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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135560
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 3/00 20240101AFI20240927BHJP
   G06V 10/141 20220101ALI20240927BHJP
   G06V 10/143 20220101ALI20240927BHJP
   G06V 40/13 20220101ALI20240927BHJP
   G06V 40/145 20220101ALI20240927BHJP
   G06T 5/50 20060101ALI20240927BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240927BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240927BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06T3/00 780
G06V10/141
G06V10/143
G06V40/13
G06V40/145
G06T5/50
G06T1/00 510
H01L27/146 C
G01N21/17 A
C12M1/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046312
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 朋幸
(72)【発明者】
【氏名】手錢 友也
(72)【発明者】
【氏名】濱野 大介
(72)【発明者】
【氏名】麻野 直之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 薫
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 晃彦
【テーマコード(参考)】
2G059
4B029
4M118
5B057
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB06
2G059BB08
2G059BB12
2G059BB14
2G059DD13
2G059EE01
2G059EE13
2G059FF01
2G059GG02
2G059GG03
2G059GG08
2G059KK04
2G059MM07
2G059MM10
2G059MM17
2G059NN05
4B029AA07
4B029BB01
4B029CC01
4B029CC02
4B029FA01
4B029FA09
4B029FA11
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB06
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA05
4M118CB06
4M118CB14
4M118CB20
4M118FB03
4M118FB13
4M118FB16
4M118FB24
4M118HA26
4M118HA27
5B057CA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CD05
5B057CE10
5B057CE11
5B057CE16
(57)【要約】
【課題】検出精度を向上させることが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、面状に配置された複数の光検出素子を含む面状検出デバイスと、複数の被検出体を搭載するための透光性の搭載基板と、複数の光検出素子に対応して設けられた複数の光源と、を有し、面状検出デバイス、搭載基板、複数の光源の順に配置されており、複数の光源は、離隔して配置された複数の第1光源と、複数の第1光源の各々に隣接して配置された複数の第2光源と、を含み、複数の第1光源を点灯させ、複数の第2光源を非点灯とする第1期間と、複数の第2光源を点灯させ、複数の第1光源を非点灯とする第2期間と、を有し、第1期間に面状検出デバイスで検出した第1画像と、第2期間に面状検出デバイスで検出した第2画像とを合成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状に配置された複数の光検出素子を含む面状検出デバイスと、
複数の被検出体を搭載するための透光性の搭載基板と、
前記複数の光検出素子に対応して設けられた複数の光源と、を有し、
前記面状検出デバイス、前記搭載基板、前記複数の光源の順に配置されており、
前記複数の光源は、離隔して配置された複数の第1光源と、前記複数の第1光源の各々に隣接して配置された複数の第2光源と、を含み、
前記複数の第1光源を点灯させ、前記複数の第2光源を非点灯とする第1期間と、
前記複数の第2光源を点灯させ、前記複数の第1光源を非点灯とする第2期間と、を有し、
前記第1期間に前記面状検出デバイスで検出した第1画像と、前記第2期間に前記面状検出デバイスで検出した第2画像とを合成する
検出装置。
【請求項2】
前記複数の光源は、前記複数の第1光源及び前記複数の第2光源の各々に隣接して配置された複数の第3光源を含み、
前記複数の第1光源を点灯させ、前記複数の第2光源及び前記複数の第3光源を非点灯とする前記第1期間と、
前記複数の第2光源を点灯させ、前記複数の第1光源及び前記複数の第3光源を非点灯とする前記第2期間と、
前記複数の第3光源を点灯させ、前記複数の第1光源及び前記複数の第2光源を非点灯とする第3期間と、を有し、
前記第1期間に前記面状検出デバイスで検出した前記第1画像と、前記第2期間に前記面状検出デバイスで検出した前記第2画像と、前記第3期間に前記面状検出デバイスで検出した第3画像と、を合成する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記複数の光源は、千鳥配置されている
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記第1期間、前記第2期間、前記第3期間の各々で、前記複数の光検出素子からのセンサ値に基づいて分割画像を生成する分割画像生成回路を有し、
前記分割画像生成回路は、前記複数の光検出素子からのセンサ値に基づいて生成した画像から、点灯した前記光源の照射領域に対応する六角形状の部分を切り取って複数の分割画像を生成する
請求項2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記複数の光源は、前記複数の第1光源及び前記複数の第2光源の各々に隣接して配置された複数の第3光源及び複数の第4光源を含み、
前記複数の第1光源を点灯させ、前記複数の第2光源、前記複数の第3光源及び前記複数の第4光源を非点灯とする前記第1期間と、
前記複数の第2光源を点灯させ、前記複数の第1光源、前記複数の第3光源及び前記複数の第4光源を非点灯とする前記第2期間と、
前記複数の第3光源を点灯させ、前記複数の第1光源、前記複数の第2光源及び前記複数の第4光源を非点灯とする第3期間と、
前記複数の第4光源を点灯させ、前記複数の第1光源、前記複数の第2光源及び前記複数の第3光源を非点灯とする第4期間と、を有し、
前記第1期間に前記面状検出デバイスで検出した前記第1画像と、前記第2期間に前記面状検出デバイスで検出した前記第2画像と、前記第3期間に前記面状検出デバイスで検出した第3画像と、前記第4期間に前記面状検出デバイスで検出した第4画像と、を合成する
請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記複数の光源は、格子状に配置されている
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第1期間、前記第2期間、前記第3期間、前記第4期間の各々で、前記複数の光検出素子からのセンサ値に基づいて分割画像を生成する分割画像生成回路を有し、
前記分割画像生成回路は、前記複数の光検出素子からのセンサ値に基づいて生成した画像から、点灯した前記光源の照射領域に対応する四角形状の部分を切り取って複数の分割画像を生成する
請求項5に記載の検出装置。
【請求項8】
前記複数の光源の配置ピッチは、1mm以上20mm以下である
請求項1に記載の検出装置。
【請求項9】
前記面状検出デバイスの表面に垂直な方向で、前記複数の光源と前記面状検出デバイスとの間の距離は4mm以上80mm以下である
請求項1に記載の検出装置。
【請求項10】
前記分割画像生成回路は、隣接する前記複数の光源で、前記照射領域の重複部分に対応する画像の一部を切り捨てて前記複数の分割画像を生成する
