(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135681
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】キャップユニット及びキャップ付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/06 20060101AFI20240927BHJP
A47G 21/18 20060101ALI20240927BHJP
A47J 41/02 20060101ALI20240927BHJP
A47J 41/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65D47/06 110
A47G21/18
A47J41/02 104B
A47J41/00 304B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046483
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】591261602
【氏名又は名称】サーモス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 雄志
【テーマコード(参考)】
3B115
3E084
4B002
【Fターム(参考)】
3B115AA15
3B115AA22
3B115BA18
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA22
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084DC05
3E084EB02
3E084FB02
3E084FB03
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA05
3E084HC03
3E084HD04
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC06
4B002AA02
4B002BA07
4B002CA03
4B002CA15
4B002CA23
4B002CA32
(57)【要約】
【課題】簡便な構造を有しつつ、洗浄が容易且つ繰り返し使用が可能なストロー付きのキャップユニットを提供する。
【解決手段】上部が開口した容器本体2に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニット1であって、容器本体2の上部開口部2dを閉塞した状態で取り付けられるキャップ本体8と、キャップ本体8の上部に設けられた貫通孔10を貫通した状態で取り付けられるストロー部材11と、ストロー部材11の外周部に設けられたリング状の係合フランジ部12とを備え、キャップ本体8は、貫通孔10の周囲に係合フランジ部12が係合されるフランジ受部18を有する。ストロー部材11は、フランジ受部18に係合フランジ部12が係合された状態で、キャップ本体8に対して傾けることが可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞した状態で取り付けられるキャップ本体と、
前記キャップ本体の上部に設けられた貫通孔を貫通した状態で取り付けられるストロー部材と、
前記ストロー部材の外周部に設けられたリング状の係合フランジ部とを備え、
前記キャップ本体は、前記貫通孔の周囲に前記係合フランジ部が係合されるフランジ受部を有することを特徴とするキャップユニット。
【請求項2】
前記フランジ受部に前記係合フランジ部が係合された状態で、前記キャップ本体に対して前記ストロー部材を傾けることが可能であることを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項3】
前記係合フランジ部に取り付けられた状態で、前記貫通孔を閉塞する弾性シール部材を備えることを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項4】
前記弾性シール部材は、前記フランジ受部に前記係合フランジ部が係合された状態において、前記フランジ受部における前記貫通孔の周囲と密着する弾性変形部をすることを特徴とする請求項3に記載のキャップユニット。
【請求項5】
前記フランジ受部は、前記貫通孔の周囲に同心円状に並ぶと共に、その内周側よりも外周側が高くなる複数の段差面を有し、
前記弾性変形部は、前記複数の段差面の各々と密着するように、前記ストロー部材の周囲に同心円状に複数並んで設けられていることを特徴とする請求項4に記載のキャップユニット。
【請求項6】
前記フランジ受部は、前記貫通孔の周囲を囲むリング状のリブ壁により形成され、
