(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135609
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ドライバー、電気光学装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20240927BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G09G3/20 623B
G09G3/36
G09G3/20 670N
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046389
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】森田 晶
(72)【発明者】
【氏名】新 千弘
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
5C006AA16
5C006AC27
5C006AC28
5C006AF42
5C006AF43
5C006AF46
5C006AF54
5C006AF83
5C006BB11
5C006BC03
5C006BC11
5C006BF15
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF31
5C006BF36
5C006BF37
5C006EC11
5C006FA33
5C006FA46
5C006FA47
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD19
5C080DD26
5C080EE29
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080KK07
5C080KK20
5C080KK23
5C080KK43
5C080KK50
(57)【要約】
【課題】電気光学パネルの信号供給線を駆動する演算増幅器の増幅率と周波数応答特性を両立できるドライバー等を提供すること。
【解決手段】ドライバー100は、階調データに対応する第1~第nキャパシター駆動電圧を出力するキャパシター駆動回路20と、第1~第nキャパシターC1~Cnを有するキャパシター回路10と、駆動回路70と耐圧保護回路80とを含む。駆動回路70は、キャパシター駆動回路20を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成される演算増幅器71と、演算増幅器71の出力ノードNAMQと信号供給線との間に配置される出力キャパシターCQと、演算増幅器71の反転入力ノードNANと信号供給線との間に配置されるフィードバックキャパシター回路74とを含む。耐圧保護回路80は、演算増幅器71の出力ノードNAMQに電気的に接続される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調データに対応する第1~第nキャパシター駆動電圧(nは2以上の整数)を第1~第nキャパシター駆動用ノードに出力するキャパシター駆動回路と、
電気光学パネルの信号供給線と前記第1~第nキャパシター駆動用ノードとの間に配置される第1~第nキャパシターを有するキャパシター回路と、
前記キャパシター駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成される演算増幅器と、前記演算増幅器の出力ノードと前記信号供給線との間に配置される出力キャパシターと、前記演算増幅器の反転入力ノードと前記信号供給線との間に配置されるフィードバックキャパシター回路と、を含み、前記信号供給線に電気的に接続される駆動回路と、
前記演算増幅器の前記出力ノードに電気的に接続される耐圧保護回路と、
を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項2】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記耐圧保護回路は、
前記演算増幅器の前記出力ノードと前記演算増幅器の高電位側の第1電源ノードとの間に配置され、前記出力ノードから前記第1電源ノードへの方向を順方向とする第1ダイオードと、
前記演算増幅器の低電位側の第2電源ノードと前記演算増幅器の前記出力ノードとの間に配置され、前記第2電源ノードから前記出力ノードへの方向を順方向とする第2ダイオードと、
を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項3】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
制御回路を含み、
前記耐圧保護回路は、
前記演算増幅器の前記出力ノードと前記演算増幅器の高電位側の第1電源ノードとの間に配置される第1スイッチと、
前記演算増幅器の低電位側の第2電源ノードと前記演算増幅器の前記出力ノードとの間に配置される第2スイッチと、
を含み、
前記制御回路は、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオン又はオフに制御することを特徴とするドライバー。
【請求項4】
請求項3に記載されたドライバーにおいて、
前記制御回路は、
前回の駆動期間における前記階調データから、今回の駆動期間における前記階調データへの変化方向に応じて、前記第1スイッチをオンする、又は前記第2スイッチをオンすることを特徴とするドライバー。
【請求項5】
請求項3に記載されたドライバーにおいて、
前記制御回路は、
前記キャパシター駆動回路の駆動開始タイミングから所与の期間の間、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチの一方のスイッチをオンにし、前記所与の期間の経過後、前記一方のスイッチをオフにすることを特徴とするドライバー。
【請求項6】
請求項3に記載されたドライバーにおいて、
前記耐圧保護回路は、
前記演算増幅器の前記出力ノードと、前記第1電源ノードの電位と前記第2電源ノードの電位との間の電位の第3電源ノードとの間に配置される第3スイッチを含み、
前記制御回路は、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチをオン又はオフに制御することを特徴とするドライバー。
【請求項7】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記耐圧保護回路は、
前記階調データに対応する第1~第m保護用キャパシター駆動電圧(mは1以上でnより小さい整数)を第1~第m保護用キャパシター駆動用ノードに出力する第2キャパシター駆動回路と、
前記演算増幅器の前記出力ノードと前記第1~第m保護用キャパシター駆動用ノードとの間に配置される第1~第m保護用キャパシターを有する第2キャパシター回路と、
を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項8】
請求項7に記載されたドライバーにおいて、
前記階調データの上位ビットに基づいて前記第2キャパシター駆動回路を制御する制御回路を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項9】
請求項7に記載されたドライバーにおいて、
前回の駆動期間における前記階調データから、今回の駆動期間における前記階調データへの変化方向に応じて、前記第2キャパシター駆動回路を制御する制御回路を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項10】
請求項1に記載されたドライバーにおいて、
前記フィードバックキャパシター回路は、
前記演算増幅器の前記反転入力ノードと前記信号供給線との間に配置される第1フィードバックキャパシターと、
一端が前記反転入力ノードに電気的に接続される第2フィードバックキャパシターと、
を含むことを特徴とするドライバー。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載されたドライバーと、
前記電気光学パネルと、
