IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ紡織株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-乗物用シート 図1
  • 特開-乗物用シート 図2
  • 特開-乗物用シート 図3
  • 特開-乗物用シート 図4
  • 特開-乗物用シート 図5
  • 特開-乗物用シート 図6
  • 特開-乗物用シート 図7
  • 特開-乗物用シート 図8
  • 特開-乗物用シート 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135687
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20240927BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240927BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20240927BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/90
F16C11/04 F
F16C17/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046495
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】入江 達也
【テーマコード(参考)】
3B087
3J011
3J105
【Fターム(参考)】
3B087DB03
3B087DB04
3B087DE10
3J011AA20
3J011BA06
3J011KA02
3J011KA03
3J105AA04
3J105AA14
3J105AB50
3J105AC10
3J105BB44
(57)【要約】
【課題】 製造時において、治具によりブッシングの姿勢を保持する必要がない乗物用シートの一例を開示する。
【解決手段】 サイドフレーム31と連結部材33との連結部では、貫通穴31Aの内周面と連結部材33の外周面との間にスリット部38Aを有する略C字状のブッシング38が配置されている。ブッシング38は、内径寸法が変化するように弾性変形可能であって、当該弾性変形による復元力により貫通穴31Aの内周面の少なくとも一部に圧接してサイドフレーム31に装着され、かつ、当該ブッシング38は、サイドフレーム31に対して着脱自在となる内径寸法まで弾性変形可能である。これにより、当該ブッシング38では、弾性力により貫通穴31Aの内周面に圧接した状態となるので、ブッシング38の姿勢が保持される。したがって、当該ブッシング38では、製造時において、治具によりブッシングの姿勢を保持する必要がない。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重を受ける第1部材と、
前記第1部材に設けられた貫通穴に挿入され、当該第1部材に対して回転変位可能な第2部材と、
前記貫通穴の内周面と前記第2部材の外周面との間に配置され、滑り軸受けを構成するブッシングであって、スリット部を有する略C字状のブッシングとを備え、
前記ブッシングは、内径寸法が変化するように弾性変形可能であって、当該弾性変形による復元力により前記内周面の少なくとも一部に圧接して前記第1部材に装着されており、
さらに、前記ブッシングは、前記第1部材に対して着脱自在となる内径寸法まで弾性変形可能である乗物用シート。
【請求項2】
前記第1部材から取り外された前記ブッシングは、楕円を描くような略C字状である請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記ブッシングは、前記内周面と対向する環状部、及び当該環状部の一端側及び他端側に設けられたフランジ部を有しており、
前記貫通穴の内径寸法は、前記環状部の短径方向外径寸法と略同じであり、
さらに、前記スリット部は、前記ブッシングの長径方向一方側に設けられている請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記フランジ部には、内径寸法を縮小させる操作力を受けることが可能な操作部が設けられている請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記スリット部は、径方向に対して傾いた方向に延びている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記環状部及び2つの前記フランジ部は、樹脂製の一体品である請求項3又は4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
荷重を受ける第1部材と、
