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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135620
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】シート搬送装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20240927BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65H5/00 B
B65H5/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046403
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】恩田 裕
【テーマコード(参考)】
3F049
3F101
【Fターム(参考)】
3F049AA10
3F049DA12
3F049EA17
3F049LA01
3F049LB03
3F101AB03
3F101AB09
3F101AB19
3F101LA01
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】搬送ローラの外周面の異物を効果的に除去する。
【解決手段】 一端部が搬送ローラの外周面に当接して設けられて前記外周面に付着している異物を掻き取る清掃部材41と、清掃部材41の他端部側に延設されて清掃部材41を支持する支持部材42とを備え、前記搬送ローラは正回転および逆回転可能に設けられる。支持部材42は弾性部材で形成されて、弾性変形することにより清掃部材41を移動可能に支持する。前記搬送ローラの回転に伴って清掃部材41は所定範囲で移動可能であり、支持部材42は弾性変形して、前記搬送ローラの回転方向の転換に伴って清掃部材41とともに弾性復帰するように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の搬送ローラによりシートを所定の方向に搬送するシート搬送装置であって、
一端部が一方の前記搬送ローラの外周面に当接して設けられて前記外周面に付着している異物を掻き取る清掃部材と、
前記清掃部材の他端部側に延設されて前記清掃部材を支持する支持部材とを備え、
前記搬送ローラは正回転および逆回転可能に設けられ、
前記支持部材は弾性部材で形成されて、弾性変形することにより前記清掃部材を移動可能に支持しており、
前記搬送ローラの回転に伴って前記清掃部材は所定範囲で移動するとともに前記支持部材は弾性変形し、
前記搬送ローラの回転方向の転換に伴って前記支持部材が前記清掃部材とともに弾性復帰するように構成されたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記清掃部材は、前記搬送ローラの回転軸の軸方向に沿う長尺の帯板状部材とされ、
前記軸方向に沿う前記清掃部材の長さは、搬送されるシートの前記軸方向に沿う長さより長いことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記清掃部材に対して、前記搬送ローラの正回転の回転方向の上流側には規制部材が配設され、
前記規制部材は、前記清掃部材に当接可能に備えられて、前記搬送ローラの逆回転時に前記清掃部材に当接して前記清掃部材の前記上流側への移動を規制するように設けられたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記清掃部材に対して、前記搬送ローラの正回転の回転方向の上流側にはシート状の補助部材が配設され、
前記補助部材は可撓性を有するとともに前記回転方向の下流側に傾倒した状態で支持されており、前記搬送ローラの回転停止時には変形して先端部側が前記清掃部材に密接状態で設けられ、
前記搬送ローラの正回転時には前記清掃部材の移動に伴って前記補助部材の先端部側が前記清掃部材の他端部寄りに位置し、
前記搬送ローラの逆回転時には前記清掃部材の移動に伴って前記補助部材の先端部側が前記清掃部材の他端部側から一端部側へと摺動して、前記清掃部材から異物を掻き取ることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記搬送ローラは、所定のタイミングで回転方向の転換を行うことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
