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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135624
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046408
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】三浦 光
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA73
2G051AB20
2G051BA20
2G051BB09
2G051CB01
2G051CC07
(57)【要約】
【課題】より簡易に検出対象の検出が可能な検出システムを提供する。
【解決手段】板状のワークを載置する載置部と、載置部とワークを挟んで対向する検出部を有し、載置部を検出部に対して相対的に移動させて、移動方向に対する交差方向のワークの第1端部を検出する、検出システムにおいて、検出部は、ワークを載置部に載置した状態において、交差方向に載置部とワークを跨るように拡散光を照射可能な拡散光源部と、載置部及びワークでの反射光を受光して撮像する撮像部と、拡散光源部側から載置部に向かって延び、かつ交差方向におけるワークの第1端部の近傍に設けられた第1遮光部を備える構成とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークを載置する載置部と、前記載置部と前記ワークを挟んで対向する検出部を有し、前記載置部を前記検出部に対して相対的に移動させて、移動方向に対する交差方向の前記ワークの第1端部を検出する、検出システムであって、
前記検出部は、前記ワークを前記載置部に載置した状態において、前記交差方向に前記載置部と前記ワークを跨るように拡散光を照射可能な拡散光源部と、前記載置部及び前記ワークでの反射光を受光して撮像する撮像部と、前記拡散光源部側から前記載置部に向かって延び、かつ前記交差方向における前記ワークの第1端部の近傍に設けられた第1遮光部を備える、検出システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記拡散光源部側から前記載置部に向かって延びた第2遮光部を有し、
前記第2遮光部は、前記ワークを前記載置部に載置した状態において、前記交差方向における前記ワークの第1端部とは反対側の第2端部の近傍に設けられている、請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記検出部は、前記交差方向において、前記第1遮光部と前記第2遮光部の間に前記拡散光源部側から前記載置部に向かって延びた第3遮光部を備える、請求項2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記拡散光源部は、前記交差方向に延び、線状又は帯状に発光可能な発光領域を有し、
前記第1遮光部の少なくとも一部は、前記載置部側からみて前記発光領域の前記交差方向における中間部と重なる位置に設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項5】
前記第1遮光部は、前記ワークを前記載置部に載置した状態において、前記ワークの第1端部よりも前記交差方向の内側に位置している、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項6】
前記ワークは、前記撮像部と対向する被撮像面と、前記第1端部が属する第1端面を有し、
前記移動方向から視たときに、前記被撮像面と前記第1端面でなす角部と、前記第1遮光部の延び方向の先端面と前記交差方向の内側面でなす角部とを結んだ直線は、前記被撮像面に対する角度が45度以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項7】
前記第1遮光部の延び方向の先端部と前記ワークとの最短距離は、0mm以上10mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出システム。
【請求項8】
