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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135651
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240927BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B41J2/165 101
B41J2/17 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046441
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 吉紀
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056JA08
2C056JA13
2C056JA21
(57)【要約】
【課題】キャップ内のフォームがノズル面に接触することを抑制しつつ、ノズル面に設けられている複数のノズル孔におけるインクを均一に保湿し、キャップの固定を容易にする印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置10は、インクを吐出するノズル孔13が設けられたノズル面12を有するヘッド11と、ノズル面12に対向する底面61aを含む底板、及び、底板を貫通する貫通孔65を有し、ノズル孔13を被覆するキャップ60と、キャップ60を保持する保持部75、及び、キャップ60を保持部75に留める留め部73を有するホルダ70と、留め部73にキャップ60を係止する係止具80と、液体を吸収可能なフォーム90と、を備え、留め部73は、保持部75から貫通孔65を通って突出し、係止具80と保持部75との間にキャップ60の少なくとも一部が配置され、フォーム90は、キャップ60内にて底面61a及び留め部73よりも上に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するノズル孔が設けられたノズル面を有するヘッドと、
前記ノズル面に対向する底面を含む底板、及び、前記底板を貫通する貫通孔を有し、前記ノズル孔を被覆するキャップと、
前記キャップを保持する保持部、及び、前記キャップを前記保持部に留める留め部を有するホルダと、
前記留め部に前記キャップを係止する係止具と、
液体を吸収可能なフォームと、を備え、
前記留め部は、前記保持部から前記貫通孔を通って突出し、
前記係止具と前記保持部との間に前記キャップの少なくとも一部が配置され、
前記フォームは、前記キャップ内にて前記底面及び前記留め部よりも上に配置される、
印刷装置。
【請求項2】
前記底板には、前記貫通孔の周囲において前記底面から前記保持部に向かって凹み且つ前記係止具が収容される凹部が形成される、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記キャップに設けられ、且つ、前記キャップ内に液体を導入する導入口と、
前記キャップに設けられ、且つ、前記キャップ内から液体を排出する排出口と、を備え、
前記貫通孔は前記導入口と前記排出口との間に配置されている、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記底板には、前記貫通孔の周囲において前記底面から前記保持部に向かって凹み且つ前記係止具が収容される凹部が形成され、
前記凹部は、前記貫通孔が開口する位置を含む第1凹部と、前記第1凹部に連通すると共に前記第1凹部に対して前記排出口側に位置する第2凹部とを有している、
請求項3に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷装置として、例えば、下記特許文献1の液体吐出装置が知られている。この液体吐出装置は、ノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッド、及び、ノズルが開口する開口面を覆うキャップを有している。このキャップ内には、液体を吸収可能な吸収部材が配置されており、この吸収部材に吸収された液体によってノズルの液体が保湿されている。また、キャップは、キャップホルダに保持されて、吸引流路に接続されている。このキャップがノズルを覆った状態で、キャップ内が吸引流路を介して吸引されると、キャップ内が負圧になり、キャップ内の液体が吸引流路を通じて排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-175601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の液体吐出装置では、開口面を覆ったキャップ内が負圧になると、キャップが変形してキャップホルダから浮いてしまう場合がある。このような場合、キャップの変形によってキャップ内の吸収部材が開口面に近づいて接触すると、キャップ内の吸収部材に吸収されている液体が開口面に付着し、開口面が液体により汚れることがある。
【0005】
