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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135717
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H01R13/46 304L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046546
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】儀賀 良輔
(72)【発明者】
【氏名】堀口 裕紀
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE14
5E087MM04
5E087MM05
5E087MM09
5E087MM12
5E087QQ04
5E087RR26
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】コネクタ嵌合状態における、ボルトナットの取り外しを規制する。
【解決手段】
相手側コネクタ1に対して嵌合するコネクタ20であって、インナハウジング21A、21Bと、アウタハウジング23と、を含み、前記インナハウジング21A、21Bは、端子金具を収容するキャビティ22A、22Bを有し、前記アウタハウジング23は、前記インナハウジング21A、21Bを収容するアウタハウジング本体24と、前記アウタハウジング本体24に設けられた取り外し規制部50と、を備え、前記相手側コネクタ1は、取付箇所Fに対して、螺子部材11により固定され、前記螺子部材11の軸方向D3は、コネクタ嵌合方向D1と直交し、前記取り外し規制部50は、コネクタ嵌合状態において、前記螺子部材11の軸方向D3から見みて、少なくとも一部が前記螺子部材11に対して重なる対向壁部51を有する、コネクタ。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタに対して嵌合するコネクタであって、
インナハウジングと、
アウタハウジングと、を含み、
前記インナハウジングは、端子金具を収容するキャビティを有し、
前記アウタハウジングは、
前記インナハウジングを収容するアウタハウジング本体と、
前記アウタハウジング本体に設けられた取り外し規制部と、を備え、
前記相手側コネクタは、取付箇所に対して、螺子部材により固定され、
前記螺子部材の軸方向は、コネクタ嵌合方向と直交し、
前記取り外し規制部は、コネクタ嵌合状態において、前記螺子部材の軸方向から見みて、少なくとも一部が前記螺子部材に対して重なる対向壁部を有する、コネクタ。
【請求項2】
前記アウタハウジング本体に対して回転可能に組み付けられたレバーを含み、
前記レバーは、両コネクタが嵌合する嵌合位置と嵌合を解除する嵌合解除位置との間で回動し、両コネクタの嵌合及び離脱を倍力機構によって補助し、
前記取り外し規制部には、前記嵌合位置から前記嵌合解除位置まで回転した前記レバーと当接することにより、前記嵌合解除位置において前記レバーの回転を規制する回転ストッパが設けられている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記取り外し規制部は、コネクタ嵌合状態において、前記螺子部材の外周を囲む周壁部を有する、請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記相手側コネクタは基板に接続される基板用コネクタであり、
前記アウタハウジング本体には、前記基板及び前記基板に接続される端子を覆うカバー部が設けられている、請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタの一例として、特開2016-91817号公報(下記特許文献1の図19)に記載のコネクタが知られている。このコネクタは、壁部に対してボルトで固定されたコネクタに対して、相手方コネクタが嵌合する構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
嵌合する両コネクタのうち一方のコネクタが、壁やフロア等の取付箇所に対して、ボルトナット等の螺子部材で固定されている場合、メンテナンスや修理等で、取付箇所からコネクタを取り外すには、まず、両コネクタの嵌合を解除し、一方のコネクタから他方のコネクタを取り外す。その後、ボルトナット等の螺子部材を外して、壁やフロア等の取付箇所から一方のコネクタを取り外す手順が考えられる。
