(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135646
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】投射型表示装置および投射型表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20240927BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240927BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240927BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 632Z
G09G3/20 641E
G09G3/20 650C
G09G3/20 660D
G09G3/20 660E
G02F1/133 550
H04N5/74 A
H04N5/74 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046433
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水迫 和久
(72)【発明者】
【氏名】青木 透
(72)【発明者】
【氏名】小室 佑介
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C058
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA02
2H193ZD02
2H193ZD37
2H193ZE40
2H193ZQ11
2H193ZR04
5C006AA14
5C006AA22
5C006AF34
5C006AF44
5C006AF47
5C006BB16
5C006BB29
5C006BC03
5C006BC06
5C006BC11
5C006BF04
5C006EA01
5C006EC11
5C058AA18
5C058BA25
5C058EA02
5C058EA11
5C058EA26
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD07
5C080EE22
5C080EE29
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
(57)【要約】
【課題】投射位置をシフトする場合に、表示の欠落を抑える。
【解決手段】複数のパネル画素を有する液晶パネル100と、パネル画素から投射された投射画素の位置を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第4単位期間までの単位期間毎にシフトする光路シフト素子230と、液晶パネル100および光路シフト素子230を制御する表示制御回路20と、を含み、表示制御回路20は、データ信号を単位期間毎に複数のパネル画素に供給し、奇数フレーム期間と偶数フレーム期間とのいずれか一方のフレーム期間における一部の単位期間において、複数のパネル画素のうち、周縁に配置される周縁パネル画素に、映像画像を構成する映像画素の画素データに基づく信号をデータ信号として供給し、一方のフレーム期間の一部の単位期間以外の単位期間において、階調レベルが閾値以下の信号をデータ信号として供給する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネル画素を有する液晶パネルと、
前記複数のパネル画素から投射された投射画素の位置を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第k(kは2以上の整数)単位期間までのk個の単位期間毎にシフトする光路シフト素子と、
前記液晶パネルおよび前記光路シフト素子を制御する表示制御回路と、
を含み、
前記表示制御回路は、
データ信号を前記単位期間毎に前記複数のパネル画素に供給し、
第1フレーム期間と第2フレーム期間とのいずれか一方のフレーム期間における一部の単位期間において、前記複数のパネル画素のうち、周縁に配置される周縁パネル画素に、映像画像を構成する映像画素の画素データに基づく信号を前記データ信号として供給し、
前記一方のフレーム期間の前記一部の単位期間以外の単位期間において、階調レベルが閾値以下の信号を前記データ信号として供給する
ことを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記表示制御回路は、
前記周縁パネル画素が一の単位期間において前記映像画素を表現する場合に、当該一の単位期間において、当該映像画素の画素データに基づく画素信号を前記データ信号として供給し、
前記周縁パネル画素が他の単位期間において前記映像画素を表現しない場合に、当該他の単位期間において前記階調レベルが閾値以下の信号を前記データ信号として、当該周縁パネル画素に供給する
請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記周縁パネル画素は、前記複数のパネル画素が配列する矩形領域のうち、周縁4辺に配置される
請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記周縁パネル画素は、前記複数のパネル画素が配列する矩形領域のうち、周縁において隣り合う2辺に配置される
請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項5】
一のパネル画素は、
前記第1フレーム期間の第1単位期間から第k単位期間までで表現されるk個の映像画素と、
前記第2フレーム期間の第1単位期間から第k単位期間までで表現されるk個の映像画素とを、
1つの共通の映像画素を基準にして点対称の配列した映像画素を表示する
請求項1に記載の投射型表示装置。
【請求項6】
複数のパネル画素を有する液晶パネルと、
前記複数のパネル画素から投射された投射画素の位置を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第k(kは2以上の整数)単位期間までのk個の単位期間毎にシフトする光路シフト素子と、
前記液晶パネルおよび前記光路シフト素子を制御する表示制御回路と、
を含む投射型表示装置の制御方法であって、
前記表示制御回路は、
データ信号を前記単位期間毎に前記複数のパネル画素に供給し、
第1フレーム期間と第2フレーム期間とのいずれか一方のフレーム期間における一部の単位期間において、前記複数のパネル画素のうち、周縁に配置される周縁パネル画素に、映像画像を構成する映像画素の画素データに基づく画素信号を前記データ信号として供給し、
前記一方のフレーム期間の前記一部の単位期間以外の単位期間において、階調レベルが閾値以下の信号を前記データ信号として供給する
ことを特徴とする投射型表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射型表示装置および投射型表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン等に、液晶パネルなどにより作成された画像光を投射する投射型表示装置において、光路シフト素子によって解像度を擬似的に高める技術が知られている。詳細には、投射型表示装置では、1フレーム期間が複数の単位期間に分けられ、液晶パネルにおける1つのパネル画素の投射位置が、当該複数の単位期間毎にシフトされて映像データにおける複数の画素データで指定された階調レベルを表現する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、投射位置によって映像データの一部が欠落して、視認される、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る投射型表示装置は、複数のパネル画素を有する液晶パネルと、前記複数のパネル画素から投射された投射画素の位置を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第k(kは2以上の整数)単位期間までのk個の単位期間毎にシフトする光路シフト素子と、前記液晶パネルおよび前記光路シフト素子を制御する表示制御回路と、を含み、前記表示制御回路は、データ信号を前記単位期間毎に前記複数のパネル画素に供給し、第1フレーム期間と第2フレーム期間とのいずれか一方のフレーム期間における一部の単位期間において、前記複数のパネル画素のうち、周縁に配置される周縁パネル画素に、映像画像を構成する映像画素の画素データに基づく信号を前記データ信号として供給し、前記一方のフレーム期間の前記一部の単位期間以外の単位期間において、階調レベルが閾値以下の信号を前記データ信号として供給する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る投射型表示装置を示す図である。
