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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135584
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ストレージ
(51)【国際特許分類】
   G11B 33/12 20060101AFI20240927BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240927BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G11B33/12 313C
G11B33/12 304
H05K1/02 B
H05K1/02 J
H05K1/18 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046352
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 隼人
(72)【発明者】
【氏名】高澤 昌秀
(72)【発明者】
【氏名】山中 森羅
(72)【発明者】
【氏名】山本 展大
(72)【発明者】
【氏名】岡野 太一
【テーマコード(参考)】
5E336
5E338
【Fターム(参考)】
5E336AA04
5E336BB03
5E336BB12
5E336BB15
5E336BC21
5E336CC30
5E336CC58
5E336EE01
5E336GG07
5E338AA03
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB55
5E338BB75
5E338CD02
5E338EE52
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】液体がフレキシブルプリント回路板と電子部品との間の空間を流れやすくすることができるストレージを提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係るストレージは、フレキシブルプリント回路板と、電子部品とを備える。前記フレキシブルプリント回路板は、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の第1の面に設けられた第1の導電層と、前記第1の面の反対側に位置する前記第1の絶縁層の第2の面に設けられた第2の導電層と、を有し、前記第1の導電層にランドが設けられる。前記第2の導電層が前記第1の絶縁層を介して前記第1の面が向く第1の方向に前記ランドを覆う。前記電子部品は、前記ランドに接合されたピンを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の第1の面に設けられた第1の導電層と、前記第1の面の反対側に位置する前記第1の絶縁層の第2の面に設けられた第2の導電層と、を有し、前記第1の導電層にランドが設けられ、前記第2の導電層が前記第1の絶縁層を介して前記第1の面が向く第1の方向に前記ランドを覆う、フレキシブルプリント回路板と、
前記ランドに接合されたピンを有する電子部品と、
を具備するストレージ。
【請求項2】
前記ランドは、前記第1の面に沿う第2の方向に間隔を介して並べられた二つの第1のランドを有し、
前記ピンは、前記第2の方向に間隔を介して並べられるとともに、前記二つの第1のランドに接合された、二つの第1のピンを有し、
前記第1の絶縁層と前記電子部品との間において、前記第1の導電層に、前記二つの第1のランドの間に位置する隙間が設けられた、
請求項1のストレージ。
【請求項3】
前記第2の導電層に、前記第2の方向に間隔を介して並べられた二つの第2のランドと、前記二つの第2のランドの間に位置する隙間と、が設けられ、
前記二つの第2のランドは、前記第1の絶縁層を介して前記第1の方向に前記二つの第1のランドを覆う、
請求項2のストレージ。
【請求項4】
前記第1の方向に見た投影面において、前記二つの第1のランドの形状と、前記二つの第2のランドの形状とが等しい、
請求項3のストレージ。
【請求項5】
前記二つの第2のランドは、前記第1の絶縁層を介して前記第1の方向に前記二つの第1のランドの内側の端部を覆い、前記第1の方向に見た投影面において前記二つの第1のランドの外側の端部から離間している、
請求項3のストレージ。
【請求項6】
前記第1の導電層に、電気信号を伝達する第3のランドが設けられ、
前記電子部品は、前記第3のランドに接合される第2のピンをさらに有し、
前記二つの第2のランドは、グランド電位に設定されるとともに、前記第1の方向に見た投影面において前記第3のランドから離間した、
請求項3のストレージ。
【請求項7】
前記フレキシブルプリント回路板は、前記第1の面を覆う第2の絶縁層をさらに有し、
前記第2の絶縁層に、前記電子部品に覆われた貫通孔が設けられ、
前記第1の方向に見た投影面において、前記第1の面に沿うとともに前記第2の方向と直交する第3の方向における前記貫通孔の端部は、前記電子部品の外に位置する、
請求項2のストレージ。
【請求項8】
前記フレキシブルプリント回路板に取り付けられた第3の面と、前記第3の面から突出する突出部と、を有する壁、
をさらに具備し、
前記フレキシブルプリント回路板は、前記電子部品と前記壁との間に位置し、
前記突出部は、前記第1の絶縁層を介して前記第1の方向に前記二つの第1のランドを覆う、
請求項2のストレージ。
【請求項9】
前記突出部は、前記第2の方向に間隔を介して並べられた二つの突起を有し、
前記壁に、前記二つの突起の間に位置する隙間が設けられた、
請求項8のストレージ。
【請求項10】
前記突出部は、前記第1の絶縁層を介して前記第1の方向に前記電子部品の全体を覆う、
請求項8のストレージ。
【請求項11】
第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の第1の面に設けられた第1の導電層と、を有し、前記第1の導電層にランドが設けられた、フレキシブルプリント回路板と、
前記ランドに接合されたピンを有する電子部品と、
前記フレキシブルプリント回路板に取り付けられた取付面と、前記取付面から突出するとともに前記第1の絶縁層を介して前記第1の面が向く第1の方向に前記ランドを覆う突出部と、を有する壁と、