前記ワークは、平均厚みが0.1mm以上10mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の検査等に用いられる検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品の検査において、カメラでワークの画像を撮影し、画像を解析して製品の不具合を検出する方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、シャドウマスクの表孔の形状欠陥を検査する表面欠陥の検査方法が開示されている。この表面欠陥の検査方法では、シャドウマスクを試料とし、線状照明手段が照射する拡散光によって反射明視野照明し、線状領域撮像手段によって試料面の検査領域を撮影して撮影画像を得る。そして、得られた撮影画像の画像データを画像処理し、撮影画像からシャドウマスクの表孔部形状不良を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-2526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来の検査装置、検出システムでは、微細な凹凸のある製品(ワーク)であり、平面的に広範囲に広がる製品の検査において、装置を大がかりなものにすることなく、より簡易な構造の装置で検出対象を検出したいという欲求があった。すなわち、多数の照明手段を設ける等することなく、簡易な構造の装置で検出対象を検出したいという欲求である。
また、従来の検査装置、検出システムでは、微細な凹凸のある製品であり、平面的に広範囲に広がる製品の検査において、制御を複雑化することなく、検出対象を検出したいという欲求があった。すなわち、それぞれ異なる角度から何度も対象部分を撮影する等の制御を行うことなく、簡易な制御で検出対象を検出したいという欲求である。
【0006】
そこで本発明は、簡易に検出対象の正確な検出が可能な検出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、板状のワークを載置する載置部と、前記載置部と前記ワークを挟んで対向する検出部を有し、前記載置部を前記検出部に対して相対的に移動させて、移動方向に対する交差方向の前記ワークの第1端部を検出する、検出システムであって、前記検出部は、前記ワークを前記載置部に載置した状態において、前記交差方向に前記載置部と前記ワークを跨るように拡散光を照射可能な拡散光源部と、前記載置部及び前記ワークでの反射光を受光して撮像する撮像部と、前記拡散光源部側から前記載置部に向かって延び、かつ前記交差方向における前記ワークの第1端部の近傍に設けられた第1遮光部を備える、検出システムである。
なお、ここでいう「第1端部の近傍」とは、平面視において交差方向で第1端部と近い位置であり、同平面視において第1端部との距離が10mm未満とする。
【0008】
本様相によれば、第1端部及びその周辺を撮像して画像を得るとき、得られた画像の解析の妨げとなる影の形成を防止(抑制)できるので、多数の照明手段を設けたり、異なる角度から何度も同じ場所を撮影したりすることなく、正確な検出が可能となる。すなわち、装置の構造と制御を複雑化することなく、簡易に検出対象の正確な検出が可能となる。
【0009】
好ましい様相は、前記検出部は、前記拡散光源部側から前記載置部に向かって延びた第2遮光部を有し、前記第2遮光部は、前記ワークを前記載置部に載置した状態において、前記交差方向における前記ワークの第1端部とは反対側の第2端部の近傍に設けられている。
なお、ここでいう「第2端部の近傍」とは、平面視において交差方向で第2端部と近い位置であり、同平面視において第2端部との距離が10mm未満とする。
【0010】
係る様相によると、第2端部及びその周辺を撮像する際においても、解析の妨げとなる影の形成を防止(抑制)できるので、多数の照明手段を設けたり、異なる角度から何度も同じ場所を撮影したりすることなく、正確な検出が可能となる。
【0011】
好ましい様相は、前記検出部は、前記交差方向において、前記第1遮光部と前記第2遮光部の間に前記拡散光源部側から前記載置部に向かって延びた第3遮光部を備える。
【0012】
係る様相によると、被撮像面に凹凸があり、平面的な広がりの大きいワークの各部を撮像する際においても、解析の妨げとなる影の形成を防止(抑制)できる。このため、多数の照明手段を設けたり、異なる角度から何度も同じ場所を撮影したりすることなく、正確な検出が可能となる。
【0013】
