IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三和シヤッター工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-開き戸 図1
  • 特開-開き戸 図2
  • 特開-開き戸 図3
  • 特開-開き戸 図4
  • 特開-開き戸 図5
  • 特開-開き戸 図6
  • 特開-開き戸 図7
  • 特開-開き戸 図8
  • 特開-開き戸 図9
  • 特開-開き戸 図10
  • 特開-開き戸 図11
  • 特開-開き戸 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135710
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】開き戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20240927BHJP
   E06B 3/38 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046529
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】山本 雄治
【テーマコード(参考)】
2E014
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014EB01
2E014EB02
2E239CA03
2E239CA12
2E239CA47
2E239CA67
2E239CA68
(57)【要約】
【課題】部材の製作容易性や、部材の位置決めや交換の容易性を追求しつつ、開き戸の扉体の反り防止及び表面材の開き防止を図る。
【解決手段】
上下のピボットヒンジ9によって開口部に支持された開き戸の扉体1において、扉体1の戸尻側見込面は、扉体の見付面を形成する表面材14、15を折り曲げてなる見込辺141、151から形成されており、扉体1の戸尻側見込面の高さ方向の所定部位には、反り防止用突起部5が突設されており、扉体1の戸尻側見込面の高さ方向の所定部位には、見込辺141、151を押さえて固定する表面材押えプレート6が設けてあり、表面材押えプレート6と反り防止用突起部5が別体である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下のピボットヒンジによって開口部に支持された開き戸の扉体において、
扉体の戸尻側見込面は、扉体の見付面を形成する表面材を折り曲げてなる見込辺から形成されており、
前記扉体の戸尻側見込面の高さ方向の所定部位には、反り防止用突起部が突設されており、
前記扉体の戸尻側見込面の高さ方向の所定部位には、前記見込辺を押さえて固定する表面材押えプレートが設けてあり、前記表面材押えプレートと前記反り防止用突起部が別体である、
開き戸。
【請求項2】
前記扉体に内蔵された戸尻側縦フレームの見込辺と、前記表面材の前記見込辺との間にはスペースが設けてあり、
前記スペースには、前記所定高さに位置して固定プレートが設けてあり、
前記反り防止用突起部及び前記表面材押えプレートは、前記固定プレートに固定されている、
請求項1に記載の開き戸。
【請求項3】
前記扉体の前記戸尻側見込面は、第1見付面を形成する第1表面材を折り曲げてなる第1見込辺と、第2見付面を形成する第2表面材を折り曲げてなる第2見込辺と、からなり、
前記表面材押えプレートは、前記第1見込辺、前記第2見込辺を押さえるように設けられる、
請求項2に記載の開き戸。
【請求項4】
前記第1見込辺の先端には戸尻側縦フレームの前記見込辺へ向かう第1折曲片が形成されており、
前記第2見込辺の先端には戸尻側縦フレームの前記見込辺へ向かう第2折曲片が形成されており、
前記第1折曲片と前記第2折曲片は、前記スペース内で当接しており、
前記固定プレートが設けられた部位には、前記第1折曲片及び前記第2折曲片は形成されておらず、かかる部位において、前記第1見込辺と前記第2見込辺の間に高さ方向の延びる隙間が形成されており、