前記弾性シール部材は、前記リブ壁が嵌合されるリング状の溝部を有することを特徴とする請求項3に記載のキャップユニット。
【請求項7】
前記キャップ本体の上部を開閉する蓋体と、
前記蓋体の内側に取り付けられた蓋パッキンとを備え、
前記蓋体が前記キャップ本体の上部を閉塞した状態において、前記蓋パッキンが前記ストロー部材の先端を閉塞することを特徴とする請求項1に記載のキャップユニット。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
【請求項9】
前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする請求項8に記載のキャップ付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップユニット及びキャップ付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ストローは、その内側を洗浄するといったことが難しく、衛生面の問題から再利用されずに使い捨てが主流となっている。
【0003】
近年、プラスチックごみによる海洋汚染が世界的に問題となっている。その中でも、プラスチック製ストローの使い捨てが汚染の一因であるとして注目を集めている。
【0004】
このため、プラスチック製のストローの使用を廃止する動きや、紙製のストローなどに材質を変更する動きなどが出始めている。
【0005】
また、従来より、上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるストロー付きのキャップユニットを備えたキャップ付き容器がある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【0006】
具体的に、ストロー付きのキャップユニットは、容器本体の上部開口部を閉塞すると共に、可撓性を有するストローが上部から突出して設けられたキャップ本体と、キャップ本体にヒンジ部を介して回動自在に取り付けられた蓋体と、蓋体をキャップ本体に対して固定する蓋ロック機構とを備えている。
【0007】
このようなストロー付きのキャップユニットでは、蓋ロック機構により蓋体がキャップ本体に対して固定されたときに、蓋体の内側にストローが折り曲げられた状態で収容される。また、蓋体の内側に設けられた突起部がストローに当接し、このストローを押し潰すことによって、ストローの通液路を閉塞する。
【0008】
一方、蓋ロック機構による蓋体の固定を解除することによって、蓋体を開方向に回動させながら、ストローが折り曲げられた状態から元の状態へと弾性復帰する。これにより、ストローを通して容器本体内の飲料を飲むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4524681号公報
【特許文献2】特許第5662536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上述したストロー付きのキャップユニットでは、蓋体の内側にストローが折り曲げられた状態で収容される構造のため、複雑な構造となるだけでなく、部品点数の増加により製造コストも嵩むことになる。
【0011】
また、上述したストロー付きのキャップユニットでは、ストローの内側を洗浄するといったことが難しく、衛生面の問題からも洗浄が容易なストローの使用が望まれる。
【0012】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、簡便な構造を有しつつ、洗浄が容易且つ繰り返し使用が可能なストロー付きのキャップユニット、並びにそのようなキャップユニットを備えることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 上部が開口した容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップユニットであって、
前記容器本体の上部開口部を閉塞した状態で取り付けられるキャップ本体と、
前記キャップ本体の上部に設けられた貫通孔を貫通した状態で取り付けられるストロー部材と、
前記ストロー部材の外周部に設けられたリング状の係合フランジ部とを備え、
前記キャップ本体は、前記貫通孔の周囲に前記係合フランジ部が係合されるフランジ受部を有することを特徴とするキャップユニット。
〔2〕 前記フランジ受部に前記係合フランジ部が係合された状態で、前記キャップ本体に対して前記ストロー部材を傾けることが可能であることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔3〕 前記係合フランジ部に取り付けられた状態で、前記貫通孔を閉塞する弾性シール部材を備えることを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔4〕 前記弾性シール部材は、前記フランジ受部に前記係合フランジ部が係合された状態において、前記フランジ受部における前記貫通孔の周囲と密着する弾性変形部をすることを特徴とする前記〔3〕に記載のキャップユニット。
