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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135622
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G03G15/20 525
G03G15/20 535
G03G15/20 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046405
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】三宅 尚史
(72)【発明者】
【氏名】藤島 正之
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA08
2H033AA25
2H033BA10
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA16
2H033BA19
2H033BA20
2H033BA21
2H033BA22
2H033BA25
2H033BA31
2H033BA48
2H033BB17
2H033BB37
2H033BB39
2H033CA05
2H033CA07
2H033CA19
2H033CA26
2H033CA40
(57)【要約】
【課題】分離爪に付着したトナーを容易に除去可能な定着装置及びそれを備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置は、一対の回転体と、駆動部と、加熱部と、温度検知部と、分離爪と、制御部と、を備える。分離爪は、回転体の一方に対して離接可能に軸支される。定着装置は、押圧部材と、移動機構と、をさらに備える。押圧部材は、分離位置よりも正方向下流側から分離爪を押圧し、分離爪を回転体の一方から離間させる。移動機構は、回転体の一方の回転に連動し、押圧部材を分離爪に対して接離可能に移動させる。制御部は、分離爪に付着したトナーを除去する清掃モードを実行可能であり、清掃モードの実行時に、回転体の一方を正方向とは反対の逆方向に回転させることにより、移動機構を介して、押圧部材が、分離爪を摺動して分離爪に付着したトナーを除去する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持され、互いに圧接して定着ニップを形成し、正方向に回転することにより、前記定着ニップに進入したシートを搬送しつつトナーを定着させる一対の回転体と、
一対の前記回転体を回転させる駆動部と、
前記回転体の一方を加熱する加熱部と、
前記回転体の一方の温度を検知する温度検知部と、
前記定着ニップよりも前記正方向下流側の分離位置において前記回転体の一方の外周面と接触し、前記回転体の一方の外周面から前記シートを分離させる分離爪と、
前記駆動部を制御する制御部と、を備える定着装置であって、
前記分離爪は、前記回転体の一方に対して離接可能に軸支され、
前記分離位置よりも前記正方向下流側から前記分離爪を押圧し、前記分離爪を前記回転体の一方から離間させる押圧部材と、
前記回転体の一方の回転に連動し、前記押圧部材を前記分離爪に対して接離可能に移動させる移動機構と、をさらに備え、
前記制御部は、前記分離爪に付着したトナーを除去する清掃モードを実行可能であり、前記清掃モードの実行時に、前記回転体の一方を前記正方向とは反対の逆方向に回転させることにより、前記移動機構を介して、前記押圧部材が、前記分離爪を摺動して前記分離爪に付着したトナーを除去することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記移動機構は、
前記回転体の一方の回転に連動して回転するカムと、
前記押圧部材を前記分離爪から離れる方向に付勢する弾性部材と、を有し、
前記制御部は、