これに対して、留め部がキャップをキャップホルダに固定することにより、キャップ内の吸収部材が開口面に接触することを抑制することが考えられる。この場合、例えば、キャップ及び吸収部材に貫通孔が設けられて、留め部が吸収部材の貫通孔及びキャップの貫通孔を通ってキャップホルダに取り付けられる。しかしながら、このようなキャップによって開口面が覆われると、吸収部材の貫通孔に対向する部分にあるノズルの液体は、他の部分にあるノズルの液体よりも液体を保持する吸収部材から離れているため、吸着部材の液体により保湿され難い。
【0006】
さらに、吸収部材の貫通孔及びキャップの貫通孔を通りキャップホルダに取り付けた留め部が外れないように、留め部に係止部を設けることが考えられる。しかし、係止部の位置によっては、キャップをキャップホルダに固定する作業、又はキャップホルダを液体吐出装置に固定する作業が難しくなる可能性がある。
【0007】
そこで、本開示は、キャップ内のフォームがヘッドのノズル面に接触することを抑制しつつ、ノズル面に設けられている複数のノズル孔におけるインクを均一に保湿することができ、キャップの固定を容易にする印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある態様に係る印刷装置は、インクを吐出するノズル孔が設けられたノズル面を有するヘッドと、前記ノズル面に対向する底面を含む底板、及び、前記底板を貫通する貫通孔を有し、前記ノズル孔を被覆するキャップと、前記キャップを保持する保持部、及び、前記キャップを前記保持部に留める留め部を有するホルダと、前記留め部に前記キャップを係止する係止具と、液体を吸収可能なフォームと、を備え、前記留め部は、前記保持部から前記貫通孔を通って突出し、前記係止具と前記保持部との間に前記キャップの少なくとも一部が配置され、前記フォームは、前記キャップ内にて前記底面及び前記留め部よりも上に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、キャップは留め部により保持部に留められ、この留め部に係止具により係止されることにより、キャップ及びキャップ内のフォームの移動が規制され、フォームのノズル面への接触が抑制される。また、フォームがキャップの底面及び留め部よりも上に配置されていることにより、フォームがノズル孔に対向し、フォームにより吸収された液体によりノズル孔内の液体が保湿される。
【0010】
本開示の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施の形態に係る印刷装置を概略的に示した図である。
図2】印刷装置の一部の構成を示すブロック図である。
図3】キャップユニットを上から見た図である。
図4図3のA-A線に沿って切断されたキャップユニットの断面図である。
図5図4のキャップユニットの一部を示す拡大図である。
図6】ホルダ、キャップ及び係止具を示す斜視図である。
図7】キャップユニットの斜視図である。
図8図8Aは凹部、留め部及び係止具を示す斜視図である。図8Bは凹部、留め部及び係止具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示に係る実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では、全ての図面を通じて同一又は対応する要素には同一の参照符号を付している。
【0013】
<印刷装置の構成>
本開示の一実施の形態に係る印刷装置10は、図1の例に示すように、例えば、シリアルヘッド方式のインクジェットプリンタである。印刷装置10は、インクを吐出するヘッド11を備えている。なお、印刷装置10は、シリアルヘッド方式に限定されずに、ラインヘッド方式のプリンタであってもよい。
【0014】
印刷装置10は、画像データに基づいてヘッド11を移動させつつインクを吐出するパス処理と、被印刷媒体Aを搬送する搬送処理とを交互に繰り返して、画像を被印刷媒体Aに印刷する。以下では、ヘッド11の移動方向を左右方向と称し、被印刷媒体Aの搬送方向であって左右方向に交差(例えば、直交)する方向を前後方向と称する。また、左右方向及び前後方向の両方向に交差(例えば、直交)する方向を上下方向と称する。ただし、印刷装置10に関する方向はこれに限定されない。
【0015】
ヘッド11の下面であるノズル面12には複数のノズル孔13が設けられている。複数のノズル孔13は、前後方向に並ぶことによりノズル孔列を成している。例えば4本のノズル孔列がノズル面12において左右方向に間隔を空けながら並んでいる。また、ヘッド11には、ノズル孔13毎に駆動素子14(図2)が設けられている。駆動素子14は、圧電素子、発熱素子、あるいは、静電式アクチュエータ等であって、駆動することにより対応するノズル孔13からインクを吐出する圧力をヘッド11内のインクに付与する。これにより、ノズル孔13からインクが吐出される。
【0016】
さらに、印刷装置10は、インクをヘッド11に供給するタンク17を備えている。タンク17は、インクを貯留し、チューブ18によりヘッド11に接続され、インクをヘッド11に供給する。インクは、例えばシアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクを含んでいる。
