(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135573
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】劣化判定装置
(51)【国際特許分類】
H01H 85/30 20060101AFI20240927BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20240927BHJP
H01H 85/10 20060101ALI20240927BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01H85/30
H02H7/00 B
H01H85/10
G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046335
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山脇 淳希
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】柳田 泰次
(72)【発明者】
【氏名】岡本 昂大
(72)【発明者】
【氏名】橋倉 学
【テーマコード(参考)】
2G036
5G053
5G502
【Fターム(参考)】
2G036AA03
2G036AA24
2G036BA12
2G036BA37
2G036BB03
2G036CA10
5G053DA01
5G053EC05
5G502AA01
5G502BB07
(57)【要約】
【課題】ヒューズが劣化状態であるか否かをより適正に判定することができる劣化判定装置を提供する。
【解決手段】劣化判定装置1は、電源部10と、電源部10からの電力が供給される電力路11と、電力路11に設けられるヒューズFと、を備える車両用電源システム100に用いられる。劣化判定装置1は、ヒューズFの抵抗値R1を継続的又は断続的に測定し、抵抗値R1が下降から上昇に転換する転換領域に到達したか否かを判定する転換判定部15Aと、転換判定部15Aが転換領域に到達したと判定した後の抵抗値R1に基づいてヒューズFが劣化状態であるか否かを判定する劣化判定部15Bと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、前記電源部からの電力が供給される電力路と、前記電力路に設けられるヒューズと、を備える遮断システムに用いられる劣化判定装置であって、
前記ヒューズの抵抗値を継続的又は断続的に測定し、前記抵抗値が下降から上昇に転換する転換領域に到達したか否かを判定する転換判定部と、
前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後の前記抵抗値に基づいて前記ヒューズが劣化状態であるか否かを判定する劣化判定部と、
を備える、劣化判定装置。
【請求項2】
前記劣化判定部は、前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後に、前記抵抗値が抵抗閾値を超えたことに基づいて前記ヒューズが前記劣化状態であるか否かを判定する、請求項1に記載の劣化判定装置。
【請求項3】
前記劣化判定部は、前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後に、前記抵抗値の変化の度合いに基づいて前記ヒューズが前記劣化状態であるか否かを判定する、請求項1に記載の劣化判定装置。
【請求項4】
前記抵抗閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも大きい第2閾値と、を含み、
前記劣化状態は、第1劣化状態と、第2劣化状態と、を含み、
前記劣化判定部は、前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後の前記抵抗値と前記第1閾値とに基づいて前記ヒューズが前記第1劣化状態であるか否かを判定し、前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後の前記抵抗値と前記第2閾値とに基づいて前記ヒューズが前記第2劣化状態であるか否かを判定する、請求項2に記載の劣化判定装置。
【請求項5】
前記ヒューズは、電流が流れることに応じて溶断される複数の溶断部を有し、並列に配置された前記溶断部が全て溶断されたときに前記電力路に流れる電流を遮断した状態となる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の劣化判定装置。
【請求項6】
複数の前記溶断部は、第1溶断部と、前記第1溶断部よりも溶断しやすい第2溶断部と、を含む、請求項5に記載の劣化判定装置。
【請求項7】
