(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135547
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】クリーニングサイクルにおける衣類の管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240927BHJP
G06Q 10/0833 20230101ALI20240927BHJP
D06F 33/30 20200101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/0833
D06F33/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046294
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】500366495
【氏名又は名称】新日本ウエックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】河合 一夫
(72)【発明者】
【氏名】小竹 修平
【テーマコード(参考)】
3B167
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3B167AC21
3B167AE03
3B167AE05
3B167BA40
3B167BA82
3B167BA91
3B167BA92
3B167HA10
3B167HA56
3B167MA03
3B167MA08
3B167MA19
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】クリーニングサイクルにおける衣類の改良された管理システムを提供する。
【解決手段】クリーニング工程に受け入れられる使用済みの衣類に取り付けられている無線タグの格納情報を読み取り、衣類の受入れ衣類データとして出力する受入れ読取り手段と、クリーニングされた後に出荷される衣類の無線タグの格納情報を読み取り、衣類の出荷衣類データとして出力する出荷読取り手段と、それら受入れ衣類データ及び出荷衣類データが入力せしめられ、管理する衣類管理手段と、衣類の利用過程の所定の位置において衣類の無線タグの格納情報を読み取り、当該衣類の利用状況データとして出力し、それを衣類管理手段に入力せしめる利用読取り手段と、かかる利用状況データと管理されている他のデータとの比較結果を表示する表示手段とを含むようにして、クリーニングサイクルにおける衣類の管理システムを構成した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの衣類を回収し、所定のクリーニング工程においてクリーニングした後、再び利用者に提供して、使用に供することからなるクリーニングサイクルにおいて、
前記クリーニング工程に受け入れられる前記使用済みの衣類の一つずつについて、当該衣類に取り付けられている無線タグの格納情報を読み取り、前記利用者から回収された衣類の受入れ衣類データとして出力する受入れ読取り手段と、
前記クリーニング工程においてクリーニングされた後、出荷される衣類の一つずつについて、当該衣類に取り付けられている無線タグの格納情報を読み取り、前記利用者に提供される衣類の出荷衣類データとして出力する出荷読取り手段と、
通信回線に接続されて、該通信回線を通じて、前記受入れ読取り手段並びに前記出荷読取り手段からそれぞれ出力される受入れ衣類データ及び出荷衣類データが入力せしめられ、それらデータを管理する衣類管理手段と、
前記クリーニングされた衣類の利用者への納入から、使用済みの衣類の利用者からの回収に至る利用過程の所定の位置において、前記衣類に取り付けられた無線タグの格納情報を読み取り、当該衣類の利用状況データとして出力し、前記通信回線を介して前記衣類管理手段に入力せしめる利用読取り手段と、
前記通信回線を介して、前記衣類管理手段に接続され、該衣類管理手段に入力される前記利用状況データと該衣類管理手段にて管理されている他のデータとの比較結果を表示する表示手段と、
を含むことを特徴とするクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【請求項2】
前記利用読取り手段が、前記衣類に取り付けられた無線タグの格納情報を読み取り、当該衣類の利用状況データとして出力することの出来る、持ち運び可能な端末リーダであり、前記表示手段が、前記通信回線を介して、前記衣類管理手段に接続され、該端末リーダから出力される利用状況データを該衣類管理手段に入力せしめ得るように構成されていると共に、前記比較結果を表示する表示画面を有する、携帯可能な端末表示装置であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【請求項3】