【0017】
さらに、印刷装置10は、ヘッド11を収容する筐体15を備えている。筐体15には、ヘッド11による印刷動作が行われる印刷領域15a、及び、ヘッド11のメンテナンス動作が行われるメンテナンス領域15bが設けられている。図1の例では、メンテナンス領域15bは印刷領域15aの右に配置されている。
【0018】
印刷装置10は、印刷領域15aに配置されたプラテン16を備えている。プラテン16は、ヘッド11の下方に所定距離を隔てて位置している。プラテン16の平坦な上面は、ヘッド11のノズル面12に対向し、被印刷媒体Aを下方から支持する。
【0019】
さらに、印刷装置10は、被印刷媒体Aを前後方向へ搬送する搬送装置20を備えている。搬送装置20は、例えば搬送ローラ21、及び、搬送モータ22(図2)を有している。搬送ローラ21は左右方向に延びる軸を有し、搬送モータ22は搬送ローラ21の軸に接続されている。搬送モータ22が回転駆動すると、搬送ローラ21はその軸を中心に回転し、プラテン16上において被印刷媒体Aを前後方向へ搬送する。
【0020】
さらに、印刷装置10は、ヘッド11を左右方向へ往復移動させる移動装置30を備えている。移動装置30は、キャリッジ31、2本のガイドレール32、無端ベルト33、及び、移動モータ34を有している。キャリッジ31は箱型の筐体15であり、ヘッド11を搭載している。2本のガイドレール32は、プラテン16上において印刷領域15a及びメンテナンス領域15bに亘って左右に延び、且つ、全てのノズル孔13を互いの間に挟むように前後に離れて配置されている。この2本のガイドレール32により、キャリッジ31は左右方向へ往復移動可能に支持されている。無端ベルト33は、一方のガイドレール32の左右両端近傍に設けられた2つのプーリー35に掛けられ、且つ、プーリー35を介して移動モータ34に接続されると共に、キャリッジ31に接続されている。これにより、移動装置30は、移動モータ34が回転駆動すると、無端ベルト33が走行し、ヘッド11を搭載するキャリッジ31がガイドレール32に沿って印刷領域15a及びメンテナンス領域15bに亘って左右方向へ移動する。
【0021】
さらに、印刷装置10は、制御装置40を備えている。また、印刷装置10は、図2に示すように、この制御装置40に接続された記憶装置41、通信インターフェース42、ヘッド駆動回路43、搬送駆動回路44及び移動駆動回路45を備えている。
【0022】
記憶装置41は、制御装置40からアクセス可能なメモリであって、例えばRAM及びROMなどを有している。この記憶装置41は、例えば、画像を表す画像データ、並びに、印刷動作などの各種動作を実行するためのプログラム及びデータなどを記憶する。
【0023】
制御装置40は、例えばコンピュータにより構成されており、CPUのようなプロセッサ、及び、ASICのような集積回路などの回路を含む。制御装置40は、記憶装置41に記憶されたデータを参照しつつ、記憶装置41に記憶されたプログラムを実行する。これにより、印刷装置10の各部の動作が制御装置40により制御されて、印刷動作及びメンテナンス動作などの各種動作が実行される。なお、制御装置40は、単独の装置により構成されていてもよく、又は、複数の装置が分散配置されていて、それらが協働して印刷装置10の動作を行うよう構成されていてもよい。
【0024】
通信インターフェース42は、有線通信又は無線通信によって外部機器Bに接続する接続装置である。印刷装置10は、この通信インターフェース42を介して、印刷装置10とは別個に存在する外部機器Bから、印刷する画像の画像データなどのデータを送受信する。
【0025】
ヘッド駆動回路43は、駆動素子14に接続されており、制御装置40による制御信号に基づいて駆動素子14を駆動する。これにより、制御装置40は、ノズル孔13から所定のタイミング及び量(インク滴の大きさ)でインクを吐出させる。また、搬送駆動回路44は、搬送モータ22に接続されており、制御装置40による制御信号に基づいて搬送モータ22を駆動する。これにより、制御装置40はプラテン16上の被印刷媒体Aを前後方向へ間欠的又は連続的に搬送すると共に、プラテン16上の所定位置に被印刷媒体Aを停止させる。また、移動駆動回路45は、移動モータ34に接続されており、制御装置40による制御信号に基づいて移動モータ34を駆動する。これにより、制御装置40はヘッド11を搭載するキャリッジ31を左右方向へ可変速度で移動させると共に、その可動範囲内の任意の位置にキャリッジ31を停止させる。
【0026】
さらに、印刷装置10は、図1に示すように、キャップユニット50を備えている。キャップユニット50は、メンテナンス領域15bに配置されており、キャップ60、及び、キャップ60を保持する保持部75(図4)を有するホルダ70を備えている。キャップユニット50によるヘッド11のメンテナンス動作では、ヘッド11はキャリッジ31によりメンテナンス領域15bにおけるキャップ60上に移動される。なお、キャップ60及びホルダ70については後述する。
