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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013553
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】外装部材及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240125BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20240125BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H02G3/30
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115719
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松永 雄太
(72)【発明者】
【氏名】舘 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】羽生 拓也
(72)【発明者】
【氏名】康村 晴子
【テーマコード(参考)】
5G309
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
5G309AA01
5G309AA09
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD10
5G357DG04
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】配索性を向上できる外装部材及びワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス(10)は、電線部材(20)と、電線部材の外周を包囲する外装部材(31)とを有する。外装部材は、筒状の可動部材(40)と、可動部材を回転可能に保持する筒状の保持部材(50)と、を備える。可動部材は、第1筒状部(41)と、第1筒状部の軸方向の一端部に設けられるとともに第1筒状部と一体に形成された可動部(42)とを有する。保持部材は、可動部が収容される収容空間(52X)が設けられた保持部(52)を有している。第1筒状部は、保持部材の外部に設けられている。可動部は、可動部の周方向に連続する球面状の外周面が、保持部の周方向に連続する球面状の内周面に接触しつつ回転可能に収容空間に収容されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材の外周を包囲する外装部材であって、
筒状の可動部材と、
前記可動部材を回転可能に保持する筒状の保持部材と、を備え、
前記可動部材は、第1筒状部と、前記第1筒状部の軸方向の一端部に設けられるとともに前記第1筒状部と一体に形成された可動部とを有し、
前記保持部材は、前記可動部が収容される収容空間が設けられた保持部を有し、
前記第1筒状部は、前記保持部材の外部に設けられており、
前記可動部は、前記可動部の周方向に連続する球面状の外周面が、前記保持部の周方向に連続する球面状の内周面に接触しつつ回転可能に前記収容空間に収容されている、外装部材。
【請求項2】
前記保持部は、受け部と、前記受け部に合体可能に形成されたカバー部とを有し、
前記受け部は、半球状の第1収容凹部を有し、
前記カバー部は、半球状の第2収容凹部を有し、
前記収容空間は、前記第1収容凹部と前記第2収容凹部とが重ね合わされて構成されており、
前記可動部は、前記受け部と前記カバー部とによって挟まれた状態で前記収容空間に収容されている、請求項1に記載の外装部材。
【請求項3】
前記受け部は、第1係合部を有し、
前記カバー部は、前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、
前記第1係合部と前記第2係合部との係合部分は、前記保持部の外部に露出しないように設けられている、請求項2に記載の外装部材。
【請求項4】
前記第1係合部は、前記受け部の周方向の端面から前記カバー部に向かって突出する第1弾性片と、前記第1弾性片の先端から前記受け部の周方向と交差する方向に向かって突出する第1係合突起とを有し、
前記第2係合部は、前記カバー部の周方向の端面から前記受け部に向かって突出する第2弾性片と、前記第2弾性片の先端から前記第1弾性片に向かって突出する第2係合突起とを有し、
前記第1係合突起と前記第2係合突起との係合部分は、前記収容空間の径方向において、前記第1弾性片と前記第2弾性片との間に設けられている、請求項3に記載の外装部材。
【請求項5】
前記保持部は、単一部品により構成されており、
前記保持部は、前記保持部の軸方向の端部に設けられた切欠部を有する、請求項1に記載の外装部材。
【請求項6】
前記可動部は、前記第1筒状部に接続される可動側第1端部と、前記可動部の軸方向において前記可動側第1端部の反対側に設けられた可動側第2端部とを有し、
前記保持部は、保持側第1端部と、前記保持部の軸方向において前記保持側第1端部の反対側に設けられるとともに前記第1筒状部側に設けられた保持側第2端部とを有し、
前記可動部は、前記可動側第2端部における前記可動部の外周面に設けられた可動側係合部を有し、
前記保持部は、前記保持側第2端部における前記保持部の内周面に設けられた保持側係合部を有し、
前記可動側係合部は、前記保持部の軸方向において、前記保持側係合部に係合可能である、請求項1に記載の外装部材。
【請求項7】
前記可動部は、前記第1筒状部よりも外径が大きく形成されており、
前記可動部の外周面は、平面視において、最も径方向外側に位置する頂部と、前記可動側第1端部と前記頂部との間に設けられた第1曲面と、前記頂部と前記可動側第2端部との間に設けられた第2曲面とを有し、
前記第1曲面は、前記可動側第1端部から前記頂部に向かうに連れて、前記第1筒状部の外周面からの径方向外側への突出量が大きくなるように湾曲して形成されており、
前記第2曲面は、前記頂部から前記可動側第2端部に向かうに連れて、前記第1筒状部の外周面からの径方向外側への突出量が小さくなるように湾曲して形成されている、請求項6に記載の外装部材。
【請求項8】
前記可動部は、前記第1筒状部よりも外径が大きく形成されており、
前記可動部の径方向の厚みは、前記第1筒状部の径方向の厚みよりも厚く形成されている、請求項1に記載の外装部材。
【請求項9】
前記可動部は、前記第1筒状部に接続される可動側第1端部と、前記可動部の軸方向において前記可動側第1端部の反対側に設けられた可動側第2端部とを有し、
前記可動部の内周面は、前記可動側第1端部側から前記可動側第2端部に向かうに連れて、前記可動部の径方向外側に傾斜する傾斜面を有している、請求項8に記載の外装部材。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の外装部材と、
前記外装部材を貫通する前記電線部材と、を備えるワイヤハーネス。
【請求項11】
前記外装部材を取付対象に固定するクランプを更に備え、
前記保持部材は、前記保持部と一体に形成された第2筒状部を有し、
前記第2筒状部は、前記保持部の軸方向の一端部から前記可動部から離れる方向に延びるように形成されており、
前記クランプは、前記第2筒状部の外周面に取り付けられている、請求項10に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外装部材及びワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両に用いられるワイヤハーネスは、高電圧のバッテリやインバータ等の電気機器同士を電気的に接続する電線を備えている(例えば、特許文献1参照)。このワイヤハーネスにおいては、電線の保護を目的として、電線がコルゲートチューブや金属製パイプ等の筒状の外装部材によって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-54030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記ワイヤハーネスにおいては、配索性の向上が望まれている。特に、ワイヤハーネスの曲げ部分における配索性の向上が望まれている。
本開示の目的は、配索性を向上できる外装部材及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の外装部材は、電線部材の外周を包囲する外装部材であって、筒状の可動部材と、前記可動部材を回転可能に保持する筒状の保持部材と、を備え、前記可動部材は、第1筒状部と、前記第1筒状部の軸方向の一端部に設けられるとともに前記第1筒状部と一体に形成された可動部とを有し、前記保持部材は、前記可動部が収容される収容空間が設けられた保持部を有し、前記第1筒状部は、前記保持部材の外部に設けられており、前記可動部は、前記可動部の周方向に連続する球面状の外周面が、前記保持部の周方向に連続する球面状の内周面に接触しつつ回転可能に前記収容空間に収容されている。