請求項4又は請求項7に記載の検出装置。
【請求項11】
前記面状検出デバイスの表面に垂直な方向で、前記複数の光源と前記面状検出デバイスとの間の距離と、前記複数の光源と前記搭載基板との間の距離と、に応じて分割画像の各々を縮小する分割処理回路を有する
請求項4又は請求項7に記載の検出装置。
【請求項12】
前記光源の前記照射領域に対応する前記分割画像は、前記照射領域よりも大きい平面形状を有し、
複数の期間で取得した前記複数の分割画像を合成するとき、隣接する前記複数の分割画像について、重複部分が生じないように前記複数の分割画像の位置をずらして合成する
請求項4又は請求項7に記載の検出装置。
【請求項13】
平面視において、各々の前記複数の光源からの距離に応じた輝度傾斜データを格納する記憶回路を有し、
前記輝度傾斜データに基づいて、画像の輝度補正を行う
請求項1に記載の検出装置。
【請求項14】
前記複数の光源の各々は複数色のサブ光源を有し、前記複数色のサブ光源の各々について複数の期間で前記分割画像を取得し、前記分割画像を合成する
請求項4又は請求項7に記載の検出装置。
【請求項15】
前記複数色のサブ光源は、赤色の光を照射する第1サブ光源、緑色の光を照射する第2サブ光源及び青色の光を照射する第3サブ光源を含む
請求項14に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォトセンサと、フォトセンサの撮像面の上部に載置された培養容器と、培養容器の上方に配置された点光源と、を含むバイオセンサについて開示されている。特許文献1のバイオセンサでは、点光源から照射された光は、培養容器内の培地及び複数の被検出体(微生物)を透過してフォトセンサに入射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-033430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような検出装置において、より大きい面積の検出領域で複数の被検出体を検出する要求がある。1つの点光源でより大きい面積に照射する場合、点光源と光学センサ(特許文献1ではフォトセンサ)との距離を大きくする必要があり装置全体が大きくなる。また、面光源を用いた場合には、1つの被検出体に対して、面光源からそれぞれ異なる方向の光が照射され、光学センサで撮像される画像にボケが生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、検出精度を向上させることが可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、面状に配置された複数の光検出素子を含む面状検出デバイスと、複数の被検出体を搭載するための透光性の搭載基板と、前記複数の光検出素子に対応して設けられた複数の光源と、を有し、前記面状検出デバイス、前記搭載基板、前記複数の光源の順に配置されており、前記複数の光源は、離隔して配置された複数の第1光源と、前記複数の第1光源の各々に隣接して配置された複数の第2光源と、を含み、前記複数の第1光源を点灯させ、前記複数の第2光源を非点灯とする第1期間と、前記複数の第2光源を点灯させ、前記複数の第1光源を非点灯とする第2期間と、を有し、前記第1期間に前記面状検出デバイスで検出した第1画像と、前記第2期間に前記面状検出デバイスで検出した第2画像とを合成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る検出装置を模式的に示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る検出制御回路の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、センサ画素を示す回路図である。
図5図5は、第1実施形態に係るセンサ画素を模式的に示す平面図である。
図6図6は、図5のVI-VI’断面図である。
図7図7は、複数の発光素子と、照射領域との関係を模式的に説明するための説明図である。
図8図8は、複数の発光素子の照射領域と担当領域との関係を模式的に説明するための説明図である。
図9図9は、図8のIX-IX’断面図である。
図10図10は、第1実施形態に係る検出装置の検出方法を示すフローチャート図である。
図11図11は、ステップST4、ST5における分割画像の生成、及び、分割画像の縮小について説明するための説明図である。
図12図12は、分割画像を合成して全体画像を生成する方法を説明するための説明図である。
図13図13は、変形例に係る検出装置の、複数の発光素子と、照射領域との関係を模式的に説明するための説明図である。
図14図14は、変形例に係る検出装置の、分割画像を合成して全体画像を生成する方法を説明するための説明図である。
図15図15は、第2実施形態に係る検出装置の検出方法を示すフローチャート図である。
図16図16は、第2実施形態に係る検出装置の、分割画像を合成して全体画像を生成する方法を説明するための説明図である。
図17図17は、第3実施形態に係る検出装置の、分割画像の輝度補正方法を説明するための説明図である。
図18図18は、第4実施形態に係る検出装置の、複数の発光素子を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る検出装置を模式的に示す断面図である。図1に示すように、検出装置1は、光学センサ10と、被検出体100を搭載するための搭載基板101及びカバー部材103と、光源装置80と、を含む。光学センサ10の上に、搭載基板101及びカバー部材103(被検出体100)、光源装置80の順に配置されている。
【0011】
被検出体100は、例えば細菌等の微小対象物である。検出装置1は、細菌等の微小対象物を検出するバイオセンサである。搭載基板101は、例えばガラス等で形成された透光性の板状部材である。複数の被検出体100は、搭載基板101の上に培地102とともに搭載される。また、搭載基板101の上側には、複数の被検出体100を覆うカバー部材103が設けられる。搭載基板101及びカバー部材103は、例えばシャーレである。検出対象の被検出体100は、搭載基板101の上に搭載され、光学センサ10と光源装置80との間に配置される。
【0012】
なお、被検出体100は、細菌に限定されず、細胞等の他の微小対象物であってもよい。また、検出装置1はバイオセンサに限定されず、例えば、指紋を検出する指紋検出装置や、静脈などの血管パターンを検出する静脈検出装置として構成されてもよい。この場合、被検出体100は、指、手のひら、手首等の生体であってもよい。
【0013】
光学センサ10は、面状に配置された複数のフォトダイオード30(光検出素子)を含む面状検出デバイスである。光学センサ10の詳細な構成については、図2及び図5、6にて後述する。光学センサ10の表面に垂直な方向で、光学センサ10は、搭載基板101との間に間隔を有して配置される。
【0014】
光源装置80は、光源基板81と、複数の発光素子82と、を含む。複数の発光素子82は、光学センサ10の複数のフォトダイオード30に対応して設けられた点光源である。複数の発光素子82は、光源基板81に設けられ、光学センサ10の複数のフォトダイオード30と対向して配置される。複数の発光素子82は、それぞれ例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)で構成される。
【0015】
発光素子82から出射された光Lは、搭載基板101、培地102及びカバー部材103を透過して、光学センサ10の複数のフォトダイオード30に向けて照射される。被検出体100と重なる領域と、被検出体100と重ならない領域とで、複数のフォトダイオード30に照射される光量が異なる。これにより、光学センサ10は、被検出体100を撮像できる。
【0016】
本実施形態では、点光源として複数の発光素子82が所定ピッチで配置される。このため、面光源を設けた場合に比べ、光Lの方向のばらつきが抑制されるので、良好に撮像できる。隣接する発光素子82から照射された光Lの干渉を抑制するように、複数の発光素子82の配置ピッチが設定される。また、光学センサ10での受光面積を確保するように、複数のフォトダイオード30の配置ピッチが設定される。1つの発光素子82と重なって複数のフォトダイオード30が配置される。ただし、これに限定されず、1つの発光素子82と重なって少なくとも1つのフォトダイオード30が設けられていればよい。
【0017】
図2は、第1実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、検出装置1は、さらに、光学センサ10及び光源装置80を制御するホストIC70を有する。光学センサ10は、アレイ基板2と、アレイ基板2に形成された複数のセンサ画素3(フォトダイオード30)と、ゲート線駆動回路15A、15Bと、信号線駆動回路16Aと、検出制御回路11と、を有する。
