(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135692
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20240927BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046500
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】姜 悦
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AB07
2D037AB21
2D037EA03
2D038KA02
2D038ZA00
(57)【要約】
【課題】照明光による良好な演出を行うことができる便器装置を提供する。
【解決手段】便器装置100は、機能部23と、便蓋21と、背面照明30と、制御部90とを備えている。機能部23は、便鉢部11を有する便器本体10の後部に配置される。便蓋21は、便鉢部11を覆った全閉位置P1と便鉢部11を開放した全開位置P3との間で回転自在に機能部23に支持されている。背面照明30は、便器本体10の後方に向けて照明光を照射する。制御部90は、便蓋21の開度に応じて背面照明30から照射する照明光の強度を徐々に変化させる制御を実行する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部を有する便器本体の後部に配置される機能部と、
前記便鉢部を覆った全閉位置と前記便鉢部を開放した全開位置との間で回転自在に前記機能部に支持された便蓋と、
前記便器本体の後方に向けて照明光を照射する背面照明と、
前記便蓋の開度に応じて前記背面照明から照射する照明光の強度を徐々に変化させる制御を実行する制御部と、
を備えている、便器装置。
【請求項2】
所定範囲内に位置する使用者を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に応じて前記便蓋の開閉動作を実行する開閉部と、
を備えており、
前記制御部は、前記検知部が前記使用者を検知した後、前記便蓋の開動作を前記開閉部に実行させるとともに、前記便蓋が前記全閉位置から前記全開位置に至るまでの間に、前記背面照明からの照明光の照射を開始させる、請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検知部が前記使用者を検知しなくなった後、前記便蓋の閉動作を前記開閉部に実行させるとともに、前記便蓋が前記全開位置から、前記全開位置と前記全閉位置との間の直立位置に至るまでの間に、前記背面照明からの照明光の強度を低下させ始める、請求項2に記載の便器装置。
【請求項4】
前記便器本体の外側下方に向けて照明光を照射する足元照明を備えている、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の便器装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記背面照明から照射させる照明光の強度の変化と連動させて前記足元照明から照射させる照明光の強度を徐々に変化させる、請求項4に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の便器装置を開示している。この便器装置は、背面照明としての発光部を備えている。発光部は、後方の壁面に向けて発光する。これによって、この便器装置は、光源部を使用者が直接視認し難くなり、夜間の使用においても使用者が覚醒し難いようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
照明光には種々の作用があることが知られている。このため、更なる作用を発揮し得る照明を備えた便器装置が望まれていた。
【0005】