前記利用読取り手段と前記表示手段とを一組の読取り・表示機器として、その複数組が、前記利用過程の複数位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【請求項4】
前記クリーニングされた衣類の利用者への納入に際し、かかる衣類の納入側とその受取り側に、それぞれ、前記一組の読取り・表示機器が配置されて、それら納入側と受取り側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段から、それぞれ、納入側及び受取り側の前記利用状況データが出力される一方、それら納入側と受取り側との利用状況データの比較結果が、かかる納入側及び/又は受取り側の読取り・表示機器を構成する表示手段において、表示されるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【請求項5】
前記納入側と受取り側との利用状況データの比較と共に、それら利用状況データと前記出荷衣類データとの比較が行われ、その結果が、前記納入側及び/又は受取り側の読取り・表示機器を構成する表示手段において、表示されるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【請求項6】
前記クリーニングされた衣類の複数が、一括して、前記納入側と受取り側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段により、それぞれ読み取られるようにしたことを特徴とする請求項4に記載のクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【請求項7】
前記使用済みの衣類の利用者からの回収に際し、かかる衣類のクリーニングの依頼側とその回収側に、それぞれ、前記一組の読取り・表示機器が配置されて、それら依頼側と回収側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段から、それぞれ、依頼側及び回収側の前記利用状況データが出力される一方、それら依頼側と回収側との利用状況データの比較結果が、かかる依頼側及び/又は回収側の読取り・表示機器を構成する表示手段において、表示されるように構成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか1項に記載のクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【請求項8】
前記依頼側と回収側との利用状況データの比較と共に、それら利用状況データと前記受入れ衣類データとの比較が行われ、その結果が、前記依頼側及び/又は回収側の読取り・表示機器を構成する表示手段において、表示されるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【請求項9】
前記使用済みの衣類の複数が、一括して、前記依頼側と回収側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段により、それぞれ読み取られるようにしたことを特徴とする請求項7に記載のクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【請求項10】
前記複数の衣類が電波遮断バッグ内に収容された状態において、一括して、前記利用読取り手段による読取り操作が実施されることを特徴とする請求項6又は請求項9に記載のクリーニングサイクルにおける衣類の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングサイクルにおける衣類の管理システムに係り、特に、使用済みの衣類を回収し、所定のクリーニング工程においてクリーニングした後、再び利用者に提供して使用に供することからなるクリーニングサイクルにおいて、かかる衣類の管理を有利に行い得るようにしたシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院の医師や看護師が着用する制服、ホテルにおいて従業員が着用する各種の制服、テーマパーク等で従業員が着用する制服、スポーツクラブ乃至はスポーツ団体において、従業員や利用者乃至はメンバーが着用するユニフォーム等の衣類は、その使用後に、着用者乃至は利用者から集められ、まとめて回収された後、クリーニング工場に搬送され、そこで、所定のクリーニングが施された後、再び、利用者乃至は使用者に提供されて、使用に供することからなるクリーニングサイクルにおいて、その利用が図られ得るようになっている。
【0003】