を含むことを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載されたドライバーを含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバー、電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容量駆動回路とアンプ回路とを含み、電気光学パネルを駆動するドライバーが開示されている。アンプ回路は、容量駆動回路により電気光学パネルを駆動する容量駆動が開始された後に、階調データに対応するデータ電圧をデータ電圧出力端子に出力する電圧駆動を行う。これにより、電気光学パネルのソース線スイッチがオフからオンになった後のデータ線の電圧低下が、アンプ回路により補われるので、容量駆動におけるデータ電圧の精度低下が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶パネルの形式によっては、その駆動に高い電圧が必要であることから、そのような液晶パネルを駆動する駆動回路には、高耐圧のトランジスターで構成された演算増幅器が用いられている。しかしながら、高耐圧のトランジスターは移動度が低いため、演算増幅器の増幅率と周波数応答特性の両立が難しいという課題がある。例えば、高解像化等に伴って駆動速度を速くするためには演算増幅器の周波数応答特性を高くする必要があるが、演算増幅器の増幅率を保ったまま周波数応答特性を高くすると演算増幅器の消費電力が大きくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、階調データに対応する第1~第nキャパシター駆動電圧(nは2以上の整数)を第1~第nキャパシター駆動用ノードに出力するキャパシター駆動回路と、電気光学パネルの信号供給線と前記第1~第nキャパシター駆動用ノードとの間に配置される第1~第nキャパシターを有するキャパシター回路と、前記キャパシター駆動回路を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成される演算増幅器と、前記演算増幅器の出力ノードと前記信号供給線との間に配置される出力キャパシターと、前記演算増幅器の反転入力ノードと前記信号供給線との間に配置されるフィードバックキャパシター回路と、を含み、前記信号供給線に電気的に接続される駆動回路と、前記演算増幅器の前記出力ノードに電気的に接続される耐圧保護回路と、を含むドライバーに関係する。
【0006】
また、本開示の他の態様は、上記のドライバーと、前記電気光学パネルと、を含む電気光学装置に関係する。
【0007】
また、本開示の更に他の態様は、上記のドライバーを含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】階調データとデータ電圧の関係を説明する図。
【
図5】階調データと、低耐圧の駆動回路における電圧との関係を説明する図。
【
図7】電荷再分配回路と駆動回路の動作を説明する波形例。
【
図8】電気光学パネルの寄生抵抗及び寄生容量を模式的に示す図。
【
図9】ドライバーの出力電圧、及び電気光学パネルにおけるデータ線の電圧の過渡的な変化を示す図。
【
図11】耐圧保護回路の第1詳細構成例における信号波形例。
【
図13】耐圧保護回路の第2詳細構成例における信号波形例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.電気光学装置
図1に、電気光学装置の構成例を示す。電気光学装置400は、ドライバー100と電気光学パネル200とを含む。以下では、相展開駆動方式の電気光学装置400を例に説明するが、これに限定されず、例えば、電気光学装置400はデマルチプレクス駆動方式であってもよい。
【0011】
ドライバー100は、電気光学パネル200の信号供給線にデータ信号を出力することで電気光学パネル200を駆動する。ドライバー100は、制御回路40と、第1~第kデータ線駆動回路DD1~DDkとを含む。以下ではk=8の場合を例に説明するが、kは2以上の整数であればよい。ドライバー100は、例えば、複数の回路素子が半導体基板に集積された集積回路装置である。
図1において、電気光学パネル200の走査線を駆動する走査線駆動回路の図示を省略している。走査線駆動回路はドライバー100に含まれてもよいし、ドライバー100の外部に設けられてもよい。
【0012】
なお、1つの画素に1回に書き込まれる電圧をデータ電圧と呼ぶこととする。そして、複数の画素が時系列的に駆動されるときに、その各画素に対するデータ電圧は時系列的な信号として信号供給線に出力されるが、この信号供給線への信号をデータ信号と呼ぶこととする。
【0013】
制御回路40は、データ線駆動回路DD1~DD8の各データ線駆動回路に対して、対応する階調データを出力する。また制御回路40は、データ線スイッチを制御する制御信号ENBXを、電気光学パネル200に出力する。
【0014】
データ線駆動回路DD1~DD8は、階調データをデータ電圧に変換し、そのデータ電圧を出力電圧VQ1~VQ8として電気光学パネル200の信号供給線SPL1~SPL8へ出力する。時系列の階調データに応じて出力電圧VQ1~VQ8が変化していくが、その変化する出力電圧VQ1~VQ8による信号が、上述したデータ信号に相当する。
【0015】
電気光学パネル200は、第1~第8信号供給線SPL1~SPL8と、第1~第1280データ線スイッチSWEP1~SWEP1280と、第1~第1280データ線DL1~DL1280と、を含む。データ線はk×t本であってよい。tは2以上の整数である。ここではWXGAを例にとり、t=160としている。
【0016】
データ線スイッチSWEP1~SWEP1280のうちデータ線スイッチSWEP((j-1)×k+1)~SWEP(j×k)の一端は、信号供給線SPL1~SPL8に接続される。jは160以下の整数である。例えば、j=1の場合にはデータ線スイッチSWEP1~SWEP8の一端が信号供給線SPL1~SPL8に接続される。
【0017】
データ線スイッチSWEP1~SWEP1280の各々は、例えば、TFT等で構成され、制御信号ENBXに基づいて制御される。TFTはThin Film Transistorの略である。例えば、電気光学パネル200は不図示のスイッチ制御回路を含み、そのスイッチ制御回路が制御信号ENBXに基づいてデータ線スイッチSWEP1~SWEP1280をオン又はオフに制御する。
【0018】
データ線駆動回路DD1~DD8が水平走査期間において160回の駆動を行い、そのj番目の駆動においてデータ線スイッチSWEP((j-1)×k+1)~SWEP(j×k)がオンであり、それ以外のデータ線スイッチがオフである。これにより、j番目の駆動においてデータ線DL((j-1)×k+1)~DL(j×k)が駆動される。データ線駆動回路DD1に着目すると、水平走査期間においてデータ線スイッチSWEP1、SWEP2、・・・、SWEP1273が順次にオンになり、データ線駆動回路DD1がデータ線DL1、DL2、・・・、DL1273を順次に駆動する。
【0019】
図2は、ドライバーの詳細構成例である。ドライバー100は、データ線駆動回路110と、制御回路40とを含む。データ線駆動回路110は、
図1のデータ線駆動回路DD1~DD8のうち任意の1つに対応する。
【0020】
データ線駆動回路110は、電荷再分配回路60と、駆動回路70と、可変容量回路30と、検出回路50とを含む。制御回路40は、処理回路42と、インターフェース回路44と、レジスター回路48とを含む。
【0021】
インターフェース回路44は、ドライバー100を制御する表示コントローラー300とドライバー100との間のインターフェース処理を行う。インターフェース回路44は、表示コントローラー300から受信した階調データGD[9:0]を処理回路42に出力する。なお、受信される階調データのビット数は任意であってよい。インターフェース回路44は、例えば、LVDS方式、パラレルRGB方式又はディスプレイポート方式等の画像インターフェース回路である。LVDSは、Low Voltage Differential Signalingの略である。
【0022】