【0018】
アレイ基板2は、基板21を基体として形成される。また、複数のセンサ画素3は、それぞれフォトダイオード30、複数のトランジスタ、各種配線を有して構成される。フォトダイオード30が形成されたアレイ基板2は、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。
【0019】
基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、複数のセンサ画素3(複数のフォトダイオード30)が設けられた領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外周と、基板21の外縁部との間の領域であり、複数のセンサ画素3が設けられない領域である。ゲート線駆動回路15A、15B、信号線駆動回路16A及び検出制御回路11は、周辺領域GAに設けられる。
【0020】
複数のセンサ画素3は、それぞれ、センサ素子としてフォトダイオード30を有する光センサである。フォトダイオード30は、それぞれに照射される光に応じた電気信号を出力する。より具体的には、フォトダイオード30は、PIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードや有機半導体を用いたOPD(Organic Photodiode)である。複数のセンサ画素3(複数のフォトダイオード30)は、検出領域AAにマトリクス状に配列される。
【0021】
検出制御回路11は、ゲート線駆動回路15A、15B及び信号線駆動回路16Aにそれぞれ制御信号Sa、Sb、Scを供給し、これらの動作を制御する回路である。具体的には、ゲート線駆動回路15A、15Bは、制御信号Sa、Sbに基づいてゲート駆動信号をセンサゲート線GLS(図4参照)に出力する。信号線駆動回路16Aは、制御信号Scに基づいて選択されたセンサ信号線SLSと検出制御回路11とを電気的に接続する。また、検出制御回路11は、複数のフォトダイオード30からの検出信号Vdetの信号処理を行う信号処理回路を備える。
【0022】
複数のセンサ画素3が有するフォトダイオード30は、ゲート線駆動回路15A、15Bから供給されるゲート駆動信号に従って検出を行う。複数のフォトダイオード30は、それぞれに照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線駆動回路16Aに出力する。検出制御回路11(検出回路)は、複数のフォトダイオード30と電気的に接続される。検出制御回路11は、複数のフォトダイオード30からの検出信号Vdetの信号処理を行い、検出信号Vdetに基づくセンサ値SoをホストIC70に出力する。これにより、検出装置1は、被検出体100に関する情報を検出する。
【0023】
図3は、第1実施形態に係る検出制御回路の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、検出制御回路11は、検出信号振幅調整回路41、A/D変換回路42、信号処理回路43及び検出タイミング制御回路44を有する。検出制御回路11は、検出タイミング制御回路44は、ホストIC70(図2参照)から供給される制御信号に基づいて、検出信号振幅調整回路41、A/D変換回路42及び信号処理回路43が同期して動作するように制御する。
【0024】
検出信号振幅調整回路41は、フォトダイオード30から出力された検出信号Vdetの振幅を調整する回路であり、例えば増幅器を含み構成される。A/D変換回路42は、検出信号振幅調整回路41から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理回路43は、A/D変換回路42からのデジタル信号の信号処理を行い、センサ値SoをホストIC70へ送信する回路である。
【0025】
図2に戻って、光源装置80は、光源基板81と、光源基板81に形成された複数の発光素子82と、ゲート線駆動回路15C、15Dと、信号線駆動回路16Bと、発光素子制御回路12と、を有する。
【0026】
複数の発光素子82は、光源基板81の検出領域AAと重なる領域に配列される。光源基板81は、複数の発光素子85ごとにオン(点灯状態)と、オフ(非点灯状態)とを切り替えて駆動する駆動回路基板である。
【0027】
発光素子制御回路12は、ゲート線駆動回路15C、15D、信号線駆動回路16Bにそれぞれ制御信号Sd、Se、Sfを供給し、これらの動作を制御する回路である。具体的には、ゲート線駆動回路15C、15Dは、制御信号Sd、Seに基づいて駆動信号をゲート線(図示しない)に出力し、所定行の発光素子82を選択する。信号線駆動回路16Bは、制御信号Sfに基づいて選択された信号線(図示しない)に発光素子制御信号を供給する。これにより、光源装置80は、複数の発光素子82ごとに点灯(オン)と非点灯(オフ)とを切り替えることができる。
【0028】
なお、光源装置80の光源基板81は、いわゆるアクティブマトリクス基板であるが、これに限定されない。複数の発光素子82のオンオフ制御はどのような方法でもよく、例えば、発光素子制御回路12は、複数の発光素子82をそれぞれ個別に制御してもよい。
【0029】
ホストIC70は、光源装置80側の複数の発光素子82のオン、オフの点灯パターンの切り替えと、光学センサ10側の複数のフォトダイオード30の検出(スキャン)とを同期して制御する。具体的には、ホストIC70は、期間ごとに複数の発光素子82のオン、オフの点灯パターンを異ならせて点灯し、期間ごとに複数のフォトダイオード30のセンサ値Soに基づく分割画像IMを取得する。そして、複数の分割画像IMを合成して全体画像を生成する。なお、検出装置1の検出方法の詳細については、図7以下で後述する。
【0030】
ホストIC70は、光学センサ10側の制御回路として、センサ値記憶回路71と、分割画像生成回路72と、記憶回路73と、画像処理回路79と、を有する。センサ値記憶回路71は、光学センサ10の検出制御回路11から出力されたセンサ値Soを記憶する。分割画像生成回路72は、複数のフォトダイオード30からのセンサ値Soに基づいて生成した画像から、複数の発光素子82のうち、点灯した複数の発光素子82の照射領域IAに対応する部分を切り取って複数の分割画像IMを生成する。なお、分割画像生成回路72、画像処理回路79及び画像生成回路76は、プロセッサによりソフトウェアで処理してもよい。
【0031】
記憶回路73は、複数の分割画像IMを、複数のフォトダイオード30の照射領域IAの位置情報と対応づけて記憶する。画像処理回路79は、複数の分割画像IMの各々について画像処理を実行する。分割画像生成回路72、記憶回路73及び画像処理回路79の詳細な動作については、図10以降で後述する。
【0032】
ホストIC70は、光源装置80側の制御回路として、点灯パターン生成回路74及び点灯パターン記憶回路75と、を有する。点灯パターン記憶回路75は、期間ごとの、複数の発光素子82のオン(点灯)、オフ(非点灯)の点灯パターンの情報を記憶する。点灯パターン生成回路74は、点灯パターン記憶回路75の点灯パターンの情報に基づいて、各種制御信号を生成する。そして、点灯パターン生成回路74は、期間ごとに、複数の発光素子82のオン、オフの点灯パターンの情報を含む発光素子制御信号を、発光素子制御回路12に出力する。
【0033】
ホストIC70は、さらに画像生成回路76を有する。画像生成回路76は、分割画像生成回路72から取得した分割画像IM(または、画像処理回路79で生成した画像処理後の分割画像IMa)と、複数の発光素子82の点灯パターンの情報と、に基づいて分割画像IMを合成して全体画像IMAを生成する。
【0034】
なお、図示は省略するが、ホストIC70は、検出制御回路11と発光素子制御回路12とを同期して制御する制御回路を有する。すなわち、ホストIC70からの制御信号に基づいて、光源装置80側の複数の発光素子82の点灯パターンの切り替えと、光学センサ10側の複数のフォトダイオード30の検出とが同期して制御される。なお、光学センサ10は2つのゲート線駆動回路15A、15Bを有しているが、1つのゲート線駆動回路を有していてもよい。光源装置80は2つのゲート線駆動回路15C、15Dを有しているが、1つのゲート線駆動回路を有していてもよい。
【0035】