前記第1部材に設けられた貫通穴に挿入され、当該第1部材に対して回転変位可能な第2部材と、
前記貫通穴の内周面と前記第2部材の外周面との間に配置され、滑り軸受けを構成するブッシングであって、スリット部を有するとともに、内径寸法が変化するように弾性変形可能な略C字状のブッシングとを備える乗物シートに適用され、
前記ブッシングを前記第1部材に装着するための装着方法において、
前記ブッシングは、前記内周面と対向する環状部、及び当該環状部の一端側及び他端側に設けられたフランジ部を有しており、
そして、前記環状部の内径寸法を縮小させた状態で前記ブッシングを前記貫通穴に挿入した後、当該縮小変形させる操作力を消滅させて、弾性変形による復元力により前記環状部の外周面を前記内周面の少なくとも一部に圧接させるブッシングの装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物用シートの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に示されるように、ブッシングは、通常、滑り軸受として利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-67169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、ブッシングは、環状部、及び当該環状部の一端側及び他端側に設けられたフランジ部を有している。2つのフランジ部のうち一方のフランジ部は、通常、筒状の環状部を内側から押し広げるような塑性加工(以下、カシメ加工ともいう。)により成形される。
【0005】
以下、カシメ加工前のブッシングをブッシング素材という。そして、ブッシングをサイドフレーム等に装着する方法は、例えば、以下の通りである。
すなわち、製造者は、先ず、サイドフレームに設けられたブッシング装着用の貫通穴にブッシング素材の環状部を挿入する。次に、製造者は、他方のフランジ部をサイドフレームに接触させた状態で、ポンチ等のカシメ治具により環状部を押圧する。
【0006】
このとき、環状部が内側から押し広げられて一方のフランジ部が成形されるとともに、当該フランジ部がサイドフレームに押し当てられる。これにより、環状部及びサイドフレームを挟み込んだ状態の2つのフランジ部が形成される。
【0007】
しかし、上記の製造法では、カシメ加工前においては、サイドフレームに対するブッシング素材の姿勢が不安定であるので、カシメ加工が完了するまでに、治具によりブッシング素材の姿勢を保持する必要がある。
【0008】
本開示は、上記点に鑑み、製造時において、治具によりブッシングの姿勢を保持する必要がない乗物用シートの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
乗物用シートは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、荷重を受ける第1部材(31)と、第1部材(31)に設けられた貫通穴(31A)に挿入され、当該第1部材(31)に対して回転変位可能な第2部材(33)と、貫通穴(31A)の内周面(31B)と第2部材(33)の外周面(33A)との間に配置され、滑り軸受けを構成するブッシング(38)であって、スリット部(38A)を有する略C字状のブッシング(38)とを備えることである。
【0010】
そして、ブッシング(38)は、内径寸法が変化するように弾性変形可能であって、当該弾性変形による復元力により内周面(31B)の少なくとも一部に圧接して第1部材(31)に装着されており、さらに、ブッシング(38)は、第1部材(31)に対して着脱自在となる内径寸法まで弾性変形可能である。
【0011】
これにより、当該ブッシング(38)は、弾性力により貫通穴(31A)の内周面(31B)に圧接した状態となるので、ブッシング(38)の姿勢が保持される。したがって、当該ブッシング(38)では、製造時において、専用治具によりブッシング(38)の姿勢を保持する必要がない。
【0012】
なお、当該ブッシング(38)は、例えば、以下の構成であってもよい。
すなわち、第1部材(31)から取り外されたブッシング(38)は、楕円を描くような略C字状であることが望ましい。
【0013】
ブッシング(38)は、内周面(31B)と対向する環状部(38B)、及び当該環状部(38B)の一端側及び他端側に設けられたフランジ部(38C)を有しており、貫通穴(31A)の内径寸法(φ1)は、環状部(38B)の短径方向外径寸法と略同じであり、さらに、スリット部(38A)は、ブッシング(38)の長径方向一方側に設けられていることが望ましい。
【0014】
フランジ部(38C)には、内径寸法を縮小させる操作力を受けることが可能な操作部(38D)が設けられていることが望ましい。これにより、ブッシング(38)の装着作業を容易に実行することが可能となり得る。