処理回路42は、ドライバー100に電源が投入されたときの初期化処理等において、可変容量回路30の容量値の設定データCSW[4:0]を決定し、その設定データCSW[4:0]をレジスター回路48に記憶させる。処理回路42は、電気光学パネル200を駆動する通常動作時において、レジスター回路48から読み出した設定データCSW[4:0]により可変容量回路30の容量値を設定する。また処理回路42は、階調データGD[9:0]に基づいて、階調データDTH[10:0]を電荷再分配回路60に出力すると共に、階調データDTL[10:0]を駆動回路70に出力する。
【0023】
出力ノードNVQはデータ電圧出力端子TVQに接続されるノードであり、この出力ノードNVQの電圧を出力電圧VQとする。データ電圧出力端子TVQの負荷容量を電気光学パネル側容量CPとする。なお、本実施形態における「接続」は電気的な接続である。電気的な接続とは、電気信号が伝達可能に接続されていることであり、電気信号による情報の伝達が可能となる接続である。電気的な接続は能動素子等を介した接続であってもよい。
【0024】
電荷再分配回路60は、キャパシターを用いた電荷再分配により、階調データDTH[10:0]に対応する電荷を出力ノードNVQに供給する。その電荷が可変容量回路30と電気光学パネル側容量CPに分配されることで、出力電圧VQが、階調データDTH[10:0]に対応したデータ電圧となる。電荷再分配回路60は、電気光学パネル200を駆動できる高耐圧プロセスの回路素子で構成されている。一例として、電気光学パネル200が高温ポリシリコン型の液晶パネルである場合、電荷再分配回路60の電源電圧は15V~20V程度であり、電荷再分配回路60は、その電源電圧より高い耐圧の回路素子で構成される。
【0025】
電荷再分配回路60が出力した電荷に誤差がある、或いは出力ノードNVQの電荷保存がわずかに成り立たない場合、電荷再分配回路60が出力した電荷による出力電圧VQと、階調データDTH[10:0]に対応した目標電圧との間に誤差が生じる。駆動回路70は、演算増幅器を用いたフィードバック制御により出力電圧VQを目標電圧に補正する。このとき、出力電圧VQと目標電圧の誤差が小さいため、駆動回路70が出力する電荷が少なくて済む。これを利用して、演算増幅器と出力ノードNVQとの間をキャパシターでDCカットしつつ、演算増幅器を低耐圧プロセスの回路素子で構成する。一例として、低耐圧プロセスの耐圧は、高耐圧プロセスの耐圧の1/3~1/10程度である。駆動回路70は、低耐圧プロセスの耐圧より低い電源電圧で動作する。
【0026】
可変容量回路30の容量値決定手法と、可変容量回路30及び検出回路50の構成例について説明する。
【0027】
検出回路50は、所与の検出電圧と出力電圧VQとを比較し、その結果を検出信号DETとして出力する。検出回路50は、例えばコンパレーターである。
【0028】
処理回路42は、所与のデータ電圧に対応した階調データDTH[10:0]をキャパシター駆動回路20に出力する。このとき、上記所与の検出電圧は、出力電圧VQの期待値である所与のデータ電圧と同じ電圧に設定される。処理回路42は、設定データCSW[4:0]の値を順次に変化させることで、可変容量回路30の容量値を順次に変化させる。処理回路42は、各容量値における検出信号DETに基づいて可変容量回路30の容量値を決定する。即ち、処理回路42は、出力電圧VQが所与の検出電圧となる容量値を、検出信号DETに基づいて判断し、その容量値の設定データCSW[4:0]をレジスター回路48に記憶させる。
【0029】
可変容量回路30は、第1~第5調整用キャパシターと第1~第5調整用スイッチとを含む。第1調整用スイッチの一端は出力ノードNVQに接続され、他端は第1調整用キャパシターの一端に接続される。第1調整用キャパシターの他端はグランドノードに接続される。第2~第5調整用キャパシターと第2~第5調整用スイッチについても同様である。第1~第5調整用キャパシターの容量値はバイナリに重み付けされている。第1調整用スイッチはCSW[0]によりオン又はオフに制御される。同様に、第2~第5調整用スイッチはCSW[1]~CSW[4]によりオン又はオフに制御される。
【0030】
以下、電荷再分配回路60、駆動回路70、可変容量回路30及び検出回路50の詳細を説明する。
図3は、階調データとデータ電圧の関係を説明する図である。
【0031】
処理回路42は、入力された階調データGD[9:0]を階調データDTH[10:0]に変換する。具体的には、処理回路42は、負極性駆動のとき、階調値0~1023のGD[9:0]を階調値1023~0のDTH[10:0]に変換し、正極性駆動のとき、階調値0~1023のGD[9:0]を階調値1024~2047のDTH[10:0]に変換する。なお図中のXGD[9:0]は、GD[9:0]の各ビットを論理反転したデータである。
【0032】
VSH=0Vは、電荷再分配回路60の低電位側電源電圧である。VDH=15Vは、電荷再分配回路60の高電位側電源電圧である。電気光学パネル200の対向電極に供給されるコモン電圧はVC=7.5Vである。画素に供給されるデータ電圧は、負極性駆動において7.5V~2.5Vであり、正極性駆動において7.5V~12.5Vである。
【0033】
図4は、電荷再分配回路の詳細構成例を示す。なお以下では、キャパシターの容量値を表す符号として、そのキャパシターの符号と同じ符号を用いる。例えばキャパシターC1の容量値をC1と記載する。
【0034】
キャパシター回路10は、第1~第nキャパシターC1~Cnを含む。キャパシター駆動回路20は、第1~第n駆動回路DR1~DRnを含む。以下ではn=11の例を説明するが、nは2以上の整数であればよい。nは、階調データDTH[10:0]のビット数と同数に設定されればよい。
【0035】
キャパシターCiの一端は、出力ノードNVQに接続され、他端は、キャパシター駆動ノードNDRiに接続される。iは1以上でn=11以下の整数である。キャパシターC1~C10は、バイナリに重み付けされた容量値を有している。具体的にはキャパシターCiの容量値は2(i-1)×C1である。
【0036】
処理回路42は、階調データDTH[10:0]の第iビットDTH[i-1]を駆動回路DRiの入力ノードに出力する。駆動回路DRiは、ビットDTH[i-1]が第1論理レベルのとき第1電圧レベルのキャパシター駆動電圧をキャパシター駆動ノードNDRiに出力し、ビットDTH[i-1]が第2論理レベルのとき第2電圧レベルのキャパシター駆動電圧をキャパシター駆動ノードNDRiに出力する。例えば、第1論理レベルは“0”であり、第2論理レベルは“1”であり、第1電圧レベルは低電位側電源電圧VSHであり、第2電圧レベルは高電位側電源電圧VDHである。駆動回路DRiは、高耐圧プロセスのトランジスターで構成され、電源電圧VDHとVSHで動作する。駆動回路DRiは、例えば、入力された論理レベルを駆動回路DRiの出力電圧レベルにレベルシフトするレベルシフターと、そのレベルシフターの出力をバッファリングするバッファー回路と、で構成される。
【0037】
駆動回路DR1~DR11がキャパシターC1~C11を駆動することで、キャパシターC1~C11と可変容量回路30と電気光学パネル側容量CPとの間で電荷再分配が生じる。そして、その結果として出力ノードNVQにデータ電圧が出力される。
【0038】
電気光学パネル側容量CPは、データ電圧出力端子TVQから見える容量の合計である。例えば、電気光学パネル側容量CPは、プリント基板の寄生容量である基板容量CP1と、電気光学パネル200内の寄生容量であるパネル容量CP2と、を加算したものである。プリント基板は、ドライバー100が実装されると共に電気光学パネル200に接続される基板である。
【0039】
キャパシターC1~C11の容量値の合計がCtot=C1+C2+・・・+C11であり、可変容量回路30の容量値がCFであるとする。一例としては、Ctot/(CF+CP)=2となるようにCFが設定される。このとき、DTH[10:0]の最大階調値2047において、VQ=15V×{Ctot/(Ctot+CF+CP)}+2.5V=10V+2.5V=12.5Vとなる。DTH[10:0]の最小階調値0において、VQ=0V×{Ctot/(Ctot+CF+CP)}+2.5V=0V+2.5V=2.5Vとなる。これにより、