ところで、かかるクリーニングサイクルにおいて、クリーニング工場には、多数の衣類が運び込まれて、クリーニングされた後、利用者毎に仕分けされて、出荷されることとなるところから、それら衣類の所属や種類、数量等を管理すべく、特開2001-70700号公報、特開2001-290876号公報、特開2019-58397号公報等においては、各衣類に対して、それぞれ、IDタグやRFIDタグの如き無線タグを取り付けて、そのタグ情報をクリーニング工場において読み取り、かかる衣類の管理を行うことが明らかにされている。
【0004】
しかしながら、そのようなタグ情報の読取りは、クリーニング工場(クリーニング工程)においてのみ、実施されているに過ぎず、クリーニング工場においてクリーニングされた衣類の利用者への納入から、使用済みの衣類の利用者からの回収に至る利用過程において、衣類に取り付けた無線タグの読取りは、全く為されておらず、そのために、かかる利用過程における衣類の状態の把握、特に、衣類の所在を管理することが、全く出来ないものであった。特に、テーマパーク等の従業員の制服や、プロスポーツにおける選手のユニフォーム等は、ネット上で愛好家により取引きされることがあるところから、その紛失への対応が、より一層必要となるのであるが、現在までのところ、クリーニング工場(クリーニング工程)から利用者(顧客)までの工程を含めた、全ての工程における衣類の所在管理は、何等行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-70700号公報
【特許文献2】特開2001-290876号公報
【特許文献3】特開2019-58397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、クリーニングサイクルにおける衣類の改良された管理システムを提供することにあり、また他の課題とするところは、クリーニングされた衣類の利用者への納入から、使用済みの衣類の利用者からの回収に至る利用過程の所定の位置において、衣類の所在を有利に管理することが出来ると共に、その紛失を確認することの出来る衣類の管理システムを提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいて、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載、及び図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0008】
先ず、上記した課題を解決するための本発明の第一の態様は、使用済みの衣類を回収し、所定のクリーニング工程においてクリーニングした後、再び利用者に提供して、使用に供することからなるクリーニングサイクルにおいて、(a)前記クリーニング工程に受け入れられる前記使用済みの衣類の一つずつについて、当該衣類に取り付けられている無線タグの格納情報を読み取り、前記利用者から回収された衣類の受入れ衣類データとして出力する受入れ読取り手段と、(b)前記クリーニング工程においてクリーニングされた後、出荷される衣類の一つずつについて、当該衣類に取り付けられている無線タグの格納情報を読み取り、前記利用者に提供される衣類の出荷衣類データとして出力する出荷読取り手段と、(c)通信回線に接続されて、該通信回線を通じて、前記受入れ読取り手段並びに前記出荷読取り手段からそれぞれ出力される受入れ衣類データ及び出荷衣類データが入力せしめられ、それらデータを管理する衣類管理手段と、(d)前記クリーニングされた衣類の利用者への納入から、使用済みの衣類の利用者からの回収に至る利用過程の所定の位置において、前記衣類に取り付けられた無線タグの格納情報を読み取り、当該衣類の利用状況データとして出力し、前記通信回線を介して前記衣類管理手段に入力せしめる利用読取り手段と、(e)前記通信回線を介して、前記衣類管理手段に接続され、該衣類管理手段に入力される前記利用状況データと該衣類管理手段にて管理されている他のデータとの比較結果を表示する表示手段と、を含むことを特徴とするクリーニングサイクルにおける衣類の管理システムを、その要旨とするものである。
【0009】
また、本発明の第二の態様は、前記利用読取り手段が、前記衣類に取り付けられた無線タグの格納情報を読み取り、当該衣類の利用状況データとして出力することの出来る、持ち運び可能な端末リーダであり、前記表示手段が、前記通信回線を介して、前記衣類管理手段に接続され、該端末リーダから出力される利用状況データを該衣類管理手段に入力せしめ得るように構成されていると共に、前記比較結果を表示する表示画面を有する、携帯可能な端末表示装置であることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の第三の態様は、前記利用読取り手段と前記表示手段とを一組の読取り・表示機器として、その複数組が、前記利用過程の複数位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