前記ヒューズは、前記電力路を構成する負極側電力線に設けられる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の劣化判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、劣化判定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヒューズの溶断部における温度を推定して、推定した温度に基づいて溶断部の合金化進行度を換算し、得られた合金化進行度を積算した値と閾値とを比較することによってヒューズの劣化度を診断する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この手法を用いる場合、ヒューズの個体差を考慮する必要がある。具体的には、個体ばらつきによって溶断し易いヒューズについても確実に劣化判定しなければならない。しかし、溶断し易いヒューズを基準にして劣化判定すると、個体ばらつきによって溶断し難いヒューズについては、劣化判定する段階にないにも関わらず、劣化状態であると判定される事態が起こり得る。
【0005】
本開示は上述した事情に基づいてなされたものであり、ヒューズの劣化をより適正に判定することができる劣化判定装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の劣化判定装置は、
電源部と、前記電源部からの電力が供給される電力路と、前記電力路に設けられるヒューズと、を備える遮断システムに用いられる劣化判定装置であって、
前記ヒューズの抵抗値を継続的又は断続的に測定し、前記抵抗値が下降から上昇に転換する転換領域に到達したか否かを判定する転換判定部と、
前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後の前記抵抗値に基づいて前記ヒューズが劣化状態であるか否かを判定する劣化判定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ヒューズが劣化状態であるか否かをより適正に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1の劣化判定装置を備えた車両用電源システムを例示する回路図である。
【
図2】
図2は、ヒューズの構造の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、ヒューズの抵抗値の特性の一例を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施形態1の劣化判定装置における制御部の制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、他の実施形態のヒューズの構造を示し、貫通孔のうちの一部の大きさを小さくした模式図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態のヒューズの構造を示し、第2溶断部の材質を第1溶断部の材質と異ならせた模式図である。
【
図7】
図7は、他の実施形態のヒューズの構造を示し、電流が流れる方向から第2溶断部を挟んで貫通孔を形成した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
(1)電源部と、前記電源部からの電力が供給される電力路と、前記電力路に設けられるヒューズと、を備える遮断システムに用いられる劣化判定装置であって、
前記ヒューズの抵抗値を継続的又は断続的に測定し、前記抵抗値が下降から上昇に転換する転換領域に到達したか否かを判定する転換判定部と、
前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後の前記抵抗値に基づいて前記ヒューズが劣化状態であるか否かを判定する劣化判定部と、を備える、劣化判定装置。
【0011】
(1)の劣化判定装置は、抵抗値が下降した後、上昇に転換する特性を有するヒューズの劣化を判定する。この劣化判定装置は、このような特性のヒューズの抵抗値が下降から上昇に転換した後にヒューズの劣化状態を判定するので、固体ばらつきに関係なく、抵抗値が下降している間は劣化の判定を行わない期間を設けることができる。これにより、固体ばらつきに左右されず、ヒューズを十分に使用した後に劣化状態であるか否かを適正に判定することができる。
【0012】
(2)前記劣化判定部は、前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後に、前記抵抗値が抵抗閾値を超えたことに基づいて前記ヒューズが前記劣化状態であるか否かを判定する、(1)に記載の劣化判定装置。
【0013】
(2)の劣化判定装置は、抵抗値と抵抗閾値とを比較するという簡単な演算でヒューズが劣化状態であるか否かを判定することができる。
【0014】
(3)前記劣化判定部は、前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後に、前記抵抗値の変化の度合いに基づいて前記ヒューズが前記劣化状態であるか否かを判定する、(1)に記載の劣化判定装置。
【0015】
(3)の劣化判定装置は、抵抗値の変化の度合いに基づいて劣化状態の判定をするので、抵抗閾値との大きさの比較をするよりも緻密に劣化状態の判定をすることができる。
