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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135659
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/38 20060101AFI20240927BHJP
   H01P 5/18 20060101ALI20240927BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01Q1/38
H01P5/18 F
H01Q1/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046452
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 英人
(72)【発明者】
【氏名】水野 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】林 宏明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 淳一
【テーマコード(参考)】
5J046
【Fターム(参考)】
5J046AB06
5J046AB07
5J046AB09
5J046AB11
5J046AB13
5J046PA07
5J046UA02
5J046UA03
(57)【要約】
【課題】アンテナを利用して回路基板間で通信を行うアンテナ装置において、複数のチャンネル間での混信を抑制し、安定した通信を実現可能な技術を提供する。
【解決手段】アンテナ装置は、第1回路基板と、第1回路基板に対向するように配置されている第2回路基板と、第1回路基板の主面上に設けられている複数の送信アンテナと、第2回路基板の主面上に設けられている複数の受信アンテナと、を備えている。複数の送信アンテナと複数の受信アンテナは、送信アンテナとそれに対応する受信アンテナの組み合わせが第1回路基板と第2回路基板の間で対向するように配置されている。送信アンテナとそれに対応する受信アンテナの間の距離は、送信アンテナとそれに隣り合ういずれの送信アンテナの間の距離よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回路基板と、
前記第1回路基板に対向するように配置されている第2回路基板と、
前記第1回路基板の主面のうち前記第2回路基板に対向する側の主面上に設けられている複数の送信アンテナと、
前記第2回路基板の主面のうち前記第1回路基板に対向する側の主面上に設けられている複数の受信アンテナと、を備えており、
前記複数の送信アンテナと前記複数の受信アンテナは、前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの組み合わせが前記第1回路基板と前記第2回路基板の間で対向するように配置されており、
前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの間の距離は、前記送信アンテナとそれに隣り合ういずれの送信アンテナの間の距離よりも小さい、アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1回路基板の主面のうち前記複数の送信アンテナが設けられている主面上に設けられており、前記複数の送信アンテナの各々を取り囲むように配置されている第1GND板、をさらに備えている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1GND板には、隣り合う送信アンテナの間の少なくとも一部の領域にスリットが形成されている、請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1GND板は、前記スリットによって分割されている、請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
分割された前記第1GND板の間を接続する回路素子、をさらに備えており、
前記回路素子が、インダクタ又はローパスフィルタである、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第2回路基板の主面のうち前記複数の受信アンテナが設けられている主面上に設けられており、前記複数の受信アンテナの各々を取り囲むように配置されている第2GND板、をさらに備えている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第2GND板には、隣り合う送信アンテナの間の少なくとも一部の領域にスリットが形成されている、請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記第2GND板は、前記スリットによって分割されている、請求項7に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