加えて、本発明の第四の態様は、前記クリーニングされた衣類の利用者への納入に際し、かかる衣類の納入側とその受取り側に、それぞれ、前記一組の読取り・表示機器が配置されて、それら納入側と受取り側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段から、それぞれ、納入側及び受取り側の前記利用状況データが出力される一方、それら納入側と受取り側との利用状況データの比較結果が、かかる納入側及び/又は受取り側の読取り・表示機器を構成する表示手段において、表示されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
そして、本発明の第五の態様は、前記納入側と受取り側との利用状況データの比較と共に、それら利用状況データと前記出荷衣類データとの比較が行われ、その結果が、前記納入側及び/又は受取り側の読取り・表示機器を構成する表示手段において、表示されるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第六の態様は、前記クリーニングされた衣類の複数が、一括して、前記納入側と受取り側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段により、それぞれ読み取られるようにしたことを特徴としている。
【0014】
さらに、本発明に従う第七の態様は、前記使用済みの衣類の利用者からの回収に際し、かかる衣類のクリーニングの依頼側とその回収側に、それぞれ、前記一組の読取り・表示機器が配置されて、それら依頼側と回収側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段から、それぞれ、依頼側及び回収側の前記利用状況データが出力される一方、それら依頼側と回収側との利用状況データの比較結果が、かかる依頼側及び/又は回収側の読取り・表示機器を構成する表示手段において、表示されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
加えて、本発明の第八の態様は、前記依頼側と回収側との利用状況データの比較結果と共に、それら利用状況データと前記受入れ衣類データとの比較結果が、前記依頼側及び回収側の読取り・表示機器を構成する表示手段において、それぞれ表示されるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に従う第九の態様は、前記使用済みの衣類の複数が、一括して、前記依頼側と回収側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段により、それぞれ読み取られるようにしたことを特徴としている。
【0017】
そして、本発明の第十の態様は、前記複数の衣類が電波遮断バッグ内に収容された状態において、一括して、前記利用読取り手段による読取り操作が実施されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
このような本発明によれば、クリーニングされた衣類の利用者への納入から、使用済みの衣類の利用者からの回収に至る利用過程において、衣類の利用者たる顧客が、任意の位置において、衣類の所在を管理することが出来ることとなるのであり、以て、衣類の紛失を容易に確認することが出来ることとなったのである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に従うクリーニングサイクルにおける衣類の管理システムの概略を示すフローチャートである。
【
図2】本発明に従う衣類の管理システムにおける読取りデータの入出力形態と、その管理及び比較結果の出力についての概略を示す説明図である。
【
図3】本発明に従う衣類の管理システムにおける機器の配設形態の一例を示す説明図である。
【
図4】本発明に従う衣類の管理システムにおいて用いられる端末表示装置における表示画面の一例を示す説明図であって、(a)は、読取り作業場所の一例を示す画面であり、(b)は、読取り開始時点における表示画面の一例を示す説明図であり、(c)は、読取り終了後における比較結果を示す表示画面の一例を示す説明図である。
【
図5】本発明に従う衣類の管理システムにおける読取りデータの比較の一例を示す説明図である。
【
図6】本発明に従う衣類の管理システムにおける読取りデータの比較の他の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の構成を更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0021】
先ず、