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、前記外装部材と、前記外装部材を貫通する前記電線部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の外装部材及びワイヤハーネスによれば、配索性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
図2図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略斜視図である。
図3図3は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略斜視図である。
図4図4は、一実施形態の外装部材を示す概略分解斜視図である。
図5図5は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図である。
図6図6は、一実施形態の外装部材の一部を示す概略平面図である。
図7図7は、一実施形態の外装部材を示す概略横断面図である。
図8図8は、変更例のワイヤハーネスを示す概略斜視図である。
図9図9は、変更例のワイヤハーネスを示す概略斜視図である。
図10図10は、変更例の外装部材を示す概略分解斜視図である。
図11図11は、変更例のワイヤハーネスを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示の外装部材は、電線部材の外周を包囲する外装部材であって、筒状の可動部材と、前記可動部材を回転可能に保持する筒状の保持部材と、を備え、前記可動部材は、第1筒状部と、前記第1筒状部の軸方向の一端部に設けられるとともに前記第1筒状部と一体に形成された可動部とを有し、前記保持部材は、前記可動部が収容される収容空間が設けられた保持部を有し、前記第1筒状部は、前記保持部材の外部に設けられており、前記可動部は、前記可動部の周方向に連続する球面状の外周面が、前記保持部の周方向に連続する球面状の内周面に接触しつつ回転可能に前記収容空間に収容されている。
【0010】
この構成によれば、可動部の球面状の外周面が保持部の球面状の内周面に接触しつつ回転可能に可動部が収容空間に収容される。これにより、可動部を、収容空間内において、保持部に対して自由に回転させることができる。このような可動部に第1筒状部が一体に形成されている。このため、保持部材の外部に設けられた第1筒状部を、可動部の回転と連動して保持部に対して種々の方向に可動させることができる。これにより、保持部材の外部に引き出される第1筒状部の引き出し方向を容易に可変することができる。したがって、ワイヤハーネスの経路が急峻に曲げられる場合であっても、その曲げ部分の経路に合わせて第1筒状部の引き出し方向を容易に可変することができる。この結果、ワイヤハーネスの経路に応じて外装部材を容易に変形させることができるため、外装部材を有するワイヤハーネスの配索性を向上できる。
【0011】
さらに、保持部材の外部に引き出される部分には第1筒状部が設けられている。このため、外装部材の内部に電線部材が収容された場合に、保持部材の外部に引き出される電線部材の外周が第1筒状部により包囲される。これにより、保持部材の外部に引き出される電線部材の経路を第1筒状部により規制することができる。この結果、外装部材を有するワイヤハーネスの配索性を向上できる。
【0012】
ここで、本明細書における「球状」は、真球に限定されるものではなく、楕円球等の若干変形した球形や表面に若干の凹凸がある球形も含まれる。また、本明細書における「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものも含まれる。本明細書における「筒状」は、外縁形状が球形のもの、外縁形状が円形のもの、外縁形状が多角形のものを含み、外縁形状が直線又は曲線で結ばれる任意の閉じた形状からなるものを言う。
【0013】
[2]上記[1]において、前記保持部は、受け部と、前記受け部に合体可能に形成されたカバー部とを有し、前記受け部は、半球状の第1収容凹部を有し、前記カバー部は、半球状の第2収容凹部を有し、前記収容空間は、前記第1収容凹部と前記第2収容凹部とが重ね合わされて構成されており、前記可動部は、前記受け部と前記カバー部とによって挟まれた状態で前記収容空間に収容されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、保持部が、第1収容凹部を有する受け部と第2収容凹部を有するカバー部とによって可動部を包囲する筒状に形成されている。これにより、保持部を筒状としながらも、保持部が受け部とカバー部とに分かれていることで、保持部を可動部に対して容易に取り付けすることができる。この結果、外装部材の組立作業性を向上できる。
【0015】
[3]上記[2]において、前記受け部は、第1係合部を有し、前記カバー部は、前記第1係合部に係合する第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部との係合部分は、前記保持部の外部に露出しないように設けられていることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、受け部の第1係合部とカバー部の第2係合部との係合部分が保持部の外部に露出しないように設けられる。これにより、第1係合部と第2係合部との係合状態が意図せずに解除されることを好適に抑制できる。
【0017】
[4]上記[3]において、前記第1係合部は、前記受け部の周方向の端面から前記カバー部に向かって突出する第1弾性片と、前記第1弾性片の先端から前記受け部の周方向と交差する方向に向かって突出する第1係合突起とを有し、前記第2係合部は、前記カバー部の周方向の端面から前記受け部に向かって突出する第2弾性片と、前記第2弾性片の先端から前記第1弾性片に向かって突出する第2係合突起とを有し、前記第1係合突起と前記第2係合突起との係合部分は、前記収容空間の径方向において、前記第1弾性片と前記第2弾性片との間に設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1弾性片及び第2弾性片の弾性変形を利用したスナップフィット方式によって、第1係合突起と第2係合突起とを好適に係合させることができる。さらに、第1係合突起と第2係合突起との係合部分を第1弾性片と第2弾性片との間に設けることができるため、第1係合突起と第2係合突起との係合部分を保持部の外部から好適に隠すことができる。これにより、第1係合突起と第2係合突起との係合状態が意図せずに解除されることを好適に抑制できる。
【0019】
[5]上記[1]において、前記保持部は、単一部品により構成されており、前記保持部は、前記保持部の軸方向の端部に設けられた切欠部を有することが好ましい。
この構成によれば、保持部が単一部品により構成されるため、外装部材の部品点数を減らすことができる。また、保持部に切欠部が設けられているため、その切欠部が設けられた保持部の軸方向の端部から可動部を挿入することにより、保持部を弾性変形させつつ保持部の内部に可動部を好適に嵌合させることができる。これらにより、外装部材の組立作業性を向上できる。
【0020】
[6]上記[1]から[5]のいずれか1つにおいて、前記可動部は、前記第1筒状部に接続される可動側第1端部と、前記可動部の軸方向において前記可動側第1端部の反対側に設けられた可動側第2端部とを有し、前記保持部は、保持側第1端部と、前記保持部の軸方向において前記保持側第1端部の反対側に設けられるとともに前記第1筒状部側に設けられた保持側第2端部とを有し、前記可動部は、前記可動側第2端部における前記可動部の外周面に設けられた可動側係合部を有し、前記保持部は、前記保持側第2端部における前記保持部の内周面に設けられた保持側係合部を有し、前記可動側係合部は、前記保持部の軸方向において、前記保持側係合部に係合可能であることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、可動部に設けられた可動側係合部と、保持部に設けられた保持側係合部とが保持部の軸方向において互いに係合可能に設けられる。これら可動側係合部と保持側係合部とが互いに係合することにより、保持部から可動部が抜けることを好適に抑制できる。
【0022】
[7]上記[6]において、前記可動部は、前記第1筒状部よりも外径が大きく形成されており、前記可動部の外周面は、平面視において、最も径方向外側に位置する頂部と、前記可動側第1端部と前記頂部との間に設けられた第1曲面と、前記頂部と前記可動側第2端部との間に設けられた第2曲面とを有し、前記第1曲面は、前記可動側第1端部から前記頂部に向かうに連れて、前記第1筒状部の外周面からの径方向外側への突出量が大きくなるように湾曲して形成されており、前記第2曲面は、前記頂部から前記可動側第2端部に向かうに連れて、前記第1筒状部の外周面からの径方向外側への突出量が小さくなるように湾曲して形成されていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、第2曲面の一端部である可動側第2端部における可動部の外周面に可動側係合部が設けられる。このため、例えば可動部の頂部に可動側係合部が設けられる場合、つまり可動側第2端部よりも第1筒状部に近い側に設けられる場合に比べて、可動部材の軸方向における可動側係合部と保持側係合部との間の距離を大きくできる。これにより、可動部の頂部に可動側係合部が設けられる場合に比べて、可動部の可動域を拡大することができる。
【0024】