分割された前記第2GND板の間を接続する回路素子、をさらに備えており、
前記回路素子が、インダクタ又はローパスフィルタである、請求項8に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの間の距離は、前記送信アンテナから放射される電波の波長の1/4以下である、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
前記送信アンテナは、モノポール型又はダイポール型のアンテナである、請求項10に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アンテナを利用して回路基板間で通信を行うように構成されたアンテナ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-327568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板間において同時に複数の信号を伝達するためには、一方の回路基板に複数の送信アンテナを形成し、他方の回路基板に複数の受信アンテナを形成し、対応する送信アンテナと受信アンテナの組み合わせごとにチャンネルを割り当てることが考えられる。このような場合に、複数のチャンネル間での混信を抑制し、安定した通信を実現可能な技術が必要である。本明細書は、アンテナを利用して回路基板間で通信を行うアンテナ装置において、複数のチャンネル間での混信を抑制し、安定した通信を実現可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示するアンテナ装置の一実施形態は、第1回路基板と、前記第1回路基板に対向するように配置されている第2回路基板と、前記第1回路基板の主面のうち前記第2回路基板に対向する側の主面上に設けられている複数の送信アンテナと、前記第2回路基板の主面のうち前記第1回路基板に対向する側の主面上に設けられている複数の受信アンテナと、を備えていてもよい。前記複数の送信アンテナと前記複数の受信アンテナは、前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの組み合わせが前記第1回路基板と前記第2回路基板の間で対向するように配置されていてもよい。前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの間の距離は、前記送信アンテナとそれに隣り合ういずれの送信アンテナの間の距離よりも小さくてもよい。
【0006】
上記アンテナ装置によると、前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの間の距離が相対的に短いので、前記送信アンテナからそれに対応する前記受信アンテナ以外の前記受信アンテナへの電波の伝搬量が相対的に低下する。このため、前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの間の指向性が相対的に高まる。上記アンテナ装置によると、複数のチャンネル間での混信を抑制し、安定した通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】アンテナ装置の一実施形態の断面図であり、図2のI-I線に対応した断面図を模式的に示す図である。
図2図1のアンテナ装置が備える第1回路基板の平面図であって、第1回路基板の主面のうち送信アンテナが設けられている主面を平面とする平面図である。
図3図1のアンテナ装置の変形例が備える第1回路基板の平面図であって、第1回路基板の主面のうち送信アンテナが設けられている主面を平面とする平面図である。
図4図1のアンテナ装置の変形例が備える第1回路基板の平面図であって、第1回路基板の主面のうち送信アンテナが設けられている主面を平面とする平面図である。
図5】(A)図4の第1GND板間に接続されている回路素子の一例を示す回路図である。(B)図4の第1GND板間に接続されている回路素子の他の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示されるように、アンテナ装置1は、第1回路基板10及び第2回路基板20を備えている。第1回路基板10及び第2回路基板20は、図示省略の筐体に収容されている。このようなアンテナ装置1は、特に限定されるものではないが、例えば樹脂隔壁を介した基板間の通信に用いられてもよい。
【0009】