【
図2】投射型表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】投射型表示装置における液晶パネルの構成を示す斜視図である。
【
図5】液晶パネルの電気的な構成を示すブロック図である。
【
図6】液晶パネルにおける画素回路の構成を示す図である。
【
図7】液晶パネルにおけるパネル画素の配列を示す平面図である。
【
図8】投射型表示装置におけるフレーム期間と単位期間とを示す図である。
【
図10】映像画素の配列とパネル画素の配列との関係等を示す図である。
【
図11】第1実施形態において各フレーム期間における映像画素とパネル画素との対応関係を示す図である。
【
図12】第1実施形態においてパネル画素に供給される映像画素の順番およびパネル画素に対応する映像画素の位置を示す図である。
【
図13】第1実施形態において奇数フレーム期間の映像画素とパネル画素と投射位置との関係を示す図である。
【
図14】第1実施形態において偶数フレーム期間の映像画素とパネル画素と投射位置との関係を示す図である。
【
図15】第1実施形態において奇数フレーム期間のパネル画素に供給されるデータ信号を示す図である。
【
図16】第1実施形態において偶数フレーム期間のパネル画素に供給されるデータ信号を示す図である。
【
図17】第2実施形態の液晶パネルにおけるパネル画素の配列を示す平面図である。
【
図18】第2実施形態において奇数フレーム期間のパネル画素に供給されるデータ信号を示す図である。
【
図19】第2実施形態において偶数フレーム期間のパネル画素に供給されるデータ信号を示す図である。
【
図20】第3実施形態の液晶パネルにおけるパネル画素の配列を示す平面図である。
【
図21】第3実施形態においてパネル画素に供給される映像画素の順番およびパネル画素に対応する映像画素の位置を示す図である。
【
図22】第3実施形態において奇数フレーム期間のパネル画素に供給されるデータ信号を示す図である。
【
図23】第3実施形態において偶数フレーム期間のパネル画素に供給されるデータ信号を示す図である。
【
図24】対比例の液晶パネルにおけるパネル画素の配列を示す平面図である。
【
図25】対比例において奇数フレーム期間のパネル画素に供給されるデータ信号を示す図である。
【
図26】対比例において偶数フレーム期間のパネル画素に供給されるデータ信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電気光学装置について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
図1は、実施形態に係る投射型表示装置1の光学的な構成を示す図である。図に示されるように、投射型表示装置1は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bを含む。また、投射型表示装置1の内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット2102が設けられている。このランプユニット2102から射出された投射光は、内部に配置された3枚のミラー2106および2枚のダイクロイックミラー2108によって、赤(R)、緑(G)および青(B)の3原色に分離される。このうち、Rの光は液晶パネル100Rに、Gの光は液晶パネル100Gに、Bの光は液晶パネル100Bに、それぞれ入射する。
なお、Bの光路は、Rの光路およびGの光路と比較して長いので、Bの光路での損失を防ぐ必要がある。このため、Bの光路には、入射レンズ2122、リレーレンズ2123および出射レンズ2124からなるリレーレンズ系2121が設けられる。
【0009】
液晶パネル100Rは、複数の画素回路を有する。複数の画素回路の各々は、それぞれ液晶素子を含む。液晶パネル100Rの液晶素子は、後述するようにRに対応するデータ信号に基づいて駆動されることによって、当該データ信号の電圧に応じた透過率となる。
このため、液晶パネル100Rでは、液晶素子の透過率を個別に制御することによって、Rの透過像が生成される。同様に、液晶パネル100Gでは、Gに対応するデータ信号に基づいてGの透過像が生成され、液晶パネル100Bでは、Bに対応するデータ信号に基づいてBの透過像が生成される。
【0010】
液晶パネル100R、100Gおよび100Bによってそれぞれ生成された各色の透過像は、ダイクロイックプリズム2112に三方向から入射する。ダイクロイックプリズム2112において、RおよびBの光は90度に屈折する一方、Gの光は直進する。したがって、ダイクロイックプリズム2112が各色の画像を合成する。ダイクロイックプリズム2112による合成像は光路シフト素子230を介して投射レンズ2114に入射する。
投射レンズ2114は、光路シフト素子230を介した合成像を、スクリーンScrに拡大して投射する。
【0011】
光路シフト素子230は、ダイクロイックプリズム2112から出射される合成像をシフトする。詳細には、光路シフト素子230は、スクリーンScrに投射される画像を、投射面に対し左右方向または/および上下方向にシフトする。
【0012】
なお、液晶パネル100R、100Bによる透過像は、ダイクロイックプリズム2112により反射した後に投射されるのに対し、液晶パネル100Gによる透過像は直進して投射される。したがって、液晶パネル100R、100Bによる各透過像は、液晶パネル100Gの透過像に対して左右反転した関係となる。
説明の便宜のため、投射型表示装置1からスクリーンScrの投射面を見た場合に、左右方向をX軸とし、上下方向をY軸とする。なお、X軸に沿った左右方向のうち、右方向をX方向とし、左方向をX方向の反対方向とする。また、Y軸に沿った上下方向のうち、下方向をY方向とし、上方向をY方向の反対方向とする。投射型表示装置1の投射方向をZ方向とする。
【0013】
図2は、投射型表示装置1の電気的な構成を示すブロック図である。図に示されるように、投射型表示装置1は、表示制御回路20と、上述した液晶パネル100R、100Gおよび100Bと、光路シフト素子230とを含む。
【0014】
図示省略されたホスト装置等の上位装置から、映像データVid-inが同期信号Syncに同期して供給される。映像データVid-inは、表示すべき画像における画素の階調レベルを、RGB毎に例えば8ビットで指定する。
【0015】
なお、映像データVid-inで指定される画像の画素を映像画素と表記し、映像画素の階調レベルを指定するデータを画素データと表記し、液晶パネル100R、100Gおよび100Bによる合成像の画素をパネル画素と表記する。実施形態において、パネル画素は、便宜的に有効パネル画素と電気見切りパネル画素とに分けられる。詳細については後述するが、電気見切りパネル画素は、一部の期間で画素データに応じた透過率になり、他の期間で透過率が最低になる。ただし、有効パネル画素の一部についても、画素データに応じた透過率になる場合と、透過率が最低になる場合とがある。
【0016】
また、光路シフト素子230によってシフトされて、スクリーンScrに投射されるパネル画素の位置を、投射位置と表記する。
液晶パネル100R、100Gおよび100Bの合成像では、パネル画素が縦方向および横方向にわたってマトリクス状に配列する。実施形態において、映像データVid-inで階調レベルが指定される映像画素の配列は、液晶パネル100R、100Gまたは100Bにより合成したパネル画素の配列と比較して、例えば、縦方向で約2倍、横方向で約2倍となっている。
【0017】