前記清掃部材は弾性発泡体または不織布により形成されてなることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずか1つの請求項に記載のシート搬送装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート搬送装置およびそのシート搬送装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、感光体ドラムなどに形成されたトナー画像をシートに転写する際、シートをレジストローラで一旦保持し、感光体ドラムの回転タイミングに合わせてシートを転写ニップ部に搬送する。シートは、給紙部から引き出されて、シート搬送路を通じて搬送され、レジストローラを経由して、画像形成部へと送られる。このようなシートの搬送過程では、レジストローラ等のシート搬送ローラにはシートの紙粉が付着しやすい。シート搬送ローラに紙粉が付着したままであると、シートが紙粉で滑り搬送遅れが生じて画像形成の位置ずれが起こったり、紙粉がシートとともに画像形成部に送られたりして、トラブルの要因となる。そのため、長期使用に際しては定期的にサービスマンによる清掃やメンテナンスが必要となっていた。
【0003】
例えば特許文献1には、用紙搬送装置として、用紙搬送ローラに付着した紙粉を除去する第1および第2紙粉除去シートと、除去された紙粉を収容する紙粉受けとを備えた構成とすることが開示されている。第2紙粉除去シートは第1紙粉除去シートの下方に設けられており、第1および第2紙粉除去シートの先端はレジストローラ対の従動ローラに当接して設けられる。第1紙粉除去シートと従動ローラとに接するブラシローラは、堆積した紙粉をその回転により紙粉受けに送り込むものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-197215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の用紙搬送装置の構成では、第1紙粉除去シートに対してブラシローラを離接可能および移動可能に設けていることから、ブラシローラの機構が複雑化し、ブラシローラおよび紙粉受けを設置するスペースが必要となって、装置の大型化やコストの増大は避けられないものとなる。
【0006】
本開示は、前記のような問題点にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、装置の大型化を招くことなくコストを抑えて、搬送ローラに付着する紙粉等の異物を除去可能とするシート搬送装置およびそのシート搬送装置を備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための本開示の解決手段は、一対の搬送ローラによりシートを所定の方向に搬送するシート搬送装置において、一端部が一方の前記搬送ローラの外周面に当接して設けられて前記外周面に付着している異物を掻き取る清掃部材と、前記清掃部材の他端部側に延設されて前記清掃部材を支持する支持部材とを備え、前記搬送ローラは正回転および逆回転可能に設けられ、前記支持部材は弾性部材で形成されて、弾性変形することにより前記清掃部材を移動可能に支持しており、前記搬送ローラの回転に伴って前記清掃部材は所定範囲で移動するとともに前記支持部材は弾性変形し、前記搬送ローラの回転方向の転換に伴って前記支持部材が前記清掃部材とともに弾性復帰するように構成されたことを特徴としている。
【0008】
また、前記構成を有するシート搬送装置において、前記清掃部材は、前記搬送ローラの回転軸の軸方向に沿う長尺の帯板状部材とされ、前記軸方向に沿う前記清掃部材の長さは、搬送されるシートの前記軸方向に沿う長さより長いことが好ましい。
【0009】
また、前記構成を有するシート搬送装置において、前記清掃部材に対して、前記搬送ローラの正回転の回転方向の上流側には規制部材が配設され、前記規制部材は、前記清掃部材に当接可能に備えられて、前記搬送ローラの逆回転時に前記清掃部材に当接して前記清掃部材の前記上流側への移動を規制するように設けられてもよい。
【0010】
また、前記構成を有するシート搬送装置において、前記清掃部材に対して、前記搬送ローラの正回転の回転方向の上流側にはシート状の補助部材が配設され、前記補助部材は可撓性を有するとともに前記回転方向の下流側に傾倒した状態で支持されており、前記搬送ローラの回転停止時には変形して先端部側が前記清掃部材に密接状態で設けられ、前記搬送ローラの正回転時には前記清掃部材の移動に伴って前記補助部材の先端部側が前記清掃部材の他端部寄りに位置し、前記搬送ローラの逆回転時には前記清掃部材の移動に伴って前記補助部材の先端部側が前記清掃部材の他端部側から一端部側へと摺動して、前記清掃部材から異物を掻き取るように構成されてもよい。
【0011】