本開示は、照明光による良好な演出を行うことができる便器装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る便器装置は、便鉢部を有する便器本体の後部に配置される機能部と、前記便鉢部を覆った全閉位置と前記便鉢部を開放した全開位置との間で回転自在に前記機能部に支持された便蓋と、前記機能部に設けられ、前記便器本体の後方に向けて照明光を照射する背面照明と、前記便蓋の開度に応じて前記背面照明から照射する照明光の強度を変化させる制御を実行する制御部と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る便器装置を示す平面図である。
【
図2】実施形態1に係る便器装置を示す側面図である。
【
図3】実施形態1に係る便器装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態1に係る背面照明を示す側断面図である。
【
図5】実施形態1に係る背面照明を示す分解斜視図である。
【
図6】実施形態1に係る便器装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
実施形態1に係る便器装置100は、便器本体10と、便座装置20と、を備えている。以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、便座装置20に正規に着座した状態で便器装置100を使用する使用者から見た前後、左右、上下方向である。各図に示すX軸、Y軸、及びZ軸は、それぞれ前後方向、左右方向、及び上下方向を表す。X軸、Y軸、及びZ軸において、各軸の正方向は、それぞれ前方、左方、及び上方である。
図1に示すように、便器装置100は、全体として前後方向を長手方向とする長方形状の独特な平面形状を有する便器装置である。
【0009】
図1及び
図2に示すように、便器本体10は、便鉢部11、リム部12、及び周壁部13を有している。便鉢部11、リム部12、及び周壁部13は、陶器製であり、一体に形成されている。便鉢部11は、便器本体10の前部において上面から下方に鉢状に窪んで形成されている。便鉢部11は、下端において図示しない排水路に接続されている。リム部12は、便鉢部11の上端に連続して設けられている。周壁部13は、便鉢部11を前側から左右両側にわたって覆っている。
【0010】
図1及び
図2に示すように、便座装置20は、便器本体10の上方に配置される。便座装置20は、便蓋21、便座22、及び機能部23を備えている。便蓋21及び便座22は、全閉位置から全開位置まで回転自在に、機能部23にそれぞれ支持されている。便蓋21及び便座22は、全閉位置において、機能部23から便器本体10の上面に沿って前方に延びて便鉢部11の上方に配置される。便蓋21及び便座22は、全開位置において、機能部23から上方に延びた直立位置よりもやや後方に倒れた状態になる。
図1に示すように、便蓋21の平面形状は、角部に緩やかなR面取りを施したスクエア状である。
【0011】
本実施形態における便蓋21の位置を以下のように定義する。便蓋21は、
図2に示すように、便鉢部11を覆った全閉位置P1と、便鉢部11を開放した全開位置P3と、これら全閉位置P1と全開位置P3との間の位置であって便蓋21の回転軸から上方に直立した位置である直立位置P2と、を取り得る。本開示に係る直立位置は、便蓋が全閉位置から全開位置の方向に90°回転した位置とも言い換えることができる。直立位置は、全閉位置及び全開位置のいずれかの方向にある程度(例えば、5°程度)倒れた位置も含むものとする。
【0012】
機能部23は、便器本体10の後部に配置される。詳細には、本実施形態の場合、機能部23は、便鉢部11の後方における便器本体10の上方に配置される。
図1から
図3に示すように、機能部23は、便蓋開閉部21Aと、便座開閉部22Aと、背面照明30と、足元照明40と、人検知部50と、着座検知部60と、制御部90と、を有している。これらに加えて、機能部23は、便器洗浄ユニット、昇降ユニット、局部洗浄ユニット、温風乾燥ユニット、脱臭ユニット等の各種機能部品を有する。これら各部品は、機能部23において筐体を構成する本体カバー24及びベースプレート25内に収納されている。詳細には、各部品は、本体カバー24の内面、ベースプレート25の上面等に取り付けられている。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本体カバー24の後壁24Aは、外表面を後方斜め上方に向けている。後壁24Aの外表面は、上下左右の各方向において曲率の異なる曲面を形成している。詳細には、上下方向において、後壁24Aの外表面は、下方に向かうにつれて徐々に垂直に近づく緩やかな湾曲面を形成している。後壁24Aの外表面は、左右方向において、上下方向よりも緩やかに湾曲している。後壁24Aには照明取付部80が設けられている。照明取付部80には背面照明30が取り付けられる。