【0016】
(4)前記閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも大きい第2閾値と、を含み、
前記劣化状態は、第1劣化状態と、第2劣化状態と、を含み、
前記劣化判定部は、前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後の前記抵抗値と前記第1閾値とに基づいて前記ヒューズが前記第1劣化状態であるか否かを判定し、前記転換判定部が前記転換領域に到達したと判定した後の前記抵抗値と前記第2閾値とに基づいて前記ヒューズが前記第2劣化状態であるか否かを判定する、(2)に記載の劣化判定装置。
【0017】
(4)の劣化判定装置は、第1劣化状態、及び第2劣化状態の各状態に対応した制御を別個に行い易い。
【0018】
(5)前記ヒューズは、電流が流れることに応じて溶断される複数の溶断部を有し、並列に配置された前記溶断部が全て溶断されたときに前記電力路に流れる電流を遮断した状態となる、(1)から(3)のいずれかに記載の劣化判定装置。
【0019】
(5)の劣化判定装置は、溶断部を複数有している構成なので、一部の溶断部のみが先に溶断することによってヒューズの抵抗値が上昇することになる。この抵抗値の上昇を検知することによって、電力路に流れる電流を遮断する前にヒューズが劣化状態であると判定できるような構成を構築し易い。
【0020】
(6)複数の前記溶断部は、第1溶断部と、前記第1溶断部よりも溶断しやすい第2溶断部と、を含む、(5)に記載の劣化判定装置。
【0021】
(6)の劣化判定装置は、第2溶断部が第1溶断部よりも溶断しやすいので、第2溶断部が溶断された時点で第1溶断部が溶断しない状態を作り出すことができ、これにともないヒューズの抵抗値が上昇することになる。よって、全ての溶断部が溶断する前に、この抵抗値の上昇を検知することによって、ヒューズが劣化状態であるか否かを判定することができる。
【0022】
(7)前記ヒューズは、前記電力路を構成する負極側電力線に設けられる、(1)から(3)のいずれかに記載の劣化判定装置。
【0023】
(7)の劣化判定装置は、ヒューズが負極側電力線に設けられているので、ヒューズに印加される電圧が所定の変動率で変動したとしても、正極側電力線において電圧が所定の変動率で変動するよりも変動の幅が小さい。このため、負極側電力線に設けられたヒューズにおける抵抗値を演算すると、その変動幅が小さく抑えやすい。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
<実施形態1>
〔劣化判定装置の構成〕
図1に示す遮断システムである車両用電源システム100は、車両に搭載される電源システムであり、電源部10と、電力路11と、ヒューズFと、システムメインリレー33と、劣化判定装置1と、を有している。劣化判定装置1は、電流検知部38と、電位検知部39と、制御部15と、を有している。車両用電源システム100は、電源部10と負荷35との間において電力が伝送される経路である電力路11を介して電源部10から負荷35に電力を供給し得る構成をなす。
【0026】
電源部10は、負荷35に電力を供給し得るバッテリである。電源部10は、例えば、鉛バッテリや、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等の単電池を複数直列に組み合わせて構成される組電池等が適用される。
【0027】
電力路11は、正極側電力線17と、負極側電力線20と、を備えている。正極側電力線17は、電源部10の高電位側端子に電気的に接続されている。正極側電力線17には、電源部10の出力電圧が印加される。負極側電力線20は、電源部10の低電位側端子に電気的に接続されている。負極側電力線20は、正極側電力線17よりも低電位である。電源部10の低電位側端子は、例えば車両の金属ボディと電気的に接続されており、車両の金属ボディと同電位とされている。電源部10の出力電圧は、高電位側端子と低電位側端子との電位差に相当する。電力路11は、電源部10からの電力を負荷35に伝送する経路である。
【0028】
ヒューズFは、負極側電力線20に設けられている。ヒューズFは、負極側電力線20に過剰な電流が流れた場合に負極側電力線20の通電を遮断する。ヒューズFには、例えばサーマルヒューズ等が用いられる。ヒューズFは、
図2に示すように、一対の端子51と、一対の端子51の各々に繋がるように電気的に接続される本体部52と、本体部52を覆う筐体53と、を備えている。一対の端子51の各々には、負極側電力線20が電気的に接続される。本体部52には、例えば帯状をなした合金が用いられる。
【0029】
本体部52において、電流が流れる方向Dの中央部には、板厚方向に貫通する貫通孔Hが複数形成されている。これら貫通孔Hは、電流が流れる方向Dに交差する方向に並んで形成されている。本体部52には、複数の貫通孔Hと交互に複数の溶断部54が設けられている。これら溶断部54は、貫通孔Hが形成されることによって電流が流れる方向Dに直交する断面積が溶断部54を除いた位置における断面積よりも小さくされている。これら溶断部54は、電流が流れる方向Dに対して並列に配置されている。ヒューズFは、互いに並列に配置された溶断部54が全て溶断され、一対の端子51同士が電気的に非接続の状態になったときに負極側電力線20(電力路11)に流れる電流を遮断した状態となる。