また、前記構成を有するシート搬送装置において、前記搬送ローラは、所定のタイミングで回転方向の転換を行うことが好ましい。
【0012】
また、前記構成を有するシート搬送装置において、前記清掃部材は弾性発泡体または不織布により形成されてなることが好ましい。
【0013】
また、上述した各解決手段に係るシート搬送装置を備える画像形成装置も本開示の技術的思想の範疇とされている。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、シート搬送装置として装置の大型化を招くことなくコストを抑えつつも搬送ローラに付着する紙粉等の異物を除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
図2A】本開示の実施形態1に係るシート搬送装置を模式的に示す説明図である。
図2B】前記シート搬送装置の構成をレジストローラの軸方向に直交する方向から見て示す説明図である。
図3】前記シート搬送装置におけるレジストローラの正回転時の様子を前記軸方向に見て模式的に示す説明図である。
図4】前記シート搬送装置におけるレジストローラの逆回転時の様子を前記軸方向に見て模式的に示す説明図である。
図5】本開示の実施形態2に係るシート搬送装置を模式的に示す説明図である。
図6】前記シート搬送装置におけるレジストローラの正回転時の様子を前記軸方向に見て模式的に示す説明図である。
図7】前記シート搬送装置におけるレジストローラの逆回転時の様子を前記軸方向に見て模式的に示す説明図である。
図8】本開示の実施形態3に係るシート搬送装置を模式的に示す説明図である。
図9】前記シート搬送装置におけるレジストローラの正回転時の様子を前記軸方向に見て模式的に示す説明図である。
図10】前記シート搬送装置におけるレジストローラの逆回転時の様子を前記軸方向に見て模式的に示す説明図である。
図11A】本開示の他の実施形態に係るシート搬送装置の第1例を模式的に示す説明図である。
図11B】本開示の他の実施形態に係るシート搬送装置の第2例を模式的に示す説明図である。
図11C】本開示の他の実施形態に係るシート搬送装置の第3例を模式的に示す説明図である。
図12】比較例に係るレジストローラの正回転時の様子を模式的に示す説明図である。
図13】比較例に係るレジストローラの逆回転時の様子を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態に係る剥離装置およびその剥離装置を備える画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
(画像形成装置の全体構成)
図1は、本開示の実施形態に係る画像形成装置1の概略側面図である。
【0018】
画像形成装置1は、スキャナ機能、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を有する複合機であり、画像読取装置18によって読み取られた原稿の画像を外部に送信し(スキャナ機能に相当する)、また、読み取られた原稿の画像または外部から受信した画像をカラーもしくは単色で記録用紙等のシートに画像形成する(複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能に相当する)。
【0019】
画像形成装置1は、シート搬送装置10、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、給紙装置17、画像読取装置18、画像転写部20、および定着部27等を備えている。例示の形態に係る画像形成装置1では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。
【0020】
画像読取装置18は、画像形成装置1の上部に設けられ、原稿または原稿搬送部(ADF)から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。画像転写部20には、4種類のトナー像を形成するための現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電器15が4つずつ設けられて、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応するよう、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0021】
