(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013564
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】電気コネクタ、電気コネクタ連結体、ユニットおよびユニット連結体
(51)【国際特許分類】
H01R 12/73 20110101AFI20240125BHJP
【FI】
H01R12/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115739
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138140
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 努
(72)【発明者】
【氏名】堀井 崇生
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB31
5E223AC19
5E223AC21
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA03
5E223DA13
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB23
5E223EA03
(57)【要約】
【課題】複数連結されるユニットにおける部品点数を少なくできる電気コネクタ、電気コネクタ連結体、ユニットおよびユニット連結体を提供する。
【解決手段】電気コネクタ1の前方に位置する相手コネクタ1の第二嵌合部12に電気コネクタ1の第一嵌合部11が後方から嵌合することにより、電気コネクタ1の第一端子20の第一接触部22が相手コネクタ1の第二端子30の第二接触部32に接触可能であり、電気コネクタ1の後方に位置する他の相手コネクタ1の第一嵌合部11が電気コネクタ1の第二嵌合部12へ後方から嵌合されることにより、電気コネクタ1の第二端子30の第二接触部32が他の相手コネクタ1の第一端子20の第一接触部22に接触可能である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に実装されるとともに、前記回路基板の実装面に対して直角な前後方向を連結方向として複数連結可能な電気コネクタにおいて、
前記実装面に対して平行に配列される2種の端子と、
前記2種の端子を保持するハウジングとを有しており、
前記ハウジングは、前端側に設けられた第一嵌合部と、後端側に設けられた第二嵌合部とを有し、
前記2種の端子は、第一端子列を形成する第一端子と、第二端子列を形成する第二端子とを有し、
前記第一端子は、前記回路基板に接続される第一接続部と、前記第一接続部よりも前方で前記第一嵌合部に沿って前後方向に延びる第一接触部とを有し、
前記第二端子は、前記回路基板に接続される第二接続部と、前記第一接触部よりも後方で前記第二嵌合部に沿って前後方向に延びる第二接触部とを有し、
前記電気コネクタの前方に位置する相手コネクタの第二嵌合部に前記電気コネクタの前記第一嵌合部が後方から嵌合することにより、前記電気コネクタの前記第一接触部が前記相手コネクタの第二端子の第二接触部に接触可能であり、
前記電気コネクタの後方に位置する他の相手コネクタの第一嵌合部が前記電気コネクタの前記第二嵌合部へ後方から嵌合されることにより、前記電気コネクタの前記第二接触部が前記他の相手コネクタの第一端子の第一接触部に接触可能であること特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記電気コネクタの第一接触部は、前記相手コネクタの第二端子の第二接触部に、有効嵌合長の範囲で接触可能であり、
前記電気コネクタの第二接触部は、前記他の相手コネクタの第一端子の第一接触部に、有効嵌合長の範囲で接触可能であることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項3】
前記第一接続部および前記第二接続部は、前記回路基板の前面に形成された実装面に接続可能となっており、
前記第二接触部は、少なくとも後端側部分が前記回路基板よりも後方に位置していることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第一接続部および前記第二接続部は、前記回路基板の後面に形成された実装面に接続可能となっており、
前記第一接触部は、少なくとも前端側部分が前記回路基板よりも前方に位置していることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記第一接続部と前記第二接続部とが互いに千鳥状をなして配列されていることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記第二接触部は、前記端子の配列方向で前記第二接続部と同じ位置に設けられており、
前記第一接触部は、前記第二接触部よりも弾性変形しにくくなっており、前記配列方向の成分をもって延びる第一偏倚部を前記第一接触部の後端側に有していて、前記第一偏倚部よりも前方に位置する部分が、前記配列方向で、前記第一接続部に対してずれて位置し、かつ、前記第二端子の前記第二接触部と同じ位置に設けられていることとする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記第一接触部は、前記端子の配列方向で前記第一接続部と同じ位置に設けられており、