図3の例と同じデータ電圧が実現されている。
【0040】
図5は、階調データと、低耐圧の駆動回路における電圧との関係を説明する図である。
【0041】
処理回路42は、入力された階調データGD[9:0]を階調データDTL[10:0]に変換する。DTL[10:0]=DTH[10:0]である。即ち、処理回路42は、負極性駆動のとき、階調値0~1023のGD[9:0]を階調値1023~0のDTL[10:0]に変換し、正極性駆動のとき、階調値0~1023のGD[9:0]を階調値1024~2047のDTL[10:0]に変換する。
【0042】
VSL=0Vは、駆動回路70の低電位側電源電圧である。VDL=1.8Vは、駆動回路70の高電位側電源電圧である。
図3のコモン電圧VC=7.5Vに対応する電圧は、VCL=0.9Vである。負極性駆動において画素に供給されるデータ電圧7.5V~2.5Vに対応する電圧は、0.9V~0.4Vであり、正極性駆動において画素に供給されるデータ電圧7.5V~12.5Vに対応する電圧は、0.9V~1.4Vである。
【0043】
図6は、駆動回路の詳細構成例である。駆動回路70は、演算増幅器71とD/A変換回路72と出力キャパシターCQとフィードバックキャパシター回路74と初期化スイッチSWRとを含む。また、データ線駆動回路110は、耐圧保護回路80を更に含む。
【0044】
D/A変換回路72は、階調データDTL[10:0]をD/A変換電圧DAQにD/A変換し、そのD/A変換電圧DAQを演算増幅器71の非反転入力ノードNAPに出力する。階調データDTL[10:0]とD/A変換電圧DAQの対応は
図5で説明した通りである。D/A変換回路72は、例えば、電源電圧VDLとVSLの間を複数の電圧に分圧するラダー抵抗と、その複数の電圧から階調データDTL[10:0]に対応した電圧を選択するスイッチ回路と、を含む。
【0045】
演算増幅器71は、低耐圧プロセスのトランジスターで構成されており、電源電圧VDLとVSLで動作する。具体的には、電荷再分配回路60を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さは、演算増幅器71を含む駆動回路70を構成するトランジスターのソースードレイン間距離の長さよりも長い。または、電荷再分配回路60を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚は、演算増幅器71を含む駆動回路70を構成するトランジスターのゲート絶縁膜の膜厚よりも厚い。但し、上記はトランジスターの耐圧を異ならせる構成の一例であって、駆動回路70を構成するトランジスターの耐圧が、電荷再分配回路60を構成するトランジスターの耐圧よりも低くなるように、各駆動回路のトランジスターが構成されていればよい。
【0046】
出力キャパシターCQの一端は演算増幅器71の出力ノードNAMQに接続され、他端はデータ線駆動回路110の出力ノードNVQに接続される。フィードバックキャパシター回路74の一端はデータ線駆動回路110の出力ノードNVQに接続され、他端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続される。フィードバックキャパシター回路74は、出力ノードNVQの電圧VQを反転入力ノードNANにフィードバックする回路であり、第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbとを含む。
【0047】
第1フィードバックキャパシターCfaの一端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端はデータ線駆動回路110の出力ノードNVQに接続される。第2フィードバックキャパシターCfbの一端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端は低電位側電源電圧VSLのノードに接続される。第2フィードバックキャパシターCfbの容量は、第1フィードバックキャパシターCfaの容量より大きい。なお、第2フィードバックキャパシターCfbの他端は、一定電位が供給される所定電位ノードに接続されていればよい。
【0048】
初期化スイッチSWRの一端は演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続され、他端は、基準電圧VREFが供給されるノードNVREFに接続される。基準電圧VREFは、VSLより高くVDLより低い電圧である。ここではVREF=VCL=0.9Vとする。基準電圧VREFは、例えば、ドライバー100に含まれる不図示の電圧生成回路からノードNVREFに供給される。初期化スイッチSWRは、例えば、N型トランジスター、P型トランジスター又はそれらを組み合わせたトランスファーゲートである。
【0049】
図3と
図5の例において、出力電圧VQの範囲は10Vであり、D/A変換電圧DAQの電圧範囲は1Vである。このとき、フィードバックキャパシター回路74により電圧範囲が1/10に分圧されればよいので、Cfb/Cfa=9である。なお、CfbとCfaの比は9に限定されず、電圧範囲の比に応じて適宜に設定されればよい。
【0050】
出力キャパシターCQの容量値は、演算増幅器71の出力電圧AMQがVSL~VDLの範囲内となるように設定されていれば、任意であってよい。例えば、出力キャパシターCQの容量値は、キャパシター回路10と可変容量回路30と電気光学パネル側容量CPの合計の1~10倍程度に設定される。一例として、出力キャパシターCQの容量値が上記合計の4倍である場合に、出力電圧VQの誤差0.1Vを補償するためには、演算増幅器71の出力電圧AMQは0.1V×(5/4)=0.125Vだけ変化すればよい。
【0051】
図7は、電荷再分配回路と駆動回路の動作を説明する波形例である。階調データDTH[10:0]、DTL[10:0]の階調値が1024、1535、1024と変化したとする。階調値1535に対応する目標電圧は10.0Vである。
【0052】
仮に駆動回路70が無く電荷再分配回路60のみで駆動した場合において、階調値が1024から1535になったとき、出力電圧VQが7.5Vから9.9Vになるとする。目標電圧10.0Vとの差は0.1Vである。以下、この場合における駆動回路70の動作を説明する。
【0053】
D/A変換回路72は、階調値が1024から1535になったとき、D/A変換電圧DAQを0.9Vから1.15Vにする。出力電圧VQは、電荷再分配回路60により7.5Vから9.9Vになるため、演算増幅器71の反転入力ノードNANの電圧VFBは、0.9Vから0.9V+(9.9V-7.5V)/10=1.14Vとなる。演算増幅器71は、VFB=DAQ=1.15Vにするために出力電圧AMQを0.9Vから0.9V+(10.0V-9.9V)×(5/4)=1.025Vにする。これにより、出力電圧VQが目標電圧の10.0Vになり、電圧VFBが1.15Vになる。
【0054】
図6の耐圧保護回路80について説明する。
図8は、電気光学パネルの寄生抵抗及び寄生容量を模式的に示す図である。CVLは信号供給線の寄生容量であり、RSWはデータ線スイッチのオン抵抗である。PXは画素を示し、RGはゲートスイッチのオン抵抗であり、CLCは液晶セルの寄生容量である。CDLはデータ線の寄生容量である。CLCのカップリング先はコモン電圧VCのノードである。CVL及びCDLのカップリング先は、周囲に配置される要素に応じて様々であってよい。データ線の電圧をDVLとする。
【0055】
図9は、ドライバーの出力電圧、及び電気光学パネルにおけるデータ線の電圧の過渡的な変化を示す図である。時間t0において電荷再分配回路60が駆動を開始し、時間t2において駆動期間が終了する。時間t0から時間t1までの期間において、出力電圧VQが前回の電圧から今回の目標電圧VTGまで変動した後、時間t1から時間t2までの期間において、出力電圧VQが目標電圧VTGに安定していく。
【0056】