ドラムクリーニング装置14は、感光体ドラム13の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電器15は、感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置11は、感光体ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置12は、感光体ドラム13の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13の表面にトナー像を形成する。このような一連の動作によって、各感光体ドラム13の表面に各色のトナー像が形成される。
【0022】
感光体ドラム13の上側には、中間転写ベルト21を介して中間転写ローラ16が配置されている。中間転写ベルト21はトナー像が形成される像担持体であり、転写駆動ローラ22および転写従動ローラ23に張架されて矢符C方向へ回転(周回移動)する。各感光体ドラム13の表面に形成された各色のトナー像が転写(1次転写)されて重ね合わされることで、中間転写ベルト21の表面にはカラーのトナー像が形成される。
【0023】
2次転写部25の転写ローラ26は、中間転写ベルト21との間にニップ域(2次転写位置)を形成しており、シート搬送路31を通じて搬送されたシートをニップ域に挟み込んで搬送する。シートは、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト21の表面のトナー像が転写されて定着部27に搬送される。中間転写ベルト21上に残ったトナー等はベルトクリーニング装置24によって回収される。
【0024】
定着部27は、シートを挟んで回転する定着ローラ28および加圧ローラ29を備えている。定着部27は、定着ローラ28および加圧ローラ29の間にトナー像が転写されたシートを挟み込んで加熱および加圧し、トナー像をシートに定着させる。
【0025】
給紙装置17は、画像形成に使用するシートを収容しており、光走査装置11の下側に設けられている。シートは、ピックアップローラ33によって給紙装置17から引き出されて、シート搬送装置10のシート搬送路31を通じて送りローラ34等を介して所定のシート搬送方向に搬送され、2次転写部25や定着部27を経由し、排紙ローラ36を介して排紙トレイ37へと搬送される。
【0026】
シート搬送路31には、シートの搬送を促す複数の搬送ローラ対が備えられている。シート搬送路31に備えられる種々の搬送ローラ対のうち1つであるレジストローラ35は、シートを一旦停止させて、シートの先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ26との間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせてシートの搬送を開始するように構成されている。
【0027】
シートの表面だけでなく裏面にも画像形成を行う場合は、シートを排紙ローラ36からシート反転搬送路32へと逆方向に搬送して、シートの表裏を反転させ、シートをレジストローラ35へと再度導き、表面と同様にして裏面に画像形成を行い、シートを排紙トレイ37へと搬送する。
【0028】
(シート搬送装置)
画像形成装置1には、前記のとおり、記録用紙等のシートを搬送するシート搬送装置10が設けられている。シート搬送装置10は、さらに、シート搬送路31に設けられた搬送ローラに付着した異物を掻き取るための清掃部材と、その清掃部材を支持する支持部材とを備えて構成されている。シート搬送装置10における清掃部材等の構成には複数の実施形態が可能であり、それらのうち、搬送ローラの1つとしてレジストローラにおいて異物を除去する清掃部材等が設けられる場合を例に挙げて、以下説明する。なお、各形態において基本構成は共通することから、その共通する構成は共通の参照符号により示すことで重複する説明を省略する。
【0029】
(実施形態1)
図2Aおよび図2Bは、本開示の実施形態1に係るシート搬送装置10の清掃部材41を模式的に示す説明図である。図2Aでは、シート搬送装置10に設けられたレジストローラ35を軸方向Xに見て示し、図2Bでは、レジストローラ35を軸方向Xに直交する方向から見て示している。なお、図2Bでは、支持部材42の記載を省略して示している。
【0030】
シート搬送装置10に備えられる搬送ローラの一つであるレジストローラ35は、第1ローラ351と第2ローラ352との対で構成されており、いずれか一方が駆動ローラとされて駆動回転し、他方が駆動ローラの回転によって従動回転する従動ローラとされている。
【0031】
清掃部材41は、レジストローラ35の一方の例えば第1ローラ351に接触させて設けられている。図2Aに示すように、清掃部材41の一端部は第1ローラ351の外周面に当接し、清掃部材41の他端部は支持部材42に接続されている。清掃部材41は支持部材42によって本体部44に支持されている。
