(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135612
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】制御方法、ロボットシステム、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046392
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】清澤 勇貴
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707BS15
3C707DS01
3C707HS27
3C707KS11
3C707KS34
3C707KV01
3C707KV05
3C707KV11
3C707KW03
3C707KX06
3C707LU01
3C707LU02
3C707MS06
3C707MS10
3C707MS14
3C707MS27
3C707MS29
(57)【要約】
【課題】ロボットの作業が中断させられる頻度を低減する。
【解決手段】ロボットアームと、ロボットアームの動作を制御する制御部と、ロボットアームの速度監視機能が有効であり、ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、を備えるロボットシステムにおける制御方法は、制御部がロボットアームの移動速度を検出するステップと、制御部が安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けた場合において、移動速度が制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるときに、移動速度を制限速度未満に減速させるステップと、機能安全部が安全入力信号を受け付けてから切替時間が経過した場合に速度監視機能を有効にするステップと、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、前記ロボットアームの速度監視機能が有効であり、前記ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、前記ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、を備えるロボットシステムの制御方法であって、
前記制御部が、前記ロボットアームの前記移動速度を検出するステップと、
前記制御部が、安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるとき、前記移動速度を前記制限速度未満に減速させるステップと、
前記機能安全部が、前記安全入力信号を受け付けてから、切替時間が経過した場合に、前記速度監視機能を有効にするステップと、
を含む制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の制御方法であって、
前記減速させるステップにおいて、前記ロボットアームの前記移動速度を前記制限速度未満である第1速度まで減速させ、
前記制御方法は、
前記減速させるステップの後に実行されるステップであって、前記移動速度を、前記制限速度未満であって前記第1速度より速い第2速度に加速させるステップ、
をさらに含む制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載の制御方法であって、
前記第1速度はゼロである、
制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の制御方法であって、
前記減速させるステップの前に実行されるステップであって、前記制限速度未満の速度である第3速度についての指定を受け付けるステップ、
をさらに含み、
前記減速させるステップにおいて、前記ロボットアームの前記移動速度を前記第3速度まで減速させる、
制御方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載の制御方法であって、
前記制御部は、
前記移動速度が前記制限速度未満に制限される第1モードと、
前記移動速度が前記制限速度未満に制御されない第2モードと、
を備え、
前記制御方法は、
前記第1モードと、前記第2モードとのいずれを設定するかについての指定を受け付けるステップ、
をさらに含み、
前記あらかじめ決められた条件は、前記安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えており、かつ、前記第1モードが設定されている場合に、満たされる、
制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の制御方法であって、
前記機能安全部は、機能安全に関する規格を満たすように構成されている、
制御方法。
【請求項7】
ロボットアームと、
前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、
前記ロボットアームの速度監視機能が有効であり、前記ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、前記ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ロボットアームの前記移動速度を検出し、
安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるときに、前記移動速度を前記制限速度未満に減速させ、
