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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135642
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】カメラシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/66 20230101AFI20240927BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240927BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240927BHJP
   G03B 17/00 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
H04N23/66
H04N7/18 D
G03B15/00 S
G03B15/00 P
G03B17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046429
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】稲田 剛
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054FD07
5C054FE18
5C054FF02
5C054GB01
5C054HA19
5C122DA11
5C122EA63
5C122FA11
5C122FA18
5C122FE05
5C122FH11
5C122GC14
5C122GC52
5C122HB01
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】カメラシステムにおいて、カメラの交換後における初期設定を容易に行わせる。
【解決手段】管理サーバ20には、各カメラから映像信号が入力するが、この映像信号からある時点での画像(静止画像)が取得され、これが画像データとして記憶される。カメラ10の光学系において制御される項目の中には、(1)水平方向における視野方向、(2)鉛直方向における視野方向、(3)光学系の焦点距離、(4)ズーム量が含まれる。ある時点における上記の(1)~(4)の値は、光学系制御部から、撮像設定情報として出力される。プリセット画像ファイル作成部231は、撮像設定情報より、この時点における上記の(1)~(4)を認識する。これらのデータは、前記の画像データのメタデータとして、記憶部26に記憶される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像によって映像信号を生成するカメラと、当該カメラと接続された管理サーバと、を具備するカメラシステムであって、
前記カメラは、
自身のプリセットポジションに関する情報と、前記プリセットポジションでの撮像によって生成された映像信号と、を前記管理サーバへ出力し、
前記管理サーバは、
前記映像信号から画像ファイルを作成し、
前記プリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータに記憶し、
前記カメラの交換が行われた場合に、交換前のカメラのプリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータから取得し、当該プリセットポジションに関する情報に基づいて、プリセットポジションとするための制御信号を、交換後のカメラへ送信することを特徴とするカメラシステム。
【請求項2】
前記メタデータが、Exif (Exchangeable Image File Format)情報である、請求項1のカメラシステム。
【請求項3】
前記管理サーバが、交換前のカメラの機種と交換後のカメラの機種が異なる場合に、前記メタデータから取得されたプリセットポジションに関する情報を、前記交換後のカメラの機種の値に換算する、請求項1又は2のカメラシステム。
【請求項4】
撮像によって映像信号を生成するカメラと、当該カメラと接続された管理サーバと、を具備するカメラシステムであって、
前記カメラは、
自身のプリセットポジションに関する情報と、前記プリセットポジションでの撮像によって生成された映像信号と、を前記管理サーバへ出力し、
前記管理サーバは、
前記映像信号から画像ファイルを作成し、
前記プリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータに記憶し、
前記カメラの交換が行われた場合に、交換前のカメラのプリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータから取得し、
当該プリセットポジションに関する情報を、交換後のカメラへ送信し、
前記交換後のカメラは、受信したプリセットポジションに関する情報に基づいて、プリセットポジションの設定を行うことを特徴とするカメラシステム。
【請求項5】
撮像によって映像信号を生成するカメラと、当該カメラと接続された管理サーバと、を具備するカメラシステムであって、
前記カメラは、