前記反り防止用突起部及び前記表面材押えプレートは、前記隙間を塞いでいる、
請求項3に記載の開き戸。
【請求項5】
前記表面材押えプレートには開口が形成されており、
前記反り防止用突起部は、前記開口内に位置して、前記扉体の前記戸尻側見込面に固定されている、
請求項1~4いずれか1項に記載の開き戸。
【請求項6】
前記表面材押えプレートは、前記第1見込辺を押さえる第1表面材押えプレートと、前記第2見込辺を押さえる第2表面材押えプレートと、からなる、
請求項3、4いずれか1項に記載の開き戸。
【請求項7】
前記反り防止用突起部は第1の高さ位置に設けてあり、
前記表面材押えプレートは、第1の高さ位置とは異なる第2の高さ位置に設けてあり、前記第1見込辺、前記第2見込辺に跨るような幅寸法を備えている、
請求項3、4いずれか1項に記載の開き戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開き戸に係り、詳しくは、防火性能を備えた開き戸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
開き戸の扉体は、戸尻側部位が開口枠に対して回動可能に支持されており、扉体の全閉姿勢では、扉体の戸先側見込面から突出するラッチが開口枠の戸先側縦枠(両開き戸の場合には、他方の扉体の戸先側見込面に形成された)に設けられたラッチ受けに係止するようになっている。全閉姿勢にある開き戸において、火災が発生すると、火災時の熱で扉体が反るように変形するおそれがあるが、変形が大きくなると、扉体と開口枠との間に防火上不利な隙間が生成されるおそれがある。扉体の反りは高さ方向の中央部位で大きくなり得るが、扉体の戸先側見込面から突出するラッチの高さ位置は、扉体の高さ方向の略中央部位に位置するので、ラッチが開口枠(両開き戸の場合には、他方の扉体)に係止することで、扉体の戸先側部位の反りを抑制することができる。
【0003】
一方、扉体の回動支持手段としてピボットヒンジが採用されている場合には、扉体の戸尻側見込面は開口枠の戸尻側縦枠に高さ方向に亘って連結される部位が無いため、扉体の戸尻側の高さ方向中央部位において反りが生じるおそれがあり、反りが大きくなると扉体の戸尻側見込面と戸尻側縦枠との間に防火上不利な隙間が生成されることになる。また、扉体の戸尻側部位が反ることによって、扉体の戸尻側見込面を形成する表面材(火災時の熱で力骨との接着力が弱くなっている)が高さ方向中央部位で開いてしまうおそれがあり、この表面材の開きも防火上不利である。
【0004】
扉体の戸尻側見込面の所定高さ位置に突部を設け、開口部全閉時に当該突部が開口枠の戸尻側縦枠の見込面の凹部内に位置することで、火災時の扉体の反りを防止しようとするアイデアは古くから存在する(特許文献1)。扉体の反りの規制に加えて、表面材(火災時の熱によって力骨との接着力が弱まる)の開きを防止することが望ましいが、本発明者は、扉体の反り防止手段と、表面材の開き防止手段を別々の部材から構成することで、各部材の製作容易性や、各部材の位置決めや部材の交換の容易性を追求した。
【特許文献1】実公昭51-14428
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、部材の製作容易性や、部材の位置決めや交換の容易性を追求しつつ、開き戸の扉体の反り防止及び表面材の開き防止を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
上下のピボットヒンジによって開口部に支持された開き戸の扉体において、
扉体の戸尻側見込面は、扉体の見付面を形成する表面材を折り曲げてなる見込辺から形成されており、
前記扉体の戸尻側見込面の高さ方向の所定部位には、反り防止用突起部が突設されており、
前記扉体の戸尻側見込面の高さ方向の所定部位には、前記見込辺を押さえて固定する表面材押えプレートが設けてあり、前記表面材押えプレートと前記反り防止用突起部が別体である、
開き戸、である。
【0007】
