例えば、中空粒子及び含フッ素化合物以外に、不可避的不純物が混入している場合は、「実質的に中空粒子及び含フッ素化合物からなる」ことを意味する。
【0025】
本発明の複合粒子は、中空粒子及び含フッ素化合物のみからなることが特に好ましい。
【0026】
本発明の複合粒子は、中空粒子の表面に含フッ素化合物が付着している。本発明の複合粒子は、中空粒子の表面の少なくとも一部が、含フッ素化合物で被覆されている、ことが好ましい。言い換えれば、本発明の複合粒子は、中空粒子の表面の少なくとも一部が、含フッ素化合物で被覆処理されている、ことが好ましい。
【0027】
本発明において、中空粒子の表面の少なくとも一部が、含フッ素化合物からなる層で被覆されていることがより好ましい。
【0028】
本発明において、中空粒子の表面の全部が含フッ素化合物で被覆されているとは、中空粒子の表面の100%が含フッ素化合物で被覆されていることをいう。
【0029】
本発明において、中空粒子の表面の一部が含フッ素化合物で被覆されているとは、中空粒子の表面の通常1%以上100%未満が含フッ素化合物で被覆されていることをいう。
【0030】
上記「中空粒子の表面の一部」の下限は、通常1%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、より一層好ましくは60%、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。
【0031】
上記「中空粒子の表面の一部」の上限は、特に限定されないが、通常100%未満であり、99.9%以下でもよく、99.5%以下でもよく、99%以下でもよく、95%以下でもよい。
【0032】
本発明の一実施形態として、中空粒子の表面に、含フッ素化合物が静電的相互作用、ファンデルワールス力、化学結合等を介して付着していることが好ましい。化学結合としては、特に限定されず、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、キレート結合、水素結合等が挙げられる。
【0033】
本発明の一実施形態として、中空粒子の表面に、含フッ素化合物が静電的相互作用を介して付着していることがより好ましい。
【0034】
本発明の一実施形態として、中空粒子の表面の少なくとも一部が、静電的相互作用、ファンデルワールス力、化学結合等を介して、含フッ素化合物で被覆されていることが好ましい。ここで、化学結合としては、特に限定されず、例えば、共有結合、イオン結合、配位結合、キレート結合、水素結合等が挙げられる。
【0035】
本発明の一実施形態として、中空粒子の表面の少なくとも一部が、静電的相互作用を介して、含フッ素化合物で被覆されていることがより好ましい。
【0036】
本発明において、中空粒子と含フッ素化合物との質量比(中空粒子の質量:含フッ素化合物の質量)は、好ましくは100:4~100:58、より好ましくは100:6~100:56、より一層好ましくは100:8~100:54、更に好ましくは100:10~100:52、特に好ましくは100:12~100:50である。
【0037】
本発明において、複合粒子100質量%中、含フッ素化合物の含有量は、好ましくは2質量%以上36質量%以下、より好ましくは4質量%以上34質量%以下、より一層好ましくは6質量%以上32質量%以下、更に好ましくは8質量%以上30質量%以下である。
【0038】
<中空粒子>
本発明の複合粒子は、中空粒子を含有する。該中空粒子は、シェルと、該シェルで囲まれた中空部とを有する。本発明の複合粒子は、シェルで中空部が包囲された構造を有する中空粒子を含有する。本発明の複合粒子は、中空粒子内部が空洞構造を有している点に特徴がある。
【0039】
本発明において、中空粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm~150nm、より好ましくは30nm~120nmである。中空粒子の平均粒子径が10nm以上であれば、中空粒子を含む複合粒子同士の凝集をより抑制することができ、取扱い性がより向上する。中空粒子の平均粒子径が150nm以下であれば、中空粒子を含む複合粒子をコーティング剤、樹脂等と混練した際に、表面の凹凸又は粒子界面での散乱をより抑制することができる。
【0040】
本発明において、中空粒子の平均粒子径の下限値は、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm及び70nmの値をとり得る。本発明において、中空粒子の平均粒子径の上限値は、150nm、140nm、130nm、120nm、110nm、100nm及び90nmの値をとり得る。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
【0041】
本発明において、中空粒子の中空率は、好ましくは10~90体積%、より好ましくは15~80体積%、より一層好ましくは20~70体積%である。
【0042】
本発明において、中空粒子の中空率の下限値は、10体積%、15体積%、20体積%、25体積%、30体積%、32体積%、34体積%、36体積%、38体積%及び40体積%の値をとり得る。本発明において、中空粒子の中空率の上限値は、90体積%、80体積%、70体積%、60体積%、55体積%及び50体積%値をとり得る。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
【0043】
本発明において、シェルは、少なくとも一つ以上の層からなることが好ましい。本発明において、シェルが少なくとも一つ以上の層からなる場合、シェルを構成する層は、一つからなっていてもよく、二つ以上の複数層(例えば、二つの層、三つの層、四つの層等)からなっていてもよい。
【0044】
本発明において、シェルは、(メタ)アクリル系樹脂を含有することが好ましい。本発明において、シェルは、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリル系樹脂を含有することがより好ましい。
【0045】
本発明において、中空粒子は、少なくとも一つ以上の層からなるシェルを有し、該少なくとも一つ以上の層は、(メタ)アクリル系樹脂を含有することが好ましい。本発明において、中空粒子は、少なくとも一つ以上の層からなるシェルを有し、該少なくとも一つ以上の層は、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリル系樹脂を含有することがより好ましい。
【0046】
本発明において、中空粒子は、少なくとも一つ以上の層からなるシェルを有し、該少なくとも一つ以上の層は、(メタ)アクリル系樹脂から構成されることがより好ましい。本発明において、中空粒子は、少なくとも一つ以上の層からなるシェルを有し、該少なくとも一つ以上の層は、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリル系樹脂から構成されることがより一層好ましい。
【0047】
本発明の一実施形態として、シェル全体が、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリル系樹脂から構成されていることが好ましい。
【0048】
本発明の別の実施形態として、シェル100質量%中、フッ素原子を含有しない(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より一層好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。
【0049】
<(メタ)アクリル系樹脂>
上記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系反応性単量体を反応させることにより得られる重合体である。上記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系反応性単量体を反応させることにより得られる重合体に対して、更に架橋性単量体を添加して反応させることにより得られる架橋構造を有する重合体(「架橋重合体」とも称する)であることが好ましい。
【0050】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する重合体及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する重合体を含むことが好ましい。言い換えれば、(メタ)アクリル系樹脂は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する構成単位を含有する重合体及び/又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する構成単位を含有する重合体を含むことが好ましい。
【0051】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する重合体を含むことがより好ましい。言い換えれば、(メタ)アクリル系樹脂は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する構成単位を含有する重合体を含むことがより好ましい。
【0052】
上記エポキシ基又はオキセタン基は、アミノ基、カルボキシ基、クロロスルホン基、メルカプト基、水酸基、イソシアナート基等を有する化合物と反応して重合体を生成する官能基である。
【0053】
(メタ)アクリル系反応性単量体がエポキシ基又はオキセタン基を有することにより、エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体をラジカル重合した後に、更にエポキシ基又はオキセタン基を架橋性単量体と反応させることにより、架橋構造を有する重合体(架橋重合体)を製造することができる。
【0054】
本発明において、シェルは、(メタ)アクリル系樹脂を含有し、該(メタ)アクリル系樹脂は、シリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する重合体を含むことが好ましい。言い換えれば、本発明において、シェルは、(メタ)アクリル系樹脂を含有し、該(メタ)アクリル系樹脂は、シリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する構成単位を含有する重合体を含むことが好ましい。
【0055】
(メタ)アクリル系反応性単量体がシリル基を有する場合、シリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体をラジカル重合した後に、更にシリル基を架橋性単量体と反応させることにより、架橋構造を有する重合体(架橋重合体)を製造することができる。
【0056】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体と、シリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体とからなる共重合体を構成成分とする重合体を含むことが好ましい。当該共重合体において、エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体単位と、シリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体単位との割合(質量比)は、前者:後者=1:100~1:0.001までの範囲であることが好ましい。このような割合の範囲内であれば、シェルの強度がより一層高い中空粒子を含む複合粒子を得ることができるため、光学散乱材料、低反射材料等に使用した際に、所望の特性(光散乱性、低屈折率性等)を得ることができる。
【0057】
上記共重合体において、エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体単位と、シリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体単位とのより好ましい割合(質量比)は、前者:後者=1:10から1:0.001までの範囲であり、より一層好ましい割合(質量比)は、前者:後者=1:1から1:0.01までの範囲である。
【0058】
上記(メタ)アクリル系樹脂において、エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体と、シリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体との含有割合の合計は、(メタ)アクリル系反応性単量体に由来する成分全体の10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がより一層好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