好ましい様相は、前記拡散光源部は、前記交差方向に延び、線状又は帯状に発光可能な発光領域を有し、前記第1遮光部の少なくとも一部は、前記載置部側からみて前記発光領域の前記交差方向における中間部と重なる位置に設けられている。
なお、ここでいう「中間部」とは、端部以外の部分であって端部間の部分(端部と端部の間の部分)をいう。
【0014】
好ましい様相は、前記第1遮光部は、前記ワークを前記載置部に載置した状態において、前記ワークの第1端部よりも前記交差方向の内側に位置している。
【0015】
好ましい様相は、前記ワークは、前記撮像部と対向する被撮像面と、前記第1端部が属する第1端面を有し、前記移動方向から視たときに、前記被撮像面と前記第1端面でなす角部と、前記第1遮光部の延び方向の先端面と前記交差方向の内側面でなす角部とを結んだ直線は、前記被撮像面に対する角度が45度以下である。
【0016】
好ましい様相は、前記第1遮光部の延び方向の先端部と前記ワークとの最短距離は、0mm以上10mm以下である。
【0017】
これらの様相によると、第1端部及びその周辺を撮像するとき、より正確な検出が可能となる。
【0018】
好ましい様相は、前記ワークは、平均厚みが0.1mm以上10mm以下である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、簡易に検出対象の正確な検出が可能な検出システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る検出システムを示す斜視図である。
図2図1のセンサ部材を下方側からみた様子を示す斜視図である。
図3図1のセンサ部材の下面図である。
図4図1のセンサ部材を横断面で切断し、模式的に示す断面図である。
図5】検出システムによって検出対象を検出する際の遮光壁部とセルストリングの位置関係を示す図であり、遮光壁部を透過して遮光壁部及びセルストリングを示す平面図であって、一部を拡大して示す。
図6図1のセンサ部材でセルストリングの撮影を行う場合の第1遮光壁部の周辺を模式的に示す説明図である。
図7】(a)は、遮光壁部を設けていないセンサ部材でセルストリングの撮影を行う場合の光源部からの光の照射方向を模式的に示す説明図であり、(b)は、図1のセンサ部材でセルストリングの撮影を行う場合の光源部からの光の照射方向を模式的に示す説明図である。
図8】(a)は、図7(a)のセンサ部材でセルストリングの端部を撮影した場合の撮影位置と取得される撮影画像を示す説明図であり、(b)は、図7(b)のセンサ部材でセルストリングの端部を撮影した場合の撮影位置と取得される撮影画像を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
本発明の実施形態に係る検出システム1は、図1で示されるように、センサ部材2(検出部)と、搬送装置3を有しており、センサ部材2によってセルストリング4(ワーク)の各部を検出する(詳しくは後述する)。
【0023】
センサ部材2は、図2図3で示されるように、筐体部10と、光源部11(拡散光源部)と、撮像部12と、遮光壁部13を有している。言い換えると、センサ部材2は、筐体部10、光源部11、撮像部12を含んで構成されるセンサ部材本体部2aに対し、遮光壁部13を取り付けて形成されている。
【0024】
筐体部10は、下方側(図2の上側)が開放された箱状の部材である。
本実施形態のセンサ部材2は、筐体部10内に光源部11と、撮像部12と、遮光壁部13の一部とが収容されている。すなわち、筐体部10は、光源部11、撮像部12、遮光壁部13それぞれの少なくとも一部を収容する収容空間を有する。
【0025】
光源部11は、図2で示されるように、全体の外形が略円柱状となる部分であり、センサ部材2の長手方向に延びている。この光源部11は、図2図4で示されるように、発光素子20と、レンズ21を有する。本実施形態では、発光素子20として板状のLED(長方形平板状のLEDチップ)を採用している。
そして、発光素子20が発光すると、点光源たる発光素子20の光がレンズ21を通過し、拡散光としてセンサ部材2の下方側に照射される。すなわち、光源部11は、センサ部材2の下方側に拡散光を照射する光源(照明)である。
【0026】