1つの態様では、前記扉体に内蔵された戸尻側縦フレームの見込辺と、前記表面材の前記見込辺との間にはスペースが設けてあり、
前記スペースには、前記所定高さに位置して固定プレートが設けてあり、
前記反り防止用突起部及び前記表面材押えプレートは、前記固定プレートに固定されている。
【0008】
1つの態様では、前記扉体の前記戸尻側見込面は、第1見付面を形成する第1表面材を折り曲げてなる第1見込辺と、第2見付面を形成する第2表面材を折り曲げてなる第2見込辺と、からなり、
前記表面材押えプレートは、前記第1見込辺、前記第2見込辺を押さえるように設けられる。
【0009】
1つの態様では、前記第1見込辺の先端には戸尻側縦フレームの前記見込辺へ向かう第1折曲片が形成されており、
前記第2見込辺の先端には戸尻側縦フレームの前記見込辺へ向かう第2折曲片が形成されており、
前記第1折曲片と前記第2折曲片は、前記スペース内で当接しており、
前記固定プレートが設けられた部位には、前記第1折曲片及び前記第2折曲片は形成されておらず、かかる部位において、前記第1見込辺と前記第2見込辺の間に高さ方向の延びる隙間が形成されており、
前記反り防止用突起部及び前記表面材押えプレートは、前記隙間を塞いでいる。
なお、前記隙間は完全に塞がれていなくてもよく、部分的に塞がれない部位があってもよい。
【0010】
1つの態様では、前記表面材押えプレートには開口が形成されており、
前記反り防止用突起部は、前記開口内に位置して、前記扉体の前記戸尻側見込面に固定されている。
1つの態様では、前記表面材押えプレートは、前記第1見込辺、前記第2見込辺に跨るような幅寸法を備えている。
【0011】
1つの態様では、前記表面材押えプレートは、前記第1見込辺を押さえる第1表面材押えプレートと、前記第2見込辺を押さえる第2表面材押えプレートと、からなる。
【0012】
1つの態様では、前記反り防止用突起部は第1の高さ位置に設けてあり、
前記表面材押えプレートは、第1の高さ位置とは異なる第2の高さ位置に設けてあり、前記第1見込辺、前記第2見込辺に跨るような幅寸法を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、別部材からなる反り防止用突起部と表面材押えプレートを用いて、火災時における開き戸の扉体の反り防止、表面材の開きを防止を図ることで、各部材の製作容易性や、各部材の位置決めや交換の容易性を追求しつつ、防火性能を確保している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る開き戸(開口部全閉時)を室外側から見た正面図である。
図2】本実施形態に係る開き戸(開口部全閉時)の縦断面図である。
図3】本実施形態に係る開き戸(開口部全閉時)の横断面図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5】開口部全閉時の開き戸の戸尻側部位(戸尻側縦枠3)の部分縦断面図である。
図6】第1実施形態を示す図であり、(A)は扉体の戸尻側面部の高さ方向中間部位の部分図、(B)は図7(A)の縦断面図(A1視)である。
図7】上図は、図6(A)の横断面図(A2視)、下図は、図6(A)の横断面図(A3視)である。
図8図6において、反り防止用突起部及び表面材押えプレートを取り外した状態を示す図である。
図9】(A)は第1実施形態に係る反り防止用突起部、(B)は第1実施形態に係る表面材押えプレート、(C)は第1実施形態に係る固定プレートを示す図である。
図10】第2実施形態を示す図であり、(A)は扉体の戸尻側面部の高さ方向中間部位の部分図、(B)は図10(A)の縦断面図(A4視)であり、(C)は図10(A)の横断面図(A5視)である。
図11】第3実施形態を示す図であり、(A)は扉体の戸尻側面部の高さ方向中間部位の部分図、(B)は図11(A)の縦断面図(A6視)であり、(C)は図11(A)の横断面図(A7視)である。
図12図11において、反り防止用突起部及び表面材押えプレートを取り外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]開き戸の全体構成