【0059】
エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体の含有量は、エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体とシリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体との合計100質量部に対して、50質量部~90質量部であることが好ましく、55~88質量部であることがより好ましく、60~85質量部であることがより好ましい。
【0060】
エポキシ基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体の含有量は、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体とシリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体との合計100質量部に対して、50質量部~90質量部であることが好ましく、55~88質量部であることがより好ましく、60~85質量部であることがより好ましい。
【0061】
本発明において、中空粒子のシェルが(メタ)アクリル系樹脂を含有する場合、該(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、中空粒子のシェル100質量部に対して、5~100質量部であることが好ましく、10~100質量部であることがより好ましく、50~100質量部であることがより一層好ましく、75~100質量部であることが更に好ましく、90~100質量部であることが特に好ましく、99~100質量部であることが最も好ましい。(メタ)アクリル系樹脂の含有量が、中空粒子のシェル100質量部に対して、5質量部以上である場合、断熱塗料作製のために用いられる有機系のバインダーへの分散性がより向上し、塗膜の白化をより一層防止することができる。
【0062】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、窒素原子を含有する架橋性単量体に由来する重合体(窒素原子を含有する架橋性単量体に由来する構成単位を含有する重合体)を含むことが好ましい。上記(メタ)アクリル系樹脂は、上記(メタ)アクリル系反応性単量体を重合して得た重合体を、更に、窒素原子を含有する架橋性単量体によって架橋することで、窒素原子を有する架橋重合体となる。
【0063】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、アミン化合物に由来する重合体(アミン化合物に由来する構成単位を含有する重合体)を含むことがより好ましい。
【0064】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、脂肪族アミン化合物又は複素環式アミン化合物に由来する重合体(脂肪族アミン化合物又は複素環式アミン化合物に由来する構成単位を含有する重合体)を含むことがより一層好ましい。
【0065】
上記(メタ)アクリル系樹脂は、脂肪族アミン化合物に由来する重合体(脂肪族アミン化合物に由来する構成単位を含有する重合体)を含むことがより一層好ましい。
【0066】
上記(メタ)アクリル系樹脂がアミン化合物に由来する重合体を含む場合、該アミン化合物の含有量は、中空粒子の耐熱性及び機械的強度を向上させる点から、(メタ)アクリル系反応性単量体の合計100質量部に対して、通常1質量部~75質量部、好ましくは5~70質量部、より好ましくは10~65質量部、より一層好ましくは15~60質量部、更に好ましくは20~55質量部、特に好ましくは22~50質量部である。該アミン化合物は、好ましくは脂肪族アミン化合物又は複素環式アミン化合物、より好ましくは脂肪族アミン化合物である。
【0067】
<(メタ)アクリル系反応性単量体>
(メタ)アクリル系反応性単量体は、(メタ)アクリル系反応性官能基を有する。上記(メタ)アクリル系反応性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1~25のアルコールとのエステル等が挙げられる。
【0068】
(メタ)アクリル酸と炭素数1~25のアルコールとのエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、iso-デシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アクリル酸テトラデシ、メタクリル酸テトラデシル、iso-ステアリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのエステルは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
上記(メタ)アクリル系反応性単量体は、(メタ)アクリル系反応性官能基と非(メタ)アクリル系反応性官能基とを有する反応性単量体であることが好ましい。(メタ)アクリル系反応性官能基と非(メタ)アクリル系反応性官能基とを有する反応性単量体を、両官能基のいずれか一方に基づいて重合させることにより重合体粒子を作製することができる。この重合体粒子に残存する他方の官能基と架橋性単量体とを反応させることにより、この重合体粒子は架橋構造を有する重合体(架橋重合体)となる。
【0070】
上記のように架橋させる前に、非反応性溶媒を、予め反応性単量体と混合するか、重合体粒子作製後に吸収させることにより重合体粒子中に含有させ、その後に架上記架橋反応を行うことにより、この重合体と非反応性溶媒とが相分離し、非反応性溶媒を内包したマイクロカプセル粒子が得られる。この後、非反応性溶媒を除去することで中空粒子が得られる。
【0071】
上記(メタ)アクリル系反応性単量体は、エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体であることが好ましい。エポキシ基又はオキセタン基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、グリシジル(メタ)アクリレートは、グリシジルメタクリレート(メタクリル酸グリシジル)及びグリシジルアクリレート(アクリル酸グリシジル)を意味する。
【0072】
上記(メタ)アクリル系反応性単量体は、シリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体であることが好ましい。シリル基を有する(メタ)アクリル系反応性単量体としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
<架橋性単量体>
上記架橋性単量体は、窒素原子を含有する架橋性単量体が好ましい。窒素原子を含有する架橋性単量体としては、アミン化合物が好ましい。
【0074】
上記アミン化合物は、好ましくは脂肪族アミン化合物及び/又は複素環式アミン化合物であり、より好ましくは脂肪族アミン化合物である。
【0075】
<脂肪族アミン化合物>
上記脂肪族アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、3,3’-ジアミノジプロピルアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、トリエタノールアミン、ジメチルアミノヘキサノール、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキシスピロ(5,5)ウンデカンアダクト等が挙げられる。これらの脂肪族アミン化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0076】
本発明において、脂肪族アミン化合物としては、エチレンジアミンが好ましい。
【0077】
<複素環式アミン化合物>
上記複素環式アミン化合物としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、N-メチルピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-アミノエチルピペラジン、N,N’,N’-トリメチルアミノエチルピペラジン、モルホリン、メチルモルホリン、エチルモルホリン、キヌクリジン(1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン)、トリエチレンジアミン(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)、ピロール、ピラゾール、ピリジン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)-1,3,5-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、3-メチルイミダゾール、4-メチルイミダゾール、5-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、3-エチルイミダゾール、4-エチルイミダゾール、5-エチルイミダゾール、1-n-プロピルイミダゾール、2-n-プロピルイミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-n-ブチルイミダゾール、2-n-ブチルイミダゾール、1-イソブチルイミダゾール、2-イソブチルイミダゾール、2-ウンデシル-1H-イミダゾール、2-ヘプタデシル-1H-イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1,3-ジメチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、2-フェニル-1H-イミダゾール、4-メチル-2-フェニル-1H-イミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール塩酸塩等が挙げられる。これらの複素環式アミン化合物は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
本発明において、複素環式アミン化合物としては、N-アミノエチルピペラジンが好ましい。
【0079】
<含フッ素化合物>
本発明の複合粒子は、含フッ素化合物が中空粒子の表面に付着している。本発明の複合粒子は、含フッ素化合物で処理された表面を有する、ことが好ましい。言い換えれば、本発明の複合粒子は、含フッ素化合物によって中空粒子の表面が処理されている、ことが好ましい。含フッ素化合物によって中空粒子の表面を処理することで、有機溶媒中での分散性がより一層向上し、且つ、バインダーが中空粒子の中空部により一層侵入しにくくなるという性質を複合粒子に付与することができる。
【0080】
本発明において、含フッ素化合物は、好ましくは、(パー)フルオロアルキル化合物、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体からなる群より選択される少なくとも一種である。
【0081】
本発明において、含フッ素化合物は、より好ましくは、(パー)フルオロアルキル化合物である。
【0082】
<(パー)フルオロアルキル化合物>
本発明において、(パー)フルオロアルキル化合物は、好ましくは、(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル及びその塩、(パー)フルオロアルキル基含有スルホン酸及びその塩、(パー)フルオロアルキル基含有カルボン酸及びその塩、(パー)フルオロアルキルアルコール、(パー)フルオロアルキルアルキレンオキシド付加物、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル並びにフルオロアルキル基含有シラン化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物である。
【0083】
本発明において、(パー)フルオロアルキル化合物は、より好ましくは、(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル及びその塩、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル並びにフルオロアルキル基含有シラン化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物である。
【0084】
本発明において、(パー)フルオロアルキル化合物は、より一層好ましくは、(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル、(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル及びフルオロアルキル基含有シラン化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物である。