しかし、上記の取り外し手順が守られず、コネクタが嵌合した状態のまま、ボルトナット等の螺子部材が外されると、電線やコネクタ嵌合部に無理な力が加わる可能性がある。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、コネクタ嵌合状態において、螺子部材の取り外しが行われることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、相手側コネクタに対して嵌合するコネクタであって、インナハウジングと、アウタハウジングと、を含み、前記インナハウジングは、端子金具を収容するキャビティを有し、前記アウタハウジングは、前記インナハウジングを収容するアウタハウジング本体と、前記アウタハウジング本体に設けられた取り外し規制部と、を備え、前記相手側コネクタは、取付箇所に対して、螺子部材により固定され、前記螺子部材の軸方向は、コネクタ嵌合方向と直交し、前記取り外し規制部は、コネクタ嵌合状態において、前記螺子部材の軸方向から見みて、少なくとも一部が前記螺子部材に対して重なる対向壁部を有する、コネクタ。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタ嵌合状態における、螺子部材の取り外しを規制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1において、斜め上方から見たコネクタと相手側コネクタの非嵌合状態を示す斜視図である。
図2図2は、斜め上方から見たコネクタと相手側コネクタの嵌合状態を示す斜視図である。
図3図3は、コネクタの分解斜視図である。
図4図4は、後方から見たアウタハウジングの斜視図である。
図5図5は、前方から見たアウタハウジングの斜視図である。
図6図6は、レバーの斜視図である。
図7図7は、コネクタと相手側コネクタの非嵌合状態を示す水平断面図である。
図8図8は、コネクタと相手側コネクタの嵌合状態を示す水平断面図である。
図9図9は、レバーの嵌合位置を示すコネクタと相手側コネクタの平面図である。
図10図10は、レバーの嵌合解除位置を示すコネクタと相手側コネクタの平面図である。
図11図11は、図9のC-C線断面図である。
図12図12は、図9をA方向から見た図である。
図13図9を、B方向から見た図である。
図14図14は、実施形態2において、斜め上方から見たコネクタと相手側コネクタの非嵌合状態を示す斜視図である。
図15図15は、斜め上方から見たコネクタと相手側コネクタの非嵌合状態を示す斜視図である。
図16図16は、斜め下方から見たコネクタの斜視図である。
図17図17は、斜め上方から見たコネクタと相手側コネクタの嵌合状態を示す斜視図である。
図18図18は、コネクタと相手側コネクタの嵌合状態を示す平面図である。
図19図19は、図18のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
[1]本開示のコネクタは、相手側コネクタに対して嵌合するコネクタであって、インナハウジングと、アウタハウジングと、を含み、前記インナハウジングは、端子金具を収容するキャビティを有し、前記アウタハウジングは、前記インナハウジングを収容するアウタハウジング本体と、前記アウタハウジング本体に設けられた取り外し規制部と、を備え、前記相手側コネクタは、取付箇所に対して、螺子部材により固定され、前記螺子部材の軸方向は、コネクタ嵌合方向と直交し、前記取り外し規制部は、コネクタ嵌合状態において、前記螺子部材の軸方向から見みて、少なくとも一部が前記螺子部材に対して重なる対向壁部を有する、コネクタ。
【0010】
コネクタ嵌合状態において、螺子部材の軸方向から見みて、対向壁部のうち、少なくとも一部が螺子部材に対して重なる。これにより、螺子部材に対して軸方向から工具が装着されることを邪魔する。そのため、少なくとも軸方向から工具が装着され、螺子部材が取り外されることを規制できる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記アウタハウジング本体に対して回転可能に組み付けられたレバーを含み、前記レバーは、両コネクタが嵌合する嵌合位置と嵌合を解除する嵌合解除位置との間で回動し、両コネクタの嵌合及び離脱を倍力機構によって補助し、前記取り外し規制部には、前記嵌合位置から前記嵌合解除位置まで回転した前記レバーと当接することにより、前記嵌合解除位置において前記レバーの回転を規制する回転ストッパが設けられていてもよい。
【0012】
この構成は、レバーの回転を嵌合解除位置に規制することが可能であり、嵌合解除位置を超えるオーバー回転によるレバーの損傷を抑制できる。
【0013】
[3]上記[1]又は[2]において、前記取り外し規制部は、コネクタ嵌合状態において、前記螺子部材の外周を囲む周壁部を有してもよい。
【0014】
この構成は、螺子部材に対して外部から力が加わることを周壁部が妨げるから、螺子部材を保護することが出来る。
【0015】
[4]上記[1]から[3]において、前記相手側コネクタは基板に接続される基板用コネクタであり、前記アウタハウジング本体には、前記基板及び前記基板に接続される端子を覆うカバー部が設けられていてもよい。
【0016】
この構成は、基板及び端子を覆うカバー部材を別途設ける必要がなく、部品点数を削減することが出来る。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「垂直」や「直交」は、厳密に平行や垂直や直交の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直や直交の場合も含まれる。
【0018】
各図面では、互いに垂直な3方向を示し、当該3方向をそれぞれ第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3として示している。すなわち、第1方向D1と第2方向D2とは互いに垂直であり、第1方向D1と第3方向D3とは互いに垂直であり、第2方向D2と第3方向D3とは互いに垂直である。各方向を示す実線の両側に矢印を記載していることにより、符号が記載された側の矢印の方向のみならず、符号が記載されていない側の矢印の方向も当該方向を示すものとする。
