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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135615
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】印刷装置及び印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 303
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046395
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】棚瀬 和義
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC35
2C056HA10
2C056HA37
(57)【要約】
【課題】インクの着弾により印刷媒体が伸縮し画像に掠れなどが生じることを抑制する。
【解決手段】ノズルNが第1方向Eに複数並んで形成されるノズル列Rを有するヘッド10と、印刷媒体MにインクIを吐出する際にヘッド10と印刷媒体Mとを相対移動させる移動機構6と、ベースプレート21と回動可能なヘッド保持部22と駆動部30とを有し、相対移動方向Bと直交する方向に対する第1方向Eの傾き角度Θを変更可能なヘッド角度調整部20と、を備え、印刷媒体Mの所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、第1パスと第2パスとで傾き角度Θを異ならせるように駆動部30を制御してベースプレート21に対してヘッド保持部22を回動させる印刷装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体にインクを吐出するノズルが第1方向に複数並んで形成されるノズル列を有するヘッドと、
前記印刷媒体に前記インクを吐出する際に前記ヘッドと前記印刷媒体とを相対移動させる移動機構と、
ベースプレートと、前記ヘッドを保持した状態で前記ベースプレートに対して回動軸を中心として回動可能なヘッド保持部と、前記回動軸を中心として前記ヘッド保持部を回動させる駆動部と、を有し、前記ヘッドと前記印刷媒体との相対移動方向と直交する方向に対する前記第1方向の傾き角度を変更可能なヘッド角度調整部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記印刷媒体の所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、前記複数パスのうちの第1パスと前記複数パスのうちの前記第1パスとは異なる第2パスとで前記傾き角度を異ならせるように、前記駆動部を制御して前記ベースプレートに対して前記ヘッド保持部を回動させることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載された印刷装置において、
記憶部を備え、
前記記憶部には、前記印刷媒体の種別と、1パス当りで吐出する前記インクの吐出量と、単位面積に対し前記インクを何回のパスで吐出するかを表すパス数と、に基づいて予め定められた前記傾き角度が前記第1パス及び前記第2パスの各々に対して記憶されており、
前記制御部は、前記画像の形成の際に使用する前記印刷媒体の種別と、前記画像の形成の際の1パス当りで吐出する前記インクの吐出量と、前記画像の形成の際のパス数と、に基づいて、前記記憶部に記憶された前記傾き角度から設定傾き角度を決定し、前記設定傾き角度に基づいて前記駆動部を制御することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記印刷媒体の搬送経路において、前記印刷媒体の画像形成面と対向する位置に配置され、前記印刷媒体にインクを吐出するノズルが第1方向に複数並んで形成される第1ノズル列を有する第1ヘッドと、
前記搬送経路において、前記画像形成面と対向する位置であって、前記印刷媒体の搬送方向において前記第1ヘッドよりも下流に配置され、前記印刷媒体にインクを吐出するノズルが第2方向に複数並んで形成される第2ノズル列を有する第2ヘッドと、
第1ベースプレートと、前記第1ヘッドを保持した状態で前記第1ベースプレートに対して第1回動軸を中心として回動可能な第1ヘッド保持部と、前記第1回動軸を中心として前記第1ヘッド保持部を回動させる第1駆動部と、を有し、前記搬送方向と直交する方向に対する前記第1方向の傾き角度である第1傾き角度を変える第1ヘッド角度調整部と、
第2ベースプレートと、前記第2ヘッドを保持した状態で前記第2ベースプレートに対して第2回動軸を中心として回動可能な第2ヘッド保持部と、前記第2回動軸を中心として前記第2ヘッド保持部を回動させる第2駆動部と、を有し、前記搬送方向と直交する方向に対する前記第2方向の傾き角度である第2傾き角度を変える第2ヘッド角度調整部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、画像を形成する際に、前記第1傾き角度と前記第2傾き角度とを異ならせるように、前記第1駆動部を制御して前記第1ベースプレートに対して前記第1ヘッド保持部を回動させるか、前記第2駆動部を制御して前記第2ベースプレートに対して前記第2ヘッド保持部を回動させるか、の少なくとも一方を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載された印刷装置において、
記憶部を備え、
前記記憶部には、前記印刷媒体の種別と、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの各々で吐出する前記インクの吐出量と、前記印刷媒体の搬送速度と、に基づいて予め定められた前記第1傾き角度及び前記第2傾き角度が記憶されており、
前記制御部は、前記画像の形成の際に使用する前記印刷媒体の種別と、前記画像の形成の際の前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの各々で吐出する前記インクの吐出量と、前記画像の形成の際の前記印刷媒体の搬送速度と、に基づいて、前記記憶部に記憶された前記第1傾き角度及び前記第2傾き角度から第1設定傾き角度及び第2設定傾き角度を決定し、前記第1設定傾き角度に基づいて前記第1駆動部を制御するとともに、前記第2設定傾き角度に基づいて前記第2駆動部を制御することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
印刷媒体にインクを吐出するノズルが第1方向に複数並んで形成されるノズル列を有するヘッドと、
前記印刷媒体に前記インクを吐出する際に前記ヘッドと前記印刷媒体とを相対移動させる移動機構と、
ベースプレートと、前記ヘッドを保持した状態で前記ベースプレートに対して回動軸を中心として回動可能なヘッド保持部と、前記回動軸を中心として前記ヘッド保持部を回動させる駆動部と、を有し、前記ヘッドと前記印刷媒体との相対移動方向と直交する方向に対する前記第1方向の傾き角度を変更可能なヘッド角度調整部と、