を具備するストレージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ストレージに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブのようなストレージは、フレキシブルプリント回路板(FPC)と、当該FPCに実装される電子部品とを有する。例えば、電子部品のピンが、FPCに設けられたランドに接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-010798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ストレージの内部に、液体が導入されることがある。例えば、洗浄液が、ストレージを汚染し得るフラックスのような物質を除去する。しかし、FPCと電子部品との間に隙間があると、液体が流れにくくなり、液体やフラックスが当該隙間に残存してしまう虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、液体がフレキシブルプリント回路板と電子部品との間の空間を流れやすくすることができるストレージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態に係るストレージは、フレキシブルプリント回路板と、電子部品とを備える。前記フレキシブルプリント回路板は、第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層の第1の面に設けられた第1の導電層と、前記第1の面の反対側に位置する前記第1の絶縁層の第2の面に設けられた第2の導電層と、を有し、前記第1の導電層にランドが設けられる。前記第2の導電層が前記第1の絶縁層を介して前記第1の面が向く第1の方向に前記ランドを覆う。前記電子部品は、前記ランドに接合されたピンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るHDDを分解して示す例示的な斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態のFPCを示す例示的な平面図である。
図3図3は、第1の実施形態の第2の接続部の一部を示す例示的な平面図である。
図4図4は、第1の実施形態の第2の接続部の一部を図3のF4-F4線に沿って示す例示的な断面図である。
図5図5は、第1の実施形態の中継コネクタを示す例示的な底面図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る第2の接続部の一部を示す例示的な断面図である。
図7図7は、第3の実施形態に係る第2の接続部の一部を示す例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)10を分解して示す例示的な斜視図である。HDD10は、ストレージ(補助記憶装置)の一例であり、電子機器、記憶装置、外部記憶装置、又は磁気ディスク装置とも称され得る。なお、ストレージは、HDD10に限られない。例えば、ストレージは、ソリッドステートドライブ(SSD)のような他の装置であっても良い。
【0010】
HDD10は、筐体11と、複数の磁気ディスク12と、スピンドルモータ13と、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)14と、ボイスコイルモータ(VCM)15と、ランプロード機構16と、フレキシブルプリント回路板(FPC)17と、プリント回路板(PCB)18とを有する。
【0011】
筐体11は、ベース21と、内カバー22と、外カバー23とを有する。ベース21は、有底の容器であり、底壁25と側壁26とを有する。底壁25は、略矩形(四角形)の板状に形成されている。側壁26は、底壁25の縁から突出している。底壁25と側壁26とは、一体に形成されている。
【0012】
内カバー22は、例えば、ネジによって側壁26の端部に取り付けられている。外カバー23は、内カバー22を覆うとともに、例えば溶接によって側壁26の端部に気密に固定されている。
【0013】
筐体11の内部は密封されている。筐体11の内部に、磁気ディスク12、スピンドルモータ13、HSA14、VCM15、ランプロード機構16、及びFPC17が配置されている。
【0014】
内カバー22に通気口27が設けられる。さらに、外カバー23に、通気口28が設けられる。ベース21の内部に部品が取り付けられ、ベース21に内カバー22及び外カバー23が取り付けられた後、通気口27,28から筐体11の内部の空気が抜かれる。さらに、筐体11の内部に、空気とは異なる気体が充填される。
【0015】
筐体11の内部に充填される気体は、例えば、空気よりも密度が低い低密度ガスや、反応性の低い不活性ガス等である。例えば、ヘリウムが筐体11の内部に充填される。なお、他の流体が筐体11の内部に充填されても良い。また、筐体11の内部は、真空、真空に近い低圧、又は大気圧よりも低い陰圧に保たれても良い。
【0016】
外カバー23の通気口28は、シール29により塞がれる。シール29は、通気口28を気密に密封し、筐体11の内部に充填された流体が通気口28から漏れることを抑制する。なお、筐体11の内部と外部とが連通していても良い。
【0017】
磁気ディスク12は、例えば、当該磁気ディスク12の両面に設けられた磁気記録層を有するディスクである。磁気ディスク12の直径は、例えば、3.5インチであるが、この例に限られない。複数の磁気ディスク12は、間隔を介して重ねられる。
【0018】
スピンドルモータ13は、重ねられた複数の磁気ディスク12を支持するとともに回転させる。複数の磁気ディスク12は、例えば、クランプバネによってスピンドルモータ13のハブに保持される。
【0019】
HSA14は、磁気ディスク12から離間した位置に配置された支持軸31に、回転可能に支持される。HSA14は、キャリッジ35と、複数のヘッドジンバルアセンブリ(HGA)36とを有する。
【0020】
キャリッジ35は、アクチュエータブロック41と、複数のアーム42と、ホルダ43とを有する。アクチュエータブロック41は、例えば、軸受を介して、支持軸31に回転可能に支持される。複数のアーム42は、アクチュエータブロック41から、支持軸31と略直交する方向に突出している。
【0021】
複数のアーム42は、支持軸31が延びる方向に、間隔を介して配置される。アーム42はそれぞれ、隣り合う磁気ディスク12の間に進入可能な板状に形成される。複数のアーム42は、略平行に延びている。
【0022】