前記機能安全部は、前記安全入力信号を受け付けてから、切替時間が経過した場合に、前記速度監視機能を有効にする、
ロボットシステム。
【請求項8】
ロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けてから切替時間が経過し、前記ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、前記ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、を備えるロボットシステムにおいて、前記制御部として機能するコンピューターが実行するプログラムであって、
前記コンピューターに、
前記ロボットアームの前記移動速度を検出する機能と、
前記安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるときに、前記移動速度を前記制限速度未満に減速させる機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御方法、ロボットシステム、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には機能安全に関する規格に対応したロボットに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、産業機械のモーター速度を監視し、モーター速度が閾値以上である場合にモーターを停止させる。産業機械が停止されると生産工程が停止してしまうため、工程の停止の頻度を低減できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1形態によれば、制御方法が提供される。この制御方法は、ロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、前記ロボットアームの速度監視機能が有効であり、前記ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、前記ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、を備えるロボットシステムの制御方法であって、前記制御部が、前記ロボットアームの前記移動速度を検出するステップと、前記制御部が、安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるとき、前記移動速度を前記制限速度未満に減速させるステップと、前記機能安全部が、前記安全入力信号を受け付けてから、切替時間が経過した場合に、前記速度監視機能を有効にするステップと、を含む。
【0006】
本開示の第2形態によれば、ロボットシステムが提供される。このロボットシステムは、ロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、前記ロボットアームの速度監視機能が有効であり、前記ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、前記ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、を備え、前記制御部は、前記ロボットアームの前記移動速度を検出し、安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるときに、前記移動速度を前記制限速度未満に減速させ、前記機能安全部は、前記安全入力信号を受け付けてから、切替時間が経過した場合に、前記速度監視機能を有効にする。
【0007】
本開示の第3形態によれば、プログラムが提供される。このプログラムは、ロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けてから切替時間が経過し、前記ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、前記ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、を備えるロボットシステムにおいて、前記制御部として機能するコンピューターが実行するプログラムであって、前記コンピューターに、前記ロボットアームの前記移動速度を検出する機能と、前記安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるときに、前記移動速度を前記制限速度未満に減速させる機能と、を実現させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るロボットシステムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】ロボットとロボットコントローラーとの主要部を示すブロック図である。
【
図4】速度制御に関する処理のフローチャートである。
【
図5】制御点の移動速度の変化の例を表した図である。
【
図6】制御点の移動速度の変化の他の例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.実施形態:
図1は、本実施形態に係るロボットシステム10の全体構成を示す概略図である。
図2は、ロボット100とロボットコントローラー700との主要部を示すブロック図である。
図1に示すように、ロボットシステム10は、ロボット100と、安全入力部300と、第1停止信号発生部400と、第2停止信号発生部500と、ロボットコントローラー700とを備える。
【0010】