第1回路基板10及び第2回路基板20の各々は、平板状の形態を有しており、任意の材質の基板で構成され得る。第1回路基板10及び第2回路基板20の各々は、特に限定されるものではないが、例えばガラス繊維とエポキシ樹脂の複合材料で構成された回路基板(即ち、FR-4)であってもよい。第1回路基板10及び第2回路基板20の各々の厚みは、任意の厚みに設定することができる。第1回路基板10と第2回路基板20は、平行に並んでおり、相互に対向するように配置されている。第1回路基板10と第2回路基板20は、例えば数mm~数10mmの間隔を置いて相互に対向するように配置されていてもよい。第1回路基板10と第2回路基板20の間は、空気層であってもよいし、第1回路基板10と第2回路基板20を封止する樹脂であってもよい。樹脂は、例えばエポキシ樹脂であってもよい。第1回路基板10及び第2回路基板20の各々には各種の電子回路(図示省略)が搭載されており、第1回路基板10に搭載される電子回路と第2回路基板20に搭載される電子回路は異なる動作電圧で動くように構成されている。このため、第1回路基板10の電子回路と第2回路基板20の電子回路の間において安全に通信を行うために、アンテナ装置1が設けられている。
【0010】
図1及び図2に示されるように、第1回路基板10の主面のうち第2回路基板20に対向する側の主面上に複数の送信アンテナ12が設けられている。この例では、4つの送信アンテナ12が設けられているが、これより少ない数の送信アンテナ12が設けられていてもよく、これより多い数の送信アンテナ12が設けられていてもよい。複数の送信アンテナ12の各々は、例えば印刷技術又はエッチング技術を利用して、第1回路基板10の主面上に金属膜を成膜することで形成されている。複数の送信アンテナ12の各々は、特に限定されるものではないが、例えば銅又はアルミニウムを成膜して形成されてもよい。複数の送信アンテナ12の各々は、給電部14が接続される給電点12aから開放端12bまで伸びており、ミアンダパターンを有するモノポール型のアンテナで構成されている。複数の送信アンテナ12の各々の給電部14は、対応する送信回路(図示省略)に接続されている。なお、複数の送信アンテナ12の各々は、モノポール型のアンテナに代えて、ダイポール型のアンテナで構成されていてもよい。また、複数の送信アンテナ12の各々は、このようなパターンアンテナに代えて、第1回路基板10の主面上に搭載されるチップアンテナであってもよい。複数の送信アンテナ12は、各々が共通構造のアンテナであってもよいし、一部が異なる構造のアンテナであってもよい。代表的なアンテナの種類としては、ミアンダ型、ループ型、スパイラル型、ヘリカル型、パッチ型、逆F型、板状逆F型などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
第1回路基板10の主面のうち複数の送信アンテナ12が設けられた主面上に第1GND板16が設けられている。第1GND板16は、例えば印刷技術又はエッチング技術を利用して、第1回路基板10の主面上に金属膜を成膜することで形成されている。第1GND板16は、特に限定されるものではないが、例えば銅又はアルミニウムを成膜して形成されてもよい。第1GND板16は、複数の送信アンテナ12の各々の周囲を囲むように設けられている。第1GND板16は、複数の送信アンテナ12の各々において鏡像効果を発揮するためのGNDとして機能することができる。
【0012】
第2回路基板20の主面のうち第1回路基板10に対向する側の主面上に複数の受信アンテナ22が設けられている。複数の受信アンテナ22の各々は、第1回路基板10に設けられている送信アンテナ12と同一構造のアンテナであってもよい。即ち、受信アンテナ22の各々は、例えばミアンダパターンを有するモノポール型のアンテナで構成されていてもよい。なお、受信アンテナ22の各々は、送信アンテナ12とは異なる構造のアンテナであってもよい。複数の受信アンテナ22の各々の給電部は、対応する受信回路(図示省略)に接続されている。第1回路基板10と同様に、第2回路基板20の主面のうち複数の受信アンテナ22が設けられた主面上に第2GND板26が設けられている。第2GND板26も、複数の受信アンテナ22の各々の周囲を囲むように設けられている。
【0013】
複数の送信アンテナ12と複数の受信アンテナ22は、送信アンテナ12とそれに対応する受信アンテナ22の組み合わせが第1回路基板10と第2回路基板20の間で対向するように配置されている。アンテナ装置1では、対応する送信アンテナ12と受信アンテナ22の組み合わせの間で独立して通信を行うことができる。このようにアンテナ装置1では、対応する送信アンテナ12と受信アンテナ22の組み合わせごとにチャンネルが割り当てられており、この例では4つのチャネルch1~ch4を介して第1回路基板10の電子回路と第2回路基板20の電子回路の間において通信を行うことができる。
【0014】