前記清掃モードの実行時に、前記回転体の一方を前記逆方向に回転させることにより、前記カムが、前記弾性部材の付勢力に抗して前記押圧部材を押圧して前記分離爪を前記回転体の一方から離間させることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記清掃モードの終了時に、前記回転体の一方を前記逆方向にさらに回転させることにより、前記カムによる前記押圧部材に対する押圧が解除されることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記清掃モードは、前記温度検知部が検知する温度が、トナーのガラス転移温度以下よりも低いときに実行されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記定着ニップを通過した前記シートの通過枚数を認識し、前記清掃処理を前回行ってからの前記通過枚数が予め定められた閾値枚数に達するまで、次の前記清掃モードを実行しないことを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の定着装置を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の定着装置は特許文献1に開示されている。この定着装置は、定着ローラーと、加圧ローラーと、分離爪と、除去爪と、を備える。定着ローラー及び加圧ローラーは、互いに圧接して定着ニップを形成する。定着ローラー及び加圧ローラーは、正方向に回転することにより、定着ニップに進入したシートを搬送しつつトナーを定着させる。分離爪は、定着ニップよりも正方向下流側の分離位置において定着ローラーの外周面に接触し、定着ローラーの外周面からシートを分離させる。除去爪は、分離位置よりも正方向の上流側から分離爪に接触する。
【0003】
分離爪は、定着ローラーから離接可能である。分離爪が、定着ローラーから離間する際に、除去爪は、分離位置よりも正方向の上流側から分離爪を摺動する。これにより、分離爪に付着したトナーが、除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8ー95390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、分離爪の定着ローラーとの接触面に付着したトナーは、除去され難い。このため、分離爪に付着したトナーが、定着ローラーの外周面に付着してシートが汚れる可能性あった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、分離爪に付着したトナーを容易に除去可能な定着装置及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の構成は、一対の回転体と、駆動部と、加熱部と、温度検知部と、分離爪と、制御部と、を備える定着装置である。一対の回転体は、回転可能に支持され、互いに圧接して定着ニップを形成し、正方向に回転することにより、定着ニップに進入したシートを搬送しつつトナーを定着させる。駆動部は、一対の回転体を回転させる。加熱部は、回転体の一方を加熱する。温度検知部は、回転体の一方の温度を検知する。分離爪は、定着ニップよりも正方向下流側の分離位置において回転体の一方の外周面と接触し、回転体の一方の外周面からシートを分離させる。制御部は、駆動部を制御する。分離爪は、回転体の一方に対して離接可能に軸支される。定着装置は、押圧部材と、移動機構と、をさらに備える。押圧部材は、分離位置よりも正方向下流側から分離爪を押圧し、分離爪を回転体の一方から離間させる。移動機構は、回転体の一方の回転に連動し、押圧部材を分離爪に対して接離可能に移動させる。制御部は、分離爪に付着したトナーを除去する清掃モードを実行可能であり、清掃モードの実行時に、回転体の一方を正方向とは反対の逆方向に回転させることにより、移動機構を介して、押圧部材が、分離爪を摺動して分離爪に付着したトナーを除去する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、分離爪に付着したトナーを容易に除去可能な定着装置及びそれを備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態による画像形成装置100の概略図
図2】本発明の実施形態による画像形成装置100の画像形成部1の概略図
図3】本発明の実施形態による画像形成装置100のブロック図
図4】本発明の実施形態による定着装置4の上面図
図5】本発明の実施形態による定着装置4の概略図
図6】本発明の実施形態による定着装置4の概略図