実施形態において、スクリーンScrに投射されるカラー画像は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bの各透過像を合成することで表現される。したがって、カラー画像の最小単位である画素は、液晶パネル100Rによる赤の副画素、液晶パネル100Gによる緑の副画素、および、液晶パネル100Bによる青の副画素に分けることができる。ただし、液晶パネル100R、100Gおよび100Bにおける副画素について、色を特定する必要がない場合や、単に明暗のみを問題とする場合等では、副画素と敢えて表記する必要がない。そこで本説明では、液晶パネル100R、100Gおよび100Bにおける表示単位についても、パネル画素とする。
【0018】
同期信号Syncには、映像データVid-inの垂直走査開始を指示する垂直同期信号や、水平走査開始を指示する水平同期信号、および、映像データVid-inにおける映像画素の1つ分のタイミングを示すクロック信号が含まれる。
【0019】
表示制御回路20は、処理回路22、変換回路23R、23Gおよび23Bを含む。
処理回路22は、上位装置から供給される映像データVid-inを、1または2以上のフレーム期間分を蓄積した後に、光路シフト素子230による投射位置に対応する映像画素の画素データを読み出し、RGB成分別に出力する。なお、処理回路22は、投射位置に応じて有効パネル画素および電気見切りパネル画素に透過率を最小とする黒データを出力する場合がある。
処理回路22から出力される画素データまたは黒データのうち、Rの成分をVad_Rと表記し、Gの成分をVad_Gと表記し、Bの成分をVad_Bと表記する。
【0020】
投射型表示装置1では、1フレーム期間を4分割した単位期間毎に投射位置が変化するので、連続する2フレーム期間における8つの単位期間では、投射位置として8箇所とすることが可能である。ただし、実施形態では、8つの単位期間における投射位置を後述するように7箇所とする。
なお、単位期間とは、映像データVid-inで指定される1フレーム期間の画像の解像度を1/4に落とした画像を、液晶パネル100R、100Gおよび100Bによる合成画像でユーザに視認させるための期間である。
【0021】
処理回路22は、各単位期間において光路シフト素子230による投射位置を制御する。詳細には、処理回路22は、光路シフト素子230に対し、X軸に沿った方向のシフトを制御信号P_xで制御し、Y軸に沿った方向のシフトを制御信号P_yで制御する。
なお、単位期間毎の投射位置、および、パネル画素が各投射位置に対応して映像データVid-inで指定される映像画素のうち、どの映像画素を表現するかの詳細については後述する。
また、処理回路22は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bを単位期間毎に制御するための制御信号Ctrを生成する。
【0022】
変換回路23Rは、R成分のデータVad_Rをアナログ電圧の画素信号に変換して、データ信号Vid_Rとして液晶パネル100Rに供給する。変換回路23Gは、G成分のデータVad_Gをアナログ電圧の画素信号に変換して、データ信号Vid_Gとして液晶パネル100Gに供給する。変換回路23Bは、B成分のデータVad_Bをアナログ電圧の画素信号に変換して、データ信号Vid_Bとして液晶パネル100Bに供給する。
【0023】
次に、液晶パネル100R、100Gおよび100Bについて説明する。液晶パネル100R、100Gおよび100Bについては、入射する光の色、すなわち波長だけが異なり、構造的には共通である。そこで、液晶パネル100R、100Gおよび100Bについては、符号を100として、色を特定しないで一般的に説明する。
【0024】
図3は、液晶パネル100の要部を示す図であり、
図4は、
図3におけるH-h線で切断した断面図である。
これらの図に示されるように、液晶パネル100では、画素電極118が設けられた素子基板100aと、コモン電極108が設けられた対向基板100bとが、一定の間隙を保ちつつ、互いに電極形成面が対向するようにシール材90によって貼り合わせられ、この間隙に液晶105が封入されている。
【0025】
素子基板100aおよび対向基板100bとしては、それぞれガラスや石英などの光透過性を有する基板が用いられる。
図3に示されるように、素子基板100aにおける一辺は、対向基板100bから張り出している。この張り出した領域に、図において横方向に沿って複数の端子106が設けられている。複数の端子106には、図示省略されたFPC(Flexible Printed Circuits)基板の一端が接続される。なお、当該FPC基板の他端は、表示制御回路20に接続されて、上述した各種の信号が供給される。
【0026】
素子基板100aにおいて対向基板100bに向かう面には、画素電極118が、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明性を有する導電層のパターニングによって形成される。
また、素子基板100aの対向面および対向基板100bの対向面には、電極以外にも様々な要素が設けられるが、図では省略されている。
【0027】
図5は、液晶パネル100の電気的な構成を示すブロック図である。液晶パネル100には、表示領域10の周縁に、走査線駆動回路130およびデータ線駆動回路140が設けられる。
【0028】
液晶パネル100の表示領域10においては、画素回路110がマトリクス状に配列される。詳細には、表示領域10において、複数本の走査線12が図において横方向に延在して設けられ、また、複数本のデータ線14が縦方向に延在し、かつ、走査線12と互いに電気的な絶縁を保って設けられる。そして、複数本の走査線12と複数本のデータ線14との交差に対応して画素回路110がマトリクス状に設けられる。
【0029】
走査線12の本数を(m+2)とし、データ線14の本数を(n+2)とした場合、画素回路110は、縦(m+2)行×横(n+2)列でマトリクス状に配列する。m、nは、いずれも2以上の整数である。走査線12と画素回路110とにおいて、マトリクスの行を区別するために、図において上から順に1、2、3、…、m、(m+1)、(m+2)行と呼ぶ場合がある。同様にデータ線14および画素回路110において、マトリクスの列を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、n、(n+1)、(n+2)列と呼ぶ場合がある。
【0030】
走査線駆動回路130は、表示制御回路200による制御にしたがって走査線12を例えば1、2、3、…、m、(m+1)、(m+2)行目という順番で1本ずつ選択し、選択した走査線12への走査信号をHレベルとする。なお、走査線駆動回路130は、選択した走査線12以外の走査線12への走査信号をLレベルとする。
データ線駆動回路140は、処理回路220R、220Gまたは220Bのうち、対応する色の回路から供給されたデータ信号を1行分ラッチするとともに、走査線12への走査信号がHレベルとなった期間において、当該走査線12に位置する画素回路110に、データ線14を介して出力する。
【0031】
図6は、隣り合う2本の走査線12と、隣り合う2本のデータ線14との交差に対応する縦2行横2列の計4個の、画素回路110の等価回路を示す図である。
図に示されるように、画素回路110は、トランジスター116と液晶素子120とを含む。トランジスター116は、例えばnチャネル型の薄膜トランジスターである。画素回路110において、トランジスター116のゲートノードは、走査線12に接続される一方、そのソースノードはデータ線14に接続され、そのドレインノードは、平面視で正方形形状の画素電極118に接続される。
【0032】
画素電極118に対向するようにコモン電極108が全画素に対して共通に設けられる。コモン電極108には電圧LCcomが印加される。そして、画素電極118とコモン電極108との間には上述したように液晶105が挟持される。したがって、画素回路110毎に、画素電極118およびコモン電極108によって液晶105を挟持した液晶素子120が構成される。