〔5〕 前記フランジ受部は、前記貫通孔の周囲に同心円状に並ぶと共に、その内周側よりも外周側が高くなる複数の段差面を有し、
前記弾性変形部は、前記複数の段差面の各々と密着するように、前記ストロー部材の周囲に同心円状に複数並んで設けられていることを特徴とする前記〔4〕に記載のキャップユニット。
〔6〕 前記フランジ受部は、前記貫通孔の周囲を囲むリング状のリブ壁により形成され、
前記弾性シール部材は、前記リブ壁が嵌合されるリング状の溝部を有することを特徴とする前記〔3〕に記載のキャップユニット。
〔7〕 前記キャップ本体の上部を開閉する蓋体と、
前記蓋体の内側に取り付けられた蓋パッキンとを備え、
前記蓋体が前記キャップ本体の上部を閉塞した状態において、前記蓋パッキンが前記ストロー部材の先端を閉塞することを特徴とする前記〔1〕に記載のキャップユニット。
〔8〕 前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載のキャップユニットと、
前記キャップユニットが取り付けられた容器本体とを備えるキャップ付き容器。
〔9〕 前記容器本体は、真空断熱構造を有することを特徴とする前記〔8〕に記載のキャップ付き容器。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、簡便な構造を有しつつ、洗浄が容易且つ繰り返し使用が可能なストロー付きのキャップユニット、並びにそのようなキャップユニットを備えることによって、使い勝手の更なる向上を可能としたキャップ付き容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るキャップユニットを備えたキャップ付き容器の外観を示す斜視図である。
【
図2】キャップ付き容器が備えるキャップユニットの構成を示す断面図である。
【
図3】キャップ付き容器が備えるキャップユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図4】キャップ付き容器が備えるキャップユニットの蓋体を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】キャップ付き容器が備えるキャップユニットのストロー部材を傾けた状態を示す斜視図である。
【
図6】キャップ付き容器が備えるキャップユニットの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図6に示すキャップユニット1を備えたキャップ付き容器100について説明する。
【0017】
なお、
図1は、キャップユニット1を備えたキャップ付き容器100の外観を示す斜視図である。
図2は、キャップ付き容器100が備えるキャップユニット1の構成を示す断面図である。
図3は、キャップ付き容器100が備えるキャップユニット1の構成を示す分解斜視図である。
図4は、キャップ付き容器100が備えるキャップユニット1の蓋体を取り外した状態を示す斜視図である。
図5は、キャップ付き容器100が備えるキャップユニット1のストロー部材を傾けた状態を示す斜視図である。
図6は、キャップ付き容器100が備えるキャップユニット1の変形例を示す断面図である。
【0018】
本実施形態のキャップ付き容器100は、
図1~
図3に示すように、ストロー付きのキャップユニット1と、このキャップユニット1が着脱自在に取り付けられる容器本体2とを備え、後述するストロー部材を通して容器本体2内の飲料(液体)を飲むことができる飲料用容器である。
【0019】
また、本実施形態のキャップ付き容器100では、真空断熱構造を有する容器本体2によって、容器本体2に収容された飲料(内容物)を保冷(又は保温)することが可能となっている。
【0020】
具体的に、この容器本体2は、例えばステンレス等からなる有底筒状の外容器3及び内容器4を有し、外容器3の内側に内容器4を収容した状態で互いの口元部を接合した二重構造の容器により構成されている。
【0021】
また、外容器3と内容器4との間には、真空断熱層5が設けられている。真空断熱層5は、例えば、高真空に減圧(真空引き)されたチャンバー内で、外容器3の底面中央部に設けられた脱気孔を塞ぐことによって形成することができる。
【0022】
容器本体2は、略円形状の底部2aと、底部2aの外周から略円筒状に起立した胴部2bと、胴部2bの上部側において縮径された略円筒状の口頸部2cとを有している。また、口頸部2cの上端部は、容器本体2の上部開口部2dとして、円形状に開口している。
【0023】