図1には、クリーニング工程と利用過程との間における衣類の流れが、示されている。そこにおいて、制服やユニフォーム等に代表される衣類には、それぞれ、個体管理のための無線タグが、従来と同様に取り付けられている。ここで、無線タグは、衣類に取り付けられる電子的なタグであって、その内部に格納された情報が、外部の通信装置から無線通信により読み取ることが可能となるように構成されているものであり、電子タグ、RFタグ、IDタグ、RFIDタグ等と称されるものが用いられることとなる。また、そのような無線タグには、衣類に関連する情報として、当該衣類が利用される企業乃至は団体名、利用部署名、利用者名等の識別情報や、衣類の名称、衣類の種類、個体番号等の情報が、記憶させられている。
【0022】
そして、かかる
図1に示される、クリーニング工程と利用過程とが交互に繰り返される衣類の洗濯・着用サイクル、換言すれば、使用済みの衣類を回収し、所定のクリーニング工程においてクリーニングした後、再び利用者に提供して、使用に供することからなるクリーニングサイクルにおいて、上述の如き無線タグを取り付けてなる衣類は、それが使用された後に、衣類のクリーニング工程が実施されるクリーニング工場に搬送されて、受け入れられることとなるが、その受入れに際しては、複数の衣類の一つずつについて、各衣類に取り付けられている無線タグの格納情報が読み取られて、利用者から回収された各衣類についての受入れ衣類データが、取り出されるようになっている。次いで、その受け入れられた衣類は、従来と同様にして洗濯され、またその損傷箇所があれば修理され、更に必要に応じて新品の衣類に交換された後、利用者別にまとめられて、出荷される際に、出荷情報として、それぞれの衣類の無線タグが、衣類の一つずつについて読み取られて、利用者に提供される衣類の出荷衣類データとして、取り出されることとなる。そして、それら受入れ衣類データや出荷衣類データは、信頼性の高いデータとして、後述する利用状況データとの比較に有利に用いられることとなるのである。なお、かかる受入れや出荷における各衣類の無線タグの読取りは、操作画面とリーダとアンテナとが一体となった、従来と同様な読取装置が、そのまま用いられて、衣類の一つずつについての読取りが、行われるようになっている。
【0023】
また、クリーニング工場(クリーニング工程)から出荷された衣類は、まとめて、対象となる企業や団体等の顧客に搬送されて、納入され、そのクリーニングされた衣類が、それぞれの利用者の着用に供されることとなる。更に、その後、各利用者によって使用された衣類は、まとめられて、回収され、再びクリーニング工場に搬送されるようになっているのである。
【0024】
本発明においては、そのような衣類の利用過程において、後述の如く、衣類の利用状況データを各衣類に取り付けた無線タグから読み取ることとし、それと、その直前の読取り工程における読取りデータ、更には上記した出荷衣類データや受入れ衣類データ等と比較して、その所在を管理すると共に、その結果を、表示し得るようにしたのである。
【0025】
図2には、
図1におけるクリーニングサイクルにおいて読み取られるデータの管理システムが、示されている。そこにおいて、クリーニング工場における衣類の受入れ時と出荷時に、それぞれ、読み取って得られる受入れ衣類データ及び出荷衣類データは、何れも、衣類の1点ずつを読み取って得られるものであるところから、正確なデータとして、取り扱われる衣類情報の基準とされることとなる。そして、それらデータは、所定の読取装置(リーダ)から出力されて、通信回線であるインターネットの如きネットワーク(NW)を介して、コンピュータ等からなる衣類管理装置に入力せしめられ、そこにおいて、データ管理プログラムにて管理されるようになっている。一方、衣類の利用過程において、衣類の所在の管理が望まれる所定の位置において、使用中または使用の前後に、衣類に取り付けられた無線タグを所定の利用読取り手段にて読み取って得られる衣類の利用状況データにあっても、その利用読み取り手段から出力されて、ネットワーク(NW)を介して、衣類管理装置に入力せしめられるようになっている。
【0026】
そして、衣類管理装置におけるデータ管理プログラムによって、そのような衣類の利用状況データは、一般に、かかる利用状況データの読み取られた利用過程における所定の位置よりも、衣類のクリーニングサイクルにおいて直前となる位置における読取りデータ、例えば出荷衣類データや他の利用状況データ等と比較されたり、或いはかかる衣類のクリーニングサイクルにおいて直後となる、例えば受入れ衣類データや他の利用状況データ等と比較されて、その種類や数量等についての異同乃至は差異が求められ、そしてその結果が、衣類管理装置から、ネットワーク(NW)を介して、所定の表示手段に入力せしめられて、表示されるようになっている。即ち、ここでは、データ管理プログラムには、通知プログラムが含まれており、この通知プログラムによって、上記の比較結果が、ネットワーク(NW)を介して、所定の表示手段に対して出力せしめられるようになっているのである。