【0032】
図2Bに示すように、清掃部材41は、レジストローラ35の第1ローラ351の回転軸の軸方向Xに沿う長尺の帯板状部材とされている。軸方向Xに沿う清掃部材41の長さL1は、少なくとも、搬送されるシートSの軸方向Xに沿う長さであるシート幅L3より長く設けられている。また、清掃部材41の長さL1は、第1ローラ351の軸方向Xに沿う長さL2と同等であるか長さL2よりも僅かに短く設けられてもよい。例えば、シートSのシート幅L3は297mmであるのに対して、第1ローラ351の長さL2は330mmとされ、清掃部材41の長さL1は325mmとされることが好ましい。
【0033】
支持部材42は、弾性部材からなる板状材であり、支持する清掃部材41が第1ローラ351の外周面に当接するように設けられる。弾性部材としては、例えば合成樹脂、硬質ゴム、薄板金属バネなどの中から適切な弾性を有するものを適宜選択することができる。清掃部材41は、例えばスポンジ材等の弾性発泡体またはフェルト等の不織布から形成され、第1ローラ351の外周面に臨む一端部(先端部)側が、第1ローラ351の軸方向Xに平行な直線状に設けられている。
【0034】
図3および図4は、シート搬送装置10の作動時の様子を軸方向Xに見て模式的に示す説明図である。レジストローラ35は、例えば駆動ローラとされた第1ローラ351が正回転および逆回転可能に設けられている。第2ローラ352は第1ローラ351の回転に従動して回転する。シート搬送路31に沿ってシートを搬送する際には、図3に示すように、レジストローラ35の第1ローラ351は回転方向R1に正回転するように駆動される。
【0035】
このとき、清掃部材41は、第1ローラ351の外周面に当接して設けられていることにより、第1ローラ351の回転方向R1の正回転に伴って、第1ローラ351の外周面に所定の圧力で当接しつつ摺動する。第1ローラ351の外周面に紙粉等の異物が付着していると、清掃部材41によってその異物が掻き取られる。
【0036】
また、支持部材42は弾性部材で形成されているので、第1ローラ351が回転すると、図3に示すように、清掃部材41および支持部材42は一体となって回転方向R1の下流側(図中右側)に曲がりながら撓み、清掃部材41が第1ローラ351の外周面に当接した状態を保つ。支持部材42は弾性変形しつつ清掃部材41を支持する。支持部材42が弾性変形することで、第1ローラ351の回転に伴って清掃部材41が移動するのを所定範囲で許容する。
【0037】
画像形成装置1では、給紙装置17から供給されたシートがレジストローラ35まで搬送される。シートはレジストローラ35によって、シートと感光体ドラム13上のトナー像とを整合するタイミングで2次転写部25に搬送される。多数枚のシートに画像形成がなされる過程で第1ローラ351の外周面に付着した異物は、回転方向R1の正回転に伴って清掃部材41に掻き取られ、第1ローラ351から除去される。
【0038】
その後、レジストローラ35が正回転と逆回転とで回転方向が転換するのに伴って、支持部材42は、清掃部材41とともに弾性復帰する。例えば、レジストローラ35は、所定のタイミングで第1ローラ351の回転方向R1を転換させ、反対方向の回転方向R2に駆動される。図4に示すように、第1ローラ351が回転方向R2に逆回転すると、支持部材42の弾性復帰する勢いで、清掃部材41が回転方向R2に弾かれる。支持部材42は回転方向R2の下流側(図中左側)に撓む。清掃部材41に掻き取られた紙粉等の異物90は、支持部材42が弾性復帰する際の付勢力で飛散し、清掃部材41から剥離して除去されることとなる。
【0039】
図12および図13は、比較例としてのレジストローラ91の作動時の様子を示し、清掃部材92が弾性変形する支持部材に支持されず、直接、本体部93に固定されている。この場合、図12に示すように、第1ローラ911が回転方向R1に正回転するとともに、第2ローラ912がそれに追従して回転しても、清掃部材92は直立姿勢のまま移動することがない。清掃部材92は第1ローラ911に付着している紙粉等の異物90を掻き取るが、異物90はそのまま清掃部材92に付着したまま留まり、堆積することとなる。
【0040】
仮に、図13に示すように第1ローラ911を回転方向R2に逆回転させたとしても、清掃部材92は直立姿勢を維持したままであるので、異物90は堆積したままとなる。異物90は、搬送されるシートに付着しやすく、シートが滑って搬送遅れが生じたり、2次転写部25まで送られたりして、画像形成の位置ずれ等の要因となりかねない。そのため、定期的にサービスマンによる清掃が必要となり、清掃部材92を本体部93から取り外し、クリーナー等で異物90を吸引除去する作業を行わなければならない。