このとき、電荷再分配回路60はキャパシターを用いた電荷再分配によって出力ノードNVQに急速に電荷を供給することで、出力電圧VQを急速に立ち上げ可能である。一方、出力ノードNVQからデータ線への電荷移動は、上述した寄生抵抗及び寄生容量による時定数の影響を受けるので、電荷再分配回路60から出力ノードNVQへの電荷供給に比べると緩やかである。このため、データ線の電圧DVLは、ドライバー100の出力電圧VQに比べると緩やかに上昇する。この電荷移動の差によって、出力電圧VQは一時的に目標電圧VTGをオーバーシュートし、その後に目標電圧VTGに収束していく。オーバーシュートしたときの電圧をVOSとする。
【0057】
図7では上記のオーバーシュートを考慮していないが、オーバーシュートを考慮した場合には、出力キャパシターCQのカップリングにより演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧が一時的に電源電圧VDLを超える可能性がある。例えば
図7の例では演算増幅器71の出力電圧AMQが0.9V又は1.025Vであるが、電圧VQのオーバーシュートによって、過渡的に0.9V又は1.025Vより高い電圧となる。演算増幅器71の出力電圧AMQが電源電圧VDL=1.8Vに近いほど、過渡的に電源電圧VDL=1.8Vを超える可能性が高くなる。そして、その電圧が演算増幅器71の出力トランジスター等の耐圧を超えると、演算増幅器71の出力トランジスター等が破壊されてしまう。また、低耐圧側の電圧範囲に対して、高耐圧側の出力電圧VQの電圧範囲は10倍程度あることから、大きな電圧変動が出力キャパシターCQを介して演算増幅器71の出力ノードNAMQに入力されやすい。演算増幅器71は低耐圧プロセスで形成されることから、耐圧破壊に至る可能性が高くなる。
【0058】
また、出力電圧VQが下がる場合には、出力電圧VQが目標電圧よりもアンダーシュートすることで演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧が低電位側電源電圧VSLよりも下がり、同様に演算増幅器71の耐圧を超える可能性がある。
【0059】
図6のように演算増幅器71の出力ノードNAMQに耐圧保護回路80を設けたことで、過渡的に出力電圧VQのオーバーシュート又はアンダーシュートが生じた場合であっても、演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧を演算増幅器71の耐圧を超えないように制限できる。
【0060】
本実施形態において、ドライバー100は、キャパシター駆動回路20とキャパシター回路10と駆動回路70とを含む。キャパシター駆動回路20は、階調データDTH[10:0]に対応する第1~第nキャパシター駆動電圧を第1~第nキャパシター駆動用ノードNDR1~NDRnに出力する。nは2以上の整数である。キャパシター回路10は、電気光学パネル200の信号供給線と、第1~第nキャパシター駆動用ノードNDR1~NDRnとの間に配置される第1~第nキャパシターC1~Cnを有する。駆動回路70は、演算増幅器71と出力キャパシターCQとフィードバックキャパシター回路74とを含み、信号供給線に電気的に接続される。演算増幅器71は、キャパシター駆動回路20を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成される。出力キャパシターCQは、演算増幅器71の出力ノードNAMQと信号供給線との間に配置される。フィードバックキャパシター回路74は、演算増幅器71の反転入力ノードNANと信号供給線との間に配置される。
【0061】
本実施形態によれば、演算増幅器71の出力ノードNAMQと信号供給線が出力キャパシターCQによりカップリングされ、演算増幅器71の反転入力ノードNANと信号供給線がフィードバックキャパシター回路74によりカップリングされる。これにより、演算増幅器71と信号供給線がDC的に非接続になるので、演算増幅器71を、キャパシター駆動回路20を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成できる。
【0062】
また、演算増幅器71を、キャパシター駆動回路20を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成することで、演算増幅器71を高い移動度のトランジスターで構成できる。これにより、演算増幅器の増幅率と周波数応答特性を両立できる。例えば、高解像化等に伴って駆動速度を速くするためには演算増幅器の周波数応答特性を高くする必要があるが、演算増幅器の増幅率を保ったまま周波数応答特性を高くでき、演算増幅器の消費電力を抑えることが可能になる。
【0063】
また本実施形態では、ドライバー100は、演算増幅器71の出力ノードNAMQに電気的に接続される耐圧保護回路80を、含む。
【0064】
本実施形態によれば、信号供給線から出力キャパシターCQを介して演算増幅器71の出力ノードNAMQに過渡的に加わる電圧によって、演算増幅器71を構成する回路素子に耐圧を超える電圧が加わらないように、演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧を制限できる。例えば、耐圧保護回路80は、出力ノードNAMQの電圧が高電位側電源電圧VDLを超えないように、又は低電位側電源電圧VSLを下回らないように、制限する。或いは、耐圧保護回路80は、出力ノードNAMQの電圧がVDL+Δを超えないように、又はVSL-Δを下回らないように、制限する。Δは、耐圧を考慮して適宜に設定されればよい。
【0065】
また本実施形態では、フィードバックキャパシター回路74は、第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbとを含む。第1フィードバックキャパシターCfaは、演算増幅器71の反転入力ノードNANと信号供給線との間に設けられる。第2フィードバックキャパシターCfbの一端が、演算増幅器71の反転入力ノードNANに接続される。
【0066】
本実施形態によれば、第1フィードバックキャパシターCfaと第2フィードバックキャパシターCfbにより信号供給線の電圧が分圧されて演算増幅器71の反転入力ノードNANにフィードバックされる。これにより、信号供給線の電圧よりも低い電圧が演算増幅器71の反転入力ノードNANに印加されるので、演算増幅器71を、キャパシター駆動回路20を構成するトランジスターの耐圧より低い耐圧のトランジスターにより構成できる。
【0067】
2.耐圧保護回路の詳細構成例
図10は、耐圧保護回路の第1詳細構成例である。耐圧保護回路80は、第1ダイオードDI1と第2ダイオードDI2とを含む。
【0068】
第1ダイオードDI1のアノードは、演算増幅器71の出力ノードNAMQに接続され、カソードは、高電位側電源電圧VDLのノードに接続される。高電位側電源電圧VDLのノードを第1電源ノードとも呼ぶ。第1電源ノードは、不図示の電圧生成回路等から演算増幅器71等に対して高電位側電源電圧VDLを供給するためのノードである。第2ダイオードDI2のアノードは、低電位側電源電圧VSLのノードに接続され、カソードは、演算増幅器71の出力ノードNAMQに接続される。低電位側電源電圧VSLを第2電源ノードとも呼ぶ。第2電源ノードは、不図示の電圧生成回路等から演算増幅器71等に対して低電位側電源電圧VSLを供給するためのノードである。
【0069】
図11は、耐圧保護回路の第1詳細構成例における信号波形例である。水平走査期間が開始された後の初期化期間において、フィードバックキャパシター回路74及びキャパシター回路10のキャパシターの電荷が初期化される。初期化期間において、制御回路40は、DTH[10:0]=DTL[10:0]=1024を出力し、且つ初期化スイッチSWRをオンにする。電圧安定後においては、D/A変換電圧DAQは0.9Vであり、出力電圧VQは7.5Vである。
【0070】
次に、プリチャージ期間においてデータ線駆動回路110が信号供給線及びデータ線をプリチャージする。ここではプリチャージ電圧が、最低階調値に対応した2.5Vであるとする。プリチャージ期間において、制御回路40は、DTH[10:0]=DTL[10:0]=0を出力する。電圧安定後においては、D/A変換電圧DAQは0.4Vであり、出力電圧VQは2.5Vである。
【0071】