図7】本発明の実施形態の画像形成装置100の制御部5の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態による画像形成装置100について、タンデム方式のカラーレーザープリンターを例にとって説明する。ただし、本発明に適用可能な画像形成装置100はプリンターに限らない。コピー機能などを有する複合機にも本発明は適用可能である。なお、以下の説明では、画像形成装置が設置される床面に垂直な方向を上下方向と定義する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の概略図であり、図2は、画像形成装置100の画像形成部の概略図である。
【0012】
画像形成装置100は、メイン搬送路MPを備える。また、画像形成装置100は、シートカセットCAを備える。シートカセットCAは、画像形成装置100の本体に対して着脱可能である。シートカセットCAには、印刷ジョブで用いるシートSが収容される。メイン搬送路MPは、シートカセットCAからのシートSの供給位置P0から、転写位置P1および定着位置P2を経由し、排出トレイETに至る。
【0013】
印刷ジョブでは、シートカセットCAのシートSが供給位置P0からメイン搬送路MPに供給される。画像形成装置100は、メイン搬送路MPに沿ってシートSを搬送する。そして、画像形成装置100は、搬送中のシートSに画像を印刷する。言い換えると、画像形成装置100は、搬送中のシートSにトナー像を転写する。転写位置P1において、搬送中のシートSに対するトナー像の転写が行われる。
【0014】
なお、シートカセットCAは、画像形成装置100の本体下方に装着される。転写位置P1は、シートカセットCAからメイン搬送路MPへのシートSの供給位置P0よりも上方である。このため、メイン搬送路MPへのシートSの供給後、シートSは下方から上方に向けて搬送される。
【0015】
画像形成装置100は、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色分の画像形成部1を備える。各画像形成部1は、対応する色のトナー像を形成する。以下、或る1つの画像形成部1に着目してその構成を説明する。各画像形成部1の基本的な構成は互いに同じである。したがって、他の画像形成部1の構成の説明については、以下の説明を援用するものとして省略する。
【0016】
図2に示すように、画像形成部1は、感光体ドラム11と、帯電装置12と、露光装置13と、現像装置14と、清掃装置15と、を備える。画像形成部1による画像形成時、感光体ドラム11が回転する。また、帯電装置12は、感光体ドラム11の外周面を帯電させる。露光装置13は、感光体ドラム11の外周面を露光し、感光体ドラム11の外周面上に静電潜像を形成する。現像装置14は、感光体ドラム11の外周面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像に現像する。なお、感光体ドラム11の外周面上のトナー像は、後述する中間転写ベルト20に1次転写される。清掃装置15は、中間転写ベルト20に転写されずに感光体ドラム11の外周面上に残留したトナーを除去する。
【0017】
また、画像形成装置100は、転写部2を備える。転写部2は、中間転写ベルト20を備える。中間転写ベルト20は、無端状のベルトである。
【0018】
中間転写ベルト20は、複数のローラー200により、張架され、回転可能に支持される。中間転写ベルト20は、感光体ドラム11の外周面に接触し、その状態で回転(周回)する。複数のローラー200は、駆動ローラーを含む。複数のローラー200のうち1つが駆動ローラーである。駆動ローラーは、ベルトモーター(図示せず)から駆動力が伝達されて回転する。中間転写ベルト20は、駆動ローラーが回転することにより、従動して回転する。他のローラー200は、中間転写ベルト20に従動して回転する。
【0019】
転写部2は、1次転写ローラー21を備える。1次転写ローラー21は、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色に1つずつ割り当てられる。すなわち、1次転写ローラー21の設置数は複数(4つ)である。各1次転写ローラー21は、中間転写ベルト20の内周側の領域に配置される。各1次転写ローラー21は、中間転写ベルト20を挟んで、対応する色の感光体ドラム11と対向して配置される。
【0020】
転写部2は、2次転写ローラー22を備える。2次転写ローラー22は、中間転写ベルト20の外周面に対して転写位置P1で圧接し、中間転写ベルト20との間に転写ニップを形成する。転写位置P1において転写ニップが形成される。メイン搬送路MPは、転写ニップを経由する。