自身のプリセットポジションでの撮像によって生成された映像信号から画像ファイルを生成すると共に、前記プリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータとして、当該画像ファイルを前記管理サーバへ出力し、
前記管理サーバは、
前記カメラの交換が行われた場合に、交換前のカメラのプリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータから取得し、
当該プリセットポジションに関する情報に基づいて、プリセットポジションとするための制御信号を、交換後のカメラへ送信することを特徴とするカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像を行うカメラと、これを制御する管理サーバとが組み合わせたカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、監視用に用いられるカメラシステムにおいては、複数のカメラが用いられ、各カメラは異なる視野範囲で監視対象の環境等を撮像する。この際の視野の設定(パン、チルト、ズームなど)は、例えば全体として死角が発生しないようにカメラ毎に適切に設定される。一方、故障や老朽化等に起因し、個々のカメラの新品への入れ替えを行う場合もある。この場合には、入れ替えのための作業を迅速に行う必要があるが、その際に、視野は入れ替え前のカメラと同一とすることが要求される。
【0003】
特許文献1には、この作業を容易にするための技術が記載されている。この技術においては、交換前のカメラのプリセットポジションを登録したプリセットポジション情報が外部のパソコンに登録されていると共に、このカメラでこのプリセットポジションの状態で得た画像も登録される。その後、カメラの交換を行った後には、新しいカメラは、このパソコンからこのプリセットポジション情報及び画像を読み出し、新しいカメラのプリセットポジション調整を行うことができる。この際、登録された画像と新しいカメラによって得られた画像とを比較することによって、この調整を特に精密に行うこともできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-15040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術においては、プリセットポジション情報や対応した画像をカメラ毎に予め外部のパソコンに記憶させ、カメラの交換後にこれらを新しいカメラ側で読み出す作業が必要となった。このため、この交換作業は充分には簡略化されず、カメラの交換後における初期設定をより容易に行わせるための技術が求められた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、撮像によって映像信号を生成するカメラと、当該カメラと接続された管理サーバと、を具備するカメラシステムであって、前記カメラは、自身のプリセットポジションに関する情報と、前記プリセットポジションでの撮像によって生成された映像信号と、を前記管理サーバへ出力し、前記管理サーバは、前記映像信号から画像ファイルを作成し、前記プリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータに記憶し、前記カメラの交換が行われた場合に、交換前のカメラのプリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータから取得し、当該プリセットポジションに関する情報に基づいて、プリセットポジションとするための制御信号を、交換後のカメラへ送信する。
この際、前記メタデータが、Exif (Exchangeable Image File Format)情報であってもよい。
この際、前記管理サーバが、交換前のカメラの機種と交換後のカメラの機種が異なる場合に、前記メタデータから取得されたプリセットポジションに関する情報を、前記交換後のカメラの機種の値に換算してもよい。
また、本発明は、撮像によって映像信号を生成するカメラと、当該カメラと接続された管理サーバと、を具備するカメラシステムであって、前記カメラは、自身のプリセットポジションに関する情報と、前記プリセットポジションでの撮像によって生成された映像信号と、を前記管理サーバへ出力し、前記管理サーバは、前記映像信号から画像ファイルを作成し、前記プリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータに記憶し、前記カメラの交換が行われた場合に、交換前のカメラのプリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータから取得し、当該プリセットポジションに関する情報を、交換後のカメラへ送信し、前記交換後のカメラは、受信したプリセットポジションに関する情報に基づいて、プリセットポジションの設定を行う。