[8]上記[1]から[7]のいずれか1つにおいて、前記可動部は、前記第1筒状部よりも外径が大きく形成されており、前記可動部の径方向の厚みは、前記第1筒状部の径方向の厚みよりも厚く形成されていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、保持部の収容空間に収容される可動部の径方向の厚みが、第1筒状部の径方向の厚みよりも厚く形成される。これにより、可動部の厚みと第1筒状部の厚みとが等しい場合に比べて、可動部の剛性を向上させることができ、可動部が変形することを抑制できる。
【0026】
[9]上記[8]において、前記可動部は、前記第1筒状部に接続される可動側第1端部と、前記可動部の軸方向において前記可動側第1端部の反対側に設けられた可動側第2端部とを有し、前記可動部の内周面は、前記可動側第1端部側から前記可動側第2端部に向かうに連れて、前記可動部の径方向外側に傾斜する傾斜面を有していることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、可動部の内周面に傾斜面が設けられることにより、可動側第1端部側から可動側第2端部に向かうに連れて可動部の内部空間が大きくなるように形成される。このため、可動部のうち収容空間と連通する部分の内部空間を大きく形成することができる。これにより、可動部が回転することに伴って収容空間に対する可動部の角度が変化する場合であっても、可動部の内部空間と収容空間との連通部分付近において電線部材の通る空間が狭くなることを好適に抑制できる。
【0028】
[10]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[9]のいずれか1つに記載の外装部材と、前記外装部材を貫通する前記電線部材と、を備える。
この構成によれば、上記の外装部材と同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
[11]上記[10]において、前記外装部材を取付対象に固定するクランプを更に備え、前記保持部材は、前記保持部と一体に形成された第2筒状部を有し、前記第2筒状部は、前記保持部の軸方向の一端部から前記可動部から離れる方向に延びるように形成されており、前記クランプは、前記第2筒状部の外周面に取り付けられていることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、保持部と一体に形成された第2筒状部の外周面にクランプが取り付けられる。これにより、第2筒状部を取付対象に固定することができ、その第2筒状部と一体に形成された保持部を取付対象に固定することができる。
【0031】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の外装部材及びワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「垂直」や「全長」は、厳密に垂直や全長の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね垂直や全長の場合も含まれる。本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。本明細書において「等しい」とは、正確に等しい場合の他、寸法公差等の影響により比較対象同士に多少の相違がある場合も含む。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
(車両Vの構成)
図1に示すように、車両Vは、複数の電気機器M1,M2と、複数の電気機器M1,M2を電気的に接続するワイヤハーネス10とを有している。ワイヤハーネス10は、電気機器M1と電気機器M2との間に架け渡されるように形成されている。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vのボディと可動体B1との間に架け渡されるように形成されている。可動体B1としては、例えば、車両Vの車輪、シートやスライドドア等を挙げることができる。電気機器M1,M2としては、例えば、バッテリ、走行用モータ、エアコンディショナ、スライドドアアクチュエータ、バックドアアクチュエータ、シートヒータ及びこれらを制御する制御装置等を挙げることができる。電気機器M1は、例えば、車両Vのボディに取り付けられた電気機器である。電気機器M2は、例えば、可動体B1に取り付けられた電気機器である。電気機器M2としては、例えば、車両Vの車輪に組み込まれるとともに、その車輪を回転させる走行用モータ、いわゆるインホイールモータを用いることができる。また、電気機器M2としては、例えば、車両Vのスライドドアに取り付けられたスライドドアアクチュエータを用いることができる。電気機器M2は、例えば、可動体B1が移動する場合に(図中二点鎖線参照)、その可動体B1と一緒に移動する。ワイヤハーネス10は、例えば、可動体B1の移動に応じて、ワイヤハーネス10の経路を車両Vのボディや可動体B1と干渉することなく変形させることが可能に構成されている。例えば、ワイヤハーネス10は、スライドドアの開閉動作に応じて、ワイヤハーネス10の経路を車両Vのボディやスライドドアと干渉することなく湾曲変形させることが可能に構成されている。
【0033】
(ワイヤハーネス10の構成)
ワイヤハーネス10は、電線部材20と、電線部材20の外周を包囲する筒状の保護部材30とを有している。ワイヤハーネス10は、電線部材20の両端部に取り付けられたコネクタC1,C2を有している。電線部材20の長さ方向の一端部はコネクタC1を介して電気機器M1と接続されるとともに、電線部材20の長さ方向の他端部はコネクタC2を介して電気機器M2と接続されている。
【0034】
(電線部材20の構成)
図2及び図3に示すように、電線部材20は、例えば、1本以上の電線21と、電線21の外周を包囲する編組部材22とを有している。本実施形態の電線部材20は、2本の電線21と、2本の電線21を一括して包囲する編組部材22とを有している。
【0035】
各電線21は、例えば、導電性を有する芯線と、芯線の外周を囲うとともに電気絶縁性を有する絶縁被覆とを有する被覆電線である。各電線21は、例えば、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。各電線21は、例えば、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールド構造を有しないノンシールド電線であってもよい。本実施形態の各電線21は、ノンシールド電線である。
【0036】
編組部材22は、例えば、複数の電線21の外周を周方向全周にわたって包囲する筒状に形成されている。編組部材22は、例えば、可撓性を有している。編組部材22としては、例えば、複数の金属素線が編成された編組線や、金属素線と樹脂素線とを組み合わせて編成された編組線を用いることができる。
【0037】
(保護部材30の構成)
図1に示すように、保護部材30は、全体として長尺の筒状をなしている。保護部材30の内部空間には、電線部材20が収容されている。保護部材30は、例えば、内部に収容した電線部材20を飛翔物や水滴から保護する機能を有している。
【0038】
本実施形態の保護部材30は、外装部材31と、筒状部材32と、筒状部材33とを有している。外装部材31は、例えば、電線部材20の長さ方向の中間部に設けられている。図3に示すように、外装部材31は、例えば、ワイヤハーネス10の経路のうち屈曲する部分である屈曲部10Cに設けられている。外装部材31は、例えば、屈曲部10Cにおける電線部材20の外周を包囲している。ここで、屈曲部10Cは、ワイヤハーネス10の経路が2次元的又は3次元的に屈曲している部分である。本実施形態の屈曲部10Cは、ワイヤハーネス10の経路が急峻に曲げられる部分である。外装部材31は、例えば、クランプ90(図5参照)により、車両Vの車体パネル等の取付対象100(図5参照)に固定されている。図1に示すように、ワイヤハーネス10では、例えば、外装部材31とコネクタC2との間においてワイヤハーネス10の経路が変形可能に構成されている。
【0039】
筒状部材32は、コネクタC1と外装部材31との間に設けられている。筒状部材32は、例えば、コネクタC1と外装部材31との間に設けられた電線部材20の外周を包囲する筒状に形成されている。筒状部材32は、例えば、外装部材31の外部のみに配置されている。筒状部材33は、例えば、コネクタC2と外装部材31との間に設けられている。筒状部材33は、例えば、コネクタC2と外装部材31との間に設けられた電線部材20の外周を包囲する筒状に形成されている。筒状部材33は、例えば、外装部材31の外部のみに配置されている。例えば、筒状部材32と筒状部材33とは、別部品である。筒状部材32,33は、例えば、可撓性を有し、容易に屈曲可能である。可撓性を有する筒状部材32,33の例としては、例えば、樹脂製のコルゲートチューブ、ゴム製の防水カバーやツイストチューブが挙げられる。図2及び図3に示すように、本実施形態の筒状部材32,33は、筒状部材32,33の長さ方向において径が大小繰り返す蛇腹構造をなす樹脂製のコルゲートチューブである。
【0040】
(外装部材31の構成)