ロボット100は垂直多関節ロボットである。ロボット100は、ロボットコントローラー700により駆動させられ、例えば、生産ラインにおいて製造工程の一部である組み立て作業を行う。ロボット100をロボットアームともよぶ。ロボット100は、基台105と、アーム120と、6つの駆動機構130と、力覚センサー140と、エンドエフェクター150とを備える。なお、
図1において駆動機構130を図示していない。基台105はロボット100を構成する部材を支持している。アーム120は6つの関節J1~J6を含む。関節J1~J6にはそれぞれ対応する駆動機構130が設けられている。
【0011】
図2に示すように、駆動機構130は、モーター131と、減速機132と、角度センサー133とを備える。モーター131は、ロボットコントローラー700から電流を供給され、対応する関節を駆動するための回転出力を生成する。減速機132は、モーター131から与えられた回転入力を、回転速度が低い回転出力に変換、すなわち、減速する。角度センサー133は、モーター131の出力軸の回転角度(軸の位置)を、その関節の回転角度として検出する。角度センサー133は、決められた時間間隔で回転角度を検出し、検出した回転角度を検出時刻とともにロボットコントローラー700に出力する。決められた時間間隔は、例えば、100ミリ秒である。角度センサー133は、例えば、エンコーダー、ポテンションメーター、レゾルバーである。駆動機構130が、ロボットコントローラー700の制御に従い、対応する関節を駆動することにより、エンドエフェクター150がロボット座標系RCにおいて指定された位置に指定された姿勢で配される。
【0012】
図1に示すように、ロボット座標系RCは、基台105の位置に対して固定され、ロボット100が設置された空間を規定する座標系である。ロボット座標系RCは、水平面上において互いに直交するX軸およびY軸と、鉛直上向きを正方向とするZ軸と、によって規定される三次元直交座標系である。ロボット座標系RCにおける任意の位置はX軸方向の位置とY軸方向の位置とZ軸方向の位置とにより表すことができる。ロボット座標系RCにおける任意の姿勢は、X軸回りの回転の角度位置とY軸回りの回転の角度位置とZ軸回りの回転の角度位置とにより表すことができる。
【0013】
力覚センサー140はアームエンド120eに装着されている。力覚センサー140は、ロボット座標系RCとは異なるセンサー座標系において、エンドエフェクター150に作用するX軸、Y軸、および、Z軸の検出軸に平行な力の大きさと、各検出軸回りのトルクの大きさを検出する。力覚センサー140は検出値をロボットコントローラー700に出力する。センサー座標系は、力覚センサー140上の点を原点とした三次元直交座標系である。
【0014】
エンドエフェクター150は、力覚センサー140を介してアームエンド120eに装着されている。エンドエフェクター150は不図示のワークを把持するための装置である。
図1においては、技術の理解を容易にするために、エンドエフェクター150を筒状部材として表示している。
【0015】
図2に示す、安全入力部300は、ロボット100の周囲においてあらかじめ設定された警告領域AAに人が存在する場合に安全入力信号SSを発生させる。安全入力部300は、警告領域AAにおける人の存在を検出するためのライトカーテン、レーザースキャナー、マットスイッチ、安全扉のドアスイッチ等を含む。安全入力部300を安全入力機器ともよぶ。
【0016】
図3は、ロボット100の周囲に設定された警告領域AAについての説明図である。
図3においては、ロボット100を四角で表している。
図3に示す例では、警告領域AAは、ロボット100の周囲において、後述する防護領域PAより外側に設定されている。警告領域AAは、防護領域PAと重ならない領域である。警告領域AAは、ロボット100が動作可能な範囲と重ならない領域であるが、安全の確保のため、警告領域AAに人が存在していることが検出されている間、後述の機能安全部750によりロボット100の移動速度は制限される。
【0017】
例えば、安全入力部300が有するライトカーテンが警告領域AAの境界に設置されている。ライトカーテンにより警告領域AA内に人がいることが検出されている間、安全入力部300は安全入力信号SSをロボットコントローラー700に出力し続ける。例えば、ロボット100の周囲が安全扉を備える安全柵で囲われている。ドアスイッチにより開状態であることが検出されている間、安全入力部300は安全入力信号SSをロボットコントローラー700に出力し続ける。安全入力信号SSは、ロボット100の制御点の移動速度の速度制限を有効とするか無効とするかを切り替える信号である。
【0018】
第1停止信号発生部400は、生産設備に設けられた非常停止ボタン、ティーチングペンダントに設けられた非常停止ボタンを含む。作業者が生産設備に設けられた非常停止ボタンまたはティーチングペンダントに設けられた非常停止ボタンを押下することによりロボット100の停止を指示した場合に、第1停止信号発生部400は、第1停止信号S1を発生させる。第1停止信号S1は、ロボット100を非常停止する指示を通知する信号である。
【0019】
第2停止信号発生部500は、ロボット100の周囲においてあらかじめ設定された防護領域PAに人が存在することを検出すると第2停止信号S2を発生させる。第2停止信号発生部500は、防護領域PAにおける人の存在を検出するためのライトカーテン、レーザースキャナー、マットスイッチ、安全扉のドアスイッチ等を含む。
【0020】
