(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135590
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】回転体の冷却構造、定着装置、媒体調整装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240927BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03G15/20 515
G03G21/00 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046362
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】吉次 浩司
(72)【発明者】
【氏名】野村 由佳
(72)【発明者】
【氏名】権田 泰久
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA29
2H033BB12
2H033BB29
2H033BB30
2H033BE00
2H033BE03
2H033CA53
2H270SB13
2H270SB14
2H270SB15
2H270SB16
2H270SB24
2H270SC08
2H270SC13
2H270SC14
(57)【要約】
【課題】外部から熱を受けて温度が上昇する回転体を冷却する冷却構造等において、回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、騒音の発生を抑制しつつ回転体を効率よく冷却する。
【解決手段】回転体の冷却構造6Aは、外部から熱を受けて温度が上昇する回転体(加圧用回転体52)と、前記回転体の外周面に摺動部材67を介して接触する放熱体60と、放熱体60に空気を吹き付ける送風器70を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から熱を受けて温度が上昇する回転体と、
前記回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体と、
を備える回転体の冷却構造。
【請求項2】
前記放熱体が、円弧状の曲面部を有し、前記曲面部を前記回転体の外周面に接触させる請求項1に記載の回転体の冷却構造。
【請求項3】
前記曲面部の曲率半径が、前記回転体の半径と同等になるか又は当該半径よりも少し大きくなるよう構成されている請求項2に記載の回転体の冷却構造。
【請求項4】
前記放熱体が、板状の基部と前記基部の片面に並ぶ複数の放熱板を有し、
前記複数の放熱板が互いに前記回転体の軸方向と交差する方向に沿うよう設けられている請求項1に記載の回転体の冷却構造。
【請求項5】
空気を吹き付ける送風器を備え、
前記送風器が空気を前記放熱体に吹き付ける請求項1に記載の回転体の冷却構造。
【請求項6】
前記放熱体が、板状の基部と前記基部の片面に並ぶ複数の放熱板を有し、
前記複数の放熱板が互いに前記回転体の軸方向と交差する方向に沿うよう設けられている請求項5に記載の回転体の冷却構造。
【請求項7】
前記送風器は、前記回転体の外周面のうち前記放熱体に隣接する部分にも空気を吹き付ける請求項5に記載の回転体の冷却構造。
【請求項8】
加熱手段を有する加熱用回転体と、
前記加熱用回転体に圧力を加えて接触するとともに未定着像を保持する記録媒体を通過させる定着処理部を形成する加圧用回転体と、
を備え、
前記加圧用回転体を冷却する構造が請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回転体の冷却構造で構成されている定着装置。
【請求項9】
温度が上昇した記録媒体を接触通過させて調整する回転体を備え、
前記回転体を冷却する構造が請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回転体の冷却構造で構成されている媒体調整装置。
【請求項10】
未定着像を形成して記録媒体に転写する像形成部と、
前記像形成部で転写された未定着像を記録媒体に定着する定着装置と、
を備え、
前記定着装置が請求項8に記載の定着装置で構成されている画像形成装置。
【請求項11】
温度が上昇した記録媒体を回転体に接触通過させて調整する媒体調整装置を備え、
前記媒体調整装置が請求項9に記載の媒体調整装置で構成されている画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の冷却構造、定着装置、媒体調整装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部から熱を受けて温度が上昇する回転体を冷却する技術としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、加熱される定着モジュールからなる定着部材との間に加圧域を形成する加圧ロールからなる加圧部材を冷却する加圧部材冷却機構を備えた定着装置等が記載されている。
また、特許文献1には、上記加圧部材冷却機構は、加圧部材に対向させて加圧部材の熱を吸収する吸熱部材と、その吸熱部材の周囲を周回可能に設けられて加圧部材の熱を吸熱部材に伝導する伝導ベルト部材と、その吸熱部材を冷却する吸熱部材冷却手段とを備えていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-152045号公報(請求項1,
図2-5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、外部から熱を受けて温度が上昇する回転体を冷却する冷却構造等において、回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、騒音の発生を抑制しつつ回転体を効率よく冷却することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、
外部から熱を受けて温度が上昇する回転体と、
前記回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体と、
を備える回転体の冷却構造である。
【0007】
第2の発明は、上記第1の発明において、前記放熱体が、円弧状の曲面部を有し、前記曲面部を前記回転体の外周面に接触させる回転体の冷却構造である。
第3の発明は、上記第2の発明において、前記曲面の曲率半径が、前記回転体の半径と同等になるか又は当該半径よりも少し大きくなるよう構成されている回転体の冷却構造である。
第4の発明は、上記第1の発明において、前記放熱体が、板状の基部と前記基部の片面に並ぶ複数の放熱板を有し、前記複数の放熱板が互いに前記回転体の軸方向と交差する方向に沿うよう設けられている回転体の冷却構造である。
【0008】
第5の発明は、上記第1の発明において、空気を吹き付ける送風器を備え、前記送風器が空気を前記放熱体に吹き付ける回転体の冷却構造である。
第6の発明は、上記第5の発明において、前記放熱体が、板状の基部と前記基部の片面に並ぶ複数の放熱板を有し、前記複数の放熱板が互いに前記回転体の軸方向と交差する方向に沿うよう設けられている回転体の冷却構造である。
第7の発明は、上記第5の発明において、前記送風器は、前記回転体の外周面のうち前記放熱体に隣接する部分にも空気を吹き付ける回転体の冷却構造である。
【0009】
第8の発明は、
加熱手段を有する加熱用回転体と、
前記加熱用回転体に圧力を加えて接触するとともに未定着像を保持する記録媒体を通過させる定着処理部を形成する加圧用回転体と、
を備え、
前記加圧用回転体を冷却する構造が上記第1から第7の発明のいずれかの回転体の冷却構造で構成されている定着装置である。
【0010】
第9の発明は、
温度が上昇した記録媒体を接触通過させて調整する回転体を備え、
前記回転体を冷却する構造が上記第1から第7の発明のいずれかの回転体の冷却構造で構成されている媒体調整装置である。
【0011】
第10の発明は、