【0021】
印刷ジョブでは、転写位置P1(すなわち、転写ニップ)に向けてシートSが搬送される。搬送中のシートSは転写ニップを通過する。すなわち、中間転写ベルト20は、各感光体ドラム11との接触位置よりも中間転写ベルト20の回転方向における下流側において、搬送中のシートSに接触する。
【0022】
各画像形成部1は、対応する色のトナー像を形成する。各1次転写ローラー21は、中間転写ベルト20の外周面にトナー像を1次転写する。中間転写ベルト20は、各感光体ドラム11から1次転写されたトナー像を外周面に担持して回転する。シートSが転写ニップを通過中、中間転写ベルト20の外周面にシートSが接触する。2次転写ローラー22は、中間転写ベルト20との間に転写電界を形成することにより、転写ニップを通過中のシートSにトナー像を2次転写する。
【0023】
また、画像形成装置100は、清掃部3を備える。清掃部3は、中間転写ベルト20の外周面と対向して配置される。清掃部3は、転写位置P1よりも中間転写ベルト20の回転方向における下流側に配置される。清掃部3は、中間転写ベルト20の外周面を清掃する。具体的には、清掃部3は、中間転写ベルト20の外周面に接触するブレード(図示せず)を有する。ブレードは、シートSに転写されずに中間転写ベルト20の外周面上に残留したトナーを除去する。
【0024】
また、画像形成装置100は、定着装置4を備える。定着装置4は、定着位置P2に配置される。印刷ジョブでは、トナー像の転写処理を受けたシートSが定着位置P2を通過する。このとき、定着装置4は、シートSにトナー像を定着させる。定着処理後、シートSは、排出トレイETに排出される。定着装置4の構成については、後に詳細に説明する。
【0025】
画像形成装置100は、符号は省略するが、搬送部を備える。搬送部は、複数の搬送ローラー対を含む。搬送ローラー対は、一対のローラーを含む。一対のローラーは、ローラー間に搬送ニップを有する。搬送ローラー対は、回転することにより、搬送ニップに進入したシートSを搬送する。搬送部は、メイン搬送路MPに沿ってシートSを搬送する。また、搬送部は、後述する両面印刷搬送路DPに沿ってシートSを搬送する。
【0026】
画像形成装置100は、印刷ジョブとして、シートSの片面にのみトナー像を印刷する片面印刷ジョブに加え、シートSの両面にトナー像を印刷する両面印刷ジョブの実行が可能である。両面印刷ジョブを実行するため、画像形成装置100は、両面印刷搬送路DPを備える。
【0027】
両面印刷搬送路DPは、メイン搬送路MPのうち定着位置P2よりもシート搬送方向下流側の分岐位置P3でメイン搬送路MPから分岐する。そして、両面印刷搬送路DPは、メイン搬送路MPのうち転写位置P1よりもシート搬送方向上流側の合流位置P4でメイン搬送路MPに合流する。
【0028】
実行ジョブが片面印刷ジョブである場合、シートSは転写ニップを1回だけ通過し、転写ニップを通過中のシートSに対して転写処理が1回行われる。そして、1回目の転写処理後、シートSがそのまま排出トレイETに排出される。
【0029】
実行ジョブが両面印刷ジョブである場合、シートSの表裏面に対してそれぞれ1回ずつ転写処理を行うため、シートSは転写ニップを2回通過する。具体的には、シートSが転写ニップを1回目に通過するとき、シートSの一方面に対して転写処理が行われる。1回目の転写処理後、シートSの後端が分岐位置P3を通過した後であってシートSが排出トレイETに完全に排出される前、シートSがスイッチバックされる。これにより、シートSがその後端から両面印刷搬送路DPに引き込まれる。
【0030】
その後、両面印刷搬送路DPに沿ってシートSが搬送される。そして、両面印刷搬送路DPのシートSが合流位置P4からメイン搬送路MPに戻される。メイン搬送路MPに戻されたシートSは、メイン搬送路MPに沿って搬送され、転写ニップを再度通過する。このとき、シートSの表裏面の向きが転写ニップを前回通過したときに対して逆向きに反転されている。これにより、シートSが転写ニップを2回目に通過するとき、シートSの一方面とは逆の他方面に対して転写処理が行われる。
【0031】
図3は、画像形成装置100のブロック図である。画像形成装置100は、制御部5を備える。制御部5は、CPUおよびASICなどの処理回路を含む。また、制御部5は、ROMおよびRAMなどの記憶デバイスを含む。制御部5は、画像形成装置100で実行される印刷ジョブを制御する。