図3に示すように、防護領域PAはロボット100の周囲において、警告領域AAより内側に設定されている。防護領域PAは、ロボット100が動作可能な範囲と重なる領域である。防護領域PAに人が存在していることが検出されると、後述の機能安全部750によりロボット100の動作が完全に停止させられる。
【0021】
第2停止信号発生部500は、防護領域PA内に人がいることが検出されている間、第2停止信号S2をロボットコントローラー700に出力し続ける。第2停止信号S2は、ロボット100を保護停止する指示を通知する信号である。
【0022】
ロボットコントローラー700は、駆動部710と、電源回路部720と、制御部730と、電源遮断部740と、機能安全部750とを備える。
【0023】
駆動部710は、関節J1~J6それぞれに対応する6つのモータードライバーを有する。駆動部710は、制御部730の制御に従って関節J1~J6それぞれに対応する6つのモータードライバーを駆動する。各モータードライバーは対応する関節を回転させるモーター131を駆動する。駆動部710はアーム120の内部に配置されている。
【0024】
電源回路部720は、不図示の外部の交流電源から供給された電力を直流の電力に変換し、変換した電力を駆動部710と制御部730と機能安全部750とに供給する。駆動部710への電力は後述の電源遮断部740を介して供給される。電源回路部720と、制御部730と、電源遮断部740と、機能安全部750とは、基台105の内部に配置されている。
【0025】
制御部730は、駆動部710を制御することによりロボット100を駆動する。制御部730は、メモリー731とCPU(Central Processing Unit)732とを備えるコンピューターである。制御部730は、後述する機能安全部750とは異なり、機能安全に関する規格を満すように構成されている必要はない。メモリー731には制御部730が実行する各種処理に使用されるプログラムおよびデータが格納されている。例えば、メモリー731にはロボット100の動作を制御する動作プログラムが格納されている。また、メモリー731には、角度センサー133が出力した回転角度および検出時刻を表すデータが格納されている。CPU732はメモリー731に格納されたプログラムを実行することにより様々な機能を実現する。
【0026】
制御部730は、駆動部710を介してロボット100の位置および姿勢を変化させることにより、ロボット100の制御点の位置を制御する。この結果、エンドエフェクター150は3次元空間中において指定された位置である目標点に、指定された姿勢で配される。制御点は、ロボット座標系RCにおいてロボット100を制御する基準となる地点である。例えば、エンドエフェクター150が対象物に触れる点の中心であるTCP(Tool Center Point)を制御点とすることができる。制御部730は、例えば、不図示のプログラマブルロジックコントローラーから受信した動作指令に従って、アーム120およびエンドエフェクター150を制御する。
【0027】
制御部730は、ロボット100の速度制限を有効にする安全入力信号SSを受け付けると、ロボット100の移動速度の制御を行う。本明細書において、ロボット100の移動速度はアーム120の制御点の移動速度を意味する。安全入力信号SSが入力されている間、制御部730においてロボット100の制御点の移動速度の制限が行われる。移動速度の制限の詳細については後述する。
【0028】
電源遮断部740は、機能安全部750の制御に従って駆動部710への電力の供給を遮断する。電源遮断部740はリレー回路を含む。電源遮断部740は、機能安全部750から遮断信号SCを受信するとリレー回路を開放状態する。よって、電源回路部720から駆動部710への電力の供給が遮断される。電源遮断部740は、機能安全部750から遮断信号SCを受信するまでリレー回路を閉成状態とする。この場合、駆動部710へ電源回路部720から電力が供給される。
【0029】
機能安全部750は、ロボット100を監視し、機能安全を確保するために必要な制御を行う。機能安全とは、安全を確保する機能を導入することにより実現される許容可能なレベルの安全のことである。機能安全部750は、メモリー751とCPU752とを備えるコンピューターである。機能安全部750は機能安全に関する規格を満たすように構成されている。機能安全に関する規格について、例えば、ロボットの安全規格であるISO10218-1:2011からは、機能安全の要求としてISO13849-1:2015が参照されている。メモリー751には機能安全部750が実行する各種処理に使用されるプログラムおよびデータが格納されている。CPU752は、メモリー751に格納されたプログラムを実行することにより様々な機能を実現する。
【0030】
機能安全部750は、第1停止信号発生部400から第1停止信号S1が入力されたか否かを監視する。機能安全部750は、第1停止信号S1が入力されると、IEC60204-1:2016で規定されている「STO(Safe Torque Off)」に相当する非常停止を実行する。具体的には、機能安全部750は電源遮断部740に遮断信号SCを出力することにより、ロボット100のモーター131への電力の供給を遮断させる。よって、ロボット100の動作が強制的に停止させられる。あるいは、機能安全部750は、第1停止信号S1が入力されると、IEC60204-1:2016で規定されている「SS1(Safe Stop1)」に相当する保護停止を実行する。具体的には、機能安全部750は制御部730を介してロボット100の動作を停止させる。その後、機能安全部750は電源遮断部740に遮断信号SCを出力することにより、ロボット100のモーター131への電力の供給を遮断させる。よって、ロボット100の動作が強制的に停止させられる。例えば、「STO」に相当する非常停止が実行された場合、ロボット100の動作を再開させるためには、作業者が手動で非常停止ボタンをリセットすることを含む決められた復帰動作の実施が必要である。