未定着像を形成して記録媒体に転写する像形成部と、
前記像形成部で転写された未定着像を記録媒体に定着する定着装置と、
を備え、
前記定着装置が上記第8の発明の定着装置で構成されている画像形成装置である。
【0012】
第11の発明は、
温度が上昇した記録媒体を回転体に接触通過させて調整する媒体調整装置を備え、
前記媒体調整装置が上記第9の発明の媒体調整装置で構成されている画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
上記第1の発明によれば、回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、騒音の発生を抑制しつつ回転体を効率よく冷却することができる。
【0014】
上記第2の発明によれば、放熱体が回転体の外周面に円弧状の曲面以外の形状からなる面部分を接触させる場合に比べて、回転体を効率よく冷却することができる。
上記第3の発明によれば、放熱体の曲面部の曲率半径が回転体の半径よりも小さい場合に比べて、回転体を効率よく冷却することができる。
上記第4の発明によれば、放熱体の複数の放熱板が互いに回転体の軸方向に沿うよう設けられている場合に比べて、回転体を効率よく冷却することができる。
【0015】
上記第5の発明によれば、送風器が空気を放熱体に吹き付けない場合に比べて、回転体をより効率よく冷却することができる。
上記第6の発明によれば、放熱体の複数の放熱板が互いに回転体の軸方向に沿うよう設けられている場合に比べて、回転体をより効率よく冷却することができる。
上記第7の発明によれば、送風器が回転体の外周面のうち放熱体に隣接する部分に空気を吹き付けない場合に比べて、回転体をより効率よく冷却することができる。
【0016】
上記第8の発明によれば、加圧用回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、騒音の発生を抑制しつつ加圧用回転体を効率よく冷却することができる。
【0017】
上記第9の発明によれば、回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、騒音の発生を抑制しつつ回転体を効率よく冷却することができる。
【0018】
上記第10の発明によれば、定着装置における加圧用回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、定着装置において騒音の発生を抑制しつつ加圧用回転体を効率よく冷却することができる。
【0019】
上記第11の発明によれば、媒体調整装置における回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、媒体調整装置において騒音の発生を抑制しつつ回転体を効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施の形態1に係る画像形成装置の概念図である。
【
図2】
図1の画像形成装置の一部(回転体の冷却構造を備えた定着装置)の概念図である。
【
図3】(A)は実施の形態1に係る回転体の冷却構造の一部(送風器を除く部分)の概略断面図、(B)は(A)の冷却構造の一部のQ-Q線に沿う概略断面図である。
【
図4】(A)は
図3の冷却構造における放熱体等の概略斜視図、(B)は(A)の放熱体の下方から見たときの概略下面図である。
【
図5】(A)は
図2の定着装置および冷却構造の一部を拡大した概念図、(B)は(A)の冷却構造の一部の上方から見たときの概略平面図である。
【
図6】
図2の定着装置における冷却構造の動作の状態を示す概念図である。
【
図7】実施の形態2に係る回転体の冷却構造を採用した定着装置の概念図である。
【
図8】
図7の定着装置における冷却構造の動作の状態を示す概念図である。
【
図9】実施の形態3に係る回転体の冷却構造を採用した反り解消装置の概念図である。
【
図10】実施の形態4に係る回転体の冷却構造を採用した媒体冷却装置の概念図である。
【
図11】
図2の回転体の冷却構造の一部(送風器)の変形例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0022】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置の概念図である。
図2は、
図1の画像形成装置における回転体の冷却構造を備えた定着装置の概念図である。
本明細書および図面においては実質的に同一の構成要素に対して同一の符号を付し、また本明細書ではその同一の構成要素の重複説明を省略する。
【0023】
(1-1)画像形成装置の構成
画像形成装置1は、
図1に示されるように、画像を記録媒体の一例である記録用紙9に形成する装置である。この画像形成装置1は、例えば、情報端末機等の外部機器から接続して入力される画像情報に対応した画像を形成することが可能な装置として構成されている。
【0024】
画像形成装置1は、
図1に示されるように、筐体10の内部空間に、像形成部2と、媒体供給装置4、定着装置5、図示しない制御手段等を備えている。
筐体10は、フレーム等の構造材や、パネル、開閉扉等の外装材等の材料を用いて所要の外観形状に作製される箱状の構造体である。
図1における一点鎖線は、記録用紙9が筐体10内で搬送されるときの主な搬送路45を示している。
【0025】
像形成部2は、未定着像を形成して記録用紙9に転写する部分である。像形成部2は、未定着像を形成する作像ユニット20と、作像ユニット20で形成された未定着像を中継して記録用紙9に転写する中間転写ユニット30とで構成されている。
【0026】
作像ユニット20は、画像情報に基づいて現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成するよう構成された装置群である。
実施の形態1における作像ユニット20は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)および特殊色(S)からなるトナー像を単独で専用に形成する作像ユニット20Y,20M,20C,20K,20S(以後、20(Y,M,C,K,S)と略称することもある。)により構成されている。特殊色(S)は、例えば、白色、透明色等である。
【0027】
作像ユニット20Y,20M,20C,20K,20Sは、現像装置24で使用する現像剤(本例ではトナー)の色が上記Y,M,C,K,Sとして略記する色のいずれか1色であって互いに異なる以外は、ほぼ同様の構成になっている。
すなわち、作像ユニット20(Y,M,C,K,S)はいずれも、潜像が形成されて保持される潜像保持体の一例である感光ドラム21を有している。また、作像ユニット20(Y,M,C,K,S)はいずれも、その感光ドラム21の周囲に、帯電装置22、露光装置23、現像装置24(Y,M,C,K,S)、一次転写装置36、ドラム清掃装置26等の機器をそれぞれ配置して構成されている。
【0028】
また、作像ユニット20(Y,M,C,K,S)は、画像形成装置1の正面側から見たときに、筐体10の内部空間において左右方向に所要の間隔をあけて直列状に並べた状態で配置されている。正面は、画像形成装置1の前側の面として扱われる面である。
図1では、作像ユニット20Kにおいて感光ドラム21、帯電装置22、露光装置23、現像装置24K、一次転写装置36およびドラム清掃装置26の各符号を記載している。また、
図1では、それ以外の作像ユニット20(Y,M,C,S)に対しては現像装置24(Y,M,C,S)の各符号のみを記載し、それ以外の符号の記載を省略している。
【0029】
感光ドラム21は、前後方向に沿って延びる図示しない回転軸線の周りを矢印で示す方向に回転するドラム形態の感光体である。
帯電装置22は、感光ドラム21の像形成面となる外周面を所要の表面電位に帯電させる装置である。帯電装置22は、例えば感光ドラム21の外周面の像形成域に接触させるとともに帯電電流が供給される帯電ロール等の帯電部材を備えて構成されている。
露光装置23は、感光ドラム21の帯電後の外周面に画像情報に基づく露光をして静電潜像を形成する装置である。