次に、光学センサ10の構成例について説明する。図4は、センサ画素を示す回路図である。図4に示すように、センサ画素3は、フォトダイオード30と、容量素子Caと、第1トランジスタTrSと、を含む。第1トランジスタTrSは、フォトダイオード30に対応して設けられる。第1トランジスタTrSは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。第1トランジスタTrSのゲートはセンサゲート線GLSに接続される。第1トランジスタTrSのソースはセンサ信号線SLSに接続される。第1トランジスタTrSのドレインは、フォトダイオード30のアノード及び容量素子Caに接続される。
【0036】
フォトダイオード30のカソードには、検出制御回路11から電源電位SVSが供給される。また、容量素子Caには、検出制御回路11から、容量素子Caの初期電位となる基準電位VR1が供給される。
【0037】
センサ画素3に光が照射されると、フォトダイオード30には光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1トランジスタTrSがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、センサ信号線SLSに電流が流れる。センサ信号線SLSは、信号線駆動回路16Aを介して検出制御回路11に接続される。これにより、検出装置1の光学センサ10は、センサ画素3ごとに、フォトダイオード30に照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0038】
なお、第1トランジスタTrSは、n型TFTに限定されず、p型TFTで構成されてもよい。また、図4に示すセンサ画素3の画素回路はあくまで一例であり、センサ画素3には、1つのフォトダイオード30に対応して、複数のトランジスタが設けられていてもよい。
【0039】
次に、光学センサ10の詳細な構成について説明する。図5は、第1実施形態に係るセンサ画素を模式的に示す平面図である。
【0040】
なお、以下の説明において、第1方向Dxは、基板21(図6参照)と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板21の主面の法線方向である。また、「平面視」とは、基板21と垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0041】
図5に示すように、センサ画素3は、センサゲート線GLSと、センサ信号線SLSとで囲まれた領域である。本実施形態では、センサゲート線GLSは、第1センサゲート線GLAと第2センサゲート線GLBとを含む。第1センサゲート線GLAは、第2センサゲート線GLBと重なって設けられる。第1センサゲート線GLAと第2センサゲート線GLBとは、絶縁層22c、22d(図6参照)を介して異なる層に設けられている。第1センサゲート線GLAと第2センサゲート線GLBとは、任意の箇所で電気的に接続され、同じ電位を有するゲート駆動信号が供給される。第1センサゲート線GLA及び第2センサゲート線GLBの少なくとも一方が、ゲート線駆動回路15A、15Bに接続される。なお、図5では、第1センサゲート線GLAと第2センサゲート線GLBとは異なる幅を有しているが、同じ幅であってもよい。
【0042】
フォトダイオード30は、センサゲート線GLSと、センサ信号線SLSとで囲まれた領域に設けられる。上部電極34及び下部電極35は、フォトダイオード30のそれぞれに対応して設けられる。フォトダイオード30は、例えば、PINフォトダイオードである。下部電極35は、例えば、フォトダイオード30のアノード電極である。上部電極34は、例えば、フォトダイオード30のカソード電極である。
【0043】
上部電極34は、接続配線36を介して電源信号線Lvsと接続される。電源信号線Lvsは、電源電位SVSをフォトダイオード30に供給する配線である。本実施形態では、電源信号線Lvsは、センサ信号線SLSと重なって第2方向Dyに延在する。第2方向Dyに配列された複数のセンサ画素3は、共通の電源信号線Lvsに接続される。このような構成により、センサ画素3の開口を大きくすることができる。下部電極35、フォトダイオード30及び上部電極34は、平面視で略四角形状である。ただし、これに限定されず、下部電極35、フォトダイオード30及び上部電極34の形状は適宜変更できる。
【0044】
第1トランジスタTrSは、センサゲート線GLSとセンサ信号線SLSとの交差部の近傍に設けられる。第1トランジスタTrSは、半導体層61、ソース電極62、ドレイン電極63、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bを含む。
【0045】
半導体層61は、酸化物半導体である。より好ましくは、半導体層61は、酸化物半導体のうち透明アモルファス酸化物半導体(TAOS:Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)である。第1トランジスタTrSに酸化物半導体を用いることにより、第1トランジスタTrSのリーク電流を抑制できる。すなわち、第1トランジスタTrSは、非選択のセンサ画素3からのリーク電流を低減できる。このため、光学センサ10は、S/N比を向上させることができる。ただし、半導体層61は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、ポリシリコン、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)等であってもよい。
【0046】
半導体層61は、第1方向Dxに沿って設けられ、平面視で第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bと交差する。第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bは、それぞれ第1センサゲート線GLA及び第2センサゲート線GLBから分岐して設けられる。言い換えると、第1センサゲート線GLA及び第2センサゲート線GLBのうち、半導体層61と重なる部分が第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bとして機能する。第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bは、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金が用いられる。また、半導体層61の、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bと重なる部分にチャネル領域が形成される。
【0047】
半導体層61の一端は、コンタクトホールH1を介してソース電極62と接続される。半導体層61の他端は、コンタクトホールH2を介してドレイン電極63と接続される。センサ信号線SLSのうち、半導体層61と重なる部分がソース電極62である。また、第3導電層67のうち、半導体層61と重なる部分がドレイン電極63として機能する。第3導電層67はコンタクトホールH3を介して下部電極35と接続される。このような構成により、第1トランジスタTrSは、フォトダイオード30とセンサ信号線SLSとの間の接続と遮断とを切り換え可能になっている。
【0048】
次に光学センサ10の層構成について説明する。図6は、図5のVI-VI’断面図である。
【0049】
なお、光学センサ10を含む検出装置1の説明において、基板21の表面に垂直な方向(第3方向Dz)において、基板21からフォトダイオード30に向かう方向を「上側」又は「上」とする。フォトダイオード30から基板21に向かう方向を「下側」又は「下」とする。
【0050】
図6に示すように、基板21は絶縁基板であり、例えば、石英、無アルカリガラス等のガラス基板が用いられる。基板21の一方の面に、第1トランジスタTrS、各種配線(センサゲート線GLS及びセンサ信号線SLS)及び絶縁層が設けられてアレイ基板2が形成される。複数のフォトダイオード30は、アレイ基板2の上、すなわち、基板21の一方の面側に配列される。なお、基板21は、ポリイミド等の樹脂で構成された樹脂基板又は樹脂フィルムであってもよい。
【0051】
絶縁層22a、22bは、基板21の上に設けられる。絶縁層22a、22b、22c、22d、22e、22f、22gは、無機絶縁膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO)や窒化シリコン(SiN)等である。また、各無機絶縁層は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0052】
第1ゲート電極64Aは、絶縁層22bの上に設けられる。絶縁層22cは、第1ゲート電極64Aを覆って絶縁層22bの上に設けられる。半導体層61、第1導電層65及び第2導電層66は、絶縁層22cの上に設けられる。第1導電層65は、半導体層61のうちソース電極62と接続される端部を覆って設けられる。第2導電層66は、半導体層61のうちドレイン電極63と接続される端部を覆って設けられる。