【0031】
また、機能安全部750は、第2停止信号発生部500から第2停止信号S2が入力されたか否かを監視する。機能安全部750は、第2停止信号S2が入力されると「STO」または「SS1」に相当する非常停止または保護停止を実行する。
【0032】
また、機能安全部750は、安全入力部300から機能安全部750に安全入力信号SSが入力されたか否かを監視する。機能安全部750は、安全入力信号SSが入力されてからあらかじめ決められた切替時間TSが経過すると、速度監視機能を有効にする。切替時間TSは、例えば、500ミリ秒である。安全入力信号SSが入力されている間、機能安全部750において、ロボット100の制御点の速度を監視する速度監視機能が有効となる。速度監視機能が有効である場合、機能安全部750は以下のようにロボット100を制御する。
【0033】
機能安全部750は、角度センサー133の検出値を用いてロボット100の制御点の速度を算出し、ロボット100の制御点の速度があらかじめ設定された制限速度VLを超えないか否かを監視する。なお、
図2においては機能安全部750と角度センサー133を接続する信号線の図示を省略している。制限速度VLの設定値はあらかじめメモリー751に格納されている。
【0034】
機能安全部750は、安全入力信号SSが入力されており、かつ、ロボット100の制御点の速度が制限速度VLを超えている場合、「SS1」に相当する保護停止を実行する。具体的には、機能安全部750は、制御部730を介してロボット100を停止させる。その後、機能安全部750は、電源遮断部740に遮断信号SCを出力することにより、電源遮断部740にロボット100への電力の供給を遮断させる。あるいは、機能安全部750は、安全入力信号SSが入力されており、かつ、ロボット100の制御点の速度が制限速度VLを超えている場合、「STO」に相当する非常停止、または、IEC60204-1:2016で規定されている「SS2(Safe Stop2)」に相当する保護停止を実行してもよい。
【0035】
図4は速度制御に関する処理のフローチャートである。
図4に示す処理は制御部730のCPU732により実行される。例えば、ユーザーが不図示の入力装置を介して処理の開始を指示すると、制御部730は
図4に示す処理を開始する。なお、制御部730は、
図4に示す処理の実行と並行して、ロボット100の制御点が予定された移動経路に沿って移動するようにロボット100を動作している。予定された移動経路を表す経路情報はあらかじめメモリー731に格納されている。予定された移動経路を表す経路情報は、始点と1つ以上の中継点と終点とのそれぞれの位置を表す情報を含む。
【0036】
ステップS101において、制御部730は、安全入力信号SSが安全入力部300から入力されているか否かに応じて速度制限が有効であるか否かを判別する。速度制限が有効である場合(ステップS101;YES)、制御部730はステップS102の処理を実行する。なお、安全入力信号SSは制御部730とともに機能安全部750にも入力されている。よって、安全入力信号SSの入力開始から切替時間TSが経過すると機能安全部750の速度監視機能が有効となる。安全入力信号SSが入力されておらず、速度制限が無効である場合(ステップS101;NO)、制御部730はステップS108の処理を実行する。
【0037】
ステップS102において、制御部730はロボット100の移動速度を検出する。具体的には、制御部730は、6つの角度センサー133が検出した回転角度とアーム120を構成する各リンクの長さとを用いて順運動学による計算により、制御点の現在の座標値を算出する。制御部730は、6つの角度センサー133が直前に検出した回転角度と各リンクの長さとを用いて同様に制御点の直前の座標値を算出する。制御部730は、現在の座標値と、直前の座標値と、角度センサー133による直前の検出時刻と今回の角度センサー133による今回の検出時刻との差、すなわち、制御点が直前の座標値から現在の座標値に移動するのに要した時間とを用いて、制御点の移動速度を算出する。
【0038】
ステップS103において、制御部730は、制御点の移動速度が制限速度VL以上であるか否かを判別する。制御点の移動速度が制限速度VL以上である場合(ステップS103;YES)、制御部730はステップS104の処理を実行する。一方、制御点の移動速度が制限速度VL未満である場合(ステップS103;NO)、制御部730はステップS108の処理を実行する。安全入力部300から速度制限を有効にする安全入力信号SSが入力されている場合において、制御点の移動速度が制限速度VL以上であることは、あらかじめ決められた条件を満たすことの一例である。
【0039】
ステップS104において、制御部730は、駆動部710を制御することにより制御点の移動速度を第1速度V1まで減速させる。第1速度V1の設定値はメモリー731にあらかじめ格納されている。本実施形態において、第1速度V1はゼロに設定されている。よって、ロボット100の動作が停止する。このとき、電源遮断部740により駆動部710への電力供給は遮断されていない。このため、停止したロボット100の動作を再開する際には復帰動作が不要である。
【0040】