【0014】
照明取付部80は、取付孔81と、位置決めリブ82と、を有している。取付孔81は、後壁24Aを前後に貫通して形成されている。取付孔81は角孔状に形成されている。取付孔81の表側周縁には段差部81Aが形成されている。段差部81Aは、後壁24Aの外表面から凹状に窪んでいる。段差部81Aには、背面照明30における後述するレンズ部材31のレンズ31Aが嵌め込まれる。取付孔81の内縁には突起81Bが形成されている。突起81Bは、レンズ部材31における後述する角筒部31Bの切欠き部31Cに嵌り込む。
【0015】
位置決めリブ82は、背面照明30における後述するホルダ32を位置決めする。
図5に示すように、位置決めリブ82は、4つの位置決めリブ82A,82B,82C,82Dを有している。4つの位置決めリブ82A,82B,82C,82Dは、左右方向に並んで設けられている。各位置決めリブ82A,82B,82C,82Dは、後壁24Aの内面から内側方向に突出している。各位置決めリブ82A,82B,82C,82Dは、上下方向に直線状にそれぞれ延びている。4つの位置決めリブ82A,82B,82C,82Dのうち、左右外側の2つの位置決めリブ82A,82Dは、内側の2つの位置決めリブ82B,82Cよりも下方まで延びている。
【0016】
便蓋開閉部21Aは便蓋21の開閉動作を実行する。便蓋開閉部21Aは、例えばモータ等を有して構成される。便蓋開閉部21Aは、便蓋21を全閉位置と全開位置との間において回転させる。便蓋開閉部21Aは、制御部90によって駆動制御される。
【0017】
便座開閉部22Aは便座22の開閉動作を実行する。便座開閉部22Aは、例えばモータ等を有して構成される。便座開閉部22Aは、便座22を全閉位置と全開位置との間において回転させる。便座開閉部22Aは、制御部90によって駆動制御される。
【0018】
背面照明30は、便器本体10の後方に向けて照明光を照射する。
図1及び
図2に示すように、背面照明30は、本体カバー24における後壁24Aに配置されている。詳細には、背面照明30は、後壁24Aに設けられた照明取付部80に取り付けられる。
図4及び
図5に示すように、背面照明30は、レンズ部材31と、ホルダ32と、光源ユニット33とを有している。
【0019】
レンズ部材31は、透光性を有する乳白色の樹脂によって形成されている。
図4及び
図5に示すように、レンズ部材31は、レンズ31Aと、角筒部31Bとを有している。レンズ31Aは、照明取付部80における段差部81Aに嵌め込まれ、後壁24Aの外表面に露出する。レンズ31Aは、四隅にR面取りを施された正面視方形状の板状をなしている。レンズ31Aの外表面は、この後壁24Aの外表面の曲面に合わせた曲面で形成されている。
【0020】
角筒部31Bはレンズ31Aの裏面に連結されている。角筒部31Bは断面方形状の筒状をなし、レンズ31Aの裏面から突出する。角筒部31Bは、照明取付部80における取付孔81を貫通して配置される。レンズ部材31は、レンズ31Aを段差部81Aに嵌め込み、角筒部31Bを取付孔81に貫通させて照明取付部80に配置される。この状態において、レンズ部材31は、確実な固定及び水密性の確保等を目的として、レンズ31Aの裏面と段差部81Aの奥面との間を両面テープRによって接着される。角筒部31Bには、切欠き部31C及び固定孔31Dが形成されている。
【0021】