前記第二接触部は、前記第一接触部よりも弾性変形しにくくなっており、前記配列方向の成分をもって延びる第二偏倚部を前記第二接触部の前端側に有していて、前記第二偏倚部よりも後方に位置する部分が、前記配列方向で、前記第二接続部に対してずれて位置し、かつ、前記第一端子の前記第一接触部と同じ位置に設けられていることとする請求項5に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の電気コネクタが複数連結されていることを特徴とする電気コネクタ連結体。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の電気コネクタを実装した前記回路基板が筐体に収容されていることを特徴とするユニット。
【請求項10】
請求項9に記載のユニットが前後方向で複数連結されており、連結される任意の2つのユニット同士の前後方向での干渉により電気コネクタ同士の嵌合深さが規定されていることを特徴とするユニット連結体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ、電気コネクタを複数連結した電気コネクタ連結体、電気コネクタを有するユニット、およびユニットを複数連結したユニット連結体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、同じ構成の複数のユニットを一方向(以下、「前後方向」とする)に連結したユニット型コントロール装置が開示されている。各ユニットは、電気コネクタが実装された回路基板を箱状の筐体に収容して構成されている。回路基板は、その面が前後方向に対して直角をなした姿勢で設けられており、一方の面(前面)に雄型コネクタが実装され、他方の面(後面)に雌型コネクタが実装されている。雄型コネクタの嵌合部は筐体の前面から、雌型コネクタの嵌合部は筐体の後面から露呈している。各ユニットがこのような構成を有しているので、任意のユニットの雄型コネクタを他のユニットの雌型コネクタに後方から嵌合接続することにより、複数のユニットを連結することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、各ユニットにおいて1つの回路基板に1つの雄型コネクタと1つの雌型コネクタ、すなわち2つの電気コネクタが実装されているので、その分、ユニットを構成する部品点数が多くなってしまう。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑み、複数連結されるユニットにおける部品点数を少なくできる電気コネクタ、電気コネクタ連結体、ユニットおよびユニット連結体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る電気コネクタは、回路基板に実装されるとともに、前記回路基板の実装面に対して直角な前後方向を連結方向として複数連結可能となっている。
【0007】
かかる電気コネクタにおいて、本発明では、前記実装面に対して平行に配列される2種の端子と、前記2種の端子を保持するハウジングとを有しており、前記ハウジングは、前端側に設けられた第一嵌合部と、後端側に設けられた第二嵌合部とを有し、前記2種の端子は、第一端子列を形成する第一端子と、第二端子列を形成する第二端子とを有し、前記第一端子は、前記回路基板に接続される第一接続部と、前記第一接続部よりも前方で前記第一嵌合部に沿って前後方向に延びる第一接触部とを有し、前記第二端子は、前記回路基板に接続される第二接続部と、前記第一接触部よりも後方で前記第二嵌合部に沿って前後方向に延びる第二接触部とを有し、前記電気コネクタの前方に位置する相手コネクタの第二嵌合部に前記電気コネクタの前記第一嵌合部が後方から嵌合することにより、前記電気コネクタの前記第一接触部が前記相手コネクタの第二端子の第二接触部に接触可能であり、前記電気コネクタの後方に位置する他の相手コネクタの第一嵌合部が前記電気コネクタの前記第二嵌合部へ後方から嵌合されることにより、前記電気コネクタの前記第二接触部が前記他の相手コネクタの第一端子の第一接触部に接触可能であること特徴としている。
【0008】
(1)の発明では、2種の端子、すなわち第一端子および第二端子が1つの電気コネクタに設けられており、この1つの電気コネクタだけで、前方に位置する相手コネクタおよび後方に位置する他の相手コネクタの両方に対して連結可能となっている。したがって、従来のように1つの回路基板のそれぞれの面に電気コネクタを1つずつ実装する場合と比較して、電気コネクタの数が少なくて済み、その結果、部品点数を少なくできる。
【0009】
(2) (1)の発明において、前記電気コネクタの第一接触部は、前記相手コネクタの第二端子の第二接触部に、有効嵌合長の範囲で接触可能であり、前記電気コネクタの第二接触部は、前記他の相手コネクタの第一端子の第一接触部に、有効嵌合長の範囲で接触可能であることとしてもよい。
【0010】
(2)の発明では、有効嵌合長の範囲内であれば、連結される任意の2つの電気コネクタ同士の嵌合深さを変更しても、第一接触部と第二接触部との接触状態を確保できる。したがって、電気コネクタが設けられる装置の形状や大きさ等の仕様によって嵌合深さが変更されても、電気コネクタ同士の電気的な接続状態を良好に確保できる。
【0011】
(3) (1)または(2)の発明において、前記第一接続部および前記第二接続部は、前記回路基板の前面に形成された実装面に接続可能となっており、前記第二接触部は、少なくとも後端側部分が前記回路基板よりも後方に位置していてもよい。このように第一接続部および第二接続部の両方を回路基板における前面に接続可能とすることで、電気コネクタを回路基板に対して前方から実装できる。したがって、第一接続部を回路基板の一方の面に実装するとともに第二接続部を回路基板の他方の面に接続する場合と比べて、電気コネクタの実装作業が容易となる。