外装部材31は、筒状の可動部材40と、可動部材40を回転可能に保持する筒状の保持部材50とを有している。可動部材40と保持部材50とは別体に形成されている。すなわち、可動部材40と保持部材50とは別部品である。外装部材31は、可動部材40が保持部材50に組み付けられて構成されている。可動部材40及び保持部材50は、例えば、金属製又は樹脂製である。本実施形態の可動部材40及び保持部材50は、樹脂製である。可動部材40及び保持部材50の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタール等の合成樹脂を用いることができる。可動部材40の材料と保持部材50の材料とは、互いに異なる材料であってもよいし、互いに同種の材料であってもよい。可動部材40及び保持部材50は、例えば、コルゲートチューブである筒状部材32,33よりも硬質である。可動部材40及び保持部材50は、例えば、射出成形等の周知の製造方法によって製造できる。可動部材40及び保持部材50は、例えば、金型を用いて樹脂成形された樹脂成形品である。
【0041】
(可動部材40の構成)
図4及び図5に示すように、可動部材40は、筒状の第1筒状部41と、第1筒状部41の軸方向の一端部に設けられるとともに第1筒状部41と一体に形成された球状の可動部42とを有している。第1筒状部41は、例えば、可動部42から直線状に延びている。第1筒状部41は、保持部材50の外部に設けられている。第1筒状部41は、例えば、単一部品により構成されている。可動部42は、例えば、保持部材50の内側に嵌合する。可動部42は、例えば、保持部材50に対して回転可能に構成されている。可動部42は、例えば、単一部品により構成されている。可動部材40は、例えば、第1筒状部41と可動部42とが連続して一体に形成された単一部品である。
【0042】
図5に示すように、第1筒状部41及び可動部42は、電線部材20の外周を周方向全周にわたって包囲する筒状に形成されている。第1筒状部41及び可動部42は、例えば、可動部材40の周方向全周にわたって密閉されている。
【0043】
第1筒状部41は、電線部材20が貫通する収容部41Xを有している。可動部42は、電線部材20が貫通する内部空間42Xを有している。内部空間42Xは、収容部41Xと連通している。収容部41Xと内部空間42Xとが連通して形成される可動部材40の内部空間は、可動部材40の軸方向に沿って可動部材40の軸方向の全長にわたって延びている。収容部41X及び内部空間42Xには、例えば、電線部材20の長さ方向の中間部が収容されている。
【0044】
図4に示すように、第1筒状部41は、例えば、円筒状に形成されている。第1筒状部41は、例えば、直管状に形成されている。第1筒状部41は、例えば、第1筒状部41の軸方向の全長にわたって外径が一定に形成されている。第1筒状部41の外周面は、例えば、第1筒状部41の軸方向の全長にわたって平坦に形成されている。図5に示すように、第1筒状部41は、例えば、第1筒状部41の軸方向の全長にわたって内径が一定に形成されている。第1筒状部41の内周面、つまり収容部41Xの内周面は、例えば、第1筒状部41の軸方向の全長にわたって平坦に形成されている。第1筒状部41は、例えば、第1筒状部41の軸方向の全長にわたって可動部材40の径方向の厚み(肉厚)が一定に形成されている。このような第1筒状部41は、例えば、第1筒状部41の軸方向の全長にわたって横断面形状が一定の形状に形成されている。収容部41Xの内周面に沿った横断面形状は、例えば、円形状に形成されている。
【0045】
可動部42は、例えば、第1筒状部41と接続される可動側第1端部43と、可動側第1端部43と可動部42の軸方向において反対側に設けられた可動側第2端部44とを有している。
【0046】
可動部42は、例えば、全体として球状に形成されている。可動部42の外周面は、例えば、球面状に形成されている。可動部42の外周面は、可動部42の周方向に360度連続する球面状に形成されている。可動部42は、例えば、第1筒状部41よりも外形寸法が大きく形成されている。可動部42は、例えば、第1筒状部41よりも外径が大きく形成されている。可動部42の外周面は、例えば、第1筒状部41の外周面から径方向外側に膨らむように形成されている。
【0047】
図6に示すように、可動部42の外周面は、平面視において、最も径方向外側に位置する頂部45を有している。可動部42の外周面は、平面視において、可動側第1端部43と頂部45との間に設けられた第1曲面46と、可動側第2端部44と頂部45との間に設けられた第2曲面47とを有している。第1曲面46は、例えば、可動側第1端部43から頂部45に向かうに連れて、第1筒状部41の外周面からの径方向外側への突出量が大きくなるように湾曲して形成されている。第2曲面47は、例えば、頂部45から可動側第2端部44に向かうに連れて、第1筒状部41の外周面からの径方向外側への突出量が小さくなるように湾曲して形成されている。第2曲面47の曲率半径は、例えば、第1曲面46の曲率半径と等しい。但し、第2曲面47は、例えば、可動部材40の軸方向において、第1曲面46よりも短く形成されている。このため、可動側第2端部44の外周面は、可動側第1端部43の外周面よりも径方向外側に設けられている。
【0048】
可動部42は、例えば、可動側第2端部44における可動部42の外周面に設けられた可動側係合部48を有している。可動側係合部48は、可動側第2端部44における可動部42の外周面から可動部材40の径方向外側に突出するように形成されている。例えば、可動側係合部48は、第1筒状部41の外周面に対して垂直に延びるように形成されている。可動側係合部48は、例えば、可動部42の周方向全周にわたって形成されている。ここで、第2曲面47の軸方向に沿う寸法は、例えば、可動式金型を使用せずに可動側係合部48を有する可動部材40を形成可能な寸法に設定されている。
【0049】
図5に示すように、内部空間42Xの内周面は、例えば、収容部41Xの内周面と連続して一体に形成されている。内部空間42Xの内周面に沿った横断面形状は、例えば、収容部41Xの内周面に沿った横断面形状と同様の形状に形成されている。本実施形態の内部空間42Xの内周面に沿った横断面形状は、円形状に形成されている。可動側第1端部43における内部空間42Xの内径は、例えば、収容部41Xの内径と等しい。内部空間42Xは、例えば、可動側第1端部43側から可動側第2端部44側に向かうに連れて内部空間42Xの内径が大きくなるように形成されている。内部空間42Xの内周面は、例えば、可動部42の軸方向の中央部から可動側第2端部44に向かうに連れて、径方向外側に傾斜する傾斜面49を有している。傾斜面49は、例えば、可動部42の軸方向の中央部から可動側第2端部44まで延びている。
【0050】
可動部42は、例えば、第1筒状部41よりも可動部材40の径方向の厚み(肉厚)が厚く形成されている。可動部42は、例えば、可動部材40の軸方向において、可動側第1端部43から傾斜面49に向かうに連れて可動部42の肉厚が厚くなるように形成されている。可動部42は、例えば、可動部材40の軸方向において、傾斜面49の一端から可動側第2端部44に向かうに連れて可動部42の肉厚が薄くなるように形成されている。
【0051】
(保持部材50の構成)
図2及び図3に示すように、保持部材50は、例えば、筒状の第2筒状部51と、可動部42を回転可能に保持する保持部52とを有している。第2筒状部51は、例えば、保持部52から直線状に延びている。第2筒状部51は、例えば、単一部品により構成されている。保持部52は、例えば、受け部61と、受け部61に合体可能に形成されたカバー部62とを有している。受け部61は、例えば、第2筒状部51と連続して一体に形成されている。受け部61とカバー部62とは、例えば、別部品である。受け部61とカバー部62とは、例えば、着脱可能に形成されている。保持部材50では、例えば、受け部61とカバー部62とを合体させることにより、可動部42を保持する筒状の保持部52が形成されている。
【0052】
図5に示すように、第2筒状部51及び保持部52は、電線部材20の外周を周方向全周にわたって包囲する筒状に形成されている。保持部52は、例えば、可動部42の外周を周方向全周にわたって包囲している。保持部52は、例えば、受け部61とカバー部62とが合体した状態において、保持部材50の周方向全周にわたって密閉されている。第2筒状部51は、例えば、保持部材50の周方向全周にわたって密閉されている。
【0053】
第2筒状部51は、電線部材20が貫通する収容部51Xを有している。保持部52は、可動部42を回転可能に収容する球状の収容空間52Xを有している。収容空間52Xは、収容部51Xと連通している。収容部51Xと収容空間52Xとが連通して形成される保持部材50の内部空間は、保持部材50の軸方向に沿って保持部材50の軸方向の全長にわたって延びている。収容部51X及び収容空間52Xには、例えば、電線部材20の長さ方向の中間部が収容されている。
【0054】