【0053】
絶縁層22dは、半導体層61、第1導電層65及び第2導電層66を覆って絶縁層22cの上に設けられる。第2ゲート電極64Bは、絶縁層22dの上に設けられる。半導体層61は、基板21に垂直な方向において、第1ゲート電極64Aと第2ゲート電極64Bとの間に設けられる。つまり、第1トランジスタTrSは、いわゆるデュアルゲート構造である。ただし、第1トランジスタTrSは、第1ゲート電極64Aが設けられ、第2ゲート電極64Bが設けられないボトムゲート構造でもよく、第1ゲート電極64Aが設けられず、第2ゲート電極64Bのみが設けられるトップゲート構造でもよい。
【0054】
絶縁層22eは、第2ゲート電極64Bを覆って絶縁層22dの上に設けられる。ソース電極62(センサ信号線SLS)及びドレイン電極63(第3導電層67)は、絶縁層22eの上に設けられる。本実施形態では、ドレイン電極63は、絶縁層22d、22eを介して半導体層61の上に設けられた第3導電層67である。ソース電極62は、コンタクトホールH1及び第1導電層65を介して半導体層61と電気的に接続される。ドレイン電極63は、コンタクトホールH2及び第2導電層66を介して半導体層61と電気的に接続される。
【0055】
第3導電層67は、平面視で、フォトダイオード30と重なる領域に設けられる。第3導電層67は、半導体層61、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bの上側にも設けられる。つまり、第3導電層67は、基板21に垂直な方向において、第2ゲート電極64Bと下部電極35との間に設けられる。これにより、第3導電層67は、第1トランジスタTrSを保護する保護層としての機能を有する。
【0056】
第2導電層66は、半導体層61と重ならない領域において、第3導電層67と対向して延在する。また、半導体層61と重ならない領域において、絶縁層22dの上に第4導電層68が設けられる。第4導電層68は、第2導電層66と第3導電層67との間に設けられる。これにより、第2導電層66と第4導電層68との間に容量が形成され、第3導電層67と第4導電層68との間に容量が形成される。第2導電層66、第3導電層67及び第4導電層68により形成される容量は、図4に示す容量素子Caの容量である。
【0057】
第1有機絶縁層23aは、ソース電極62(センサ信号線SLS)及びドレイン電極63(第3導電層67)を覆って、絶縁層22eの上に設けられる。第1有機絶縁層23aは、第1トランジスタTrSや、各種導電層で形成される凹凸を平坦化する平坦化層である。
【0058】
次に、フォトダイオード30の断面構成について説明する。フォトダイオード30は、アレイ基板2の第1有機絶縁層23aの上に、下部電極35、フォトダイオード30、上部電極34の順に積層される。
【0059】
下部電極35は、第1有機絶縁層23aの上に設けられ、コンタクトホールH3を介して第3導電層67と電気的に接続される。下部電極35は、フォトダイオード30のアノードであり、検出信号Vdetを読み出すための電極である。下部電極35は、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)等の金属材料が用いられる。又は、下部電極35は、これらの金属材料が複数積層された積層膜であってもよい。下部電極35は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透光性を有する導電材料であってもよい。
【0060】
フォトダイオード30は、半導体層としてi型半導体層31、n型半導体層32及びp型半導体層33を含む。i型半導体層31、n型半導体層32及びp型半導体層33は、例えばアモルファスシリコン(a-Si)で形成される。図6では、基板21の表面に垂直な方向において、p型半導体層33、i型半導体層31及びn型半導体層32の順に積層されている。ただし、反対の構成、つまり、n型半導体層32、i型半導体層31及びp型半導体層33の順に積層されていてもよい。また各半導体層は、有機半導体からなる光電変換素子であってもよい。
【0061】
n型半導体層32は、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体層33は、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体層31は、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体層32及びp型半導体層33よりも低い導電性を有する。
【0062】
上部電極34は、フォトダイオード30のカソードであり、電源電位SVSを光電変換層に供給するための電極である。上部電極34は、例えばITO等の透光性導電層であり、フォトダイオード30ごとに複数設けられる。
【0063】
第1有機絶縁層23aの上に絶縁層22f及び絶縁層22gが設けられている。絶縁層22fは、上部電極34の周縁部を覆い、上部電極34と重なる位置に開口が設けられている。接続配線36は、上部電極34のうち、絶縁層22fが設けられていない部分で上部電極34と接続される。絶縁層22gは、上部電極34及び接続配線36を覆って絶縁層22fの上に設けられる。絶縁層22gの上に平坦化層である第2有機絶縁層23bが設けられる。また、有機半導体のフォトダイオード30の場合には、さらにその上に絶縁層22hが設けられる場合がある。
【0064】
次に、本実施形態の検出装置1の検出方法の一例について説明する。図7は、複数の発光素子と、照射領域との関係を模式的に説明するための説明図である。
【0065】
図7に示すように、複数の発光素子82は、複数の発光素子82-1(第1光源)と、複数の発光素子82-2(第2光源)と、複数の発光素子82-3(第3光源)と、を含む。複数の発光素子82-1、82-2、82-3は、離隔して千鳥配置(デルタ配置)とされる。図8に示す3つの発光素子82では、発光素子82-1と発光素子82-2とは、第1方向Dxで隣接して配置される。発光素子82-3は、発光素子82-1及び発光素子82-2と、斜め方向で隣接して配置される。
【0066】
発光素子82-1、発光素子82-2及び発光素子82-3は、期間ごとに点灯(オン)、非点灯(オフ)が切り替えられる発光素子82のグループを区別して示したものである。各発光素子82-1、82-2、82-3の構成、照射される光Lの波長はいずれも同等である。言い換えると、発光素子82-1、発光素子82-2及び発光素子82-3は点灯パターンに応じて分けられている。
【0067】
隣接する発光素子82-1、発光素子82-2及び発光素子82-3は、正三角形を構成するように配置される。第1方向Dxで、発光素子82-1、発光素子82-2、発光素子82-3は、この順で繰り返し配列される。また、1行目の複数の発光素子82と、2行目の複数の発光素子82とは、第1方向Dxでの位置がずれて配置される。複数の発光素子82の配置ピッチdはいずれも等しい。第1方向Dxで隣接する発光素子82-1と発光素子82-2との配置ピッチdは、斜め方向で隣接する発光素子82-1と発光素子82-3との配置ピッチdと等しく、かつ、斜め方向で隣接する発光素子82-2と発光素子82-3との配置ピッチdと等しい。また、同じ期間に点灯する2つの発光素子82-1の配置ピッチは、上述した配置ピッチdよりも大きい。なお、配置ピッチdは、隣接する発光素子82の幾何中心同士の間の距離とする。
【0068】
発光素子82-1、発光素子82-2及び発光素子82-3で形成される三角形の幾何中心と、各発光素子82とを結ぶ仮想線と、隣接する発光素子82同士を結ぶ仮想線との間の角度θ1は30°である。また、隣接する発光素子82同士を結ぶ仮想線の間の角度θ2(発光素子82-1、発光素子82-2及び発光素子82-3で形成される三角形の内角)は60°である。具体的には、発光素子82-1、発光素子82-2及び発光素子82-3で形成される三角形の幾何中心と、発光素子82-1とを結ぶ仮想線と、第1方向Dxで隣接する発光素子82-1と発光素子82-2とを結ぶ仮想線と、の間の角度θ1は30°である。また、第1方向Dxで隣接する発光素子82-1と発光素子82-2とを結ぶ仮想線と、斜め方向で隣接する発光素子82-2と発光素子82-3とを結ぶ仮想線と、の間の角度θ2は60°である。
【0069】
図8は、複数の発光素子の照射領域と担当領域との関係を模式的に説明するための説明図である。図9は、図8のIX-IX’断面図である。図8及び図9に示すように、発光素子82-1、発光素子82-2及び発光素子82-3の各々から、搭載基板101上に光L1が照射される領域を、それぞれ照射領域IA1、IA2、IA3とする。