を備える印刷装置の印刷方法であって、
前記印刷媒体の所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、前記複数パスのうちの第1パスと前記複数パスのうちの前記第1パスとは異なる第2パスとで前記傾き角度を異ならせるように、前記ベースプレートに対して前記ヘッド保持部を回動させることを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷媒体にインクを吐出して印刷する様々な印刷装置が使用されている。例えば、特許文献1には、シートにインクを吐出して印刷することが可能なプリンターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-81091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような印刷装置においては、使用する印刷媒体の種類などによっては、印刷媒体に吐出されたインクにより印刷媒体が膨潤する場合などがある。印刷媒体に吐出されたインクにより印刷媒体が膨潤すると、その後さらに別のインクを吐出する際や、複数パスで画像を形成する場合の後のパスでのインクの吐出の際などにおいて、印刷媒体の膨潤に伴って所望の位置とは異なる位置にインクが着弾する虞がある。所望の位置とは異なる位置にインクが着弾すると、画像に掠れなどが生じる虞がある。そこで、特許文献1のプリンターは、千鳥状に配置された記録ヘッドのうちの使用する記録ヘッドを変えることでバンディングムラを抑制することが可能な構成となっている。しかしながら、特に、インクが濡れ広がりにくい印刷媒体を使用する場合や、膨潤しやすい印刷媒体を使用する場合などによっては、画像に掠れなどが生じる虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の印刷装置は、印刷媒体にインクを吐出するノズルが第1方向に複数並んで形成されるノズル列を有するヘッドと、前記印刷媒体に前記インクを吐出する際に前記ヘッドと前記印刷媒体とを相対移動させる移動機構と、ベースプレートと、前記ヘッドを保持した状態で前記ベースプレートに対して回動軸を中心として回動可能なヘッド保持部と、前記回動軸を中心として前記ヘッド保持部を回動させる駆動部と、を有し、前記ヘッドと前記印刷媒体との相対移動方向と直交する方向に対する前記第1方向の傾き角度を変更可能なヘッド角度調整部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記印刷媒体の所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、前記複数パスのうちの第1パスと前記複数パスのうちの前記第1パスとは異なる第2パスとで前記傾き角度を異ならせるように、前記駆動部を制御して前記ベースプレートに対して前記ヘッド保持部を回動させることを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の別の印刷装置は、印刷媒体を搬送する搬送部と、前記印刷媒体の搬送経路において、前記印刷媒体の画像形成面と対向する位置に配置され、前記印刷媒体にインクを吐出するノズルが第1方向に複数並んで形成される第1ノズル列を有する第1ヘッドと、前記搬送経路において、前記画像形成面と対向する位置であって、前記印刷媒体の搬送方向において前記第1ヘッドよりも下流に配置され、前記印刷媒体にインクを吐出するノズルが第2方向に複数並んで形成される第2ノズル列を有する第2ヘッドと、第1ベースプレートと、前記第1ヘッドを保持した状態で前記第1ベースプレートに対して第1回動軸を中心として回動可能な第1ヘッド保持部と、前記第1回動軸を中心として前記第1ヘッド保持部を回動させる第1駆動部と、を有し、前記搬送方向と直交する方向に対する前記第1方向の傾き角度である第1傾き角度を変える第1ヘッド角度調整部と、第2ベースプレートと、前記第2ヘッドを保持した状態で前記第2ベースプレートに対して第2回動軸を中心として回動可能な第2ヘッド保持部と、前記第2回動軸を中心として前記第2ヘッド保持部を回動させる第2駆動部と、を有し、前記搬送方向と直交する方向に対する前記第2方向の傾き角度である第2傾き角度を変える第2ヘッド角度調整部と、制御部と、を備え、前記制御部は、画像を形成する際に、前記第1傾き角度と前記第2傾き角度とを異ならせるように、前記第1駆動部を制御して前記第1ベースプレートに対して前記第1ヘッド保持部を回動させるか、前記第2駆動部を制御して前記第2ベースプレートに対して前記第2ヘッド保持部を回動させるか、の少なくとも一方を行うことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するための本発明の印刷方法は、印刷媒体にインクを吐出するノズルが第1方向に複数並んで形成されるノズル列を有するヘッドと、前記印刷媒体に前記インクを吐出する際に前記ヘッドと前記印刷媒体とを相対移動させる移動機構と、ベースプレートと、前記ヘッドを保持した状態で前記ベースプレートに対して回動軸を中心として回動可能なヘッド保持部と、前記回動軸を中心として前記ヘッド保持部を回動させる駆動部と、を有し、前記ヘッドと前記印刷媒体との相対移動方向と直交する方向に対する前記第1方向の傾き角度を変更可能なヘッド角度調整部と、を備える印刷装置の印刷方法であって、前記印刷媒体の所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、前記複数パスのうちの第1パスと前記複数パスのうちの前記第1パスとは異なる第2パスとで前記傾き角度を異ならせるように、前記ベースプレートに対して前記ヘッド保持部を回動させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例1に係る印刷装置の概略平面図であってヘッドを透視してノズルの位置を表す図。
図2】実施例1に係る印刷装置のヘッド保持部を表す概略斜視図。
図3】実施例1に係る印刷装置で線状パターンを膨潤しにくい印刷媒体に印刷する様子を表す概略図であって、第1パスと第2パスとでともに傾き角度が最小である0°である場合の線状パターンの形成状態を表す図。
図4】実施例1に係る印刷装置で線状パターンを膨潤しやすい印刷媒体に印刷する様子を表す概略図であって、第1パスと第2パスとでともに傾き角度が最小である0°である場合の線状パターンの形成状態を表す図。
図5】実施例1に係る印刷装置で線状パターンを膨潤しやすい印刷媒体に印刷する様子を表す概略図であって、第1パスでは傾き角度が大きく第2パスでは傾き角度が最小である0°である場合の線状パターンの形成状態を表す図。
図6】実施例1に係る印刷装置において傾き角度を決定する方法を説明するための図。
図7】本発明の実施例2に係る印刷装置の概略平面図であってヘッドを透視してノズルの位置を表す図。