【0015】
スリット部(38A)は、径方に対して傾いた方向に延びていることが望ましい。これにより、ブッシング(38)と第1部材(31)及び第2部材(33)との摺接面積が減少してしまうことが抑制され得る。
【0016】
なお、ブッシング(38)を第1部材(31)に装着する作業者は、環状部(38B)の内径寸法を縮小させた状態でブッシング(38)を貫通穴(31A)に挿入した後、当該縮小変形させる操作力を消滅させて、弾性変形による復元力により環状部(38B)の外周面を内周面(31B)の少なくとも一部に圧接させることが望ましい。
【0017】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る乗物用シートを示す図である。
図2】第1実施形態に係るサイドフレームの貫通穴を示す図である。
図3】サイドフレームと連結部材33との連結部を示す図である。
図4】サイドフレームと連結部材33との連結構造を示す図である。
図5】第1実施形態に係るブッシングを示す図である。
図6】Aは、装着状態のブッシングを示す図である。Bは、非装着状態のブッシングを示す図である。
図7】A~Dは、ブッシングの装着手順を示す図である。
図8】第2実施形態に係るブッシングを示す図である。
図9】第3実施形態に係るブッシングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0020】
本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシート(以下、乗物用シートという。)に本開示に係る乗物用シートが適用された例である。各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び部材又は部位の形状等を理解し易くするために記載されたものである。
【0021】
したがって、当該乗物用シートは、各図に付された方向に限定されない。各図に示された方向は、本実施形態に係る乗物用シートが車両に組み付けられた状態における方向である。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示さない。
【0022】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された乗物用シートは、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位のうち少なくとも1つを備える。
【0023】
(第1実施形態)
<1.乗物用シートの概要>
本実施形態に係る乗物用シート1は、図1に示されるように、シートクッション3及びシートバック5等を少なくとも備える。シートクッション3は着席者の臀部を支持するための部位である。
【0024】
当該シートクッション3は、骨格を構成するクッションフレーム30及びウレタン等のクッションパッド(図示せず。)を有して構成されている。シートバック5は着席者の背部を支持するための部位である。
【0025】
当該シートバック5は、骨格を構成するバックフレーム50及びウレタン等のクッションパッド(図示せず。)を有して構成されている。バックフレーム50は、クッションフレーム30(本実施形態では、サイドフレーム31、32)のシート前後方向後端側に連結されている。
【0026】
<2.クッションフレームの構成>
クッションフレーム30は、図1に示されるように、2つのサイドフレーム31、32、連結部材33、34及びフロントパネル35等を少なくとも有する。サイドフレーム31は、クッションフレーム30のシート幅方向一端側(図1では、左端側)に配置されて荷重を受ける第1部材の一例であって、シート前後方向に延びる部材である。
【0027】
サイドフレーム32は、クッションフレーム30のシート幅方向他端側(図1では、右端側)に配置されて荷重を受ける第1部材の一例であって、シート前後方向に延びる部材である。
【0028】
連結部材33、34は、シート幅方向(図1では、左右方向)に延びてサイドフレーム31とサイドフレーム32とを連結する第2部材の一例である。当該連結部材33、34は、丸パイプ又は中実丸棒(本実施形態では、丸パイプ)による軸部材である。
【0029】
フロントパネル35は、サイドフレーム31、32の延び方向前端側において、当該サイドフレーム31とサイドフレーム32とを連結する所定形状にプレス成形された板状の部材である。
【0030】
なお、本実施形態に係る乗物用シート1は、複数(本実施形態では、4つ)のリフターリンク36及び複数(本実施形態では、2つ)のスライド装置37等も備える。各リフターリンク36は、クッションフレーム30を上下方向に変位させるため部材である。
【0031】