【0027】
さらに、キャップユニット50は、図4に示すように、キャップ60を変位する変位装置51を備えている。変位装置51は、キャップ60がノズル面12に当接する当接位置と、キャップ60がノズル面12から離間した離間位置との間でキャップ60を変位させるように構成されている。変位装置51は、ホルダ70に接続されており、変位モータ51aを有している。変位装置51は、変位モータ51aの駆動によってホルダ70を上下動することにより、ホルダ70に保持されているキャップ60が当接位置と離間位置との間を移動する。これにより、キャップ60が離間位置から当接位置に上昇してノズル面12に当接する。また、キャップ60が当接位置から離間位置へ下降して、キャップ60がノズル面12から離間する。この変位モータ51aは制御装置40に接続されており、変位モータ51aの駆動は制御装置40により制御されている。
【0028】
図4に示すように、キャップ60は、ゴムなどの弾性材料により形成され、上部が開口した箱形状を有している。キャップ60は、ノズル面12のノズル孔13を被覆可能であって、例えば、矩形平板状の底板61、及び、底板61の外周縁から上方に突出している4枚の矩形平板状の側板62を有している。底板61の上面は底面61aを構成している。底面61aは、矩形状の平坦な面であって、4枚の側板62の内面により周囲が取り囲まれている。4枚の側板62は、矩形の枠形状を成すように互いに接続されている。側板62の下端は底板61に接続されており、側板62の上端はリップ62aを構成している。
【0029】
リップ62aは、例えば側板62の内面に対して直交する断面が山形状であって、側板62の内面及び外面のそれぞれの面から、側板62の内面と外面との中間に向かうほど上方に突出している。リップ62aは、ノズル面12において全てのノズル孔13が配置された範囲の周囲を取り囲むように、ノズル面12に当接する。これにより、全てのノズル孔13がキャップ60により被覆される。また、ノズル面12はキャップ60の底面61aと対向し、ノズル面12とキャップ60の内面との間にキャップ空間が形成される。
【0030】
キャップ60は第1導入孔63を有しており、第1導入孔63はキャップ60の底板61を上下方向に貫通している。第1導入孔63にはホルダ70の導入管部71が挿入されている。この導入管部71は、ホルダ70の保持部75の底板であるホルダ底板75aを貫通し、ホルダ底板75aから上方に突出する上部、及び、ホルダ底板75aから下方に突出する下部を有している。導入管部71の上部は第1導入孔63を通過し、キャップ60の底面61aよりも上方に延びている。この導入管部71の上端開口は、洗浄液などの液体をキャップ60内に導入する導入口71aを構成している。
【0031】
また、導入管部71の下部の下端開口が導入配管52の上端に接続されている。導入配管52には大気開放弁53及び導入弁54が設けられており、導入配管52の下端は液体タンク55に接続されている。大気開放弁53の開閉により導入配管52の大気開放口が開閉され、導入弁54の開閉により導入配管52が液体タンク55に連通又は閉鎖される。大気開放弁53及び導入弁54は制御装置40に接続されており、大気開放弁53及び導入弁54の駆動は制御装置40により制御される。
【0032】
さらに、キャップ60は排出孔64を有しており、排出孔64はキャップ60の底板61を上下方向に貫通している。排出孔64にはホルダ70の排出管部72が挿入されている。この排出管部72は、ホルダ70の保持部75のホルダ底板75aを貫通し、ホルダ底板75aから上方に突出する上部、及び、ホルダ底板75aから下方に突出する下部を有している。排出管部72の上部は、排出孔64を通過し、キャップ60の底面61aに開口している。この排出管部72の上端開口は、インク及び洗浄液などの液体をキャップ60内から排出する排出口72aを構成し、導入口71aよりも下方に設けられている。
【0033】
また、排出管部72の下部の下端開口は、排出配管56の上端に接続されている。排出管部72には排出弁57及びポンプ58が設けられており、排出管部72の下端は廃液タンク59に接続されている。排出弁57の開閉により排出管部72が廃液タンク59に連通又は閉鎖される。この排出弁57及びポンプ58は制御装置40に接続されており、排出弁57及びポンプ58の駆動は制御装置40により制御される。
【0034】
さらに、図5に示すように、キャップ60は、底面61aに開口する貫通孔65を有している。貫通孔65は、キャップ60の底板61を上下方向に貫通し、例えば左右方向において底面61aの中央に配置されている。貫通孔65は、前後方向において導入口71aと排出口72aとの間に配置されており、例えば、導入口71a及び排出口72aと共に前後方向に一列に並んでいる。
【0035】
さらに、キャップ60の底面61aに、貫通孔65の周囲においてホルダ70の保持部75のホルダ底板75aに向かって凹む凹部66が設けられている。キャップ60の底面61aから下方に凹んだ凹部66の底は、平坦である。上下方向において、凹部66の底と底面61aとの間の凹部66の寸法Cは、例えば、凹部66の底と底板61の下面との間の底板61の寸法Dよりも小さい。このため、凹部66に起因する底板61の剛性の低下を抑制し、底板61の変形を抑制することができる。