【0030】
複数の溶断部54は、第1溶断部55と、第2溶断部56と、を含んでいる。電流が流れる方向Dに直交する方向において、第2溶断部56の断面積は、第1溶断部55よりも小さくされている。このため、本体部52に電流が流れると、第2溶断部56は、第1溶断部55よりも早期に溶断しやすい。言い換えると、第2溶断部56は、第1溶断部55よりも小さい電流が流れることに応じて溶断されやすい。
【0031】
本開示において、「電気的に接続される」とは、接続対象の両方の電位が等しくなるように互いに導通した状態(電流を流せる状態)で接続される構成であることが望ましい。ただし、この構成に限定されない。例えば、「電気的に接続される」とは、両接続対象の間に電気部品が介在しつつ両接続対象が導通し得る状態で接続された構成であってもよい。
【0032】
図3に示すように、ヒューズFに対し、電流を流す通電状態と、電流を流さない非通電状態と、を繰り返すと、その両端子51間の抵抗値は、徐々に小さくなり、所定の下限抵抗値RLに至った後、徐々に大きくなる特性を有している。ヒューズFは、第2溶断部56が第1溶断部55よりも早期に溶断しやすいので、第2溶断部56が第1溶断部55よりも先に溶断することによって、両端子51間の抵抗値は、急峻に大きくなり、所定の大きさの抵抗値RPに変化する。その後、第1溶断部55が全て溶断すると、両端子51間の通電が遮断され、抵抗値が無限大になる。
【0033】
図1に示すように、正極側電力線17及び負極側電力線20には、負荷35が電気的に接続されている。負荷35は、車載用電子部品であり、例えば、電動部品、ECU、ADAS対象部品等の製品が適用対象となる。実施形態1において負荷35は、コンデンサ35Cを有するインバータ35Aと、モータ35Bと、を含む。コンデンサ35Cは、電源部10に基づく電圧を平滑化してインバータ35Aに供給する。インバータ35Aは、電力路11に電気的に接続される。インバータ35Aは、電源部10から供給される電圧に基づく直流電圧から交流電圧(例えば三相交流)を生成し、モータ35Bに供給する。モータ35Bは、例えば主機系モータである。モータ35Bは、電源部10から供給される電力に基づいて回転し、車両の車輪に対して回転力を与える。電源部10の高電位側端子から出力された電流は、正極側電力線17、負荷35、負極側電力線20、電源部10の低電位側端子の順に流れる。
【0034】
システムメインリレー33は、電源部10と負荷35との間の正極側電力線17、及び負極側電力線20に介在して設けられている。システムメインリレー33は、第1開閉器33A、第2開閉器33B、及び並列開閉経路33Cを有している。第1開閉器33A、及び第2開閉器33Bは、例えば、接触した状態と、離間した状態と、に物理的に切り替わる接点を内部に有する機械式のリレースイッチである。並列開閉経路33Cは、抵抗器33Dと、抵抗器33Dに対して直列に接続されたリレーである第3開閉器33Eと、を有している。第3開閉器33Eは、第1開閉器33A、及び第2開閉器33Bと同様の構成を有する機械式のリレースイッチである。第3開閉器33Eは、所謂、プリチャージリレーである。
【0035】
第1開閉器33Aは、ヒューズFを挟み、電源部10と反対側の負極側電力線20に設けられている。第2開閉器33Bは、正極側電力線17に設けられている。並列開閉経路33Cの抵抗器33D及び第3開閉器33Eは、第1開閉器33Aに対して並列になるように負極側電力線20に電気的に接続されている。第1開閉器33A、第2開閉器33B、及び第3開閉器33Eは、所定の制御装置C(以下、単に制御装置Cともいう)によってオン状態と、オフ状態とに切り替わるように制御される。第1開閉器33A、第2開閉器33B、及び第3開閉器33Eは、オン状態と、オフ状態とに切り替わることによって、電力路11を導通状態と遮断状態とに切り替える。
【0036】
電流検知部38は、ヒューズFよりも電源部10側の負極側電力線20に介在して設けられている。電流検知部38は、例えば、抵抗器及び差動増幅器を有し、負極側電力線20を流れる電流を示す値(具体的には、負極側電力線20を流れる電流の値に応じたアナログ電圧)を電流値Aとして出力し得る構成をなす。つまり、電流検知部38は、電力路11を流れる電流の電流状態を電流値Aとして検知する。
【0037】
電位検知部39は、例えば、電位検知回路として構成されている。電位検知部39は、ヒューズFにおける一端側の端子ある電源部10側の端子の第1電圧、及び他端側の端子である負荷35側の端子の第2電位の各々を検知し、これら第1電位及び第2電位同士の電位差V1を出力し得る構成をなす。言い換えると、電位検知部39は、ヒューズFの電源部10側及び負荷35側の両端子間(ヒューズFに電力が供給される側及び電力が出力される側の両側の端子)における電位差V1として検知する。