第2筒状部51は、例えば、円筒状に形成されている。第2筒状部51は、例えば、直管状に形成されている。第2筒状部51は、例えば、第2筒状部51の軸方向の全長にわたって外径が一定に形成されている。第2筒状部51の外周面は、例えば、第2筒状部51の軸方向の全長にわたって平坦に形成されている。第2筒状部51は、例えば、第2筒状部51の軸方向の全長にわたって内径が一定に形成されている。第2筒状部51の内周面、つまり収容部51Xの内周面は、例えば、第2筒状部51の軸方向の全長にわたって平坦に形成されている。第2筒状部51は、例えば、第2筒状部51の軸方向の全長にわたって保持部材50の径方向の厚み(肉厚)が一定に形成されている。このような第2筒状部51は、例えば、第2筒状部51の軸方向の全長にわたって横断面形状が一定の形状に形成されている。収容部51Xの内周面に沿った横断面形状は、例えば、円形状に形成されている。第2筒状部51の内径は、例えば、可動部42が挿入不能な大きさに形成されている。
【0055】
保持部52は、例えば、第2筒状部51と接続される保持側第1端部53と、保持側第1端部53と保持部52の軸方向において反対側に設けられた保持側第2端部54とを有している。
【0056】
図2及び図3に示すように、保持部52は、例えば、全体として球状に形成されている。保持部52の外周面は、例えば、球面状に形成されている。保持部52は、例えば、第2筒状部51よりも外形寸法が大きく形成されている。保持部52は、例えば、第2筒状部51よりも外径が大きく形成されている。保持部52の外周面は、例えば、第2筒状部51の外周面から径方向外側に膨らむように形成されている。
【0057】
図6に示すように、保持部52の外周面は、例えば、平面視において、最も径方向外側に位置する頂部55を有している。保持部52の外周面は、例えば、平面視において、保持側第1端部53と頂部55との間に設けられた第1曲面56と、保持側第2端部54と頂部55との間に設けられた第2曲面57とを有している。第1曲面56は、例えば、保持側第1端部53から頂部55に向かうに連れて、第2筒状部51の外周面からの径方向外側への突出量が大きくなるように湾曲して形成されている。第2曲面57は、例えば、頂部55から保持側第2端部54に向かうに連れて、第2筒状部51の外周面からの径方向外側への突出量が小さくなるように湾曲して形成されている。第2曲面57の曲率半径は、例えば、第1曲面56の曲率半径と等しい。但し、第2曲面57は、例えば、保持部材50の軸方向において、第1曲面56よりも短く形成されている。このため、保持側第2端部54の外周面は、保持側第1端部53の外周面よりも径方向外側に設けられている。なお、図6では、カバー部62の図示を省略している。
【0058】
図4に示すように、収容空間52Xは、例えば、全体として球状に形成されている。図5に示すように、収容空間52Xの内周面は、例えば、収容部51Xの内周面と連続して形成されている。収容空間52Xの内周面は、例えば、球面状に形成されている。収容空間52Xの内周面は、保持部52の周方向に360度連続する球面状に形成されている。収容空間52Xの内径は、例えば、収容部51Xの内径よりも大きく形成されている。収容空間52Xは、例えば、収容空間52Xに対して自由に回転可能な状態で可動部42を収容できる大きさに形成されている。収容空間52Xは、例えば、収容空間52Xに対して可動部42が回転する際にその可動部42が収容空間52Xから抜けない大きさに設定されている。収容空間52Xの内径は、例えば、可動部42の外径よりも大きく形成されている。収容空間52Xの内周面における曲率半径は、例えば、可動部42の外周面における曲率半径と等しい。収容空間52Xは、例えば、収容空間52Xに収容された可動部42の内部空間42Xと部分的に連通している。換言すると、可動部42の内部空間42Xは、収容空間52Xと部分的に連通するとともに、その収容空間52Xを通じて第2筒状部51の収容部51Xと連通している。
【0059】
保持部52は、例えば、保持部52の軸方向の全長にわたって保持部材50の径方向の厚み(肉厚)が一定に形成されている。保持部52の径方向の厚みは、例えば、第2筒状部51の径方向の厚みと等しい。保持部材50は、保持部材50の軸方向の全長にわたって径方向の厚みが一定に形成されている。保持部52の径方向の厚みは、例えば、可動部42の径方向の厚みよりも薄い。
【0060】
図5に示すように、保持部52は、例えば、保持側第2端部54における保持部52の内周面に設けられた保持側係合部58を有している。保持側係合部58は、例えば、可動部材40に設けられる可動側係合部48と保持部材50の軸方向において係合可能に形成されている。保持側係合部58と可動側係合部48とが保持部材50の軸方向において互いに係合することにより、保持部52の収容空間52Xから可動部42が抜けることを好適に抑制できる。保持側係合部58は、保持側第2端部54における収容空間52Xの内周面から保持部材50の径方向内側に突出するように形成されている。例えば、保持側係合部58は、第2筒状部51の内周面に対して垂直に延びるように形成されている。
【0061】
図7に示すように、保持側係合部58は、例えば、保持部52の周方向全周にわたって形成されている。保持側係合部58は、例えば、受け部61における保持側第2端部54の内周面に設けられた第1保持側係合部58Aと、カバー部62における保持側第2端部54の内周面に設けられた第2保持側係合部58Bとを有している。保持側係合部58は、例えば、保持部52の周方向において、第1保持側係合部58Aと第2保持側係合部58Bとが連続して延びるように形成されている。保持側係合部58は、例えば、収容空間52Xの貫通方向から見た平面視において、可動側係合部48と重なるように形成されている。保持側係合部58における収容空間52Xの内径は、例えば、可動側係合部48における可動部42の外径よりも小さく形成されている。
【0062】
受け部61は、例えば、全体として半割筒状に形成されている。受け部61は、例えば、カバー部62と対向する底壁71Aと、底壁71Aの両側縁からカバー部62に向かって突出するとともに互いに対向する2つの側壁72Aとを有している。底壁71Aは、例えば、保持部材50の長さ方向に沿って延びている。各側壁72Aは、底壁71Aと連続して一体に形成されている。各側壁72Aは、例えば、底壁71Aの幅方向(図中左右方向)の両端縁のそれぞれからカバー部62に向かって突出している。各側壁72Aは、例えば、受け部61の高さ方向(図中上下方向)に沿って延びている。2つの側壁72Aは、例えば、受け部61の幅方向において互いに対向している。
【0063】
受け部61は、半球状の第1収容凹部73Aを有している。第1収容凹部73Aは、受け部61とカバー部62とが合体した状態において、球状の収容空間52Xを構成する。第1収容凹部73Aは、半球状に凹むように形成されている。第1収容凹部73Aの内面は、半球面状に形成されている。第1収容凹部73Aの内面は、底壁71Aの内面と各側壁72Aの内面とによって構成されている。底壁71Aの内面は、曲面に形成されている。各側壁72Aの内面は、曲面に形成されている。底壁71Aの内面と各側壁72Aの内面とは、例えば、同じ曲率で連続して湾曲するように形成されている。
【0064】
受け部61は、1以上の第1係合部74Aを有している。本実施形態の受け部61は、2つの第1係合部74Aを有している。各第1係合部74Aは、各側壁72Aの周方向の端面に設けられている。図4に示すように、各第1係合部74Aは、各側壁72Aの長さ方向に沿って延びている。各第1係合部74Aは、各側壁72Aの長さ方向の全長にわたって延びている。
【0065】
図7に示すように、各第1係合部74Aは、例えば、各側壁72Aの周方向の端面からカバー部62に向かって突出する弾性変形可能な第1弾性片75Aと、第1弾性片75Aの先端に設けられた第1係合突起76Aとを有している。第1弾性片75Aは、例えば、側壁72Aの周方向の端面に接続された基端を固定端とし、基端とは反対側の先端を自由端とする片持ち状に形成されている。第1弾性片75Aの径方向の厚みは、例えば、側壁72Aの径方向の厚みよりも薄い。第1弾性片75Aは、例えば、側壁72Aの厚み方向(図中左右方向)において、側壁72Aの内周面側に設けられている。第1弾性片75Aの内周面は、例えば、側壁72Aの内周面と段差無く連続して一体に形成されている。第1弾性片75Aは、例えば、弾性変形による側壁72Aの厚み方向への撓みが可能に構成されている。第1係合突起76Aは、例えば、第1弾性片75Aの先端から受け部61の周方向と交差する方向に向かって突出している。第1係合突起76Aは、例えば、第1弾性片75Aの外周面から、収容空間52Xから離れる方向に向かって突出している。
【0066】
図4に示すように、カバー部62は、例えば、全体として半割筒状に形成されている。カバー部62は、例えば、受け部61と同様の構造を有している。このため、カバー部62のうち受け部61と共通の構造を有する部分については、受け部61の対応する構成の符号の末尾の「A」を「B」に変更した符号を付すことにより、その詳細な説明を省略する。
【0067】
図7に示すように、カバー部62は、例えば、受け部61と対向する底壁71Bと、底壁71Bの両側縁から受け部61に向かって突出するとともに互いに対向する2つの側壁72Bとを有している。カバー部62は、半球状の第2収容凹部73Bを有している。第2収容凹部73Bは、半球状に凹むように形成されている。第2収容凹部73Bの内面は、半球面状に形成されている。第2収容凹部73Bは、受け部61とカバー部62とが合体した状態において、球状の収容空間52Xを構成する。すなわち、受け部61とカバー部62とが合体した状態では、受け部61の第1収容凹部73Aとカバー部62の第2収容凹部73Bとが重ね合わされて球状の収容空間52Xが形成されている。