【0030】
現像装置24は、感光ドラム21の外周面に形成された静電潜像を対応する所定の色(Y,M,C,K,Sのいずれかの色)の現像剤により現像して未着像の一例であるトナー像にする装置である。
一次転写装置36は、作像ユニット20(Y,M,C,K,S)における各感光ドラム21の外周面に形成されたトナー像を中間転写ユニット30における中間転写ベルト31に転写させる装置である。一次転写装置36は、感光ドラム21の外周面に接触するとともに一次転写電流が供給される転写ロール等の転写部材を備えて構成されている。なお、一次転写装置36は、中間転写ユニット30を採用する場合、その中間転写ユニット30を構成する一部品としても扱われる。
ドラム清掃装置26は、感光ドラム21の外周面に付着する不要なトナー、紙粉等の不要物を除去して感光ドラム21の外周面を清掃する装置である。
【0031】
中間転写ユニット30は、作像ユニット20(Y,M,C,K,S)で形成された各トナー像を中間転写体に一時保持した後に記録用紙9に転写するよう構成された装置群である。
中間転写ユニット30は、中間転写体の一例である中間転写ベルト31、中間転写ベルト31を内周面から回転可能に支持する支持ロール32~35、一次転写装置36、二次転写装置37、ベルト清掃装置38等を備えている。また、中間転写ユニット30は、筐体10の内部空間において作像ユニット20(Y,M,C,K,S)の下方となる位置に存在するよう配置されている。
【0032】
中間転写ベルト31は、所要の幅および長さからなる環状に成形された帯状ベルトであり、その外周面がトナー像を主に静電的な作用で保持できる面になっている。
支持ロール32~35は、中間転写ベルト31をほぼ逆三角形の形態になるよう支持するとともに、矢印で示す方向に回転可能に支持する。
支持ロール32,33は、中間転写ベルト31を作像ユニット20(Y,M,C,K,S)の各感光ドラム21を通過して左右方向に面状に延びる転写面を形成するように支持する。支持ロール32は、例えば、中間転写ベルト31を回転させる動力を付与する駆動ロールとして構成されている。
支持ロール34は、二次転写装置37と対峙する中間転写ベルト31の内周面を支持する二次転写背面ロールとして構成されている。支持ロール35は、中間転写ベルト31に所要の張力を付与する張力付与ロールとして構成されている。
【0033】
一次転写装置36は、中間転写ベルト31を作像ユニット20(Y,M,C,K,S)の各感光ドラム21の一次転写を行う部位に押し当てるよう配置されている。
二次転写装置37は、中間転写ベルト31の外周面に一次転写されたトナー像を記録用紙9に転写させる装置である。この二次転写装置37は、中間転写ベルト31のうち支持ロール34に支持されている外周面に接触するとともに二次転写電流が供給される転写ロール、転写搬送ベルト等の転写部材を備えて構成されている。
ベルト清掃装置38は、中間転写ベルト31の外周面に付着する不要なトナー、紙粉等の不要物を除去して中間転写ベルト31の外周面を清掃する装置である。
【0034】
媒体供給装置4は、中間転写ユニット30の二次転写位置に供給すべき記録用紙9を収容して供給する装置である。媒体供給装置4は、例えば、筐体10の内部空間において中間転写ユニット30の下方となる位置に配置されている。
媒体供給装置4は、記録用紙9を収容する収容体41A、41Bと、収容体41A、41Bから記録用紙9をそれぞれ1つずつ送り出す送出装置42等を備えている。記録用紙9は、所定のサイズに裁断された媒体である。収容体41の数については、特に限定されない。
【0035】
定着装置5は、中間転写ユニット30で記録用紙9に二次転写されて保持される未定着のトナー像を記録用紙9に定着させる装置である。定着装置5は、例えば、筐体10の内部空間において中間転写ユニット30の片側の斜め下方となる位置に存在するよう配置されている。定着装置5の詳細については後述する。
【0036】
搬送路45は、主に、媒体供給装置4の収容体41A、41Bから中間転写ユニット30の二次転写が行われる部位を経由して定着装置5に至る経路と、最後に定着装置5から筐体10の媒体排出口10eに至る経路で構成されている。
搬送路45は、例えば、一対からなる複数の搬送ロール46a,46b,46c,46d,46e,46fや、吸引式ベルト搬送装置47、図示しない搬送案内材等を配置して構成されている。吸引式ベルト搬送装置47は、中間転写ユニット30の二次転写が行わる部位と定着装置5との間を結ぶ経路内に配置される。
【0037】
筐体10の外部には、媒体排出口10eから排出される記録用紙9を収容する図示しない排出部が設けられている。排出部は、例えば、排出される記録用紙9を収容する収容トレイや、排出される記録用紙9に対して所要の処理を施す後処理装置等で構成される。
【0038】
(1-2)画像形成装置の動作
画像形成装置1では、外部機器等から画像を形成する動作の指令を図示しない制御手段が受けると、以下に説明する一連の基本的な画像形成動作が行われる。
【0039】
まず、画像形成装置1における像形成部2では、作像ユニット20(Y,M,C,K,S)のいずれか1つにおいて帯電動作、露光動作、現像動作および清掃動作が実行され、また像形成部2の中間転写ユニット30において一次転写動作および二次転写動作が実行される。その一方で、画像形成装置1では、媒体供給装置4と搬送路45において記録用紙9の供給動作が実行される。
これにより、像形成部2では、作像ユニット20(Y,M,C,K,S)のいずれか1つにおける感光ドラム21上にトナー像が形成された後、そのトナー像が中間転写ユニット30の中間転写ベルト31に一次転写されてから記録用紙9に二次転写される。
【0040】
続いて、画像形成装置1では、像形成部2の中間転写ユニット30でトナー像が二次転写された記録用紙9が搬送路45の搬送動作により定着装置5に導入されるよう搬送され、定着装置5において定着動作が実行される。
これにより、未定着のトナー像が記録用紙9に定着される。
この定着が終了した後の記録用紙9は、搬送路45の搬送動作により搬送された後、筐体10の外部に配置される図示しない排出部に排出される。
【0041】
以上により、画像形成装置1では、1枚の記録用紙9の片面にトナーからなる画像を形成する基本的な画像形成動作が完了する。
この際、例えば、作像ユニット20(Y,M,C,K)のすべてにおいて作像動作が行われた場合は、4色(Y,M,C,K)のトナー像で構成されるフルカラーと称されるカラー画像が形成される。また、画像形成装置1では、必要に応じて作像ユニット20Sによる作像動作を行って特殊色(S)のトナー像を形成することが可能になっている。
【0042】
(1-3)定着装置の構成
定着装置5は、
図2に示されるように、記録用紙9の導入口50aやその排出口50bが設けられた箱状のハウジング50の内部空間に、加熱用回転体51、加圧用回転体52等の機器を配置して構成されている。
【0043】
加熱用回転体51は、
図2等に示されるように、ベルト-パッド形態の回転体として構成されている。ベルト-パッド形態の加熱用回転体51は、無端状の定着ベルト53と、定着ベルト53の内周面から支持してそのベルト外周面を加圧用回転体52に押し当てる押当て体54、定着ベルト53を押当て体54と協働して回転可能に支持する複数の支持ロール55,56等で構成されている。
【0044】
押当て体54と支持ロール55,56は、その各内部に配置される電熱ヒータ等の加熱手段57A,57B,57Cによりそれぞれ定着温度等の所要の温度に加熱されて維持される。また、支持ロール55は、図示しない駆動装置から回転動力を得て駆動する駆動ロールとして構成されており、定着ベルト53を矢印で示す方向に回転させる。さらに、支持ロール56は、定着ベルト53に所要の張力を付与するとともに定着ベルト53の蛇行を矯正するように変位する調整ロールとして構成されている。
押当て体54と支持ロール55,56は、図示しない支持フレームに支持されている。
【0045】
加圧用回転体52は、例えばロール形態の加圧ロール58として構成されている。