【0038】
第1電位と第2電位との電位差V1は、アナログ回路(例えば差動増幅回路)で演算した値であってもよいし、第1電位と第2電位とをそれぞれAD変換した後にデジタル回路で演算した値であってもよい。
【0039】
制御部15は、例えば、マイクロコンピュータとして構成されており、CPUや、ROM、RAM、及び不揮発性メモリ等によって構成される記憶部15Dを具備している。制御部15は、転換判定部15A、劣化判定部15B、及び通知機能部15Cを備えている。
【0040】
転換判定部15Aは、電流検知部38、電位検知部39の各々から電流値A、及び電位差V1が入力される構成とされている。転換判定部15Aは、これら値(電流値A、電位差V1)に基づいてヒューズFの抵抗値R1を継続的又は断続的に測定する。例えば、ヒューズFの抵抗値R1は、電位差V1を電流値Aで除して求める。転換判定部15Aは、測定した抵抗値R1が、
図3に示す特性に沿って徐々に下降し、下限抵抗値RLに至ったときに、上昇に転換する転換領域に到達したと判定する機能を有している。下限抵抗値RLは、例えば、予め記憶部15Dに記憶されている。実際に測定した抵抗値R1は、下降して下限抵抗値RLに至ったあと、下限抵抗値RLよりもさらに下降した状態が続く期間を経て、その後、上昇に転換し、下限抵抗値RLよりも大きくなることも考えられる。つまり、転換領域とは、抵抗値R1が下降から上昇に転換する時点を含む領域である。
【0041】
劣化判定部15Bは、劣化判定処理を実行し得る構成とされている。劣化判定処理は、転換判定部15Aにおいて転換領域に到達したと判定した後の抵抗値R1と、制御部15の記憶部15Dに記憶された抵抗閾値Th11と、を比較して、ヒューズFが劣化状態であるか否かを判定する処理である。
【0042】
例えば、劣化判定部15Bは、抵抗値R1が下降から上昇へ転換したと判定した後の抵抗値R1が抵抗閾値Th11を超えたと判定すると、劣化信号Sdを出力し得る構成とされている。抵抗閾値Th11の大きさは、例えば、第2溶断部56が溶断した際の両端子51間の抵抗値RPよりも僅かに小さい値が好ましい(
図3参照)。劣化信号Sdは、ヒューズFが劣化状態である場合に出力される。制御部15は、抵抗値R1が抵抗閾値Th11を超えたときに、ヒューズFが劣化状態であると判定する。これにより、劣化判定装置1は、ヒューズFが完全に溶断して、両端子51間の通電が遮断される前にヒューズFが劣化状態であると判定することができる。劣化判定部15Bは、劣化判定処理において、抵抗値R1の大きさが抵抗閾値Th11以下と判定すると、劣化信号Sdを出力しない。この場合、制御部15は、ヒューズFが劣化状態でないと判定する。こうして、制御部15は、ヒューズFが劣化状態であるか否かを判定する。
【0043】
通知機能部15Cは、例えば、通信装置によって構成され、劣化判定部15Bから劣化信号Sdが入力されることに基づいて、BMS(バッテリ管理システム)等の図示しない外部機器への情報送信によって報知を行う異常対応処理を行う構成とされている。つまり、制御部15は、抵抗値R1が抵抗閾値Th11を超え、ヒューズFが劣化状態であると判定したときに、異常対応処理を行う。
【0044】
〔制御部における制御について〕
次に、制御部15によって実行される制御の一例について、
図4等を参照しつつ説明する。例えば、車両用電源システム100が搭載された車両において、始動スイッチがオフの場合には、システムメインリレー33の第1開閉器33A、第2開閉器33B、及び並列開閉経路33Cの第3開閉器33Eは、オフ状態が維持される。このとき、電力路11は、電源部10から負荷35への電力の供給を遮断する遮断状態である。
【0045】
この状態から、先ず、ステップS1を実行し、始動スイッチをオフからオンに切り替える。次に、ステップS2に移行すると、制御装置Cからオン信号Son(
図1参照)が出力され、第1開閉器33A、第2開閉器33B、及び第3開閉器33Eがオン信号Sonに基づいてオフ状態からオン状態に切り替わる切替制御が実行される。具体的には、切替制御では、第1開閉器33Aをオフ状態にしつつ第2開閉器33B及び第3開閉器33Eをオン状態にして電力路11を通電開始させた後、第2開閉器33B及び第3開閉器33Eをオン状態で維持しつつ第1開閉器33Aをオン状態に切り替える制御である。つまり、第1開閉器33Aは、第2開閉器33Bよりも後にオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0046】
なお、第2開閉器33B及び第3開閉器33Eがオン状態にされたところで、電力路11は、通電開始する。抵抗器33Dが第3開閉器33Eに直列に接続されているので、電力路11には、電流が徐々に大きくなるように緩やかに流れ始める。
【0047】