【0070】
図8に示すように照射領域IA1、IA2、IA3は、搭載基板101の表面全体をカバーできるように配置され、互いに重複する部分を有する。例えば、照射領域IA1の外周と照射領域IA2の外周とは、交点P1、P10で交差する。照射領域IA2の外周と照射領域IA3の外周とは、交点P2、P10で交差する。照射領域IA1の外周と照射領域IA3の外周とは、交点P3、P10で交差する。照射領域IA1、IA2、IA3の照射半径r(図7参照)及び発光素子82の配置ピッチd(図7参照)は、下記の式(1)を満たす。なお、照射半径rは、照射領域IA1、IA2、IA3の中心と、外周上の任意の点とを結ぶ仮想線の長さである。また、照射領域IA1、IA2、IA3の中心は、発光素子82-1、82-2、82-3のそれぞれの幾何中心と一致する。
【0071】
d≦2×r×cos(30°)=√3×r ・・・ (1)
【0072】
複数の発光素子82の配置ピッチdは、例えば1mm以上20mm以下である。光学センサ10の表面に垂直な方向で、発光素子82と光学センサ10(フォトダイオード30)との間の距離は4mm以上80mm以下である。
【0073】
このような構成により、搭載基板101の全体を照射領域IA1、IA2、IA3がカバーするように複数の発光素子82が配置される。また、1つの発光素子82で搭載基板101の全体を照射できるように構成された場合に比べ、発光素子82と光学センサ10(フォトダイオード30)との間の距離を小さくすることができ、検出装置1全体の小型化が可能である。
【0074】
以下の説明では、照射領域IA1、IA2、IA3の各々に対応する領域であって、重複部分が生じないように発光素子82ごとに分割して設定した領域を担当領域DA1、DA2、DA3とする。担当領域DA1、DA2、DA3はそれぞれ六角形である。第1方向Dxに隣接する担当領域DA1、DA2は、交点P1と交点P10とを結ぶ直線で分離される。同様に、斜め方向に隣接する担当領域DA2、DA3は、交点P2と交点P10とを結ぶ直線で分離される。斜め方向に隣接する担当領域DA1、DA3は、交点P3と交点P10とを結ぶ直線で分離される。
【0075】
図9に示すように、発光素子82から照射される光Lは、照射角度θ3を有して拡がって光学センサ10に進行する。また、光学センサ10は、所定の間隔を有して搭載基板101の下側に配置される。このため、担当領域DA1、DA2を透過した光Lが光学センサ10上に投影される領域(以下投影領域PA1、PA2と表す)は、担当領域DA1、DA2よりも大きい面積を有する。また、光学センサ10において、隣接する投影領域PA1、PA2は、重複部分を有する。
【0076】
なお、図9では図示されないが、担当領域DA3を透過した光Lが光学センサ10上に投影される領域(以下投影領域PA3と表す)についても、担当領域DA3よりも大きい面積を有する。すなわち、隣接する投影領域PA2、PA3は重複部分を有し、また、隣接する投影領域PA1、PA3は重複部分を有する。このため、仮に、隣接する発光素子82-1、82-2、82-3を同時に点灯させて、光学センサ10の検出を行うと、投影領域PA1、PA2、PA3の重複部分において、画像にボケが生じる可能性がある。
【0077】
以下、検出装置1の検出方法について説明する。
【0078】
図10は、第1実施形態に係る検出装置の検出方法を示すフローチャート図である。図10に示すように、ホストIC70(図2参照)は、発光素子番号nをn=1に設定する(ステップST1)。本実施形態では、発光素子番号nは1以上3以下の自然数であり、発光素子82-1、82-2、82-3のそれぞれに対応して割り当てられる。本実施形態では発光素子番号nの最終値はn=3である。なお、「発光素子番号」は点灯時に互いに重なり合わない複数の発光素子82の同一の「発光素子グループ番号」等と称してもよい。
【0079】
光源装置80(図2参照)は、発光素子番号n=1に対応する期間(第1期間)で、点灯パターン生成回路74からの制御信号に基づいて、発光素子番号n=1に対応する発光素子82-1を点灯させる(ステップST2)。また、光源装置80は、発光素子82-1以外の他の発光素子82-2、82-3を非点灯とする。
【0080】
次にホストIC70(図2参照)は、光学センサ10の検出を実行する(ステップST3)。光学センサ10は、検出領域AAの複数のフォトダイオード30を全面スキャンする。具体的には、光学センサ10のゲート線駆動回路15A、15Bは、1行目のセンサゲート線GLSから最終行のセンサゲート線GLSまで順次走査する。これにより、検出領域AA全面の複数のフォトダイオード30からセンサ値SoがホストIC70に送信される。
【0081】
ここで、発光素子番号n=1に対応する期間では、点灯する発光素子82-1に隣接する発光素子82-2、82-3は非点灯となる。このため、光学センサ10には、担当領域DA1を透過した光Lが投影領域PA1(図9参照)に照射され、担当領域DA2、DA3(投影領域PA2、PA3)には光Lは照射されない。ステップST3における光学センサ10の検出では、光Lが照射される投影領域PA1、及び、光Lが照射されない投影領域PA2、PA3を含む全面に対応する複数のフォトダイオード30からセンサ値Soが出力される。
【0082】
分割画像生成回路72(図2参照)は、複数のフォトダイオード30から取得したセンサ値Soから画像を生成し、投影領域PA1に対応する分割画像IM1を生成する(ステップST4)。
【0083】
図11は、ステップST4、ST5における分割画像の生成、及び、分割画像の縮小について説明するための説明図である。図11各図では、画像全体のうち分割画像IM1、IM2、IM3及び画像処理後の分割画像IM1a、IM2a、IM3aにハッチングを付けて示している。図11の左図では、発光素子番号n=1での分割画像の生成、及び、分割画像の縮小について示す。図11の中央図では、発光素子番号n=2、図11の右図では、発光素子番号n=3での分割画像の生成、及び、分割画像の縮小について示す。
【0084】
図11左図に示すように、分割画像生成回路72(図2参照)は、複数のフォトダイオード30を全面スキャンして得られた複数のセンサ値Soに基づく画像から、点灯した発光素子82-1の照射領域IA1に対応する六角形状の部分(すなわち、光学センサ10の投影領域PA1に対応する部分)を切り取って、分割画像IM1を生成する。言い換えると、分割画像生成回路72は、隣接する複数の発光素子82で、照射領域IAの重複部分に対応する画像の一部(図8に示す担当領域DAの外周と照射領域IAの外周との間の部分)を切り捨てて複数の分割画像IM1を生成する。複数の分割画像IM1は、発光素子82-1のそれぞれに対応して生成され、発光素子82-1(照射領域IA1)の位置座標に関する情報とともに記憶回路73に格納される。
【0085】
図10に戻って、画像処理回路79(図2参照)は、複数の分割画像IM1を縮小する(ステップST5)。画像処理回路79は、光学センサ10の表面に垂直な方向で、複数の発光素子82と光学センサ10との間の距離と、複数の発光素子82と搭載基板101との間の距離と、に応じて分割画像IM1の各々を縮小する。
【0086】
図11左図に示すように、画像処理後の分割画像IM1aは、発光素子82-1の照射領域IA1に対応して設定された担当領域DA1と実質的に同等の形状、面積を有する。複数の発光素子82と搭載基板101との間の距離をh1とし、複数の発光素子82と光学センサ10との間の距離をh2としたときに、分割画像IM1の縮小率はh1/h2×100(%)で設定される。なお、縮小する理由は、光学センサ10で撮像された画像は発光素子82からの光の広がりと距離に応じて実際の被検出体100よりも大きくなっているためである。
【0087】
図10に戻って、ホストIC70(図2参照)は、発光素子番号nが最終値(n=3)かどうかを判断する(ステップST6)。発光素子番号nが最終値(n=3)でない場合(ステップST6、No)、ホストIC70は、発光素子番号nをn+1に更新する(ステップST7)。
【0088】
ホストIC70は、発光素子番号n=2、n=3のそれぞれについて上述したステップST2からステップST5を繰り返し実行する。具体的には、発光素子番号n=2に対応する期間(第2期間)では、光源装置80(図2参照)は、発光素子番号n=2に対応する発光素子82-2を点灯させ、発光素子82-2以外の他の発光素子82-1、82-3を非点灯とする。光学センサ10は、検出領域AAの複数のフォトダイオード30を全面スキャンする。
【0089】