【0012】
(4) (1)または(2)の発明において、前記第一接続部および前記第二接続部は、前記回路基板の後面に形成された実装面に接続可能となっており、前記第一接触部は、少なくとも前端側部分が前記回路基板よりも前方に位置していてもよい。このように第一接続部および第二接続部の両方を回路基板における後面に接続可能とすることで、電気コネクタを回路基板に対して後方から実装できる。したがって、第一接続部を回路基板の一方の面に実装するとともに第二接続部を回路基板の他方の面に接続する場合と比べて、電気コネクタの実装作業が容易となる。
【0013】
(5) (1)ないし(4)の発明において、前記第一接続部と前記第二接続部とが互いに千鳥状をなして配列されていてもよい。このようにすることで、回路基板の実装面を前後方向に見たとき、第一接続部および第二接続部の両方を視認可能となる。したがって、第一接続部および第二接続部の回路基板に対する接続状態を容易に確認することができる。
【0014】
(6) (5)の発明において、前記第二接触部は、前記端子の配列方向で前記第二接続部と同じ位置に設けられており、前記第一接触部は、前記第二接触部よりも弾性変形しにくくなっており、前記配列方向の成分をもって延びる第一偏倚部を前記第一接触部の後端側に有していて、前記第一偏倚部よりも前方に位置する部分が、前記配列方向で、前記第一接続部に対してずれて位置し、かつ、前記第二端子の前記第二接触部と同じ位置に設けられていてもよい。
【0015】
このような位置に第一接触部を設けることで、任意の電気コネクタにおいて第一端子の第一接続部と第二端子の第二接続部とを千鳥状に配列しつつ、該電気コネクタの第一端子の第一接触部を、該第一接触部に対応する相手コネクタの第二端子の第二接触部と端子の配列方向で同位置に配置でき、該第二接触部と確実に接触させることができる。また、第一偏倚部は、端子の配列方向の成分をもって屈曲するように第一接触部の後端側に形成される。このように屈曲した第一偏倚部は、比較的弾性変形しにくい第一接触部に形成されているので、第一接触部自体の強度に関して、第一偏倚部を設けたことによる影響を最小限に留めることができる。
【0016】
(7) (5)の発明において、前記第一接触部は、前記端子の配列方向で前記第一接続部と同じ位置に設けられており、前記第二接触部は、前記第一接触部よりも弾性変形しにくくなっており、前記配列方向の成分をもって延びる第二偏倚部を前記第二接触部の前端側に有していて、前記第二偏倚部よりも後方に位置する部分が、前記配列方向で、前記第二接続部に対してずれて位置し、かつ、前記第一端子の前記第一接触部と同じ位置に設けられていてもよい。
【0017】
このような位置に第二接触部を設けることで、任意の電気コネクタにおいて第一端子の第一接続部と第二端子の第二接続部とを千鳥状に配列しつつ、該電気コネクタの第二端子の第二接触部を、該第二接触部に対応する他の相手コネクタの第一端子の第一接触部と端子の配列方向で同位置に配置でき、該第一接触部と確実に接触させることができる。また、第二偏倚部は、端子の配列方向の成分をもって屈曲するように第二接触部の前端側に形成される。このように屈曲した第二偏倚部は、比較的弾性変形しにくい第二接触部に形成されているので、第二接触部自体の強度に関して、第二偏倚部を設けたことによる影響を最小限に留めることができる。
【0018】
(8) 本発明に係る電気コネクタ連結体は、(1)ないし(7)のいずれかの発明の電気コネクタが複数連結されていることを特徴としている。
【0019】
(9) 本発明に係るユニットは、(1)ないし(7)のいずれかの発明の電気コネクタを実装した前記回路基板が筐体に収容されていることを特徴としている。
【0020】
(10) 本発明に係るユニット連結体は、(9)の発明のユニットが前後方向で複数連結されており、連結される任意の2つのユニット同士の前後方向での干渉により電気コネクタ同士の嵌合深さが規定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、複数連結されるユニットにおける部品点数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るユニット連結体を示す断面図であり、(A)は複数のユニットを連結する前の状態を示し、(B)は複数のユニットを連結した状態を示している。
【
図2】
図1に示されるユニットに設けられる回路基板付電気コネクタを2つ並べて示した斜視図であり、電気コネクタ同士を連結する前の状態を示している。
【
図3】
図2に示される1つの回路基板付電気コネクタを、電気コネクタと回路基板とに分離して示した斜視図である。
【
図4】
図3に示される電気コネクタに設けられる端子を単体で示す斜視図であり、(A)は第一端子を示し、(B)は第二端子を示している。
【
図5】
図3に示される回路基板付電気コネクタの断面図であり、第一端子および第二端子の位置におけるコネクタ幅方向に対して直角な面での断面を示している。
【
図6】回路基板付電気コネクタの一部拡大図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図である。
【
図7】2つの回路基板付電気コネクタの連結状態を示す断面図であり、(A)は、嵌合深さが深い場合の連結状態を示し、(B)は嵌合深さが浅い場合の連結状態を示している。
【