【0085】
<(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル及びその塩>
本発明において、(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステルの塩としては、例えば、(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステルの金属塩、(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステルのアンモニウム塩等が挙げられる。
【0086】
本発明において、(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル及びその塩は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0087】
上記金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
【0088】
上記(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル及びその塩は、好ましくは、炭素数1~20(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20)の直鎖若しく分岐鎖状の(パー)フルオロアルキル基を有する。
【0089】
上記(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル及びその塩は、より好ましくは、炭素数1~15(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15)の直鎖若しく分岐鎖状の(パー)フルオロアルキル基を有する。
【0090】
上記(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル及びその塩は、より一層好ましくは、炭素数1~12(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12)の直鎖若しく分岐鎖状の(パー)フルオロアルキル基を有する。
【0091】
上記(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル及びその塩は、更に好ましくは、Rは炭素数1~10(1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の直鎖若しく分岐鎖状の(パー)フルオロアルキル基を有する。
【0092】
<(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル>
上記(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステルは、例えば、
(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、
(メタ)アクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル(2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート又は2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート)、
(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、
(メタ)アクリル酸3,3,3-トリフルオロプロピル、
(メタ)アクリル酸パーフルオロ-n-プロピル、
(メタ)アクリル酸4,4,4-トリフルオロブチル、
(メタ)アクリル酸パーフルオロ-n-ブチル、
(メタ)アクリル酸パーフルオロ-n-ペンチル、
(メタ)アクリル酸パーフルオロ-n-ヘキシル、
(メタ)アクリル酸パーフルオロ-n-ヘプチル、
(メタ)アクリル酸パーフルオロ-n-オクチル、
(メタ)アクリル酸パーフルオロ-n-ノニル、
(メタ)アクリル酸パーフルオロ-n-デシル、
(メタ)アクリル酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、
(メタ)アクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル、
(メタ)アクリル酸2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル、
(メタ)アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル
(メタ)アクリル酸2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチル
(メタ)アクリル酸3-パーフルオロヘキシル-2-ヒドロキシプロピル、
(メタ)アクリル酸ペンタフルオロフェニル等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステルは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0093】
上記(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステルは、好ましくは、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル及び(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルからなる群より選択される少なくとも一種の化合物である。
【0094】
<フルオロアルキル基含有シラン化合物>
上記フルオロアルキル基含有シラン化合物は、好ましくは、下記式(1)で表される化合物である、
-(CH)n-Si-(OR 式(1)
[式中、Rは炭素数1~6(1、2、3、4、5又は6)の直鎖若しくは分岐鎖状の(パー)フルオロアルキル基を示す。
は炭素数1~4(1、2、3又は4)の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基を示す。
nは0~4(0、1、2、3又は4)の整数を示す。]
【0095】
上記式(1)において、Rで示される炭素数1~6(1、2、3、4、5又は6)の直鎖若しくは分岐鎖状の(パー)フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、(パー)フルオロエチル基、(パー)フルオロ-n-プロピル基、(パー)フルオロイソプロピル基、(パー)フルオロ-n-ブチル基、(パー)フルオロイソブチル基、(パー)フルオロ-sec-ブチル基、(パー)フルオロ-tert-ブチル基、(パー)フルオロ-n-ペンチル基、(パー)フルオロ-1,1-ジメチルプロピル基、(パー)フルオロ-1,2-ジメチルプロピル基、(パー)フルオロ-1-メチルブチル基、(パー)フルオロ-2-メチルブチル基、(パー)フルオロ-3-メチルブチル基、(パー)フルオロ-n-ヘキシル基、(パー)フルオロ-1-メチルペンチル基、(パー)フルオロ-2-メチルペンチル基、(パー)フルオロ-3-メチルペンチル基、(パー)フルオロイソヘキシル基、(パー)フルオロ-1,1-ジメチルブチル基、(パー)フルオロ-1,2-ジメチルブチル基、(パー)フルオロ-2,2-ジメチルブチル基、(パー)フルオロ-1,3-ジメチルブチル基、(パー)フルオロ-2,3-ジメチルブチル基、(パー)フルオロ-3,3-ジメチルブチル基、(パー)フルオロ-1-エチルブチル基、(パー)フルオロ-2-エチルブチル基、(パー)フルオロ-1,1,2-トリメチルプロピル基、(パー)フルオロ-1,2,2-トリメチルプロピル基、(パー)フルオロ-1-エチル-1-メチルプロピル基、(パー)フルオロ-1-エチル-2-メチルプロピル基等が挙げられる。ここで、「(パー)フルオロ」とは、パーフルオロ又はフルオロを意味する。
【0096】
上記式(1)において、Rは炭素数1~6(1、2、3、4、5又は6)の直鎖状の(パー)フルオロアルキル基であることが好ましい。
【0097】
上記炭素数1~6(1、2、3、4、5又は6)の直鎖状の(パー)フルオロアルキル基は、トリフルオロメチル基、(パー)フルオロエチル基、(パー)フルオロ-n-プロピル基、(パー)フルオロ-n-ブチル基、(パー)フルオロ-n-ペンチル基又は(パー)フルオロ-n-ヘキシル基である。ここで、「(パー)フルオロ」とは、パーフルオロ又はフルオロを意味する。
【0098】
上記式(1)において、Rで示される炭素数1~4(1、2、3又は4)の直鎖若しくは分岐鎖状のアルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基又はtert-ブチル基である。
【0099】
上記式(1)において、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基がより一層好ましい。
【0100】
上記式(1)において、nは、好ましくは0、1、2又は3、より好ましくは0、1又は2、より一層好ましくは1又は2である。
【0101】
本発明において、フルオロアルキル基含有シラン化合物は、トリメトキシ(3,3,3-トリフルオロプロピル)シラン及び下記式(2)で表されるシラン系カップリング剤を含まないのも好適な一つの態様である。
【化1】
(式中、Rは、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~4のアルコキシアルキル基又はフェニル基を示す。
は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~4のアルコキシアルキル基又はフェニル基を示す。
は、炭素数1~30の2価の有機基を示す。
は、水素原子又はメチル基を示す。
mは、0~2の整数を示す。
及びRで示される炭素数1~6のアルキル基の置換基、R及びRで示される炭素数2~4のアルコキシアルキル基の置換基、並びにR及びRで示されるフェニル基の置換基は、それぞれフッ素原子を示す。)
【0102】
上記式(2)において、R及びRで示される炭素数1~6のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基又はn-ヘキシル基等が挙げられる。
【0103】
上記式(2)において、R及びRで示される炭素数2~4のアルコキシアルキル基は、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、メトキシブチル基、エトキシエチル基、ブトキシメチル基又はこれらの構造異性体等が挙げられる。
【0104】
上記式(2)において、Rで示される炭素数1~30の2価の有機基としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、デカメチレン、ウンデカメチレン、ドデカメチレン、トリデカメチレン、テトラデカメチレン等のアルカンジイル基が挙げられる。該アルカンジイル基は、アルキル基で置換された分岐構造を有していてもよい。
【0105】
<(パー)フルオロアルキル基含有スルホン酸及びその塩>
上記(パー)フルオロアルキル基含有スルホン酸及びその塩としては、例えば、
(パー)フルオロメタンスルホン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロエタンスルホン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-プロパンスルホン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-ブタンスルホン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-ペンタンスルホン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-ヘキサンスルホン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-ヘプタンスルホン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-オクタンスルホン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩等を挙げることができる。ここで、「(パー)フルオロ」とは、パーフルオロ又はフルオロを意味する。
これらの(パー)フルオロアルキル基含有スルホン酸及びその塩は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0106】