また、液晶素子120に対して並列に蓄積容量109が設けられる。蓄積容量109において、一端が画素電極118に接続され、他端が容量線107に接続されている。容量線107は、時間的に一定の電圧、例えばコモン電極108への印加電圧と同じ電圧LCcomが印加される。画素回路110は、走査線12の延在方向である横方向とデータ線14の延在方向である縦方向とにわたってマトリクス状に配列するので、画素回路110に含まれる画素電極118についても縦方向および横方向にわたって配列する。
【0033】
走査信号がHレベルとなった走査線12では、当該走査線12に対応して設けられる画素回路110のトランジスター116がオンする。トランジスター116のオンにより、データ線14と画素電極118とが電気的に接続された状態となるので、データ線14に供給されたデータ信号が、オンしたトランジスター116を介して画素電極118に到達する。走査線12がLレベルになると、トランジスター116はオフになるが、画素電極118に到達したデータ信号の電圧は、液晶素子120の容量性および蓄積容量109によって保持される。
【0034】
周知のように、液晶素子120では、画素電極118およびコモン電極108によって生じる電界に応じて液晶分子の配向が変化する。したがって、液晶素子120は、印加された電圧の実効値に応じた透過率となる。
なお、液晶素子120において画素として機能する領域、すなわち、電圧の実効値に応じた透過率となる領域は、素子基板100aおよび対向基板100bを平面視したときに、画素電極118とコモン電極108とが重なる領域である。画素電極118は、平面視で正方形であるので、液晶パネル100による画素の形状も正方形となる。
また、実施形態において、液晶105が、VA(Vertical Alignment)方式であって、液晶素子120への印加電圧がゼロであるときに透過率が最低であり、印加電圧が高くなるにつれて、透過率が高くなるノーマリーブラックモードである。
このように、液晶素子120が液晶パネル100のパネル画素として機能する。このため、パネル画素の配列は、画素回路110の配列と等しい。なお、パネル画素のうち、有効パネル画素と電気見切りパネル画素とにおいて構造および電気的な構成に相違はない。
【0035】
液晶素子120の画素電極118にデータ信号を供給する動作が、1つの単位期間において1、2、3、…、m、(m+1)、(m+2)行目という順番で実行される。これにより(m+2)行(n+2)列で配列する画素回路110の液晶素子120の各々にデータ信号に応じた電圧が保持されて、各液晶素子120が目的とする透過率となり、(m+2)行(n+2)列で配列する液晶素子120によって、対応する色の透過像が生成される。
このように透過像の生成がRGB毎に実行されて、RGBを合成したカラー画像がスクリーンScrに投射される。
1つの単位期間に対応して処理回路22から出力されるデータVad_R、Vad_GおよびVad_Bは、当該単位期間に対応する映像画素の画素データ、または、階調レベルが最低の黒データである。このため、少なくとも当該単位期間では投射位置に対応したカラーの合成画像が、当該投射位置において投射される。
【0036】
図7は、パネル画素の配列を示す平面図であり、特にパネル画素の配列のうち、左上端部UL、右上端部UR、左下端部DLおよび右下端部DRを拡大して示す図である。
上述したように、画素回路110、すなわちパネル画素は、縦(m+2)行×横(n+2)列でマトリクス状に配列する。このパネル画素の配列において、第1実施形態では、有効パネル画素Vpが、1行目および(m+2)行目と、1列目および(n+2)目と、を除いた縦m行×横n列でマトリクス状に配列する。
【0037】
電気見切りパネル画素Dpは、有効パネル画素Vpが縦m行×横n列で配列する領域を囲む枠状に配置する。換言すれば、電気見切りパネル画素Dpは、パネル画素における縦(m+2)行×横(n+2)列の配列のうち、左辺L1の1列、上辺L2の1行、右辺L3の1列、下辺L4の1行で配置する。
図7において、境界192は、有効パネル画素Vpと電気見切りパネル画素Dpとの境を示す仮想線であり、外縁194は、パネル画素が配列する領域の外縁を示す仮想線である。パネル画素が配列する領域に対して外縁194の外側では、図においてハッチングで示されるように見切り(額縁)として機能する遮光部196が設けられる。
なお、有効パネル画素Vpと電気見切りパネル画素Dpとにおいて構造上の相違は存在せず、単に便宜的に区別するために名称を異ならせている。
【0038】
上述したように、映像データVid-inにおける映像画素の配列は、液晶パネル100R、100Gおよび100Bにおけるパネル画素の配列である(m+2)行(n+2)列に対して縦方向で約2倍、横方向で約2倍であり、2m行2n列である。換言すれば、パネル画素の配列は、映像画素の配列に比べて縦方向で約1/2倍、横方向で約1/2倍である。
そこで、実施形態では、1フレーム期間でみて、1つのパネル画素を、縦2地点×横2地点の計4箇所でシフトさせることによって、1つのパネル画素が、映像データVid-inで指定される4つの映像画素を示しているかのように視認させる。
【0039】
ただし、単純に、1つのパネル画素を1フレーム期間において4箇所にシフトさせて映像画素を表現する構成では、表示品位が低下してしまう場合がある。このため、実施形態では、1つのパネル画素の投射位置が2フレーム期間の8つの単位期間毎にシフトされて映像画素を表現し、さらに、奇数フレーム期間において単位期間毎に投射位置をシフトさせる方向と偶数フレーム期間において単位期間毎に投射位置をシフトさせる方向とを反対方向にした。換言すれば、奇数フレーム期間で表現される4個の映像画素の配列と、偶数フレーム期間で表現される4個の映像画素の配列とは、1つの共通の映像画素を基準にして点対称の関係にある。
【0040】
図8は、実施形態におけるフレームと単位期間との関係を説明するための図である。図に示されるように、実施形態では、2フレーム(2F)期間が、時間的に先の奇数フレーム(Odd Frame)期間と、時間的に後の偶数フレーム(Even Frame)期間とに分けられる。
【0041】
奇数フレーム期間は、4つの単位期間に分割される。奇数フレーム期間における4つの単位期間を区別するために便宜的に、符号が、時間の順にf1-1、f1-2、f1-3、f1-4と付与される。偶数フレーム期間も同様に4つの単位期間に分割される。偶数フレーム期間における4つの単位期間を区別するために便宜的に、符号が、時間の順にf2-1、f2-2、f2-3、f2-4と付与される。
【0042】
なお、奇数フレーム期間および偶数フレーム期間に含まれる単位期間の個数の「4」は、2以上である整数kの一例である。また、奇数フレーム期間は第1フレーム期間の一例であり、偶数フレーム期間は第2フレーム期間の一例である。単位期間f1-1およびf2-1が第1単位期間の一例であり、単位期間f1-2およびf2-2が第2単位期間の一例であり、単位期間f1-3およびf2-3が第3単位期間の一例であり、単位期間f1-4およびf2-4が第4単位期間の一例である。
【0043】
1フレーム期間とは、上位装置からの映像データVid-inで示される画像の1コマ分が供給される期間であり、同期信号Syncに含まれる垂直同期信号の周波数が60Hzである場合、1周期の16.7ミリ秒である。この場合、各単位期間の長さは、それぞれ1フレーム期間の長さの1/4である4.17ミリ秒である。
【0044】
図9は、光路シフト素子230に供給される制御信号P_xおよびP_yの波形の一例を示す図である。
光路シフト素子230は、スクリーンScrに投射される画像を、投射面に対しX軸およびY軸にシフトする。便宜的に当該シフトの量については、スクリーンScrにおいて投写される画素の大きさ、すなわちパネル画素の大きさに換算して説明する。
【0045】
制御信号P_xおよびP_yは、単位期間f1-1~f1-4およびf2-1~f2-4における後端期間以外において+A、0または-Aの三値のいずれかのレベルをとる。制御信号P_xおよびP_yのレベルは、後端期間において変化する。後端期間とは、垂直走査帰線期間に相当する期間である。
なお、制御信号P_xまたはP_yのレベルは、連続する2つの単位期間に跨がってレベルが一定となる場合もある。
【0046】
説明の便宜上、奇数フレーム期間における単位期間f1-1のうち、後端期間以外の期間における投射位置、すなわち、制御信号P_xおよびP_yのレベルが0である期間における投射位置を規準位置とする。