加圧ロール58は、
図3に示されるように、金属等の材料からなる円筒状のロール基体58aと、ロール基体58aの外周面に形成されるゴム、合成樹脂等の材料からなる弾性層58b等で構成されている。ロール基体58aは、その軸方向の両端部に、軸受に回転可能に支持される軸部58cが突出して設けられている。
【0046】
加圧ロール58は、図示しない支持フレームに回転可能に設けられている。また、加圧ロール58は、図示しない加圧機構により、加熱用回転体51の定着ベルト53を押当て体54に所要の圧力で押し付けるよう配置されている。
また、加圧ロール58は、定着ベルト53のうち押当て体54に支持されている部分に対して接触および離間するよう上記支持フレームを介して支持されている。加圧ロール58は、例えば画像形成動作を行わないときに離間するようになっている。
さらに、加圧ロール58は、図示しない駆動装置から回転動力を得て矢印で示す方向に回転駆動するよう構成されている。また、加圧ロール58は、その表面温度が温度計測器59で測定されるようになっている。
【0047】
また、定着装置5では、加熱用回転体51と加圧用回転体52が接触し合う部分が、未定着のトナー像を記録用紙9に定着させるための加熱、加圧等の処理をする定着処理部(いわゆる定着ニップ部)FNとして構成されている。上記接触し合う部分は、具体的には定着ベルト53と加圧ロール58が接触し合う部分である。
【0048】
(1-4)定着装置の動作
画像形成装置1では、上記した画像形成動作を行う等の必要な時期になると、定着装置5において以下に説明する定着動作が行われる。
【0049】
まず、定着装置5における加熱用回転体51では、駆動ロールとしての支持ロール55が駆動し始め、これにより定着ベルト53が押当て体54と支持ロール55,56の回りを周回するよう矢印で示す方向に回転し始める。また、加熱用回転体51では、加熱手段57A,57B,57Cが作動し始め、これにより押当て体54と支持ロール55,56がそれぞれ加熱され始める。
一方、定着装置5では、加圧ロール58が定着ベルト53を押当て体54に加圧した状態で接触通過させるように矢印で示す方向に回転し始める。
【0050】
これらにより、定着装置5では、定着ベルト53が、加熱された状態でかつ加圧された状態で定着処理部FNを通過するよう回転する。また、このときの加圧ロール58は、加熱された定着ベルト53に接触して回転する。
【0051】
そして、定着装置5に対しては、中間転写ユニット30でトナー像が二次転写された記録用紙9が定着処理部FNに導入されて通過させられる。
この結果、トナー像および記録用紙9は、定着処理部FNを通過する過程で加熱および加圧され、最終的にトナー像が溶融して記録用紙9に定着される。
以上により、1つの記録用紙9の片面へのトナー像の定着動作が完了する。
【0052】
(1-5)回転体の冷却構造の構成
定着装置5では、回転体の一例である加圧用回転体52を冷却する構造として、
図2等に示されるように、回転体の冷却構造6Aを採用している。
回転体の冷却構造6Aは、加圧用回転体52である加圧ロール58と、加圧ロール58の外周面58sに摺動部材67を介して接触する放熱体60と、空気を吹き付ける送風器70を備えている。
実施の形態1における加圧ロール58の外周面58sは、具体的には後述する弾性層58bの外表面になる。
【0053】
まず、冷却構造6Aにおける放熱体60は、
図3,
図4等に示されるように、基部62と複数の放熱板63を有する構造物である。
【0054】
このうち基部62は、加圧ロール58の軸方向Jに沿って延びる板状の部分である。
基部62は、放熱板63が存在する片面とは反対側の面に断面が円弧状の曲線を描く曲面からなる曲面部61を有している。
【0055】
曲面部61は、放熱体60のうち加圧ロール58の外周面58sに接触する側となる面を有する部分になる。曲面部61は、加圧ロール58の外周面58sのうち周方向の一部となる曲面にほぼ対応する曲面からなる表面が、加圧ロール58の軸方向Jに沿って窪んで延びるように形成されている。曲面部61は、例えば、加圧ロール58の外周面58sに対して設定可能な最も広い範囲で接触するように構成するとよい。つまり、曲面部61は、可能であれば、加圧ロール58の外周面58sの周方向の半周分以上の範囲で接触するよう構成するとより有効になる。
ちなみに、実施の形態1における基部62は、例えば、加圧ロール58の軸方向Jに沿う一方の端部に、ほぼ水平方向(
図3および
図4では右方向)に突出する取付け部62cが設けられている。
【0056】
また、曲面部61は、
図4(A)に示されるように、その曲面の曲率半径Rが、加圧ロール58の半径rと同等になるよう構成されている。また、曲面部61は、その曲面の曲率半径Rが加圧ロール58の半径rよりも少し大きくなるよう構成されていてもよい。
この場合における少し大きいとは、曲率半径Rが半径rの1倍よりも長く、かつ、その半径rの1.05倍以下の範囲になる程度の大きさである。
曲率半径Rが半径rの1.2倍を超える大きさになる場合は、放熱体60の加圧ロール58の外周面58sとの接触面積が低下しやすくなり、放熱体60による良好な放熱作用が得られにくくなる。
【0057】
次に、放熱板63は、放熱体60の放熱性を高めるために設けられる板状の部分である。放熱板63は、所要の寸法および形状からなる板材であり、放熱フィンとも称されるものである。放熱板63は、複数となる所要の枚数のものが設けられている。
【0058】
複数の放熱板63は、基部62の片面に、加圧ロール58の軸方向Jに沿って所要の間隔をあけて並ぶよう設けられている。基部62の片面は、曲面部61が存在する面とは反対側の面である。
【0059】
また、複数の放熱板63は、
図4(B)に示されるように、互いに加圧ロール58の軸方向Jと交差する方向Mに沿うよう設けられている。
このときの交差する方向Mは、例えば、軸方向Jとの交差角αが±30°の範囲以内になる方向が好ましく、より好ましくは交差角αが±5°の範囲以内になる方向である。
交差角αが±30°の範囲を超える角度になる場合は、複数の放熱板63から放熱した熱が放熱板63どうしの間から排出されにくくなり、放熱板63による放熱作用が得られにくくなる。この傾向は、送風器70から空気を放熱板63に吹き付ける場合により顕著になる。
【0060】
放熱体60は、アルミニウム等の金属材料を用いて製作される。
また、放熱体60は、加圧ロール58の外周面58sのうち下部にある領域で接触するように配置されている。放熱体60は、定着動作の障害にならない限り、加圧ロール58の外周面58sのうち周方向の任意の一部領域で接触するように配置することが可能である。
【0061】
摺動部材67は、放熱体60の曲面部61が回転移動する定着ベルト53の外周面と接触する部分における摩擦抵抗を低減して、定着ベルト53の回転の支障にならないよう摺動性を確保する部材である。
【0062】
摺動部材67としては、例えば、シート状の部材が適用される。摺動部材67は、放熱体60の曲面部61における曲面を覆うように取り付けられる。摺動部材67は、例えば、熱圧着や、接着剤等による接着等の手段で固定される。
【0063】
また、摺動部材67は、低摩擦性、耐熱性、耐摩耗性および熱伝導性を有する部材であることが好ましい。摺動部材67としては、例えば、フッ素系樹脂等からなる合成樹脂シート、フッ素系樹脂等を含侵させたグラスファイバークロス等の部材が適用される。摺動部材67の厚みについては、任意に設定することができるが、例えば、良好な熱伝導性を確保する観点等からすると1mm以下の厚みが好ましい。
【0064】
次に、冷却構造6Aにおける送風器70は、
図2等に示されるように、吹き付ける空気を発生する本体部71と、本体部71から放出される空気を導いて所要の対象物にむけて吹き付ける吹付けダクト74とで構成されている。
【0065】
本体部71は、吹き付ける空気を発生する部分である。
実施の形態1における本体部71は、定着装置5のハウジング50の外部に配置されており、回転ファン等を有する駆動機器72と、駆動機器72等を覆うカバー部材で構成されている。