また、容器本体2(内容器4)の内周面には、第1の雌ネジ部6が設けられている。さらに、第1の雌ネジ部6の下方には、リング状の張出部7が内容器4(容器本体2)の内周面から全周に亘って突出して設けられている。
【0024】
本実施形態のキャップ付き容器100では、容器本体2が全体として略円筒状であり、なお且つ、その上部が拡径された外観形状を有している。
【0025】
なお、容器本体2の外観形状については、特に限定されるものではなく、サイズやデザイン等に合わせて、適宜変更を加えることが可能である。また、容器本体2の外周面には、塗装や印刷等が施されていてもよい。
【0026】
本実施形態のキャップユニット1は、容器本体2の上部開口部2dを閉塞した状態で取り付けられるキャップ本体8と、キャップ本体8に取り付けられた状態で、キャップ本体8と容器本体2との間を密閉する止水パッキン9と、キャップ本体8の上部に設けられた貫通孔10を貫通した状態で取り付けられるストロー部材11と、ストロー部材11の外周部に取り付けられるフランジ部材12と、フランジ部材12に取り付けられた状態で、貫通孔10を閉塞する弾性シール部材13と、キャップ本体の上部を開閉する蓋体14と、蓋体14の内側に取り付けられた蓋パッキン15とを備えている。
【0027】
キャップ本体8は、例えばポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からなる。キャップ本体8は、略円筒状に形成された周壁部8aと、周壁部8aの内側の上部を閉塞する上壁部8bとを有している。貫通孔10は、上壁部8bの中央部を円形状に貫通して設けられている。
【0028】
周壁部8aの外周面には、キャップ本体8の第1の雌ネジ部6に螺合される第1の雄ネジ部16が設けられている。キャップ付き容器100では、第1の雄ネジ部16と第1の雌ネジ部6との螺合によって、容器本体2に対してキャップ本体8が着脱自在に取り付けられている。
【0029】
キャップ本体8の上端側の外周部には、容器本体2の胴部2bの外周面と面一となるように、円筒状の外筒部材17が一体に取り付けられている。外筒部材17は、例えばポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からなり、キャップ本体8の上端側の外周部に嵌め付けられている。
【0030】
周壁部8aの下端部には、止水パッキン9が着脱自在に取り付けられている。止水パッキン9は、円形リング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴムなどの弾性部材からなる。
【0031】
一方、周壁部8aの下端部には、フランジ部8cが全周に亘って拡径方向(径方向外側)に突出して設けられている。止水パッキン9は、このフランジ部8cに全周に亘って嵌め付けられている。
【0032】
また、止水パッキン9の外周面には、上下方向に並ぶ複数(本実施形態では2つ)の弾性フランジ部9aが全周に亘って拡径方向に突出して設けられている。止水パッキン9は、容器本体2にキャップ本体8が取り付けられた際に、弾性フランジ部9aが弾性変形しながら、容器本体2の張出部7に全周に亘って密着した状態となる。
【0033】
これにより、止水パッキン9は、張出部7(容器本体2)とキャップ本体8の間を密閉することが可能となっている。
【0034】
なお、止水パッキン9の張出部7に密着させるための形状については、上述した弾性フランジ部9aの形状に必ずしも限定されるものではなく、その形状や数等について適宜変更を加えることが可能である。
【0035】
一方、止水パッキン9は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、フランジ部8cから取り外すことが可能である。これにより、止水パッキン9とキャップ本体8とをそれぞれ別々に洗浄することができ、止水パッキン9とキャップ本体8との間を衛生的に保つことができる。
【0036】
ストロー部材11は、例えばステンレスなどの金属製又は合成樹脂製の硬質パイプからなり、長尺円筒状に形成されている。また、ストロー部材11は、洗浄し易いように比較的大きな口径を有している。
【0037】
ストロー部材11は、貫通孔10を貫通した状態において、貫通孔10からキャップ本体8の上方に突出されると共に、容器本体2の底部付近まで延びている。
【0038】
フランジ部材12は、例えばポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からなり、中心孔12aを有して円板状に形成されている。フランジ部材12は、ストロー部材11の上部側の外周部に一体に取り付けられている。
【0039】
具体的に、このフランジ部材12は、中心孔12aの周囲から突出されたリング状の係止凸部12bをストロー部材11の周囲をリング状に凹ませた係止溝11aに係止することによって、ストロー部材11の上部側の外周部に一体に取り付けられている。