【0036】
凹部66は、第1凹部66a及び第2凹部66bを有している。第1凹部66aの底に貫通孔65が開口しており、第1凹部66aは貫通孔65が開口する位置を含んでいる。また、第2凹部66bは、第1凹部66aに連通し、第1凹部66aから排出口72aに向かって延びており、前後方向において第1凹部66a及び貫通孔65よりも排出口72aに近い。
【0037】
図6に示すように、例えば、上から見た凹部66の形状は、上下方向に延びる貫通孔65の中心軸を通り前後方向に延びる直線に対して、左右対称である。第1凹部66aのうち、前部分が、貫通孔65の中心軸を中心とした半円形状であって、後部分が矩形状である。第2凹部66bは矩形状である。左右方向の寸法は、第1凹部66aの後部と第2凹部66bとで互いに等しい。第2凹部66bは、第1凹部66aの後端に接続されており、第1凹部66aと一体的に形成されており、第1凹部66aの後部分と共に矩形状を成している。
【0038】
図5及び図6に示すように、ホルダ70は、例えば樹脂等により形成されている。ホルダ70の保持部75は、その内部にキャップ60を収容し、キャップ60を保持している。例えば、保持部75は、矩形平板状のホルダ底板75a、及び、ホルダ底板75aの外周縁から上方に突出している4枚の矩形平板状のホルダ側板75bを有している。ホルダ底板75aの上面は、キャップ60の底板61の下面に対向している。4枚のホルダ側板75bは、矩形の枠形状を成すように互いに接続されており、ホルダ底板75a上に配置されたキャップ60の側板62に対して間隔を空けてその周囲を取り囲んでいる。ホルダ70に保持されたキャップ60のリップ62aは、ホルダ側板75bの上端よりも上に配置されており、ノズル面12に当接可能である。
【0039】
さらに、ホルダ70は、キャップ60を保持部75に留める留め部73を有している。留め部73は、保持部75と一体的に形成されている。このため、キャップユニット50の部品点数が少なく、キャップユニット50の組み立て作業などを容易に行うことができる。また、留め部73は、例えば、上下方向に延びる中心軸を有する円柱形状であって、保持部75のホルダ底板75aの上面から上方に突出している。留め部73は、軸部分73a、小径部分73b及び頭部分73cを有している。上下方向において軸部分73a、小径部分73b及び頭部分73cがこの順でホルダ底板75a側から設けられている。
【0040】
キャップ60がホルダ70に取り付けられた状態において、軸部分73aはキャップ60の貫通孔65に配置される。この軸部分73aの直径は、貫通孔65を形成するキャップ60の内周面の直径と同じ又は少し小さく、軸部分73aの外周面はキャップ60の内周面に当接している。これにより、キャップ60が軸部分73aにより係止され、軸部分73aの径方向においてキャップ60の移動が規制されるため、キャップ60がホルダ70に留められる。
【0041】
小径部分73b及び頭部分73cは、凹部66の底よりも上に位置している。上下方向において頭部分73cの上端はキャップ60の底面61aと同じ高さ又は少し低く、頭部分73cは底面61aよりも上方に突出せずに、小径部分73b及び頭部分73cは凹部66に収容される。
【0042】
図8Bに示すように、小径部分73bの直径F2は軸部分73aの直径F1及び頭部分73cの直径F3よりも小さい。このため、留め部73の径方向において、小径部分73bの外周面は軸部分73aの外周面及び頭部分73cの外周面から凹んでいる。
【0043】
さらに、図8A及び図8Bに示すように、キャップユニット50は、留め部73にキャップ60を係止する係止具80を備えている。係止具80は、例えば、平板形状であって、円形状の挿通孔81を有している。挿通孔81の直径Eは留め部73の小径部分73bの直径F2よりも大きい。このため、挿通孔81に小径部分73bが挿通される。これにより、係止具80は小径部分73bに係止され、小径部分73bの径方向において係止具80の移動が規制される。
【0044】
上下方向において、係止具80の寸法Gは、軸部分73aと頭部分73cとの間の寸法Hと同じ又は少し小さい。また、挿通孔81の直径Eは留め部73の軸部分73aの直径F1及び頭部分73cの直径F3よりも小さい。このため、係止具80の少なくとも一部が軸部分73aと頭部分73cとの間に嵌められる。これにより、係止具80は頭部分73c及び軸部分73aにより係止され、係止具80の上下方向の移動が規制される。
【0045】
また、係止具80は、キャップ60の凹部66の第1凹部66aに収容され、第1凹部66aの底上に配置される。凹部66において係止具80及び留め部73の周囲に空間が設けられるため、この空間に液体を貯留することができる。この貯留された液体及び後述のフォーム90に吸収された液体など、キャップ60内の液体によりキャップ空間を保湿し、キャップ空間に露出するノズル孔13のインクを保湿することができる。
【0046】