図5は、制御点の移動速度の変化の例を表した図である。時刻t1は安全入力信号SSが制御部730に入力された時刻である。時刻t2は、時刻t1から切替時間TSが経過した時刻である。ステップS103の処理により、制御点の移動速度はゼロまで減速させられる。制御部730は、切替時間TSが経過する前に、すなわち、速度監視機能が有効になる前に、ロボット100の制御点の移動速度を制限速度VL未満に減速させる必要がある。速度監視機能が有効となり移動速度が制限速度VL以上である場合に、ロボット100が強制的に停止させられることを防止するためである。図示する例では、切替時間TSが経過する前にロボット100の制御点の移動速度が第1速度V1まで減速させられている。
【0041】
図4に示す、ステップS105において、制御部730は、駆動部710を制御することによりロボット100を再び動作させ、制御点の移動速度を第2速度V2まで加速させる。よって、ロボット100の動作が再開する。その後、ロボット100の制御点の移動速度は第2速度V2まで加速させられる。第2速度V2の設定値はメモリー731にあらかじめ格納されている。第2速度V2は、制限速度VL未満であり、第1速度V1より速い速度である。第2速度V2は、例えば、制限速度VLの8割の速度として設定される。
【0042】
図5に示すように、ゼロまで減速した後、ステップS104の処理により制御点の移動速度は、制限速度VL未満である第2速度V2まで加速させられている。
【0043】
図4に示す、ステップS106において、制御部730は、安全入力信号SSの入力の有無に基づいて速度制限が無効であるか否かを判別する。安全入力信号SSが入力されておらず、速度制限が無効である場合(ステップS106;YES)、制御部730はステップS107の処理を実行する。安全入力信号SSが入力されており、速度制限が有効である場合(ステップS106;NO)、制御部730は一定期間待機した後にステップS106の処理を再び実行する。
【0044】
ステップS107において、制御部730は、駆動部710を制御してロボット100の制御点の移動速度を制限前の速度、すなわち、第1速度V1に減速する前の速度に変更する。
【0045】
ステップS108において、制御部730は処理を継続するか否かを判別する。例えば、ユーザーが不図示の入力装置を介して処理の終了を指示した場合に制御部730は処理を終了すると判別する。処理の終了が指示されない場合、すなわち、処理を継続する場合(ステップS108;YES)、制御部730はステップS101の処理を再び実行する。処理を終了する場合(ステップS108;NO)、
図4に示す処理が終了される。
【0046】
ここで、ステップS106において、安全入力信号SSが入力されており、速度制限が有効である場合(ステップS106;NO)に、制御部730は一定期間待機した後にステップS106の処理を再び実行する構成を説明したが、これに限定されない。例えば、ステップS106に移行してから速度制限が有効である間に、ユーザーが不図示の入力装置を介して処理の終了を指示した場合には、制御部730は処理を終了すると判別し、
図4に示す処理が終了される構成としてもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態においては、制御部730がロボット100の制御点の移動速度を制限速度VL未満に減速させる。このため、速度監視機能が有効であるときに機能安全部750がロボット100の動作を強制的に停止させることを抑制できる。よって、ロボット100の作業が中断させられる頻度を低減できる。
【0048】
本実施形態においては、ロボット100の制御点の移動速度がゼロまで減速させられるので、ロボット100は動作を一旦停止する。よって、作業者が、ロボット100の移動速度が変更されたことを目視により認識できる。また、ロボット100が動作を一旦停止するので、確実にロボット100の移動速度を制限速度VL未満に減速できる。
【0049】
また、ロボット100の制御点の移動速度をゼロまで減速させ、その後、制限速度VL未満である第2速度V2まで加速させる。このため、迅速かつ確実に制御点の移動速度を制限速度VL未満にまで減速させることができ、その後、制限速度VLの条件を満たしつつ第2速度V2に加速させるので、動作効率を上げることができる。
【0050】
また、例えば、ロボット100の動作検証を行う場面において、ユーザーは、制御部730により移動速度の制限がどのくらい行われるかを目視で確認し、必要に応じて、ロボット100の動作用のプログラム(ユーザープログラム)を修正できる。機能安全に関する規格を満たすように構成されている機能安全部750の動作に関するパラメーターの再設定を要することなく、ユーザープログラムを調整することで、ロボット100の動作の最適化を行うことができる。
【0051】
B.他の実施形態:
B1.他の実施形態1:
図6は、制御点の移動速度の変化の他の例を表した図である。上記の実施形態においては、制御部730が、ロボット100の制御点の移動速度を、まず、ゼロまで減速させ、その後、第2速度V2まで加速させる例を説明した。しかしながら、制御部730は、制御点の移動速度を第2速度V2まで減速させるだけでもよい。この場合、ロボット100が一時停止しないため、上記の実施形態に比べて作業効率の低下を抑制できる。
【0052】
B2.他の実施形態2:
また、制御部730は、ユーザーから減速後の速度についての指定を受け付けてもよい。ユーザーは、作業者および監督者を含む。指定された減速後の速度を第3速度V3ともよぶ。例えば、ユーザーは、ロボット100の動作用のプログラムにおいて減速後の速度についての指定値を設定できる。あるいは、ユーザーは、不図示のティーチングペンダントを使用して減速後の速度を指定してもよい。制御部730は、安全入力信号SSが入力されると、ユーザーから指定された第3速度V3までロボット100を減速させる。この態様によればユーザーは所望する減速後の移動速度を指定できる。