図11中央図に示すように、分割画像生成回路72(図2参照)は、センサ値Soに基づく画像から、点灯した発光素子82-2の照射領域IA2に対応する六角形状の部分(すなわち、光学センサ10の投影領域PA2に対応する部分)を切り取って、分割画像IM2を生成する。複数の分割画像IM2は、発光素子82-2のそれぞれに対応して生成され、発光素子82-2(照射領域IA2)の位置座標に関する情報とともに記憶回路73に格納される。
【0090】
また、画像処理回路79(図2参照)は、複数の分割画像IM2を縮小する。図11中央図に示すように、画像処理後の分割画像IM2aは、発光素子82-2の照射領域IA2に対応して設定された担当領域DA2と実質的に同等の形状、面積を有する。
【0091】
発光素子番号n=3に対応する期間(第3期間)では、光源装置80(図2参照)は、発光素子番号n=3に対応する発光素子82-3を点灯させ、発光素子82-3以外の他の発光素子82-1、82-2を非点灯とする。光学センサ10は、検出領域AAの複数のフォトダイオード30を全面スキャンする。
【0092】
図11右図に示すように、分割画像生成回路72(図2参照)は、センサ値Soに基づく画像から、点灯した発光素子82-3の照射領域IA3に対応する六角形状の部分(すなわち、光学センサ10の投影領域PA3に対応する部分)を切り取って、分割画像IM3を生成する。複数の分割画像IM3は、発光素子82-3のそれぞれに対応して生成され、発光素子82-3(照射領域IA3)の位置座標に関する情報とともに記憶回路73に格納される。
【0093】
また、画像処理回路79(図2参照)は、複数の分割画像IM3を縮小する。図11右図に示すように、画像処理後の分割画像IM3aは、発光素子82-3の照射領域IA3に対応して設定された担当領域DA3と実質的に同等の形状、面積を有する。
【0094】
図10に戻って、発光素子番号nが最終値(n=3)である場合(ステップST6、Yes)、画像生成回路76(図2参照)は、縮小された画像処理後の分割画像IM1a、IM2a、IM3aを合成して全体画像IMAを生成する(ステップST8)。
【0095】
図12は、分割画像を合成して全体画像を生成する方法を説明するための説明図である。図12に示すように、発光素子番号n=1、n=2、n=3に対応する各期間で取得した画像処理後の分割画像IM1a、IM2a、IM3aは、それぞれ担当領域DA1、DA2、DA3と同等の形状、面積になるように縮小されている。
【0096】
すなわち、画像処理後の分割画像IM1a、IM2a、IM3aは、重ね合わせた場合に重複部分を有さない。画像生成回路76は、画像処理後の分割画像IM1a、IM2a、IM3aの各辺が接するように合成して、全体画像IMAを生成する。
【0097】
以上のように、本実施形態の検出装置1において、複数の発光素子82は、複数の発光素子82-1(第1光源)、複数の発光素子82-1の各々に隣接する複数の発光素子82-2(第2光源)、及び、複数の発光素子82-1、82-2の各々に隣接して配置された複数の発光素子82-3(第3光源)を含む。検出装置1は、複数の発光素子82-1を点灯させ、複数の発光素子82-2及び複数の発光素子82-3を非点灯とする第1期間と、複数の発光素子82-2を点灯させ、複数の発光素子82-1及び複数の発光素子82-3を非点灯とする第2期間と、複数の発光素子82-3を点灯させ、複数の発光素子82-1及び複数の発光素子82-2を非点灯とする第3期間と、を有する。第1期間に光学センサ10で検出した分割画像IM1(第1画像)と、第2期間に光学センサ10で検出した分割画像IM2(第2画像)と、第3期間に光学センサ10で検出した分割画像IM3と、を合成する。
【0098】
このように、発光素子82-1、発光素子82-2及び発光素子82-3を時分割的に点灯させ、それぞれの期間に光学センサ10が検出を行う。そして、各期間で取得した分割画像IMを合成することで、全体画像IMAを生成する。これにより、1つの発光素子82を設けた構成に比べて、発光素子82と光学センサ10(フォトダイオード30)との間の距離を小さくするとともに、ぼやけの無い画像を取得することができる。
【0099】
なお、図10から図12に示した検出方法は、あくまで一例であり適宜変更することができる。例えば、図10、発光素子82-1、発光素子82-2及び発光素子82-3の点灯、及び、光学センサ10の検出を、各期間(発光素子番号n=1、n=2、n=3)で行った後に、ステップST4、ST5における分割画像IM1、IM2、IM3の生成、及び、画像処理(縮小)をまとめて実行してもよい。また、複数の発光素子82の点灯パターンは、複数の発光素子82-1、82-2の少なくとも2つを有していればよい。この場合、発光素子番号nは、n=2が最終値となる。そして、第1期間に光学センサ10で検出した分割画像IM1(第1画像)と、第2期間に光学センサ10で検出した分割画像IM2(第2画像)と、を合成することで、全体画像IMAを生成してもよい。
【0100】
(変形例)
図13は、変形例に係る検出装置の、複数の発光素子と、照射領域との関係を模式的に説明するための説明図である。図14は、変形例に係る検出装置の、分割画像を合成して全体画像を生成する方法を説明するための説明図である。
【0101】
図13に示すように、変形例において、複数の発光素子82は、発光素子82-1、82-2、82-3の各々に隣接して配置された複数の発光素子82-4(第4光源)を含む。複数の発光素子82-1、82-2、82-3、82-4は、離隔して格子状に配置(矩形配置)される。
【0102】
本変形例においても、照射領域IA1、IA2、IA3、IA4が搭載基板101の全体をカバーするように、複数の発光素子82-1、82-2、82-3、82-4が配置される。照射領域IA1、IA2、IA3、IA4の照射半径r及び発光素子82の配置ピッチdは、下記の式(2)を満たす。
【0103】
d≦2×r×cos(45°)=√2×r ・・・ (2)
【0104】
図14に示すように、照射領域IA1、IA2、IA3、IA4のそれぞれに対応して設定された担当領域DA1、DA2、DA3、DA4は四角形状である。
【0105】
本変形例においても、図10にて説明した検出方法と同様に、発光素子番号n=1、n=2、n=3に対応する第1期間、第2期間及び第3期間で、それぞれ分割画像IM1、IM2、IM3を生成する。光源装置80(図2参照)は、発光素子番号n=1に対応する期間(第1期間)で、発光素子82-1を点灯させ、発光素子82-2、82-3、82-4を非点灯とする。光源装置80は、発光素子番号n=2に対応する期間(第2期間)で、発光素子82-2を点灯させ、発光素子82-1、82-3、82-4を非点灯とする。光源装置80は、発光素子番号n=3に対応する期間(第3期間)で、発光素子82-3を点灯させ、発光素子82-1、82-2、82-4を非点灯とする。
【0106】
各期間で、分割画像IM1、IM2、IM3は、それぞれ照射領域IA1、IA2、IA3に対応する四角形状の部分(すなわち、光学センサ10の投影領域PA1、PA2、PA3に対応する部分)を切り取って生成される。さらに、画像処理回路79は、分割画像IM1、IM2、IM3を縮小し、画像処理後の分割画像IM1a、IM2a、IM3aを生成する。画像処理後の分割画像IM1a、IM2a、IM3aは、それぞれ担当領域DA1、DA2、DA3と実質的に同等の形状、面積を有する。
【0107】
本変形例では、さらに、発光素子番号n=4に対応する期間(第4期間)を有する。発光素子番号n=4に対応する期間で、光源装置80(図2参照)は、発光素子番号n=4に対応する発光素子82-4を点灯させ、発光素子82-4以外の他の発光素子82-1、82-2、82-3を非点灯とする。光学センサ10は、検出領域AAの複数のフォトダイオード30を全面スキャンする。
【0108】
分割画像生成回路72(図2参照)は、全面スキャンにより得られた複数のセンサ値Soに基づく画像から、点灯した発光素子82-4の照射領域IA4に対応する四角形状の部分(すなわち、光学センサ10の投影領域PA4(図示しない)に対応する部分)を切り取って、分割画像IM4を生成する(図示は省略)。複数の分割画像IM4は、発光素子82-4のそれぞれに対応して生成され、発光素子82-4(照射領域IA4)の位置座標に関する情報とともに記憶回路73に格納される。
【0109】
また、画像処理回路79(図2参照)は、複数の分割画像IM4を縮小する。図14右図に示すように、画像処理後の分割画像IM4aは、発光素子82-4の照射領域IA4に対応して設定された担当領域DA4と実質的に同等の形状、面積を有する。
【0110】
画像生成回路76(図2参照)は、縮小された画像処理後の分割画像IM1a、IM2a、IM3a、IM4aを合成して全体画像IMAを生成する。
【0111】
なお、複数の発光素子82の配置はあくまで一例であり、他の配置を採用してもよい。複数の発光素子82を時分割で点灯させる期間の数は、5以上であってもよい。