図8Aに示すように、係止具80は、上から見て、略半円状の前部分、及び、矩形状の後部分を有している。上から見て、第1凹部66aの外周縁は、係止具80の外周縁に平行又はほぼ平行になるように、係止具80の外周縁に沿っている。なお、係止具80の形状はこれに限定されず、例えば、上から見て、矩形状及び楕円形状などであってもよい。
【0047】
係止具80には、左右方向に延びる第1切り欠き82、並びに、前後方向に延びる第2切り欠き83及び第3切り欠き84が設けられている。第1切り欠き82、第2切り欠き83、第3切り欠き84及び挿通孔81は係止具80の左右方向における中央に配置されている。第1切り欠き82は、挿通孔81の後方に配置されている。第2切り欠き83は、第1切り欠き82から挿通孔81まで延びている。左右方向における第2切り欠き83の寸法Jは、左右方向の寸法が一定であって、留め部73の小径部分73bの直径F2よりも小さい。
【0048】
また、第3切り欠き84は挿通孔81から前方に延びて、係止具80の前端に開口している。第3切り欠き84の左右方向の寸法は、挿通孔81から係止具80の前端に向かって広がっている。第3切り欠き84の左右方向の寸法のうち、挿通孔81に接続される後端の寸法K1は小径部分73bの直径F2よりも小さく、係止具80の前端における前端開口84aの寸法K2は小径部分73bの直径F2と同じ又はそれよりも大きい。
【0049】
このため、係止具80を留め部73に取り付ける際、留め部73の小径部分73bは、係止具80の前端開口84aから第3切り欠き84に挿入され、第3切り欠き84を後方に通過して挿通孔81に挿入される。この際、係止具80の前端開口84aの寸法K2は小径部分73bの直径F2よりも大きいため、小径部分73bを第3切り欠き84に挿入し易い。また、第3切り欠き84の後端の寸法K1は小径部分73bの直径F2よりも小さいが、第1切り欠き82及び第2切り欠き83によって係止具80が撓み、寸法K1は小径部分73bの直径F2よりも広がるため、小径部分73bを挿通孔81に挿入することができる。
【0050】
このようにして、小径部分73bが挿通孔81に嵌る。この挿通孔81に接続される第2切り欠き83の寸法J及び第3切り欠き84の後端の寸法K1は小径部分73bの直径F2よりも小さいため、小径部分73bの前後方向における移動は規制され、係止具80が留め部73に取り付けられる。
【0051】
また、前後方向において係止具80の寸法は凹部66の寸法よりも小さく、且つ、係止具80が凹部66のうち、第1凹部66aに収容され、第2凹部66bに収容されない。このため、係止具80を留め部73に取り付ける際、ユーザは係止具80の後部を指に挟んで、指を第2凹部66bに挿入してから、係止具80の前端開口84aに第1凹部66aの留め部73の小径部分73bを挿入する。このように、留め部73が配置されている第1凹部66aの後方に第2凹部66bが延びることにより、係止具80を第2凹部66bから第1凹部66aの留め部73に容易に取り付けることができる。
【0052】
さらに、キャップユニット50は、図4及び図7に示すように、洗浄液及びインクなどの液体を吸収可能なフォーム90を備えている。フォーム90は、例えばスポンジなどの多孔質材料に形成されており、矩形の平板状である。上から見て、フォーム90のサイズはキャップ60の側板62により囲まれたサイズと同じ又は少し小さく、フォーム90はキャップ60内に収容される。
【0053】
フォーム90は、キャップ60の底面61a及び留め部73よりも上に配置され、キャップ60の底面61a、留め部73及び凹部66を被覆する。この留め部73の上端はキャップ60の底面61aよりも上方に突出していないため、フォーム90は、キャップ60の底面61a及び留め部73よりも上において平坦に配置され、ノズル面12との間隔が一定である。図5の例では、留め部73の上端はキャップ60の底面61aよりも下方に位置しているため、フォーム90は、留め部73に接触せずにキャップ60の底面61aに接触している。しかしながら、フォーム90は、留め部73に接触していても接触していなくてもよく、また、キャップ60の底面61aに接触していても接触していなくてもよい。
【0054】
また、フォーム90に留め部73及び係止具80を収容するための空間が設けられておらず、このような空間に空気が溜まることを抑制する。また、フォーム90の上面は、ノズル面12に設けられた全てのノズル孔13に対向する。このため、フォーム90に吸収された液体によって、フォーム90に対向するノズル面12におけるノズル孔13のインクを均一に保湿することができる。
【0055】
また、フォーム90には、第2導入孔91が設けられている。第2導入孔91はフォーム90を上下方向に貫通している。第2導入孔91には、第1導入孔63を通過した導入管部71が挿入されている。この導入管部71の上端開口である導入口71aは、フォーム90の上面又はフォーム90内に配置されている。これにより、洗浄液などの液体は、導入口71aからキャップ60内に流入してフォーム90に吸収される。また、第2導入孔91は、フォーム90においてノズル孔13に対向しないように配置されていてもよい。