【0041】
これに対して、本実施形態に係るシート搬送装置10においては、清掃部材41で異物90を掻き取るだけでなく、第1ローラ351を逆回転させることで、支持部材42の弾性反発力を利用して異物90を清掃部材41から剥離させることができ、異物90を効果的に除去することが可能となる。このような構成によれば、シート搬送装置10として装置の大型化を招くことなくコストを抑えつつも、レジストローラ35に付着する紙粉等の異物90を容易に除去することが可能となる。また、サービスマンによる清掃やメンテナンスの頻度も減らすことができる。
【0042】
レジストローラ35を逆回転させるタイミングは、画像形成装置1において画像形成動作を行っていないタイミングとされる。例えば、逆回転のタイミングとしては、画像形成装置1の画像形成動作の終了後、または開始前とすることができる。また、例えば、画像形成のなされたシートの枚数が一定枚数になったタイミングで、レジストローラ35を逆回転させてもよい。また、レジストローラ35の正回転から逆回転への回転方向の切り替え時間は、逆回転から正回転への回転方向の切り替え時間よりも短いことが好ましく、短時間に回転方向の転換がなされる。そのため、支持部材42の弾性反発力を利用して効果的に異物90を清掃部材41から飛散させることができる。
【0043】
なお、支持部材42に支持された清掃部材41を設ける搬送ローラとしては、レジストローラ35の第1ローラ351であるに限らず、第2ローラ352であってもよく、また、シート搬送路31に設けられる他の種々の搬送ローラであってもよい。
【0044】
(実施形態2)
図5図7は、本開示の実施形態2に係るシート搬送装置10を模式的に示す説明図である。図5では、レジストローラ35の回転停止時、図6ではレジストローラ35の正回転時、図7ではレジストローラ35の逆回転時の様子を示している。
【0045】
この形態に係るシート搬送装置10では、レジストローラ35の第1ローラ351に当接する清掃部材41と、清掃部材41を支持する支持部材42に加えて、さらに規制部材43が設けられている。図5および図6に示すように、第1ローラ351の正回転の回転方向R1の上流側(図中左側)には、規制部材43が配設されている。規制部材43は固定部431が本体部44から支持部材42と同方向に延設され、第1ローラ351の回転停止時には、先端部に設けられた当接部432が清掃部材41に当接するように固定されている。清掃部材41は、規制部材43の当接部432に当接して、それ以上の上流側への移動が規制されている。
【0046】
図6に示すように、第1ローラ351が回転方向R1に正回転すると、実施形態1と同様に、清掃部材41および支持部材42は一体となって回転方向R1の下流側(図中右側)に曲がりながら撓み、清掃部材41が第1ローラ351の外周面に当接した状態を保つ。このとき、清掃部材41は、規制部材43の当接部432から離間する。第1ローラ351の外周面に付着した異物は、回転方向R1の正回転に伴って清掃部材41に掻き取られる。
【0047】
その後、レジストローラ35の回転方向が転換し、第1ローラ351が回転方向R2に逆回転するのに伴って、支持部材42は、清掃部材41とともに弾性復帰する。その際、図7に示すように、支持部材42の弾性復帰する勢いで、清掃部材41が回転方向R2に弾かれ、規制部材43の当接部432に衝突する。清掃部材41に掻き取られた紙粉等の異物90は、規制部材43との衝突で飛散し、清掃部材41から剥離して除去されることとなる。
【0048】
本実施形態に係るシート搬送装置10によれば、清掃部材41に掻き取られた紙粉等の異物90を、支持部材42の弾性反発力を利用するとともに、規制部材43との衝突時の衝撃で飛散させて清掃部材41から剥離させることができ、異物90をより一層効果的に除去することが可能となる。
【0049】
(実施形態3)
図8図10は、本開示の実施形態3に係るシート搬送装置10を模式的に示す説明図である。図8では、レジストローラ35の回転停止時、図9ではレジストローラ35の正回転時、図10ではレジストローラ35の逆回転時の様子を示している。
【0050】
この形態に係るシート搬送装置10では、レジストローラ35の第1ローラ351に当接する清掃部材41と、清掃部材41を支持する支持部材42に加えて、さらにシート状の補助部材45が設けられている。図8および図9に示すように、第1ローラ351の正回転の回転方向R1の上流側(図中左側)には、補助部材45が備えられている。補助部材45は、本体部44から支持部材42と同じ側に延設されるとともに、回転方向R1の下流側に傾倒した状態で支持さている。