図1図3に示すように、本実施形態に係る開き戸は、両開き戸であり、第1扉体1と第2扉体1´によって開口部を開閉する。開口部は上枠2と、左右の戸尻側縦枠3、3´と、下枠4と、から形成された四周状の開口枠からなる。第1扉体1と第2扉体1´は、戸先側部位の構成及び形状を除いて、実質的な構成は同じであり、本明細書においては、第1扉体1と第2扉体1´を識別して説明する場合を除き、総称「扉体1」を用いて、本実施形態に係る開き戸を説明する。なお、本明細書に開示される扉体の反り防止手段及び表面材の開き防止手段は、そのまま片開き戸の扉体にも適用されることが当業者に理解される。
【0016】
図2図3に示すように、扉体1の力骨、すなわちフレームは、上フレーム10と、下フレーム11と、戸先側縦フレーム12と、戸尻側縦フレーム13と、から四周枠状に形成されており、フレームに対して第1表面材14と、第2表面材15を貼り付けることで、扉体1の外面(第1見付面、第2見付面、戸先側見込面、戸尻側見込面、上面、下面、)が形成される。各フレーム10~13は、見込面と、一対の見付面と、から断面視コ字形状を有しているが、この形状は周知の形状であるため、詳細な説明は省略する。
【0017】
第1表面材14は、第1見付面140と、第1見付面140の周縁の折曲辺、すなわち上辺、下辺、戸先側見込辺、戸尻側見込辺とからなる。第2表面材15は、第2見付面150と、第2見付面150の周縁の折曲辺、すなわち上辺、下辺、戸先側見込辺、戸尻側見込辺とからなる。本実施形態では、扉体1が全閉姿勢にある時に、第1見付面140が室外側に面し、第2見付面150が室内側に面している。
【0018】
第1表面材14の第1見付面140の周縁部位がフレームに接着剤で接着されている。より具体的には、第1見付面140の上端部位が上フレーム10の第1見付辺に接着され、下端部位が下フレーム11の第1見付辺に接着され、戸先側部位が、戸先側縦フレーム12の第1見付辺に接着され、戸尻側部位が、戸尻側縦フレーム13の第1見付辺131に接着されている。
【0019】
第2表面材15の第2見付面150の周縁部位がフレームに接着されている。より具体的には、第2見付面150の上端部位が上フレーム10の第2見付辺に接着され、下端部位が下フレーム11の第2見付辺に接着され、戸先側部位が、戸先側縦フレーム12の第2見付辺に接着され、戸尻側部位が、戸尻側縦フレーム13の第2見付辺132に接着されている。
【0020】
扉体1は、戸尻側部位(第1見付面140の戸尻側部位)の上下端部がピボットヒンジ9によって開口枠に対して回動可能に取付らている。第1表面材14の第1上辺と第2表面材15の第2上辺とから扉体1の上面が形成されており、第1表面材14の第1下辺と第2表面材15の第2下辺とから扉体1の下面が形成されており、第1表面材14の第1戸先側見込辺と第2表面材15の第2戸先側見込辺とから扉体1の戸先側見込面が形成されており、第1戸尻側見込辺141と第2戸尻側見込辺151とから扉体1の戸尻側見込面が形成されている。
【0021】
[B]第1実施形態
図1に示すように、本実施形態に係る扉体1の戸尻側見込面には、高さ方向中間位置において、反り防止用突起部5が突設されている。図4に示すように、戸尻側縦枠3は、第1見付面30と、第1見付面30よりも幅広の第2見付面31と、第1見付面30から延びる第1見込面32と、第2見付面31から延びる第2見込面33と、第1見込面32と第2見込面33を接続する中間見付面34と、を備え、開口部全閉時には、扉体1の戸尻側見込面が戸尻側縦枠3の第1見込面32に対向するようになっている。第1見込面32には、高さ方向中間に位置して所定高さの切り欠きが形成されており、第1見込面32の内面には戸尻側縦枠3の中空部に位置して、切り欠き部を囲むように箱状部材35が設けてあり、箱状部材35によって凹部36が形成されている。開口部全閉時に、扉体1の戸尻側見込面に突設した反り防止用突起部5が凹部36内に位置するようになっている。なお、中間見付面34に気密材を設けて、開口部全閉時に、扉体1の戸尻側部位と中間見付面34との間を塞ぐようにしてもよい。