ここで、本実施形態の光源部11は、図2で示されるように、複数の発光素子20を有しており、複数の発光素子20は、光源部11の長手方向で間隔を空けて並んだ状態となるようにそれぞれ配されている。なお、作図の都合上、一部の発光素子20のみに符号を付し、他への符号を省略する。また、以下の説明においても、同様のものが複数存在する場合、必要に応じて符号を省略する。
以上のことから、光源部11は、レンズ21の外表面が発光する領域(発光する部分)となる。つまり、本実施形態の光源部11は、検査対象物(ワーク)を照明するためのライン状(線状、又は帯状)の光源であり、センサ部材2の長手方向に延びたライン状の発光領域を有する。
【0027】
本実施形態のセンサ部材2は、図2図3図4で示されるように、2つの光源部11を有する。2つの光源部11は、センサ部材2の幅方向で離れた位置にそれぞれ配されており、互いに平行となるように延びている。
そして、図4で示されるように、一方の光源部11に属する発光素子20と、他方の光源部11に属する発光素子20とは、いずれもセンサ部材2の幅方向における中心側が高位置となり、同幅方向における外側端部側に向かうにつれて高さが低くなるように傾斜した姿勢で配される。つまり、発光素子20は、斜め下方側に光を照射するように傾けて配されており、詳細には、センサ部材2の幅方向における中心側であり、且つ、下方側に向かって光を照射するように傾けて配されている。
【0028】
なお、一方の光源部11に属する発光素子20の傾斜方向は、センサ部材2の幅方向における片側端部に向かうにつれて上り勾配となる方向となる。対して、他方の光源部11に属する発光素子20の傾斜方向は、センサ部材2の幅方向における片側端部に向かうにつれて下り勾配となる方向となる。つまり、一方の光源部11に属する発光素子20と、他方の光源部11に属する発光素子20とは、それぞれ傾斜方向が異なる。
【0029】
撮像部12は、入射される光に基づいて検査対象物の撮影を行う部分である。
詳細に説明すると、撮像部12は、図4で示されるように、検査対象物からの光が入射される部分である入光部12aと、受光部12bを有する。入光部12aは、受光レンズ等によって形成される結像光学系であり、検査対象物からの光を結像する。受光部12bは、受光素子を有し、入光部12aにより結像された光を受光し、光電変換して電気信号として出力する。
つまり、照明された検査対象物からの光は、入光部12aにより受光部12bへと導かれ、受光部12bの受光面で受光され、受光に応じた信号が出力される。そして、受光部12bからの出力信号に基づいて、検査対象物の画像を得ることができる。本実施形態のセンサ部材2は、撮像部12が外部の解析用装置(図示しない)に信号を出力することで、検査対象物の画像が得られる。
【0030】
本実施形態のセンサ部材2は、撮像部12の一部(入光部12aの一部)が2つの光源部11の間に位置しており、撮像部12の一部とそれぞれの光源部11の間に上方に向かって延びる溝部25が形成されている。
【0031】
遮光壁部13は、図2図3で示されるように、上下方向に延びる立板状の部材である。詳細には、遮光壁部13は、図4で示されるように、厚さ方向を視線方向とした平面視において、略L字状を呈する立板状の部材である。すなわち、遮光壁部13は、略長方形立板状の遮光壁本体部30と、遮光壁本体部30の一部からさらに上方に延びる上方延設部31が一体となって形成されている。
【0032】
遮光壁部13は、端面の一部に湾曲面部32を有する。湾曲面部32は、遮光壁部13の厚さ方向を視線方向とした平面視において、円弧状に延びる部分である。詳細には、湾曲面部32は、上方延設部31の側方から遮光壁本体部30の上方に至るまでの部分に形成されている。
【0033】
本実施形態の遮光壁部13は、上方延設部31が溝部25に入り込んだ状態で配されている。このとき、湾曲面部32は、光源部11の外表面に沿って延びており、光源部11の外表面と対向している。本実施形態では、湾曲面部32が光源部11の外表面と接触しているが、これらは微細な隙間を空けて離間対向していてもよい。
【0034】
本実施形態の遮光壁部13は、一部が筐体部10内に位置し、他部が筐体部10、光源部11、及び撮像部12の下端よりも下方に位置する。一部がセンサ部材本体部2a内に位置し、他部がセンサ部材本体部2aの下側に位置する。
【0035】
本実施形態では、図2図3で示されるように、センサ部材2が複数の遮光壁部13を有しており、複数の遮光壁部13は、平面視で行列状に並んだ状態で配される。