ホルダ43は、アクチュエータブロック41から、アーム42が突出する方向の反対方向に突出している。ホルダ43は、VCM15のボイスコイルを保持する。VCM15は、一対のヨークと、当該ヨークの間に配置されたボイスコイルと、ヨークに設けられた磁石と、を有する。
【0023】
HGA36は、対応するアーム42の先端部分に取り付けられ、当該アーム42から突出する。これにより、複数のHGA36は、支持軸31が延びる方向に、間隔を介して配置される。複数のHGA36はそれぞれ、ベースプレート51と、ロードビーム52と、フレキシャ53と、磁気ヘッド54とを有する。磁気ヘッド54は、スライダとも称され得る。
【0024】
ベースプレート51は、板状に形成され、アーム42の先端部に取り付けられる。ロードビーム52は、ベースプレート51よりも薄い板状に形成される。ロードビーム52は、ベースプレート51の先端部に取り付けられ、ベースプレート51から突出している。
【0025】
フレキシャ53は、細長い帯状に形成される。なお、フレキシャ53の形状は、この例に限られない。フレキシャ53は、ステンレス等の金属板(裏打ち層)と、金属板上に形成された絶縁層と、絶縁層上に形成され複数の配線(配線パターン)を構成する導電層と、導電層を覆う保護層(絶縁層)と、を有する積層板である。
【0026】
フレキシャ53の一方の端部に、ロードビーム52上に位置するとともに変位可能なジンバル部(弾性支持部)が設けられる。ジンバル部は、HGA36の先端部に設けられ、磁気ヘッド54が実装される。フレキシャ53の他方の端部は、FPC17に接続される。これにより、FPC17は、フレキシャ53の配線を介して、磁気ヘッド54に電気的に接続される。
【0027】
磁気ヘッド54は、磁気ディスク12の記録層に対して、情報の記録及び再生を行う。言い換えると、磁気ヘッド54は、磁気ディスク12に対して情報を読み書きする。磁気ヘッド54は、マイクロ波又はレーザ光を発生させる素子を有しても良い。
【0028】
VCM15は、HSA14を回転させ、磁気ヘッド54を所望の位置に配置する。磁気ヘッド54が磁気ディスク12の最外周に移動すると、ランプロード機構16は、磁気ディスク12から離間したアンロード位置に磁気ヘッド54を保持する。
【0029】
PCB18は、例えば、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、多層基板又はビルドアップ基板等である。PCB18は、筐体11の外部に配置され、ベース21の底壁25に取り付けられる。PCB18は、例えば、複数のネジによって底壁25に取り付けられる。PCB18に、例えば、インターフェース(I/F)コネクタ61、コントローラ62、中継コネクタ63、及び他の種々の電子部品が実装される。
【0030】
I/Fコネクタ61は、Serial ATA(SATA)のようなインターフェース規格に準拠したコネクタであり、ホストコンピュータのI/Fコネクタに接続される。HDD10は、I/Fコネクタ61を通じて、ホストコンピュータから電力の供給を受けるとともに、ホストコンピュータとの間で種々のデータを送受信する。
【0031】
コントローラ62は、例えば、システムオンチップ(SoC)であり、リードライトチャネル(RWC)、ハードディスクコントローラ(HDC)、及びプロセッサを有する。コントローラ62は、例えば、スピンドルモータ13、VCM15、及び磁気ヘッド54を含むHDD10の全体を制御する。
【0032】
中継コネクタ63は、例えば、底壁25に設けられたコネクタを通じて、筐体11の内部に配置された種々の部品に電気的に接続される。これにより、PCB18は、筐体11の内部に配置されたVCM15、FPC17、フレキシャ53、及び磁気ヘッド54に、電気的に接続される。
【0033】
図2は、第1の実施形態のFPC17を示す例示的な平面図である。図2に示すように、FPC17は、他の部品から取り外されるとともに外力が作用していない自然状態において、略L字の帯状に形成される。なお、FPC17の形状は、この例に限られない。FPC17は、第1の接続部71と、第2の接続部72と、中間部73とを有する。
【0034】
第1の接続部71は、例えば、FPC17が延びる方向におけるFPC17の一方の端部に設けられる。第1の接続部71は、例えばネジにより、アクチュエータブロック41に取り付けられる。第1の接続部71は、VCM15及びフレキシャ53に電気的に接続される。
【0035】
第2の接続部72は、例えば、FPC17が延びる方向におけるFPC17の他方の端部に設けられる。第2の接続部72は、例えば、ネジにより底壁25に取り付けられる。第2の接続部72は、例えば、底壁25に設けられたコネクタを通じてPCB18に電気的に接続される。
【0036】
中間部73は、第1の接続部71と第2の接続部72との間に設けられる。中間部73は、帯状に延びており、HSA14の回転に応じて第1の接続部71と第2の接続部72との間で撓む。
【0037】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、自然状態の中間部73の幅に沿って設けられる。Y軸は、自然状態の中間部73の長さに沿って設けられる。Z軸は、自然状態のFPC17の厚さに沿って設けられる。
【0038】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。
【0039】
第1の接続部71は、+Y方向における中間部73の端部に接続され、当該端部から+Y方向に延びている。第2の接続部72は、-Y方向における中間部73の端部に接続され、当該端部から+X方向に延びている。なお、第1の接続部71と第2の接続部72とは、この例に限られない。
【0040】
HDD10は、複数のプリアンプ75と、中継コネクタ76と、複数の補強板77とをさらに有する。中継コネクタ76は、電子部品の一例である。なお、電子部品は、中継コネクタ76に限られず、他の部品であっても良い。補強板77は、壁の一例である。
【0041】
プリアンプ75は、第1の接続部71に実装される。プリアンプ75は、例えば、FPC17及びフレキシャ53を介して、磁気ヘッド54に電気的に接続される。プリアンプ75は、ライト信号を増幅して磁気ヘッド54に送信するとともに、磁気ヘッド54から受信したリード信号を増幅する。
【0042】