【0027】
ところで、本発明に従うクリーニングサイクルにおける衣類の管理システムは、装置的には、例えば
図3の如く構成されることとなる。そこで、クリーニング工場においては、使用済みの衣類が利用者側から回収されて、まとめて受け入れられるときに、従来と同様な受入れリーダ10にて、それぞれの衣類に取り付けられている無線タグの格納情報が、衣類の1点毎に読み取られ、各衣類の受入れ衣類データとして出力される。そして、そのような受入れ衣類データは、ネットワーク(NW)を通じて衣類管理装置14に入力せしめられ、そこで、データ管理プログラムにて管理されるようになっている。同様に、クリーニング工場から出荷されるクリーニング等が施されてなる衣類にあっても、それらが、従来と同様な出荷リーダ12にて、各衣類のタグの格納情報を読み取ることにより、出荷衣類データとして出力されるようになっており、その出力された出荷衣類データは、ネットワーク(NW)を介して、衣類管理装置14に入力せしめられて、データ管理プログラムにて管理されるようになっている。
【0028】
一方、衣類の利用過程の選定された所定の位置において、衣類に取り付けられた無線タグの格納情報を読み取り、衣類の利用状況データとして出力する利用読み取り手段としては、有利には、持ち運び可能な端末リーダ16が用いられることとなる。この端末リーダ16は、アンテナとリーダとが一体とされている一方、操作画面は後述するように分離されており、これによって、容易に持ち運びすることの出来る小さな形状の構造とされているものである。また、かかる衣類の利用状況データと、衣類管理装置14におけるデータ管理プログラムにて管理されている他のデータとの比較結果を表示する表示手段としては、有利には、ネットワーク(NW)に接続可能な、スマートフォン、タブレット端末等の携帯可能な小型の端末表示装置18が、用いられることとなる。このような端末リーダ16や端末表示装置18を用いることによって、衣類の利用過程における任意の位置での衣類の所在管理が可能となっているのである。
【0029】
ここで、そのような端末表示装置18は、物理的には、例えば、CPU、ROM、RAM、SSD、ネットワーク(NW)を介して通信するための通信インターフェース、入力手段としてのタッチパネル、端末表示部としての液晶ディスプレイの如き表示画面等から、構成されるものであって、衣類管理装置14等から提供されるソフトウェアプログラムを、ネットワーク(NW)を介して、ダウンロードして、インストールすることで、目的とする機能を発揮して、処理を実行するようになっている。そして、この端末表示装置18には、また、端末リーダ16の操作画面も表示され得るようになっており、この操作画面を用いた操作によって、端末リーダ16による読み取りを行い、更にはそれによって得られた衣類の利用状況データが、無線にて、端末表示装置18に入力され、そして端末表示装置18から、ネットワーク(NW)を通じて、衣類管理装置14に入力せしめられ、そこにおいて、利用状況データと他のデータとの比較が為され、更に、その比較結果が、ネットワーク(NW)を通じて、端末表示装置18において、その表示画面に表示されるようになっている。
【0030】
なお、
図4には、かかる端末表示装置18における表示画面の一例が、示されている。そこにおいて、(a)は、作業選択画面を示すものであって、「依頼」のボタンは、使用済みの衣類の回収に際して、利用者が、クリーニングの依頼を行う使用済みの衣類について、端末リーダ16用いて読取り作業を行う際に、選択されるものであり、「回収」のボタンは、使用済みの衣類を利用者から受け取り、クリーニング工場へ搬送する回収者が、その回収する衣類の詳細を把握するために、選択されるものである。また、「工場受入れ」や「工場出荷」のボタンは、それぞれ、クリーニング工場における衣類の受入れ時及び出荷時における衣類の詳細を把握するために、選択されるボタンである。更に、「納入」と「受取り」のボタンは、それぞれ、クリーニングされた衣類を利用者に納入するに際して、衣類の納入側とその受取り側において衣類の詳細を把握するために、選択されるものである。そして、そのような作業選択ボタンは、衣類の利用過程における任意の位置において、衣類の読取りが行われる場合にあっては、そのような位置に対応するボタンが、適宜に追加され得ることは、勿論である。
【0031】
また、かかる
図4の(a)において、所定の作業が選択されると、当該作業における衣類読取り画面が、