さらに、第1開閉器33Aがオン状態にされると、電力路11は、電源部10から負荷35への電力の供給を許容する導通状態になる。第1開閉器33Aがオン状態に切り替わると、直ちに第1開閉器33Aに突入電流が流れる。このとき、電力路11において流れる電流値Aが急激に上昇する電流上昇が生じる。こうして、切替制御が実行されることにより電力路11の通電開始又は電流上昇が生じる。突入電流は、第1開閉器33Aがオン状態に切り替わった後、所定の短時間流れ続け、所定の短時間が経過後、第1開閉器33Aに流れる電流は、突入電流の大きさよりも小さい所定の範囲に留まるように落ち着く。こうして、第1開閉器33Aがオン状態になり、且つ電力路11に電流が流れる。
【0048】
ステップS3に移行する。制御部15は、タイマ機能を具備しており、電流値Aが0から所定の大きさに変化したときから所定の短時間の計測を開始する。所定の短時間は、第1開閉器33Aに流れる電流が突入電流の大きさよりも小さい所定の範囲に落ち着く時間である。
【0049】
ステップS4に移行すると、制御部15は、電力路11における電流値Aが0から所定の大きさに変化したときから所定の短時間経過したか否かを判定する。ステップS4では、所定の短時間が経過することを待つことによって、第1開閉器33Aに流れる電流が突入電流の大きさよりも小さい所定の範囲に落ち着くことを待つための処理である。例えば、制御部15は、ステップS4において、電力路11における電流値Aが0から所定の大きさに変化したときから所定の短時間経過していないと判定する(ステップS4におけるNo)と、ステップS3に再び移行する。ステップS3に再び移行すると、制御部15が具備するタイマのカウントを進め、その後、ステップS4の処理を再び繰り返す。
【0050】
そして、ステップS4において、電力路11が電流値Aが0から所定の大きさに変化したときから所定の短時間経過したと制御部15が判定する(ステップS4におけるYes)と、ステップS5に移行する。ステップS5に移行すると、制御部15は、転換判定部15Aにおいて、電流検知部38、及び電位検知部39の各々から入力された電流値A、及び電位差V1に基づいて抵抗値R1を演算する。転換判定部15Aにおいて、抵抗値R1を演算して求めることは、抵抗値R1を測定することと同じ意味である。そして、ステップS6に移行する。
【0051】
ステップS6に移行すると、制御部15は、下降フラグが1か否かを判定する。例えば、下降フラグは、制御部15のRAMの一部として構成されている。下降フラグには、予め0が設定されている。抵抗値R1が下限抵抗値RL(
図3参照)よりも小さくなったときに、制御部15は、下降フラグに1を設定し得る構成とされている。つまり、下降フラグは、抵抗値R1が下降を続け、下限抵抗値RL以上の大きさである間は、0に設定された状態が維持され、抵抗値R1が下限抵抗値RLよりも小さくなった以降は、1に設定された状態が維持される構成である。下降フラグに0が設定されている間は、転換領域に到達していない。下降フラグに1が設定されたときは、転換領域に到達したときに対応する。
【0052】
ステップS6において、下降フラグが1でない(すなわち、0であり、ステップS6におけるNo)と判定するとステップS7に移行する。ステップS7に移行すると、制御部15は、抵抗値R1が下限抵抗値RLを下回ったか否かを判定する。ステップS7において、抵抗値R1が下限抵抗値RLを下回った(ステップS7におけるYes)と判定すると、ステップS8に移行して、制御部15は下降フラグに1を設定する。ここで、制御部15は、転換領域に到達したと判定する。ステップS7において、抵抗値R1が下限抵抗値RLを下回っていない(ステップS7におけるNo)と制御部15が判定すると、
図4に示す処理を終了する。
【0053】
ステップS6において、下降フラグが1である、すなわち、転換領域に到達している(ステップS6におけるYes)と判定すると、ステップS9に移行する。つまり、下降フラグが1に設定された以降(すなわち、抵抗値R1が下限抵抗値RLよりも小さくなり転換領域に到達した以降)は、抵抗値R1と下限抵抗値RLとの大きさの比較を行わない。
【0054】
ステップS9に移行すると、制御部15は、劣化判定部15Bにおいて、抵抗値R1と抵抗閾値Th11とを比較する劣化判定処理を実行する。制御部15は、制御装置Cによる切替制御が実行された場合の抵抗値R1と抵抗閾値Th11とを比較する劣化判定処理を実行する。例えば、劣化判定処理では、抵抗値R1の大きさが抵抗閾値Th11以上である(ステップS9におけるYes)と判定すると、ステップS10に移行して、劣化判定部15Bから劣化信号Sdを出力する。
【0055】
これに対して、劣化判定処理において、抵抗値R1の大きさが抵抗閾値Th11よりも小さい(ステップS9におけるNo)と判定すると、劣化信号Sdを出力せずに
図4に示す処理を終了する。こうして、制御部15は、転換領域に到達した後、抵抗値R1と抵抗閾値Th11とを比較して、抵抗値R1が抵抗閾値Th11を超えたことに基づいてヒューズFが劣化状態であるか否かを判定する。
【0056】
次に、劣化信号Sdが通知機能部15Cに入力されると、通知機能部15Cは、外部機器(図示せず)へ情報送信を行う。つまり、制御部15の通知機能部15Cは、抵抗値R1が抵抗閾値Th11を超えたときに劣化状態であることを外部に通知する異常対応処理を行う。こうして、