中継コネクタ76は、第2の接続部72に実装される。中継コネクタ76は、例えば、底壁25に設けられたコネクタを通じて、PCB18の中継コネクタ63に電気的に接続される。これにより、第2の接続部72は、PCB18に接続される。なお、中継コネクタ76は、PCB18の中継コネクタ63に直接的に接続されても良い。
【0043】
補強板77は、例えば、アルミニウムのような金属又は合成樹脂によって作られ、板状に形成される。なお、補強板77は、この例に限られない。複数の補強板77は、第1の接続部71及び第2の接続部72に取り付けられる。
【0044】
補強板77は、FPC17よりも剛性が高い。このため、補強板77は、第1の接続部71及び第2の接続部72の剛性を向上させる。中間部73は、補強板77に取り付けられておらず、撓むことができる。
【0045】
図3は、第1の実施形態の第2の接続部72の一部を示す例示的な平面図である。図4は、第1の実施形態の第2の接続部72の一部を図3のF4-F4線に沿って示す例示的な断面図である。
【0046】
図4に示すように、FPC17は、実装面17aと、背面17bとを有する実装面17aは、FPC17の一方の表面である。プリアンプ75及び中継コネクタ76は、実装面17aに実装される。このため、実装面17aは、プリアンプ75及び中継コネクタ76に向く。背面17bは、実装面17aの反対側に位置する。背面17bは、補強板77に向く。
【0047】
FPC17は、ベース層81と、二つの導電層82,83と、二つのカバー層84,85と、三つの接着層86,87,88とを有する。ベース層81は、第1の絶縁層の一例である。導電層82は、第1の導電層の一例である。導電層83は、第2の導電層の一例である。カバー層84は、第2の絶縁層の一例である。
【0048】
ベース層81及びカバー層84,85は、例えば、ポリイミドのような絶縁材料で作られ、絶縁性を有する。別の表現によれば、ベース層81及びカバー層84,85のそれぞれの電気抵抗は、導電層82,83の電気抵抗よりも高い。
【0049】
ベース層81は、上面81aと、下面81bとを有する。なお、本明細書における上及び下は、図4における上下方向を基準とする便宜的な表現であり、方向、位置、及び他の条件について限定するものではない。上面81aは、第1の面の一例である。下面81bは、第2の面の一例である。
【0050】
上面81aは、略+Z方向に向くベース層81の表面である。下面81bは、上面81aの反対側に位置し、略-Z方向に向くベース層81の表面である。なお、上面81a及び下面81bは、凹凸を有しても良い。
【0051】
二つの導電層82,83のそれぞれは、例えば、銅のような導電体によって作られ、導電性を有する。導電層82は、ベース層81の上面81aに設けられる。導電層83は、ベース層81の下面81bに設けられる。
【0052】
図3に示すように、導電層82に、複数の接続パッド91と、複数の補強パッド92と、複数の配線93とが設けられる。接続パッド91のうち少なくとも一つは、第3のランドの一例である。複数の補強パッド92は、ランド及び第1のランドの一例である。
【0053】
複数の接続パッド91のそれぞれは、例えば、電気信号を伝達するか、電源に設定されるか、又はグランド電位に設定される。複数の補強パッド92は、例えば、グランド電位に設定される。
【0054】
複数の接続パッド91及び複数の補強パッド92を含む複数のパッドは、Y方向に二列で並べられる。互いに対応する二つの接続パッド91がX方向に間隔を介して並べられるとともに、互いに対応する二つの補強パッド92がX方向に間隔を介して並べられる。X方向は、ベース層81の上面81aに沿う方向であり、第2の方向の一例である。
【0055】
本実施形態のFPC17は、X方向に並べられた二つの補強パッド92の間に、導電層82が設けられない部分を有する。言い換えると、導電層82に、X方向に並べられた二つの補強パッド92の間に位置する隙間(空間、距離)が設けられる。
【0056】
二つの補強パッド92は、接続パッド91及び補強パッド92の列の両端に位置する。言い換えると、複数の接続パッド91は、二つの補強パッド92の間でY方向に間隔を介して並べられる。
【0057】
複数の配線93は、複数の接続パッド91から延びている。複数の配線93は、例えば、複数の接続パッド91とプリアンプ75とを電気的に接続する。なお、配線93は、他の配線、バイアホール、グランド、又は他の導電体に接続されても良い。
【0058】
図4に示すように、導電層83に、複数の支持パッド95が設けられる。支持パッド95は、第2のランドの一例である。導電層83に、例えば、配線のような他の部分が設けられても良い。複数の支持パッド95は、例えば配線によりグランドパターンに電気的に接続され、グランド電位に設定される。なお、支持パッド95は、この例に限られない。
【0059】
複数の支持パッド95の数は、複数の補強パッド92の数に等しい。なお、複数の補強パッド92の数と複数の支持パッド95の数とが異なっても良い。+Z方向に見た投影面において、複数の支持パッド95は、複数の補強パッド92と略同一の位置に配置される。このため、二つの支持パッド95が、二つの補強パッド92と同じく、X方向に間隔を介して並べられる。
【0060】
+Z方向に見た投影面は、例えば図3に示す第2の接続部72の平面(投影面)と反対方向から見た第2の接続部72の平面(投影面)である。このため、+Z方向から見た投影面における種々の要素の位置及び形状は、図3における種々の要素の位置及び形状に実質的に等しい。
【0061】
図4に示すように、本実施形態のFPC17は、X方向に並べられた二つの支持パッド95の間に、導電層83が設けられない部分を有する。言い換えると、導電層83に、X方向に並べられた二つの支持パッド95の間に位置する隙間(空間、距離)が設けられる。
【0062】
複数の支持パッド95のそれぞれは、ベース層81を介して複数の補強パッド92のうち対応する一つを+Z方向に覆う。+Z方向は、第1の方向の一例である。言い換えると、複数の補強パッド92と複数の支持パッド95とは、ベース層81を介して互いに重なっている。
【0063】
本実施形態において、+Z方向に見た投影面において、複数の補強パッド92の形状と、複数の支持パッド95の形状とは等しい。このため、複数の補強パッド92と複数の支持パッド95とが、互いに略完全に重なっている。なお、複数の補強パッド92の形状が互いに異なっても良いし、複数の支持パッド95の形状が互いに異なっても良い。この場合、複数の補強パッド92のそれぞれは、複数の支持パッド95のうち対応する一つと略同一の形状を有する。
【0064】