切欠き部31Cは、角筒部31Bの一箇所を突出方向に切り欠いて形成されている。切欠き部31Cは、レンズ部材31を照明取付部80に取り付ける際の取付方向を制限する機能を有する。上述のように、後壁24Aの外表面は、上下左右の各方向において曲率の異なる曲面を形成している。レンズ31Aの表面は、この後壁24Aの外表面に合わせた曲面で形成されている。レンズ部材31は、切欠き部31Cの位置を取付孔81における突起81Bに合わせて取り付けることによって、後壁24Aの外表面に合った向きで、照明取付部80に正しく取り付けられる。
【0022】
固定孔31Dは、角筒部31Bの突出方向に対して交差する方向に角筒部31Bを貫通して形成されている。固定孔31Dは、ホルダ32における後述する固定爪32Cが引っ掛けられる。固定孔31Dは、角筒部31Bを形成する筒状の壁の対向方向の2箇所に形成されている。
【0023】
ホルダ32は光源ユニット33を保持する。ホルダ32は、光源ユニット33とともに、背面照明30において後壁24Aの内側に配置される。ホルダ32は、取付孔81を貫通したレンズ部材31と組み合わせられる。背面照明30は、このホルダ32とレンズ部材31との間に後壁24Aを挟み込んで、照明取付部80に取り付けられる。
図4及び
図5に示すように、ホルダ32は、保持部32Aと、フランジ部32Bと、固定爪32Cと、保持爪32Dとを有している。
【0024】
保持部32Aは、全体として左右方向に長い凹状に形成されている。保持部32Aには光源ユニット33が嵌め込まれる。フランジ部32Bは、長方形状の外形形状をなして保持部32Aの周囲にフランジ状に拡がっている。固定爪32Cは、保持部32Aから後方に片持ち状に延びている。固定爪32Cは、上下方向に並んで2つ設けられている。固定爪32Cは、固定孔31Dの内縁に引っ掛けられることによってレンズ部材31をスナップフィット固定する。保持爪32Dは、保持部32Aの内面に沿って片持ち状に延びている。保持爪32Dは、保持部32Aに嵌め込まれた光源ユニット33に引っ掛けられて光源ユニット33をスナップフィット固定する。
【0025】
ホルダ32は、位置決めリブ82によって位置決めされる。
図4及び
図5に示すように、ホルダ32は、後壁24Aの内面において、4つの位置決めリブ82の間にフランジ部32Bを嵌め込んで配置される。この状態において、ホルダ32は、長方形状の外形形状をなすフランジ部32Bにおける短辺に相当する左右の外縁を位置決めリブ82A,82Dの内縁に対向させる。ホルダ32は、フランジ部32Bにおける長辺に相当する上側の外縁を位置決めリブ82B,82Cの下端に対向させる。
【0026】
光源ユニット33は、LED(Light Emitting Diode)等の光源を有して構成される。本実施形態において、光源ユニット33は、LEDチップを実装した基板を直方体状の樹脂ケースに収納し、ケースの一端から配線を引き出して構成されている。
図5に示すように、光源ユニット33は、全体として左右方向を長手方向とする直方体状をなしている。光源ユニット33は、
図4に示すように、ホルダ32における保持部32Aに保持される。保持部32Aに保持された状態の光源ユニット33は、レンズ31Aの裏面に向けて、投射面Sから光を投射することができる。光源ユニット33から投射された光は、透光性を有する乳白色のレンズ部材31に入射し、レンズ部材31の内部で拡散され、レンズ部材31の外表面から出射する。このようにして、背面照明30は、便器本体10の後方に向けて照明光を照射する。光源ユニット33から引き出されている配線は、本体カバー24の裏面に沿って配索され、図示しない他端において制御部90との電気的接続を確立している。
【0027】
レンズ31Aから出射する照明光は、レンズ31Aの外形形状と同様、四隅がR面取り状に面取りされた断面方形状の外形形状をなす照射範囲を形成する。レンズ31Aから出射した照明光は、壁面等に当たった場合、便器装置100の前方に位置する使用者から見ると方形状の外形形状をなして壁面に映って見える。この時、便蓋21が全開位置P3にあると、平面視において角部にR面取りが施されたスクエア形状をなす便蓋21の背後に方形状の照射範囲で照明光が映る。便器装置100は、便蓋21の外径形状に照明光の照射範囲の外形形状を合わせた意匠としたことによって、良好な演出を行うことができる。本実施形態において、背面照明30から照射する照明光は、色温度2500Kから2700K程度のいわゆる電球色の光としている。