【0040】
これにより、フランジ部材12は、ストロー部材11の外周部から拡径方向に突出した円形リング状の係合フランジ部(以下、「係合フランジ部12」とする。)を構成している。
【0041】
一方、キャップ本体8の上部(上壁部8b)には、係合フランジ部12が係合されるフランジ受部18が設けられている。フランジ受部18は、貫通孔10の周囲を囲む円形リング状のリブ壁18aを有している。
【0042】
また、フランジ受部18は、貫通孔10の周囲に同心円状に並ぶと共に、その内周側よりも外周側が高くなる複数(本実施形態では2つ)の段差面18bを有している。
【0043】
弾性シール部材13は、円形リング状のシール部材であり、例えばシリコーンゴムなどの弾性部材からなる。弾性シール部材13は、係合フランジ部12に対して着脱自在に取り付けられている。
【0044】
弾性シール部材13は、係合フランジ部12の下面及び外周面を覆うように、この係合フランジ部12に全周に亘って嵌め付けられている。これにより、弾性シール部材13は、係合フランジ部12と共に、フランジ受部18の内側に係合させることが可能である。
【0045】
なお、係合フランジ部材12に嵌め付けられた弾性シール部材13をフランジ受部18の内側に係合させた状態、すなわちストロー部材11が貫通孔10を貫通した状態で容器本体2を正立させると、ストロー部材11は鉛直方向に自立した状態となる。
【0046】
一方、弾性シール部材13は、それ自体を弾性変形させる(引っ張り伸ばす)ことによって、係合フランジ部12から取り外すことが可能である。
【0047】
これにより、弾性シール部材13とフランジ部材12が取り付けられたストロー部材11とをそれぞれ別々に洗浄することができ、弾性シール部材13とフランジ部材12との間を衛生的に保つことができる。
【0048】
弾性シール部材13は、フランジ受部18に係合フランジ部12が係合された状態において、フランジ受部18における貫通孔10の周囲と密着する弾性変形部13aを有している。
【0049】
弾性変形部13aは、上述した複数の段差面18bの各々と密着するように、ストロー部材11の周囲に同心円状に複数(本実施形態では2つ)並んで設けられている。また、各弾性変形部13aは、下方に向けて断面略円弧状に膨出した形状を有している。
【0050】
なお、弾性シール部材13は、上述したフランジ部材12と別体に形成されたものに限らず、例えばフランジ部材12とのインサート成形によりフランジ部材12と一体に形成することも可能である。
【0051】
蓋体14は、例えばポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からなり、略円筒状に形成された周壁部14aと、周壁部14aの上部を閉塞する天壁部14bとを有している。
【0052】
蓋体14は、ストロー部材11を覆った状態で、キャップ本体8に対して螺合により着脱自在に取り付けられている。
【0053】
このため、上壁部8bよりも上方の周壁部8a(キャップ本体8)の内周面には、第2の雌ネジ部19が設けられている。一方、周壁部14a(蓋体14)の外周面には、第2の雌ネジ部19と螺合される第2の雄ネジ部20が設けられている。
【0054】
また、周壁部14a(蓋体14)の外周面には、キャップ本体8に蓋体14が取り付けられた状態において、周壁部8a(キャップ本体8)の上端部と当接される当接フランジ部14cが全周に亘って突出して設けられている。
【0055】
天壁部14bの下面中央部には、蓋パッキン15が着脱自在に取り付けられている。蓋パッキン15は、下方に向かって突出したドーム状のシール部材であり、例えばシリコーンゴムなどの弾性部材からなる。
【0056】
一方、天壁部14bの下面中央部には、蓋パッキン15の周囲を囲む円形リング状のリブ壁14dが下方に突出して設けられている。蓋パッキン15は、このリブ壁14dの内側に嵌め付けられている。
【0057】
蓋パッキン15は、蓋体14に対して着脱自在に取り付けられているため、この蓋パッキン15と蓋体14とをそれぞれ別々に洗浄することができ、蓋パッキン15と蓋体14との間を衛生的に保つことができる。
【0058】
本実施形態のキャップユニット1では、蓋体14がキャップ本体8の上部を閉塞した状態(キャップ本体8に蓋体14が取り付けられた状態)において、蓋パッキン15がストロー部材11の先端(上端)の周囲と全周に亘って密着した状態となる。これにより、ストロー部材11の先端を閉塞することが可能である。
【0059】
また、キャップ本体8に蓋体14を取り付ける際に、リブ壁14dによりストロー部材11の先端をリブ壁14dの内側へと案内することができ、蓋パッキン15によりストロー部材11の先端を確実に閉塞することが可能である。