また、本発明は、撮像によって映像信号を生成するカメラと、当該カメラと接続された管理サーバと、を具備するカメラシステムであって、前記カメラは、自身のプリセットポジションでの撮像によって生成された映像信号から画像ファイルを生成すると共に、前記プリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータとして、当該画像ファイルを前記管理サーバへ出力し、前記管理サーバは、前記カメラの交換が行われた場合に、交換前のカメラのプリセットポジションに関する情報を、前記画像ファイルのメタデータから取得し、当該プリセットポジションに関する情報に基づいて、プリセットポジションとするための制御信号を、交換後のカメラへ送信する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、カメラシステムにおいて、カメラの交換後における初期設定を容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係るカメラシステム全体の構成を示す図である。
図2】実施の形態に係るカメラシステムにおける、カメラの構成を示す図である。
図3】実施の形態に係るカメラシステムにおける、管理サーバの構成を示す図である。
図4】実施の形態に係るカメラシステムにおいて用いられる撮像設定情報とExif情報の対応関係を示す図である。
図5】実施の形態に係るカメラシステムにおける、プリセット画像ファイルの選択を行わせる際の表示の例(その1)である。
図6】実施の形態に係るカメラシステムにおける、通常動作とプリセット画像ファイルを作成する動作のシーケンス図である。
図7】実施の形態に係るカメラシステムにおける、カメラ交換後の動作のシーケンス図である。
図8】実施の形態に係るカメラシステムにおける、プリセット画像ファイルの選択を行わせる際の表示の例(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るカメラシステム1の全体構成を示す図である。このカメラシステム1においては、監視用に複数のカメラ10が用いられ、全てのカメラ10からの映像信号を入手し、映像を出力する管理サーバ20が用いられる。管理サーバ20は、各カメラ10の制御を行うこともできる。
【0011】
ここで、各カメラ10は、全体として監視対象となる領域(例えば駅のホーム)全体を視野とするため、各カメラ10の個別の視野は異なり、各々で設定される。この視野はカメラ10毎に微調整することも可能であるが、この微調整は、初期値の周りで行われ、この初期値(プリセットポジション)がカメラ10毎に定められている。
【0012】
管理サーバ20には、各カメラ10から映像信号が入力されるが、この映像信号からある時点での画像(静止画像)が取得され、これが画像データとして記憶される。この際に、上記のプリセットポジションに関する情報がこの画像データにおけるメタデータ(Exif情報)として記憶される。この画像データを得たカメラ10が交換された場合に、交換後にこのメタデータが利用されて初期設定が行われる。
【0013】
図2は、カメラ10の構成を示す図であり、図3は、管理サーバ20の構成を示す図である。ここでは、本願発明に直接関わる部分のみが記載され、それ以外の一般的な部分についての記載は省略されている。
【0014】
図2のカメラ10において、複数のレンズ等を有する光学系11を透過した光は、CMOSイメージセンサ等で構成された撮像素子12で受光されて電気信号に変換される。この電気信号は信号処理部13で処理されて映像信号として出力される。これらの動作は、カメラ制御部14で制御される。カメラ制御部14は、カメラ10側の操作や、管理サーバ20側から入力した制御信号に応じて、カメラ10における動作を行わせる。
【0015】
特に、カメラ制御部14には、光学系11を制御するための光学系制御部141が設けられる。ここで、カメラ10の光学系11において制御される項目の中には、(1)水平方向における視野方向(視野中心の方向)、(2)鉛直方向における視野方向(視野中心の方向)、(3)光学系11の焦点距離、(4)ズーム量(画角の設定)が含まれる。(4)ズーム量については、水平方向、鉛直方向で個別に定義してもよく、水平方向、鉛直方向における視野範囲が一定の比率で定められている場合には、単一のパラメータとして設定することもできる。これらの項目が適切に調整されることによって、各カメラ10は、所望の範囲を視野とし、その中で所望の部分にフォーカスした撮像を行なうことができる。
【0016】
光学系制御部141は、これらの項目の量を一定の範囲内で調整することもできるが、この調整は、予め定められたこれらの量の初期値(プリセットポジション)の周りで行われる。逆に、カメラ制御部14(光学系制御部141)は、この範囲内でのある1点における量をこのプリセットポジションとして登録することもできる。ある時点における上記の(1)~(4)の値は、光学系制御部141から、撮像設定情報として出力される。
【0017】
図3の管理サーバ20において、カメラ10からの映像信号は映像信号入力部21に、撮像設定情報は撮像設定情報入力部22に、それぞれ入力する。一方、管理サーバ20全体の制御を行うサーバ制御部23は、カメラ10の制御を行わせるための制御信号をカメラ10側に発することができる。なお、図3においては、映像信号、撮像設定情報、制御信号はそれぞれ1系統ずつのみ記載されているが、実際にはこれらの各々は図1におけるカメラ10毎に設定され、各カメラに対してこれらの入出力が行われる。
【0018】