上記金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
【0107】
<(パー)フルオロアルキル基含有カルボン酸及びその塩>
上記(パー)フルオロアルキル基含有カルボン酸及びその塩としては、
(パー)フルオロメタンカルボン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロエタンカルボン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-プロパンカルボン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-ブタンカルボン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-ペンタンカルボン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-ヘキサンカルボン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-ヘプタンカルボン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩、
(パー)フルオロ-n-オクタンスルホン酸及びその金属塩又はアンモニウム塩等を挙げることができる。ここで、「(パー)フルオロ」とは、パーフルオロ又はフルオロを意味する。これらの(パー)フルオロアルキル基含有カルボン酸及びその塩は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0108】
上記金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
【0109】
<(パー)フルオロアルキルアルコール>
上記(パー)フルオロアルキルアルコールは、好ましくは、炭素数1以上14以下の直鎖若しくは分岐鎖状の(パー)フルオロアルキル基を有するアルコールである。
【0110】
(パー)フルオロアルキルアルコールとしては、例えば、
2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール、1H,1H-ヘプタフルオロブタノール、2-((パー)フルオロブチル)エタノール、2-((パー)フルオロヘキシル)エタノール、2-((パー)フルオロオクチル)エタノール、2-((パー)フルオロデシル)エタノール、2-((パー)フルオロ-3-メチルブチル)エタノール、2-((パー)フルオロ-5-メチルヘキシル)エタノール、2-((パー)フルオロ-7-メチルオクチル)エタノール、2-((パー)フルオロ-9-メチルデシル)エタノール、1H,1H,3H-テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H-オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプタノール、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノナノール、2H-ヘキサフルオロ-2-プロパノール、1H,1H,3H-ヘキサフルオロブタノール、2,2-ビス(トリフルオロメチル)プロパノール、2,2-ビス(トリフルオロメチル)-2-ヘプタフルオロプロピルエタノール、6-((パー)フルオロエチル)ヘキサノール、6-((パー)フルオロブチル)ヘキサノール、3-((パー)フルオロヘキシル)プロパノール、6-((パー)フルオロヘキシル)ヘキサノール、3-((パー)フルオロオクチル)-1-プロパノール、6-((パー)フルオロオクチル)ヘキサノール、6-((パー)フルオロ-1-メチルエチル)ヘキサノール、6-((パー)フルオロ-3-メチルブチル)ヘキサノール、6-((パー)フルオロ-5-メチルヘキシル)ヘキサノール、6-((パー)フルオロ-7-メチルオクチル)ヘキサノール等が挙げられる。ここで、「(パー)フルオロ」とは、パーフルオロ又はフルオロを意味する。これらの(パー)フルオロアルキルアルコールは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0111】
<(パー)フルオロアルキルアルキレンオキシド付加物>
上記(パー)フルオロアルキルアルキレンオキシド付加物は、(パー)フルオロアルキルエチレンオキシド付加物が好ましい。
【0112】
<(パー)フルオロアルキル化合物の市販品>
(パー)フルオロアルキル化合物としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、メガファックF-114、メガファックF-251、メガファックF-253、メガファックF-281、メガファックF-410、メガファックF-430、メガファックF-444、メガファックF-477、メガファックF-510、メガファックF-551、メガファックF-552、メガファックF-553、メガファックF-554、メガファックF-555、メガファックF-556、メガファックF-557、メガファックF-558、メガファックF-559、メガファックF-560、メガファックF-561、メガファックF-562、メガファックF-563、メガファックF-565、メガファックF-568、メガファックF-569、メガファックF-570、メガファックF-572、メガファックF-574、メガファックF-575、メガファックF-576、メガファックR-40、メガファックR-40-LM、メガファックR-41、メガファックR-94、メガファックRS-56、メガファックRS-72-K、メガファックRS-75、メガファックRS-76-E、メガファックRS-76-NS、メガファックRS-78、メガファックRS-90、メガファックDS-21(以上、DIC株式会社製)、FC-4430、FC-4432(以上、スリーエムジャパン株式会社製)、サーフロンS-211、サーフロンS-221、サーフロンS-231、サーフロンS-232、サーフロンS-233、サーフロンS-241、サーフロンS-242、サーフロンS-243、サーフロンS-420、サーフロンS-431、サーフロンS-386、サーフロンS-611、サーフロンS-647、サーフロンS-651、サーフロンS-653、サーフロンS-656、サーフロンS-658、サーフロンS-693、サーフロンS-CFJ、サーフロンFPE-50(以上、AGCセイミケミカル社製)等が挙げられる。これらの市販品は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0113】
<ポリフッ化ビニリデン>
上記ポリフッ化ビニリデンとしては、例えば、フッ化ビニリデンホモポリマー(フッ化ビニリデンの単独重合体)、フッ化ビニリデンの比率が50モル%以上であるフッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。該フッ化ビニリデン共重合体としては、例えば、フッ化ビニリデンと、テトラフルオロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、トリフロロエチレン、トリクロロエチレン及びフッ化ビニルからなる群より選択される少なくとも一種以上との共重合体等が挙げられる。
【0114】
上記ポリフッ化ビニリデンは、フッ化ビニリデンホモポリマーが好ましい。
【0115】
上記ポリフッ化ビニリデンとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、アルケマ社製「Kynar720(フッ化ビニリデンの含有率:100質量%)、「Kynar710(フッ化ビニリデンの含有率:100質量%);株式会社クレハ製の「KFT#850(フッ化ビニリデンの含有率:100質量%)」;ソルベイスペシャリティポリマーズ社製の「Solef1006(フッ化ビニリデンの含有率:100質量%)」、「Solef1008(フッ化ビニリデンの含有率:100質量%)」等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0116】
<ポリテトラフルオロエチレン>
上記ポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフロロアルコキシ基共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-オレフィン共重合体(ETFE)等が挙げられる。これらのポリテトラフルオロエチレンは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0117】
上記ポリテトラフルオロエチレンとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、ダイキン工業株式会社製「ポリフロンPTFE」、三井・ケマーズフロロプロダクツ社製「テフロン(登録商標)PTFE」、AGC株式会社製「フルオン(登録商標)PTFE」等が挙げられる。これらの市販品は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0118】
<エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体>
上記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体としては、エチレン単位とテトラフルオロエチレン単位とのモル比が、5:95~80:20の範囲にあるものが好ましい。
【0119】
上記エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、ダイキン工業株式会社製「ネオフロン(登録商標)ETFE EP-610」「ネオフロン(登録商標)ETFE EP-546」、AGC株式会社製「フルオンLM-ETFE(登録商標)LM-720AP」、「フルオンLM-ETFE(登録商標)LM-730AP」、「フルオンLM-ETFE(登録商標)LM-740AP」等が挙げられる。これらの市販品は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0120】
本発明において、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン及びエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体は、上記(パー)フルオロアルキル化合物には含まれない。
【0121】
<他の添加物>
本発明の効果を損なわない範囲において、本発明の複合粒子は、顔料粒子(顔料)、染料、安定剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、熱安定剤、レベリング剤、滑剤、帯電防止剤等の添加物を含有していてもよい。
【0122】
顔料粒子としては、当該技術分野で用いられる顔料粒子であれば特に限定されない。例えば、雲母状酸化鉄、鉄黒等の酸化鉄系顔料;鉛丹、黄鉛等の酸化鉛系顔料;チタンホワイト(ルチル型酸化チタン)、チタンイエロー、チタンブラック等の酸化チタン系顔料;酸化コバルト;亜鉛黄のような酸化亜鉛系顔料;モリブデン赤、モリブデンホワイト等の酸化モリブデン系顔料等の粒子が挙げられる。顔料粒子は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0123】
<複合粒子を含む分散液>
本発明の複合粒子を含む分散液の態様について、以下例示する。
【0124】
本態様において、分散液は、分散媒及び本発明の複合粒子を含む。分散媒は、本発明の複合粒子を完全に溶解させない液状物であれば特に限定されない。
【0125】
上記分散媒としては、例えば、天然水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等の水;メタノール、エタノール、ブタノール、イソブタノール、n-プロピルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトン,メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンジアセトンアルコール等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸プロピル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。これらの分散媒は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0126】
<複合粒子の用途>