各スライド装置37は、クッションフレーム30をシート前後方向に平行変位させるための装置である。各スライド装置37は、車両に対して固定される固定レール37A、固定レール37Aに対してスライド可能な可動レール37B等を少なくとも有する。
【0032】
複数のリフターリンク36それぞれの上端側は、対応する連結部材33、34に溶接等で固定されている。複数のリフターリンク36それぞれの下端側は、対応する可動レール37Bに回転可能に連結されている。
【0033】
そして、複数のリフターリンク36のいずれかには、セクタ歯車36Aが設けられている。このため、セクタ歯車36Aが固定された連結部材(本実施形態では、連結部材34)を中心に回転すると、これに連動してクッションフレーム30が上下方向に変位する。
【0034】
<2.1 サイドフレームと連結部材との連結構造>
本実施形態では、サイドフレーム31と連結部材33との連結構造と、サイドフレーム32と連結部材33との連結構造とは、同一構造である。以下は、サイドフレーム31と連結部材33との連結構造に関する詳細説明である。
【0035】
サイドフレーム31には、図2に示されるように、シート幅方向に当該サイドフレーム31を貫通した丸穴31A(以下、貫通穴31Aと記す。)が設けられている。貫通穴31Aには、図3に示されるように、連結部材33が貫通挿入されている。
【0036】
なお、貫通穴31Aには、環状壁部31C(図2参照)が設けられている。当該環状壁部31Cは、貫通穴31Aの外縁からシート幅方向に延出した環状の部位である。このため、貫通穴31Aの内周面31Bは、環状壁部31Cが無い単純な貫通穴に比べて大きな面積にとなっている。因みに、環状壁部31Cは、バーリング加工等の塑性加工にてサイドフレーム31に成形されたサイドフレーム31との一体品である。
【0037】
連結部材33は、図4に示されるように、貫通穴31Aに貫通挿入された状態において、サイドフレーム15に対して相対的に回転可能である。そして、貫通穴31Aの内周面31Bと連結部材33の外周面33Aとの間にブッシング38が配置されている。
【0038】
ブッシング38は、滑り軸受けを構成する部材である。当該ブッシング38は、図5に示されるように、切断部を成すスリット部38Aを有する略C字状の部材である。具体的には、当該ブッシング38は、環状部38B及び2つのフランジ部38C等を有している。
【0039】
環状部38Bは、貫通穴31Aの内周面31Bと対向するリング状の部位である。各フランジ部38Cは、シート幅方向において、環状部38Bの一端側及び他端側に設けられた鍔状の部位である(図4参照)。
【0040】
そして、ブッシング38は、内径寸法が変化するように弾性変形可能であって、当該弾性変形による復元力により、貫通穴31Aの内周面31Bの少なくとも一部に圧接した状態でサイドフレーム31に装着されている。
【0041】
このため、ブッシング38は、サイドフレーム31に対して着脱自在となる内径寸法まで弾性変形可能である。なお、作業者は、特殊な専用工具を用いることなく、平均的な握力あれば、スリット部38Aが消滅する程度まで内径寸法を小さくできる。
【0042】
本実施形態に係るブッシング38は、サイドフレーム31から取り外された状態、つまり貫通穴31Aに装着される前の状態では、図6Bに示されるように、楕円を描くような略C字状となっている。
【0043】
そして、貫通穴31Aの内径寸法φ1(図2参照))は、環状部(38B)の短径方向外径寸法L3と略同じである。さらに、スリット部38Aは、ブッシング38の長径方向一方側に設けられている。
【0044】
なお、図6Aは、貫通穴31Aに装着された状態のブッシング38を示している。サイドフレーム31から取り外されたブッシング38は、図6Bでは、紙面上下方向が長径方向L1となり、紙面左右方向が短径方向L2となる。因みに、環状部38B及び2つのフランジ部38Cは、樹脂製の一体品である。
【0045】
また、連結部材33の長手方向端部側は、図4に示されるように、拡管部33Bが設けられている。拡管部33Bは、外径寸法がその他の部位に比べて拡大した抜け防止部である。これにより、連結部材33が貫通穴31Aから抜けることが防止される。
【0046】
<2.2 ブッシングのサイドフレームへの装着方法>
作業者は、図7A図7B図7C図7Dの順に示されるように、環状部38Bの内径寸法を縮小させた状態でブッシング38を貫通穴31Aに挿入した後、当該縮小変形させる操作力を消滅させる。
【0047】
これにより、ブッシング38の弾性変形による復元力により環状部38Bの外周面が貫通穴31Aの内周面31Bの少なくとも一部に圧接するので、ブッシング38のサイドフレーム31への装着が完了する。
【0048】
<3.本実施形態に係る乗物用シートの特徴>
本実施形態に係るサイドフレーム31と連結部材33との連結部では、図4に示されるように、貫通穴31Aの内周面31Bと連結部材33の外周面33Aとの間に、スリット部38Aを有する略C字状のブッシング38が配置されている。