図8】本発明の第二実施形態における2つの回路基板付電気コネクタの連結状態を示す断面図であり、(A)は、嵌合深さが深い場合の連結状態を示し、(B)は嵌合深さが浅い場合の連結状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
<第一実施形態>
本実施形態に係る電気コネクタは、例えば、工場の自動化に使用されるPLC(Programmable Logic Controller)に使用される。このPLCは、複数のユニットを一方向に連結したユニット連結体として構成されている。また、このユニット連結体において、各ユニットの電気コネクタに着目した場合、複数の電気コネクタが連結されることでコネクタ連結体が構成されていると言える。
図1(A),(B)は、本実施形態に係るユニット連結体を示す、コネクタ幅法方向(Y軸方向)に対して直角な面での断面図である。ここで、
図1(A)は複数のユニットUを連結する前の状態を示し、(B)は複数のユニットUを連結した状態を示している。
【0025】
図1(A),(B)に示されるように、電気コネクタ1(以下、「コネクタ1」という)は、回路基板Bに実装された状態で各ユニットUに設けられている。本実施形態では、複数のユニットUは、回路基板Bに対して直角な前後方向(X軸方向)を連結方向として連結される。ここでは、X1方向が前方、X2方向が後方となっている。なお、本実施形態では、3つのユニットUによりユニット連結体が構成されているが、PLCを構成するユニットの数はこれに限られず、PLCの設計仕様に応じて適宜設定される。
【0026】
各ユニットUでは、コネクタ1を実装した回路基板Bが、略直方体形状の筐体Cに収容されている。コネクタ1は、前端側(X1側)に設けられた第一嵌合部11が筐体Cの前面に位置し、後端側(X2側)に設けられた第二嵌合部12が筐体Cの後面に位置している。したがって、任意の2つのユニットUにおいて、後方(X2側)に位置するユニットUの第一嵌合部11を前方(X1側)に位置するユニットUの第二嵌合部12へ後方から嵌合させることによりユニットU同士が連結される。
【0027】
図1(B)に示されるように、互いに連結した任意の2つのユニットUは、互いに連結した状態において、筐体Cの外面が前後方向で接面して当接する。このように本実施形態では、ユニットUの筐体同士が前後方向で干渉することにより、コネクタ1同士の嵌合深さが規定されている。
【0028】
図1(A)に示されるように、筐体Cは、下部の前面から筒状に突出する突出口C1を有している。突出口C1内にはコネクタ1の第一嵌合部11が収容されている。また、筐体Cは、下部の後面に孔状の受入口C2を有している。受入口C2には、コネクタ1の第二嵌合部12が後方へ向けて臨んでいる。任意の2つのユニットUについて、コネクタ1同士を嵌合することでユニットU同士を連結する際には、
図1(B)に示されるように、後方に位置するユニットUの突出口C1を前方に位置するユニットUの受入口C2へ後方から挿入する。
【0029】
図2は、
図1のユニットUに設けられる回路基板付コネクタ(回路基板Bに実装された状態のコネクタ1)を2つ並べて示した斜視図であり、コネクタ1同士を連結する前の状態を示している。
図2に示されるように、回路基板Bは、その面が前後方向に対して直角をなした姿勢で設けられており、前面が実装面B1となっている。コネクタ1は、回路基板Bの実装面B1に対して前方から配置されて半田接続により実装される。
【0030】
図3は、
図2に示す1つの回路基板付電気コネクタを、コネクタ1と回路基板Bとに分離して示した斜視図である。
図3に示されるように、回路基板Bには、コネクタ幅方向(Y軸方向)での中間部における下縁が切り欠かれて切欠部B2が形成されている。切欠部B2は、コネクタ1の実装時に、コネクタ1の第二嵌合部12の後方(X2側)へ向けた通過を許容するようになっており、これによって、コネクタ1を回路基板Bと干渉させることなく前方(X1側)から実装面B1に配置することが可能となっている。また、コネクタ幅方向での切欠部B2の両側には、コネクタ1の位置決めのための円形孔状の孔部B3が回路基板Bを前後方向(板厚方向)に貫通して形成されている。
【0031】
回路基板Bの実装面B1には、切欠部B2の直上に位置する領域で、複数のパッド(回路部)B4,B5がコネクタ幅方向を配列方向として配列形成されている。パッドB4,B5は、コネクタ1の後述の第一端子20が半田接続される第一パッドB4と、コネクタ1の後述の第二端子30が半田接続される第二パッドB5とを有している。第一パッドB4と第二パッドB5とは互いに同じ数だけ設けられており、第一パッドB4の列が第二パッドB5の列よりも上方に位置している。また、第二パッドB5の列は、第一パッドB4の列に対してコネクタ幅方向で半ピッチ分ずれて設けられている。換言すると、第一パッドB4および第二パッドB5は千鳥状をなして配列されている(
図6(A),(B)も参照)。
【0032】
図2および
図3に示されるように、コネクタ1は、樹脂等の電気絶縁材製のハウジング10と、コネクタ幅方向(Y軸方向)を端子配列方向として配列されハウジング10に保持される金属製の2種の端子20,30とを有している(
図5も参照)。ハウジング10は、前端側(X1側)に設けられた第一嵌合部11と、後端側(X2側)に設けられた第二嵌合部12と、第二嵌合部12の上方(Z1側)に設けられた端子保持部13と、コネクタ幅方向(Y軸方向)でハウジングの両端に設けられた端壁14とを有している。
【0033】