【0032】
制御部5は、定着装置4を制御する。この構成では、制御部5は、定着装置4の一構成要素である。言い換えると、定着装置4は、制御部5を備える。なお、定着装置4を制御する専用の定着制御部を定着装置4に設置してもよい。
【0033】
画像形成装置100は、通信部501を備える。通信部501は、通信回路、通信用メモリーおよび通信用コネクターなどを含む。通信部501は、LANなどのネットワークを介して、外部機器に通信可能に接続される。外部機器としては、ユーザー端末がある。パーソナルコンピューター(PC)、スマートフォンおよびタブレットコンピューターなどがユーザー端末になり得る。
【0034】
制御部5は、通信部501を用いて、外部機器と通信する。たとえば、外部機器(ユーザー端末)から画像形成装置100に対して、印刷ジョブの印刷データが送信される。印刷データは、印刷ジョブで印刷すべき画像データなどを含む。制御部5は、印刷データに基づき、印刷ジョブを制御する。
【0035】
画像形成装置100は、操作パネル502を備える。操作パネル502は、タッチスクリーンを含む。操作パネル502は、設定および指示などをユーザーから受け付ける。操作パネル502は、制御部5に接続される。制御部5は、操作パネル502がユーザーから受け付けた設定および指示などを検知する。
【0036】
<定着装置の構成>
図4は、定着装置4の平面図であり、シート搬送方向Aの上流側から示す。図5図6は、定着装置4の概略図であり、一対の回転体40の回転軸に直交する断面を示す。図5図6では、コイルバネ(弾性部材)444を省いて示す。また、図5は、清掃モードの実行前の状態を示し、図6は、清掃モードの実行時の状態を示す。
【0037】
なお、本実施形態では、定着装置4の前後方向(すなわち、画像形成装置100の前後方向)が、一対の回転体40の軸方向と一致する。また、図5では、定着ローラー41の回転方向における正方向(すなわち、印刷ジョブの実行中における回転方向)を矢印R1で示し、加圧ローラー42の回転方向における正方向(すなわち、印刷ジョブの実行中における回転方向)を矢印R2で示す。また、図5では、図面の下から上に向かう方向がシート搬送方向Aに相当する。
【0038】
また、定着装置4の説明に際して、図2に示す定着ローラー41の回転軸の延びる方向を単に「軸方向」と呼び、定着ローラー41の回転軸を中心とする径方向及び周方向を単に「径方向」及び「周方向」と呼ぶことにする。
【0039】
定着装置4は、一対の回転体40と、定着モーター(駆動部)52と、ヒーター(加熱部)410と、サーミスター(温度検知部)51と、分離爪43と、押圧部材44と、移動機構45と、を備える。
【0040】
一対の回転体40は、定着装置4のハウジング(不図示)にそれぞれ、回転可能に支持される。一対の回転体40は、互いに圧接して定着ニップNを形成する。一対の回転体40のうち、一方は定着ローラー41である。定着ローラー41は、ヒーター410を内蔵する。
【0041】
一対の回転体40のうち、他方は加圧ローラー42である。加圧ローラー42は、定着ローラー41に圧接する。これにより、定着ローラー41と加圧ローラー42とによって定着ニップNが形成される。
【0042】
定着モーター52(図3参照)は、図示しない伝達機構を介して、加圧ローラー42に連結される。加圧ローラー42は、定着モーター52から動力が伝達されて回転する。加圧ローラー42が回転することにより、定着ローラー41が従動して回転する。
【0043】
ヒーター410は、例えば、ハロゲンヒーターである。ヒーター410は、定着ローラー41を加熱する。なお、本実施形態では、ヒーター410は、定着ローラー41に内蔵されているが、ヒーター410を定着ローラー41の外周面に対向して配置してもよい。また、定着ローラー41の加熱方式はハロゲンヒーターに限定されず、他の方式でもよい。
【0044】
サーミスター51(図3参照)は、定着ローラー41の温度を検知する。例えば、サーミスター51は、定着ローラー41の外周面に対向して配置され、定着ローラー41の外周面の温度を検知する。定着ローラー41の外周面の温度は、以下の説明では単に定着ローラー41の温度と称する。
【0045】