【0053】
あるいは、制御部730は、ロボット100の制御点の移動速度を、まず、ゼロまで減速させ、その後、指定された第3速度V3まで加速させてもよい。
【0054】
B3.他の実施形態3:
上述の実施形態においては、安全入力部300から安全入力信号SSが入力されているとき、制御部730が常に制御点の移動速度を制限速度VL未満に制限する例を記載した。あるいは、制御部730は、制御点の移動速度を制限速度VL未満に制限する第1モードと、制御点の移動速度を制限速度VL未満に制限しない第2モードと、のいずれかの制御モードでロボット100を制御してもよい。ユーザーは、制御部730により制御点の移動速度の制限を行う第1モードと、制御部730により制御点の移動速度の制限を行わない第2モードとのいずれかを選択できる。第1モードが設定されている場合、制御部730は、安全入力信号SSが入力されると、ロボット100の制御点の速度を制限速度VL未満とするように制御を行う。第2モードが設定されている場合、制御部730は、安全入力信号SSが入力されても、ロボット100の制御点の速度を制限速度VL未満とするような制御を行わない。ただし、いずれの場合も、安全入力信号SSの入力により、機能安全部750における速度監視機能は有効となる。制御点の移動速度を制限速度VL未満に制限する第1モードが設定されていることは、あらかじめ決められた条件の一例である。この場合、安全入力信号SSを受け付けた場合において、移動速度が制限速度VLを超えており、かつ、第1モードが設定されている場合に、あらかじめ決められた条件が満たされる構成としてもよい。
【0055】
例えば、ユーザーはロボット100の動作用のプログラムにおいて第1モードと第2モードとのいずれを選択するかを設定できる。あるいは、ユーザーは不図示のティーチングペンダントを使用して所望のモードを指定してもよい。よって、ユーザーは、安全入力部300から安全入力信号SSが入力されたときにロボット100の制御点の速度を制限速度VL未満に制御する処理を実行するか否かを選択できる。なお、ユーザーによりいずれかの制御モードが選択されていない場合には、制御部730は、デフォルトの第1モードでロボット100を制御する。例えば、ロボット100の稼働する設備において、警告領域AAに作業者が入ることがほとんどない場合、機能安全部750における速度監視機能が有効となる頻度が低いことが想定できる。この場合は第2モードを設定したとしても、ロボット100の作業が中断される頻度は高くならない。
【0056】
B4.他の実施形態4:
上述の実施形態においては、安全入力部300は、警告領域AA内に人が存在している間、安全入力信号SSの出力を継続した。しかしながら、安全入力部300は、警告領域AA内に人が入ったときに、安全入力信号SSを決められた時間だけロボットコントローラー700に入力してもよい。安全入力部300は、警告領域AA内に人が存在しなくなったときに解除信号をロボットコントローラー700に出力してもよい。
【0057】
実施形態においては、制御部730が、速度制限が有効である場合に、ロボット100の制御点の速度を求める例を説明した。あるいは、制御部730は、ロボット100の制御点の加速度を求めてもよい。この場合、制御部730は、ロボット100の制御点の加速度が、あらかじめ設定された制限加速度未満となるように、ロボット100を制御する。
【0058】
実施形態においては、1つの制御点が設定されている例を説明したが、2つ以上の制御点が設定されてもよい。例えば、TCPと、人間の肘関節にあたる関節J3とを制御点としてもよい。
【0059】
実施形態において、機能安全部750は機能安全に関する規格を満たすように構成されている例を記載したが、機能安全部750は、機能安全に関する規格を満たすように構成されていなくてもよい。
【0060】
実施形態では6軸の垂直多関節ロボットの例を説明したが、ロボット100は、アームを備えるロボットであればよい。ロボット100は、例えば、スカラロボットであってもよい。
【0061】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替え、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0062】
C.他の形態:
(1)本開示の第1形態によれば、制御方法が提供される。この制御方法は、ロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、前記ロボットアームの速度監視機能が有効であり、前記ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、前記ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、を備えるロボットシステムの制御方法であって、前記制御部が、前記ロボットアームの前記移動速度を検出するステップと、前記制御部が、安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるとき、前記移動速度を前記制限速度未満に減速させるステップと、前記機能安全部が、前記安全入力信号を受け付けてから、切替時間が経過した場合に、前記速度監視機能を有効にするステップと、を含む。