ハウジング10の構成の詳細を説明するのに先立ち、2種の端子20,30の構成を説明する。端子20,30は、互いに形状の異なる雄端子としての第一端子20と雌端子としての第二端子30とを有している。
図4(A)は第一端子20を単体で示す斜視図であり、
図4(B)は、第二端子30を単体で示す斜視図である。第一端子20は、
図4(A)に示されるように、金属帯状片を板厚方向に屈曲して作られており、第一端子20の長手方向の一端側に設けられ上下方向に延びる第一接続部21と、他端側に設けられ前後方向に延びる第一接触部22と、第一接続部21と第一接触部22との間に設けられた第一被保持部23および第一移行部24とを有している。
【0034】
第一接続部21は、回路基板Bの第一パッドB4に前方から配置されて半田接続されるようになっている(
図5参照)。第一接触部22は、第一接続部21よりも前方(X1側)に位置しており、第一嵌合部11の上面に沿って前後方向に延びている(
図5参照)。第一接触部22は、後端側(X2側)に設けられた第一偏倚部22Aと、第一偏倚部22Aから前方へ向けて延びる接触腕部22Bとを有している。第一偏倚部22Aは、前後方向(X軸方向)に対してコネクタ幅方向でY2側へ傾斜して、すなわちコネクタ幅方向でY2側へ向けた成分をもって屈曲するように延びている。接触腕部22Bは、前後方向に対して傾斜することなく、第一偏倚部22Aの前端から第一接触部22の前端(自由端)までにわたって直状に延びている。
【0035】
第一接触部22に第一偏倚部22Aが設けられていることにより、接触腕部22Bは、第一接続部21、第一被保持部23および第一移行部24に対してコネクタ幅方向でY2側に半ピッチ分ずれて位置している。後述するように、第一接触部22は、接触腕部22Bにおける前後方向での全範囲が他のコネクタ1(相手コネクタ)の後述の第二接触部32と接触可能な範囲となっている。つまり、前後方向における接触腕部22Bの全長が、いわゆる有効嵌合長となっている。
【0036】
第一被保持部23は、
図4(A)に示されるように、上下方向に直状をなして延びており、その下端が第一偏倚部22Aの後端と連結されている。第一被保持部23は、ハウジング10の端子保持部13の前面に沿って延びており、該端子保持部13で圧入保持されている(
図5および
図6(A),(B)参照)。第一被保持部23の上端寄り位置には、端子幅方向(コネクタ幅方向)の両側縁から突出する複数の第一圧入突起23Aが設けられている。第一移行部24は、第一被保持部23の上端から後方にかうにつれて上方へ傾斜しながら延びており、その後端が第一接続部21の下端と連結されている。
【0037】
第二端子30は、
図4(B)に示されるように、第一端子20と同じ厚さの金属帯状片を板厚方向に屈曲して作られており、第二端子30の長手方向の一端側に設けられ上下方向に延びる第二接続部31と、他端側に設けられ前後方向に延びる第二接触部32と、第二接続部31と第二接触部32との間に設けられたクランク部33および第二移行部34とを有している。
【0038】
第二接続部31は、回路基板Bの第二パッドB5に前方から配置されて半田接続されるようになっている(
図5参照)。第二接触部32は、第二接続部31よりも後方(X2側)に位置し、第二嵌合部12の後述の上壁12A(
図5参照)に沿って前後方向に延びており、上下方向に弾性変形可能となっている。第二接触部32は、後端寄り位置で下方に向けて突出するように屈曲されて接触突部32Aが形成されている。つまり、第二接触部32において、接触突部32Aよりも前方に位置する部分は、接触突部32Aから前方へ向かうにつれて上方に傾斜して延びており、接触突部32Aよりも後方に位置する部分は、接触突部32Aから後方へ向かうにつれて上方に傾斜して延びている。第二接触部32は、他のコネクタ1(他の相手コネクタ)に設けられた第一端子20の第一接触部22に対して接触突部32Aで接触可能となっている。
【0039】
クランク部33は、第二接触部32の前端で屈曲されて上方へ向けて延びてから、前方、さらに上方へ向けて順次屈曲され、第二移行部34の下端に連結されており、コネクタ幅方向に見てクランク状をなすように形成されている。クランク部33のうち、第二接触部32の前端から上方に延びる部分は、ハウジング10の端子保持部13の後面に沿って延びており、ハウジング10の端子保持部13で圧入保持される第二被保持部33Aをなしている(
図5参照)。第二被保持部33Aの上端寄り位置には、端子幅方向(コネクタ幅方向)の両側縁から突出する複数の第二圧入突起33A-1が設けられている。
【0040】
また、クランク部33のうち前後方向に延びる部分は、回路基板Bの下方で、回路基板Bを前後方向(回路基板の板厚方向)に跨ぐように延びる横部33Bとして形成されている(
図5,
図7(A),(B)参照)。本実施形態では、このように横部33Bが回路基板Bを跨いで設けられていることにより、第二接続部31および第二移行部34が回路基板Bより前方に設けられ、第二接触部32が回路基板Bより後方に設けられている。
【0041】
第二移行部34は、第二被保持部33Aの上端から後方に向かうにつれて上方へ傾斜しながら延びており、その後端が第二接続部31の下端と連結されている。本実施形態では、第二移行部34は、第一端子20の第一移行部24とほぼ同じ角度で傾斜しており、第一移行部24に対してほぼ平行に延びている。
【0042】
ハウジング10の説明に戻る。
図5は、回路基板付電気コネクタの断面図であり、第一端子20および第二端子30の位置におけるコネクタ幅方向に対して直角な面での断面を示している。
図3および