また、本体部71は、ハウジング50の外部のうち記録用紙9が搬送される方向の上流側の位置、換言すれば中間転写ユニット30の二次転写部分と定着装置5との間の位置に配置されている。
【0066】
駆動機器72は、例えば、3台の回転ファンを加圧ロール58の軸方向Jに並べるよう配置して構成されている。図示しないカバー部材には、吸気口および排気口が形成されている。
【0067】
吹付けダクト74は、その一端部が本体部71の排気口に接続されており、その他端部が定着装置5のハウジング50の内部に侵入して存在するよう配置されている。その他端部の先端には、空気が吹き出される吹出し口74bが設けられている。吹出し口74bは、例えば、加圧ロール58の軸方向Jに沿って延びる長方形状の開口として形成されている。
【0068】
送風器70は、本体部71で発生させた空気E(
図2参照)を、吹付けダクト74を通して少なくとも放熱体60に吹き付けるように構成されている。
具体的には、吹付けダクト74は、
図5に示されるように、空気E1を放熱体60の放熱板63に直接吹き付けるように吹出し口74bから吹き出す設計になっている。
図5(B)では、一部の放熱板63が破線で略記されている。
【0069】
(1-6)回転体の冷却構造の動作
定着装置5では、上記した画像形成動作等の必要な時期になると、以下に説明する回転体の冷却構造6Aによる冷却動作が行われる。
【0070】
定着装置5では、定着動作が行われる時期等において加圧ロール58が加熱された定着ベルト53等と接触して回転するので、加圧ロール58が定着ベルト53等から熱を受けて加圧ロール58の外周面58sの温度が定着装置5の停止しているとき(作動する前)に比べて上昇する。
一方、このときの加圧ロール58は、
図5、
図6等に示されるように、冷却構造6Aにおける放熱体60の曲面部61と、摺動部材67を介して接触した状態になって回転する。また、冷却構造6Aでは、送風器70が始動して空気E1を放熱体60に向けて吹き付ける。
【0071】
これにより、冷却構造6Aにおける放熱体60は、温度が上昇した加圧ロール58の熱が摺動部材67を通して伝導されるとともに、その熱を主に複数の放熱板63からそれぞれ放出する。
図6における符号Hで示す破線矢印は、放熱体60から放出される熱を概念的に示している。
この結果、加圧ロール58は、その外周面58sの周方向の一部領域において軸方向Jの全域にわたるように接触して配置される放熱体60により放熱されて冷却される。この際、加圧ロール58は、摺動部材67を介して放熱体60に接触しているので、回転動作に支障が殆んどなく円滑に回転する。
【0072】
また、冷却構造6Aでは、送風器70から空気E1が放熱体60に直接吹き付けられるので、
図6に例示されるように放熱体60に接触して通過するように流れる空気流Efが発生し、放熱体60における放熱が効率よく行われる。
この結果、加圧ロール58は、送風器70が放熱体60に空気E1を吹き付けない場合に比べると、放熱体60により効率よく放熱されて冷却される。
このことによって冷却構造6Aでは、加圧ロール58の外周面58sに空気を直接吹き付けて冷却する冷却構造に比べると、例えば冷却構造6Aの放熱体60による放熱がされる分だけ、送風器70により吹き付ける空気E1の風速や風量を低減することが可能になる。このため、冷却構造6Aによれば、送風器70における回転ファン等の駆動機器72の駆動速度を低減させて動作騒音の発生を抑制することができる。
【0073】
したがって、この冷却構造6Aを採用した定着装置5では、加圧ロール58の外周面58sに摺動部材67を介して接触する放熱体60を使用しない冷却構造や送風器70が放熱体60に空気E1を吹き付けない冷却構造に比べると、騒音の発生が抑制されつつ加圧用回転体52である加圧ロール58が効率よく冷却される。
【0074】
また、冷却構造6Aは、放熱体60が加圧ロール58の外周面58sに円弧状の曲面部61を(摺動部材67を介して)接触させている。
このため、冷却構造6Aによれば、放熱体60が加圧ロール58の外周面58sに円弧状の曲面以外の形状(例えば平面形状、逆反りの曲面形状)からなる面部分を接触させる場合に比べると、放熱体60の加圧ロール58の外周面58sとの接触面積を広く確保しやすくなるので、加圧ロール58を効率よく冷却できる。
【0075】
また、冷却構造6Aは、放熱体60の曲面部61の曲率半径Rを加圧ロール58の半径rと同等か又はその半径rよりも少し大きい関係(R≧r)になるようにしている。
このため、冷却構造6Aによれば、放熱体60の曲面部61の曲率半径Rが加圧ロール58の半径rよりも小さい場合(R<r)に比べると、放熱体60の加圧ロール58の外周面58sとの接触面積を広く確保することや安定した接触状態を得やすくなるので、加圧ロール58を効率よく冷却できる。
【0076】
さらに、冷却構造6Aは、放熱体60の複数の放熱板63を互いに加圧ロール58の軸方向Jと交差する方向Mに沿うように設けている。
このため、冷却構造6Aによれば、放熱体60の複数の放熱板63が互いに加圧ロール58の軸方向Jに沿うよう設けられている場合に比べると、複数の放熱板63からの放熱がしやすくなり、また吹き付けられた空気が複数の放熱板63の間を通して円滑に流れやすくなるので、加圧ロール58を効率よく冷却できる。
【0077】
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2に係る回転体の冷却構造を備えた定着装置の概念図である。
実施の形態2に係る定着装置5は、実施の形態1に係る回転体の冷却構造6Aとは異なる構成からなる回転体の冷却構造6Bを採用して変更した以外は実施の形態1に係る定着装置5と同じ構成からなるものである。また、この定着装置5は、例えば、実施の形態1に係る画像形成装置1における定着装置として使用される。
【0078】
(2-1)回転体の冷却構造の構成
実施の形態2に係る回転体の冷却構造6Bは、
図7等に示されるように、送風器70を備えず、加圧ロール58と、加圧ロール58の外周面58sに摺動部材67を介して接触する放熱体60とを備えている。
冷却構造6Bにおける放熱体60および摺動部材67は、実施の形態1に係る回転体の冷却構造6Aにおける放熱体60および摺動部材67と同じ構成になっている。
【0079】
(2-2)回転体の冷却構造の動作
実施の形態2に係る定着装置5では、上記した画像形成動作等の必要な時期になると、以下に説明する回転体の冷却構造6Bによる冷却動作が行われる。
【0080】
すなわち、定着装置5においても、実施の形態1で説明した場合と同様に、定着動作が行われる時期等において加圧ロール58が定着ベルト53等から熱を受けて加圧ロール58の外周面58sの温度が定着装置5の停止しているときに比べて上昇する。
このときの加圧ロール58は、
図8等に示されるように、冷却構造6Bにおける放熱体60の曲面部61と、摺動部材67を介して接触した状態になって回転する。
【0081】
これにより、冷却構造6Bでは、放熱体60において、温度が上昇した加圧ロール58の熱が摺動部材67を通して放熱体60に伝導されるとともに、その熱を主に複数の放熱板63からそれぞれ放出する。
図8における符号Hで示す破線矢印は、放熱体60から放出される熱を概念的に示している。また、放熱体60から放出された熱(熱気)は、定着装置5のハウジング50内等で発生する自然対流における上昇気流Erに乗じて放散される。
この結果、加圧ロール58は、その外周面58sの周方向の一部領域において軸方向Jの全域にわたるように接触して配置される放熱体60により放熱されて冷却される。
【0082】
また、冷却構造6Bでは、実施の形態1に係る冷却構造6Aにおける送風器70を備えていないので、かかる送風器70の動作音が発生しない。
【0083】
したがって、この冷却構造6Bを採用した定着装置5では、加圧ロール58の外周面58sに摺動部材67を介して接触する放熱体60を使用しない冷却構造に比べると、騒音の発生が抑制されつつ加圧用回転体52である加圧ロール58が効率よく冷却される。