【0056】
さらに、キャップユニット50は、フォーム90をキャップ60に固定する固定部92を有している。固定部92は、例えば、樹脂製であり、矩形の平板状であって、開口部分93及び係止爪94を有している。フォーム90の上面のうち、固定部92により被覆されている面積は、開口部分93を介して露出している面積よりも小さい。また、係止爪94が、キャップ60の側板62の内面に設けられた凹み62bに挿入されて、固定部92はキャップ60に固定される。このように、固定部92は、フォーム90の上面の大部分を露出させつつ、フォーム90をキャップ60に固定している。これにより、フォーム90はキャップ60から離れてノズル面12に接触することが防止され、また、フォーム90に吸収された液体によりフォーム90の上面に対向するノズル孔13のインクを保湿することができる。
【0057】
<印刷装置の組み立て作業>
このようなキャップユニット50の組み立て作業では、ユーザは、ホルダ70の留め部73にキャップ60の貫通孔65を通過させて、貫通孔65から突出した留め部73の小径部分73bに係止具80を取り付けて、キャップ60をホルダ70に固定する。そして、ユーザは、フォーム90をキャップ60の底面61a及び留め部73よりも上に配置して、キャップ60内に収容する。そして、ユーザは、フォーム90上に固定部92を配置し、固定部92の係止爪94をキャップ60の凹み62bに挿入して、固定部92をキャップ60に固定する。このようにしてユーザはホルダ70の上方からキャップユニット50を容易に組み立てられる。これに対して、ユーザは、この組み立て作業の反対の手順でキャップ60をホルダ70から外せる。これにより、ユーザは、ホルダ70に取り付けられているキャップ60を、これとは別のキャップ60に容易に交換することができる。
【0058】
<印刷装置のメンテナンス動作>
このような印刷装置10のメンテナンス動作のキャッピング動作では、ヘッド11が印刷領域15aからメンテナンス領域15bにキャリッジ31により移動し、メンテナンス領域15bにおけるキャップ60上に配置される。そして、導入弁54及び排出弁57が閉鎖され、大気開放弁53が開放される。この導入配管52の大気開口が開放された状態で、キャップ60は、離間位置から当接位置に変位装置51により移動し、キャップ60のリップ62aがヘッド11のノズル面12に当接する。ここで、キャップ60はノズル面12における全てのノズル孔13を被覆し、キャップ60の内面とノズル面12との間にキャップ空間が形成される。
【0059】
そして、キャッピング動作後のパージ動作では、導入弁54及び大気開放弁53が閉鎖され、排出弁57が開放される。この排出配管56が開放された状態で、ポンプ58が駆動すると、キャップ空間が負圧になり、ノズル孔13から泡及び増粘インクなどがインクと共にキャップ60内に吐出され、フォーム90に吸収され、キャップ60の凹部66及び底面61a上に溜まる。
【0060】
そして、パージ動作後の空吸引動作では、導入弁54が閉鎖され、排出弁57及び大気開放弁53が開放される。この排出配管56が廃液タンク59に連通され、導入配管52の大気開口が開放された状態で、ポンプ58が駆動する。これにより、空気は、大気開口から導入配管52を通り導入口71aを介してキャップ空間に流入すると共に、キャップ空間から排出口72aを介して排出される。この気流によりキャップ60の底面61a上のインクなどが排出口72aから排出配管56を通り廃液タンク59に排出される。
【0061】
そして、空吸引動作後の洗浄動作では、大気開放弁53が閉鎖され、排出弁57及び導入弁54が開放される。この導入配管52が液体タンク55に連通された状態により、洗浄液などの液体が液体タンク55から導入配管52を通り導入口71aを介してキャップ空間に導入される。これにより、キャップ60の内面が洗浄される。また、液体がノズル面12まで溜められると、液体によりノズル面12が洗浄される。それから、導入弁54が閉鎖され、排出弁57及び大気開放弁53が開放される。この排出配管56が廃液タンク59に連通され、導入配管52の大気開口が開放された状態で、ポンプ58が駆動すると、液体が排出口72aから排出配管56を通り廃液タンク59に排出される。この残ったフォーム90内の液体及び凹部66に溜まった液体によってキャップ空間及びノズル孔13のインクを保湿することができる。
【0062】
<印刷装置の作用効果>
このように、印刷装置10では、キャップ60が留め部73により保持部75に留められている。これにより、ノズル面12を被覆したキャップ60のキャップ空間がポンプ58により吸引されて負圧になっても、キャップ60が変形してホルダ70から浮いてしまうことを抑制することができるため、キャップ60の底面61a及び底面61a上に配置されたフォーム90がノズル面12に接近することが抑制される。よって、フォーム90がノズル面12に接触することが抑制され、フォーム90に吸収された液体がノズル面12に付着することが抑制される。
【0063】