ヒーター410、サーミスター51及び定着モーター52は、制御部5に接続される(図3参照)。制御部5は、サーミスター51の検知する温度に基づき、ヒーター410への通電のオンオフを制御する。印刷ジョブを実行するとき、制御部5は、ヒーター410への通電をオンにして定着ローラー41の加熱を開始する。これにより、制御部5は、定着ローラー41の温度を予め定められた定着制御温度に昇温させる。印刷ジョブの実行中、制御部5は、定着ローラー41の温度を定着制御温度に維持する処理を行う。また、制御部5は、定着モーター52を制御し、一対の回転体40(定着ローラー41及び加圧ローラー42)を適切に回転させる。
【0046】
印刷ジョブの開始から終了まで(印刷ジョブの実行中)、制御部5は、一対の回転体40を正方向に回転させる。一対の回転体40は、正方向に回転することにより、定着ニップNに進入したシートSを搬送しつつトナーを定着させる。
【0047】
印刷ジョブでは、トナー像の転写を受けたシートSが定着ニップNに向けて搬送され、そのシートSが定着ニップNに進入する。
【0048】
また、定着装置4は、分離爪43を備える。分離爪43を構成する材料は特に限定されない。分離爪43は、トナーが付着し難い材料で構成される。たとえば、分離爪43は、PEKなどの樹脂で成型され、PFAなどのフッ素系樹脂でコーティングされる。
【0049】
分離爪43は、定着ニップNよりもシート搬送方向Aの下流側に配置される。すなわち、分離爪43は、定着ニップNよりも正方向下流側の分離位置SPにおいて定着ローラー41の外周面と接触する。本実施形態では、分離爪43は、軸方向に3箇所配置されている。なお、本発明は、分離爪43が3箇所設けられる場合に限定されない。
【0050】
分離爪43は、軸方向から見たときに、分離位置SPを先端として定着ローラー41から離れるに従って幅が大きくなる三角形状に形成された部分を有する。分離爪43は、シート搬送面43bと、対向面43cと、を有する。
【0051】
分離爪43は、定着ローラー41の外周面にシートSが巻き付いた場合に、分離位置SPにおいて、定着ローラー41の外周面からシートSを分離させる。分離してシートSはシート搬送面43bにガイドされながら搬送される。対向面43cは、分離爪43のシート搬送面43bと周方向反対側に配置され、定着ローラー41と径方向に対向する。
【0052】
また、分離爪43は、軸方向に延びる揺動軸43aを中心に揺動可能に支持されている。これにより、分離爪43は、定着ローラー41(回転体40の一方)に対して離接可能に軸支される。
【0053】
また、定着装置4は、押圧部材44と移動機構45とを備える。押圧部材44は、板状に形成され、分離位置SPよりも正方向R1の下流側に配置される。押圧部材44は、定着ローラー41の外周面から径方向に離間して配置されるとともに、定着装置4のハウジング(不図示)にスライド可能に保持されている。
【0054】
移動機構45は、定着ローラー41(回転体40の一方)の回転に連動し、押圧部材44を分離爪43に対して接離可能に移動させる。本実施形態では、移動機構45は、ローラーギヤ411と、中間ギヤ445と、カムギヤ446と、カム442と、シャフト443と、コイルバネ(弾性部材)444と、を有する。
【0055】
コイルバネ444は、押圧部材44の軸方向の両端部にそれぞれ一対設けられ、コイルバネ444の一端は、押圧部材44に連結され、コイルバネ444の他端は、定着装置4のハウジング(不図示)に連結される。これにより、押圧部材44は、分離爪43から離れる方向に付勢され、カム442と接触する。
【0056】
ローラーギヤ411は、定着ローラー41(回転体40の一方)の軸方向両端部において、定着ローラー41と同軸上に配置される。ローラーギヤ411は、定着ローラー41とともに軸周りに回転する。
【0057】
カムギヤ446は、中間ギヤ445を介して各ローラーギヤ411に接続されている。カムギヤ446は、ワンウェイクラッチ(不図示)を内包し、軸方向に延びるシャフト443が接続されている。シャフト443には、カム442が固定されている。本実施形態では、カム442は、シャフト443に3箇所設けられており、カム442は、分離爪43の位置に対応して配置されている。なお、カム442が配置される数は、3箇所に限定されない。
【0058】
シャフト443は、カムギヤ446が定着ローラー41の正方向R1の回転に連動して正方向に回転するときに、ワンウェイクラッチにより空転する。一方、カムギヤ446が定着ローラー41の逆方向R3の回転に連動して逆方向に回転するときに、ワンウェイクラッチがロック状態になり、シャフト443は、カムギヤ446とともに回転する(図6参照)。