【0028】
足元照明40は、便器本体10の外側下方に向けて照明光を照射する。本実施形態の場合、足元照明40は、
図1に示すように、2箇所に設けられている。2箇所の足元照明40は、便器本体10の左右方向両側の斜め下方に向けて、照明光を照射する。
図2に示すように、足元照明40は、光源ユニット41をベースプレート25の図示しない取付部に取り付けて構成されている。光源ユニット41は、背面照明30における光源ユニット33と同様の構成である。本実施形態において、足元照明40から照射する照明光は、背面照明30と同様に、色温度2500Kから2700K程度のいわゆる電球色の光としている。
【0029】
本実施形態の場合、背面照明30及び足元照明40は、最も高強度の照明光の照射であっても、所定の測定位置において測定される照度が1ルクス以上3ルクス以下となる強度で照明光を照射する。所定の測定位置とは、平均的な日本人女性の目線の高さに基づいて設定したものである。具体的には、所定の測定位置とは、便器本体10の先端の上方の位置であって、便器装置100が設置される床面から1450mmの高さ位置である。この測定位置において測定される照度は、背面照明30及び足元照明40から直接的に照射される照明光ではなく、背面照明30及び足元照明40から照射された照明光が壁面や床面に反射して到達した光の照度である。この1ルクス以上3ルクス以下の照度は、暗順応状態で就寝中の使用者がトイレに起きた際に顔面に浴びたとしても、中途覚醒を生じさせない程度の照度であり、ほのかに明るい、と感じる程度の照度である。
【0030】
人検知部50は本開示に係る検知部の例示である。人検知部50は、所定範囲内、例えば便器装置100が設置されたトイレルーム内に位置する使用者を検知する。人検知部50は、便蓋21が全閉位置P1にある状態において使用者を検知し得る。人検知部50は、公知の赤外線センサによって構成され、図示しない発光素子(例えばLED等)、及び受光素子(例えばフォトダイオード等)を備えている。人検知部50は、本体カバー24の上面に設けられた投受光窓51から使用者を検知する。人検知部50は、発光素子から生じ、使用者で反射された赤外線を受光素子が受光することによって、使用者を検知する。人検知部50は、使用者を検知すると、検知信号を制御部90に出力し得る構成とされている。
【0031】
着座検知部60は、便座22に着座した便器装置100の使用者を検知する。着座検知部60は、人検知部50と同様の公知の赤外線センサによって構成されている。着座検知部60は、図示しない発光素子(例えばLED等)、及び受光素子(例えばフォトダイオード等)を備えている。着座検知部60は、発光素子から赤外線が照射され、便座22に着座している使用者の表面において反射した赤外線を受光素子によって受光することにより、便座22に使用者が着座したことを検知する。着座検知部60は、便座22に着座した使用者を検知すると、検知信号を制御部90に出力し得る構成とされている。
【0032】
制御部90は、機能部23における各種機能を制御する。制御部90は、例えば、例えば、CPU、メモリ等を有して構成される。制御部90、便蓋21及び便座22の開閉動作、背面照明30及び足元照明40の点灯、消灯、照明光の強度変更を制御し得る機能を有する。制御部90は、図示しないリモートコントローラから送信される信号に基づいて、機能部23における各種機能の制御を実行し得る。制御部90は、人検知部50の検知結果や着座検知部60の検知結果、図示しないリモートコントローラからの操作信号の有無に応じて、便蓋開閉部21A、及び便座開閉部22Aの駆動制御を実行する。
【0033】
制御部90は、便蓋21の開度に応じて、背面照明30から照射する照明光の強度を徐々に変化させる制御を実行する。制御部90は、便蓋21が全閉位置P1から全開位置P3に至るまでの間、便蓋21の開度に応じて、背面照明30から照射する照明光の強度を、所定の最小強度から最大強度まで、徐々に高くする。制御部90は、便蓋21が全開位置P3から全閉位置P1に至るまでの間は、便蓋21の開度に応じて、背面照明30から照射する照明光の強度を、所定の最大強度から最小強度まで、徐々に低くする。本実施形態の場合、所定の最小強度とは、消灯状態の強度である。所定の最大強度とは、上述した所定の測定位置において測定された照度に基づく強度である。