本発明の複合粒子は、コーティング剤、塗料、紙、情報記録紙、光拡散フィルム(光学シート)、断熱フィルム、熱電変換材料、導光板インク、反射防止膜、光取出し膜、感光性樹脂膜、光拡散板、導光板等の成形体形成用のマスターペレットの添加剤;又は化粧料の添加剤として有用である。
【0127】
<コーティング剤>
本発明の複合粒子を含むコーティング剤の態様について、以下例示する。
【0128】
本態様において、コーティング剤は、本発明の複合粒子を含む。コーティング剤は、本発明の複合粒子に加えて、更にバインダーを含んでいてもよい。
【0129】
上記バインダーとしては、この分野で通常用いられる公知のバインダーを用いることができる。バインダーとしては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0130】
より具体的には、バインダーとしては、フッ素系樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらのバインダーは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0131】
上記バインダーは、1つの反応性単量体単独重合体であってもよいし、複数のモノマーの共重合体であってもよい。
【0132】
上記バインダーに用いる反応性単量体としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、(シクロ)ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、iso-オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、iso-デシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、iso-ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数1~25のアルコールとのエステル等の単官能性反応性単量体;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(ペンタエリスリトールトリアクリレート又はペンタエリスリトールトリメタクリレート)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボルニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性反応性単量体;
が挙げられる。
【0133】
また、これらの反応性単量体を使用する際は、電離放射線により硬化反応を開始させる重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、例えば、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N-アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N-アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等が挙げられる。
【0134】
また、バインダーとしては、例えば、ケイ素アルコキシドの加水分解物等の無機系バインダーを使用することもできる。ケイ素アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、2-ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2-ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランが挙げられる。
【0135】
バインダーとしては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、三菱レイヨン社製の「ダイヤナールLR-102」、「ダイヤナールBR-106」等が挙げられる。
【0136】
本態様において、コーティング剤がバインダーと本発明の複合粒子とを含む場合、コーティング剤中の複合粒子の含有量は、使用する用途によって適宜調整されるが、通常、バインダー100質量部に対して、0.1~1000質量部である。
【0137】
コーティング剤には、通常、分散媒体が含まれる。分散媒体としては水性及び油性の媒体のいずれもが使用できる。
【0138】
上記油性の媒体としては、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。
【0139】
上記水性の媒体としては、水、アルコール系溶剤が挙げられる。
【0140】
コーティング剤は、本発明の複合粒子に加えて、更に硬化剤、着色剤、帯電防止剤、レベリング剤等の添加剤を含んでいてもよい。
【0141】
コーティング剤の被塗布基材としては、特に限定されず、用途に応じた基材が使用できる。例えば、光学用途では、ガラス基材、透明樹脂基材等の透明基材が使用される。
【0142】
<マスターペレット>
本発明の複合粒子を含むマスターペレットの態様について、以下例示する。
【0143】
本態様において、マスターペレットは、本発明の複合粒子を含む。マスターペレットは、本発明の複合粒子に加えて、更に基材樹脂を含んでいてもよい。
【0144】
上記基材樹脂としては、この分野で通常用いられる公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0145】
上記基材樹脂としては、透明性をより一層向上させる点から、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸アルキル-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0146】
上記基材樹脂は、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、フィラー等の添加剤を微量含んでいてもよい。
【0147】
本態様において、マスターペレットは、基材樹脂と本発明の複合粒子とを溶融混練して、押出成形、射出成形等の成形方法により製造することができる。
【0148】
本態様において、マスターペレット中の複合粒子の含有割合は、好ましくは0.1~60質量%、より好ましくは0.3~30質量%、より一層好ましくは0.4~10質量%である。
【0149】
本態様において、マスターペレットは、例えば、押出成形、射出成形又はプレス成形することにより成形体となる。また、成形の際に基材樹脂を新たに添加してもよい。
【0150】
上記基材樹脂の添加量は、最終的に得られる成形体に含まれる複合粒子の含有割合が0.1~60質量%となるように添加することが好ましい。
【0151】
なお、成形時には、例えば、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、フィラー等の添加剤を微量添加してもよい。
【0152】
<化粧料>
本発明の複合粒子を含む化粧料の態様について、以下例示する。
【0153】
本態様において、化粧料は、本発明の複合粒子を含む。本態様において、化粧料としては、おしろい、ファンデーション等の固形状化粧料、ベビーパウダー、ボディーパウダー等のパウダー状化粧料、化粧水、乳液、クリーム、リキッドファンデーション、ボディーローション、プレシェーブローション等の液状化粧料等が挙げられる。
【0154】
化粧料中の複合粒子の含有割合は、化粧料の種類によって異なる。
【0155】
おしろい、ファンデーション等の固形状化粧料の場合は、化粧料中の複合粒子の含有割合は、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
【0156】
ベビーパウダー、ボディーパウダー等のパウダー状化粧料の場合は、化粧料中の複合粒子の含有割合は、1~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
【0157】
化粧水、乳液、クリーム、リキッドファンデーション、ボディーローション、プレシェーブローション等の液状化粧料の場合は、化粧料中の複合粒子の含有割合は、1~15質量%が好ましく、3~10質量%より好ましい。
【0158】
本態様において、上記化粧料には、他の成分として、例えば、光学的な機能の向上や触感の向上のため、マイカ、タルク等の無機化合物、酸化鉄、酸化チタン、群青、紺青、カーボンブラック等の着色用顔料、又はアゾ系等の合成染料等を添加できる。
【0159】
化粧料が液状化粧料である場合、液状の媒体として、特には限定されないが、水、アルコール、炭化水素、シリコーンオイル、植物性又は動物性油脂等を用いることもできる。
【0160】
本態様において、上記化粧料には、上記他の成分以外に、化粧品に一般的に用いられる保湿剤、抗炎症剤、美白剤、UVケア剤、殺菌剤、制汗剤、清涼剤、香料等を添加することにより、各種機能を追加することもできる。
【0161】
<反射防止膜>
本発明の複合粒子を含む反射防止膜の態様について、以下例示する。
【0162】
本態様において、反射防止膜は、本発明の複合粒子を含む。本態様において、反射防止膜としては、例えば、フィルム、シート状形状物等が挙げられる。
【0163】
本態様において、複合粒子を含むフィルム又は複合粒子を含むシート状形状物は、複合粒子の中空部にある空気層により屈折率が低下するため、反射防止膜として使用できる。
【0164】
本態様において、上記反射防止膜は、上記コーティング剤を、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、スピナー法、ロールコート法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、更に必要に応じて、加熱、紫外線照射、焼成等を行うことにより、得ることができる。
【0165】
<光取り出し膜>
本発明の複合粒子を含む光取り出し膜の態様について、以下例示する。
【0166】
本態様において、光取出し膜は、本発明の複合粒子を含む。LED、有機EL照明等は、空気層と発光層との屈折率差が大きいため、発光した光が素子内部に閉じ込められやすい。そのため、発光効率を向上させる目的に光取出し膜が使用されている。
【0167】
本態様において、光取出し膜としては、例えば、フィルム、シート状形状物等が挙げられる。複合粒子を含むフィルム又は複合粒子を含むシート状形状物は、複合粒子の中空部にある空気層により屈折率が低下するため、光取出し膜として使用できる。
【0168】
本態様において、上記光取出し膜は、上記コーティング剤を、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、スピナー法、ロールコート法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、更に必要に応じて、加熱、紫外線照射、焼成等を行うことにより、得ることができる。
【0169】
<断熱フィルム>
本発明の複合粒子を含む断熱フィルムの態様について、以下例示する。
【0170】
本態様において、断熱フィルムは、本発明の複合粒子を含む。上記断熱フィルムとしては、例えば、フィルム、シート状形状物等が挙げられる。
【0171】
本態様において、複合粒子を含むフィルム又は複合粒子を含むシート状形状物は、複合粒子の中空部に空気層を有するため、断熱フィルムとして使用できる。また、複合粒子の粒子径が小さいため、上記断熱フィルムは、透明性が高い。さらに、バインダーが複合粒子の中空部に侵入しにくいため、上記断熱フィルムは、高い断熱性を有する。
【0172】
本態様において、断熱フィルムは、上記コーティング剤を、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、スピナー法、ロールコート法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、更に必要に応じて、加熱、紫外線照射、焼成等を行うことにより、得ることができる。
【0173】
<低誘電率膜>
本発明の複合粒子を含む低誘電率膜の態様について、以下例示する。
【0174】
本態様において、低誘電率膜は、本発明の複合粒子を含む。低誘電率膜としては、例えば、フィルム、シート状形状物等が挙げられる。
【0175】
本態様において、複合粒子を含むフィルム又は複合粒子を含むシート状形状物は、複合粒子の中空部に空気層を有するため、低誘電率膜として使用できる。また、複合粒子の粒子径が小さいため、上記低誘電率膜は、透明性が高い。
【0176】
本態様において、低誘電率膜は、上記コーティング剤を、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、スピナー法、ロールコート法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、更に必要に応じて、加熱、紫外線照射、焼成等を行うことにより、得ることができる。