光路シフト素子230は、制御信号P_xのレベルが+Aであれば、投射位置を基準位置からX方向にパネル画素の半分だけシフトさせ、制御信号P_xのレベルが-Aであれば、投射位置を基準位置からX方向の反対方向にパネル画素の半分だけシフトさせる。
光路シフト素子230は、制御信号P_yのレベルが+Aであれば、投射位置を基準位置からY方向にパネル画素の半分だけシフトさせ、制御信号P_yのレベルが-Aであれば、投射位置を基準位置からY方向の反対方向にパネル画素の半分だけシフトさせる。
【0047】
したがって、例えば制御信号P_xのレベルが+Aであり、かつ、制御信号P_yのレベルが+Aであれば、光路シフト素子230は、投射位置を基準位置から、X方向およびY方向にそれぞれパネル画素の半分だけシフトさせる。
【0048】
なお、
図9において各単位期間の後端期間に示される矢印は、当該後端期間において制御信号P_xおよびP_yのレベルが変化または維持した場合に、投射位置がどの方向にシフトするのかを示す。
また、光路シフト素子230による投射位置のシフトは、制御信号P_xおよびP_yのレベル通りではなく、時間遅れを伴う場合がある。
【0049】
次に、奇数フレーム期間および偶数フレーム期間において、液晶パネル100によるパネル画素が、映像データVid-inの映像画素のうち、どの映像画素を表現するかについて説明する。なお、パネル画素が、ある映像画素を表現する、とは、当該パネル画素が、当該映像画素に対応するデータ信号によって、当該画素データで指定される階調レベルに相当する輝度(明るさ)になることをいう。
【0050】
図10における左欄は、映像画素の配列を説明するために、映像データVid-inで示される映像画像のうち、一部だけ、詳細には、図において左上端に位置する映像画素を抜き出した図である。また、同図における右欄は、パネル画素のうち、当該左欄における映像画素の配列に対応したパネル画素の配列を示す図である。
【0051】
なお、
図10における左欄では、映像データVid-inの映像画素を区別するために、便宜的に符号として1行目にA11、B11、A21、B21、A31、B31が、それぞれ付与される。2~5行目についても同様に、図に示されるように符号がそれぞれ付与される。
図10における右欄では、パネル画素を区別するために、便宜的に符号として1行目にp11、p21、p31が、2行目にp12、p22、p32が、それぞれ付与される。
【0052】
図11は、パネル画素が、奇数フレーム期間と偶数フレーム期間とにおいて表現する映像画素を示す図である。なお、図において縦2行×横2列の計4個の映像画素を囲む太線の黒枠は、1つのパネル画素が表現する映像画素のまとまりを示す。1つのパネル画素が表現する4つの映像画素は、奇数フレーム期間と偶数フレーム期間とで異なる。詳細には、ある1つのパネル画素が偶数フレーム期間において表現する2×2の映像画素は、当該パネル画素が奇数フレーム期間において表現する2×2の映像画素に対して、第1実施形態では、右方向に映像画素で1画素および下方向に映像画素で1画素ずれた関係にある。
【0053】
図12の上欄は、特にパネル画素p11に着目し、当該パネル画素p11が奇数フレーム期間と偶数フレーム期間とにおいて表現する映像画素の順番を示す図である。図に示されるように、パネル画素p11は、奇数フレーム期間の単位期間f1-1~1-4において、順に映像画素C11、B11、A11、D11を表現し、偶数フレーム期間の単位期間f2-1~2-4において、順に映像画素C11、B12、A22、D21を順に表現する。換言すれば、パネル画素p11が奇数フレーム期間において映像画素を表現する順序と、偶数フレーム期間において映像画素を表現する順序とは、映像画素C11を基準にして点対称の関係にある。
【0054】
図12の下欄は、奇数フレーム期間の単位期間f1-1~f1-4においてパネル画素p11が表現する映像画素C11、B11、A11、D11の位置および順序を示す図であり、符号として1~4が付されている。例えばパネル画素p11における3の位置とは、当該パネル画素p11が、
図12の上欄において3の位置である映像画素A11を、2フレーム期間でみた場合に3番目の単位期間f1-3において表現することを示している。なお、この符号について図面では括弧を外し、説明では括弧付きで示す。同様に、偶数フレーム期間の単位期間f2-1~f2-4においてパネル画素p11が表現する映像画素C11、B12、A22、D21の位置および順序が5~8が示される。
【0055】
図13および
図14は、実施形態に係る投射型表示装置1において、パネル画素が、どの映像画素を、どの投射位置で表現するのかを示す図である。詳細には、
図13は、
図10における6個のパネル画素が、
図10の左欄における映像画素を、奇数フレーム期間の単位期間f1-1~f1-4において、どの投射位置で表現するのかを示す図である。また、
図14は、パネル画素の6個が、映像画素を、偶数フレーム期間の単位期間f2-1~f2-4において、どの投射位置で表現するのかを示す図である。
【0056】
便宜的に奇数フレーム期間の単位期間f1-1における投射位置を上述したように基準位置とする。
図13に示されるように、奇数フレーム期間の単位期間f1-1において、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素C11、C21、C31、C12、C22およびC32を、それぞれ表現する。すなわち、奇数フレーム期間で1つのパネル画素で表現される4つの映像画素のうち、位置(1)である映像画素が単位期間f1-1において表現される。
【0057】
単位期間f1-1の後端期間(垂直帰線期間)において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f1-1における基準位置から、図において上方向(Y方向の反対方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f1-2では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素B11、B21、B31、B12、B22およびB32をそれぞれ表現する。すなわち、奇数フレーム期間で1つのパネル画素で表現される4つの映像画素のうち、位置(2)である映像画素が単位期間f1-2において表現される。
単位期間f1-2の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f1-2における投射位置から、図において左方向(X方向の反対方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f1-3では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素A11、A21、A31、A12、A22およびA32をそれぞれ表現する。すなわち、奇数フレーム期間で1つのパネル画素で表現される4つの映像画素のうち、位置(3)の映像画素が単位期間f1-3において表現される。
単位期間f1-3の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f1-3における投射位置から、図において下方向(Y方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f1-4では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素D11、D21、D31、D12、D22およびD32をそれぞれ表現する。すなわち、奇数フレーム期間で1つのパネル画素で表現される4つの映像画素のうち、位置(4)である映像画素が単位期間f1-4において表現される。
【0058】
単位期間f1-4の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f1-4における投射位置から、図において右方向(X方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせて基準位置に戻す。偶数フレーム期間における最初の単位期間f2-1では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素C11、C21、C31、C12、C22およびC32をそれぞれ表現する。すなわち、ある1つのパネル画素が単位期間1-1において表現する映像画素と、当該1つのパネル画素が単位期間2-1において表現する映像画素とは同一である。また、偶数フレーム期間で1つのパネル画素で表現される4つの映像画素のうち、位置(5)である映像画素が単位期間f2-1において表現される。