次に、最初の画素の駆動期間において、データ線駆動回路110が画素を駆動する。ここでは、出力電圧VQが、正極性駆動の最大階調値2047に対応した12.5Vであるとする。駆動期間において、制御回路40は、DTH[10:0]=DTL[10:0]=2047を出力する。電圧安定後においては、D/A変換電圧DAQは1.4Vであり、出力電圧VQは12.5Vである。しかし、A1に示すように、過渡的には出力電圧VQが目標電圧12.5Vよりもオーバーシュートするため、演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧AMQが、演算増幅器71の高電位側電源電圧VDL=1.8Vを超える可能性がある。
【0072】
A2に示すように、本実施形態では第1ダイオードDI1が電圧AMQを1.8V+Δ以下に制限することで、演算増幅器71を保護できる。ここでのΔは、第1ダイオードDI1の順方向電圧である。
【0073】
図11には、次の画素の駆動期間において、出力電圧VQが、最小階調値0に対応した2.5Vである例を示している。例えば、ドット反転駆動においては、このような階調変化が生じうる。駆動期間において、制御回路40は、DTH[10:0]=DTL[10:0]=0を出力する。電圧安定後においては、D/A変換電圧DAQは0.4Vであり、出力電圧VQは2.5Vである。しかし、過渡的には出力電圧VQが目標電圧2.5Vよりもアンダーシュートする。このため、演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧AMQが、演算増幅器71の低電位側電源電圧VSL=0Vを下回る可能性がある。
【0074】
本実施形態では第2ダイオードDI2が電圧AMQを0V-Δ以下に制限することで、演算増幅器71を保護できる。ここでのΔは、第2ダイオードDI2の順方向電圧である。なお、フレーム反転駆動又はライン反転駆動においては、正極性駆動の階調範囲が1024~2047であるため、階調値2047から0への変化は生じない。但し、負極性駆動においてVQ=0.9VからVQ=2.5Vに変化する場合などに、同様なアンダーシュートが生じる可能性がある。
【0075】
なお、
図7で説明したように電荷再分配回路60による駆動において電荷の誤差がなければアンプの出力AMQは変化しない。ここでは、電荷再分配回路60による駆動において電荷の誤差があり、アンプの出力AMQが変化すると仮定している。変化の大きさは電荷誤差に依存するので、一度の階調変化でアンプの出力AMQが電源電圧に近づくとは限らない。しかし、例えば正の電荷誤差が数回続くことで、累積的にアンプの出力AMQが上昇していき、
図11の波形と同様な状況となる。また、負の電荷誤差が数回続く場合には、累積的にアンプの出力AMQが低下していく。
【0076】
本実施形態において、耐圧保護回路80は、第1ダイオードDI1と第2ダイオードDI2とを含む。第1ダイオードDI1は、演算増幅器71の出力ノードNAMQと演算増幅器71の高電位側の第1電源ノードとの間に配置され、出力ノードNAMQから第1電源ノードへの方向を順方向とする。第2ダイオードDI2は、演算増幅器71の低電位側の第2電源ノードと演算増幅器71の出力ノードNAMQとの間に配置され、第2電源ノードから出力ノードNAMQへの方向を順方向とする。
【0077】
本実施形態によれば、演算増幅器71の出力ノードNAMQから演算増幅器71の高電位側の第1電源ノードへの方向を順方向とする第1ダイオードDI1が設けられたことで、出力ノードNAMQの電圧がVDL+Δ以下に制限される。また、演算増幅器71の低電位側の第2電源ノードから演算増幅器71の出力ノードNAMQへの方向を順方向とする第2ダイオードDI2が設けられたことで、出力ノードNAMQの電圧がVSL-Δ以上に制限される。これにより、演算増幅器71が耐圧保護される。
【0078】
図12は、耐圧保護回路の第2詳細構成例である。耐圧保護回路80は、第1スイッチSWVDと第2スイッチSWVSと第3スイッチSWVRとを含む。各スイッチは、例えば、N型トランジスター、P型トランジスター又はそれらを組み合わせたトランスファーゲートである。
【0079】
第1スイッチSWVDの一端は、高電位側電源電圧VDLのノードである第1電源ノードに接続され、他端は、演算増幅器71の出力ノードNAMQに接続される。第2スイッチSWVSの一端は、低電位側電源電圧VSLのノードである第2電源ノードに接続され、他端は、演算増幅器71の出力ノードNAMQに接続される。第3スイッチSWVRの一端は、基準電圧VREFのノードに接続され、他端は、演算増幅器71の出力ノードNAMQに接続される。基準電圧VREFのノードを第3電源ノードとも呼ぶ。第3電源ノードには、不図示の電圧生成回路等から基準電圧VREFが供給される。
【0080】
制御回路40は、第1スイッチSWVDをオン又はオフに制御する制御信号CSDを、第1スイッチSWVDへ出力する。制御回路40は、第2スイッチSWVSをオン又はオフに制御する制御信号CSSを、第2スイッチSWVSへ出力する。制御回路40は、第3スイッチSWVRをオン又はオフに制御する制御信号CSRを、第3スイッチSWVRへ出力する。
【0081】
図13は、耐圧保護回路の第2詳細構成例における信号波形例である。初期化、プリチャージ及び画素駆動における、階調データDTH[10:0]、D/A変換電圧DAQ及び出力電圧VQの波形は、
図11と同様である。
【0082】
制御回路40は、階調データDTH[10:0]を変化させるタイミングから所与の期間において、スイッチSWVD、SWVR、SWVSをオンさせる。所与の期間の長さは、階調データが変化してから次に変化するまでの期間の長さより、短い。変化前の階調データをDTH1とし、変化後の階調データをDTH2とし、変化の閾値をSHとし、SH>0であるとする。制御回路40は、SH<DTH2-DTH1であるとき第1スイッチSWVDをオンさせ、DTH2-DTH1<-SHであるとき第2スイッチSWVSをオンさせ、(DTH2-DTH1の絶対値)≦SHであるとき第3スイッチSWVRをオンさせる。閾値SHは、一例としては階調範囲の1/2より大きい。階調範囲が0~2047であるとき、閾値SHは1024より大きく、例えばSH=1024×0.6である。SH=1024×0.6は、出力電圧VQの電圧範囲10Vに対して、6Vの電圧変化を閾値とすることと同じである。
【0083】
図13において、制御信号CSD、CSR、CSSがハイレベルのとき、対応するスイッチSWVD、SWVR、SWVSがオンであるとする。初期化開始において、階調データDTH[10:0]が0から1024に変化するとき、及びプリチャージ開始において階調データDTH[10:0]が1024から0に変化するとき、制御回路40は、階調データが変化するタイミングから所与の期間において第3スイッチSWVRをオンさせる。この期間において演算増幅器71の出力ノードNAMQが基準電圧VREFとなる。ここではVREF=VCL=0.9Vの例を示す。
【0084】
画素駆動の開始において、階調データDTH[10:0]が0から2047に変化するとき、制御回路40は、階調データが変化するタイミングから所与の期間において第1スイッチSWVDをオンさせる。
図13のB1に示すように、耐圧保護回路80を設けない場合には演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧AMQが高電位側電源電圧VDL=1.8Vを超える可能性がある。B2に示すように、本実施形態によれば、所与の期間において演算増幅器71の出力ノードNAMQが高電位側電源電圧VDL=1.8Vに制限される。
【0085】
次の画素駆動の開始において、階調データDTH[10:0]が2047から0に変化するとき、制御回路40は、階調データが変化するタイミングから所与の期間において第2スイッチSWVSをオンさせる。耐圧保護回路80を設けない場合には演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧AMQが低電位側電源電圧VSL=0Vを下回る可能性がある。本実施形態によれば、所与の期間において演算増幅器71の出力ノードNAMQが低電位側電源電圧VSL=0Vに制限される。
【0086】