【0177】
<感光性樹脂組成物>
本発明の複合粒子を含む感光性樹脂組成物の態様について、以下例示する。
【0178】
本態様において、感光性樹脂組成物は、本発明の複合粒子を含む。複合粒子を含む感光性樹脂組成物は、複合粒子の中空部に空気層を有するため、屈折率が低い。また、上記複合粒子の粒子径が小さいため、上記感光性樹脂組成物は、透明性が高い。
【0179】
本態様において、感光性樹脂組成物は、上記コーティング剤を、ディップ法、スプレー法、スピンコート法、スピナー法、ロールコート法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、更に必要に応じて、加熱、紫外線照射、焼成等を行うことにより、得ることができる。
【0180】
<複合粒子の製造方法>
本発明の複合粒子は、中空粒子を含フッ素化合物で表面処理することにより製造することができる。具体的には、本発明の複合粒子は、中空粒子水分散液中の中空粒子を含フッ素化合物で表面処理することにより製造することができる。
【0181】
以下、本発明の複合粒子の製造方法について、詳述する。以下、中空粒子を含フッ素化合物で表面処理する工程を、単に「表面処理工程」と記載することもある
【0182】
表面処理工程において、含フッ素化合物の詳細は、特に言及がない限り、上記<複合粒子>に記載したとおりである。
【0183】
表面処理工程において、含フッ素化合物の使用量は、中空粒子100質量部に対して、好ましくは4質量部以上58質量部以下、より好ましくは6質量部以上56質量部以下、より一層好ましくは8質量部以上54質量部以下、更に好ましくは10質量部以上52質量部以下、特に好ましくは12質量部以上50質量部以下である。
【0184】
表面処理工程において、含フッ素化合物の使用量は、中空粒子水分散液1000質量部に対して、好ましくは4質量部以上58質量部以下、より好ましくは6質量部以上56質量部以下、より一層好ましくは8質量部以上54質量部以下、更に好ましくは10質量部以上52質量部以下、特に好ましくは12質量部以上50質量部以下である。
【0185】
表面処理工程は、以下の工程(1)、工程(2)及び工程(3)をこの順で行うことが好ましい。
工程(1):容器中で、有機溶媒に含フッ素化合物及び界面活性剤を溶解させる。
工程(2):中空粒子分散液を加え、室温で攪拌してスラリーを作製する。
工程(3):作製したスラリーを、フィルターを用いて有機溶媒でクロスフロー洗浄する。
【0186】
上記工程(1)において、有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール及び2-メチル-2-プロパノール等の低級アルコールが挙げられる。
【0187】
上記工程(1)において、界面活性剤としては、この分野で通常用いられる公知の界面活性剤を広く使用することができる。界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0188】
上記工程(1)において、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤が好ましい。
【0189】
上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル、リン酸エステル等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、リン酸エステルが好ましい。リン酸エステルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩が好ましい。
【0190】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩としては、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル・モノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキル(C12,13)エーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(C12~15)エーテルリン酸等が挙げられる。これらのポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0191】
上記工程(1)において、含フッ素化合物の使用量は、界面活性剤100質量部に対して、好ましくは15質量部以上400質量部以下、より好ましくは20質量部以上350質量部以下、より一層好ましくは25質量部以上325質量部以下である。
【0192】
上記工程(1)において、有機溶媒の使用量は、含フッ素化合物及び界面活性剤の合計使用量100質量部に対して、好ましくは500質量部以上4000質量部以下、より好ましくは1000質量部以上3500質量部以下である。
【0193】
上記工程(2)で使用する中空粒子分散液の製造方法については、後述の<中空粒子の製造方法>において説明する。
【0194】
上記工程(3)において、フィルターとしては、スラリー中の複合粒子を透過するものであれば、この分野で通常用いられる公知のフィルターを広く使用することができる。
【0195】
スラリー中の中空粒子の粒径は、通常、1nm以上200nm以下であるため、フィルターの各孔径は、好ましくは1nm以上200nm以下である。このような孔径のフィルターとしては、例えば、セラミックフィルター等を用いることができる。
【0196】
上記工程(3)において、有機溶媒としては、
トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等ケトン系溶媒;
酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル酢酸tert-ブチル等のエステル系溶媒;
イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶媒;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒;
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒
等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0197】
上記工程(3)でクロスフロー洗浄した後に、工程(3)で使用した有機溶媒を用いて、複合粒子分散液中の固形分濃度を調整することが好ましい。複合粒子分散液中の固形分濃度は、好ましくは4~50質量%、より好ましくは6~40質量%、8~30質量%、より一層好ましくは10~20質量%である。
【0198】
本発明において、複合粒子は、必要に応じて複合粒子の分散液から溶媒を除去し乾燥させ、乾燥粉体として使用してもよい。複合粒子の乾燥方法としては特に限定されないが、例えば、減圧乾燥法等が挙げられる。
【0199】
<中空粒子の製造方法>
中空粒子は、例えば、非反応性溶媒を含有する重合体粒子を作製する工程(重合工程)と、重合体粒子から非反応性溶媒を相分離させる工程(相分離工程)と、非反応性溶媒を除去する工程(溶媒除去工程)を経ることにより製造することができる。
【0200】
中空粒子の製造方法としては、反応性単量体を反応させることで重合工程と相分離工程とを同時に行う方法でも、非反応性溶媒の相分離前に、一旦、重合体粒子を形成し、その後に相分離を生じさせる方法でもよい。一旦、重合体粒子を形成し、その後に相分離を生じさせる方法を用いることが、ピンホールの発生を抑制でき、かつ単分散性を向上できるため好ましい。
【0201】
非反応性溶媒の相分離前に、一旦、重合体粒子を形成し、その後に相分離を生じさせる方法においては、具体的には、(メタ)アクリル系反応性官能基と非(メタ)アクリル系反応性官能基とを有する反応性単量体を、両官能基のいずれか一方に基づいて重合させることにより重合体粒子を作製する。
【0202】
非反応性溶媒は、予め反応性単量体と混合するか、重合体粒子作製後に吸収させることにより、重合体粒子中に含有させる。
【0203】
次いで、上記両官能基のうち残存する他方の官能基による重合により、重合体と非反応性溶媒とが相分離することで、非反応性溶媒を内包したマイクロカプセル粒子が得られる。この後、非反応性溶媒を除去することで中空粒子が得られる。
【0204】
上記のように、重合工程と相分離工程とを分けることで、
・従来の製造方法で存在していたシェルの重合体間の隙間が存在しなくなり、得られる中空粒子のシェルにおけるピンホールの発生を抑制できる
・マイクロカプセル粒子や中空粒子の形状が油滴に依存せず、相分離前の重合体粒子の形状や粒度分布に依存するため、単分散性の高いマイクロカプセル粒子や中空粒子が得られやすい
という利点を有する。以下、この製造方法について説明する。
【0205】
(A)重合工程
重合工程では、(メタ)アクリル系反応性官能基と非(メタ)アクリル系反応性官能基とを有する反応性単量体を、両官能基のいずれか一方に基づいて重合させることにより重合体粒子を作製する。非反応性溶媒は、予め反応性単量体と混合するか、重合体粒子作製後に吸収させることにより、重合体粒子中に含有させる。
【0206】
(a)重合体粒子の作製方法
重合体粒子の作製方法としては、塊状重合法、溶液重合法、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知の方法の中から、任意の方法を採用できる。その中でも、重合体粒子を比較的簡便に作製できる懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。更に、単分散性の高い重合体粒子が得られやすい乳化重合法がより好ましい。
【0207】
<重合開始剤>
重合させるにあたっては、重合反応の対象とする官能基を反応させるための化合物を添加することが好ましい。(メタ)アクリル系反応性官能基を重合させる場合、この化合物には重合開始剤を使用できる。
【0208】
上記重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;
クメンハイドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジメチルビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ビス(tert-ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ブチル-ビス(tert-ブチルパーオキシ)バレラート、2-エチルヘキサンペルオキシ酸tert-ブチル、ジベンゾイルパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド及びtert-ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;
2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)二塩酸塩、2,2-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-アゾビス(2-メチル-ブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2-イソプロピルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,3-ジメチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルカプロニトリル)、2,2-アゾビス(2,3,3-トリメチルブチロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4,4-トリメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチル-4-エトキシバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチル-4-n-ブトキシバレロニトリル)、2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、1,1-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、ジメチル-2,2-アゾビス(2-メチルプロピネート)、ジメチル-2,2-アゾビスイソブチレート、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピネート)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、4,4-アゾビス(4-シアノバレリン酸)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0209】