図8】本発明の実施例3に係る印刷装置の概略平面図であってヘッドを透視してノズルの位置を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の印刷装置は、印刷媒体にインクを吐出するノズルが第1方向に複数並んで形成されるノズル列を有するヘッドと、前記印刷媒体に前記インクを吐出する際に前記ヘッドと前記印刷媒体とを相対移動させる移動機構と、ベースプレートと、前記ヘッドを保持した状態で前記ベースプレートに対して回動軸を中心として回動可能なヘッド保持部と、前記回動軸を中心として前記ヘッド保持部を回動させる駆動部と、を有し、前記ヘッドと前記印刷媒体との相対移動方向と直交する方向に対する前記第1方向の傾き角度を変更可能なヘッド角度調整部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記印刷媒体の所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、前記複数パスのうちの第1パスと前記複数パスのうちの前記第1パスとは異なる第2パスとで前記傾き角度を異ならせるように、前記駆動部を制御して前記ベースプレートに対して前記ヘッド保持部を回動させることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、傾き角度を変更可能なヘッド角度調整部を備え、印刷媒体の所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、複数パスのうちの第1パスと第2パスとで傾き角度を異ならせるように、ベースプレートに対してヘッド保持部を回動させる。このため、例えば、第1パスの印刷に伴って印刷媒体に吐出されたインクにより印刷媒体が膨潤する場合であっても、第1パスの印刷の際に傾き角度を大きくして第1パスの印刷幅を狭くし、第2パスの印刷の際に傾き角度を小さくして第2パスの印刷幅を広くなるようにすることで、第1パスの印刷の終了後に印刷幅が印刷媒体の膨潤により広くなっても、第1パスでのインクの着弾位置に対する第2パスでのインクの着弾位置のずれを小さくすることができる。したがって、インクの着弾により印刷媒体が伸縮し画像に掠れなどが生じることを抑制することができる。
【0011】
本発明の第2の態様の印刷装置は、前記第1の態様に従属する態様において、記憶部を備え、前記記憶部には、前記印刷媒体の種別と、1パス当りで吐出する前記インクの吐出量と、単位面積に対し前記インクを何回のパスで吐出するかを表すパス数と、に基づいて予め定められた前記傾き角度が前記第1パス及び前記第2パスの各々に対して記憶されており、前記制御部は、前記画像の形成の際に使用する前記印刷媒体の種別と、前記画像の形成の際の1パス当りで吐出する前記インクの吐出量と、前記画像の形成の際のパス数と、に基づいて、前記記憶部に記憶された前記傾き角度から設定傾き角度を決定し、前記設定傾き角度に基づいて前記駆動部を制御することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、記憶部には、印刷媒体の種別と、1パス当りで吐出するインクの吐出量と、単位面積に対しインクを何回のパスで吐出するかを表すパス数と、に基づいて予め定められた傾き角度が第1パス及び第2パスの各々に対して記憶されている。そして、制御部は、画像の形成の際に使用する印刷媒体の種別と、画像の形成の際の1パス当りで吐出するインクの吐出量と、画像の形成の際のパス数と、に基づいて、記憶部に記憶された傾き角度から設定傾き角度を決定し、設定傾き角度に基づいて駆動部を制御する。すなわち、予め第1パスの印刷に伴って印刷媒体に吐出されたインクにより印刷媒体がどの程度伸縮するかを第1パス及び第2パスの各々に対して上記の条件ごとに記憶部に記憶させておくことで、好ましい設定傾き角度を簡単かつ正確に決定することができる。したがって、ユーザーの手間と制御部の制御の複雑化とを抑制することができる。
【0013】
本発明の第3の態様の印刷装置は、印刷媒体を搬送する搬送部と、前記印刷媒体の搬送経路において、前記印刷媒体の画像形成面と対向する位置に配置され、前記印刷媒体にインクを吐出するノズルが第1方向に複数並んで形成される第1ノズル列を有する第1ヘッドと、前記搬送経路において、前記画像形成面と対向する位置であって、前記印刷媒体の搬送方向において前記第1ヘッドよりも下流に配置され、前記印刷媒体にインクを吐出するノズルが第2方向に複数並んで形成される第2ノズル列を有する第2ヘッドと、第1ベースプレートと、前記第1ヘッドを保持した状態で前記第1ベースプレートに対して第1回動軸を中心として回動可能な第1ヘッド保持部と、前記第1回動軸を中心として前記第1ヘッド保持部を回動させる第1駆動部と、を有し、前記搬送方向と直交する方向に対する前記第1方向の傾き角度である第1傾き角度を変える第1ヘッド角度調整部と、第2ベースプレートと、前記第2ヘッドを保持した状態で前記第2ベースプレートに対して第2回動軸を中心として回動可能な第2ヘッド保持部と、前記第2回動軸を中心として前記第2ヘッド保持部を回動させる第2駆動部と、を有し、前記搬送方向と直交する方向に対する前記第2方向の傾き角度である第2傾き角度を変える第2ヘッド角度調整部と、制御部と、を備え、前記制御部は、画像を形成する際に、前記第1傾き角度と前記第2傾き角度とを異ならせるように、前記第1駆動部を制御して前記第1ベースプレートに対して前記第1ヘッド保持部を回動させるか、前記第2駆動部を制御して前記第2ベースプレートに対して前記第2ヘッド保持部を回動させるか、の少なくとも一方を行うことを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、第1傾き角度を変える第1ヘッド角度調整部と、第2傾き角度を変える第2ヘッド角度調整部と、を備える。そして、画像を形成する際に、第1傾き角度と第2傾き角度とを異ならせるように、第1駆動部を制御して第1ベースプレートに対して第1ヘッド保持部を回動させるか、第2駆動部を制御して第2ベースプレートに対して第2ヘッド保持部を回動させるか、の少なくとも一方を行う。このため、例えば、第1ヘッドでの印刷に伴って印刷媒体に吐出されたインクにより印刷媒体が膨潤する場合であっても、第1ヘッドでの印刷の際に傾き角度を大きくして第1ヘッドでの印刷幅を狭くし、第2ヘッドでの印刷の際に傾き角度を小さくして第2ヘッドでの印刷幅を広くなるようにすることで、第1ヘッドでの印刷の終了後に印刷幅が印刷媒体の膨潤により広くなっても、第1ヘッドからのインクの着弾位置に対する第2ヘッドからのインクの着弾位置のずれを小さくすることができる。したがって、インクの着弾により印刷媒体が伸縮し画像に掠れなどが生じることを抑制することができる。
【0015】