図4(b)に示される如く、表示されることとなる。そこでは、読取り開始ボタンBと共に、当該工程に対して直前の工程となる読取り工程における衣類の読取りデータが、画面に表示されるようになっている。なお、ここでは、選択された作業が「回収」の場合において、その前工程である「依頼」作業における衣類読取りデータが示されるようになっている。そして、この(b)に示される画面における読取りボタンBを押すことによって、端末リーダ16による衣類の読取りが実行され、その読取りデータが、衣類の利用状況データとして、ここでは、端末表示装置18に入力せしめられるようになっているのである。また、端末表示装置18から、ネットワーク(NW)を通じて、衣類管理装置14に入力せしめられて、そこで管理されている衣類データと対比され得るようになっている。
【0032】
そして、かかる衣類管理装置14における読取りデータの比較結果が、
図4(c)に示される如く、表示されるのであるが、そこでは、(b)の読取り開始ボタンBにて読み取られた衣類の利用状況データと共に、対比されたデータ(ここでは、前工程の読取りデータ)との差異が、過不足数として表示されるようになっている。従って、過不足数がマイナスとなる場合にあっては、前工程から当該読取り工程に至る間に、当該衣類について示される数字だけ、その所在が不明となったことを示しており、また、プラスの数字が表示された場合にあっては、同様に、前工程から当該読取り工程に至るまでの間に、何等かの理由により、対象となる衣類が増えていることを示しているのである。なお、このような過不足は、端末リーダ16の読み間違いによっても生じることとなるが、前述の如く、受入れリーダ10や出荷リーダ12にて読み込まれた正確な受入れ衣類データや出荷衣類データと対比することによって、その間違いを修正することが可能である。また、過不足数がゼロの場合にあっては、当該衣類の過不足はなく、正常に衣類の利用が行われていることを示しているのである。
【0033】
ところで、本発明にあっては、上述の如き利用読取り手段(16)と表示手段(18)とを組み合わせて、一組の読取り・表示機器として、その複数組を、クリーニングサイクルにおける衣類の利用過程の複数位置に配置せしめることにより、衣類の所在を、その利用過程の所望の複数位置において管理することが出来、以て、利用過程における衣類の紛失が容易に且つ迅速に確認することが出来ることとなるのであり、その一例が、
図5に示されている。
【0034】
かかる
図5においては、クリーニング工程(クリーニング工場)から出荷された衣類の利用者への納入に際し、かかる衣類の納入側と、その受取り側に、それぞれ、前記一組の読取り・表示機器(16,18)が配置されており、それら納入側と受取り側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段(16)にて、それぞれ、衣類の読取りが行われ、それら納入側及び受取り側の利用状況データとして出力されて、ネットワーク(NW)を通じて、衣類管理装置14に入力せしめられるようになっている。
【0035】
そして、それら納入側と受取り側との利用状況データの比較が、衣類管理装置14において実施され、その比較結果が、ネットワーク(NW)を通じて、読取り・表示機器を構成する表示手段(18)において、それぞれ表示されることにより、衣類の納入に際しての種類や数量等の確認が、確実に行われ得ることとなるのである。また、衣類の納入側で読み取られた利用状況データは、併せて、クリーニング工程(クリーニング工場)から出荷される際に読み取られた出荷衣類データと比較されることにより、読み間違いを解消しつつ、出荷から納入に至る衣類の状態をより正確に把握することが出来ることとなるのであり、更に、受取り側の利用状況データにあっても、同様に、それを、衣類管理装置14において、出荷衣類データと比較し、その比較結果を、読取り・表示機器を構成する表示手段(18)に表示するようにすれば、読み間違いを解消しつつ、衣類の正確な種類や数量の確認が可能となるのである。
【0036】
また、上述の如き利用読取り手段(16)と表示手段(18)とから構成される読取り・表示機器は、
図6に示されるように、使用済みの衣類の利用者からの回収に際し、かかる衣類のクリーニング依頼側(回収依頼側)と、そのような衣類の回収側とに、それぞれ配置されて、それら依頼側と回収側の読取り・表示機器を構成する利用読取り手段(16)にて、それぞれ依頼側及び回収側における衣類の無線タグを読み取り、それら依頼側及び回収側の利用状況データとして、ネットワーク(NW)を通じて衣類管理装置14に入力せしめて、それらの比較を行い、使用済みの衣類の回収に際しての衣類の種類や数量等の比較結果を読取り・表示機器を構成する表示手段(18)において、それぞれ表示することにより、衣類の所在管理が確実に行われ得ることとなる。さらに、その際、併せて、依頼側における利用状況データや回収側における利用状況データを、クリーニング工程の受入れにおいて読み取られる受入れ衣類データと、衣類管理装置14において比較することにより、読み間違いを解消しつつ、その比較結果を、ネットワーク(NW)を介して、読取り・表示機器を構成する表示手段(18)において表示せしめることにより、衣類の比較対比が、より確実に行われ得るのである。