また、サーバ制御部23は、例えばキーボードやタッチパネルディスプレイ等を有する操作部24の操作によって、この管理サーバ20における各種の動作を行わせる。この動作の中には、選択された一つのカメラ10から得られた映像信号を、ディスプレイを有する表示部25で表示させる動作がある。このカメラシステム1の管理者は、これによってカメラシステム1が監視する環境の現在の映像を見ることができる。この際、カメラ10の選択によって、この環境における所望の箇所あるいは所望の方向からみた映像を選択することができる。
【0019】
ここで、映像信号による映像は一般的には時間的に変化する動画であるが、サーバ制御部23におけるプリセット画像ファイル作成部231は、ある時点におけるこの映像中の静止画像を、画像データとして取得し、ハードディスクや不揮発性メモリである記憶部26にプリセット画像ファイルとして記憶させる。この際の画像データのファイル形式は、後述するExif情報をメタデータとして用いることができるような、例えばJPEG、TIFF、JPEG XR、PNGのいずれかが望ましいが、メタデータを記憶できる他のファイル形式でも良い。
【0020】
この際、プリセット画像ファイル作成部231は、前記の撮像設定情報より、この時点における上記の(1)水平方向における視野方向、(2)鉛直方向における視野方向、(3)光学系11の焦点距離、(4)ズーム量を認識する。これらのデータは、前記の画像データのメタデータとして、記憶部26に記憶される。このように、画像データとメタデータとが組み合わされたファイル(プリセット画像ファイル)は、前記の静止画像を切り出すタイミングで作成・記憶される。
【0021】
このプリセット画像ファイルは、図1におけるカメラ10毎に作成され、記憶部26に記憶させることができる。ここで、JPEG等の形式の画像ファイルにおいては、メタデータとして、電子情報技術産業協会(JEITA)によってディジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマットの規格としてExif (Exchangeable Image File Format)情報が設定され、標準的なExif情報の中には、上記の(1)~(3)が設定されている。このため、上記のメタデータとしては、上記の(4)をこれに加えて設ければ、上記のプリセット画像ファイルを得ることができる。
【0022】
上記の項目と、前記の規格(例えばディジタルスチルカメラ画像ファイルフォーマット規格Exif 2.32 統合版)において定義されたフィールドとの間の対応関係を図4に示す。(1)~(3)の内容は、ここに示された各フィールド(GPSImgDirection、CameraElevationAngle、Focal Length)の内容と一致する。一方、(4)ズーム量については、この規格においては対応する項目がない。しかしながら、この規格では、フィールド名MakerNoteの項目においては、ユーザが任意の情報を設定可能とされている。このため、(4)ズーム量については、このフィールドを用い、上記の(1)~(4)の全ての項目をExif情報として収容することができる。
【0023】
このプリセット画像ファイルにおいて記憶された上記の(1)~(4)は、これが得られたカメラ10を交換した際に、交換後のカメラに対して適用することができる。すなわち、カメラ10のうちの一つが交換された場合には、交換後のカメラ10の初期設定を行わせることができる。
【0024】
この際、Exif情報には、上記の(1)~(4)以外にも、撮影シーンのタイプ、映像のシャープネス、コントラスト、ゲイン等、撮影の際の各種のパラメータも含まれている。このため、特に交換の前後でカメラ10の機種が同一である場合には、これらのパラメータも撮像設定情報に含め、これらをそのまま交換後のカメラ10に対して適用することもできる。この際、上記のようなプリセット画像ファイルの形式はディジタルスチルカメラ用に設定されたものであるため、低容量であり、バックアップ等も容易である。また、プリセット画像ファイル作成部231も、容易に形成することができる。
【0025】
上記の動作においては、プリセット画像ファイルにおけるメタデータのみが用いられ、画像データ自身は使用されない。しかしながら、例えば管理者がカメラ交換後の初期設定を行うにあたり、各画像データは以下のように用いることができる。図5は、カメラ交換後の初期設定を行わせる際に、サーバ制御部23が表示部25に表示させる画像の例である。ここで、プリセット画像ファイルはカメラ10の各々に対応して設けられるため、ここではカメラ#1~カメラ#6の6つのカメラ10があるものとする。この画像においては、カメラ#1~カメラ#6のプリセット画像ファイルの画像データがサムネイル画像として配列して表示されている。
【0026】
ここで、カメラ#1の交換を行った場合には、管理者がこの画面においてカメラ#1の画像を選択した場合に、サーバ制御部23は、カメラ#1の初期設定を行う旨を認識することができる。この際に、実際に各カメラによって得られた画像をこのように表示させることによって、この選択を確実かつ容易に行うことができる。
【0027】
また、プリセット画像ファイルを作成・記憶させる際にも、管理者は対象となるカメラ10を特定する必要がある。この場合においても、図5と同様の表示を用いることができる。この場合、この動作によってプリセット画像ファイルが更新され、その後には更新後のプリセット画像ファイルにおける画像データがサムネイル画像として表示される。