図5に示されるように、第一嵌合部11は、第二嵌合部12の前面から前方へ向けて突出するとともにコネクタ幅方向で端子配列範囲を含む範囲にわたって延びており、上下方向に厚みをもった板状をなしている。
図5に示されるように、第一嵌合部11の上面には、前後方向に延びる前方溝部11Aがコネクタ幅方向に配列形成されている。前方溝部11Aは、後述する第一保持溝13Cに対してコネクタ幅方向でY2側に半ピッチ分ずれた位置、かつ、後述する後方溝部12A-1およびクランク溝13Dとコネクタ幅方向で同じ位置に形成されている。
【0043】
前方溝部11Aは、
図5に示されるように、前後方向で第一嵌合部11の上面の前端位置から後端寄り位置にわたる範囲に形成されており、第一端子20の接触腕部22Bを収容している。換言すると、隣接する前方溝部11Aを隔てる隔壁は、前後方向で第一嵌合部11の後端にまでは及んでおらず、すなわち前後方向で第一偏倚部22Aに対応する範囲には存在していない。つまり、前後方向におけるこの範囲には、コネクタ幅方向で第一嵌合部11の全範囲にわたって延びる1つの空間が形成されており、各第一端子20の第一偏倚部22Aがこの空間に収容されている(
図6(A)参照)。
【0044】
第二嵌合部12は、
図5に示されるように、コネクタ幅方向を長手方向とする略直方体外形をなし、上下方向で対向してコネクタ幅方向に延びる上壁12Aおよび下壁12Bと、上下方向に延び上壁12Aと下壁12Bのコネクタ幅方向での端部同士を連結する側壁12C(
図3参照)と、第二嵌合部12の前端側に設けられた前壁12Dとを有している。上壁12A、下壁12Bおよび側壁12Cによって囲まれて後方へ向けて開口する空間は、他の電気コネクタ(他の相手コネクタ)の第一嵌合部11を後方から受け入れるための受入部15を形成している。受入部15は、前壁12Dによって前端側が閉塞されている。
【0045】
図5に示されるように、上壁12Aの後端側には、前後方向に延びるとともに上下方向に貫通する後方溝部12A-1がコネクタ幅方向に配列形成されている。後方溝部12A-1は第二端子30の第二接触部32を上下方向に弾性変形可能な状態で収容している。
【0046】
端子保持部13は、第二嵌合部12の前端側で上壁12Aの上面から突出する突壁部13Aと、突壁部13Aの前端側で突壁部13Aの上面から突出する突条部13Bとを有しており、コネクタ幅方向を長手方向として延びている。突壁部13Aは、
図5に示されるように、コネクタ幅方向に対して直角な断面形状が四角形状をなしている。
【0047】
突壁部13Aおよび突条部13Bの前面は、前後方向で第二嵌合部12の前壁12Dの前面と同位置にある。また、突壁部13Aの後面は後方溝部12A-1の前端面と同位置にある。端子保持部13の前面には、突壁部13Aおよび突条部13Bの両方の範囲にわたって上下方向に延びる第一保持溝13Cがコネクタ幅方向に配列形成されている。第一保持溝13Cは、第一端子20の第一被保持部23を収容して圧入保持している。また、端子保持部13には、突壁部13Aの後面、突壁部13Aの上面および突条部13Bの後面に沿ってクランク状に延びるクランク溝13Dがコネクタ幅方向に配列形成されている。クランク溝13Dは第二端子30のクランク部33を収容している。クランク溝13Dのうち突壁部13Aの後面に沿って上下方向に延びて後方溝部12A-1に連通する溝部は、第二端子30の第二被保持部33Aを収容して圧入保持する第二保持溝13D-1として形成されている。
【0048】
本実施形態では、後方溝部12A-1およびクランク溝13Dは、コネクタ幅方向で、第一保持溝13Cに対してY2側に半ピッチ分ずれた位置に設けられているとともに、前方溝部11Aに対して同じ位置に設けられている。
【0049】
端壁14は、
図2および
図3に示されるように、コネクタ幅方向で第一嵌合部11、第二嵌合部12および端子保持部13の両外側で、回路基板Bの実装面B1(前面)に沿って上下方向に延びて設けられている。端壁14は、前後方向では、第一嵌合部11よりも後方、換言すると、第二嵌合部12および端子保持部13の前端側部分に対応する範囲に位置し、上下方向では、第一端子20の第一接続部21よりも上方の位置から第二嵌合部12の下面の位置までの範囲に位置している。
図3に示されるように、端壁14の下部には、回路基板Bへのコネクタ1の実装の際に回路基板Bの孔部B3へ前方から挿通される円柱状の位置決め突部14Aが後方へ突出して設けられている。
【0050】
コネクタ1は次の要領で組み立てられる。まず、第二端子30をハウジング10の端子保持部13へ上方から取り付ける。具体的には、第二端子30の第二被保持部33Aの第二圧入突起33A-1を第二保持溝13D-1の内面に喰い込ませることで、第二被保持部33Aを第二保持溝13D-1へ上方から圧入する。その結果、クランク部33がクランク溝13Dに収容されるとともに、第二接触部32が上下方向に弾性変形可能な状態で後方溝部12A-1に収容される。このとき、第二接触部32の接触突部32Aは後方溝部12A-1から下方へ突出し、受入部15内に位置する。また、第二移行部34および第二接続部31は第二保持溝13D-1から上方へ延出する。
【0051】
次に、第一端子20をハウジング10の端子保持部13へ上方から取り付ける。具体的には、第一端子20の第一被保持部23の第一圧入突起23Aを第一保持溝13Cの内面に喰い込ませることで、第一被保持部23を第一保持溝13Cへ上方から圧入する。その結果、第一被保持部23が第一保持溝13Cに収容されるとともに、第一接触部22の接触腕部22Bが前方溝部11Aに収容される。このとき、第一接触部22は、第一嵌合部11の上面によって下方から支持されて、上下方向に弾性変形しない状態となる。このようにして第二端子30および第一端子20を順次ハウジング10に取り付けることにより、コネクタ1が完成する。