また、上記の過硫酸塩及び有機過酸化物の重合開始剤と、ナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、過酸化水素、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸及びその塩、第一銅塩、第一鉄塩等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤を重合開始剤として使用してもよい。
【0210】
乳化重合である場合、重合開始剤は、水溶媒下で乳化重合が可能な水溶性の重合開始剤であることが好ましい。
【0211】
上記水溶性の重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム(ペルオキソ二硫酸アンモニウム)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}二塩酸塩、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)二塩酸塩、2,2-アゾビス{2-メチル-N-[1、1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4-アゾビス(4-シアノペンタン酸)等のアゾ化化合物等が挙げられる。これら水溶性の重合開始剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0212】
上記重合体粒子は、先に(メタ)アクリル系反応性官能基に基づいて重合させることで、重合体粒子中に未反応の非(メタ)アクリル系反応性官能基を有することが好ましい。先に非(メタ)アクリル系反応性官能基に基づいて重合させると、非反応性溶媒が吸収しにくくなる場合がある。
【0213】
<連鎖移動剤>
連鎖移動剤を、反応性単量体の重合時に使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、n-ヘキシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、tert-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;α-メチルスチレンダイマー、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;ジクロロメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物等が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の使用量の上限は、反応性単量体100質量部に対して、10質量部である。
【0214】
<界面活性剤>
界面活性剤を、反応性単量体の重合時に使用してもよい。界面活性剤の種類は特に限定されず、例えば、公知の界面活性剤を広く採用することができる。
【0215】
界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの界面活性剤の中でも、アニオン性界面活性剤が好ましい。
【0216】
界面活性剤の使用量の上限は、通常、反応性単量体100質量部に対して、5質量部である。
【0217】
アニオン性界面活性剤としては、公知の市販品を広く用いることができる。市販品としては、例えば、第一工業製薬社製の製品名「アクアロンAR-1025」を使用することができる。
【0218】
<分散助剤>
重合体粒子の作製する際に、(メタ)アクリル系反応性単量体以外のその他の反応性単量体として、親水性モノマーを使用してもよい。親水性モノマーは、分散助剤としての役割を果たすため、親水性モノマーを使用することにより、重合時の分散安定性を高めることができる。
【0219】
上記親水性モノマーの種類は特に限定されず、例えば、公知の親水性モノマーを広く採用することができる。親水性モノマーとしては、例えば、カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩;スルホン基含有ビニル系モノマー及びビニル系硫酸モノエステル化物、並びにこれらの塩;リン酸基含有ビニル系モノマー及びその塩;ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー;含窒素ビニル系モノマー等が挙げられる。これらの親水性モノマーは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0220】
カルボキシル基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸及びこれらの塩等が挙げられる。これらの塩としては、例えば、上記カルボキシル基含有ビニル系モノマーのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。上記カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0221】
スルホン基含有ビニル系モノマー及びビニル系硫酸モノエステル化物としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2-ジメチルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-(メタ)アクリルアミド-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3~18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2~30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン及びブチレン等:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5~15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]並びにこれらの塩等が挙げられる。これらの塩としては、例えば、上記スルホン基含有ビニル系モノマー及びビニル系硫酸モノエステル化物のアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。上記スルホン基含有ビニル系モノマー及びビニル系硫酸モノエステル化物、並びにこれらの塩は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0222】
上記スルホン基含有ビニル系モノマー及びビニル系硫酸モノエステル化物、並びにこれらの塩の中でも、重合時の分散安定性をより一層高めることができる観点から、p-スチレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0223】
リン酸基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル-2-アクリロイロキシエチルホスフェート等及びこれらの塩等が挙げられる。これらの塩としては、例えば、上記リン酸基含有ビニル系モノマーのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。上記リン酸基含有ビニル系モノマー及びその塩は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0224】
ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシスチレン、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及び(メタ)アリルアルコール等が挙げられる。上記ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーは、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0225】
含窒素ビニル系モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド及びジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等が挙げられる。
【0226】
(b)非反応性溶媒の吸収
上記重合体粒子への非反応性溶媒の吸収は、上記重合体粒子の製造時又は製造後に行うことができる。また、非反応性溶媒の吸収は、非反応性溶媒と相溶しない分散媒の存在下又は非存在下で行うことができる。分散媒の存在下で行う方が、非反応性溶媒の吸収を効率よく行うことができるので好ましい。重合体粒子の製造方法が媒体を使用する場合、その媒体を分散媒としてそのまま使用してもよく、一旦、重合体粒子をその媒体から単離した後、別の分散媒に分散してもよい。
【0227】
上記重合体粒子を含む分散媒には、分散媒に相溶しない非反応性溶媒が添加され、一定時間撹拌等を行うことで重合体粒子に非反応性溶媒を吸収させることができる。
【0228】
上記重合体粒子の製造時での非反応性溶媒の吸収は、重合体粒子の作製に適切な分散媒と非反応性溶媒を選定することで実現できる。例えば、水溶媒下で重合体粒子を乳化重合で作製する場合、水に相溶しない非反応性溶媒を事前に水溶媒に添加しておき、反応性単量体を重合させることで、重合体粒子の作製と重合体粒子の吸収を同時に行うことができる。重合体粒子の作製と重合体粒子の吸収を同時に行うと、非反応性溶媒の吸収にかかる時間を削減できる。
【0229】
<分散媒>
分散媒としては、上記重合体粒子を完全に溶解させない液状物であれば特に限定されない。例えば、イオン交換水;エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン等のアルカン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒が挙げられる。これらの分散媒は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0230】
<非反応性溶媒>
非反応性溶媒としては、分散媒に相溶しない液状物であれば特に限定されない。ここで分散媒に相溶しないとは、非反応性溶媒の分散媒への溶解度(25℃時)が10重量%以下のことである。
【0231】
例えば、分散媒としてイオン交換水を使用した場合、使用できる非反応性溶媒としてはブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、デカン、ヘキサデカン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1,4-ジオキサン、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。これらの非反応性溶媒は、それぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0232】
非反応性溶媒の添加量は、特に限定されないが、重合体粒子100質量部に対して、20~5000質量部である。20質量部未満であると、得られるマクロカプセル粒子や中空粒子の中空部が小さくなり、所望の特性が得られない場合がある。5000質量部を超えると、中空部が大きくなりすぎて得られるマイクロカプセル粒子や中空粒子の強度が低下する場合がある。
【0233】
(B)相分離工程
重合工程の次に、残存する反応性官能基を重合させて、重合体と非反応性溶媒とを相分離させる。相分離により、非反応性溶媒を内包したマイクロカプセル粒子が得られる。
【0234】
本明細書において、中空粒子における中空とは、中空部に空気が存在する場合に限定されるものではなく、中空部に空気以外の気体が存在する場合も包含する。
【0235】
また、本明細書において、中空粒子とは、中空部に気体が存在する中空粒子に限定されるものではなく、非反応性溶媒や他の分散媒体が中空部に存在しているマイクロカプセル粒子も含む。
【0236】
残存する反応性官能基を重合させるために添加する化合物は、上記重合工程に記載した、(メタ)アクリル系反応性官能基を重合させるための重合開始剤、非(メタ)アクリル系反応性官能基を重合させるための架橋剤(架橋性単量体)と同じものを使用できる。
【0237】
(C)溶媒除去(置換)工程
本発明において、中空粒子は、必要に応じてマイクロカプセル粒子に内包された非反応性溶媒を除去又は置換することで、中空部に空気等の気体や他の溶媒が存在する中空粒子とすることができる。
【0238】
非反応性溶媒の除去方法としては特に限定されないが、減圧乾燥法等が挙げられる。減圧乾燥法の条件は、例えば、500Pa以下の圧力、30~200℃、30分~50時間が挙げられる。