【0059】
カム442は、シャフト443の回転とともに回転する。カム442は、円板部442aと突出部442bとを有する。円板部442aは、軸方向から視て、シャフト443の回転軸と同心の円板状に形成される。突出部442bは、円板部442aの外周面から径方向外側に突出する。印刷ジョブの実行中(清掃モードの実行前)において、押圧部材44は、円板部442aの外周面に当接する(図5参照)。カム442の回転に応じて、押圧部材44は、円板部442a及び突出部442bの外周面を摺動して周方向Bに往復移動する(図5図6参照)。
【0060】
<定着ローラーの清掃処理>
図7は、制御部5の処理を示すフローチャートである。例えば、画像形成装置100で印刷ジョブが開始されるときにスタートする。
【0061】
ステップS1では、制御部5は、定着ローラー41の温度が所定温度よりも低いか否かを判断する。ここで、所定温度は、印刷ジョブで使用されるトナーのガラス転移温度以下の温度である。たとえば、所定温度は、約60℃である。
【0062】
ステップS1において、定着ローラー41の温度が所定温度よりも低いと制御部5が判断した場合、ステップS2に移行する。ステップS2に移行すると、制御部5は、定着ローラー41の清掃処理を行う。一方で、定着ローラー41の温度が所定温度以上であると制御部5が判断した場合、制御部5は、定着ローラー41の清掃処理を行わない。
【0063】
定着ローラー41の温度が所定温度以上のとき、定着ローラー41の外周面と分離爪43との間に残存するトナーがゴム状となっている。このため、定着ローラー41の外周面にトナーが付着した状態で定着ローラー41を回転させると、定着ローラー41の回転方向にトナーが延びた状態になる。従って、定着ローラー41の清掃処理は、定着ローラー41の温度が所定温度よりも低いときに行われる。
【0064】
ステップS2に移行した場合に、制御部5は、清掃モードを実行し、定着ローラー41の清掃処理が行われる。定着ローラー41の清掃処理の開始時点では、定着ローラー41の温度が所定温度よりも低いため、定着ローラー41の外周面と分離爪43との間のトナーは硬化状態となっている。
【0065】
清掃モードが実行されると、制御部5は、定着ローラー41を正方向とは反対の逆方向R3に回転させる(図6参照)。これにより、カムギヤ446が定着ローラー41の逆方向R3の回転に連動して逆方向に回転する。このとき、ワンウェイクラッチがロック状態になり、シャフト443及びカム442が、カムギヤ446とともに回転する。
【0066】
カム442の回転により、突出部442bが押圧部材44を周方向Bに押圧する。これにより、カム442が、コイルバネ(弾性部材)444の付勢力に抗して押圧部材44を押圧して分離爪43を定着ローラー41(回転体の一方)から離間させる。すなわち、押圧部材44は、分離位置SPよりも正方向R1の下流側から分離爪43を押圧する。これにより、分離爪43が定着ローラー41(回転体40の一方)から離間する。
【0067】
このとき、押圧部材44は、対向面43cを摺動し、押圧部材44が、分離爪43を摺動して分離爪43に付着したトナーを除去する。これにより、分離爪43の対向面43cに付着したトナーを容易に除去できる。また、押圧部材44は、分離爪43の先端を超えてさらに周方向Bにスライドされる。このとき、分離爪43の先端が押圧部材44の上面を摺動して分離爪43の先端に付着したトナーを除去できる(図6参照)。
【0068】
定着ローラー41(回転体の一方)を逆方向R3にさらに回転させる。これにより、カム442の回転により、再び円板部442aと押圧部材44とが接触する(図5参照)。このとき、カム442による押圧部材44に対する押圧が解除される。これにり、コイルバネ(弾性部材)444の付勢力によって押圧部材44は、分離爪43から離れる方向にスライド移動する。カム442が一回転したときに、分離爪43が、定着ローラー41に接触する位置に戻る。従って、清掃モードは、カム442を一回転させて終了する。なお、制御部5は、定着ローラー41の回転速度と回転時間を制御することにより、清掃モードの終了時にカム442の回転位置をホームポジションに戻すことができる。
【0069】
本実施形態では、定着ローラー41(回転体の一方)の回転に連動して押圧部材44を移動させることにより、移動機構45の構造を簡易化して定着装置4の製造コストを削減できるとともに定着装置4を小型化できる。また、カム442とコイルバネ(弾性部材)444により押圧部材44を周方向にスライド移動させることで、移動機構45の構造をより簡易化できる。