第1回路基板10の送信アンテナ12と第2回路基板20の受信アンテナ22は、GHzオーダーの周波数である電波を利用して通信を行うように構成されている。上記したように、第1回路基板10と第2回路基板20の間の距離、即ち、送信アンテナ12と受信アンテナ22の間の距離d1は、例えば数mm~数10mmである。具体的には、送信アンテナ12と受信アンテナ22の間の距離d1は、送信アンテナ12から放射される通信用の電波の波長(λ)の1/4以下であり、より好ましくはλ/(2π)以下である。
【0015】
送信アンテナ12と受信アンテナ22の間の距離d1がこのような近距離に設定されていると、送信アンテナ12と受信アンテナ22の間の領域は、準静電界が支配的な概ね近傍界の領域となる。モノポール型である送信アンテナ12は、電界を放射する放射源である。このため、送信アンテナ12と受信アンテナ22は、送信アンテナ12から放射される電界を利用して通信を行うことができる。
【0016】
図2に示されるように、チャンネルch1に対応する送信アンテナ12は、チャネルch2に対応する送信アンテナ12との間の距離がd2であり、チャネルch3に対応する送信アンテナ12との間の距離がd3であり、チャネルch4に対応する送信アンテナ12との間の距離がd4である。ここで、第1GND板16が除去された範囲を送信アンテナ12の形成範囲としたときに、隣り合う送信アンテナ12間の距離は、隣り合う送信アンテナ12の形成範囲間の最短距離として定義され得る。この例に代えて、隣り合う送信アンテナ12間の距離は、送信アンテナ12の幾何学的中心間の距離であってもよく、送信アンテナ12の給電点間の距離であってもよい。
【0017】
アンテナ装置1では、送信アンテナ12とそれに対応する受信アンテナ22の間の距離d1は、送信アンテナ12とそれに隣り合ういずれの送信アンテナ12の間の距離d2,d3,d4よりも小さい。特に限定されるものではないが、この例ではd1が約10mmであり、d2が約35mmであり、d3が約30mmであり、d4が約47mmである。このようなアンテナ装置1によると、送信アンテナ12とそれに対応する受信アンテナ22の間の距離が相対的に短いので、送信アンテナ12からそれに対応する受信アンテナ22以外の受信アンテナ22、即ち、対応する受信アンテナ22に隣り合う非対応の受信アンテナ22への電波の伝搬量が相対的に低下する。このため、送信アンテナ12とそれに対応する受信アンテナ22の間の指向性が相対的に高まる。アンテナ装置1によると、複数のチャンネルch1~ch4間での混信を抑制し、安定した通信を行うことができる。
【0018】
なお、距離d2,d3,d4は、距離d1の10倍以下であってもよい。換言すると、距離d2,d3,d4は、送信アンテナ12から放射される通信用の電波の波長(λ)の2.5倍以下であってもよい。距離d2,d3,d4が大きくなると、完全に遠方界の領域となり、定在波の発生が懸念される。このため、距離d2,d3,d4を上記のように設定することで、複数のチャンネルch1~ch4間での混信を抑制し、安定した通信を行うことができる。
【0019】
図3に示すように、第1GND板16は、隣り合う送信アンテナ12の間に形成されたスリット18によって分割されていてもよい。このように、第1GND板16は島状に分割された複数の第1GND板16で構成されており、分割された複数の第1GND板16の各々が対応する送信アンテナ12の周囲に形成されている。隣り合う第1GND板16間の方向で計測されるスリット18の幅W18は、特に限定されるものではないが、例えば数mmであってもよい。この例では、スリット18の幅W18は、約4mmである。なお、第2回路基板20の第2GND板26も同様に、隣り合う受信アンテナ22の間に形成されたスリットによって分割され、分割された複数の第2GND板26の各々が対応する受信アンテナ22の周囲に形成されていてもよい。
【0020】
送信アンテナ12から放射された電波の一部は、第1回路基板10と第2回路基板20の間においてGND板16,26で反射を繰り返しながら横方向に伝搬する。第1回路基板10にスリット18(第2回路基板20のスリットも同様である)が設けられているので、横方向に伝搬した電波の一部はそのスリットを介してリークする。このため、隣り合うGND板16,26の間の一部にスリットが形成されていると、送信アンテナ12から非対応の受信アンテナ22への電波の伝搬量がさらに低下するので、送信アンテナ12とそれに対応する受信アンテナ22の間の指向性をさらに高めることができる。なお、隣り合うGND板16,26の間の一部にスリットが形成されていなくてもよい。即ち、隣り合うGND板16,26の間の一部が接続されていてもよい。この場合も、隣り合うGND板16,26の間の少なくとも一部にスリットが形成されているので、横方向に伝搬した電波の一部がスリットを介してリークすることができる。
【0021】
分割された複数の第1GND板16の各々の面積が(λ/4)2以下であり、より好ましくは(λ/(2π))2以下であってもよい。分割された複数の第1GND板16の各々の面積が大きくなると、遠方界の電波が発生しやすくなり、定在波を考慮しなければならない。分割された複数の第1GND板16の各々の面積が上記範囲にあると、遠方界の電波の発生が抑制される。なお、分割された複数の第1GND板16の各々の形状は、特に限定されるものではなく、円形、多角形又は不定形であってもよい。