【0034】
制御部90は、人検知部50が使用者を検知した際に出力する検知信号を受信すると、便蓋21の開動作を実行させる駆動制御を実行する。制御部90は、便蓋21の開度が大きくなるにつれて照明光の強度を高くする制御を実行する。制御部90は、全閉位置P1にある便蓋21が開き始めてから直立位置P2に到達するまでの間に、消灯状態の背面照明30から照明光を照射させ始める。本実施形態の場合、制御部90は、便蓋21が開き始めるのと同時に、消灯状態の背面照明30から照明光を照射させ始める。制御部90は、直立位置P2から全開位置P3に到達するまでの間に、背面照明30から照射する照明光の強度を最大強度にする。
【0035】
制御部90は、人検知部50が使用者を検知しなくなり、人検知部50が使用者を検知していた状態において出力していた検知信号を受信しなくなると、便蓋21の閉動作を便蓋開閉部21Aに実行させる駆動制御を実行する。制御部90は、背面照明30から照射させている照明光の強度を徐々に低くする制御を実行する。すなわち、制御部90は、便蓋21の開度が小さくなるにつれて、照明光の強度を低くする。本実施形態の場合、制御部90は、人検知部50が使用者を検知していた状態において出力していた検知信号を受信しなくなった時、着座検知部60が使用者の着座を検知しなくなってから所定時間T(例えば、60秒)後に、便蓋21の閉動作を開始させる制御を実行する。制御部90は、全開位置P3にある便蓋21が閉じ始めてから直立位置P2に到達するまでの間に、背面照明30からの照明光の強度を低下させ始める。本実施形態の場合、制御部90は、便蓋21が閉じ始めるのと同時に、背面照明30からの照明光の強度を低下させ始める。
【0036】
制御部90は、便蓋21の開度に応じて、足元照明40から照射する照明光の強度を変化させる制御を実行する。制御部90は、便蓋21が全閉位置P1から全開位置P3に至るまでの間、便蓋21の開度に応じて、足元照明40から照射する照明光の強度を徐々に高くする。制御部90は、便蓋21が全開位置P3から全閉位置P1に至るまでの間は、便蓋21の開度に応じて、足元照明40から照射する照明光の強度を徐々に低くする。制御部90は、足元照明40における照明光の強度変化の制御を、背面照明30から照射させる照明光の強度の変化と連動させて行う。
【0037】
本実施形態の場合、制御部90は、図示しないリモートコントローラの操作に応じた便蓋21の開閉動作の駆動制御を実行する場合においても、便蓋21の開閉動作に応じた背面照明30及び足元照明40からの照明光の強度変化の制御を実行する。
【0038】
上記構成の便器装置100の作用について、便器装置100の動作と併せて、
図6等を参照しつつ説明する。便器装置100が設置された図示しないトイレルームに使用者が入室すると、人検知部50は使用者を検知する(時刻T1)。この時、人検知部50は、制御部90に検知信号を出力する。すると、制御部90は、便蓋開閉部21Aを駆動制御し、全閉位置P1にある便蓋21を全開位置P3まで回転させる開動作を実行させる。便蓋21は、便蓋開閉部21Aによって、全閉位置P1から全開位置P3まで、徐々に開度を大きくしつつ回転する。詳細には、便蓋21は、時刻T1において全閉位置P1から開き始め、時刻T2において直立位置P2を通過し、時刻T3において全開位置P3に到達する。
【0039】
この時、制御部90は、便蓋21が全閉位置P1から直立位置P2に至るまでの間に、消灯状態にある背面照明30及び足元照明40からの照明光の照射を開始させる。本実施形態の場合、制御部90は、全閉位置P1にある便蓋21が開き始める時刻T1において背面照明30及び足元照明40からの照明光の照射を開始させる。制御部90は、便蓋21が全開位置P3に到達した時に強度が最も高くなるように、各照明30,40からの照明光の強度を徐々に変化させる。制御部90は、消灯状態から所定の最大強度になるまで、照明光の強度を変化させる。
【0040】