本発明の第4の態様の印刷装置は、前記第3の態様に従属する態様において、記憶部を備え、前記記憶部には、前記印刷媒体の種別と、前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの各々で吐出する前記インクの吐出量と、前記印刷媒体の搬送速度と、に基づいて予め定められた前記第1傾き角度及び前記第2傾き角度が記憶されており、前記制御部は、前記画像の形成の際に使用する前記印刷媒体の種別と、前記画像の形成の際の前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドの各々で吐出する前記インクの吐出量と、前記画像の形成の際の前記印刷媒体の搬送速度と、に基づいて、前記記憶部に記憶された前記第1傾き角度及び前記第2傾き角度から第1設定傾き角度及び第2設定傾き角度を決定し、前記第1設定傾き角度に基づいて前記第1駆動部を制御するとともに、前記第2設定傾き角度に基づいて前記第2駆動部を制御することを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、記憶部には、印刷媒体の種別と、第1ヘッド及び第2ヘッドの各々で吐出する前記インクの吐出量と、印刷媒体の搬送速度と、に基づいて予め定められた第1傾き角度及び第2傾き角度が記憶されている。そして、制御部は、画像の形成の際に使用する印刷媒体の種別と、画像の形成の際の第1ヘッド及び第2ヘッドの各々で吐出するインクの吐出量と、画像の形成の際の印刷媒体の搬送速度と、に基づいて、記憶部に記憶された第1傾き角度及び第2傾き角度から第1設定傾き角度及び第2設定傾き角度を決定し、第1設定傾き角度に基づいて第1駆動部を制御するとともに、第2設定傾き角度に基づいて第2駆動部を制御する。すなわち、予め第1ヘッド及び第2ヘッドの各々での印刷に伴って印刷媒体に吐出されたインクにより印刷媒体がどの程度伸縮するかを記憶部に記憶させておくことで、好ましい第1設定傾き角度及び第2設定傾き角度を簡単かつ正確に決定することができる。したがって、ユーザーの手間と制御部の制御の複雑化とを抑制することができる。
【0017】
本発明の第5の態様の印刷方法は、印刷媒体にインクを吐出するノズルが第1方向に複数並んで形成されるノズル列を有するヘッドと、前記印刷媒体に前記インクを吐出する際に前記ヘッドと前記印刷媒体とを相対移動させる移動機構と、ベースプレートと、前記ヘッドを保持した状態で前記ベースプレートに対して回動軸を中心として回動可能なヘッド保持部と、前記回動軸を中心として前記ヘッド保持部を回動させる駆動部と、を有し、前記ヘッドと前記印刷媒体との相対移動方向と直交する方向に対する前記第1方向の傾き角度を変更可能なヘッド角度調整部と、を備える印刷装置の印刷方法であって、前記印刷媒体の所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、前記複数パスのうちの第1パスと前記複数パスのうちの前記第1パスとは異なる第2パスとで前記傾き角度を異ならせるように、前記ベースプレートに対して前記ヘッド保持部を回動させることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、傾き角度を変更可能なヘッド角度調整部を備える印刷装置を用いて、印刷媒体の所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、複数パスのうちの第1パスと第2パスとで傾き角度を異ならせるように、ベースプレートに対してヘッド保持部を回動させる。このため、例えば、第1パスの印刷に伴って印刷媒体に吐出されたインクにより印刷媒体が膨潤する場合であっても、第1パスの印刷の際に傾き角度を大きくして第1パスの印刷幅を狭くし、第2パスの印刷の際に傾き角度を小さくして第2パスの印刷幅を広くなるようにすることで、第1パスの印刷の終了後に印刷幅が印刷媒体の膨潤により広くなっても、第1パスでのインクの着弾位置に対する第2パスでのインクの着弾位置のずれを小さくすることができる。したがって、インクの着弾により印刷媒体が伸縮し画像に掠れなどが生じることを抑制することができる。
【0019】
[実施例1]
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態を具体的に説明する。最初に、本発明の印刷装置1の一例としての実施例1の印刷装置1Aについて図1から図6を参照して説明する。
【0020】
ここで、図1は、本実施例の印刷装置1Aの概略平面図であってヘッド10を透視してノズルNの位置を表す図である。また、図2は、本実施例の印刷装置1Aのヘッド保持部22を表す概略斜視図である。また、図3は、本実施例の印刷装置1Aで線状パターンPを膨潤しにくい印刷媒体Mに印刷する様子を表す概略図であって、第1パスと第2パスとでともに傾き角度Θが最小である0°である場合、すなわち、第1パスと第2パスとでノズル列Rを構成するノズルNが並ぶ方向である第1方向Eを変えなかった場合の線状パターンPの形成状態を表す図である。図4は、本実施例の印刷装置1Aで線状パターンPを膨潤しやすい印刷媒体Mに印刷する様子を表す概略図であって、第1パスと第2パスとでともに傾き角度Θが最小である0°である場合、すなわち、第1パスと第2パスとでノズル列Rを構成するノズルNが並ぶ方向である第1方向Eを変えなかった場合の線状パターンPの形成状態を表す図である。図5は、本実施例の印刷装置1Aで線状パターンPを膨潤しやすい印刷媒体Mに印刷する様子を表す概略図であって、第1パスでは傾き角度Θが大きく第2パスでは傾き角度Θが最小である0°である場合、すなわち、第1パスと第2パスとでノズル列Rを構成するノズルNが並ぶ方向である第1方向Eを変えた場合の線状パターンPの形成状態を表す図である。そして、図6は、本実施例の印刷装置1Aにおいて傾き角度Θを決定する方法を説明するための図である。
【0021】
以下に、本実施例の印刷装置1Aの概要について、主に図1及び図2を参照して説明する。図1で表されるように、本実施例の印刷装置1Aは、印刷媒体Mを支持するプラテン2を備えている。また、図1で表されるように、本実施例の印刷装置1Aは、複数のノズルNを有し、ノズルNから印刷媒体Mに向けて吐出方向CにインクIを吐出することが可能なヘッド10を備えている。ここで、ヘッド10は、ノズルNから印刷媒体Mに向けて吐出方向Cに図3で表されるインクIを吐出する構成であり、ノズルNが第1方向Eに複数並んで形成されるノズル列Rを有している。
【0022】
また、本実施例の印刷装置1Aは、ヘッド10を搭載してプラテン2に支持された印刷媒体Mの画像形成面M1と対向する位置を相対移動方向Bに移動可能なキャリッジ20を備えている。また、印刷媒体MにインクIを吐出する際にヘッド10と印刷媒体Mとを相対移動させる移動機構として、キャリッジモーター6などを備えている。また、本実施例の印刷装置1Aは、不図示のCPUや様々な情報を記憶しているとともに新たに情報を記憶することが可能な記憶部5などを有する制御部4を備えており、キャリッジモーター6は制御部4に電気的に接続されている。
【0023】
キャリッジ20は、ベースプレート21と、ヘッド10を保持した状態でベースプレート21に対して回動軸を中心として回動可能なヘッド保持部22と、ヘッド保持部22の回動軸を中心としてヘッド保持部22を回動させる駆動部30と、を有しており、相対移動方向Bと直交する方向に対する第1方向Eの傾き角度Θを変更可能なヘッド角度調整部としての役割を兼ねている。具体的には、図2で表されるように、ヘッド保持部22は、吐出方向Cに沿う方向から見て円柱状の円柱部22aを有し、円柱部22aには、ヘッド10を支持するとともにヘッド10のノズル列Rを露出させる孔部22bが設けられている。なお、図1で表されるように、ベースプレート21には、円柱部22aが嵌まる円形状の孔部21aが設けられている。