【0022】
扉体1の戸尻側見込面の高さ方向の所定部位には、第1戸尻側見込辺141と第2戸尻側見込辺151を押さえて固定する表面材押えプレート6が設けてあり、表面材押えプレート6と反り防止用突起部5は別部材から構成されている。第1実施形態では、表面材押えプレート6には開口60が形成されており、反り防止用突起部5は開口60に位置して突出している(図4図6参照)。
【0023】
図7下図に示すように、本実施形態では、第1戸尻側見込辺141と第2戸尻側見込辺151は、戸尻側縦フレーム13の見込面130と離間対向しており、高さ方向に延びるスペースSが形成されている。第1戸尻側見込辺141の先端には戸尻側縦フレーム13の見込面130に向かう折曲片142が形成されており、第2戸尻側見込辺151の先端には戸尻側縦フレーム13の見込面130に向かう折曲片152が形成されている。折曲片142及び折曲片152の寸法(見付寸法)は、スペースSの間隔よりも少し短く、スペースSにおいて、第1戸尻側見込辺141と第2戸尻側見込辺151が当接しており、折曲片142及び折曲片152の先端は戸尻側縦フレーム13の見込面130に近接(当接していてもよい)している。
【0024】
扉体1の高さ方向略中間の所定部位において、第1表面材14の折曲片142及び第2表面材15の折曲片152が切り欠かれており、この切り欠き部位において、戸尻側縦フレーム13の見込面130と、第1表面材14の第1戸尻側見込辺141及び第2表面材15の第2戸尻側見込辺151とのスペースSに位置して、固定プレート7が設けてある(図6図7上図、図8参照)。
【0025】
固定プレート7は、かかるスペースS(見込面130と、第1戸尻側見込辺141及び第2戸尻側見込辺151との間隔)に相当する厚さを備えた長方形状のプレートであり、戸尻側縦フレーム13の見込面130の幅寸法よりも少し小さい幅寸法を備えている。図9(C)に示すように、固定プレート7には、当該固定プレート7を戸尻側縦フレーム13の見込面130に固定する螺子80の螺子孔70と、反り防止用突起部5を扉体1の戸尻側見込面に固定する螺子81の螺子孔71と、表面材押えプレート6を扉体1の戸尻側見込面に固定する螺子82の螺子孔72と、を備えている。
【0026】
第1表面材14の折曲片142及び第2表面材15の折曲片152の切り欠き部位において、第1戸尻側見込辺141の端縁(切り欠き縁)と第2戸尻側見込辺151の端縁(切り欠き縁)との間には、高さ方向に延びる隙間16が形成されている(図6(A)、図8参照)。この隙間16は、折曲片142及び折曲片152の厚さ分の寸法となっている。また、隙間16において、反り防止用突起部5を固定する螺子81に対応して円形状部160が形成されている。円形状部160は、第1戸尻側見込辺141の端縁(切り欠き縁)と第2戸尻側見込辺151の端縁(切り欠き縁)にそれぞれ形成した半円状の切り欠き部の組み合わせから形成されている。なお、第1戸尻側見込辺141の端縁と第2戸尻側見込辺151の端縁を当接させて隙間が生成されないようにしてもよい。また、反り防止用突出部5の上下端縁を開口60の上下端縁に当接させるようにして隙間が生成されないようにしてもよい。
【0027】
図9(B)に示すように、第1実施形態に係る表面材押えプレート6は、長方形状のプレートであり、高さ寸法は、固定プレート7よりも少し大きく、幅寸法は、固定プレート7よりも少し小さく(これには限定されず、逆に大きくてもよい)、厚さは、固定プレート7よりも肉薄である。表面材押えプレート6の中央には縦長の方形状の開口60が形成されている。開口60の形状及び寸法は、反り防止用突出部5の断面形状及び寸法よりも僅かに大きい寸法となっている。表面材押えプレート6には、開口60の上端の両側、下端の両側に位置して、表面材押えプレート6の固定用の螺子82を受け入れる孔61が形成されている。表面材押えプレート6の幅寸法は、第1戸尻側見込辺141及び第2戸尻側見込辺151に跨るように設けらることが可能な幅寸法となっている。表面材押えプレート6は、隙間16の高さ方向の上方部位及び下方部位を塞ぐように設けられている。