【0068】
カバー部62は、1以上の第2係合部74Bを有している。本実施形態のカバー部62は、2つの第2係合部74Bを有している。各第2係合部74Bは、各側壁72Bの周方向の端面に設けられている。図4に示すように、各第2係合部74Bは、各側壁72Bの長さ方向に沿って延びている。各第2係合部74Bは、各側壁72Bの長さ方向の全長にわたって延びている。
【0069】
図7に示すように、各第2係合部74Bは、例えば、各側壁72Bの周方向の端面から受け部61に向かって突出する弾性変形可能な第2弾性片75Bと、第2弾性片75Bの先端に設けられた第2係合突起76Bとを有している。第2弾性片75Bは、例えば、側壁72Bの周方向の端面に接続された基端を固定端とし、基端とは反対側の先端を自由端とする片持ち状に形成されている。第2弾性片75Bの径方向の厚みは、例えば、側壁72Bの径方向の厚みよりも薄い。第2弾性片75Bは、例えば、側壁72Bの厚み方向(図中左右方向)において、側壁72Bの外周面側に設けられている。第2弾性片75Bの外周面は、例えば、側壁72Bの外周面と段差無く連続して一体に形成されている。第2弾性片75Bは、例えば、弾性変形による側壁72Bの厚み方向への撓みが可能に構成されている。第2係合突起76Bは、例えば、カバー部62の周方向と交差する方向に向かって突出している。第2係合突起76Bは、例えば、第2弾性片75Bの先端から第1弾性片75Aに向かって突出している。第2係合突起76Bは、例えば、第2弾性片75Bの内周面から、収容空間52Xに近づく方向に向かって突出している。第2係合突起76Bは、例えば、受け部61に設けられた第1係合突起76Aと係合可能に構成されている。受け部61とカバー部62とが合体されると、第1係合突起76Aと第2係合突起76Bとが互いに係合する。第1係合部74Aと第2係合部74Bとは、例えば、第1弾性片75A及び第2弾性片75Bの弾性変形を利用したスナップフィット方式により互いに係合される。例えば、第1係合突起76Aと第2係合突起76Bとが接触すると、第1弾性片75Aと第2弾性片75Bとが互いに離れる方向に弾性変形する。その後、第2係合突起76Bが第1係合突起76Aを乗り越えると、第1弾性片75A及び第2弾性片75Bが元の形状に戻ろうと弾性復帰する。これにより、第1係合突起76Aと第2係合突起76Bとが互いに係合される。
【0070】
受け部61とカバー部62とが合体した状態では、第1係合部74Aと第2係合部74Bとの係合部分が保持部52の外部に露出しない位置に設けられる。第1係合部74Aと第2係合部74Bとの係合部分は、例えば、保持部52の周壁の内部に収容される。例えば、第1係合突起76Aと第2係合突起76Bとの係合部分は、収容空間52Xの径方向において、第1弾性片75Aと第2弾性片75Bとの間に設けられている。このとき、第1係合部74Aの第1弾性片75Aの内周面は、例えば、カバー部62の第2収容凹部73Bの内周面と連続するように形成されている。例えば、保持部52の横断面において、第1弾性片75Aの内周面は、第2収容凹部73Bの内周面と同一の円弧上に形成されている。第2係合部74Bの第2弾性片75Bの外周面は、例えば、受け部61の外周面と連続するように形成されている。例えば、保持部52の横断面において、第2弾性片75Bの外周面は、受け部61の外周面と同一の円弧上に形成されている。
【0071】
受け部61とカバー部62とは、例えば、第1収容凹部73A及び第2収容凹部73B同士を重ね合わせるようにして合体されている。図5に示すように、受け部61とカバー部62とは、電線部材20とその電線部材20の長さ方向の一部を収容する可動部材40の可動部42とを間に挟んだ状態で合体されている。図7に示すように、受け部61とカバー部62とは、第1係合部74Aと第2係合部74Bとが互いに係合されるように合体されている。これら第1係合部74Aと第2係合部74Bとの係合により、受け部61とカバー部62とが合体した状態、つまり受け部61とカバー部62とにより筒状の保持部52が形成された状態が維持される。図2及び図3に示すように、受け部61とカバー部62とが合体した状態では、第1収容凹部73Aと第2収容凹部73Bとにより構成される球状の収容空間52Xに球状の可動部42が収容される。このとき、収容空間52Xに収容された可動部42は、受け部61とカバー部62との間に設けられ、受け部61とカバー部62とによって挟まれている。さらに、可動部42は、可動部42の周方向に360度連続する球面状の外周面が、保持部52の周方向に360度連続する球面状の内周面に接触しつつ回転可能に収容空間52Xに収容されている。これにより、可動部42は、収容空間52Xに対して自由に回転可能に収容空間52X内に保持されている。このように、可動部42と保持部52とは、ユニバーサルジョイント機構を構成している。例えば、可動部42は、電線部材20の周方向において360度回転可能に収容空間52Xに保持されている。例えば、可動部42は、電線部材20の横断面における各方向にスライド可能に収容空間52X内に保持されている。すなわち、可動部42は、電線部材20の横断面における上下左右及び斜め方向に可動自在に保持部材50に保持されている。このような可動部42に第1筒状部41が一体に形成されているため、第1筒状部41は保持部材50に対して可動自在に保持部材50に保持されている。例えば、第1筒状部41は、保持部材50に対して電線部材20の周方向に回転可能に保持部材50に保持されている。例えば、第1筒状部41は、保持部材50に対して電線部材20の横断面における上下左右及び斜め方向に可動自在に保持部材50に保持されている。
【0072】
これにより、図2及び図3に示すように、保持部材50の外部に引き出される第1筒状部41の引き出し方向を容易に可変することができる。このとき、電線部材20は第1筒状部41の内部に収容されているため、第1筒状部41の引き出し方向の変更に合わせて、保持部材50の外部に引き出される電線部材20の引き出し方向を容易に可変することができる。このため、例えば図3に示すように、ワイヤハーネス10の経路が急峻に曲げられる場合であっても、その曲げ状態に合わせて第1筒状部41及び電線部材20の引き出し方向を容易に調整することができる。さらに、可動体B1(図1参照)の移動に伴ってワイヤハーネス10の経路が変更される場合であっても、その経路変更に対応するように第1筒状部41及び電線部材20の引き出し方向を容易に可変させることができる。なお、収容空間52Xから引き出される第1筒状部41及び電線部材20の可動域は、例えば、保持部52の軸方向の端部と第1筒状部41との接触により規制される。
【0073】
(クランプ90の構成)
図5に示すように、ワイヤハーネス10は、例えば、外装部材31の保持部材50を車体パネル等の取付対象100に固定するクランプ90を有している。クランプ90は、例えば、保持部材50の第2筒状部51の外周面に取り付けられている。クランプ90は、例えば、第2筒状部51の軸方向の中間部に設けられている。クランプ90は、例えば、第2筒状部51の外周に嵌合する嵌合部91と、取付対象100に固定される固定部92とを有している。嵌合部91は、例えば、第2筒状部51の外周を周方向全周にわたって包囲している。例えば、嵌合部91が第2筒状部51の外周に取り付けられるとともに固定部92が取付対象100に固定されることにより、保持部材50が取付対象100に固定される。クランプ90は、例えば、金属製又は樹脂製である。
【0074】
(規制部材95,96の構成)
ワイヤハーネス10は、例えば、外装部材31に対する筒状部材32の相対移動を規制する規制部材95を有している。ワイヤハーネス10は、例えば、外装部材31に対する筒状部材33の移動を相対規制する規制部材96を有している。規制部材95,96としては、例えば、結束バンド、カシメリングや粘着テープ等を用いることができる。本実施形態の規制部材95,96は、粘着テープである。なお、図5以外の図面では、図面の簡略化のために、クランプ90及び規制部材95,96の図示を省略している。
【0075】
規制部材95は、例えば、第1筒状部41の長さ方向の端部のうち可動部42とは反対側に設けられた端部の外周面から筒状部材33の外周面にわたって巻き付けられている。規制部材96は、例えば、第2筒状部51の長さ方向の端部のうち保持部52とは反対側に設けられた端部の外周面から筒状部材32の外周面にわたって巻き付けられている。
【0076】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)可動部42は、可動部42の球面状の外周面が保持部52の球面状の内周面に接触しつつ回転可能に収容空間52Xに収容される。これにより、可動部42を、収容空間52X内において、保持部52に対して自由に回転させることができる。このような可動部42に第1筒状部41が一体に形成されている。このため、保持部材50の外部に設けられた第1筒状部41を、可動部42の回転と連動して保持部52に対して種々の方向に可動させることができる。これにより、保持部材50の外部に引き出される第1筒状部41の引き出し方向を容易に可変することができる。したがって、ワイヤハーネス10の経路が急峻に曲げられる場合であっても、その曲げ部分の経路に合わせて第1筒状部41の引き出し方向を容易に調整することができる。この結果、ワイヤハーネス10の経路が急峻に曲げられる場合であっても、その曲げ部分の経路に合わせて外装部材31を容易に変形させることができるため、狭いスペースであっても外装部材31を有するワイヤハーネス10を好適に配索することができる。これにより、ワイヤハーネス10の配索性を向上できる。