【0052】
本実施形態では、2種の端子、すなわち第一端子20および第二端子30が1つのコネクタ1に設けられており、このコネクタ1だけで、前方に位置するコネクタ1(相手コネクタ)および後方に位置するコネクタ1(他の相手コネクタ)の両方に対して連結可能となっている。したがって、従来のように1つの回路基板のそれぞれの面に電気コネクタを1つずつ実装する場合と比較して、電気コネクタの数が少なくて済み、その結果、部品点数を少なくできる。
【0053】
本実施形態では、第一端子20の第一偏倚部22Aは、コネクタ幅方向の成分をもって屈曲するように第一接触部22の後端側に形成されている。第一偏倚部22Aは、弾性変形しない状態となっている第一接触部22に形成されているので、第一接触部22自体の強度に関して、第一偏倚部22Aを設けたことによる影響を最小限に留めることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、第一端子20と第二端子30は同じ厚さの金属帯状片で形成されているが、これに替えて、例えば、第一端子20は第二端子30よりも厚い金属帯状片で形成されていてもよい。その場合、第一端子20の第一接触部22は、第二端子30の第二接触部32よりも強度が高くなる。したがって、第一接触部22は、ハウジング10に支持されているかどうかにかかわらず、第二接触部32よりも板厚方向に弾性変形しにくくなり、第一接触部22自体の強度に関して、第一偏倚部22Aを設けたことによる影響を最小限に留めることができる。
【0055】
コネクタ1は、回路基板Bの実装面B1(前面)に前方から配置されて実装される。具体的には、コネクタ1のハウジング10の位置決め突部14Aを回路基板Bの孔部B3へ前方から挿通させるとともに、第一端子20の第一接続部21を第一パッドB4上に、また、第二端子の30の第二接続部31を第二パッドB5上に配置する。本実施形態では、回路基板Bの下縁に切欠部B2が形成されているので、コネクタ1の第二嵌合部12および端子保持部13のそれぞれ後端側部分を、回路基板Bに干渉させることなく、回路基板Bよりも後方に配置できる。そして、第一接続部21および第二接続部31が、例えばリフロー等により第一パッドB4および第二パッドB5に半田接続され、コネクタ1が回路基板Bに実装される。
【0056】
本実施形態では、第一接続部21および第二接続部31の両方が回路基板Bにおける前面に接続されるようになっているので、コネクタ1を回路基板Bに対して前方から実装できる。したがって、第一接続部21を回路基板Bの一方の面に実装するとともに第二接続部31を回路基板Bの他方の面に接続する場合と比べて、コネクタ1の実装作業が容易となる。
【0057】
図6(A),(B)は、回路基板Bに実装されたコネクタ1の一部拡大図であり、
図6(A)は斜視図、
図6(B)は前方から見た正面図である。本実施形態では、
図6(A),(B)に示されるように、第一接続部21および第二接続部31が千鳥状に配置されているので、
図6(B)に示されるように、回路基板Bの実装面B1を前方から見たとき、第二接続部31は隣接する第一端子20の第一被保持部23同士の間に位置し、その結果、第一接続部21および第二接続部31の両方を視認可能となっている。したがって、第一接続部21および第二接続部31の回路基板Bの第一パッドB4および第二パッドB5に対する半田接続状態を容易に確認することができる。
【0058】
次に、コネクタ1同士の嵌合動作について説明する。回路基板Bに実装されたコネクタ1は、回路基板BとともにユニットUの筐体Cに収容される(
図1(A),(B)参照)。既述したように、隣接するユニットU同士は、互いに嵌合接続されることにより連結され、コネクタ1同士の嵌合深さは筐体C同士の干渉により規定される(
図1(B)参照)。
【0059】
隣接するユニットUのコネクタ1同士は、後方に設けられたユニットUのコネクタ1の第一嵌合部11を、前方に設けられたユニットUのコネクタ1の第二嵌合部12の受入部15へ後方から嵌入することで嵌合接続される。後方のコネクタ1の第一嵌合部11が前方のコネクタ1の受入部15へ嵌入すると、後方のコネクタ1に設けられた第一端子20の第一接触部22が、前方のコネクタ1に設けられた第二端子30の接触突部32Aを押し上げて、第二接触部32を上方へ弾性変形させる。その結果、接触突部32Aは第一接触部22に対して上方から接圧をもって接触する(
図7(A),(B)参照)。
【0060】
本実施形態では、各コネクタ1において、第一接触部22の接触腕部22Bは、第一接続部21に対してはコネクタ幅方向でずれて位置しているが、第二端子30の第二接触部32に対してはコネクタ幅方向で同じ位置に設けられている。したがって、任意の2つのコネクタ1を連結する際に、後方に位置するコネクタ1の接触腕部22Bと前方に位置するコネクタ1の第二接触部32とが、コネクタ幅方向でずれることなく確実に接触する。
【0061】
嵌合接続動作は、ユニットUの筐体C同士が干渉するまで行われ、第一嵌合部11が所定の嵌合深さに達することで完了する(
図1(B)参照)。
図7(A),(B)は、隣接する任意の2つのユニットUにおけるコネクタ1同士の嵌合状態を示す断面図であり、
図7(A)は嵌合深さが深い場合の嵌合状態、
図7(B)は嵌合深さが浅い場合の嵌合状態を示している。コネクタ1同士の嵌合深さが深い場合には、