導電層83に、複数の支持パッド95の代わりに、グランドプレーンのような一つの大きなパターンが設けられても良い。この場合、例えば、当該一つのパターンが、ベース層81を介して複数の補強パッド92を+Z方向に覆う。
【0065】
+Z方向に見た投影面において、複数の支持パッド95のそれぞれは、複数の接続パッド91から離間している。言い換えると、複数の支持パッド95は、複数の接続パッド91を覆わない。なお、導電層83は、ベース層81を介して複数の接続パッド91を+Z方向に覆っても良い。
【0066】
ベース層81に、複数のバイア96が設けられる。複数のバイア96のそれぞれは、ベース層81を貫通し、互いに対応する補強パッド92と支持パッド95とを接続する。これにより、補強パッド92と支持パッド95とは、互いに略同一の電位に設定される。本実施形態において、補強パッド92と支持パッド95とはグランド電位に設定される。
【0067】
カバー層84は、ベース層81の上面81aの少なくとも一部と、導電層82の少なくとも一部とを覆う。このため、導電層82は、ベース層81とカバー層84との間に位置する。例えば、カバー層84は、接続パッド91の一部と、補強パッド92の一部と、配線93とを覆う。
【0068】
カバー層84に、複数の露出孔101が設けられる。複数の露出孔101のそれぞれは、複数の接続パッド91及び複数の補強パッド92のうち少なくとも一つをFPC17の外部へ露出させる。
【0069】
カバー層84と、露出孔101を通じてFPC17の外部へ露出された複数の接続パッド91及び複数の補強パッド92の一部は、FPC17の実装面17aを形成する。なお、実装面17aは、露出孔101を通じてFPC17の外部へ露出されたベース層81の上面81aのような、他の部分を含んでも良い。
【0070】
カバー層85は、ベース層81の下面81bの少なくとも一部と、導電層83とを覆う。このため、導電層83は、ベース層81とカバー層85との間に位置する。なお、カバー層85が導電層83の一部をFPC17の外部へ露出させても良い。カバー層85は、FPC17の背面17bを形成する。
【0071】
接着層86,87,88は、例えば、絶縁性の接着剤である。接着層86は、カバー層84をベース層81の上面81a及び導電層82に接着する。接着層87は、カバー層85をベース層81の下面81b及び導電層83に接着する。接着層88は、補強板77をFPC17の背面17bに接着する。
【0072】
FPC17に、貫通孔105が設けられる。貫通孔105は、FPC17を略Z方向に貫通する。すなわち、貫通孔105は、ベース層81、カバー層84,85、及び接着層86,87,88に設けられる。なお、ベース層81及びカバー層85に、貫通孔105が設けられなくても良い。
【0073】
図3に示すように、貫通孔105は、X方向に並べられた二つの接続パッド91の間に位置し、且つX方向に並べられた二つの補強パッド92の間に位置する。貫通孔105は、略Y方向に延びている。
【0074】
図4に示すように、補強板77は、FPC17の背面17bを覆う。このため、導電層83及びカバー層85は、ベース層81と補強板77との間に位置する。補強板77は、取付面77aと背面77bとを有する。取付面77aは、第3の面及び取付面の一例である。
【0075】
取付面77aは、略平坦に形成され、略+Z方向に向く。取付面77aは、接着層88により、FPC17の背面17bに取り付けられる。背面77bは、取付面77aの反対側に位置する。背面77bは、略平坦に形成され、略-Z方向に向く。
【0076】
補強板77は、複数の突起111をさらに有する。突起111は、突出部及び突起の一例である。複数の突起111は、補強板77の取付面77aから略+Z方向に突出している。
【0077】
複数の突起111の数は、複数の補強パッド92の数に等しい。+Z方向に見た投影面において、複数の突起111は、複数の補強パッド92と略同一の位置に配置される。このため、二つの突起111が、X方向に間隔を介して並べられる。
【0078】
本実施形態の補強板77は、X方向に並べられた二つの突起111の間に、突起111が設けられない取付面77aの一部を有する。言い換えると、補強板77に、X方向に並べられた二つの突起111の間に位置する隙間(空間、距離)が設けられる。
【0079】
複数の突起111のそれぞれは、カバー層85及びベース層81を介して複数の補強パッド92のうち対応する一つを+Z方向に覆う。言い換えると、複数の補強パッド92と複数の突起111とは、ベース層81及びカバー層85を介して互いに重なっている。
【0080】
+Z方向に見た投影面において、複数の補強パッド92の形状と、複数の突起111の形状とはおおよそ等しい。複数の補強パッド92のそれぞれは、複数の突起111のうち対応する一つとおおよそ等しい形状を有する。
【0081】
+Z方向に見た投影面において、複数の突起111のそれぞれは、複数の接続パッド91から離間している。なお、突起111は、ベース層81を介して複数の接続パッド91を+Z方向に覆っても良い。
【0082】
補強板77に、複数の貫通孔115が設けられる。複数の貫通孔115は、複数の突起111から離間している。複数の貫通孔115は、補強板77を略Z方向に貫通し、FPC17の貫通孔105に連通している。
【0083】
図3に示すように、中継コネクタ76は、ケース121と、複数のリード線122と、複数の補強ピン123とを有する。リード線122は、第2のピンの一例である。補強ピン123は、ピン及び第1のピンの一例である。
【0084】
ケース121は、例えば、中継コネクタ76のうち、合成樹脂のような絶縁体により形成された部分である。ケース121に、リード線122及び補強ピン123を含む導電体が取り付けられる。
【0085】
図4に示すように、ケース121は、下面121aと複数の側面121bを有する。下面121aは、FPC17の実装面17aに向く。側面121bは、下面121aが向く方向と交差する方向に向く。例えば、複数の側面121bのそれぞれは、X方向又はY方向に向く。
【0086】
図3に示すように、複数のリード線122及び補強ピン123は、X方向に向く側面121bに設けられる。複数のリード線122及び補強ピン123は、Y方向に二列で並べられる。互いに対応する二つのリード線122がX方向に間隔を介して並べられるとともに、互いに対応する二つの補強ピン123がX方向に間隔を介して並べられる。
【0087】