詳細には、センサ部材2の幅方向で2つの遮光壁部13が並んでおり、このセンサ部材2の幅方向で並ぶ2つの遮光壁部13の組が、センサ部材2の長手方向で間隔を空けて並んだ状態となっている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、2つの遮光壁部13の組が5組配されており、これら5組のそれぞれがセンサ部材2の長手方向で間隔を空けて並んでいる。
【0036】
ここで、組をなす2つの遮光壁部13(以下、遮光壁形成部とも称す)は、図4で示されるように、センサ部材2の幅方向の中心部分が欠落した一連の壁を形成する。すなわち、遮光壁形成部は、センサ部材本体部2aの幅方向における片側端部よりも外側に離れた位置から、同幅方向における他方側端部よりも逆方向の外側に離れた位置に至るまでの部分に、中途部分で断続して延びる遮光壁を形成する。そして、本実施形態では、下方からみた平面視において、遮光壁形成部の欠落部分(組をなす2つの遮光壁部13の間)に、撮像部12(入光部12a)の一部が位置している。
【0037】
搬送装置3は、平板状の搬送台部3a(載置部)と、レール部(図示しない)を有しており、搬送台部3aがレール部上を移動する。
【0038】
セルストリング4は、図1で示されるように、複数の薄板状の太陽電池セル35を連結して形成される太陽電池セル35の連結体である。本実施形態のセルストリング4は、隣り合う太陽電池セル35の一部同士が重なるように、複数の太陽電池セル35が並べられて形成される。
したがって、セルストリング4は、隣り合う太陽電池セル35の重なり部分の厚さが他の部分よりも厚くなる。ここでセルストリング4は、平均厚みが0.1mm以上10mm以下となるように形成することが好ましく、本実施形態のセルストリング4は、平均厚みが0.5mm以上1.0mm以下となるように形成されている。
【0039】
それぞれの太陽電池セル35は、バックコンタクト型の太陽電池であって、一方の主面が受光面であり、他方の主面が裏面となっている。そして、裏面は、配線等に起因する微細な凹凸が形成された凹凸面(詳細な図示を省略する)となっている。
【0040】
続いて、本実施形態の検出システム1がセルストリング4の各部を検出する(セルストリング4の不具合を検出する)際の動作について説明する。
セルストリング4の各部を検出する際には、セルストリング4は、図1で示されるように、搬送台部3a上に載置される。なお、セルストリング4は、それぞれの太陽電池セル35の裏面が上方を向く姿勢(センサ部材2側を向く姿勢)で配されている。
そして、セルストリング4が載置された搬送台部3aを走行させる。すなわち、搬送台部3aを水平方向に移動させ、センサ部材2に対して相対移動させる。ここで、平面視で搬送台部3aの移動方向と平行な方向を第1方向X1とし、上下方向及び第1方向X1と直交する方向を第2方向Z1とする。したがって、第2方向Z1は、搬送台部3aの移動方向と交差する方向(交差方向)でもある。
【0041】
本実施形態では、センサ部材2は、搬送台部3aが移動する位置よりも上方に配されている。また、センサ部材2は、長手方向が第2方向Z1と同方向となり、幅方向が第1方向X1と同方向となるように配されている。したがって、センサ部材2の光源部11と、撮像部12と、遮光壁部13(図2図3参照)は、セルストリング4を挟んで搬送台部3aと対向する位置に配される。
【0042】
また、本実施形態では、セルストリング4は、平面視において長手方向が第1方向X1と同方向となり、幅方向が第2方向Z1と同方向となるように配されている。なお、セルストリング4に属する太陽電池セル35は、平面視において長手方向が第2方向Z1と同方向となり、幅方向が第1方向X1と同方向となるように配された状態となっている。
【0043】
そして、セルストリング4の各部を検出する際には、セルストリング4が載置された搬送台部3aの少なくとも一部が、搬送台部3aの移動方向の上流側からセンサ部材2の下側を経て、移動方向の下流側まで移動する。このことにより、セルストリング4の各部が順次センサ部材2の下側を通過していく。そして、セルストリング4の各部がセンサ部材2の下側を通過する際、セルストリング4のそれぞれの部分を撮像部12(図2等参照)が撮影し、セルストリング4のそれぞれの部分の画像が得られる(セルストリング4のそれぞれの部分が検出される)。そして、得られた画像を解析することで、セルストリング4の不具合の検出を行う。