【0070】
定着ローラー41の清掃処理後、ステップS3に移行する。ステップS3では、制御部5は、ヒーター410への通電をオンする。すなわち、制御部5は、ヒーター410による定着ローラー41の加熱を開始する。このとき、制御部5は、一対の回転体40を正回転させる。
【0071】
その後、制御部5は、印刷ジョブを実行するためのウォーミングアップ処理(印刷ジョブの準備処理)を行う。ウォーミングアップ処理の一処理として、定着ローラー41の温度を定着制御温度に昇温させる処理が行われる。定着ローラー41の温度を定着制御温度に昇温させるとき、定着ローラー41および加圧ローラー42は正方向に回転する。ウォーミングアップ処理が完了すると、制御部5は、1枚目のシートSに対する画像の印刷を開始する。すなわち、制御部5は、1枚目のシートSの搬送を開始する。
【0072】
<清掃処理の実行タイミング>
制御部5は、印刷ジョブを実行するとき(具体的には、シートSの搬送前)に定着ローラー41の清掃処理を行うかどうか判断する。清掃処理を行うかどうかの判断は、定着ニップNを通過したシートSの通過枚数に基づいて決定する。これにより、印刷ジョブを実行するときに毎回の清掃処理が行われることを防ぎ、利便性を向上できる。
【0073】
具体的には、制御部5は、定着ニップNを通過したシートSの通過枚数を認識する。制御部5は、定着ローラー41の清掃処理を前回行ってからの前記通過枚数が予め定められた閾値枚数に達するまで、次の清掃処理を行わない。これにより、定着ローラー41の清掃処理が頻繁に行われることを抑制できる。
【0074】
また、定着ローラー41の清掃処理を実行するか否かは、画像形成装置100の機内環境(たとえば、機内温度および機内湿度)に基づき判断されてもよい。この構成では、画像形成装置100の機内温度および機内湿度(当該機内湿度は相対湿度である)の少なくとも一方を検知する環境センサー53が画像形成装置100に設置される。たとえば、環境センサー53は、機内温度および機内湿度の両方を検知する。
【0075】
制御部5は、環境センサー53の検知結果(すなわち、機内温度および機内湿度)が所定条件を満たしているか否かを判断する。環境センサー53の検知結果が所定条件を満たし、かつ、定着ローラー41の温度が所定温度よりも低いとき、制御部5は、定着ローラー41の清掃処理を行う。
【0076】
なお、定着ローラー41の清掃処理が定期的に行われてもよい。このように構成する場合、制御部5は、定着ニップNを通過したシートSの通過枚数を認識する。そして、定着ローラー41の清掃処理を前回行ってからの前記通過枚数が所定枚数に達したとき、制御部5は、実行中の印刷ジョブが完了してから、定着ローラー41の清掃処理を行う。これにより、定着ローラー41が定期的に清掃されるので、定着ローラー41が汚れることを抑制できる。
【0077】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1 画像形成部
2 転写部
3 清掃部
4 定着装置
5 制御部
11 感光体ドラム
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
15 清掃装置
20 中間転写ベルト
21 1次転写ローラー
22 2次転写ローラー
40 回転体
41 定着ローラー
42 加圧ローラー
43 分離爪
43a 揺動軸
43b シート搬送面
43c 対向面
44 押圧部材
45 移動機構
51 サーミスター(温度検知部)
52 定着モーター(駆動部)
53 環境センサー
100 画像形成装置
200 ローラー
410 ヒーター(加熱部)
411 ローラーギヤ
442 カム
442a 円板部
442b 突出部
443 シャフト
444 コイルバネ(弾性部材)
445 中間ギヤ
446 カムギヤ
501 通信部
502 操作パネル
B 周方向
CA シートカセット
DP 面印刷搬送路
ET 排出トレイ
MP メイン搬送路
N 定着ニップ
P0 供給位置
P1 転写位置
P2 定着位置
P3 分岐位置
P4 合流位置
R1 矢印
R1 正方向
R2 矢印
R3 逆方向
S シート
SP 分離位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7