【0077】
(2)さらに、外装部材31のうち保持部材50の外部に引き出される部分には第1筒状部41が設けられている。このため、外装部材31の内部に電線部材20が収容された場合に、保持部材50の外部に引き出される電線部材20の外周が第1筒状部41により包囲される。これにより、保持部材50の外部に引き出される電線部材20の経路を第1筒状部41により規制することができる。この結果、ワイヤハーネス10と周辺部品との干渉を好適に抑制できるため、狭いスペースであってもワイヤハーネス10を好適に配索することができる。これにより、ワイヤハーネス10の配索性をより向上できる。
【0078】
(3)球状の可動部42は、球状の収容空間52Xに対して自由に回転可能に収容空間52X内に保持されている。これら可動部42と保持部52とは、ユニバーサルジョイント機構を構成している。これにより、可動部42は、収容空間52Xにおいて保持部52の周方向に360度回転可能に保持される。このため、可動部42とコネクタC2との間で揺動が発生した場合に、どのような方向の揺動であってもその揺動に追従して可動部42を可動させることができる。この結果、揺動に伴って大きな荷重が固定側の保持部材50に入力されることを好適に抑制できる。
【0079】
(4)保持部52は、第1収容凹部73Aを有する受け部61と第2収容凹部73Bを有するカバー部62とによって可動部42を包囲する筒状に形成されている。これにより、保持部52を筒状としながらも、保持部52が受け部61とカバー部62とに分かれていることで、保持部52を可動部42に対して容易に取り付けすることができる。この結果、外装部材31の組立作業性を向上できる。
【0080】
(5)受け部61の第1係合部74Aとカバー部62の第2係合部74Bとの係合部分が保持部52の外部に露出しないように設けられる。これにより、第1係合部74Aと第2係合部74Bとの係合状態が意図せずに解除されることを好適に抑制できる。
【0081】
(6)可動部42に設けられた可動側係合部48と、保持部52に設けられた保持側係合部58とが保持部52の軸方向において互いに係合可能に設けられる。これら可動側係合部48と保持側係合部58とが互いに係合することにより、収容空間52Xから可動部42が抜けることを好適に抑制できる。
【0082】
(7)第2曲面47の一端部である可動側第2端部44における可動部42の外周面に可動側係合部48が設けられる。このため、例えば可動部42の頂部45に可動側係合部48が設けられる場合、つまり可動側第2端部44よりも第1筒状部41に近い側に設けられる場合に比べて、可動部材40の軸方向における可動側係合部48と保持側係合部58との間の距離を大きくできる。これにより、可動部42の頂部45に可動側係合部48が設けられる場合に比べて、可動部42の可動域を拡大することができる。
【0083】
(8)第2曲面47は、可動部材40の軸方向において、第1曲面46よりも短く形成されている。この構成によれば、第2曲面47が可動部材40の軸方向において第1曲面46と同じ長さに形成される場合に比べて、可動部42の頂部45から可動側係合部48までの距離を短くすることができる。これにより、金型を用いて可動部材40を製造する際において、可動側係合部48を有する可動部材40の製造性を向上させることができる。特に、第2曲面47の軸方向に沿う寸法を、可動式金型を使用せずに可動側係合部48を形成可能な寸法に設定することにより、可動部材40の製造性を向上させることができる。
【0084】
(9)可動部42の径方向の厚みが、第1筒状部41の径方向の厚みよりも厚く形成されている。これにより、可動部42の厚みと第1筒状部41の厚みとが等しい場合に比べて、可動部42の剛性を向上させることができ、可動部42が変形することを抑制できる。
【0085】
(10)ところで、ワイヤハーネス10に屈曲部10Cを形成する際には、例えば、まず、可動部材40と保持部材50とが直線状に延びるように組み付けられた状態の外装部材31の内部に電線部材20が挿入される。次に、保持部材50に対して可動部材40を回転させることにより、外装部材31が屈曲される。このとき、外装部材31の内部に収容された電線部材20が外装部材31と一緒に屈曲されることにより、ワイヤハーネス10に屈曲部10Cが形成される。この場合の電線部材20は、回転する可動部材40の内周面近傍を起点にして屈曲される。このため、可動部42の内周面には、電線部材20が接触しやすい。これに対し、可動部42の剛性が高められているため、電線部材20との接触に起因して可動部42が損傷することを好適に抑制できる。
【0086】
(11)可動部42の内周面に傾斜面49を設けた。これにより、可動側第1端部43側から可動側第2端部44に向かうに連れて可動部42の内部空間42Xが大きくなるように形成される。このため、可動部42の内部空間42Xのうち収容空間52Xと連通する部分の空間を大きく形成することができる。これにより、可動部42が回転することに伴って収容空間52Xに対する可動部42の角度が変化する場合であっても、可動部42の内部空間42Xと収容空間52Xとの連通部分付近において電線部材20の通る空間が狭くなることを好適に抑制できる。
【0087】
(12)保持部材50の第2筒状部51の外周面にクランプ90が取り付けられている。これにより、第2筒状部51を取付対象100に固定することができ、その第2筒状部51と一体に形成された保持部52を取付対象100に固定することができる。
【0088】
(13)保持部材50をクランプ90により取付対象100に固定できるため、可動部材40とコネクタC2との間で揺動が発生した場合であっても、その揺動に起因して生じる荷重が保持部材50よりもコネクタC1側に伝搬することを好適に抑制できる。
【0089】
(14)筒状部材32,33を、外装部材31の外部のみに設けるようにした。このため、筒状部材32,33は、屈曲部10Cにおける電線部材20の外周を包囲する外装部材31の内部に挿入されない。したがって、屈曲部10Cの経路に沿って屈曲されることに起因して筒状部材32,33に割れ等の損傷が発生することを抑制できる。
【0090】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0091】
・上記実施形態では、保持部材50の保持部52を、受け部61とカバー部62との複数部品で構成するようにしたが、これに限定されない。
例えば図8図11に示すように、保持部材50の保持部52Aを、単一部品で構成するようにしてもよい。保持部52Aは、図2等に示した保持部52と同様に、可動部材40の可動部42を回転可能に収容する球状の収容空間52Xを有している。本変更例の保持部52Aは、例えば、1以上の切欠部80を有している。図10及び図11に示すように、本変更例の保持部52Aは、2つの切欠部80を有している。各切欠部80は、例えば、保持部52Aの軸方向の端部、具体的には保持側第2端部54に設けられた切り欠きである。各切欠部80は、例えば、収容空間52Xに連通している。図10に示すように、各切欠部80は、例えば、保持部52Aの軸方向の端面から収容空間52Xの軸方向の一部まで切り欠くように形成されている。各切欠部80は、例えば、保持部材50の軸方向に沿って延びている。各切欠部80は、例えば、保持側第2端部54における収容空間52Xの開口端から保持部52Aの軸方向の中間部分まで延びている。各切欠部80は、例えば、保持部52Aの周壁を切り欠くように形成されている。各切欠部80は、例えば、保持部52Aの軸方向と直交する方向に開口するとともに、保持部52Aの軸方向に開口している。なお、切欠部80により切り欠かれた収容空間52Xの大きさは、その収容空間52Xから可動部42が抜けない大きさに設定されている。換言すると、収容空間52Xの大きさがその収容空間52Xから可動部42が抜けない大きさに維持されるように、切欠部80の大きさが設定されている。
【0092】
図11に示すように、保持部52Aの保持側第2端部54の内周面には、保持側係合部58が設けられている。保持側係合部58は、可動部42に設けられた可動側係合部48と保持部材50の軸方向において係合可能に設けられている。保持側係合部58における収容空間52Xの内径は、例えば、可動側係合部48における可動部42の外径よりも小さく形成されている。
【0093】
図8及び図9に示すように、保持部52Aの球状の収容空間52Xには、球状の可動部42が収容される。ここで、保持部材50に可動部材40を組み付ける際には、保持側第2端部54における収容空間52Xの開口端から可動部42が挿入される。すると、保持部52Aが弾性変形して収容空間52Xの開口径が大きくなる。このように、保持部52Aを弾性変形させながら収容空間52Xの内部に可動部42が挿入される。このとき、保持部52Aに切欠部80を設けたことにより、保持部52Aを好適に弾性変形させることができ、収容空間52Xの開口径を好適に大きくすることができる。換言すると、切欠部80の数及び大きさは、可動部42が挿入可能な開口径まで収容空間52Xの開口径を広げることが可能なように設定されている。なお、可動部42が収容空間52Xに収容されると、保持部52Aが元の形状に戻ろうと弾性復帰する。これにより、図11に示すように、保持側係合部58における収容空間52Xの内径が、可動側係合部48における可動部42の外径よりも小さく形成される。このため、収容空間52Xから可動部42が抜けることを抑制できる。