複数のリード線122のそれぞれは、半田125を介して、複数の接続パッド91のうち対応する一つに接合される。これにより、中継コネクタ76は、FPC17に実装される。複数の補強ピン123のそれぞれは、半田126を介して、複数の補強パッド92のうち対応する一つに接合される。
【0088】
図4に示すように、FPC17は、中継コネクタ76と補強板77との間に位置する。補強板77は、FPC17を介して+Z方向に中継コネクタ76の全体を覆う。このため、補強板77は、FPC17を介して中継コネクタ76を支持することができる。
【0089】
互いに対応する二つの補強パッド92の間の隙間は、中継コネクタ76とベース層81との間に位置する。さらに、中継コネクタ76は、FPC17の貫通孔105及び補強板77の貫通孔115を-Z方向に覆う。
【0090】
図3に示すように、Y方向における貫通孔105の長さは、Y方向における中継コネクタ76の長さよりも長い。+Z方向に見た投影面において、Y方向における貫通孔105の両端部105aは、中継コネクタ76の外に位置する。Y方向は、ベース層81の上面81aに沿うとともにX方向と直交する方向であって、第3の方向の一例である。なお、+Z方向に見た投影面において、+Y方向における貫通孔105の端部105a及び-Y方向における貫通孔105の端部105aのうち一方が中継コネクタ76の内側に位置していても良い。
【0091】
図5は、第1の実施形態の中継コネクタ76を示す例示的な底面図である。図5に示すように、ケース121に、複数の切り欠き131が設けられる。複数の切り欠き131のそれぞれは、X方向に向く側面121bと、Y方向に向く側面121bと、下面121aとに開口する。
【0092】
ケース121は、切り欠き131の底面131aと内側面131bとをさらに有する。底面131aは、略-Z方向に向く。内側面131bは、底面131aが向く方向と交差する方向に向く。例えば、内側面131bは、略Y方向に向く。
【0093】
ケース121は、複数の保持突起135,136をさらに有する。保持突起135は、内側面131bから離間した位置で、底面131aから略-Z方向に突出する。保持突起136は、底面131aから-Z方向に離間した位置で、内側面131bから突出する。
【0094】
補強ピン123は、ケース121の切り欠き131に嵌合し、ケース121に取り付けられる。なお、補強ピン123の一部がケース121に埋め込まれても良い。複数の補強ピン123の一部は、ケース121の側面121bから突出している。
【0095】
図4に示すように、複数の補強ピン123のそれぞれは、接合部141と、基部142と、中間部143とを有する。接合部141、基部142、及び中間部143は、一体に形成される。
【0096】
接合部141は、略X方向に延びている。接合部141の少なくとも一部は、切り欠き131の外部に位置する。接合部141は、半田126を介して、補強パッド92に接合される。
【0097】
基部142は、切り欠き131に収容され、ケース121に取り付けられる。このため、基部142は、接合部141とケース121との間に設けられる。なお、基部142は、切り欠き131の外部に位置しても良い。基部142は、接合部141からX方向に離間している。さらに、基部142は、Z方向において、接合部141よりも上面81aから離間している。
【0098】
中間部143は、接合部141と基部142との間に設けられる。中間部143は、X方向における接合部141の端と、X方向における基部142の端と、の間で上面81aに対して斜めに延びている。中間部143は、接合部141から基部142に近づくに従って、上面81aから離れるように延びている。
【0099】
図5に示すように、接合部141の一部と、基部142の一部と、中間部143とは、切り欠き131の内側面131bと保持突起135との間に位置する。さらに、基部142は、切り欠き131の底面131aと保持突起136との間に位置する。これにより、保持突起135,136は、補強ピン123を保持する。
【0100】
図4に示すように、補強板77の複数の突起111は、FPC17の複数の補強パッド92及び複数の支持パッド95と重なる。FPC17のうち突起111から離間した部分は、突起111から窪んだ補強板77の取付面77aに、接着層88によって取り付けられる。このため、FPC17のうち補強パッド92及び支持パッド95が設けられた部分は、他の部分から、+Z方向に突出する。
【0101】
さらに、複数の支持パッド95は、複数の補強パッド92と重なる。このため、FPC17のうち複数の支持パッド95が設けられた部分は、複数の補強パッド92によって厚くなり、他の部分から+Z方向に突出する。
【0102】
上述のように、FPC17のうち補強パッド92が設けられた部分は、突起111及び支持パッド95により、+Z方向に突出させられる。このため、中継コネクタ76は、突起111及び支持パッド95により+Z方向に持ち上げられる。
【0103】
以上のFPC17は、複数の隆起部Pと平坦部Fとを有する。複数の隆起部Pは、FPC17のうち、補強パッド92、支持パッド95、及び突起111が重なる部分である。平坦部Fは、FPC17のうち他の部分である。
【0104】
隆起部PにおけるFPC17の実装面17aは、平坦部FにおけるFPC17の実装面17aから+Z方向に突出している。本実施形態では、FPC17は、四つの隆起部Pを有する。
【0105】
中継コネクタ76のケース121の下面121aは、平坦部Fの実装面17aに向く。ケース121の下面121aと平坦部Fの実装面17aとの間に、空間Sが設けられる。突起111及び支持パッド95は、中継コネクタ76を持ち上げることで、空間Sを形成し、又は空間Sを拡大する。
【0106】
FPC17の貫通孔105は、空間Sに連通する。このため、空間Sは、貫通孔105の端部105aを通じて外部へ連通する。さらに、補強板77の貫通孔115は、貫通孔105を介して空間Sに連通する。このため、空間Sは、貫通孔105及び貫通孔115を通じて、外部へ連通する。
【0107】
図3に示すように、四つの隆起部Pの間において、中継コネクタ76のケース121と平坦部Fの実装面17aとの間に、隙間Gが設けられる。突起111及び支持パッド95は、中継コネクタ76を持ち上げることで、隙間Gを形成し、又は隙間Gを拡大する。空間Sは、隙間Gを通じて、外部へ連通する。
【0108】
以下、FPC17への中継コネクタ76の実装方法の一部について例示する。なお、FPC17への中継コネクタ76の実装方法は以下の方法に限らず、他の方法を用いても良い。まず、半田ペースト(半田125,126)が、例えば印刷又は塗布により、接続パッド91及び補強パッド92に供給される。