特に、この定着装置5においては、送風器70を備えていないので、かかる送風器70の動作音が発生しない分、騒音の発生が大幅に抑制される。
【0084】
また、この冷却構造6Bを採用した定着装置5では、放熱体60が実施の形態1に係る冷却構造6Aにおける放熱体60と同じ構成を有するので、実施の形態1に係る定着装置5で説明した作用効果が同様に得られる。
【0085】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3に係る回転体の冷却構造を備えた媒体調整装置8の一例である反り解消装置8Aの概念図である。
(3-1)反り解消装置の構成
反り解消装置8Aは、外部から熱を受けて温度が上昇していてかつ反り(カール)が生じている記録媒体の一例である記録用紙9Aを回転体に接触通過させて当該反りをほぼ解消する装置である。
実施の形態3に係る反り解消装置8Aは、筐体80の内部に、第1押圧通過部PN1、第2押圧通過部PN2、記録用紙9Aの搬送路85等を備えている。
【0086】
筐体80は、記録用紙9Aの導入口80aおよび排出口80bが設けられた箱型の構造体である。
【0087】
第1押圧通過部PN1は、記録用紙9Aを押圧して上方向に凸となるように湾曲させた状態で通過させる部分である。
第1押圧通過部PN1は、矢印で示す方向に回転する第1回転ロール81と第1回転ロール81のほぼ最下の外周面部に押圧された状態で接触して矢印で示す方向に回転する第1押圧ロール82とが接触する部分として構成されている。
このうち第1回転ロール81は、図示しない弾性表面層を有する構造のロールであり、図示しない駆動装置から回転動力を得て矢印で示す方向に回転する。また、第1押圧ロール82は、第1回転ロール81の弾性表面層よりも硬い剛性を有する剛性ロールであり、第1回転ロール81の回転動作に従動して矢印で示す方向に回転する。
【0088】
第2押圧通過部PN2は、第1押圧通過部PN1を通過した後の記録用紙9Aを押圧して下方向に凸となるよう湾曲させた状態で通過させる部分である。
第2押圧通過部PN2は、矢印で示す方向に回転する第2回転ロール83と第2回転ロール83のほぼ最上の外周面部に押圧された状態で接触して矢印で示す方向に回転する第2押圧ロール84とが接触する部分として構成されている。
このうち第2回転ロール83は、図示しない弾性表面層を有する構造のロールであり、図示しない駆動装置から回転動力を得て矢印で示す方向に回転する。また、第2押圧ロール84は、第2回転ロール83の弾性表面層よりも硬い剛性を有する剛性ロールであり、第2回転ロール83の回転に従動して矢印で示す方向に回転する。
【0089】
搬送路85は、筐体80の導入口80aから導入される記録用紙9Aを、第1押圧通過部PN1と第2押圧通過部PN2をこの順に通過させた後に筐体80の排出口80bから排出させるように搬送する部分である。
搬送路85は、例えば、記録用紙9Aの搬送する方向を案内する図示しない搬送案内部材等で構成されている。
【0090】
(3-2)反り解消装置の動作
反り解消装置8Aは、その作動時になると、第1回転ロール81と第2回転ロール83がそれぞれ矢印で示す方向に回転し始める。また、反り解消装置8Aでは、第1押圧ロール82と第2押圧ロール84が、第1回転ロール81の弾性表面層と第2回転ロール83の弾性表面層にそれぞれ所要の深さで食い込むように接触して従動回転する。
【0091】
続いて、反り解消装置8Aでは、記録用紙9Aが筐体80内に導入されて搬送路85を経由して第1押圧通過部PN1と第2押圧通過部PN2をこの順に通過するよう搬送される。
この際、記録用紙9Aは、第1押圧通過部PN1において第1回転ロール81に第1押圧ロール82により下方から押し付けられ、これにより上方向に凸となるよう一時的に湾曲させられた状態になって通過する。このときの記録用紙9Aは、例えば下方に湾曲する反りの部分が矯正される。
また、第1押圧通過部PN1を通過した記録用紙9Aは、第2押圧通過部PN2において第2回転ロール83に第2押圧ロール84により上方から押し付けられ、これにより下方向に凸となるよう一時的に湾曲させられた状態になって通過する。このときの記録用紙9Aは、例えば上方に湾曲する反りの部分が矯正される。
【0092】
これにより、記録用紙9Aは、反り解消装置8Aに導入される前に存在している反りが、反り解消装置8Aの第1押圧通過部PN1および第2押圧通過部PN2を通過することでほぼ解消される。
【0093】
ちなみに、反り解消装置8Aは、例えば、画像形成装置における定着装置から排出される記録用紙9に存在する反りを解消するために、その定着装置の記録用紙9の搬送する方向の下流側の用紙搬送路内に配置して使用される。この使用形態における反り解消装置8Aに導入される記録用紙9は、定着装置で定着された画像が形成されている。
また、反り解消装置8Aは、外部から熱を受けて温度が上昇していてかつ反りが生じている記録用紙9Aが独立して存在する場合であれば、単独の装置として使用することも可能である。
【0094】
(3-3)回転体の冷却構造の構成
反り解消装置8Aでは、第1回転ロール81と第2回転ロール83をそれぞれ冷却する構造として、
図9に示されるように、2つの回転体の冷却構造6Bを採用している。
【0095】
実施の形態3に係る回転体の冷却構造6Bは、実施の形態2に係る冷却構造6Bの場合(
図8参照)とほぼ同様に、第1回転ロール81および第2回転ロール83の外周面にそれぞれ摺動部材67を介して接触する放熱体60を備えている。
第1回転ロール81および第2回転ロール83の外周面は、具体的には上記各弾性表面層の外表面になる。
また、実施の形態3に係る冷却構造6Bにおける放熱体60および摺動部材67は、実施の形態1に係る回転体の冷却構造6Aにおける放熱体60および摺動部材67とほぼ同じ構成になっている。
【0096】
(3-4)回転体の冷却構造の動作
反り解消装置8Aでは、その作動時になると、以下に説明する回転体の冷却構造6Bによる冷却動作が行われる。
【0097】
まず、反り解消装置8Aでは、外部から熱を受けて温度が上昇していてかつ反りが生じている記録用紙9Aが第1押圧通過部PN1と第2押圧通過部PN2を通過する。
このため、その記録用紙9Aが接触通過する第1押圧通過部PN1における第1回転ロール81と第2押圧通過部PN2における第2回転ロール83は、記録用紙9A等から熱を受けてその各外周面の温度が反り解消装置8Aが停止しているときの温度に比べて上昇した状態になる。
また、このときの第1回転ロール81と第2回転ロール83は、
図9に示されるように、冷却構造6Bにおける放熱体60の曲面部61と、摺動部材67(
図8参照)を介してそれぞれ接触した状態になって回転する。
【0098】
これにより、冷却構造6Bでは、放熱体60において、温度が上昇した第1回転ロール81および第2回転ロール83の熱が摺動部材67(
図8参照)を通して伝導されるとともに、その熱が主に複数の放熱板63(
図8参照)からそれぞれ放出される。また、放熱体60から放出された熱(熱気)は、反り解消装置8Aの筐体80内等で発生する自然対流における上昇気流に乗じて放散される(
図8参照)。
この結果、第1回転ロール81および第2回転ロール83は、その各外周面の周方向の一部領域において軸方向の全域にわたるように接触して配置される放熱体60により放熱されて冷却される。
【0099】
したがって、この冷却構造6Bを採用した反り解消装置8Aでは、第1回転ロール81および第2回転ロール83に摺動部材67を介して接触する放熱体60を使用しない冷却構造に比べると、騒音の発生が抑制されつつ第1回転ロール81および第2回転ロール83が効率よく冷却される。
特に、この反り解消装置8Aにおいては、冷却構造6Bが送風器70(
図2等参照)を備えていないので、かかる送風器70の動作音が発生しない分、騒音の発生が大幅に抑制される。
反り解消装置8Aでは、第1回転ロール81と第2回転ロール83を冷却構造6Bで冷却して必要以上に温度が上昇してしまう状態を回避することで、反り解消作用が得やすくなる。
【0100】
実施の形態4.