図7(A)に示されるように、第二接触部32の接触突部32Aは、第一接触部22の接触腕部22Bの後端側部分に接触する。一方、コネクタ1同士の嵌合深さが浅い場合には、
図7(B)に示されるように、第二接触部32の接触突部32Aは、第一接触部22の接触腕部22Bの前端側部分に接触する。
【0062】
このように本実施形態では、コネクタ1同士の嵌合深さに応じて、第一接触部22に対する接触突部32Aの接触位置が前後方向で異なるが、いずれの嵌合深さにおいても、接触突部32Aは接触腕部22Bの全長の範囲内、すなわち有効嵌合長の範囲内で接触腕部22Bに接触する。換言すると、本実施形態では、有効嵌合長の範囲内であれば、連結される任意の2つのコネクタ1同士の嵌合深さを変更しても、第一接触部22と第二接触部32との接触状態を確保できる。したがって、筐体Cの形状や大きさ等の仕様によって嵌合深さが変更されても、コネクタ1同士の電気的な接続状態を良好に確保できる。
【0063】
本実施形態では、第一端子20が雄端子、第二端子30が雌端子として形成されているが、これに替わる変形例として、例えば、第一端子を雌端子、第二端子を雄端子として形成してもよい。具体的には、コネクタの前端側に位置する第一端子の第一接触部を板厚方向(上下方向)で弾性変形可能とし、コネクタの後端側に位置する第二端子の第二接触部を、例えばハウジングで支持したり、第二接触部自体を厚くしたりすることで弾性変形しにくくする。この変形例では、第一端子に第一偏倚部が設けられることはなく、第二端子の第二接触部の前端側部分に、コネクタ幅方向の成分をもって延びる第二偏倚部が設けられる。この結果、第二接触部において第二偏倚部よりも後方に位置する接触腕部が、コネクタ幅方向で、第二接続部に対してずれて位置し、かつ、第一端子の第一接触部と同じ位置に設けられることとなる。また、第二実施形態として
図8(A),(B)に基づいて後述するように、第一端子および第二端子の両方を雌端子として形成してもよい。
【0064】
本実施形態では、回路基板Bの前面に形成された実装面B1に第一端子20および第二端子30の両方が前方から配置されて接続されることとしたが、これに替わる変形例として、回路基板の後面に実装面を形成し、第一端子および第二端子の両方が実装面に後方から配置されて接続されるようになっていてもよい。この変形例では、コネクタは回路基板に対して後方から実装される。したがって、第一接続部を回路基板の一方の面に実装するとともに第二接続部を回路基板の他方の面に接続する場合と比べて、電気コネクタの実装作業が容易となる。
【0065】
<第二実施形態>
第一実施形態では、第一端子が雄端子、第二端子が雌端子として形成されていたが、本実施形態は、第一端子および第二端子の両方が雌端子として形成されており、この点で、第一実施形態と異なっている。
【0066】
図8(A),(B)は、本実施形態における、隣接する任意の2つのユニットUにおけるコネクタ101同士の嵌合状態を示す断面図であり、第一実施形態に関する
図7(A),(B)に対応している。つまり、
図8(A)は嵌合深さが深い場合の嵌合状態、
図8(B)は嵌合深さが浅い場合の嵌合状態を示している。
図8(A),(B)では、第一実施形態における各部に対応する部分が、第一実施形態での符号に「100」を加えた符号で示されている。ここでは、第一実施形態と異なる部分を中心に説明し、第一実施形態と共通する部分については説明を省略する。
【0067】
図8(A),(B)に示されるように、本実施形態では、第一端子120の第一接触部122は、前方へ向けて真っ直ぐ延び、上下方向(板厚方向)に弾性変形可能な腕状をなしており、その前端部(自由端部)に、上方へ向けて突出するように屈曲して形成された第一接触突部122Cを有している。一方、第二端子130の第二接触部132は、第一接触部122を上下反転させたような形状をなしている。つまり、第二接触部132は、後方へ向けて真っ直ぐ延び、上下方向(板厚方向)に弾性変形可能な腕状をなしており、その後端部(自由端部)に、下方へ向けて突出するように屈曲して形成された第二接触突部132Cを有している。
【0068】
本実施形態では、
図8(A),(B)に示されるように、コネクタ嵌合状態において、第一接触部122の第一接触突部122Cが第二接触部132に下方から接圧をもって接触するとともに、第二接触部132の第二接触突部132Cが第一接触部122に上方から接圧をもって接触する。つまり、第一接触部122と第二接触部132とは、第一接触突部122Cおよび第二接触突部132Cの2点で接触した状態となる。このように本実施形態では、第一接触部122と第二接触部132とが2点で接触することより、第一実施形態と比べて接触位置が多くなる分、コネクタ101同士の電気的な接続状態が安定する。また、第一接触部122と第二接触部132とは、コネクタ101同士の嵌合深さにかかわらず2点で接触するので、電気的な接続状態が常に安定する。
【0069】
第一実施形態および第二実施形態では、第一端子および第二端子のそれぞれの接続部が回路基板の実装面に設けられたパッド上に配置されて半田接続されることとしたが、端子と回路基板の接続形態はこれに限定されず、例えば、回路基板に形成されたスルーホールに端子の接続部を挿通させて半田接続するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 コネクタ
10 ハウジング
11 第一嵌合部
12 第二嵌合部
20,120 第一端子
21 第一接続部
22,122 第一接触部
22A 第一偏倚部
30,130 第二端子
31 第二接続部
32,132 第二接触部
B 回路基板
B1 実装面