上記の形態によれば、制御部がロボットアームの移動速度を制限速度未満に減速させるので、機能安全部がロボットアームの動作を強制的に停止させることを抑制できる。よって、ロボットアームの作業が中断させられる頻度を低減できる。
【0063】
(2)上記形態において、前記減速させるステップにおいて、前記ロボットアームの前記移動速度を前記制限速度未満である第1速度まで減速させ、前記制御方法は、前記減速させるステップの後に実行されるステップであって、前記移動速度を、前記制限速度未満であって前記第1速度より速い第2速度に加速させるステップ、をさらに含んでもよい。
上記の形態によれば、ロボットアームの制御点の移動速度を迅速かつ確実に制限速度未満に減速させることができ、その後、制限速度の条件を満たしつつ第2速度に加速させるので、動作効率を上げることができる。
【0064】
(3)上記形態において、前記第1速度はゼロであってもよい。
上記の形態によれば、ロボットアームの移動速度がゼロまで減速させられるので、ユーザーは、ロボットアームの移動速度が変更されたことを目視により認識できる。また、ロボットアームが動作を一旦停止するので、確実にロボットアームの移動速度を制限速度未満に減速できる。
【0065】
(4)上記の形態において、前記減速させるステップの前に実行されるステップであって、前記制限速度未満の速度である第3速度についての指定を受け付けるステップ、をさらに含み、前記減速させるステップにおいて、前記ロボットアームの前記移動速度を前記第3速度まで減速させてもよい。
上記の形態によれば、ユーザーは減速後の移動速度を指定できる。
【0066】
(5)上記の形態において、前記制御部は、前記移動速度が前記制限速度未満に制限される第1モードと、前記移動速度が前記制限速度未満に制御されない第2モードと、を備え、前記制御方法は、前記第1モードと、前記第2モードとのいずれを設定するかについての指定を受け付けるステップ、をさらに含み、前記あらかじめ決められた条件は、前記安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えており、かつ、前記第1モードが設定されている場合に、満たされてもよい。
上記の形態によれば、ユーザーは、安全入力機器から安全入力信号が入力されたときにロボットの制御点の速度を制限速度VL未満に制御する処理を実行するか否かを選択できる。
【0067】
(6)上記の形態において、前記機能安全部は、機能安全に関する規格を満たすように構成されていてもよい。
【0068】
(7)本開示の第2形態によれば、ロボットシステムが提供される。このロボットシステムは、ロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、前記ロボットアームの速度監視機能が有効であり、前記ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、前記ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、を備え、前記制御部は、前記ロボットアームの前記移動速度を検出し、安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるときに、前記移動速度を前記制限速度未満に減速させ、前記機能安全部は、前記安全入力信号を受け付けてから、切替時間が経過した場合に、前記速度監視機能を有効にする。
上記の形態によれば、制御部がロボットアームの移動速度を制限速度未満に減速させるので、機能安全部がロボットアームの動作を強制的に停止させることを抑制できる。よって、ロボットアームの作業が中断させられる頻度を低減できる。
【0069】
(8)本開示の第3形態によれば、プログラムが提供される。このプログラムは、ロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御部と、安全入力機器から速度制限を有効にする安全入力信号を受け付けてから切替時間が経過し、前記ロボットアームの移動速度が設定された制限速度を超えているときに、前記ロボットアームの動作を強制的に停止させる機能安全部と、を備えるロボットシステムにおいて、前記制御部として機能するコンピューターが実行するプログラムであって、前記コンピューターに、前記ロボットアームの前記移動速度を検出する機能と、前記安全入力信号を受け付けた場合において、前記移動速度が前記制限速度を超えていることを含むあらかじめ決められた条件が満たされるときに、前記移動速度を前記制限速度未満に減速させる機能と、を実現させる。
上記の形態によれば、制御部がロボットアームの移動速度を制限速度未満に減速させるので、機能安全部がロボットアームの動作を強制的に停止させることを抑制できる。よって、ロボットアームの作業が中断させられる頻度を低減できる。
【符号の説明】
【0070】
10…ロボットシステム、100…ロボット、105…基台、120…アーム、120e…アームエンド、130…駆動機構、131…モーター、132…減速機、133…角度センサー、140…力覚センサー、150…エンドエフェクター、300…安全入力部、400…第1停止信号発生部、500…第2停止信号発生部、700…ロボットコントローラー、710…駆動部、720…電源回路部、730…制御部、731…メモリー、732…CPU、740…電源遮断部、750…機能安全部、751…メモリー、752…CPU、AA…警告領域、J1~J6…関節、PA…防護領域、RC…ロボット座標系、S1…第1停止信号、S2…第2停止信号、SC…遮断信号、SS…安全入力信号、TS…切替時間、V1…第1速度、V2…第2速度、VL…制限速度、t1…時刻、t2…時刻