【0094】
球状の収容空間52Xに球状の可動部42が収容されると、可動部42が収容空間52Xに対して自由に回転可能に収容空間52X内に保持される。例えば、可動部42は、電線部材20の周方向において回転可能に収容空間52Xに保持される。例えば、可動部42は、電線部材20の横断面における各方向にスライド可能に収容空間52X内に保持される。このため、可動部42と一体に形成された第1筒状部41は、保持部材50に対して可動自在に保持部材50に保持される。これにより、図8及び図9に示すように、保持部材50の外部に引き出される第1筒状部41及び電線部材20の引き出し方向を容易に可変することができる。
【0095】
この構成によれば、保持部52Aが単一部品により構成されるため、外装部材31の部品点数を減らすことができる。また、保持部52Aに切欠部80が設けられているため、その切欠部80が設けられた保持部52Aの保持側第2端部54側から可動部42を挿入することにより、保持部52Aを弾性変形させつつ保持部52Aの内部に可動部42を好適に嵌合させることができる。これらにより、外装部材31の組立作業性を向上できる。
【0096】
図8図11に示した変更例における切欠部80の数は特に限定されない。例えば、保持部52Aに、1つの切欠部80のみを設けるようにしてもよい。例えば、保持部52Aに、3つ以上の切欠部80を設けるようにしてもよい。
【0097】
・上記実施形態では、可動部42の内周面に傾斜面49を設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、可動部42の内周面に傾斜面49を形成しないようにしてもよい。この場合の可動部42の内部空間42Xは、例えば、可動部42の軸方向の全長にわたって内径が一定に形成される。
【0098】
・上記実施形態の可動部42の径方向の厚みを、可動部42の軸方向の全長にわたって一定になるように形成してもよい。
・上記実施形態では、可動部42の径方向の厚みを、第1筒状部41の径方向の厚みよりも厚く形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、可動部42の径方向の厚みを、第1筒状部41の径方向の厚みと等しく形成してもよい。この場合の可動部材40は、例えば、可動部材40の軸方向の全長にわたって径方向の厚みが一定に形成される。例えば、可動部42の径方向の厚みを、第1筒状部41の径方向の厚みよりも薄く形成してもよい。
【0099】
・上記実施形態の可動部42における可動側係合部48の形成位置は特に限定されない。例えば、可動部42の頂部45に可動側係合部48を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態の可動部42における可動側係合部48を省略してもよい。
【0100】
・上記実施形態の保持部52における保持側係合部58を省略してもよい。
図8図11に示した変更例の保持部52Aにおける保持側係合部58を省略してもよい。
【0101】
・上記実施形態における第1係合部74A及び第2係合部74Bの構造は特に限定されない。例えば、第1係合部74A及び第2係合部74Bは、第1係合部74Aと第2係合部74Bとの係合部分が保持部52の外側に露出する構造であってもよい。
【0102】
・上記実施形態の保持部52では、受け部61を半球状に形成し、カバー部62を半球状に形成したが、受け部61及びカバー部62の構造は特に限定されない。
・上記実施形態では、可動部42の外形寸法を、第1筒状部41の外形寸法よりも大きく形成したが、これに限定されない。例えば、可動部42の外形寸法を、第1筒状部41の外形寸法と同じ大きさに形成してもよい。例えば、可動部42の外形寸法を、第1筒状部41の外形寸法よりも小さく形成してもよい。
【0103】
・上記実施形態における第1筒状部41の構造を適宜変更してもよい。例えば、第1筒状部41を、屈曲部分を有する形状に形成してもよい。
・上記実施形態では、可動部材40を、単一部品により構成するようにしたが、これに限定されない。例えば、可動部材40を、複数の部品を組み合わせて構成するようにしてもよい。
【0104】
・上記実施形態における第2筒状部51の構造を適宜変更してもよい。例えば、第2筒状部51を、屈曲部分を有する形状に形成してもよい。
・上記実施形態の第2筒状部51の外周面に溝部を設け、その溝部の底面にクランプ90を取り付けるようにしてもよい。
【0105】
・上記実施形態の保持部材50における第2筒状部51を省略してもよい。
・上記実施形態のクランプ90を省略してもよい。
・上記実施形態における電線部材20の構成は特に限定されない。
【0106】
・上記実施形態の電線部材20では、電磁シールド部材を編組部材22に具体化したが、これに限定されない。例えば、電線部材20における電磁シールド部材を金属箔に具体化してもよい。
【0107】
・上記実施形態では、電線部材20を、電線21と編組部材22とにより構成するようにしたが、これに限定されない。例えば、電線部材20を、電線21のみで構成するようにしてもよい。
【0108】
・上記実施形態において、電線部材20が有する電線21の本数は、特に限定されるものではなく、車両Vの仕様に応じて電線21の本数は変更することができる。例えば、電線部材20が有する電線21の本数は、1本であってもよく、3本以上であってもよい。
【0109】
・上記実施形態の電線部材20に、複数の電線21を束ねる結束部材を設けるようにしてもよい。結束部材としては、例えば、粘着テープや結束バンドを用いることができる。
・上記実施形態では、筒状部材32,33を、コルゲートチューブに具体化したが、これに限定されない。例えば、筒状部材32,33としては、金属製又は樹脂製のパイプ、ゴム製の防水カバーや樹脂シート又はこれらを組み合わせて用いることができる。
【0110】
・上記実施形態では、筒状部材32,33を、外装部材31の外部のみに設けるようにしたが、これに限定されない。筒状部材32,33を、外装部材31の内部に挿入するようにしてもよい。
【0111】
・上記実施形態では、筒状部材32,33を別部品により構成するようにしたが、筒状部材32,33を単一部品により構成するようにしてもよい。この場合には、単一部品により構成される筒状部材が外装部材31の内部を貫通するように設けられる。
【0112】
・上記実施形態のワイヤハーネス10は、1つの外装部材31を有するようにしたが、外装部材31の数は特に限定されない。例えば、ワイヤハーネス10は、2つ以上の外装部材31を有するようにしてもよい。
【0113】
・上記実施形態では、車両Vのボディに取り付けられた電気機器M1と可動体B1に取り付けられた電気機器M2との間に架け渡されるワイヤハーネス10に具体化したが、これに限定されない。例えば、可動しない対象物に取り付けられた電気機器M1と可動しない対象物に取り付けられた電気機器M2との間に架け渡されるワイヤハーネス10に具体化してもよい。
【0114】
・上記実施形態では、外装部材31を、電線部材20の長さ方向の中間部に設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、外装部材31を、電線部材20の長さ方向の端部に設けるようにしてもよい。この場合には、外装部材31がコネクタC1,C2等の近傍に設けられることになる。このとき、保持部材50から引き出された第1筒状部41及び電線部材20の引き出し方向を容易に変更することができるため、コネクタC1,C2を容易に移動させることができる。これにより、コネクタC1,C2と電気機器M1,M2との接続作業性を向上させることができる。
【0115】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0116】
10 ワイヤハーネス
10C 屈曲部
20 電線部材
21 電線
22 編組部材
30 保護部材
31 外装部材
32,33 筒状部材
40 可動部材
41 第1筒状部
41X 収容部
42 可動部
42X 内部空間
43 可動側第1端部
44 可動側第2端部
45 頂部
46 第1曲面
47 第2曲面
48 可動側係合部
49 傾斜面
50 保持部材
51 第2筒状部
51X 収容部
52,52A 保持部
52X 収容空間
53 保持側第1端部
54 保持側第2端部
55 頂部
56 第1曲面
57 第2曲面
58 保持側係合部
58A 第1保持側係合部
58B 第2保持側係合部
61 受け部
62 カバー部
71A,71B 底壁
72A,72B 側壁
73A 第1収容凹部
73B 第2収容凹部
74A 第1係合部
74B 第2係合部
75A 第1弾性片
75B 第2弾性片
76A 第1係合突起
76B 第2係合突起
80 切欠部
90 クランプ
91 嵌合部
92 固定部
95,96 規制部材
100 取付対象
V 車両
B1 可動体
C1,C2 コネクタ
M1,M2 電気機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11