【0028】
以上の動作においては、各画像データは、図5におけるサムネイル画像としてのみ用いられる。このため、各画像データの画質(解像度等)は、元の映像より低くともよく、これによってプリセット画像ファイルの容量を小さくすることができる。
【0029】
交換前のカメラ10と交換後のカメラ10(特に光学系11)の機種が同一である場合には、前記のように、プリセット画像ファイルのメタデータ(撮像設定情報)をそのまま交換後のカメラ10に適用すればよい。一方、交換後のカメラ10と交換前のカメラ10の機種が異なる場合においても、(1)~(3)の項目は共通に認識されるため、制御信号の具体的内容は機種毎に異なる場合があるものの、サーバ制御部23が交換後のカメラ10の機種を認識すれば、これを適切に制御することができる。
【0030】
一方、特に(4)ズーム量(視野範囲)の設定はカメラ10の機種によって異なり、例えば交換前の視野範囲と交換後の視野範囲を同一とすることができない場合もある。この場合においては、サーバ制御部23は、交換前後の機種とズーム量の機種間の換算用のデータを認識すれば、交換前のズーム量(視野範囲)に対応した交換後のズーム量(視野範囲)を、例えば最も交換前に近いズーム量として換算し、交換後のカメラ10をこのズーム量とするように設定することができる。
【0031】
この場合、ズーム量の機種間の換算用のデータ(換算テーブル)は、例えば記憶部26に記憶させることができる。また、この際、カメラの機種は、前記のExif情報の中に含まれているため、サーバ制御部23は、交換後のカメラ10の機種を認識すれば、Exif情報から取得されたズーム量を、交換後のカメラ10の機種に対応したズーム量に変換できる。あるいは、Exif情報における前記のフィールド名MakerNoteの項目に、(4)ズーム量と共にこの機種毎の視野範囲に関するパラメータを設定してもよい。前記のように、(1)~(4)以外のパラメータ(シャープネス等)が撮像設定情報に含まれ、交換前のカメラ10におけるこのパラメータが交換後のカメラ10においてそのまま設定できない場合においても、同様の設定を行うことが可能である。
【0032】
以上のように、この管理サーバ20は、各カメラから得たデータによってプリセット画像ファイルを作成して記憶する動作と、カメラの交換の際にプリセット画像ファイルを用いて初期設定を行わせる動作と、を行う。図6は、管理サーバ20における通常時の動作と、上記のうちのプリセット画像ファイルを作成して記憶する動作におけるシーケンス図である。ここで、各カメラ10から出力された映像信号は常時管理サーバ20側に入力しているものとする。
【0033】
図6の上側においては、通常時の動作が示されている。ここで、管理者は、ある一つのカメラ10の画像(例えば視野方向や画角)を微調整したい場合には、操作部24を操作し、複数のカメラ10のうちの一つを特定した上で、所望の操作内容を設定する(S101)。この際にカメラ10を選択するための画面として、前記の図5に示された画面を用いることもできる。これにより、サーバ制御部23は、対象となるカメラ10とその制御内容を認識し、これを制御する制御信号をこのカメラ10に対して発し(S102)、これを受信したカメラ10におけるカメラ制御部14(光学系制御部141)は、これによって光学系11を制御する(S103)。
【0034】
プリセット画像ファイルを作成して記憶する動作においては、まず、管理者は、プリセットポジションを登録させる(プリセット画像ファイルを作成する)ための操作を操作部24で行う(S104)。この際、対象となるカメラ10を設定させるために、表示部25で図5の表示を行わせることができる。
【0035】
これにより、サーバ制御部23は、対象となったカメラ10から入力した映像信号のこの時点での静止画像を画像データとして取得し(S105)、対象となるカメラ10側に、この時点での撮像設定情報を登録させる旨の登録コマンドを送信する(S106)。これを受信したカメラ10のカメラ制御部14(光学系制御部141)は、この時点での撮像設定情報を管理サーバ20側に送信する(S107)。
【0036】
これを受信したサーバ制御部23は、前記の画像データのExif情報としてこの撮像設定情報を用いたプリセット画像ファイルを作成し、記憶部26に記憶させる(S108)。この動作は必要に応じて行うことが可能であり、例えばカメラ交換の直前に行うことができ、この際、このカメラ10について先に記憶されたプリセット画像ファイルがあった場合には、プリセット画像ファイルが更新される。ただし、故障のためにカメラ10の交換を行う場合には、カメラ交換の直前にプリセット画像ファイルを作成することが困難な場合もあるため、この作成、記憶は、後述するようなカメラ10の設置直後を含め、適宜設定されたタイミングを行うことが好ましい。
【0037】
図7は、カメラの交換を行う際の動作を示すシーケンス図である。ここでは、まず、管理者によって、例えば図5の表示によって、交換が行われるカメラ10(プリセット画像ファイル)が選択され(S110)、これによって、サーバ制御部23は、対象となるカメラ10を認識し、これに対応したプリセット画像ファイルを記憶部26から読み出す(S111)。サーバ制御部23は、このプリセット画像ファイルのメタデータから、交換後のカメラ10のプリセットポジションに関する情報として、上記の(1)~(4)の項目を認識する(S112)。