【0059】
単位期間f2-1の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f2-1における基準位置から、図において下方向(Y方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f2-2では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素B12、B22、B32、B13、B23およびB33をそれぞれ表現する。
なお、偶数フレーム期間で1つのパネル画素で表現される4つの映像画素のうち、位置(6)である映像画素が単位期間f2-2において表現される。
【0060】
単位期間f2-2の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f2-2における投射位置から、図において右方向(X方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。また、単位期間f2-3では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素A22、A32、A42、A23、A33およびA42をそれぞれ表現する。なお、偶数フレーム期間で1つのパネル画素で表現される4つの映像画素のうち、位置(7)である映像画素が単位期間f2-3において表現される。
【0061】
単位期間f2-3の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される単位期間f2-3における投射位置から、図において上方向(Y方向の反対方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせる。次の単位期間f2-4では、パネル画素p11、p21、p31、p12、p22およびp32は、ハッチングが付された映像画素D21、D31、D41、D22、D32およびD42をそれぞれ表現する。なお、偶数フレーム期間で1つのパネル画素で表現される4つの映像画素のうち、位置(8)である映像画素が単位期間f2-4において表現される。
単位期間f2-4の後端期間において、光路シフト素子230は、投射位置を、破線で示される投射位置から、図において左方向(X方向の反対方向)にパネル画素の0.5画素分シフトさせて基準位置に戻す。
【0062】
本実施形態においてパネル画素のうち、電気見切りパネル画素Dpについて説明する前に、本実施形態に対する対比例について説明する。
【0063】
図24は、対比例に係るパネル画素の配列を示す平面図であり、特にパネル画素の配列のうち、左上端部UL、右上端部UR、左下端部DLおよび右下端部DRを拡大して示す図である。図に示されるように、対比例では、電気見切りパネル画素Dpが存在せず、有効パネル画素Vpのみが、縦m行×横n列でマトリクス状に配列する。なお、対比例において有効パネル画素Vpの配列領域の外側には、平面視で遮光部196が配置する。
【0064】
奇数フレーム期間では、映像画素とパネル画素とは
図11の左欄に示されるような対応関係にある。すなわち、奇数フレーム期間では、1つのパネル画素が、黒太線で囲まれた4つの映像画素を4つの単位期間1-1~1-4で表現する。したがって、
図25に示されるように、対比例では、奇数フレームの期間において2m行2n列で配列するすべての映像画素がm行n列で配列するパネル画素によって表現されるので、映像画素を表現する際に、表示の欠落が発生しない。
【0065】
偶数フレーム期間では、1つのパネル画素が表現する4つの映像画素が、奇数フレーム期間における4つの映像画素を基準にして、下方向に1つの映像画素分シフトし、右方向に1つの映像画素分シフトした関係になる。対比例において有効パネル画素Vpの配列領域の外側では、平面視で遮光部196が配置され、映像画素を表現し得るパネル画素は存在しない。このため、偶数フレーム期間では、
図11の右欄で示される映像画素の配列において、上端一行、左端一列の映像画素が表現されない。したがって、
図26に示されるように、対比例では、偶数フレームの期間において、2m行2n列で配列する映像画素のすべてがパネル画素によって表現されないので、表示の欠落が発生する。
【0066】
なお、対比例において縦m行×横n列で配列する有効パネル画素Vpのうち、右端1列の有効パネル画素Vpは、位置(7)および(8)において表現すべき映像画素が存在しない。同様に、下端1行の有効パネル画素Vpは、位置(6)および(7)において表現すべき映像画素が存在しない。
【0067】
本実施形態では、対比例のような表示の欠落を防ぐために、有効パネル画素Vpを囲むように電気見切りパネル画素Dpを設けて、偶数フレーム期間および奇数フレーム期間において次のように映像画素等を表現する構成とした。
【0068】
図15および
図16は、本実施形態におけるパネル画素と映像画素との対応関係、および、透過率が最低になるパネル画素を示す平面図である。これらの図のうち、
図15は奇数フレーム期間を示し、
図16は偶数フレーム期間を示す。
なお、これらの図において、太い実線で示される四角枠が有効パネル画素Vpであり、太い破線で示される四角枠が電気見切りパネル画素Dpである。
また、有効パネル画素Vpまたは電気見切りパネル画素Dpにおいて1~4は、
図12と同様に単位期間f1-1~f1-4での位置(1)~(4)を示す。ハッチングが付された部分は、対応する単位期間において、透過率が最低である黒信号によって黒表示になることを示し、ハッチングが付されていない部分は、対応する単位期間において、映像画素を表現することを示す。
【0069】
図15に示されるように奇数フレーム期間では、処理回路22が、有効パネル画素Vpに対して映像画素を表現するように制御し、すべての電気見切りパネル画素Dpに対して黒表示になるように制御する。なお、処理回路22が、パネル画素を黒表示に制御するとは、階調レベルが最低値に相当する黒データを出力して、表示制御回路20が、黒データを変換したアナログのデータ信号を、当該パネル画素に向けて出力することをいう。
【0070】
例えば、左上端に位置する有効パネル画素Vp1は、単位期間f1-1において位置(1)にある映像画素C11を表現し、単位期間f1-2において位置(2)にある映像画素B11を表現し、単位期間f1-3において位置(3)にある映像画素A11を表現し、単位期間f1-4において位置(4)にある映像画素D11を表現する。
また、例えば、
図15において左上端に位置する電気見切りパネル画素Dp1は、単位期間f1-1~f1-4において、位置(1)~(4)にハッチングが付されていることから判るように、黒表示になり、遮光部の一部として機能する。他のパネル画素についての説明については省略する。
【0071】
図16に示されるように偶数フレーム期間では、処理回路22が、有効パネル画素Vpを、偶数フレーム期間の全部において映像画素を表現させるか、または、偶数フレーム期間の一部において映像画素を表現させ、一部以外のの期間において黒表示にさせる。また、処理回路22が、電気見切りパネル画素Dpを、偶数フレーム期間の一部において映像画素を表現させ、一部以外のの期間において黒表示にさせるか、または、電気見切りパネル画素Dpを、偶数フレーム期間の全部において黒表示になるように制御する。
【0072】
例えば、左上端に位置する有効パネル画素Vp1は、単位期間f2-1において位置(5)にある映像画素C11を表現し、単位期間f2-2において位置(6)にある映像画素B12を表現し、単位期間f2-3において位置(7)にある映像画素A22を表現し、単位期間f2-4において位置(8)にある映像画素D21を表現する。
また、例えば、右下端に位置する有効パネル画素Vp2は、単位期間f2-1において位置(5)にある映像画素を表現し、単位期間f2-2~f2-4において、位置(2)~にハッチングが付されていることから判るように、黒表示になる。