【0022】
図4に示されるように、チャネル1に対応した第1GND板16とチャネル2に対応した第1GND板16を接続する回路素子30が設けられていてもよい。このような回路素子30は、図5(A)に示すインダクタであってもよく、図5(B)に示すLCローパスフィルタであってもよい。この種の回路素子30は、送信アンテナ12から放射される通信用の電波に対応した高周波数帯域において第1GND板16間を電気的に分離する。一方、この種の回路素子30は、送信アンテナ12が接続される送信回路が動作する低周波数帯域において第1GND板16間を電気的に接続する。このため、送信アンテナ12が接続される送信回路から見た第1GND板16の実効的な面積が大きくなる。これにより、アンテナ装置1の耐ノイズ性が向上する。なお、この種の回路素子30は、チャネル1に対応した第1GND板16とチャネル2に対応した第1GND板16の間だけでなく、分割された複数の送信アンテナ12の各々の間に設けられていてもよい。また、この種の回路素子30は、第2回路基板20の分割された第2GND板26の間にも同様に設けられていてもよい。
【0023】
以下、本明細書で開示される技術の特徴を整理する。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0024】
(特徴1)
第1回路基板と、
前記第1回路基板に対向するように配置されている第2回路基板と、
前記第1回路基板の主面のうち前記第2回路基板に対向する側の主面上に設けられている複数の送信アンテナと、
前記第2回路基板の主面のうち前記第1回路基板に対向する側の主面上に設けられている複数の受信アンテナと、を備えており、
前記複数の送信アンテナと前記複数の受信アンテナは、前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの組み合わせが前記第1回路基板と前記第2回路基板の間で対向するように配置されており、
前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの間の距離は、前記送信アンテナとそれに隣り合ういずれの送信アンテナの間の距離よりも小さい、アンテナ装置。
【0025】
(特徴2)
前記第1回路基板の主面のうち前記複数の送信アンテナが設けられている主面上に設けられており、前記複数の送信アンテナの各々を取り囲むように配置されている第1GND板、をさらに備えている、特徴1に記載のアンテナ装置。
【0026】
(特徴3)
前記第1GND板には、隣り合う送信アンテナの間の少なくとも一部の領域にスリットが形成されている、特徴2に記載のアンテナ装置。
【0027】
(特徴4)
前記第1GND板は、前記スリットによって分割されている、特徴3に記載のアンテナ装置。
【0028】
(特徴5)
分割された前記第1GND板の間を接続する回路素子、をさらに備えており、
前記回路素子が、インダクタ又はローパスフィルタである、特徴4に記載のアンテナ装置。
【0029】
(特徴6)
前記第2回路基板の主面のうち前記複数の受信アンテナが設けられている主面上に設けられており、前記複数の受信アンテナの各々を取り囲むように配置されている第2GND板、をさらに備えている、特徴1~4のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【0030】
(特徴7)
前記第2GND板には、隣り合う受信アンテナの間の少なくとも一部の領域にスリットが形成されている、特徴6に記載のアンテナ装置。
【0031】
(特徴8)
前記第2GND板は、前記スリットによって分割されている、特徴7に記載のアンテナ装置。
【0032】
(特徴9)
分割された前記第2GND板の間を接続する回路素子、をさらに備えており、
前記回路素子が、インダクタ又はローパスフィルタである、特徴8に記載のアンテナ装置。
【0033】
(特徴10)
前記送信アンテナとそれに対応する前記受信アンテナの間の距離は、前記送信アンテナから放射される電波の波長の1/4以下である、特徴1~9のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
【0034】
(特徴11)
前記送信アンテナは、モノポール型又はダイポール型のアンテナである、特徴10に記載のアンテナ装置。
【0035】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0036】
1:アンテナ装置、 10:第1回路基板、 12:送信アンテナ、 16:第1GND板、 20:第2回路基板、 22:受信アンテナ、 26:第2GND板
図1
図2
図3
図4
図5