【0038】
その後、作業者は、実際にカメラ10を交換し、ケーブル類を接続し直す作業を行う(S113)。なお、この作業をこれ以前の段階で行ってもよい。
【0039】
その後、サーバ制御部23は、交換後のカメラ10の光学系11を上記のプリセットポジションとする制御信号をカメラ10側に発し(S114)、これによってこのカメラ10における光学系11の制御(初期設定)が行われる(S115)。その後、図7の場合と同様に、初期設定後のカメラ10から得られた映像信号から画像データの取得(S116)、撮像設定情報の取得(S117)が行われた後に、これに対応したプリセット画像ファイルが交換後のカメラ10に対するものとして作成され、記憶部26に記憶される(S118)。上記の作業においては、カメラ10の交換に際しての初期設定を特に容易かつ確実に行うことができる。
【0040】
なお、上記の例では、交換後のカメラ10の制御(初期設定)がサーバ制御部23からの制御信号によって行われるものとしたが、管理サーバ10側から撮像条件(プリセットポジション)のみを交換後のカメラ10側に送信し、初期設定を行わせる動作自身はカメラ10側(カメラ制御部14)が行ってもよい。すなわち、交換後のカメラ10における初期設定を実際に行わせるための動作は、管理サーバ20、交換後のカメラ10のどちらで行われてもよい。
【0041】
また、上記の例では、プリセットポジションに関する情報が含まれた画像ファイル(プリセット画像ファイル)が、管理サーバ10で生成されていたが、同様の画像ファイルがカメラ10で生成されてもよい。この場合、カメラ10が、プリセットポジションでの撮像によって生成された映像信号から画像ファイルを生成し、プリセットポジションに関する情報を、画像ファイルのメタデータに記憶する。この画像ファイルは、カメラ10から管理サーバ20へ出力される。交換後のカメラ10のプリセットポジションを設定する処理は、上記の例と同様である。
【0042】
上記の例では、プリセット画像ファイルは、図1における各カメラ10と1対1に対応して設定されるものとしたが、一つのカメラ10に対して複数のプリセットポジションが登録可能とされ、これに対応して複数のプリセット画像ファイルを用いることもできる。この場合、管理者は、既にプリセット画像ファイルを作成した時点と異なる時点で、新たにプリセット画像ファイルを登録させる図6のS104以降の動作を行わせ、記憶部26への記憶(S108)の際に、これを上書きせずに、異なるファイルとして記憶させればよい。この場合においては、図5の表示と同様に、管理者がこのうちの一つを選択して交換後のカメラに選択されたプリセットポジションを適用することもできる。
【0043】
図8は、このような場合における表示部25における表示を図5に対応させて示す。この表示は、例えば、プリセット画像ファイルが複数あるカメラについてはそのうちの1つを代表として用い、図5の表示によって対象となるカメラを選択した後に行わせることができる。ここでは、カメラ#1が選択され、カメラ#1について3種類(カメラ#1-1、カメラ#1-2、カメラ#1-3)の3種類のプリセット画像ファイルが設定され、対応するプリセットポジションにおける前記の(1)水平方向における視野方向が異なるものとする。ここで、このカメラ10は、駅のホームと列車の線路の境界(ホームの端)付近を撮像するものとし、ホームHと乗降客Aが撮像されているものとする。
【0044】
この場合、管理者は、この画像におけるホームHの端部の位置が最も左側に存在する(視野中心が最も右側となる)カメラ#1-2、最も右側に存在する(視野中心が最も左側となる)カメラ#1-3、これらの中間となるカメラ#1-1の中から、最も好ましい視野方向に対応したプリセット画像ファイルを選択することができる。前記の画像データは、前記のようにカメラ10の制御には直接用いられないものの、この選択の際の判断基準としても用いることができる。
【0045】
上記のようなプリセット画像ファイルを管理(記憶部26に記憶)する際には、対象となったカメラ10を特定する情報(カメラ10の番号又は名称)と、これについて登録されたプリセットポジションの番号を特定することが必要となる。このため、例えば、カメラ#1の2つ目のプリセットポジションのプリセット画像ファイルの名称は、これらが特定されるように「CAM001_P002.JPG」等とすれば、その管理が容易となる。この場合、このプリセット画像ファイルをコピーして管理サーバ20外で用いる、あるいはバックアップすることも容易となる。
【0046】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0047】
1 カメラシステム
10 カメラ
11 光学系
12 撮像素子
13 信号処理部
14 カメラ制御部
20 管理サーバ
21 映像信号入力部
22 撮像設定情報入力部
23 サーバ制御部
24 操作部
25 表示部
26 記憶部
141 光学系制御部
231 プリセット画像ファイル作成部
A 乗降客
H ホーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8