【0109】
次に、接続パッド91及び補強パッド92に中継コネクタ76がマウントされる。補強板77は、FPC17を介して中継コネクタ76を支持することで、マウント時にFPC17が変形することを抑制できる。
【0110】
次に、FPC17がリフロー炉において加熱され、半田ペーストが溶融する。これにより、リード線122が接続パッド91に接合されるとともに、補強ピン123が補強パッド92に接合される。このとき、半田125,126に混合又は別途供給されたフラックスが、半田125,126から流出することがある。
【0111】
次に、FPC17が例えば超音波洗浄により洗浄される。例えば、FPC17は、洗浄液Cが満たされた槽に入れられる。図4に矢印で示すように、洗浄液Cは、貫通孔115,105を通って空間Sに流入する。また、洗浄液Cは、貫通孔105,115を通って、空間SからFPC17の外部に排出されることができる。さらに、洗浄液Cは、隙間Gを通って空間Sに流入する。洗浄液Cは、隙間Gを通って、空間SからFPC17の外部に排出されることができる。
【0112】
洗浄液Cは、空間Sに流入し、空間Sから排出される。すなわち、洗浄液Cは、空間Sを通って流れる。これにより、洗浄液Cは、フラックスのようなHDD10を汚染し得る物質を、空間Sから除去することができる。
【0113】
超音波洗浄が完了すると、FPC17は、洗浄液Cから取り出される。このとき、空間Sの洗浄液Cは、貫通孔105,115と隙間Gとのうち少なくとも一つを通って排出される。
【0114】
例えば、空間Sに流入した洗浄液Cは、超音波を伝達する。当該超音波は、空間Sに存在するフラックスをFPC17から浮かす。その後、洗浄液Cは、フラックスと共に、上述のように空間Sから排出される。以上により、FPC17への部品の実装が完了する。
【0115】
洗浄液Cは、切り欠き131にも流入する。切り欠き131は、保持突起135,136が設けられるとともに補強ピン123が収容されることで、洗浄液C及びフラックスが残留しやすい微小な隙間が設けられることがある。しかし、当該微小な隙間は、隆起部Pにより拡大された空間Sに連通し、洗浄液Cが流入しやすくなっている。このため、微小な隙間の洗浄液C及びフラックスは、容易に排出され得る。
【0116】
さらに、補強ピン123の接合部141及び中間部143と、FPC17と、の間に、行き止まりDが設けられることがある。しかし、当該行き止まりDは、隆起部Pにより拡大された空間Sに連通し、洗浄液Cが流入しやすくなっている。さらに、隆起部Pは、中継コネクタ76を+Z方向に持ち上げることで、行き止まりDを拡大することができる。このため、行き止まりDの洗浄液C及びフラックスは、容易に排出され得る。
【0117】
なお、空間Sに流入する液体は、洗浄液Cに限られない。例えば、ストレージがSSDである場合、精製水のような冷却液が空間Sに流入することがある。FPC17に隆起部P及び平坦部Fが形成されることで、冷却液が空間Sを効率良く流れることができる。
【0118】
以上説明された第1の実施形態に係るHDD10において、FPC17は、ベース層81と、導電層82と、導電層83とを有する。導電層82は、ベース層81の上面81aに設けられる。導電層83は、上面81aの反対側に位置するベース層81の下面81bに設けられる。導電層82に補強パッド92が設けられる。導電層83は、ベース層81を介して上面81aが向く+Z方向に補強パッド92を覆う。中継コネクタ76は、補強パッド92に接合された補強ピン123を有する。補強パッド92は、導電層83に覆われない場合に比べ、当該導電層83により+Z方向に押し出される。これにより、補強パッド92に接合される中継コネクタ76も+Z方向に移動し、FPC17と中継コネクタ76のケース121との間の距離が拡大されることができる。従って、FPC17と中継コネクタ76のケース121との間の空間Sが大きくなり、当該空間Sを液体が容易に流れることができる。例えば、洗浄液Cが当該空間Sを流れやすくなることで、HDD10は、FPC17と中継コネクタ76との間にフラックス残渣のような汚染の原因となる物質が残留することを抑制できる。従って、本実施形態のHDD10は、当該HDD10の汚染を抑制でき、ひいては当該HDD10を汚染し得る物質がヘッドクラッシュのような不具合を引き起こすことを抑制できる。また、冷却液が当該空間Sを流れやすくなることで、中継コネクタ76が効率良く冷却されることができる。
【0119】
二つの補強パッド92が、上面81aに沿うX方向に間隔を介して並べられる。二つの補強ピン123が、X方向に間隔を介して並べられるとともに、二つの補強パッド92に接合される。ベース層81と中継コネクタ76との間において、導電層82に、二つの補強パッド92の間に位置する隙間が設けられる。言い換えると、二つの補強パッド92の間に、導電層82が設けられない部分がある。このため、FPC17に、ベース層81と中継コネクタ76との間に位置する窪みが設けられる。補強パッド92は、導電層83に覆われない場合に比べ、当該導電層83により+Z方向に押し出される。これにより、FPC17に設けられた窪みが拡大される。従って、当該窪みを含むFPC17と中継コネクタ76のケース121との間の空間Sが大きくなり、当該空間Sを液体が容易に流れることができる。
【0120】
導電層83に、X方向に間隔を介して並べられた二つの支持パッド95と、二つの支持パッド95の間に位置する隙間と、が設けられる。二つの支持パッド95は、ベース層81を介して+Z方向に二つの補強パッド92を覆う。言い換えると、二つの支持パッド95の間に、導電層83が設けられない部分がある。このため、支持パッド95が補強パッド92を+Z方向に押し出し、FPC17に設けられた窪みが深くなる。従って、当該窪みを含むFPC17と中継コネクタ76のケース121との間の空間Sが大きくなり、当該空間Sを液体が容易に流れることができる。
【0121】
+Z方向に見た投影面において、二つの補強パッド92の形状と、二つの支持パッド95の形状とが等しい。これにより、FPC17に設けられた窪みと、当該窪みを含む空間Sとが大きく設定され得る。
【0122】
導電層82に、電気信号を伝達する接続パッド91が設けられる。中継コネクタ76は、接続パッド91に接合されるリード線122をさらに有する。二つの支持パッド95は、グランド電位に設定されるとともに、+Z方向に見た投影面において接続パッド91から離間している。これにより、支持パッド95が、接続パッド91を流れる電気信号にノイズのような影響を与えることを抑制できる。