【0049】
そして、ブッシング38は、内径寸法が変化するように弾性変形可能であって、当該弾性変形による復元力により貫通穴31Aの内周面31Bの少なくとも一部に圧接してサイドフレーム31に装着され、かつ、当該ブッシング38は、サイドフレーム31に対して着脱自在となる内径寸法まで弾性変形可能である。
【0050】
これにより、当該ブッシング38では、弾性力により貫通穴31Aの内周面31Bに圧接した状態となるので、ブッシング38の姿勢が保持される。したがって、当該ブッシング38では、製造時において、専用治具によりブッシング38の姿勢を保持する必要がない。
【0051】
(第2実施形態)
本実施形態に係るブッシング38は、図8に示されるように、操作部38Dが設けられている。操作部38Dは、ブッシング38の内径寸法を縮小させる操作力を受けることが可能な部位である。
【0052】
具体的には、例えば、作業者は、スナップリングプライヤ等の工具の先端を操作部38Dの穴に挿入することにより、スナップリングと同様に、ブッシング38の内径寸法を容易に縮小変形させることが可能である。
【0053】
これにより、本実施形態では、作業者は、ブッシング38をサイドフレーム31に容易に装着でき得る。なお、ブッシング38のサイドフレーム31への装着方法は、「工具の先端を操作部38Dの穴に挿入する点」を除き、第1実施形態と同じである。
【0054】
なお、上記の説明は、上述の実施形態に係る乗物用シートとの相違点に関する説明である。上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0055】
(第3実施形態)
本実施形態に係るブッシング38では、図9に示されるように、スリット部38Aが径方向(本実施形態では、長径方向L1)に対して傾いた方向に延びている。これにより、サイドフレーム31の内周面31B及び連結部材33の外周面33Aとブッシング38との摺接面積が減少してしまうことが抑制され得る。
【0056】
すなわち、ブッシング38がサイドフレーム31に装着された状態では、スリット部38Aの隙間寸法Wが小さくなる。このため、ブッシング38がサイドフレーム31に装着された状態では、スリット部38Aの一方の面S1と他方の面S2とが、少なくとも一部が径方向において対向するように面する。
【0057】
したがって、スリット部38Aが径方向に沿って平行に延びている構成(例えば、図6A参照)に比べて、ブッシング38がサイドフレーム31に装着された状態において、ブッシング38、つまり環状部38Bと内周面31B及び外周面33Aとの摺接面積が大きくなり得る。
【0058】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、サイドフレーム31、32を第1部材とし、連結部材33を第2部材とした例であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、その他の部位にも適用可能である。
【0059】
上述の実施形態に係るブッシング38は樹脂製であった。では、しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、金属製のブッシングであってもよい。
上述の実施形態に係るブッシング38は、環状部38B及び2つのフランジ部38Cを有するとともに、それらが一体化されたものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、フランジ部38Cが廃止されたブッシングであってもよい。
【0060】
上述の実施形態に係るブッシング38は、サイドフレーム31から取り外された状態では、楕円を描くような略C字状であって、長径方向一方側にスリット部38Aを有する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0061】
上述の実施形態では、車両に本開示に係る乗物用シートを適用した。しかし、本明細書に開示された発明の適用はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるシート、並びに劇場や家庭用等に用いられる据え置き型シートにも適用できる。
【0062】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1… 乗物用シート 3…シートクッション 5… シートバック
15… サイドフレーム 30…クッションフレーム
31… サイドフレーム 31A…貫通穴 31C… 環状壁部
33… 連結部材 35…フロントパネル 36… リフターリンク
38… ブッシング 38A…スリット部
38B… 環状部 38C…フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9