【0051】
補助部材45は、例えばPET等の樹脂シート材で構成され、可撓性を有している。図8に示すように、第1ローラ351の回転停止時には、補助部材45は清掃部材41に当接して撓み、先端部451側が清掃部材41に密接状態となるように設けられている。
【0052】
図9に示すように、第1ローラ351が回転方向R1に正回転すると、実施形態1と同様に、清掃部材41および支持部材42は一体となって回転方向R1の下流側(図中右側)に曲がりながら撓み、清掃部材41が第1ローラ351の外周面に当接した状態を保つ。このとき、補助部材45は清掃部材41に当接したまま、先端部451が清掃部材41の移動に追従して傾倒する。補助部材45の先端部451側は、清掃部材41の移動に伴って、支持部材42寄り(清掃部材41の他端部寄り)に位置するものとなる。また、第1ローラ351の外周面に付着している異物は、回転方向R1の正回転に伴って清掃部材41に掻き取られる。
【0053】
その後、レジストローラ35の回転方向が転換し、第1ローラ351が回転方向R2に逆回転するのに伴って、支持部材42は、清掃部材41とともに弾性復帰する。その際、図10に示すように、支持部材42が回転方向R2に移動するのに伴って、補助部材45は再び撓み、先端部451側が支持部材42側から清掃部材41の先端部側へと摺動する。補助部材45の先端部451は、清掃部材41の表面を摺動しつつ、清掃部材41に付着した異物を掻き取って除去するものとなる。
【0054】
本実施形態に係るシート搬送装置10にあっても、清掃部材41に掻き取られた紙粉等の異物90を、支持部材42の弾性反発力を利用するとともに、補助部材45の作用で掻き取って清掃部材41から剥離させることができ、異物90をより一層効果的に除去することが可能となる。
【0055】
(他の実施形態)
図11A図11Cは、本開示のシート搬送装置10に係るその他の実施形態について示す説明図である。図11Aに示すように、清掃部材41は一端部(先端部)がレジストローラ35の第1ローラ351に当接するように設けられ、他端部に弾性部材からなる支持部材42が接続されて、本体部44に支持されている。実施形態1ないし実施形態3では、清掃部材41に対して支持部材42がこのように設けられた例を示した。
【0056】
本開示に係るシート搬送装置10としては、このように構成されるに限らず、例えば図11Bに示すように、支持部材42は、清掃部材41の他端部側に延設されるとともに、第1ローラ351の回転方向R1に上流側(図中左側)の側面421に接続されて設けられてもよい。また、図11Cに示すように、支持部材42は、清掃部材41の他端部側に延設されるとともに、第1ローラ351の回転方向R1に対して下流側(図中右側)の側面422に清掃部材41が接続されて設けられてもよい。
【0057】
前記のいずれの形態にあっても、清掃部材41で第1ローラ351から異物90を掻き取るだけでなく、第1ローラ351を逆回転させることで支持部材42の弾性反発力を利用して異物90を清掃部材41から剥離させることができ、異物90を効果的に除去することが可能となる。その結果、画像形成装置1として安定的に良質な画像形成を行うことが可能となる。
【0058】
本開示は、以上説明した前記各実施形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。例えば、第1ローラ351に対して当接する清掃部材41は、第1ローラ351に対していずれの方向から配設されてもよく、例示したように第1ローラ351の下方から延設されても、側方から延設されてもよい。支持部材42は、清掃部材41を支持しつつ弾性変形可能な構成であれば形状等は前記各実施形態に示した形状であるに限定されない。
【0059】
なお、本開示の技術的範囲は、前記実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲に基づくものとされる。また、本開示の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
10 シート搬送装置
20 画像転写部
31 シート搬送路
32 シート反転搬送路
33 ピックアップローラ
34 送りローラ(搬送ローラ)
35 レジストローラ(搬送ローラ)
351 第1ローラ
352 第2ローラ
36 排紙ローラ
37 排紙トレイ
41 清掃部材
42 支持部材
421 上流側の側面
422 下流側の側面
43 規制部材
431 固定部
432 当接部
44 本体部
45 補助部材
451 先端部
90 異物
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13