【0037】
加えて、かかる依頼側の衣類の利用状況データを、依頼側に対して前工程の読取りとなる、
図5における受取り側において読み取られた衣類の利用状況データと比較するようにすれば、衣類の利用過程における納入から回収に至る間の衣類の所在の管理、ひいては衣類の紛失の有無の確認を、有利に行い得る利点がある。
【0038】
なお、上記した
図5や
図6に示されるクリーニングされた衣類の利用者への納入や使用済みの衣類の利用者からの回収に際しては、そのようなクリーニングされた衣類や使用済みの衣類は、その複数が、一括して、納入側及び受取り側、又は依頼側及び回収側の各読取り・表示機器を構成する利用読取り手段(16)にて、それぞれ読み取られることとなるのであるが、その際、それら衣類の読取り誤差を回避乃至は解消すべく、それら複数の衣類は、それを収容し得る大きさを有する電波遮断バッグ内に収容されてなる形態において、所定の読取り操作が実施されるようにすることが、望ましい。また、かかる電波遮断バッグは、電波を遮断し得る導電性の繊維を使用して作製されたランドリーバッグであって、このバッグ内で読取りをすることにより、バッグ内の衣類のみの読取りを有利に行うことが出来るのである。
【0039】
また、クリーニングサイクルにおける衣類のクリーニング工程や衣類の利用過程において、衣類のクリーニングを行う者や衣類を利用する者(顧客)等の、衣類を取り扱ったり、その管理に携わったりする関係者は、インターネット(NW)を介して、衣類管理装置14にアクセスして、読み取られた最新の衣類データやその比較結果を参照するようにすれば、衣類の状況を把握することが可能となっているが、衣類管理装置14での読取情報に基づくところの比較結果において、衣類の過不足等の変異乃至は異常な結果が出たとき、その生じた変異結果を可及的に速やかに上記関係者に知らせるべく、緊急通知手段を設けることも、有効である。そのような緊急通知手段は、衣類管理装置14における衣類管理プログラムに緊急通知プログラムを組み込んで、上記の変異結果を、メールやメッセージ(LINE等)にて、関係者に通知するものであって、これにより、関係者が、インターネット(NW)を介して衣類管理装置14にアクセスする操作を行うことなく、変異結果が生じた状況を迅速に知ることが可能となるのである。
【0040】
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも、例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものでないことが、理解されるべきである。
【0041】
例えば、例示の実施形態においては、クリーニングされた衣類の利用者への納入時及び使用済みの衣類の利用者からの回収時において、それぞれ、受渡し側と受取り側とにおいて、利用読取り手段による衣類の読取りと、表示手段による衣類の利用状況データと他のデータとの比較結果の表示が行われ得るようになっているのであるが、それら利用読取り手段と表示手段の配設は、クリーニングされた衣類の利用者への納入から、使用済みの衣類の利用者からの回収に至る利用過程の任意の位置に、また単一の箇所のみならず、複数の箇所に配設することが可能であって、これにより、利用者側において衣類の所在管理を自由に設定することが出来ることとなるのであり、以て、衣類の紛失の確認も、容易に且つ簡単に実現され得るのである。
【0042】
また、例示の実施形態においては、利用読取り手段として、端末リーダ16が用いられると共に、表示手段としては、そのような端末リーダ16から出力される利用状況データが入力せしめられ、そしてかかる利用状況データを、ネットワーク(NW)を介して、衣類管理装置14に入力せしめると共に、そのような衣類管理装置14における比較結果を表示するようにした端末表示装置18が用いられており、これによって、衣類に取り付けた無線タグの簡易な読み取りと、その比較結果の表示を行うことが出来るようになっているのであるが、これに何等限定されるものではなく、公知の各種の読取装置や表示装置を互いに独立して適宜に選択して使用することも可能である。
【0043】
さらに、端末表示装置18における作業選択画面において選択される読取り・表示作業位置の種類にあっても、
図4(a)に示されるものの他、利用者(顧客)によって適宜に選定される衣類の利用過程の他の任意の位置を追加することが可能であり、更にまた、
図4(c)に示される読取り結果(比較結果)の表示形態にあっても、その結果の内容の理解が容易となるように、適宜に変更可能であることは言うまでもないところである。
【0044】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0045】
10 受入れリーダ
12 出荷リーダ
14 衣類管理装置
16 端末リーダ
18 端末表示装置