図4に示す処理が終了する。
【0057】
次に、本構成の効果を例示する。
【0058】
劣化判定装置1は、電源部10と、電源部10からの電力が供給される電力路11と、電力路11に設けられるヒューズFと、を備える車両用電源システム100に用いられる。劣化判定装置1は、ヒューズFの抵抗値R1を継続的又は断続的に測定し、抵抗値R1が下降から上昇に転換する転換領域に到達したか否かを判定する転換判定部15Aと、転換判定部15Aが転換領域に到達したと判定した後の抵抗値R1に基づいてヒューズFが劣化状態であるか否かを判定する劣化判定部15Bと、を備える。劣化判定装置1は、抵抗値R1が下降した後、上昇に転換する特性を有するヒューズFの劣化を判定する。この劣化判定装置1は、このような特性のヒューズFの抵抗値R1が下降から上昇に転換した後にヒューズFの劣化状態を判定するので、固体ばらつきに関係なく、抵抗値R1が下降している間は劣化の判定を行わない期間を設けることができる。これにより、固体ばらつきに左右されず、ヒューズFを十分に使用した後に劣化状態であるか否かを適正に判定することができる。
【0059】
劣化判定部15Bは、転換判定部15Aが転換領域に到達したと判定した後に、抵抗値R1が抵抗閾値Th11を超えたことに基づいてヒューズFが劣化状態であるか否かを判定する。この構成によれば、抵抗値R1と抵抗閾値Th11とを比較するという簡単な演算でヒューズFが劣化状態であるか否かを判定することができる。
【0060】
ヒューズFは、電流が流れることに応じて溶断される複数の溶断部54を有し、並列に配置された溶断部54が全て溶断されたときに電力路11に流れる電流を遮断した状態となる。この構成によれば、溶断部54を複数有している構成なので、一部の溶断部54のみが先に溶断することによってヒューズFの抵抗値R1が上昇することになる。この抵抗値R1の上昇を検知することによって、電力路11に流れる電流を遮断する前にヒューズFが劣化状態であると判定できるような構成を構築し易い。
【0061】
複数の溶断部54は、第1溶断部55と、第1溶断部55よりも溶断しやすい第2溶断部56と、を含む。この構成によれば、第2溶断部56が第1溶断部55よりも溶断しやすいので、第2溶断部56が溶断された時点で第1溶断部55が溶断しない状態を作り出すことができ、これにともないヒューズFの抵抗値R1が上昇することになる。よって、全ての溶断部54が溶断する前に、この抵抗値R1の上昇を検知することによって、ヒューズFが劣化状態であるか否かを判定することができる。
【0062】
ヒューズFは、電力路11を構成する負極側電力線20に設けられる。この構成によれば、ヒューズFが負極側電力線20に設けられているので、ヒューズFに印加される電圧が所定の変動率で変動したとしても、正極側電力線17において電圧が所定の変動率で変動するよりも変動の幅が小さい。このため、負極側電力線20に設けられたヒューズFにおける抵抗値R1は、その変動幅を小さく抑えやすい。
【0063】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
【0064】
図5に示すように、複数の貫通孔Hのうちの一部を小さく形成し、この貫通孔Hを挟む2つの溶断部154を第2溶断部156としてもよい。この場合、第2溶断部156は、互いの間の距離が近くなり自身から生じた熱が逃げにくくなるため、第1溶断部155よりも溶断しやすくなる。
【0065】
図6に示すように、複数の溶断部254のうちの一部の材質を他の溶断部254と異ならせて第2溶断部256としてもよい。この場合、第2溶断部256に用いる材質を発熱し易いものにすることによって、第1溶断部255よりも溶断し易くすることができる。
【0066】
図7に示すように、複数の溶断部354のうちの一部を電流が流れる方向Dから挟むように貫通孔H2を形成してもよい。この場合、貫通孔H2によって挟まれた溶断部354において生じた熱は、逃げにくくなるため、他の溶断部354よりも溶断し易くなる。つまり、貫通孔H2によって挟まれた溶断部354は、第2溶断部356であり、他の溶断部354は、第1溶断部355である。
【0067】
実施形態1とは異なり、劣化判定部は、転換判定部が転換領域に到達したと判定した後に、抵抗値の変化の度合い(傾き)に基づいてヒューズが劣化状態であるか否かを判定する構成としてもよい。例えば、以下の式1によって、単位時間当たりのヒューズの抵抗値の変化量Kiを求める。Ki=|R11-R12|…(式1)ここで、R11は、今回測定した抵抗値であり、R12は、前回測定した抵抗値である。抵抗値R12は、例えば制御部のRAMに記憶され得る構成である。変化量Kiは、抵抗値R11と抵抗値R12の差分である。例えば、制御部は、変化量Kiと傾き閾値とを比較する構成とされ、変化量Kiが傾き閾値以下である場合、抵抗値の変化の度合いが小さいと判定し、変化量Kiが傾き閾値よりも大きい場合、抵抗値の変化の度合いが大きいと判定する。例えば、傾き閾値は、