【0024】
また、ヘッド保持部22は、駆動部30を構成する調整ネジブロック32と調整ネジ33とを有しており、ベースプレート21に設けられたステッピングモーター31に対して調整ネジ33が接続されている。このような構成であるため、ステッピングモーター31を駆動することで、ステッピングモーター31に対する調整ネジブロック32の位置を変えることができ、そのことで、ベースプレート21に対してヘッド保持部22を回動方向D1及び回動方向D2に回動させることができる。なお、ベースプレート21に対してヘッド保持部22を回動させる際の回動軸は円柱部22a及び孔部21aとなる。さらに詳細には、該回動軸の中心は、図6で表されるノズル列Rの中央のノズルN0の位置となる。
【0025】
次に、本実施例の印刷装置1Aにおける画像の形成について、図3から図6を主に参照して説明する。最初に、図3を参照して、本実施例の印刷装置1Aで線状パターンPを膨潤しにくい印刷媒体Mに印刷する場合について説明する。印刷媒体Mは、その種類により、インクが塗布されることで膨潤するものや、収縮するものや、膨潤も収縮もほとんどしないものがある。図3で表される線状パターンPの形成状態は、印刷媒体Mとしてインクが塗布されても膨潤も収縮もほとんどしないものを使用した場合の一例である。
【0026】
本実施例の印刷装置1Aは、印刷媒体Mの所定領域に対して2パスで画像を形成することが可能な構成となっている。図3の最も左側の状態は、印刷媒体Mの所定領域に対して1パス目のインクI1の吐出動作を実行する直前の状態を表している。なお、図3の最も左側の状態においては、ノズル列Rを構成するノズルNが並ぶ方向である第1方向Eは、傾き角度Θが0°となる方向E1となっている。図3の最も左側の状態からキャリッジ20と共にヘッド10を相対移動方向Bのうちの方向B1に移動させつつ1パス目のインクI1の吐出動作を実行する。
【0027】
図3の左側から2番目の状態は、1パス目のインクI1の吐出動作を実行した直後の状態を表している。印刷媒体Mの所定領域には、ノズル列Rを構成する各ノズルNから吐出されたインクIが塗布されている。次に、図3の左側から3番目の状態は、2パス目のインクI2の吐出動作を実行する直前の状態を表している。具体的には、図3の左側から2番目の状態から、キャリッジ20と共にヘッド10を相対移動方向Bのうちの方向B2に移動させ、さらに、ノズル列Rを構成するノズルNの1ノズル分、印刷媒体Mの幅方向Aのうちの方向A1に、キャリッジ20と共にヘッド10を移動させる。なお、図3の左側から3番目の状態においても、ノズル列Rを構成するノズルNが並ぶ方向である第1方向Eは、傾き角度Θが0°となる方向E1となっている。
【0028】
そして、図3の左側から3番目の状態からキャリッジ20と共にヘッド10を相対移動方向Bのうちの方向B1に移動させつつ2パス目のインクI2の吐出動作を実行する。図3の最も右側の状態は、2パス目のインクI2の吐出動作を実行した直後の状態を表している。印刷媒体Mとしてインクが塗布されても膨潤も収縮もほとんどしないものを使用した場合、図3の最も右側の状態で表されるように、掠れなどのない好ましい線状パターンPが形成される。
【0029】
次に、図4及び図5を参照して、本実施例の印刷装置1Aで線状パターンPを膨潤しやすい印刷媒体Mに印刷する場合について説明する。ここで、図4は敢えて傾き角度Θを0°としたまま印刷した場合を表し、図5は印刷媒体Mの膨潤度合いに対応させて傾き角度Θを1パス目と2パス目とで変えて印刷した場合を表している。図4の最も左側の状態は、印刷媒体Mの所定領域に対して1パス目のインク吐出動作を実行する直前の状態を表している。なお、図3の最も左側の状態と同様、図4の最も左側の状態においても、ノズル列Rを構成するノズルNが並ぶ方向である第1方向Eは、傾き角度Θが0°となる方向E1となっている。図4の最も左側の状態からキャリッジ20と共にヘッド10を相対移動方向Bのうちの方向B1に移動させつつ1パス目のインクI1の吐出動作を実行する。
【0030】
図4の左側から2番目の状態は、1パス目のインクI1の吐出動作を実行した直後の状態を表している。印刷媒体Mの所定領域には、ノズル列Rを構成する各ノズルNから吐出されたインクIが塗布されている。次に、図4の左側から3番目の状態は、2パス目のインクI2の吐出動作を実行する直前の状態を表している。具体的には、図4の左側から2番目の状態から、キャリッジ20と共にヘッド10を相対移動方向Bのうちの方向B2に移動させ、さらに、ノズル列Rを構成するノズルNの1ノズル分、印刷媒体Mの幅方向Aのうちの方向A1に、キャリッジ20と共にヘッド10を移動させる。なお、図4の左側から3番目の状態においても、ノズル列Rを構成するノズルNが並ぶ方向である第1方向Eは、傾き角度Θが0°となる方向E1となっている。
【0031】
しかしながら、膨潤しやすい印刷媒体MにインクI1が塗布されると、図4の左側から3番目の状態においては、図4の左側から2番目の状態や図3の左側から3番目の状態と比較すると明らかなように、印刷媒体Mが幅方向Aに対応する膨潤方向Sに膨潤する。そして、図4の左側から3番目の状態からキャリッジ20と共にヘッド10を相対移動方向Bのうちの方向B1に移動させつつ2パス目のインクI2の吐出動作を実行する。図4の最も右側の状態は、2パス目のインクI2の吐出動作を実行した直後の状態を表している。印刷媒体Mとしてインクが塗布されると膨潤しやすいものを使用した場合、図4の最も右側の状態で表されるように、特に幅方向Aの端部において隙間Gが形成されて掠れた線状パターンPが形成される虞がある。
【0032】
そこで、本実施例の印刷装置1Aにおいては、このように掠れた線状パターンPが形成されることを抑制するために、1パス目と2パス目とでノズルNが並ぶ方向である第1方向Eを異ならせることができる。図5の最も左側の状態は、印刷媒体Mの所定領域に対して1パス目のインク吐出動作を実行する直前の状態を表している。なお、図3の最も左側の状態や図4の最も左側の状態とは異なり、図5の最も左側の状態においては、ノズル列Rを構成するノズルNが並ぶ方向である第1方向Eは、傾き角度Θが0°よりも大きい角度となる方向E2となっている。第1方向Eをこのような方向E2とすることで、相対移動方向Bから見た線状パターンPの幅方向Aの長さを短くしている。そして、図5の最も左側の状態からキャリッジ20と共にヘッド10を相対移動方向Bのうちの方向B1に移動させつつ1パス目のインクI1の吐出動作を実行する。
【0033】
図5の左側から2番目の状態は、1パス目のインクI1の吐出動作を実行した直後の状態を表している。印刷媒体Mの所定領域には、ノズル列Rを構成する各ノズルNから吐出されたインクIが塗布されている。ただし、上記のように、相対移動方向Bから見た線状パターンPの幅方向Aの長さは、図3の左側から2番目の状態や図4の左側から2番目の状態のときよりも短くなっている。次に、図5の左側から3番目の状態は、2パス目のインクI2の吐出動作を実行する直前の状態を表している。具体的には、図5の左側から2番目の状態から、キャリッジ20と共にヘッド10を相対移動方向Bのうちの方向B2に移動させ、さらに、ノズル列Rを構成するノズルNの1ノズル分、印刷媒体Mの幅方向Aのうちの方向A1に、キャリッジ20と共にヘッド10を移動させる。なお、図5の左側から3番目の状態においては、ノズル列Rを構成するノズルNが並ぶ方向である第1方向Eは、傾き角度Θが0°となる方向E1となっている。