【0028】
扉体1の戸尻側見込面を形成する、第1戸尻側見込辺141と第2戸尻側見込辺151は、扉体1の高さ方向の中央部位において、表面材押えプレート6によって押さえ付けられた状態で、螺子82によって、第1戸尻側見込辺141及び第2戸尻側見込辺151の裏面に位置する固定プレート7に固定されている。したがって、火災時の熱によって、第1表面材14、第2表面材15をフレームに接着する接着剤が溶けた場合であっても、扉体1の戸尻側見込面における高さ方向中央部位において、第1戸尻側見込辺141ないし第2戸尻側見込辺151が開くように変形することが可及的に防止される。図示の態様では、螺子82を上下2箇所で固定しているが、螺子82による固定箇所を高さ方向に3ヵ所以上としてもよい。表面材押えプレート6及び固定プレート7の高さ寸法を伸ばして、螺子82による固定箇所を増やしてもよい。螺子82による固定箇所を増やすことで、火災時における第1戸尻側見込辺141と第2戸尻側見込辺151の変形(開き)をより確実に防止する。
【0029】
図9(A)に示すように、反り防止用突起部5は、縦長の直方体状のブロックであり、表面材押えプレート6の開口60の高さ寸法よりも少し小さい高さ寸法(縦幅)と、開口60の幅寸法よりも少し小さい幅寸法(横幅)と、開口60に位置して、戸尻側見込面(第1戸尻側見込辺141及び第2戸尻側見込辺151)に対して所定寸法突出する厚さ(高さ)を有している。反り防止用突起部6の上下には、反り防止用突起部6を固定プレート7に固定するための螺子81を受け入れる孔50が形成されている。反り防止用突起部5は、隙間16の高さ方向の大部分を塞ぐように設けられている。なお、本実施形態では、表面材押えプレート6の開口60の上縁と反り防止用突起部5の上面とのクリアランス、開口60の下縁と反り防止用突起部5の下面とのクリアランスに位置して、高さ方向に延びる隙間16が露出している。反り防止用突起部5と表面材押えプレート6は別部材から構成されており、別の螺子81、82を用いて扉体1の戸尻側見込面に固定されているので、反り防止用突起部5と表面材押えプレート6を独立して着脱することが可能である。
【0030】
上述の扉体1の戸尻側見込面の反り防止手段及び表面材の開き防止手段は、第1扉体1の戸尻側見込面、第2扉体1´の戸尻側見込面の両方に共通する構成であり、開口部全閉時には、第1扉体1の戸尻側見込面に突設された反り防止用突起部5が、戸尻側縦枠3の第1見込面32の凹部36内に位置しており、第2扉体1´の戸尻側見込面に突設された反り防止用突起部5が、戸尻側縦枠3の第1見込面32の凹部36内に位置している。第1扉体1の戸先側部位と第2扉体1´の戸先側部位は召し合わせ状の位置関係にあり(第1扉体1の戸先側縦フレーム12と第2扉体1´の戸先側縦フレーム12´は異なる形状を備えている)、第1扉体1の戸先側見込面から突出するラッチ(図示せず)が、第2扉体1´の戸先側見込面に形成したラッチ受(図示せず)に係止状態にある。
【0031】
開口部全閉時に火災が発生した場合には、第1扉体1、第2扉体1´が火災の熱に曝されて反るような挙動を示すが、この時、第1扉体1の戸尻側部位の高さ方向中央部位は、反り防止用突起部5が戸尻側縦枠3の第1見込面32の凹部36内に位置しており、第2扉体1´の戸尻側部位の高さ方向中央部位は、反り防止用突起部5が戸尻側縦枠3の第1見込面32の凹部36内に位置しており、第1扉体1及び第2扉体1´の戸先側部位の高さ方向中央部位はラッチによって係止状態にあり、第1扉体1、第2扉体1´の高さ方向中央部位の反りを規制することで、第1扉体1、第2扉体1´と開口枠との間に防火上不利な隙間が生成されることを防止する。
【0032】
[C]第2実施形態