図3に示すように、第2溶断部が溶断する前後における抵抗値の変化の度合いT1よりも大きく、第2溶断部が溶断しているときの抵抗値の変化の度合いT2よりも小さく設定する。このように設定された、傾き閾値を用い、抵抗値の変化の度合いがT1からT2に変化したことを検知することによって、ヒューズが劣化状態であると判定する。この構成によれば、抵抗値の変化の度合いT1,T2に基づいてヒューズが劣化状態であるか否かを判定するので、抵抗値と抵抗閾値との大きさの比較をするよりも緻密に劣化状態であるか否かの判定をすることができる。
【0068】
実施形態1とは異なり、抵抗閾値は、第1閾値と、第1閾値よりも大きい第2閾値と、を含んだ構成としてもよい。例えば、
図3に示すように、第1閾値として抵抗閾値Th11を用い、第2閾値として第2溶断部が溶断した際のヒューズの両端子間の抵抗値RPを用いることが考えられる。そして、劣化判定部は、転換判定部が転換領域に到達したと判定した後の抵抗値と抵抗閾値Th11(第1閾値)とに基づいてヒューズが第1劣化状態であるか否かを判定する。さらに、第1劣化状態であると判定した後、転換判定部が転換領域に到達したと判定した後の抵抗値と第2溶断部が溶断した際のヒューズの両端子間の抵抗値RP(第2閾値)とに基づいてヒューズが第2劣化状態であるか否かを判定する。第1劣化状態及び第2劣化状態は、劣化状態に含まれる。この構成によれば、第1劣化状態でダッシュボード上のランプを点灯させ、第2劣化状態でこのランプを点滅させる等、各状態に対応した制御を別個に行いやすい。
【0069】
実施形態1とは異なり、抵抗値の変化の度合い(傾き)に基づいて抵抗値が下降から上昇に転換したか否かを判定する構成としてもよい。例えば、以下の式2によって、単位時間当たりのヒューズの抵抗値の変化量Tiを求める。Ti=R11-R12…(式2)ここで、R11は、今回測定した抵抗値であり、R12は、前回測定した抵抗値である。抵抗値R12は、例えば制御部のRAMに記憶され得る構成である。変化量Tiは、抵抗値R11と抵抗値R12の差分である。例えば、制御部は、変化量Tiの正負を判定する構成とされ、変化量Tiが負(0未満)の場合、抵抗値が下降していると判定し、変化量Tiが正(0よりも大きい)の場合、抵抗値が上昇していると判定する。従って、制御部は、変化量Tiが負から正に転換したことを検知することによって、抵抗値が下降から上昇に転換したと判定し得る。なお、制御部において抵抗値が下降から上昇に転換したと判定する際、変化量Tiが複数回連続して正であることを条件としてもよく、1回正になったことを条件としてもよい。
【0070】
実施形態1とは異なり、電位検知部を接続する位置は、第1開閉器の両側の端子と同電位とみなせる場所であればよい。
【0071】
実施形態1とは異なり、通知機能部は、ランプや表示装置などの表示部として構成され、表示によって報知を行う構成であってもよい。通知機能部は、スピーカなどの音声装置によって構成され、音声によって報知を行う構成であってもよい。
【0072】
実施形態1とは異なり、転換判定部、劣化判定部、及び通知機能部を、それぞれ個別の情報処理装置(個別のマイクロコンピュータ等)として構成してもよい。
【0073】
実施形態1とは異なり、制御部と、制御装置と、を1つのマイクロコンピュータとして構成してもよい。
【0074】
実施形態1とは異なり、電流値及び電圧値に対応した抵抗値が定められるテーブルデータを予め記憶部に記憶しておき、テーブルデータから電流値及び電圧値に対応した抵抗値を採用する構成でもよい。
【0075】
劣化状態は、電位差そのものであってもよいし、抵抗値であってもよいし、電位差又は抵抗値を変数として演算することで求められる値であってもよい。
【0076】
下限抵抗値は、予め定められた値であってもよいし、初期に測定したヒューズの抵抗値から設定した値であってもよい。
【0077】
実施形態1とは異なり、第1溶断部と第2溶断部を並列に配置した溶断部に対して、さらに直列に溶断部を設けた構成としてもよい。この場合、いずれにしても、互いに並列に配置された溶断部が全て溶断したときに電力路に流れる電流を遮断した状態とすることができる。
【符号の説明】
【0078】
1…劣化判定装置
10…電源部
11…電力路
15…制御部
15A…転換判定部
15B…劣化判定部
15C…通知機能部
15D…記憶部
17…正極側電力線
20…負極側電力線
33…システムメインリレー
33A…第1開閉器
33B…第2開閉器
33C…並列開閉経路
33D…抵抗器
33E…第3開閉器
35…負荷
35A…インバータ
35B…モータ
35C…コンデンサ
38…電流検知部
39…電位検知部
51…端子
52…本体部
53…筐体
54,154,254,354…溶断部
55,155,255,355…第1溶断部
56,156,256,356…第2溶断部
100…車両用電源システム(遮断システム)
A…電流値
C…制御装置
D…電流が流れる方向
F…ヒューズ
H,H2…貫通孔
Ki,Ti…変化量
R1…抵抗値
R11…今回測定した抵抗値
R12…前回測定した抵抗値
RL…下限抵抗値
RP…抵抗値
Sd…劣化信号
Son…オン信号
T1,T2…抵抗値の変化の度合い(傾き)
Th11…抵抗閾値
V1 …電位差