すなわち、セルストリング4の裏面(セルストリング4に属するそれぞれの太陽電池セル35の裏面)の所定の部分が、撮像部12と対向する位置に配され、撮像部12によって撮影される被撮像面となる。
【0044】
ここで、本実施形態のセンサ部材2は、上記したように複数の遮光壁部13を有している。複数の遮光壁部13は、詳細には、図5で示されるように、第1遮光壁部13a(第1遮光部)、第2遮光壁部13b(第2遮光部)、第3遮光壁部13c(第3遮光部)から構成されている。
【0045】
第1遮光壁部13aは、撮影時におけるセルストリング4の幅方向の片側端部であり、第2方向Z1における一方側の端部である第1端部4aの近傍に設けられた遮光壁部13である。なお、ここでいう「第1端部4aの近傍」とは、平面視における第1端部4aからの距離L1が10mm未満であり、本実施形態では、3mm未満としている。
本実施形態の第1遮光壁部13aは、複数の遮光壁部13のうち、平面視で最も第1端部4aに近接する位置に設けられた遮光壁部13でもある。
【0046】
第2遮光壁部13bは、撮影時におけるセルストリング4の幅方向の他方側端部であり、第2方向Z1における他方側の端部である第2端部4bの近傍に設けられた遮光壁部13である。なお、ここでいう「第2端部4bの近傍」とは、平面視における第2端部4bからの距離L2が10mm未満であり、本実施形態では、3mm未満としている。
本実施形態の第2遮光壁部13bは、複数の遮光壁部13のうち、平面視で最も第2端部4bに近接する位置に設けられた遮光壁部13でもある。
【0047】
第3遮光壁部13cは、センサ部材2の長手方向(第2方向Z1)において、第1遮光壁部13aと第2遮光壁部13bの間に位置する遮光壁部13である。本実施形態では、一つの第1遮光壁部13aと一つの第2遮光壁部13bの間に、複数の第3遮光壁部13cが間隔を空けて並んだ状態となるように配されている。
【0048】
また、本実施形態では、図3で示されるように、第1遮光壁部13aは、平面視において、光源部11の一部と重なるように配されている。より詳細には、第1遮光壁部13aは、光源部11の中間部、すなわち、光源部11の長手方向の端部から離れた部分と重なるように配されている。
同様に、第2遮光壁部13b、第3遮光壁部13cもまた、光源部11の中間部と重なるように配されている。
すなわち、第1遮光壁部13a、第2遮光壁部13b、第3遮光壁部13cは、少なくとも一部が、光源部11の一部(中間部)と重なるように配されている。
【0049】
さらに、本実施形態の第1遮光壁部13aは、図6で示されるように、セルストリング4の各部を検出する際に、セルストリング4の第1端部4aよりもセンサ部材2の長手方向(第2方向Z1)で内側に位置するように配される。
このとき、光源部11(図3参照)の一部は、セルストリング4の第1端部4aよりもセンサ部材2の長手方向(第2方向Z1)で外側に位置し、他部はセルストリング4の第1端部4aよりも同長手方向で内側に位置した状態となる。すなわち、光源部11は、セルストリング4の第1端部4aよりも第2方向Z1で外側に位置する搬送台部3aの上面の上方から、第1端部4aの上方を経て、セルストリング4の上方に至る部分に亘って延びている。
【0050】
そして、詳細な図示を省略するが、第2遮光壁部13bもまた、セルストリング4の不具合を検出する際に、セルストリング4の第2端部4bよりもセンサ部材2の長手方向(第2方向Z1)で内側に位置するように配される(図5等参照)。
同様に、光源部11(図3参照)の一部は、セルストリング4の第2端部4bよりもセンサ部材2の長手方向(第2方向Z1)で外側に位置し、他部はセルストリング4の第2端部4bよりも同長手方向で内側に位置した状態となる。
【0051】
ここで、セルストリング4の被撮像面(セルストリング4の裏面であってセンサ部材2と対向する面)と、セルストリング4の第1端部4a側の端面である第1端面でなす角部を第1角部40とする。さらに、第1遮光壁部13aの下面(下端面であり、延び方向の先端面)と、第1遮光壁部13aの第2方向Z1における内側面でなす角部を第2角部45とする。このとき、本実施形態では、第1方向X1(図6の手前奥方向、図1参照)を視線方向とした平面視において、第1角部40と第2角部45とを結んだ直線(仮想線)と、セルストリング4の被撮像面のなす角θ1を45度以下となるようにしている。