【0073】
また、例えば、左上端に位置する電気見切りパネル画素Dp1は、単位期間f2-1、f2-2およびf2-4において、位置(5)、(6)および(8)にハッチングが付されていることから判るように、黒表示になり、単位期間f2-3において位置(7)にある映像画素A11を表現する。
また例えば右下端に位置する電気見切りパネル画素Dp2は、単位期間f2-1~f2-4において、位置(5)~(8)にハッチングが付されていることから判るように、黒表示になり、遮光部の一部として機能する。他のパネル画素についての説明については省略する。
このように、処理回路22は、有効パネル画素Vpおよび電気見切りパネル画素Dpを制御する。
【0074】
本実施形態によれば、対比例において偶数フレーム期間で欠落する上端一行、左端一列の映像画素についても、パネル画素によって表現されるので、表示の欠落を抑えることができる。
【0075】
次に第2実施形態について説明する。
【0076】
図17は、第2実施形態に係る液晶パネル100におけるパネル画素の配列を示す平面図であり、特にパネル画素の配列のうち、左上端部UL、右上端部UR、左下端部DLおよび右下端部DRを拡大して示す図である。
第2実施形態では、パネル画素が、縦(m+1)行×横(n+1)列でマトリクス状に配列し、第1実施形態と比較して、行方向では1行少なく、列方向では1列少ない。
具体的には、第2実施形態では、有効パネル画素Vpが、1行目と1列目とを除いた縦m行×横n列でマトリクス状に配列する。
電気見切りパネル画素Dpは、有効パネル画素Vpが縦m行×横n列で配列する領域を囲む2辺、詳細には、左辺L1の1列および上辺L2の1行で配列する。
換言すれば、第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、右辺L3の1列および下辺L4の1行において電気見切りパネル画素Dpが設けられていない。
【0077】
第2実施形態において、奇数フレーム期間および偶数フレーム期間の映像画素とパネル画素との対応関係は、
図11に示される第1実施形態と同様であり、パネル画素が奇数フレーム期間と偶数フレーム期間とにおいて表現する映像画素の順番が、
図12に示される第1実施形態と同様である。また、第2実施形態では、奇数フレーム期間および偶数フレーム期間における映像画素とパネル画素と投射位置との関係が、
図13および
図14に示される第1実施形態と同様である。
【0078】
図18および
図19は、第2実施形態におけるパネル画素と映像画素との対応関係、および、透過率が最低になるパネル画素を示す平面図である。これらの図のうち、
図18は奇数フレーム期間を示し、
図19は偶数フレーム期間を示す。
なお、太い実線で示される四角枠が有効パネル画素Vpであり、太い破線で示される四角枠が電気見切りパネル画素Dpである。また、有効パネル画素Vpまたは電気見切りパネル画素Dpにおける1~4およびハッチングの意味は、
図15および
図16と同じである。
【0079】
図18に示されるように奇数フレーム期間では、処理回路22が、有効パネル画素Vpに対して映像画素を表現するように制御し、すべての電気見切りパネル画素Dpに対して黒表示になるように制御する。
【0080】
例えば左上端に位置する有効パネル画素Vp1が単位期間f1-1において位置(1)にある映像画素C11を表現し、単位期間f1-2において位置(2)にある映像画素B11を表現し、単位期間f1-3において位置(3)にある映像画素A11を表現し、単位期間f1-4において位置(4)にある映像画素D11を表現する。
また、左上端に位置する電気見切りパネル画素Dp1は、単位期間f1-1~f1-4において、位置(1)~(4)にハッチングが付されていることから判るように、黒表示になる。他のパネル画素についての説明については省略する。
【0081】
図19に示されるように偶数フレーム期間では、処理回路22が、有効パネル画素Vpを、偶数フレーム期間の全部において映像画素を表現させるか、または、偶数フレーム期間の一部において映像画素を表現させ、一部以外の期間において黒表示にさせる。また、処理回路22が、電気見切りパネル画素Dpを、偶数フレーム期間の一部において映像画素を表現させ、一部以外の期間において黒表示にさせる。第2実施形態では、電気見切りパネル画素Dpが、第1実施形態とは異なり、偶数フレーム期間の全部において黒表示にはならない。
【0082】
例えば、有効パネル画素Vp1が単位期間f2-1において位置(5)にある映像画素C11を表現し、単位期間f2-2において位置(6)にある映像画素B12を表現し、単位期間f2-3において位置(7)にある映像画素A22を表現し、単位期間f2-4において位置(8)にある映像画素D21を表現する。
また、有効パネル画素Vp2は、単位期間f2-1において位置(5)にある映像画素を表現し、単位期間f2-2~f2-4に黒表示になる。
【0083】
また、例えば、電気見切りパネル画素Dp1が単位期間f2-1、2-2および2-4において位置(5)、(6)および(8)にある映像画素C11、B11およびD11を表現し、単位期間f2-3において黒表示になる。
このように、処理回路22は、有効パネル画素Vpおよび電気見切りパネル画素Dpを制御する。
【0084】
第2実施形態によれば、対比例において偶数フレーム期間で欠落する上端一行、左端一列の映像画素についても、パネル画素によって表現されるので、第1実施形態と同様に、表示の欠落を抑えることができる。また、第2実施形態によれば、第1実施形態と比較して、パネル画素のうち、電気見切りパネル画素Dpの個数を減らすことでができる。
【0085】
次に第3実施形態について説明する。
【0086】
図20は、第3実施形態に係る液晶パネル100におけるパネル画素の配列を示す平面図であり、特にパネル画素の配列のうち、左上端部UL、右上端部UR、左下端部DLおよび右下端部DRを拡大して示す図である。
第3実施形態では、パネル画素が、第2実施形態と同様に、縦(m+1)行×横(n+1)列でマトリクス状に配列し、第1実施形態と比較して行方向では1行少なく、列方向では1列少ない。第3実施形態では、縦m行×横n列でマトリクス状に配列する有効パネル画素Vpが、左端および上端に寄っている。電気見切りパネル画素Dpは、有効パネル画素Vpが縦m行×横n列で配列する領域を囲む2辺、詳細には、右辺L3の1列および下辺L4の1行で配列する。
換言すれば、第3実施形態では、電気見切りパネル画素Dpが、第2実施形態とは異なり、左辺L1の1列および上辺L2の1行において設けられていない。
【0087】
第3実施形態において、奇数フレーム期間および偶数フレーム期間の映像画素とパネル画素との対応関係が、
図11に示される第1実施形態とは異なる。
詳細には、
図21の上欄で示されるように、パネル画素p11は、奇数フレーム期間においてC11、B11、A21およびD21を表現し、偶数フレーム期間においてC11、B12、A12およびD11を表現する。すなわち、ある1つのパネル画素が偶数フレーム期間において表現する2×2の映像画素は、当該パネル画素が奇数フレーム期間において表現する2×2の映像画素に対して、第3実施形態では、左方向に映像画素で1画素および下方向に映像画素で1画素ずれた関係にある。
【0088】
図21の下欄は、奇数フレーム期間の単位期間f1-1~f1-4においてパネル画素p11が表現する映像画素C11、B11、A21、D21の位置および順序を示す図であり、符号として1~4が付されている
例えばパネル画素p11における3の位置とは、当該パネル画素p11が、
図12の上欄において3の位置である映像画素A11を、2フレーム期間でみた場合に3番目の単位期間f1-3において表現することを示している。なお、この符号について図面では括弧を外し、説明では括弧付きで示す。同様に、偶数フレーム期間の単位期間f2-1~f2-4においてパネル画素p11が表現する映像画素C11、B12、A12、D11の位置および順序が5~8が示される。
【0089】
図22および
図23は、第3実施形態におけるパネル画素と映像画素との対応関係、および、透過率が最低になるパネル画素を示す平面図である。これらの図のうち、
図22は奇数フレーム期間を示し、
図23は偶数フレーム期間を示す。