【0060】
なお、リブ壁14dは、ストロー部材11の先端を蓋パッキン15が確実に閉塞できるように案内するため、キャップ本体8に蓋体14を被せた状態で、リブ壁14dの下端がストロー部材11の先端と同一の位置にある、若しくは、リブ壁14dの下端がストロー部材11の下位に位置する長さであることが好ましい。
【0061】
以上のような構成を有する本実施形態のキャップユニット1を備えたキャップ付き容器100では、キャップ本体8から蓋体14を取り外した状態から、ストロー部材11を通して容器本体2内の飲料を吸引しながら飲むことが可能である。
【0062】
このとき、貫通孔10とストロー部材11との間の隙間から空気が入り込むため、キャップ本体8に通気孔を設ける必要がない。
【0063】
また、貫通孔10の周囲にあるフランジ受部18に係合フランジ部12が遊びを設けた状態で係合(遊嵌)されるため、空気を取り込むための十分な隙間を確保することが可能である。
【0064】
また、本実施形態のキャップユニット1を備えたキャップ付き容器100では、例えば
図5に示すように、フランジ受部18に係合フランジ部12が係合された状態で、キャップ本体8に対してストロー部材11を起立した状態から、例えば30°程度まで傾けることが可能である。これにより、容器本体2内の飲料が少なくなった場合でも、最後まで飲むことが可能である。
【0065】
一方、本実施形態のキャップユニット1を備えたキャップ付き容器100では、蓋体14がキャップ本体8の上部を閉塞した状態(キャップ本体8に蓋体14が取り付けられた状態)において、蓋パッキン15によりストロー部材11の先端を確実に閉塞することが可能である。
【0066】
また、この状態において、蓋パッキン15により押圧されたストロー部材11と共に、係合フランジ部12がフランジ受部18に押し当てられた状態となる。
【0067】
このとき、フランジ受部18に取り付けられた弾性シール部材13の複数の弾性変形部13aを弾性変形させながら、複数の段差面18bの各々と密着した状態となる。これにより、貫通孔10とストロー部材11との間を確実に閉塞することが可能である。
【0068】
また、ストロー部材11は、フランジ受部18に係合フランジ部12が係合された状態のため、キャップ本体8から容易に取り外すことが可能である。また、ストロー部材11の洗浄が容易であり、なお且つ、ストロー部材11の繰り返しの使用が可能である。
【0069】
以上のように、本実施形態のキャップ付き容器100では、このようなキャップユニット1を備えることによって、使い勝手の更なる向上を図ることが可能である。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0071】
例えば、上記弾性シール部材13については、
図6に示すように、リブ壁18aが嵌合されるリング状の溝部13bを設けた構成としてもよい。
【0072】
この構成の場合、係合フランジ部12とフランジ受部18との間を弾性シール部材13により封止することが可能である。また、この状態でも、弾性シール部材13を弾性変形させながら、キャップ本体8に対してストロー部材11を傾けることが可能である。
【0073】
なお、上記キャップユニット1では、上述したキャップ本体8に対して蓋体14が螺合により取り付けられた構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではなく、例えば、キャップ本体8にヒンジ部(図示せず。)を介して蓋体14が回動自在に取り付けられた構成としてもよい。また、場合によっては、蓋体14を省略した構成とすることも可能である。
【0074】
さらに、容器本体2の底部付近は、
図2及び
図6に示すような形状に必ずしも限定されるものではなく、例えば、下方に向けて断面略円弧状に膨出した形状を有した構成(図示せず。)であってもよい。このような構成の場合、容器本体2内の飲料が少なくなってもスムーズに最後まで飲むことが可能である。
【0075】
なお、上記実施形態では、真空断熱構造を有する容器本体2によって保冷(又は保温)機能を持たせたキャップ付き容器100に本発明を適用した場合を例示しているが、このような真空断熱構造を有する容器本体2を備えたものに必ずしも限定されるものではない。すなわち、本発明は、ストロー付きのキャップユニットが容器本体に対して着脱自在に取り付けられるキャップ付き容器に対して幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
100…キャップ付き容器 1…キャップユニット 2…容器本体 3…外容器 4…内容器 5…真空断熱層 8…キャップ本体 9…止水パッキン 10…貫通孔 11…ストロー部材 12…フランジ部材(係合フランジ部) 13…弾性シール部材 14…蓋体 15…蓋パッキン 18…フランジ受部