【0123】
FPC17は、上面81aを覆うカバー層84をさらに有する。カバー層84に、中継コネクタ76に覆われた貫通孔105が設けられる。+Z方向に見た投影面において、上面81aに沿うとともにX方向と直交するY方向における貫通孔105の端部105aは、中継コネクタ76の外に位置する。これにより、液体は、貫通孔105を通ってFPC17と中継コネクタ76のケース121との間の空間Sを容易に流れることができる。
【0124】
補強板77は、FPC17に取り付けられた取付面77aと、当該取付面77aから突出する突起111と、を有する。FPC17は、中継コネクタ76と補強板77との間に位置する。突起111は、ベース層81を介して+Z方向に二つの補強パッド92を覆う。補強パッド92は、突起111に覆われない場合に比べ、当該突起111により+Z方向に押し出される。これにより、FPC17と中継コネクタ76のケース121との間の空間Sが大きくなり、当該空間Sを液体が容易に流れることができる。
【0125】
二つの突起111が、X方向に間隔を介して並べられる。補強板77に、二つの突起111の間に位置する隙間が設けられる。言い換えると、二つの突起111の間に、突起111が設けられない部分がある。このため、突起111が補強パッド92を+Z方向に押し出し、FPC17に設けられた窪みが深くなる。従って、当該窪みを含むFPC17と中継コネクタ76のケース121との間の空間Sが大きくなり、当該空間Sを液体が容易に流れることができる。
【0126】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図6を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0127】
図6は、第2の実施形態に係る第2の接続部72の一部を示す例示的な断面図である。図6に示すように、第2の実施形態の補強板77は、複数の突起111の代わりに、突出部201を有する。
【0128】
突出部201は、補強板77の取付面77aから略+Z方向に突出している。+Z方向に見た投影面において、突出部201は、中継コネクタ76よりも大きい。突出部201は、ベース層81を介して、+Z方向に中継コネクタ76の全体を覆う。
【0129】
突出部201により、中継コネクタ76の全体が+Z方向に持ち上げられる。このため、中継コネクタ76は、当該中継コネクタ76の周りに位置する他の部品を越えて突出し、超音波洗浄において洗浄液C及び超音波に曝されやすくなる。洗浄液C及び超音波が直接的に中継コネクタ76に到達するため、中継コネクタ76がより効率良く洗浄される。
【0130】
以上説明された第2の実施形態のHDD10において、突出部201は、ベース層81を介して+Z方向に中継コネクタ76の全体を覆う。これにより、中継コネクタ76の全体が、突出部201に覆われない他の部品に対して+Z方向に移動する。従って、中継コネクタ76は、突出部201に覆われない他の部品に比べ、液体に曝されやすくなる。例えば、突出部201は、洗浄液Cに曝されやすくなることで、より確実に洗浄されることができる。
【0131】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、図7を参照して説明する。図7は、第3の実施形態に係る第2の接続部72の一部を示す例示的な断面図である。図7に示すように、第3の実施形態の導電層83に、複数の支持パッド95の代わりに、複数の支持パッド301が設けられる。複数の支持パッド301は、以下に説明される点を除き、複数の支持パッド95に実質的に等しい。
【0132】
複数の支持パッド301のそれぞれは、複数の補強パッド92のうち対応する一つよりも小さい。少なくとも、支持パッド301のX方向における長さは、支持パッド95のX方向における長さよりも短い。
【0133】
複数の補強パッド92のそれぞれは、X方向における端部92a,92bを有する。端部92aは、第1のランドの内側の端部の一例である。端部92bは、第1のランドの外側の端部の一例である。
【0134】
端部92aは、X方向において中継コネクタ76の中央に向かう方向(以下、内方向と称する)における補強パッド92の端部である。端部92bは、内方向の反対方向(以下、外方向と称する)における補強パッド92の端部である。
【0135】
複数の支持パッド301のそれぞれは、ベース層81を介して+Z方向に複数の補強パッド92のうち対応する一つの端部92aを覆う。一方、複数の支持パッド301は、複数の補強パッド92の端部92bを覆わない。言い換えると、+Z方向に見た投影面において、複数の支持パッド301は、複数の補強パッド92の端部92bから離間している。
【0136】
以上の支持パッド301は、補強パッド92の端部92aを+Z方向に持ち上げるが、補強パッド92の端部92bは持ち上げない。このため、補強パッド92は、外方向に向かってベース層81に近づくように、ベース層81の上面81aに対して斜めに延びている。
【0137】
以上説明された第3の実施形態のHDD10において、二つの支持パッド301は、ベース層81を介して+Z方向に二つの補強パッド92の内側の端部92aを覆う。さらに、二つの支持パッド301は、+Z方向に見た投影面において、補強パッド92の外側の端部92bから離間している。すなわち、補強パッド92の内側の端部92aは支持パッド301により+Z方向に押し出されるが、補強パッド92の外側の端部92bは押し出されない。このため、二つの補強パッド92は+Z方向に先細るように傾斜し、液体を外側に排出しやすくなる。
【0138】
以上の説明において、「抑制する」は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。
【0139】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
10…ハードディスクドライブ(HDD)、17…フレキシブルプリント回路板(FPC)、76…中継コネクタ、77…補強板、77a…取付面、81…ベース層、81a…上面、81b…下面、82,83…導電層、84…カバー層、91…接続パッド、92…補強パッド、92a,92b…端部、95,301…支持パッド、105…貫通孔、111…突起、123…補強ピン、201…突出部。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7