図10は、本発明の実施の形態4に係る回転体の冷却構造を備えた媒体調整装置8の他の例である媒体冷却装置8Bの概念図である。
(4-1)媒体冷却装置の構成
媒体冷却装置8Bは、外部から熱を受けて温度が上昇している記録媒体の一例である記録用紙9Bを回転体に接触通過させて、その温度上昇した温度よりも低い温度になる程度に冷却する装置である。
実施の形態4に係る媒体冷却装置8Bは、筐体86の内部に、冷却処理部CN、記録用紙9Bの搬送路89等を備えている。
【0101】
筐体86は、記録用紙9Bの導入口86aおよび排出口86bが設けられた箱型の構造体である。
冷却処理部CNは、記録用紙9Bを挟持した状態で搬送して冷却の処理をする部分である。
【0102】
冷却処理部CNは、矢印で示す方向に回転する冷却回転ロール87と冷却回転ロール87の外周面に接触して矢印で示す方向に回転する搬送回転ロール88とが接触する部分として構成されている。
このうち冷却回転ロール87は、熱伝導性に優れた金属等の材料からなるロールであり、図示しない駆動装置から回転動力を得て矢印で示す方向に回転する。また、搬送回転ロール88は、図示しない弾性表面層を有する構造のロールであり、冷却回転ロール87の回転動作に従動して矢印で示す方向に回転する。
【0103】
搬送路89は、筐体86の導入口86aから導入される記録用紙9Bを、冷却処理部CNを通過させた後に筐体86の排出口86bから排出させるように搬送する部分である。
搬送路89は、例えば、記録用紙9Bを挟持して搬送する一対の搬送ロール89a,89bや、記録用紙9Bの搬送する方向を案内する図示しない搬送案内部材等で構成されている。
【0104】
(4-2)媒体冷却装置の動作
媒体冷却装置8Bは、その作動時になると、冷却回転ロール87と一対の搬送ロール89a,89bがそれぞれ所要の方向に回転し始める。また、媒体冷却装置8Bでは、搬送回転ロール88が、冷却回転ロール87に接触して従動回転し始める。
【0105】
続いて、媒体冷却装置8Bでは、記録用紙9Bが筐体86内に導入されて搬送路89を経由して冷却処理部CNを通過するよう搬送される。
この際、記録用紙9Bは、冷却処理部CNにおいて冷却回転ロール87と搬送回転ロール88との間に挟持されて搬送される。
これにより、記録用紙9Bは、冷却回転ロール87に接触して通過することで熱が冷却回転ロール87に伝導して冷却される。
【0106】
ちなみに、媒体冷却装置8Bは、例えば、画像形成装置における記録媒体の搬送路内に配置して使用される。記録用紙9Bは、画像が形成された記録用紙に限らず、画像が形成される前の記録用紙であってもよい。また、記録用紙9Bは、長尺からなる帯状の記録用紙(例えばロール紙)であってもよい。
また、媒体冷却装置8Bは、外部から熱を受けて温度が上昇している記録用紙9Bが独立して存在する場合であれば、単独の装置として使用することも可能である。
【0107】
(4-3)回転体の冷却構造の構成
媒体冷却装置8Bでは、冷却回転ロール87を冷却する構造として、
図10に示されるように、回転体の冷却構造6Bを採用している。
【0108】
実施の形態4に係る回転体の冷却構造6Bは、実施の形態2に係る冷却構造6Bの場合(
図8参照)とほぼ同様に、冷却回転ロール87の外周面に摺動部材67を介して接触する放熱体60を備えている。
また、実施の形態4に係る冷却構造6Bにおける放熱体60および摺動部材67は、実施の形態1に係る回転体の冷却構造6Aにおける放熱体60および摺動部材67とほぼ同じ構成になっている。
【0109】
(4-4)回転体の冷却構造の動作
媒体冷却装置8Bでは、その作動時になると、以下に説明する回転体の冷却構造6Bによる冷却動作が行われる。
【0110】
まず、媒体冷却装置8Bでは、外部から熱を受けて温度が上昇している記録用紙9Bが冷却処理部CNを通過する。
このため、その記録用紙9Bが接触通過する冷却処理部CNにおける冷却回転ロール87は、記録用紙9B等から熱を受けてその外周面の温度が媒体冷却装置8Bの停止しているときの温度に比べて上昇した状態になる。
また、このときの冷却回転ロール87は、
図10に示されるように、冷却構造6Bにおける放熱体60の曲面部61と、摺動部材67(
図8参照)を介して接触した状態になって回転する。
【0111】
これにより、冷却構造6Bでは、放熱体60において、温度が上昇した冷却回転ロール87の熱が摺動部材67(
図8参照)を通して伝導されるとともに、その熱が主に複数の放熱板63(
図8参照)からそれぞれ放出される。また、放熱体60から放出された熱(熱気)は、媒体冷却装置8Bの筐体86内等で発生する自然対流における上昇気流に乗じて放散される(
図8参照)。
この結果、冷却回転ロール87は、その外周面の周方向の一部領域において軸方向の全域にわたるように接触して配置される放熱体60により放熱されて冷却される。
【0112】
したがって、この冷却構造6Bを採用した媒体冷却装置8Bでは、冷却回転ロール87に摺動部材67を介して接触する放熱体60を使用しない冷却構造に比べると、騒音の発生が抑制されつつ冷却回転ロール87が効率よく冷却される。
特に、この媒体冷却装置8Bにおいては、冷却構造6Bが送風器70(
図2等参照)を備えていないので、かかる送風器70の動作音が発生しない分、騒音の発生が大幅に抑制される。
媒体冷却装置8Bでは、冷却回転ロール87が冷却構造6Bで冷却されることで、記録用紙9Bの冷却が行われる。
【0113】
変形例.
本発明は、上記実施の形態1-4として例示した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した各発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変形や改変が可能である。このため、本発明は、例えば、以下に示す変形例も含むものである。
【0114】
実施の形態1では、回転体の冷却構造6Aにおける送風器70として、吹付けダクト74を介して空気E1を放熱体60に直接吹き付ける構成を例示した。
冷却構造6Aにおける送風器70については、
図11に示されるように、空気E1を放熱体60に直接吹き付けることに加えて、回転体の一例である加圧用回転体52の加圧ロール58の外周面58sのうち放熱体60に隣接する部分58mにも空気E2を吹き付けるように構成してもよい。この構成は、例えば、吹付けダクト74の構成や設置の仕方を調整することで実現できる。
【0115】
このように構成した場合は、送風器70が加圧用回転体52である加圧ロール58の外周面58sのうち放熱体60に隣接する部分58mに空気E2を吹き付けない場合に比べると、加圧ロール58が直接吹き付けられる空気E2によっても冷却(つまり空冷)されることになり、加圧ロール58がより効率よく冷却される。
【0116】
実施の形態1で例示した回転体の冷却構造6Aと実施の形態2-4で例示した回転体の冷却構造6Bは、放熱体60を加圧ロール58等の回転体の外周面に摺動部材を介して常に接触させて使用する態様に限定さるものではない。
例えば、冷却構造6A、6Bは、回転体が回転して冷却が必要な時期に放熱体60を接触させるよう移動して使用する態様や、回転体が変位する構成にする場合であれば、その変位する複数の位置のうち特定の位置に変位したときの回転体に放熱体60を接触させて使用する態様であってもよい。
また、回転体の冷却構造6A、6Bにおける放熱体60としては、複数の放熱板63に代えて、柱又は突起のごとき形状からなる複数の放熱突起が間隔をあけて整然と並ぶ放熱体を適用することも可能である。
【0117】
実施の形態1,2に係る定着装置5は、加圧用回転体52として、ロール形態である加圧ロール58に限らず、ベルト-パッド形態のものを適用したものであってもよい。
このベルト-パッド形態の加圧用回転体52とは、例えば、無端状の加圧ベルトと、加圧ベルトを加熱用回転体51に押し付ける押付け体と、押付け体と協働して加圧ベルトを回転可能に支持する支持ロールで構成されるものである。
また、このベルト-パッド形態の加圧用回転体52を適用する場合、回転体の冷却構造6A、6Bにおける放熱体60は、回転する加圧ベルトのうちパッドになる押付け体に支持される部分の外周面に接触させるよう構成すればよい。