【0052】
さらに、本実施形態では、第1遮光壁部13aの下面、すなわち、第1遮光壁部13aの延び方向の先端面(先端部)と、セルストリング4との最短距離L3が0mm以上10mm以下となることが好ましい。本実施形態では、0mm以上3mm以下となるようにしている。
【0053】
以上のことから、本実施形態の検出システム1によると、図7図8で示されるように、セルストリング4のエッジ部分(平面視における縁部分)の近傍に形成される影に起因して、得られた画像の解析が困難となるという問題の発生を防止(抑制)できる。
【0054】
詳細に説明すると、図7(a)で示されるように、遮光壁部13を設けないセンサの場合、セルストリング4の第2方向Z1における端部から離れた位置から、照明として拡散光が照射される。すなわち、セルストリング4の第2方向Z1における端部から斜め上方(第2方向Z1の内側上方)に大きく離れた位置から、同端部に向かって、照明光の角度が水平面に対して鋭角となるように光が照射される。このことにより、セルストリング4の第2方向Z1における端部と隣接する位置であり、第2方向Z1の外側に隣接する位置(図中の符号Sで示す位置)に影が形成されてしまう(図8(a)参照)。
対して、上記した検出システム1では、図7(b)で示されるように、遮光壁部13によって、各部から照射される拡散光において一部の方向成分を有する光を遮光する。このことにより、上記した位置、すなわち、セルストリング4の第2方向Z1における端部と隣接する位置であり、第2方向Z1の外側に隣接する位置での影の形成を防止、又は、抑制できる。つまり、そもそも影が出来ない、又は、出来難い状態であり、影が出来たとしても影の大きさが小さい、及び/又は、影が薄い状態とすることができる。
【0055】
このことにより、図8(b)で示されるように、セルストリング4のエッジ部分(平面視における縁部分)の近傍を鮮明に撮影(検出)することが可能となり、正確な画像解析が可能となる。
例えば、複数の太陽電池セル35を連結するとき、一つの太陽電池セル35が規定位置よりもセルストリング4の幅方向でずれた位置に配されたまま連結されてしまったとする。この場合、セルストリング4のエッジ部分(平面視における縁部分)の各部の画像を解析することで、このような位置ずれ(不具合)を検出できる。本実施形態では、上記したように、セルストリング4のエッジ部分の各部を撮影(検出)するとき、エッジ部分の周辺に影(大きな影や濃い影)が形成されないので、位置ずれしたエッジ部分を正確に検出できる。
【0056】
上記した実施形態では、センサ部材2を移動させず、セルストリング4を載置した搬送台部3aを走行させ、搬送台部3aをセンサ部材2に対して相対移動させた例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、センサ部材2を移動させると共に、搬送台部3aを走行させない構成とし、搬送台部3aをセンサ部材2に対して相対移動させてもよい。また、センサ部材2と搬送台部3aの双方を移動させてもよい。
【0057】
上記した実施形態では、下側からみた平面視(下面視)において、遮光壁部13の一部がセンサ部材本体部2aの縁端(幅方向における片側端部)よりも外側に位置する例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。遮光壁部13は、平面視において、全体がセンサ部材本体部2aと重なる位置に配されていてもよい。言い換えると、遮光壁部13は、平面視において、全体がセンサ部材本体部2aの縁端よりも内側に位置していてもよい。
遮光壁部13は、センサ部材本体部2aの幅方向における外側端部が、同幅方向において、発光素子20、又は、レンズ21の横断面の中心(断面円の中心点)よりも外側に位置していればよい。
【符号の説明】
【0058】
1 検出システム
2 センサ部材(検出部)
3a 搬送台部(載置部)
4 セルストリング(ワーク)
4a 第1端部
4b 第2端部
11 光源部(拡散光源部)
12 撮像部
13 遮光壁部
13a 第1遮光壁部(第1遮光部)
13b 第2遮光壁部(第2遮光部)
13c 第3遮光壁部(第3遮光部)
40 第1角部(角部)
45 第2角部(角部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8