なお、背面照明30及び足元照明40から照射する各照明光を最大強度にするタイミングとしては、便蓋21が全開位置P3に到達後のいずれかのタイミングであってもよく、例えば、全開位置P3に到達してから所定時間後(例えば、1秒から3秒後)のタイミング等であってもよい。背面照明30及び足元照明40から照射する各照明光を最大強度にするタイミングは、開動作する便蓋21が直立位置P2に到達した後であることが好ましい。後方壁面で反射した照明光が便蓋21に遮られることなく使用者に当たることを回避するためである。
【0041】
背面照明30は、照明光を便器本体10の後方に向けて照射し、後方の図示しない壁面等を照らす。足元照明40からの照明光は、便器本体10の外側下方に向けて照射され、便器装置100の下方の図示しない床面等を照らす。便器装置100の使用者は、背面照明30及び足元照明40からの照明光を直接的に照射されることなく、反射光としてのみ視認する。背面照明30の反射光は、便器本体10の前方の使用者に対して全開位置P3にある便蓋21の輪郭を映し出し、便蓋21が開状態にあることを使用者に良好に視認させ得る。足元照明40の反射光は、使用者の足元を使用者に良好に視認させ得る。
【0042】
次に、時刻T4において使用者が便座22に着座すると、着座検知部60は、使用者が便座22に着座したことを検知して検知信号を制御部90に出力する。その後、時刻T5において、用便を終了するなどした使用者が脱座すると、着座検知部60は、着座したことを検知した信号の制御部90への出力を停止する。このとき、制御部90は、時刻T5からの所定時間T(例えば60秒)のカウントを開始する。
【0043】
制御部90は、人検知部50からの検知信号の出力が停止された場合、便蓋開閉部21Aを駆動制御して全開位置P3にある便蓋21を全閉位置P1まで回転させる閉動作を実行させる。詳細には、本実施形態の場合、制御部90は、人検知部50からの検知信号の出力が停止された場合、その時刻(時刻T6)よりも以前の使用者が脱座した時刻T5から少なくとも所定時間T(例えば、60秒)が経過した時刻T7に、便蓋21の閉動作を実行させる。便蓋21は、便蓋開閉部21Aによって、全開位置P3から全閉位置P1まで、徐々に開度を小さくしつつ回転する。詳細には、便蓋21は、時刻T5から所定時間T経過した時刻T7において全開位置P3から閉じ始め、時刻T8において直立位置P2を通過し、時刻T9において全閉位置P1に到達する。なお、制御部90は、人検知部50からの検知信号の出力が停止された時刻が時刻T7以降である場合には、人検知部50からの検知信号の出力が停止されたら直ちに便蓋21の閉動作を実行させる。
【0044】
この時、制御部90は、便蓋21が全開位置P3から直立位置P2に至るまでの間に、背面照明30及び足元照明40から照射している照明光の強度を低下させ始める。本実施形態の場合、制御部90は、全開位置P3にある便蓋21が閉じ始める時刻T7において背面照明30及び足元照明40から照射している照明光の強度を低下させ始める。制御部90は、便蓋21が全閉位置P1に到達する時刻T9において消灯させるように、照明光の強度を徐々に変化させる。
【0045】
なお、背面照明30及び足元照明40から照射する各照明光を最大強度から低下させ始めるタイミングとしては、便蓋21が全開位置P3から直立位置P2に到達するまでのいずれかのタイミングであればよい。背面照明30及び足元照明40から照射する各照明光を最大強度から低下させ始めるタイミングは、後方壁面で反射した照明光が便蓋21に遮られることなく使用者に当たることを回避するという観点から、閉動作する便蓋21が直立位置P2に到達する前であることが好ましい。
【0046】
上記構成の便器装置100の作用及び効果について説明する。実施形態1に係る便器装置100は、機能部23と、便蓋21と、背面照明30と、制御部90とを備えている。機能部23は、便鉢部11を有する便器本体10の後部に配置される。便蓋21は、便鉢部11を覆った全閉位置P1と便鉢部11を開放した全開位置P3との間で回転自在に機能部23に支持されている。背面照明30は、便器本体10の後方に向けて照明光を照射する。制御部90は、便蓋21の開度に応じて背面照明30から照射する照明光の強度を徐々に変化させる制御を実行する。このような構成によって、便器装置100は、照明光による良好な演出を行うことができる。