【0239】
また、非反応性溶媒を溶媒置換操作によって置換することもできる。この操作としては、例えば、非反応性溶媒を内包したマイクロカプセル粒子又は、それらの分散液に、適当な分散媒体に加え、撹拌等を行うことで粒子内部の非反応性溶媒を分散媒体に置換させ、その後余分な非反応性溶媒と分散媒体を減圧乾燥法や遠心分離法、限外ろ過法等により除去する操作が挙げられる。溶媒置換操作は一回のみ実施しても複数回実施してもよい。
【0240】
本発明において、中空粒子は、必要に応じて中空粒子の分散液から溶媒を除去し乾燥させ、乾燥粉体として使用してもよい。中空粒子の乾燥方法としては特に限定されないが、例えば、減圧乾燥法等が挙げられる。
【実施例0241】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、「室温」とは、20℃~25℃の範囲内の温度を意味する。
【0242】
(平均粒子径及び中空率)
中空粒子水分散液に含まれる中空粒子の平均粒子径と中空率とを、次の方法にて測定した。
【0243】
具体的には、製造例で得られた中空粒子水分散液を90℃の真空乾燥機(圧力は100kPa以下)で3時間乾燥した後にスパチュラで押し潰して乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体をコロジオン膜貼付メッシュ(日新EM株式会社製)に振り掛けた後に、四酸化ルテニウム染色を行った。その後、透過型電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテク製の「HT7800」)を用いて、加速電圧100kVの条件下、70,000倍に拡大して中空粒子が均一に分散している部分を選び、中空粒子のTEM写真を撮影した。
【0244】
撮影したTEM写真から、中空粒子同士が重なり合っていないものを、無作為に100個選び出した。選んだ100個の中空粒子それぞれに対して、解析ソフトウェアEMIP-EXを用いて、中空粒子の最長径と中空粒子の最短径とを測定し、その平均値[(最長径+最短径)/2]を各中空粒子の粒子径とした。そして、100個の中空粒子の粒子径の平均値を、製造例で得られた中空粒子水分散液に含まれる中空粒子の平均粒子径とした。
【0245】
また、選んだ100個の中空粒子それぞれに対して、中空粒子の中心を通るように5箇所以上の内径(中空粒子の中空部の直径)を測定した。そして、100個の中空粒子の内径の平均値を、中空粒子の平均内径とした。
【0246】
さらに、[(中空粒子の平均内径)/(中空粒子の平均粒子径)]×100の式より、製造例で得られた中空粒子水分散液に含まれる中空粒子の中空率(体積%)を求めた。
【0247】
(分散粒子径)
複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液中における複合粒子の分散粒子径を、次の方法にて測定した。
【0248】
具体的には、実施例で得られた複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を更にプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、固形分が0.1質量%となるように複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を調製した。
【0249】
粒子径測定装置(CordouanTechnologies社製の「VASCOγ」)を用いて、調製した複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液のZ平均粒子径を以下の条件に基づき測定した。以下の実施例及び比較例では、該Z平均粒子径を、複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液中における複合粒子の分散粒子径とした。
<粒子径測定装置の条件>
・測定温度:25℃
・光路長:100μm
・測定時間:60秒
・積算回数:3回
・解析法:キュムラント
【0250】
(シェル密度)
複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液中における複合粒子のシェル密度を次の方法にて測定した。
【0251】
具体的には、実施例で得られた複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液0.5gを精秤し、90℃の真空乾燥機(圧力は100kPa以下)で3時間乾燥して粉体を得た。得られた粉体の重量を測定して該分散液中の固形分割合xを算出した。
【0252】
次に、振動式液密度計(株式会社アントンパール・ジャパン製の「DMA1001」)を用いて、測定温度23℃で複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液の液密度ρと複合粒子を含まないプロピレングリコールモノメチルエーテルのみの液密度ρとを測定した。
【0253】
そして、下記式より複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液中における複合粒子のシェル密度ρを測定した。
ρ=x/{(1/ρ)-(1-x)/ρ
【0254】
(バインダー中空率)
以下のように、バインダーに含まれる複合粒子中の空気の体積分率(バインダー中空率)を測定した。
【0255】
具体的には、ガラス瓶に、実施例で得られた複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液0.2gと、バインダーとしてペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業社製「NKエステルA-TMM-3LM-N」、官能基数3)0.98gと、有機溶媒としてメタノール0.5gとを正確に計量し、超音波洗浄器を用いて均一に混合して複合粒子分散液を得た。
【0256】
次に、得られた複合粒子分散液を90℃の真空乾燥機で16時間乾燥し、系内に含まれるプロピレングリコールモノメチルエーテル及びメタノールを揮発させて完全に除去し、複合粒子を含むバインダーを得た。
【0257】
得られた複合粒子を含むバインダーを室温23℃、湿度55%に設定された恒温恒湿環境で30分間の保管した後に、アッベ屈折率計(アタゴ社製の「NAR-1T SOLID」)を用いて、バインダーの屈折率と、バインダーに含まれる複合粒子のシェルの屈折率(以下、「複合粒子のシェルの屈折率」表記)とを測定したところ、バインダーの屈折率は1.485であり、複合粒子のシェルの屈折率は1.537であった。
【0258】
空気の屈折率を1.00及び空気の密度を0(g/cm)として、複合粒子のシェルの屈折率1.537、複合粒子のシェルの密度(g/cm)、バインダーの屈折率1.485及びバインダーの密度1.18(g/cm)に基づいて、以下の[Maxwell-Garnettの式]を解くことで、バインダーに含まれる複合粒子中の空気の体積分率q(=バインダー中空率)(体積%)を算出した。なお、上記「複合粒子のシェルの密度」とは、後述する表2に示す各実施例の「シェルの密度」を意味する。
[Maxwell-Garnettの式]
(Na-Nm)/(Na+2Nm)=q(Np-Nm)/(Np+2Nm
【0259】
(製造例1)中空粒子水分散液Aの製造
5Lのステンレスビーカーに、イオン交換水3600質量部と、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製の製品名「アクアロンAR-1025」)1.6質量部と、p-スチレンスルホン酸ナトリウム6.0質量部と、ペルオキソ二硫酸アンモニウム4.0質量部とを加えて溶解させた。
【0260】
該ステンレスビーカーに、更にグリシジルメタクリレート168質量部と、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン32質量部と、n-オクチルメルカプタン4.0質量部と、トルエン200質量部との混合溶液を添加し、超音波ホモジナイザー(BRANSON社製、型式SONIFIER450)を用いて室温で10分間撹拌することにより、エマルジョンを調製した。
【0261】
調整したエマルジョンを、攪拌機と温度計とを備えた5Lの反応器に入れ、窒素置換して内部を窒素雰囲気としたのちに70℃まで昇温し、攪拌しながら70℃で2時間重合反応させた。次に、エチレンジアミン100質量部を添加し、窒素雰囲気下で80℃まで昇温した後、攪拌しながら80℃で16時間反応させて中空粒子分散液を得た。
【0262】
得られた中空粒子分散液4000質量部を、50nmの細孔径を有するセラミックフィルターを用いて、イオン交換水20000質量部でクロスフロー洗浄し、固形分が10質量%となるように適宜濃縮及びイオン交換水の添加を行い、10質量%の中空粒子水分散液Aを得た。
【0263】
得られた10質量%の中空粒子水分散液Aに含まれる中空粒子の平均粒子径は82nmであり、中空率は45体積%であった。
【0264】
製造例における配合組成及び物性を表1に示す。
【表1】
【0265】
(実施例1)
7Lのステンレスビーカーに、含フッ素化合物として(パー)フルオロアルキル基含有リン酸エステル(AGCセイミケミカル株式会社製「サーフロンFPE-50」)15質量部及びアニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(東邦化学工業株式会社製「フォスファノールRS-710」)45質量部を加えて、イソプロピルアルコール2000質量部で溶解させた。
【0266】
さらに、製造例1で得られた10質量%の中空粒子水分散液Aを1000質量部加え、超音波ホモジナイザーを用いて室温で30分間撹拌した。次いで、50nmの細孔径を有するセラミックフィルターを用いてプロピレングリコールモノメチルエーテル20000質量部でクロスフロー洗浄し、固形分が10質量%となるように適宜濃縮及びプロピレングリコールモノメチルエーテルの添加を行い、10質量%の複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を得た。
【0267】
得られた分散液を乾燥し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、中空部がつぶれていない真球状の複合粒子が得られた。得られた分散液中での複合粒子の分散粒子径は92nmであり、シェル密度は1.31g/cmであった。また、得られた分散液を用いて、複合粒子を含むバインダーを作製したところ、バインダー中空率は42体積%であった。
【0268】
(実施例2)
サーフロンFPE-50を30質量部及びフォスファノールRS-710を30質量部使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、10質量%の複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を得た。
【0269】
得られた分散液を乾燥し、TEMで観察したところ、中空部がつぶれていない真球状の複合粒子が得られた。得られた分散液中での複合粒子の分散粒子径は98nmであり、シェル密度は1.35g/cmであった。また、得られた分散液を用いて、複合粒子を含むバインダーを作製したところ、バインダー中空率は、42体積%であった。
【0270】
(実施例3)
サーフロンFPE-50を45質量部及びフォスファノールRS-710を15質量部使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で、10質量%の複合粒子プロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を得た。
【0271】
得られた分散液を乾燥し、TEMで観察したところ、中空部がつぶれていない真球状の複合粒子が得られた。得られた分散液中での複合粒子の分散粒子径は102nmであり、シェル密度は1.41g/cmであった。また、得られた分散液を用いて、複合粒子を含むバインダーを作製したところ、バインダー中空率は、43体積%であった。
【0272】
実施例における配合組成及び物性を表2に示す。
【0273】
表2中、平均粒子径とは、製造例で得られた中空粒子水分散液に含まれる中空粒子の平均粒子径を意味し、中空率とは、製造例で得られた中空粒子水分散液に含まれる中空粒子の中空率を意味する。
【0274】
【表2】
【0275】
表2に示すように、実施例1~3において、TEMで計測した中空粒子の中空率と、バインダー中空率とが非常に近い数値であることが確認できた。この結果から、実施例1~3で得られた複合粒子のシェルにはピンホールがほとんど空いておらず、中空部にバインダーが侵入していないと考えられる。