【0034】
しかしながら、膨潤しやすい印刷媒体MにインクI1が塗布されると、図5の左側から3番目の状態においても、印刷媒体Mが幅方向Aに対応する膨潤方向Sに膨潤する。すると、相対移動方向から見た線状パターンPの幅方向Aの長さは、図3の左側から3番目の状態における相対移動方向から見た線状パターンPの幅方向Aの長さと同等になる。これは、予めインクIを印刷媒体Mに塗布させるとどの程度印刷媒体Mが膨潤するかを調べておき、その膨潤度合いに合わせて方向E2を設定したためである。そして、図5の左側から3番目の状態からキャリッジ20と共にヘッド10を相対移動方向Bのうちの方向B1に移動させつつ2パス目のインクI2の吐出動作を実行する。図5の最も右側の状態は、2パス目のインクI2の吐出動作を実行した直後の状態を表している。印刷媒体Mとしてインクが塗布されると膨潤しやすいものを使用したにもかかわらず、図5の最も右側の状態で表されるように、好ましい線状パターンPが形成される。
【0035】
このように、本実施例の印刷装置1Aは、印刷媒体Mの所定領域に対して複数パスで画像を形成する際に、複数パスのうちの第1パスとしての1パス目と複数パスのうちの第1パスとは異なる第2パスとしての2パス目とで第1方向Eの傾き角度Θを異ならせるように、ベースプレート21に対してヘッド保持部22を回動させることができる。なお、その際の装置全体の制御は、制御部4により行われる。
【0036】
例えば、上記のように、第1パスとしての1パス目の印刷に伴って印刷媒体Mに吐出されたインクにより印刷媒体Mが膨潤する場合であっても、1パス目の印刷の際に第1方向Eの傾き角度Θを大きくして1パス目の印刷幅を狭くし、第2パスとしての2パス目の印刷の際に第1方向Eの傾き角度Θを小さくして2パス目の印刷幅を広くなるようにすることで、1パス目の印刷の終了後に印刷幅が印刷媒体Mの膨潤により広くなっても、1パス目でのインクI1の着弾位置に対する2パス目でのインクI2の着弾位置のずれを小さくすることができる。別の表現をすると、本実施例の印刷装置1Aは、膨潤しやすい印刷媒体Mに印刷する際、先のパスよりも後のパスの方が傾き角度Θを小さくして印刷することで、インクIの着弾位置のずれを小さくすることができる構成となっている。したがって、本実施例の印刷装置1Aは、インクIの着弾により印刷媒体Mが伸縮し画像に掠れなどが生じることを抑制することができる。
【0037】
ここで、本実施例の印刷装置1Aは、上記のように、2パスで印刷媒体Mに対して画像を形成することができるが、さらに、4パス及び6パスでも印刷媒体Mに対して画像を形成することができる。この場合、第1パス及び第2パスは、異なるパスであれば、どのパスであってもよい。上記では、第1パスを1パス目のパスとし、第2パスを2パス目のパスとしたが、これは逆に考えてもよく、さらに、例えば、4パス及び6パスでも印刷媒体Mに対して画像を形成する場合は、第1パスを3パス目のパスとし、第2パスを4パス目のパスなどとしてもよい。すなわち、複数パスにおける少なくとも2つのパスにおいて、膨潤しやすい印刷媒体Mに印刷する際には先のパスよりも後のパスの方が傾き角度Θを小さくして印刷することができ、収縮しやすい印刷媒体Mに印刷する際には先のパスよりも後のパスの方が傾き角度Θを大きくして印刷することができる構成であればよい。
【0038】
以下に、図6を参照して、本実施例の印刷装置1Aにおける第1方向Eの傾き角度Θを決定する方法を説明する。なお、本実施例の印刷装置1Aは、様々な印刷条件で画像を形成することができる。具体的には、複数種類の印刷媒体Mに対して画像を形成することができ、複数種類のパス数で印刷媒体Mに対して画像を形成することができ、さらに、1パス当りで吐出するインクIの吐出量を変更して印刷媒体Mに対して画像を形成することができる。ここで、パス数とは、単位面積に対しインクIを何回のパスで吐出するかを表している。別の表現をすると、パス数とは、画像の単位面積を何回のパスで形成するかを表している。そして、本実施例の印刷装置1Aは、これらの印刷条件の各々の組み合わせに対して、印刷媒体Mが幅方向Aにどの程度伸縮するかについて記憶部5に記憶されており、その伸縮度合いに対応する第1方向Eの傾き角度Θが記憶されている。
【0039】
図6は、図5に対応し、2パスで画像を形成する場合であって1パス目で印刷媒体MにインクIを吐出することに伴って幅方向Aにおける中心位置から距離L2ぶん印刷媒体Mが幅方向Aに伸びる場合における、1パス目の第1方向Eである方向E2と、2パス目の第1方向Eである方向E1と、を表している。ここで、幅方向Aにおける中心位置であるノズルN0から幅方向Aにおける端部のノズルN1及びノズルN3までの距離を距離L1とする。ノズルN0からノズルN1までにおいて、2パス目での印刷時においては1パス目で印刷された画像は距離L2ぶん幅方向Aに伸びるので、1パス目を2パス目よりも距離L2ぶん幅方向Aにおいて短くなるように第1方向Eを設定すればよい。図6において、ノズルN2は、第1方向Eを相対移動方向Bと直交する方向に対して0°の角度をなす方向E1とした場合の、ノズルN1から距離L2ぶんノズルN0に向かう方向に位置するノズルNである。そこで、ノズルN1の位置が相対移動方向BにおいてノズルN2と同じ位置になるように方向E2を定めればよい。ここで、ノズルN2、ノズルN0、ノズルN3を順に結ぶ直線で構成される角度は傾き角度Θに対応する。そして、L2は、L1-L1cosΘと表すことができる。このような関係から、インクIを吐出した際の印刷媒体Mの伸縮距離を予め把握しておくことで、第1方向Eの傾き角度Θを算出することができる。
【0040】
そして、本実施例の印刷装置1Aの記憶部5には、印刷媒体Mの種別と、1パス当りで吐出するインクIの吐出量と、パス数と、に基づいて予め定められた、第1方向Eの傾き角度Θが各々のパスに対応して記憶されている。そして、制御部4は、これらの印刷条件に基づいて、記憶部5に記憶された第1方向Eの傾き角度Θから画像の形成の際に設定される設定傾き角度を決定し、設定傾き角度に基づいて駆動部30を制御する。なお、図5及び図6に対応する設定傾き角度は、1パス目が方向E2に対応する角度であり、2パス目が方向E1に対応する角度としての0°である。このように、予め1パス目の印刷に伴って印刷媒体Mに吐出されたインクIにより印刷媒体Mがどの程度伸縮するかを1パス目及び2パス目の各々に対して上記の条件ごとに記憶部5に記憶させておくことで、好ましい設定傾き角度を簡単かつ正確に決定することができる。したがって、ユーザーの手間と制御部4の制御の複雑化とを抑制することができる。
【0041】