【0047】
例えば、便器装置100は、便器装置100の使用者に対して、便蓋21が徐々に開くのに合わせて、背面照明30からの照明光の強度が徐々に明るく変化する様を視認させることができる。背面照明30は、例えば便器装置100の背後に壁面が位置する場合においてこの壁面を照らすことによって、便器装置100を前方から見た使用者に対し、便蓋21をシルエット状に浮かび上がらせて便蓋21の輪郭を視認させる演出を行うことができる。このように、便器装置100は、照明光による良好な演出を行うことができる。
【0048】
便器装置100において、背面照明30は、便蓋21の後方において後方に向けて照明光を照射するため、通常は便器装置100の前方に位置する使用者に対して、照明光を直接的に照射しない。このため、便器装置100は、例えば夜間の就寝途中の用便等においてトイレルームに入室した使用者が照明光に照らされて覚醒してしまうこと等を抑制することができる。
【0049】
便器装置100は、検知部としての人検知部50と、開閉部としての便蓋開閉部21Aを備えている。人検知部50は、所定範囲内に位置する使用者を検知する。便蓋開閉部21Aは、人検知部50の検知結果に応じて便蓋21の開閉動作を実行する。制御部90は、人検知部50が使用者を検知した後、便蓋21の開動作を便蓋開閉部21Aに実行させる。これと併せて、制御部90は、便蓋21が全閉位置P1から全開位置P3に至るまでの間に、背面照明30からの照明光の照射を開始させる。このため、便器装置100は、照明光による一層良好な演出を行うことができる。
【0050】
便器装置100において、制御部90は、人検知部50が使用者を検知しなくなった後、便蓋21の閉動作を便蓋開閉部21Aに実行させる。これと併せて、制御部90は、便蓋21が全開位置P3と全閉位置P1との間の位置である直立位置P2に至るまでの間に、背面照明30からの照明光の強度を低下させ始める。このため、便器装置100は、照明光による一層良好な演出を行うことができる。
【0051】
便器装置100は足元照明40を備えている。足元照明40は、便器本体10の外側下方として、左右の外側下方に向けて照明光を照射する。このため、便器装置100は、使用者に足元を良好に視認させることができる。
【0052】
便器装置100において、制御部90は、背面照明30から照射させる照明光の強度の変化と連動させて足元照明40から照射させる照明光の強度を徐々に変化させる。このため、便器装置100は、照明光による一層良好な演出を行うことができる。
【0053】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0054】
本開示に係る便器本体、機能部、便蓋等の形状、構成等は、上記実施形態において例示した形状、構成等に限定されない。
【0055】
本開示に係る背面照明の構成等は、上記実施形態の構成等に限定されない。背面照明から照射する照明光は、例えば、昼白色(色温度5000K程度)、昼光色(色温度6200K程度)等、電球色以外の色温度の光であってもよい。
【0056】
背面照明において便蓋の開度に応じて照射する照明光の強度を徐々に変化させる形態は、上記実施形態に限定されない。背面照明は、例えば、照明光を照射している状態から、便蓋の開度に応じて徐々に照射強度を変化させてもよい。
【0057】
本開示に係る便器装置において、足元照明を備えることは必須ではない。便器装置が足元照明を備える場合、足元照明は、照射する照明光の強度を背面照明から照射させる照明光の強度の変化と連動させなくてもよい。足元照明と背面照明とは、それぞれ別々に、照明光の照射形態を制御部に制御されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…便器本体、11…便鉢部、21…便蓋、21A…便蓋開閉部(開閉部)、23…機能部、30…背面照明、40…足元照明、50…人検知部(検知部)、90…制御部、100…便器装置、P1…全閉位置、P2…直立位置、P3…全開位置