なお、スイッチをオンさせる所与の期間の長さは、階調変化の大きさに関わらず一定であってもよいし、階調変化の大きさに応じて変化させてもよい。例えば、(DTH2-DTH1の絶対値)≦SHであるとき、所与の期間は第1期間であり、(DTH2-DTH1の絶対値)>SHであるとき、所与の期間は、第1期間より長い第2期間であってもよい。
図13には、階調変化の大きさに応じて所与の期間の長さが変化する例を示した。
【0087】
図12と
図13においては耐圧保護回路80が第3スイッチSWVRを含む例を示したが、耐圧保護回路80が第3スイッチSWVRを含まなくてもよい。その場合も、第1スイッチSWVD及び第2スイッチSWVSに関する制御は上記と同様である。
【0088】
図7で説明したように電荷再分配回路60による駆動において電荷の誤差がなければアンプの出力AMQは変化しない。ここでは、電荷再分配回路60による駆動において電荷の誤差があり、アンプの出力AMQが変化すると仮定している。変化の大きさは電荷誤差に依存するので、一度の階調変化でアンプの出力AMQが電源電圧に近づくとは限らない。しかし、例えば正の電荷誤差が数回続くことで、累積的にアンプの出力AMQが上昇していき、
図13の波形と同様な状況となる。また、負の電荷誤差が数回続く場合には、累積的にアンプの出力AMQが低下していく。
【0089】
本実施形態において、ドライバー100は制御回路40を含む。耐圧保護回路80は、第1スイッチSWVDと第2スイッチSWVSとを含む。第1スイッチSWVDは、演算増幅器71の出力ノードNAMQと演算増幅器71の高電位側の第1電源ノードとの間に配置される。第2スイッチSWVSは、演算増幅器71の低電位側の第2電源ノードと演算増幅器71の出力ノードNAMQとの間に配置される。制御回路40は、第1スイッチSWVD及び第2スイッチSWVSをオン又はオフに制御する。
【0090】
本実施形態によれば、演算増幅器71の出力ノードNAMQと演算増幅器71の高電位側の第1電源ノードとの間に第1スイッチSWVDを設けたことで、出力ノードNAMQを高電位側電源電圧VDLに制限可能になる。また、演算増幅器71の低電位側の第2電源ノードと演算増幅器71の出力ノードNAMQとの間に第2スイッチSWVSを設けたことで、出力ノードNAMQを低電位側電源電圧VSLに制限可能になる。
【0091】
また、本実施形態では、制御回路40は、前回の駆動期間における階調データDTH1から、今回の駆動期間における階調データDTH2への変化方向に応じて、第1スイッチSWVDをオンする、又は第2スイッチSWVSをオンする。
【0092】
前回の駆動期間における階調データDTH1から、今回の駆動期間における階調データDTH2への変化方向に応じて、出力電圧VQがオーバーシュートするかアンダーシュートするか決まる。本実施形態によれば、上記変化方向に応じて第1スイッチSWVDをオンすることで、出力電圧VQがオーバーシュートしたときの演算増幅器71の耐圧保護を行う。即ち、演算増幅器71の出力ノードNAMQがVDL=1.8Vを超えないように制限される。また、上記変化方向に応じて第2スイッチSWVSをオンすることで、出力電圧VQがアンダーシュートしたときの演算増幅器71の耐圧保護を行うことができる。即ち、演算増幅器71の出力ノードNAMQがVSL=0Vを下回らないように制限される。
【0093】
また本実施形態では、制御回路40は、キャパシター駆動回路20の駆動開始タイミングから所与の期間の間、第1スイッチSWVD及び第2スイッチSWVSの一方のスイッチをオンにし、所与の期間の経過後、一方のスイッチをオフにする。
【0094】
キャパシター駆動回路20の駆動開始タイミングにおいて出力電圧VQがオーバーシュート又はアンダーシュートする可能性があり、その後に出力電圧VQが目標電圧に収束していく。本実施形態によれば、キャパシター駆動回路20の駆動開始タイミングから所与の期間の間、第1スイッチSWVD及び第2スイッチSWVSの一方のスイッチがオンされることで、出力電圧VQがオーバーシュート又はアンダーシュートする可能性がある期間において演算増幅器71の耐圧保護を実施できる。
【0095】
また本実施形態では、耐圧保護回路80は、第3スイッチSWVRを含む。第3スイッチSWVRは、演算増幅器71の出力ノードNAMQと、第1電源ノードの電位と第2電源ノードの電位との間の電位の第3電源ノードとの間に配置される。制御回路40は、第1スイッチSWVD、第2スイッチSWVS及び第3スイッチSWVRをオン又はオフに制御する。
【0096】
本実施形態によれば、演算増幅器71の出力ノードNAMQと第3電源ノードとの間に第3スイッチSWVRを設けたことで、出力ノードNAMQを第3電源ノードの電位に設定可能になる。例えば、制御回路40は、前回の駆動期間における階調データDTH1から、今回の駆動期間における階調データDTH2への変化の大きさが閾値以下であるとき、所与の期間において第3スイッチSWVRをオンにしてもよい。
【0097】
図14は、耐圧保護回路の第3詳細構成例である。耐圧保護回路80は、第2キャパシター回路81と第2キャパシター駆動回路82とを含む。また、耐圧保護回路80は、レベルシフターLSW1、LSW2を含んでもよい。
【0098】
第2キャパシター回路81は、第1~第m保護用キャパシターCW1~CWmを含む。第2キャパシター駆動回路82は、第1~第m保護用駆動回路DRW1~DRW2を含む。
図14にはm=2の例を示すが、mは1以上でnより小さい整数であればよい。
【0099】
保護用キャパシターCWsの一端は、演算増幅器71の出力ノードNAMQに接続され、他端は、保護用キャパシター駆動ノードNDRWsに接続される。sは1以上でm=2以下の整数である。保護用キャパシターCW1~CW2は、バイナリに重み付けされた容量値を有している。具体的には保護用キャパシターCWsの容量値は2(s-1)×CW1である。
【0100】
制御回路40は、制御データDW[1:0]の第sビットDW[s-1]の信号をレベルシフターLSWsへ出力する。レベルシフターLSWsは、第sビットDW[s-1]の信号を保護用駆動回路DRWsの電源レベルにレベルシフトする。保護用駆動回路DRWsは、高耐圧プロセスのトランジスターで構成され、電荷再分配回路60と同じ電源電圧VDHとVSHで動作する。レベルシフターLSWsは、ビットDW[s-1]が第1論理レベルのとき、高電位側電源電圧VDHの保護用キャパシター駆動電圧を保護用キャパシター駆動ノードNDRWsへ出力し、ビットDW[s-1]が第2論理レベルのとき、低電位側電源電圧VSHの保護用キャパシター駆動電圧を保護用キャパシター駆動ノードNDRWsへ出力する。例えば、第1論理レベルは“0”であり、第2論理レベルは“1”である。保護用駆動回路DRWsは、例えば、レベルシフターLSWsの出力をバッファリングするバッファー回路である。
【0101】
保護用駆動回路DRW1~DRW2が保護用キャパシターCW1~CW2を駆動することで、演算増幅器71の出力ノードNAMQに電荷が注入される、又は演算増幅器71の出力ノードNAMQから電荷が排出される。
【0102】
図15に、制御データの例を示す。制御データDW[1:0]の第2ビットDW[1]は、階調データDTH[10:0]の最上位ビットである第11ビットDTH[10]の反転信号である。制御データDW[1:0]の第1ビットDW[0]は、階調データDTH[10:0]の第10ビットDTH[9]の反転信号である。
【0103】
例えば、階調データDTH[10:0]が0から2047に変化した場合、DTH[10:9]は“00”から“11”に変化する。このとき、制御回路40は、同じタイミングで制御データDW[1:0]を“11”から“00”に変化させる。これにより、演算増幅器71の出力ノードNAMQから電荷が排出される。
図11で説明したように、階調データが正方向に変化したとき演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧が高電位側電源電圧VDLを超える可能性があるが、出力ノードNAMQから電荷が排出されることで出力ノードNAMQの電圧変化を抑制できる。
【0104】
或いは、階調データDTH[10:0]が2047から0に変化した場合、DTH[10:9]は“11”から“00”に変化する。このとき、制御回路40は、同じタイミングで制御データDW[1:0]を“00”から“11”に変化させる。これにより、演算増幅器71の出力ノードNAMQに電荷が注入される。