【0118】
また、実施の形態1,2に係る定着装置5は、加熱用回転体51として、ロール形態のもの(加熱ロール)を適用したものであってもよい。
【0119】
実施の形態3に係る反り解消装置8Aは、回転体の冷却構造6Bに代えて、実施の形態1で例示したごとき送風器70も備える回転体の冷却構造6Aを採用してもよい。
また、反り解消装置8Aは、回転体の冷却構造6B(又は冷却構造6A)を、第1押圧通過部PN1と第2押圧通過部PN2のいずれか一方のみに採用するように構成してもよい。
さらに、反り解消装置8Aは、第1押圧通過部PN1と第2押圧通過部PN2の配置を記録用紙9Aの搬送方向において逆の順番になるよう配置してもよい。反り解消装置8Aは、第1押圧通過部PN1と第2押圧通過部PN2のいずれか一方のみを備えたものとしてもよい。
【0120】
実施の形態4に係る媒体冷却装置8Bは、回転体の冷却構造6Bに代えて、実施の形態1で例示したごとき送風器70も備える回転体の冷却構造6Aを採用してもよい。
また、媒体冷却装置8Bは、冷却処理部CNとして、搬送回転ロール88に代えて、搬送冷却ロールを設けて構成した冷却処理部を適用してもよい。この搬送冷却ロールを設けた冷却処理部の場合、その搬送冷却ロールを冷却する構造として回転体の冷却構造6B(又は冷却構造6A)を採用してもよい。
さらに、媒体冷却装置8Bは、冷却処理部CNとして、複数の冷却処理部CNを配置してもよい。また、媒体冷却装置8Bは、冷却処理部CNについて、冷却回転ロール87と搬送回転ロール88を上下逆の位置関係になるよう配置して構成してもよい。
【0121】
定着装置5を備える画像形成装置は、像形成部2として、中間転写ユニット30、つまり中間転写方式を用いず、未定着像を記録用紙9に直接転写する直接転写方式を採用した像形成部2を備えた画像形成装置であっても構わない。
また、反り解消装置8A、媒体冷却装置8B等に代表される媒体調整装置8を備える画像形成装置は、現像剤で構成される未定着像を形成する方式以外の像形成方式を採用した画像形成装置でもよい。現像剤で構成される未定着像を形成する方式以外の像形成方式とは、例えば、インク噴射による像形成方式等である。
【0122】
(付記)
(((1)))
外部から熱を受けて温度が上昇する回転体と、
前記回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体と、
を備える回転体の冷却構造。
(((2)))
前記放熱体が、円弧状の曲面部を有し、前記曲面部を前記回転体の外周面に接触させる(((1)))に記載の回転体の冷却構造。
(((3)))
前記曲面部の曲率半径が、前記回転体の半径と同等になるか又は当該半径よりも少し大きくなるよう構成されている (((2)))に記載の冷却構造。
(((4)))
前記放熱体が、板状の基部と前記基部の片面に並ぶ複数の放熱板を有し、
前記複数の放熱板が互いに前記回転体の軸方向と交差する方向に沿うよう設けられている(((1)))から(((3)))のいずれかに記載の回転体の冷却構造。
(((5)))
空気を吹き付ける送風器を備え、
前記送風器が空気を前記放熱体に吹き付ける(((1)))から(((4)))のいずれかに記載の回転体の冷却構造。
(((6)))
前記放熱体が、板状の基部と前記基部の片面に並ぶ複数の放熱板を有し、
前記複数の放熱板が互いに前記回転体の軸方向と交差する方向に沿うよう設けられている(((5)))に記載の回転体の冷却構造。
(((7)))
前記送風器は、前記回転体の外周面のうち前記放熱体に隣接する部分にも空気を吹き付ける(((5)))又は(((6)))に記載の回転体の冷却構造。
(((8)))
加熱手段を有する加熱用回転体と、
前記加熱用回転体に圧力を加えて接触するとともに未定着像を保持する記録媒体を通過させる定着処理部を形成する加圧用回転体と、
を備え、
前記加圧用回転体を冷却する構造が(((1)))から(((7)))のいずれかに記載の回転体の冷却構造で構成されている定着装置。
(((9)))
温度が上昇した記録媒体を接触通過させて調整する回転体を備え、
前記回転体を冷却する構造が(((1)))から(((7)))のいずれかに記載の回転体の冷却構造で構成されている媒体調整装置。
(((10)))
未定着像を形成して記録媒体に転写する像形成部と、
前記像形成部で転写された未定着像を記録媒体に定着する定着装置と、
を備え、
前記定着装置が(((8)))に記載の定着装置で構成されている画像形成装置。
(((11)))
温度が上昇した記録媒体を回転体に接触通過させて調整する媒体調整装置を備え、
前記媒体調整装置が(((9)))に記載の媒体調整装置で構成されている画像形成装置。
【0123】
(((1)))に係る回転体の冷却構造によれば、回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、騒音の発生を抑制しつつ回転体を効率よく冷却することができる。
(((2)))に係る回転体の冷却構造によれば、放熱体が回転体の外周面に円弧状の曲面以外の形状からなる面部分を接触させる場合に比べて、回転体を効率よく冷却することができる。
(((3)))に係る回転体の冷却構造によれば、放熱体の曲面部の曲率半径が回転体の半径よりも小さい場合に比べて、回転体を効率よく冷却することができる。
(((4)))に係る回転体の冷却構造によれば、放熱体の複数の放熱板が互いに回転体の軸方向に沿うよう設けられている場合に比べて、回転体を効率よく冷却することができる。
(((5)))に係る回転体の冷却構造によれば、送風器が空気を放熱体に吹き付けない場合に比べて、回転体をより効率よく冷却することができる。
(((6)))に係る回転体の冷却構造によれば、放熱体の複数の放熱板が互いに回転体の軸方向に沿うよう設けられている場合に比べて、回転体をより効率よく冷却することができる。
(((7)))に係る回転体の冷却構造によれば、送風器が回転体の外周面のうち放熱体に隣接する部分に空気を吹き付けない場合に比べて、回転体をより効率よく冷却することができる。
(((8)))に係る定着装置によれば、加圧用回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、騒音の発生を抑制しつつ加圧用回転体を効率よく冷却することができる。
(((9)))に係る媒体調整装置によれば、回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、騒音の発生を抑制しつつ回転体を効率よく冷却することができる。
(((10)))に係る画像形成装置によれば、定着装置における加圧用回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、定着装置において騒音の発生を抑制しつつ加圧用回転体を効率よく冷却することができる。
(((11)))に係る画像形成装置によれば、媒体調整装置における回転体の外周面に摺動部材を介して接触する放熱体を使用しない場合に比べて、媒体調整装置において騒音の発生を抑制しつつ回転体を効率よく冷却することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 …画像形成装置
2 …像形成部
5 …定着装置
6A,6B…回転体の冷却構造
8 …媒体調整装置
8A…反り解消装置(媒体調整装置の一例)
8B…媒体冷却装置(媒体調整装置の他の例)
9 …記録用紙(記録媒体の一例)
9A…記録用紙(温度が上昇した記録媒体の一例)
9B…記録用紙(温度が上昇した記録媒体の他の例)
51…加熱用回転体
52…加圧用回転体(回転体の一例)
57A,57B,57C…加熱手段
58…加圧ロール(加圧用回転体の一例)
58s…外周面
58m…外周面のうち放熱体に隣接する部分
60…放熱体
61…曲面部
62…基部
63…放熱板
70…送風器
81…第1回転ロール(回転体の他の例)
83…第2回転ロール(回転体の他の例)
87…冷却回転ロール(回転体の他の例)
J …軸方向
E1,E2…吹き付ける空気
FN…定着処理部