なお、太い実線で示される四角枠が有効パネル画素Vpであり、太い破線で示される四角枠が電気見切りパネル画素Dpである。また、有効パネル画素Vpまたは電気見切りパネル画素Dpにおける1~4およびハッチングの意味は、
図15、
図16、
図18および
図19と同じである。
【0090】
図22に示されるように奇数フレーム期間では、処理回路22が、有効パネル画素Vpに対して映像画素を表現するように制御し、すべての電気見切りパネル画素Dpに対して黒表示になるように制御する。
例えば、左上端に位置する有効パネル画素Vp1が単位期間f1-1において位置(1)にある映像画素C11を表現し、単位期間f1-2において位置(2)にある映像画素B11を表現し、単位期間f1-3において位置(3)にある映像画素A21を表現し、単位期間f1-4において位置(4)にある映像画素D21を表現する。
また、左上端に位置する電気見切りパネル画素Dp1は、単位期間f1-1~f1-4において、位置(1)~(4)にハッチングが付されていることから判るように、黒表示になる。
【0091】
図23に示されるように偶数フレーム期間では、処理回路22が、偶数フレーム期間の一部において映像画素を表現させ、一部以外の期間において黒表示にさせるか、または、有効パネル画素Vpに対して偶数フレーム期間の全部において映像画素を表現させる。
また、第2実施形態では、処理回路22が、電気見切りパネル画素Dpを、偶数フレーム期間の一部において映像画素を表現させ、一部以外の期間において黒表示にさせる。第3実施形態では、電気見切りパネル画素Dpが、第1実施形態とは異なり、偶数フレーム期間の全部において黒表示にはならない点は、第2実施形態と同様である。
【0092】
例えば、有効パネル画素Vp1は、単位期間f2-1において位置(5)にある映像画素C11を表現し、単位期間f2-2において位置(6)にある映像画素B12を表現し、単位期間f2-3およびf2-4において黒表示になる。
また、例えば、有効パネル画素Vp1の右隣の有効パネル画素Vp3は、単位期間f2-1において位置(5)にある映像画素C21を表現し、単位期間f2-2において位置(6)にある映像画素B22を表現し、単位期間f2-3において位置(7)にある映像画素A22を表現し、単位期間f2-4において位置(4)にある映像画素D21を表現する。
【0093】
また、例えば、電気見切りパネル画素Dp1は、単位期間f2-1、f2-3およびf2-4において黒表示になり、単位期間f2-2において位置(6)にある映像画素B11を表現する。
【0094】
第3実施形態によれば、すべての映像画素がパネル画素によって表現されるので、対比例のような表示の欠落を抑えることができる。また、第3実施形態によれば、第2実施形態と同様に、パネル画素のうち、電気見切りパネル画素Dpの個数を減らすことでができる。
【0095】
上述した第1乃至第3実施形態(以下「実施形態等」と称呼する)では、以下のように種々の変形または応用が可能である。
【0096】
実施形態等では、パネル画素を見切り画素とする場合に、階調レベルをゼロとし、透過率を最低とする黒表示にさせたが、階調レベルが閾値(例えば、十進値で「10」)以下に対応する透過率としてもよい。すなわち、パネル画素を見切り画素とする場合に、透過率が、ある程度以下の暗い状態として、実質的に見切り画素として遮光部の一部として機能させてもよい。
【0097】
また、実施形態等では、1フレーム期間が4つの単位期間に分けられた構成とした。すなわち、1フレーム期間に含まれる単位期間の個数であるkとして「4」を一例として挙げて説明した。kは「4」に限られず、「2」以上であればよい。
【0098】
実施形態等では、光路シフト素子230に供給される制御信号P_xおよびP_yのレベルが変化する期間を、単位期間f1-1~f1-4およびf2-1~f2-4における垂直走査期間に相当する後端期間としたが、上述したように、光路シフト素子230による投射位置のシフトは、制御信号P_xおよびP_yのレベル通りではなく、時間遅れを伴う場合がある。このような場合、例えば、単位期間において液晶パネル100によって形成される画像が、当該単位期間に対応する投射位置にシフトされるように、時間遅れを見越して、制御信号P_xおよびP_yのレベル変化を開始させてもよい。
【0099】
以上に例示した形態から、例えば、以下の態様が把握される。
ひとつの態様(態様1)に係る投射型表示装置は、複数のパネル画素を有する液晶パネルと、前記複数のパネル画素から投射された投射画素の位置を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第k(kは2以上の整数)単位期間までのk個の単位期間毎にシフトする光路シフト素子と、前記液晶パネルおよび前記光路シフト素子を制御する表示制御回路と、を含み、前記表示制御回路は、データ信号を前記単位期間毎に前記複数のパネル画素に供給し、第1フレーム期間と第2フレーム期間とのいずれか一方のフレーム期間における一部の単位期間において、前記複数のパネル画素のうち、周縁に配置される周縁パネル画素に、映像画像を構成する映像画素の画素データに基づく信号を前記データ信号として供給し、前記一方のフレーム期間の前記一部の単位期間以外の単位期間において、階調レベルが閾値以下の信号を前記データ信号として供給する。
態様1によれば、映像画素がパネル画素によって表現されない、という表示の欠落を抑えることできる。
【0100】
態様1の具体的な態様(態様2)において、前記表示制御回路は、前記周縁パネル画素が一の単位期間において前記映像画素を表現する場合に、当該一の単位期間において、当該映像画素の画素データに基づく画素信号を前記データ信号として供給し、前記周縁パネル画素が他の単位期間において前記映像画素を表現しない場合に、当該他の単位期間において前記階調レベルが閾値以下の信号を前記データ信号として、当該周縁パネル画素に供給する。
態様2によれば、周縁パネル画素が映像画素を表現しない場合、当該他の単位期間において前記黒信号を前記データ信号として、当該周縁パネル画素に黒信号が供給されて、遮光部の一部として機能する。
【0101】
態様1の具体的な態様(態様3)において、前記周縁パネル画素は、前記複数のパネル画素が配列する矩形領域のうち、周縁4辺に配置される。態様3によれば、表示の欠落を抑えることできる。
【0102】
態様1の具体的な態様(態様4)において、前記周縁パネル画素は、前記複数のパネル画素が配列する矩形領域のうち、周縁において隣り合う2辺に配置される。態様4によれば、映像画素の画素数に対して、パネル画素数を態様3と比較して少なくすることができる。
【0103】
態様1の具体的な態様(態様5)において、一のパネル画素は、前記第1フレーム期間の第1単位期間から第k単位期間までで表現されるk個の映像画素と、前記第2フレーム期間の第1単位期間から第k単位期間までで表現されるk個の映像画素とを、1つの共通の映像画素を基準にして点対称の配列した映像画素を表示する。態様5によれば、いわゆるフリッカーを低減することができる。
【0104】
態様1に係る投射型表示装置は、態様6の投射型表示の制御方法として把握することができる。すなわち、態様6の投射型表示の制御方法は、複数のパネル画素を有する液晶パネルと、前記複数のパネル画素から投射された投射画素の位置を、1フレーム期間に含まれる、第1単位期間から第k(kは2以上の整数)単位期間までのk個の単位期間毎にシフトする光路シフト素子と、前記液晶パネルおよび前記光路シフト素子を制御する表示制御回路と、を含む投射型表示装置の制御方法であって、前記表示制御回路は、データ信号を前記単位期間毎に前記複数のパネル画素に供給し、第1フレーム期間と第2フレーム期間とのいずれか一方のフレーム期間における一部の単位期間において、前記複数のパネル画素のうち、周縁に配置される周縁パネル画素に、映像画像を構成する映像画素の画素データに基づく画素信号を前記データ信号として供給し、前記一方のフレーム期間の前記一部の単位期間以外の単位期間において、階調レベルが閾値以下の信号を前記データ信号として供給する。
【符号の説明】
【0105】
1…投射型表示装置、100R、100G、100B…液晶パネル、110…画素回路、118…画素電極、120…液晶素子、20…表示制御回路、22…処理回路、230…光路シフト素子。