また、印刷装置10では、キャップ60の貫通孔65に留め部73を通過させて、その貫通孔65から突出した留め部73に係止具80を取り付けることにより、ユーザはキャップ60をホルダ70に簡単に固定することができる。さらに、この留め部73及び係止具80はホルダ70のホルダ底板75aよりも上方に配置されているため、ユーザは、ホルダ70の上部開口から貫通孔65への留め部73の通過及び留め部73への係止具80の取り付けを容易に行うことができる。
【0064】
さらに、印刷装置10では、フォーム90が底面61a及び留め部73よりも上に配置されていることにより、ノズル面12におけるノズル孔13はフォーム90に対向する。このように、留め部73とノズル孔13との間にはフォーム90が介在するため、フォーム90に吸収された液体によってノズル面12における複数のノズル孔13の液体を均一に保湿することができる。
【0065】
また、印刷装置10では、貫通孔65の周囲において底面61aから保持部75に向かって凹み且つ係止具80が収容される凹部66が底板61に形成されている。これによれば、貫通孔65から突出する留め部73に係止具80が取り付けられ、その係止具80が貫通孔65の周囲の凹部66に収容される。この凹部66は底面61aから下方に凹むことにより、底面61a上のフォーム90が係止具80及び留め部73によってノズル面12に接近することが抑制される。このため、フォーム90のノズル面12の接触が抑制されつつ、ノズル面12に開口する複数のノズル孔13のインクをフォーム90に吸収された液体によって均一に保湿することができる。
【0066】
また、印刷装置10は、キャップ60に設けられ、且つ、キャップ60内に液体を導入する導入口71aと、キャップ60に設けられ、且つ、キャップ60内から液体を排出する排出口72aと、を備えている。この貫通孔65は導入口71aと排出口72aとの間に配置されている。これによれば、導入口71aから導入された液体が貫通孔65を通過して排出口72aへ流れるため、貫通孔65とこの貫通孔65を通過した留め部73との間に空気が溜まり難い。よって、このような空気によって貫通孔65に対向するノズル孔13のインクが乾燥することを抑制し、ノズル孔13を均一に保湿することができる。さらに、導入口71aと排出口72aとの間に凹部66が配置されることにより、導入口71aから排出口72aへ流れる液体が凹部66に溜まり易い。この凹部66に溜まった液体によってキャップ空間及びこのキャップ空間に露出するノズル孔13のインクを保湿することができる。
【0067】
また、印刷装置10は、貫通孔65の周囲において底面61aから保持部75に向かって凹み且つ係止具80が収容される凹部66が底板61に形成されている。凹部66は、貫通孔65が開口する位置を含む第1凹部66aと、第1凹部66aに連通すると共に第1凹部66aに対して排出口72a側に位置する第2凹部66bとを有している。これによれば、ユーザは第2凹部66bから第1凹部66aに係止具80を挿入することにより、第1凹部66aにおいて留め部73に係止具80を容易に取り付けることができる。また、フォーム90では導入口71aの近傍よりも排出口72aの近傍で液体が排出され易いのに対し、排出口72aに近い第2凹部66bに溜まった液体がフォーム90における排出口72aの近傍に供給される。このため、フォーム90において液体が一様に吸収され、このフォーム90に対向する複数のノズル孔13を均一に保湿することができる。
【0068】
<変形例>
なお、印刷装置10は、図6及び図7に示すように、ノズル孔13から吐出されたインクを検知する検知部76を備えていてもよい。検知部76は、例えば、金属製のピン76aを有している。また、キャップ60は第1孔部67を有しており、第1孔部67はキャップ60の底板61を上下方向に貫通している。フォーム90は第2孔部95を有しており、第2孔部95はフォーム90を上下方向に貫通している。
【0069】
ピン76aは、ホルダ70のホルダ底板75aに固定されており、ホルダ底板75a(図4)から上方に突出して第1孔部67及び第2孔部95に圧入されている。ピン76aの上端は、フォーム90の上面から露出し、ノズル孔13(図4)が設けられたノズル面12(図4)に対向している。また、ピン76aは、制御装置40(図4)に接続されており、ノズル孔13から吐出されたインクを検知すると、検知信号を制御装置40に出力する。制御装置40は、その検知信号の有無によってノズル孔13からのインクの吐出の有無を判定する。なお、図6及び図7の例ではピン76aが導入管部71の右に配置されているが、ピン76aの位置はこれに限定されない。
【0070】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【符号の説明】
【0071】
10 :印刷装置
11 :ヘッド
12 :ノズル面
13 :ノズル孔
60 :キャップ
61 :底板
61a :底面
65 :貫通孔
66 :凹部
66a :第1凹部
66b :第2凹部
70 :ホルダ
71a :導入口
72a :排出口
73 :留め部
75 :保持部
80 :係止具
90 :フォーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8