図11で説明したように、階調データが負方向に変化したとき演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧が低電位側電源電圧VSLを下回る可能性があるが、出力ノードNAMQに電荷が注入されることで出力ノードNAMQの電圧変化を抑制できる。以上のようにして、演算増幅器71が耐圧保護される。
【0105】
なお、保護用キャパシターCW1~CW2の容量値は、耐圧保護回路80により補償したい電圧変化の大きさ、演算増幅器71の出力ノードNAMQから出力キャパシターCQを介して見える容量の大きさ、及び保護用駆動回路DRW1~DRW2の電源電圧VDH等に応じて、適宜に決定されればよい。出力ノードNAMQから出力キャパシターCQを介して見える容量は、
図14の例では、電荷再分配回路60のキャパシターC1~C11、可変容量回路30、及び電気光学パネル側容量CPである。一例として、耐圧保護回路80により補償したい電圧変化が±50mVであり、演算増幅器71の出力ノードNAMQから出力キャパシターCQを介して見える容量の大きさが30pFであるとする。このとき、耐圧保護回路80が補償する電荷は(50mV×2)×30pF=3pCである。保護用駆動回路DRW1~DRW2の電源電圧を15Vとすると、CW1+CW2=3pC/15V=0.2pF程度であればよい。
【0106】
本実施形態において、ドライバー100は、第2キャパシター駆動回路82と第2キャパシター回路81とを含む。第2キャパシター駆動回路82は、階調データに対応する第1~第m保護用キャパシター駆動電圧を第1~第m保護用キャパシター駆動用ノードNDRW1~NDRWmに出力する。第2キャパシター回路81は、演算増幅器71の出力ノードNAMQと第1~第m保護用キャパシター駆動用ノードNDRW1~NDRWmとの間に配置される第1~第m保護用キャパシターCW1~CWmを、含む。
【0107】
本実施形態によれば、第1~第m保護用キャパシター駆動電圧を第1~第m保護用キャパシター駆動用ノードNDRW1~NDRWmに出力することで、第1~第m保護用キャパシターCW1~CWmから演算増幅器71の出力ノードNAMQに電荷が注入される、又は、演算増幅器71の出力ノードNAMQから第1~第m保護用キャパシターCW1~CWmに電荷が排出される。これにより、演算増幅器71の出力ノードNAMQの電圧変化を抑制可能になり、演算増幅器71の耐圧保護が可能になる。
【0108】
また本実施形態では、ドライバー100は制御回路40を含む。制御回路40は、階調データDTH[10:0]の上位ビットに基づいて第2キャパシター駆動回路82を制御する。
【0109】
出力電圧VQが大きくオーバーシュート又はアンダーシュートするのは、階調データDTH[10:0]の変化が大きい場合である。階調データDTH[10:0]の上位ビットに基づいて第2キャパシター駆動回路82が制御されることで、階調データDTH[10:0]の変化が大きい場合に、演算増幅器71の出力ノードNAMQに電荷が注入される、又は演算増幅器71の出力ノードNAMQから電荷が排出される。
【0110】
また本実施形態では、制御回路40は、前回の駆動期間における階調データDTH[10:0]から、今回の駆動期間における階調データDTH[10:0]への変化方向に応じて、第2キャパシター駆動回路82を制御する。
【0111】
前回の駆動期間における階調データから、今回の駆動期間における階調データへの変化方向に応じて、出力電圧VQがオーバーシュートするかアンダーシュートするか決まる。本実施形態によれば、上記変化方向に応じて第2キャパシター駆動回路82を制御することで、出力電圧VQがオーバーシュートしたときの演算増幅器71の耐圧保護と、出力電圧VQがアンダーシュートしたときの演算増幅器71の耐圧保護を行うことが可能になる。
【0112】
なお、本実施形態の例では、制御データDW[1:0]は、階調データDTH[10:0]の上位ビットDTH[10:9]の反転論理である。即ち、階調データDTH[10:0]が正方向に変化したとき、制御データDW[1:0]は負方向に変化し、階調データDTH[10:0]が負方向に変化したとき、制御データDW[1:0]は正方向に変化する。
【0113】
3.電子機器
図16は、本実施形態のドライバーを含む電子機器の構成例である。本実施形態の電子機器として、表示装置を搭載する種々の電子機器を想定できる。例えば、電子器機は、プロジェクター、テレビション装置、情報処理装置、携帯型情報端末、カーナビゲーションシステム、又は携帯型ゲーム端末等である。
【0114】
電子機器500は、電気光学装置400、表示コントローラー300と、処理装置310と、記憶部320と、ユーザーインターフェース部330と、データインターフェース部340とを含む。電気光学装置400は、ドライバー100と電気光学パネル200とを含む。
【0115】
電気光学パネル200は例えばマトリックス型の液晶表示パネルである。或は、電気光学パネル200は自発光素子を用いたEL表示パネルであってもよい。ELはElectro-Luminescenceの略である。ユーザーインターフェース部330は、ユーザーからの種々の操作を受け付けるインターフェース部である。ユーザーインターフェース部330は、例えば、ボタン、マウス、キーボード、又は電気光学パネル200に装着されたタッチパネル等で構成される。データインターフェース部340は、画像データ又は制御データの入出力を行うインターフェース部である。データインターフェース部340は、例えば、USB等の有線通信インターフェース、或いは、無線LAN等の無線通信インターフェースである。記憶部320は、データインターフェース部340から入力された画像データを記憶する。或は、記憶部320は、処理装置310又は表示コントローラー300のワーキングメモリーとして機能する。処理装置310は、電子機器の各部の制御処理や種々のデータ処理を行う。処理装置310は、例えば、CPU又はマイクロコンピューター等のプロセッサーである。表示コントローラー300はドライバー100の制御処理を行う。例えば、表示コントローラー300は、データインターフェース部340又は記憶部320から転送された画像データを、ドライバー100が受け付け可能な形式に変換し、その変換された画像データをドライバー100へ出力する。ドライバー100は、表示コントローラー300から転送された画像データに基づいて電気光学パネル200を駆動する。
【0116】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。また、データ線駆動回路、制御回路、ドライバー、電気光学パネル、電気光学装置及び電子機器等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0117】
10…キャパシター回路、20…キャパシター駆動回路、30…可変容量回路、40…制御回路、42…処理回路、44…インターフェース回路、48…レジスター回路、50…検出回路、60…電荷再分配回路、70…駆動回路、71…演算増幅器、72…D/A変換回路、74…フィードバックキャパシター回路、80…耐圧保護回路、81…第2キャパシター回路、82…第2キャパシター駆動回路、100…ドライバー、110…データ線駆動回路、200…電気光学パネル、300…表示コントローラー、310…処理装置、320…記憶部、330…ユーザーインターフェース部、340…データインターフェース部、400…電気光学装置、500…電子機器、C1~C11…キャパシター、CQ…出力キャパシター、CW1,CW2…保護用キャパシター、Cfa…第1フィードバックキャパシター、Cfb…第2フィードバックキャパシター、DI1…第1ダイオード、DI2…第2ダイオード、DTH[10:0],DTL[10:0]…階調データ、NDR1~NDR11…キャパシター駆動用ノード、NDRW1,NDRW2…保護用キャパシター駆動用ノード、SPL1~SPL8…信号供給線、SWVD…第1スイッチ、SWVR…第3スイッチ、SWVS…第2スイッチ、VDL…高電位側電源電圧、VSL…低電位側電源電圧