ここで、本実施例の印刷装置1Aの記憶部5に記憶される、印刷媒体Mの種別と、1パス当りで吐出するインクIの吐出量と、パス数と、に基づいて予め定められた、各パスにおける第1方向Eの傾き角度Θを表すテーブルを下記表1に示す。なお、印刷媒体Mの種別により、伸縮しやすいものと伸縮しにくいものがある。また、インクIの吐出量が多いと、印刷媒体Mを伸縮させやすくなる。また、パス数が少ないと、1パス当りで吐出するインクIの吐出量が増えるので、印刷媒体Mが伸縮しやすくなる。
【0042】
【表1】
【0043】
表1は一例であるが、印刷媒体Mの種別が紙で、1パス当りで吐出するインクIの吐出量が7.2~14.4mg/inchで、パス数が6の場合、1パス目では第1方向Eの傾き角度Θを12°とし、2パス目では第1方向Eの傾き角度Θを7°とし、3パス目では第1方向Eの傾き角度Θを3°とし、4パス目から6パス目では第1方向Eの傾き角度Θを0°とする。また、印刷媒体Mの種別が紙で、1パス当りで吐出するインクIの吐出量が7.2mg/inch未満で、パス数が6の場合、1パス目では第1方向Eの傾き角度Θを6°とし、2パス目では第1方向Eの傾き角度Θを3°とし、3パス目から6パス目では第1方向Eの傾き角度Θを0°とする。また、印刷媒体Mの種別がフィルムで、1パス当りで吐出するインクIの吐出量が14.4mg/inch未満で、パス数が6の場合、1パス目から3パス目では第1方向Eの傾き角度Θを0°とし、4パス目では第1方向Eの傾き角度Θを2°とし、5パス目では第1方向Eの傾き角度Θを2°とし、6パス目では第1方向Eの傾き角度Θを4°とする。フィルムは、インクが吐出されると程度は小さいながら収縮する特徴を有するためである。また、印刷媒体Mの種別が紙で、1パス当りで吐出するインクIの吐出量が7.2~14.4mg/inchで、パス数が4の場合、1パス目では第1方向Eの傾き角度Θを17°とし、2パス目では第1方向Eの傾き角度Θを12°とし、3パス目では第1方向Eの傾き角度Θを7°とし、4パス目では第1方向Eの傾き角度Θを3°とする。
【0044】
[実施例2]
次に、実施例2の印刷装置1Bについて、図7を用いて説明する。なお、図7は実施例1の印刷装置1Aにおける図1に対応する図である。図7において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Bは、下記で説明する部分の構成以外は実施例1の印刷装置1Aと同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Bは、実施例1の印刷装置1Aと同様の特徴を有している。
【0045】
上記のように、実施例1の印刷装置1Aにおいては、ベースプレート21に対してヘッド保持部22を回動させる際の回動軸は円柱部22a及び孔部21aであった。このため、実施例1の印刷装置1Aにおいては、ノズルN0の位置が回動軸の中心位置となっていた。一方、図3で表されるように、本実施例の印刷装置1Bは、ベースプレート21に対してヘッド保持部22を回動させる際の回動軸23を備えている。なお、本実施例の印刷装置1Bのベースプレート21にも、実施例1の印刷装置1Aと同様、ノズルNが印刷媒体Mと対向する位置に、不図示の孔部が形成されている。そして、回動軸23の位置は、ノズル列Rとは異なる位置にある。このように、回動軸の形状や位置に特に限定は無い。
【0046】
[実施例3]
次に、実施例3の印刷装置1Cについて、図8を用いて説明する。なお、図8は実施例1の印刷装置1Aにおける図1に対応する図であり。図8において上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。ここで、本実施例の印刷装置1Cは、下記で説明する部分の構成以外は実施例1及び実施例2の印刷装置1と同様の構成をしている。このため、下記で説明する部分以外に関しては、本実施例の印刷装置1Cは、実施例1及び実施例2の印刷装置1と同様の特徴を有している。
【0047】
上記のように、実施例1及び実施例2の印刷装置1は、キャリッジモーター6を駆動させることで、ヘッド10を搭載したキャリッジ20をプラテン2に支持された印刷媒体Mに対して相対移動方向Bにおける方向B1及び方向B2移動させて印刷する構成であった。一方、本実施例の印刷装置1Cは、ヘッド10を搭載したキャリッジ20を移動させるのではなく、搬送モーター7を駆動させることで、キャリッジ20に対して印刷媒体Mを相対移動方向Bにおける搬送方向B3に移動させて印刷する構成である。
【0048】
本実施例の印刷装置1Cは、図8で表されるように、キャリッジ20として、シアンインクを吐出させるヘッド10を搭載したキャリッジ20C、マゼンタインクを吐出させるヘッド10を搭載したキャリッジ20M、イエローインクを吐出させるヘッド10を搭載したキャリッジ20Y、ブラックインクを吐出させるヘッド10を搭載したキャリッジ20K、を備えている。詳細には、搬送方向B3における上流側から下流側への順に、キャリッジ20C、キャリッジ20M、キャリッジ20Y、キャリッジ20K、と配置している。なお、キャリッジ20C、キャリッジ20M、キャリッジ20Y及びキャリッジ20Kは、いずれも、搬送方向B3に沿う相対移動方向Bに移動しないこと以外は実施例2の印刷装置1Bのキャリッジ20と同様の構成である。
【0049】
すなわち、本実施例の印刷装置1Cは、印刷媒体Mを搬送する搬送部を構成する搬送モーター7と、印刷媒体Mの搬送経路において、印刷媒体Mの画像形成面M1と対向する位置に配置される複数のヘッド10と、を備えている。そして、各々のヘッド10に対応して、ベースプレート21と、ヘッド10を保持した状態でベースプレート21に対して回動軸23を中心として回動可能なヘッド保持部22と、回動軸23を中心としてヘッド保持部22を回動させる駆動部30と、を有し、傾き角度Θを変えることが可能なヘッド角度調整部としての役割を有するキャリッジ20を備えている。
【0050】
ここで、本実施例の印刷装置1Cは、ヘッド10として、印刷媒体MにインクIを吐出するノズルNが第1方向に複数並んで形成される第1ノズル列を有する第1ヘッドと、搬送方向B3において第1ヘッドよりも下流に配置され、印刷媒体MにインクIを吐出するノズルNが第2方向に複数並んで形成される第2ノズル列を有する第2ヘッドと、を備えていると表現することができる。例えば、キャリッジ20Cのヘッド10を第1ヘッドとした場合、キャリッジ20M、キャリッジ20Y及びキャリッジ20Kのヘッド10を第2ヘッドとみなすことができる。同様に、キャリッジ20Mのヘッド10を第1ヘッドとした場合、キャリッジ20Y及びキャリッジ20Kのヘッド10を第2ヘッドとみなすことができ、キャリッジ20Yのヘッド10を第1ヘッドとした場合、キャリッジ20Kのヘッド10を第2ヘッドとみなすことができる。
【0051】