図10に示すように、第2実施形態は、2枚の表面材押えプレート6A、6Bを採用した点において、第1実施形態と異なる。反り防止用突起部5、固定プレート7の構成については、第1実施形態に係る反り防止用突起部5、固定プレート7の記載を援用することができる。すなわち、開口部全閉時に火災が発生した場合には、扉体1が火災の熱に曝されて反るような挙動を示すが、この時、扉体1の戸尻側部位の高さ方向中央部位は、反り防止用突起部5が戸尻側縦枠3の第1見込面32の凹部36内に位置しており、反り防止用突起部5が凹部36に当たることで、扉体1の戸尻側部位の高さ方向中央部位の反りを規制し、扉体1と開口枠との間に防火上不利な隙間が生成されることを防止する。
【0033】
第2実施形態に係る表面材押えプレート6A、6Bの高さ寸法は、反り防止用突起部5の高さ寸法(縦幅)と略同じであり、表面材押えプレート6A、6Bの幅寸法(横幅)は、第1実施形態に係る表面材押えプレート6の幅よりも細幅であり、反り防止用突起部5の幅寸法(横幅)と略同じである。表面材押えプレート6A、6Bは、反り防止用突起部5の両側に位置して、第1戸尻側見込辺141、第2戸尻側見込辺151の高さ方向中央部位をそれぞれ押さえ付けるようにして、螺子82によって、固定プレート7にそれぞれ固定される。反り防止用突起部5と表面材押えプレート6A、6Bは別部材から構成されており、別の螺子81、82を用いて扉体1の戸尻側見込面に固定されているので、反り防止用突起部5と表面材押えプレート6A、6Bを独立して着脱することが可能である。なお、図示の態様では、螺子82を上下2箇所で固定しているが、表面材押えプレート6A、6B及び固定プレート7の高さ寸法を伸ばして、螺子82による固定箇所を3ヵ所以上に増やしてもよい。
【0034】
[B]第3実施形態
図11に示すように、第3実施形態は、反り防止用突起部5と、表面材押えプレート6´が、異なる高さ位置に設けてある点において、第1実施形態と異なる。反り防止用突起部5、固定プレート7の構成については、第1実施形態に係る反り防止用突起部5、固定プレート7の記載を援用することができる。すなわち、開口部全閉時に火災が発生した場合には、扉体1が火災の熱に曝されて反るような挙動を示すが、この時、扉体1の戸尻側部位の高さ方向中央部位は、反り防止用突起部5が戸尻側縦枠3の第1見込面32の凹部36内に位置しており、反り防止用突起部5が凹部36に当たることで、扉体1の戸尻側部位の高さ方向中央部位の反りを規制し、扉体1と開口枠との間に防火上不利な隙間が生成されることを防止する。
【0035】
第3実施形態に係る表面材押えプレート6´は、反り防止用突起部5と異なる高さ位置に設けられているが、表面材押えプレート6´の構成は、開口60を備えていない点を除いて、第1実施形態に係る表面材押えプレート6と同じである。第3実施形態では、図12に示すように、扉体1の高さ方向略中間の2ヵ所の所定部位において、第1表面材14の折曲片142及び第2表面材15の折曲片152が切り欠かれており、2つの切り欠き部位において、戸尻側縦フレーム13の見込面130と、第1表面材14の第1戸尻側見込辺141及び第2表面材15の第2戸尻側見込辺151とのスペースSに位置して、固定プレート7が設けてある。図11に示すように、表面材押えプレート6´が、第1戸尻側見込辺141と第2戸尻側見込辺151を押さえ付けた状態で、螺子82によって上側の固定プレート7に固定されており、反り防止用突起部5が表面材押えプレート6´の下方に位置して、螺子81によって下側の固定プレート7に固定されている。
【符号の説明】
【0036】
1 第1扉体(扉体)
3 戸尻側縦枠
32 第1見込面
35 箱状部材
36 凹部
5 反り防止用突起部
6 表面材押えプレート
6A 表面材押えプレート(第1表面材押えプレート)
6B 表面材押えプレート(第2表面材押えプレート)
60 開口
7 固定プレート
9 ピボットヒンジ
13 戸尻側縦フレーム
130 見込面(見込辺)
14 第1表面材
140 第1見付面
141 第1戸尻側見込辺
142 折曲片(第1折曲片)
15 第2表面材
150 第2見付面
151 第2戸尻側見込辺
152 折曲片(第2折曲片)
16 隙間
S スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12