【0112】
(第2実施形態)
図15は、第2実施形態に係る検出装置の検出方法を示すフローチャート図である。図15に示すステップST11からステップST14、及び、ステップST16、ST17は、上述した第1実施形態の図10にステップST1からステップST4、及び、ステップST6、ST7と同様であり、繰り返しの説明は省略する。
【0113】
第2実施形態に係る検出装置では、例えば発光素子番号n=1において、ステップST14にて分割画像IM1を生成した後、分割画像IM1の縮小を行わず、分割画像IM1を記憶回路73に格納する(ステップST15)。発光素子番号nが最終値(例えばn=3)になるまで、繰り返し分割画像IM2、IM3を生成し、それぞれ記憶回路73に格納する。
【0114】
画像生成回路76(図2参照)は、画像処理(縮小)を行わない分割画像IM1、IM2、IM3を合成して全体画像IMBを生成する(ステップST18)。
【0115】
図16は、第2実施形態に係る検出装置の、分割画像を合成して全体画像を生成する方法を説明するための説明図である。図16は、第2実施形態にて生成された全体画像IMBを、第1実施形態にて生成された全体画像IMAと比較して示す。
【0116】
ステップST14にて生成された分割画像IM1、IM2、IM3は、複数のフォトダイオード30を全面スキャンして得られた複数のセンサ値Soに基づく画像から、光学センサ10の投影領域PA1、PA2、PA3(図9参照)に対応する部分を切り取って生成される。投影領域PA1、PA2、PA3は、照射領域IA1、IA2、IA3のそれぞれに対応する担当領域DA1、DA2、DA3よりも大きい形状、面積を有する。このため、分割画像IM1、IM2、IM3をそのまま重ね合わせた場合、それぞれの外縁部分で重複する部分が生じる。
【0117】
図16に示すように、本実施形態では、全体画像IMBを生成する際に、分割画像IM1、IM2、IM3の重複部分が生じないように分割画像IM1、IM2、IM3の位置をずらして合成する。すなわち、投影領域PA1、PA2、PA3のそれぞれに対応する分割画像IM1、IM2、IM3の形状、面積は維持した状態で、隣接する分割画像IM1、IM2、IM3の幾何中心の距離を大きくして合成する。複数の発光素子82と搭載基板101との間の距離をh1とし、複数の発光素子82と光学センサ10との間の距離をh2としたときに、隣接する分割画像IM1、IM2、IM3の幾何中心の距離の、隣接する担当領域DA1、DA2、DA3の幾何中心の距離に対する拡大率は、h2/h1×100(%)で設定される。これにより、分割画像IM1、IM2、IM3の各辺が接するように、分割画像IM1、IM2、IM3の位置が調整される。
【0118】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係る検出装置の、分割画像の輝度補正方法を説明するための説明図である。図17では、分割画像IM1(図17左図)、輝度傾斜データIMC(図17中央図)、補正後の分割画像IMD(図17左図)のそれぞれについて、一点鎖線A、B、Cに沿った階調分布を模式的に示している。
【0119】
図17左図に示すように、ステップST4(図10参照)で生成された分割画像IM1は、発光素子82からの距離に応じて階調の分布が生じる可能性がある。例えば、分割画像IM1は、分割画像IM1の中心、すなわち発光素子82の中心に近いほど明るく、分割画像IM1の周縁、すなわち発光素子82の中心から遠いほど暗くなる。この場合、分割画像IM1での位置によって、被検出体100を良好に検出できない可能性がある。
【0120】
第3実施形態に係る検出装置1において、記憶回路73は、図17中央図に示す輝度傾斜データIMCを格納する。輝度傾斜データIMCは、平面視において、各々の複数の発光素子82からの距離に応じた輝度に関する情報である。輝度傾斜データIMCは、被検出体100がない状態で搭載基板101及び培地102について取得した分割画像IM1に基づいて得られた情報である。また、記憶回路73は、輝度傾斜データIMCに基づく補正値に関する情報もあらかじめ記憶する。補正階調Lcは、下記の式(3)に基づいて算出され、記憶回路73に格納される。
【0121】
Lc(x)=(Ls(x)/Lp(x))×S ・・・ (3)
【0122】
ただし、式(3)において、xは、第1方向Dxでの画素座標である。Lcは、補正階調である。Lsは、分割画像IM1に基づいて取得した取得階調である。Lpは輝度傾斜データIMCに基づく基準階調分布である。Sは、調整用係数である。
【0123】
画像処理回路79(図2参照)は、輝度傾斜データIMCに基づいて、分割画像IM1の輝度補正を行う。より詳細には、画像処理回路79(図2参照)は、ステップST4(図10参照)で生成された分割画像IM1に、あらかじめ記憶回路73に格納された補正階調Lcを積算し、階調分布を補正した補正後の分割画像IMD(図17右図)を取得する。補正後の分割画像IMDでは、バックグラウンドの階調分布特性が位置によらず実質的に一定となり、位置によらず被検出体100の透過率に応じた階調が得られる。第3実施形態に係る検出装置1は検出精度を向上させることができる。
【0124】
(第4実施形態)
図18は、第4実施形態に係る検出装置の、複数の発光素子を模式的に示す平面図である。図18に示すように、第4実施形態に係る検出装置1において、光源装置80Bの複数の発光素子82は、発光素子82-R(第1サブ光源)、発光素子82-G(第2サブ光源)、発光素子82-B(第3サブ光源)を含む。発光素子82-Rは赤色の光を照射する。発光素子82-Gは緑色の光を照射する。発光素子82-Bは青色の光を照射する。発光素子82-R、82-G、82-Bは、デルタ配置される。ただし、これに限定されず、発光素子82-R、82-G、82-Bはこの順で並んで配置されてもよい。発光素子82-R、82-G、82-Bの配置はこれに限定されず、適宜変更できる。また、複数の発光素子82は、4色以上で構成されていてもよい。
【0125】
本実施形態では、発光素子82-R、82-G、82-Bの各々について、図10にて上述した検出方法を実行する。すなわち、発光素子82-Rについて、発光素子82-1の発光素子82-R、発光素子82-2の発光素子82-R及び発光素子82-3の発光素子82-Rが時分割的に点灯し、それぞれの期間に光学センサ10が検出を行う。そして、画像生成回路76は、各期間で取得した分割画像IMを合成することで、発光素子82-Rに対応する全体画像IMAを生成する。
【0126】
次に、発光素子82-Gについて、発光素子82-1の発光素子82-G、発光素子82-2の発光素子82-G及び発光素子82-3の発光素子82-Gが時分割的に点灯し、それぞれの期間に光学センサ10が検出を行う。そして、画像生成回路76は、各期間で取得した分割画像IMを合成することで、発光素子82-Gに対応する全体画像IMAを生成する。
【0127】
次に、発光素子82-Bについて、発光素子82-1の発光素子82-B、発光素子82-2の発光素子82-B及び発光素子82-3の発光素子82-Bが時分割的に点灯し、それぞれの期間に光学センサ10が検出を行う。そして、画像生成回路76は、各期間で取得した分割画像IMを合成することで、発光素子82-Bに対応する全体画像IMAを生成する。
【0128】
画像生成回路76は、発光素子82-R、82-G、82-Bの各々に対応する全体画像IMAを合成することで、カラー画像を生成する。
【0129】
なお、発光素子82-R、82-G、82-Bの各々の点灯期間の順番、及び、発光素子82-1、82-2、82-3の各々の点灯期間の順番はどのような組み合わせであってもよい。
【0130】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0131】
1 検出装置
2 アレイ基板
3 センサ画素
10 光学センサ
11 検出制御回路
12 発光素子制御回路
21 基板
30 フォトダイオード
70 ホストIC
71 センサ値記憶回路
72 分割画像生成回路
73 記憶回路
76 画像生成回路
79 画像処理回路
80 光源装置
81 光源基板
82、82-1、82-2、82-3、82-4 発光素子
100 被検出体
101 搭載基板
102 培地
103 カバー部材
DA、DA1、DA2、DA3 担当領域
IA、IA1、IA2、IA3、IA4 照射領域
IM、IM1、IM2、IM3、IM4 分割画像
IM1a、IM2a、IM3a、IM4a 画像処理後の分割画像
IMA、IMB 全体画像
IMC 輝度傾斜データ
IMD 補正後の分割画像
PA1、PA2、PA3、PA4 投影領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18