また、本実施例の印刷装置1Cは、キャリッジ20として、第1ベースプレートと、第1ヘッドを保持した状態で第1ベースプレートに対して第1回動軸を中心として回動可能な第1ヘッド保持部と、第1回動軸を中心として第1ヘッド保持部を回動させる第1駆動部と、を有し、傾き角度Θとしての第1傾き角度を変える第1ヘッド角度調整部を備えているとともに、第2ベースプレートと、第2ヘッドを保持した状態で第2ベースプレートに対して第2回動軸を中心として回動可能な第2ヘッド保持部と、第2回動軸を中心として第2ヘッド保持部を回動させる第2駆動部と、を有し、傾き角度Θとしての第2傾き角度を変える第2ヘッド角度調整部を備えている、と表現することができる。例えば、キャリッジ20Cを第1ヘッド角度調整部とした場合、キャリッジ20M、キャリッジ20Y及びキャリッジ20Kのヘッド10を第2ヘッド角度調整部とみなすことができる。同様に、キャリッジ20Mのヘッド10を第1ヘッド角度調整部とした場合、キャリッジ20Y及びキャリッジ20Kのヘッド10を第2ヘッド角度調整部とみなすことができ、キャリッジ20Yのヘッド10を第1ヘッド角度調整部とした場合、キャリッジ20Kのヘッド10を第2ヘッド角度調整部とみなすことができる。
【0052】
また、本実施例の印刷装置1Cの制御部4は、画像を形成する際に、第1傾き角度と第2傾き角度とを異ならせるように、第1駆動部を制御して第1ベースプレートに対して第1ヘッド保持部を回動させるか、第2駆動部を制御して第2ベースプレートに対して第2ヘッド保持部を回動させるか、の少なくとも一方を行うことができる。例えば、図8では、制御部4の制御によって、各々のキャリッジ20においてノズル列Rを構成するノズルNの並ぶ方向に対応する方向Eが、キャリッジ20Cの方向E4、キャリッジ20Mの方向E3、キャリッジ20Yの方向E2、キャリッジ20Kの方向E1、となるにつれて、傾き角度Θが小さくなるように配置されている。
【0053】
本実施例の印刷装置1Cは、このような構成であるため、例えば、第1ヘッドでの印刷に伴って印刷媒体Mに吐出されたインクIにより印刷媒体Mが膨潤する場合であっても、第1ヘッドでの印刷の際に傾き角度Θを大きくして第1ヘッドでの印刷幅を狭くし、第2ヘッドでの印刷の際に傾き角度Θを小さくして第2ヘッドでの印刷幅を広くなるようにすることができる。こうすることで、第1ヘッドでの印刷の終了後に印刷幅が印刷媒体Mの膨潤により広くなっても、第1ヘッドからのインクの着弾位置に対する第2ヘッドからのインクの着弾位置のずれを小さくすることができる。別の表現をすると、本実施例の印刷装置1Cは、膨潤しやすい印刷媒体Mに印刷する際、搬送方向B3における上流側のヘッド10よりも搬送方向B3における下流側のヘッド10の方が傾き角度Θを小さくして印刷することで、インクIの着弾位置のずれを小さくすることができる構成となっている。したがって、本実施例の印刷装置1Cは、インクの着弾により印刷媒体が伸縮し画像に掠れなどが生じることを抑制することができる。
【0054】
ここで、上記のように本実施例の印刷装置1Cは4つのヘッド10で印刷媒体Mに対して画像を形成することができる構成であるが、2つまたは3つのヘッド10、或いは、5つ以上のヘッド10で印刷媒体Mに対して画像を形成することができる構成であってもよい。この場合、第1ヘッド及び第2ヘッドは、異なるヘッド10であれば、どのヘッド10であってもよい。すなわち、複数のヘッド10における少なくとも2つのヘッド10において、膨潤しやすい印刷媒体Mに印刷する際には搬送方向B3の上流側のヘッド10よりも搬送方向B3の下流側のヘッド10の方が傾き角度Θを小さくして印刷することができ、収縮しやすい印刷媒体Mに印刷する際には搬送方向B3の上流側のヘッド10よりも搬送方向B3の下流側のヘッド10の方が傾き角度Θを大きくして印刷することができる構成であればよい。
【0055】
また、本実施例の印刷装置1Cは記憶部5を備えるが、記憶部5には、印刷媒体Mの種別と、第1ヘッド及び第2ヘッドの各々で吐出するインクIの吐出量と、印刷媒体Mの搬送速度と、を含む印刷条件に基づいて予め定められた第1傾き角度及び第2傾き角度が記憶されている。そして、制御部4は、これらの印刷条件に基づいて、記憶部5に記憶された第1傾き角度及び第2傾き角度から第1設定傾き角度及び第2設定傾き角度を決定し、第1設定傾き角度に基づいて第1駆動部を制御するとともに、第2設定傾き角度に基づいて第2駆動部を制御することができる。本実施例の印刷装置1Cは、予め第1ヘッド及び第2ヘッドの各々での印刷に伴って印刷媒体Mに吐出されたインクIにより印刷媒体Mがどの程度伸縮するかを記憶部5に記憶させており、好ましい第1設定傾き角度及び第2設定傾き角度を簡単かつ正確に決定することができる。したがって、本実施例の印刷装置1Cは、ユーザーの手間と制御部4の制御の複雑化とを抑制することができている。
【0056】
ここで、本実施例の印刷装置1Cの記憶部5に記憶される、印刷媒体Mの種別と、1ヘッド当りで吐出するインクIの吐出量と、印刷速度と、に基づいて予め定められた、各ヘッド10における傾き角度Θを表すテーブルを下記表2に示す。なお、ここでは、1ヘッド目がキャリッジ20Cのヘッド10、2ヘッド目がキャリッジ20Mのヘッド10、3ヘッド目がキャリッジ20Yのヘッド10、4ヘッド目がキャリッジ20Kのヘッド10、に対応する。なお、印刷速度が遅いと、それだけ印刷媒体Mが伸縮する時間が長くなるので、印刷媒体Mが伸縮しやすくなる。
【0057】
【表2】
【0058】
表2は一例であるが、印刷媒体Mの種別が紙で、1ヘッド当りで吐出するインクIの吐出量が14.4mg/inchで、印刷速度が7.5m/分の場合、1ヘッド目では傾き角度Θを12°とし、2ヘッド目では傾き角度Θを7°とし、3ヘッド目では傾き角度Θを3°とし、4ヘッド目では傾き角度Θを0°とする。また、印刷媒体Mの種別が紙で、1ヘッド当りで吐出するインクIの吐出量が20mg/inch未満で、印刷速度が7.5m/分の場合、1ヘッド目では傾き角度Θを16°とし、2ヘッド目では傾き角度Θを10°とし、3ヘッド目では傾き角度Θを5°とし、4ヘッド目では傾き角度Θを0°とする。また、印刷媒体Mの種別が紙で、1ヘッド当りで吐出するインクIの吐出量が14.4mg/inchで、印刷速度が30m/分の場合、1ヘッド目では傾き角度Θを6°とし、2ヘッド目では傾き角度Θを3°とし、3ヘッド目と4ヘッド目では傾き角度Θを0°とする。また、印刷媒体Mの種別が紙で、1ヘッド当りで吐出するインクIの吐出量が14.4mg/inchで、印刷速度が50m/分の場合、1ヘッド目では傾き角度Θを3°とし、2ヘッド目では傾き角度Θを3°とし、3ヘッド目と4ヘッド目では傾き角度Θを0°とする。
【0059】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…印刷装置、1A…印刷装置、1B…印刷装置、1C…印刷装置、2…プラテン、4…制御部、5…記憶部、6…キャリッジモーター(移動機構)、7…搬送モーター(移動機構)、10…ヘッド、20…キャリッジ(ヘッド角度調整部)、20C…キャリッジ、20K…キャリッジ、20M…キャリッジ、20Y…キャリッジ、21…ベースプレート、21a…孔部、22…ヘッド保持部、22a…円柱部、22b…孔部、30…駆動部、31…ステッピングモーター、32…調整ネジブロック、33…調整ネジ、I…インク、I1…インク、I2…インク、M…印刷媒体、M1…画像形成面、N…ノズル、N0…ノズル、N1…ノズル、N2…ノズル、N3…ノズル、P…、R…ノズル列
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8