【0019】
また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。
【0020】
また、本明細書における「対向」とは、面同士又は部材同士が互いに正面の位置にあることを指し、互いが完全に正面の位置にある場合だけでなく、互いが部分的に正面の位置にある場合を含む。また、本明細書における「対向」とは、2つの部分の間に、2つの部分とは別の部材が介在している場合と、2つの部分の間に何も介在していない場合の両方を含む。
【0021】
<実施形態1>
実施形態1のコネクタ20について、図1から図12を参照して開示する。コネクタ20は相手側コネクタ1に嵌合する。尚、以下の説明では、コネクタ嵌合方向を第1方向D1とし、キャビティ22A、22Bの並び方向を第2方向D2とし、上下方向を第3方向D3として説明を行う。また、前後については、嵌合面側を前、その逆側を後とする。
【0022】
(相手側コネクタ1の構成)
相手側コネクタ1は、車両機器に設けられるコネクタである。図1図2に示すように、相手側コネクタ1は、車両機器の壁部2及び相手側ハウジング3を備える。
【0023】
相手側ハウジング3は、例えば合成樹脂製である。相手側ハウジング3は、筒状であり、壁部2の壁面から第1方向D1に突出している。相手側ハウジング3の上面壁5には、第2方向D2に、所定距離を空けて一対のガイド壁7A、7Bが設けられている。一対のガイド壁7A、7Bの先端部には突部8が設けられている。突部8は一対のガイド壁7A、7Bから内向きに突出している。
【0024】
壁部2は車両のフロアF(金属製のボディ)に対して垂直な垂直壁である。壁部2は、装着部10を有している。装着部10は、車両のフロアFに沿った平面である。装着部10はボルト挿通孔(図略)を有している。車両のフロアFにはボルト12が取り付けられている。ボルト12は、相手側ハウジング3の側方において、軸線Lを第3方向D3(上下方向)に向けている。尚、ボルト12は、第1方向D1において、相手側ハウジング3の前端よりもやや後方に位置している。
【0025】
相手側コネクタ1は、フロアFに取り付けられたボルト12に対して、装着部10をナット締め込むことで、車両のフロアFに固定されている。以下、ボルト12とナット13を総称してボルトナット11と呼ぶ。ボルトナット11は本開示の「螺子部材」の一例である。
【0026】
(コネクタ20の構成)
コネクタ20は、図3に示すように、インナハウジング21A、21B、アウタハウジング23、フロントリテーナ32、シール部材34、リアホルダ35A、35B、電線カバー37及びレバー41を備える。
【0027】
(インナハウジング)
インナハウジング21A、21Bは、合成樹脂製であり、電線(図示せず)の末端が接続された端子金具(図示せず)を保持する部材である。インナハウジング21A、21Bは第1方向D1に長い長方形状であり、第3方向D3に2段の構成になっている。
【0028】
インナハウジング21A、21Bは、第2方向D2に複数のキャビティ22A、22Bを有している。キャビティ22A、22Bは第1方向D1に貫通して形成され、端子金具を収容する。
【0029】
(アウタハウジング)
アウタハウジング23は、合成樹脂製であり、図3に示すように、アウタハウジング本体24と、アウタハウジング本体24に設けられた取り外し規制部50と、を備える。
【0030】
(アウタハウジング本体24)
アウタハウジング本体24は、図4図5に示すように、収容部25とフード部27を備える。収容部25は、第1方向D1に貫通する角筒形状である。収容部25は、図4に示すように、隔壁26により上下に仕切られている。隔壁26により仕切られた上部空間は第1収容部25A、下部空間は第2収容部25Bである。第1収容部25Aは、上段のインナハウジング21Aの後部を収容し、第2収容部25Bは下段のインナハウジング21Bの後部を収容する。
【0031】
フード部27は、図5に示すように、収容部25の前方に位置している。フード部27は、収容部25より一回り大きな筒形状である。
【0032】
フード部27の下面には、レバー取付壁28が設けられている。レバー取付壁28の内面には軸部30Bが形成されている。フード部27の上面側も同様の構造になっており、軸部30Aを有するレバー取付壁29が設けられている。
【0033】
また、フード部27の側面には、リテーナ組み付け孔31が設けられている。リテーナ組み付け孔31は、フロントリテーナ32の組み付け用である。
【0034】
(フロントリテーナ32)
フロントリテーナ32は、合成樹脂製である。フロントリテーナ32は、アウタハウジング本体24のフード部27内に位置し、上下2段に配置されたインナハウジング21A、21Bの前部に取り付けられる。フロントリテーナ32は、第2方向D2に長い形状の抜け止め片33を有している。抜け止め片33は、上下2段に配置されたインナハウジング21A、21Bのキャビティ22に収容された端子金具を抜け止めする。
【0035】
(シール部材34)
シール部材34は、弾性材料より構成されている。シール部材34は、アウタハウジング本体24の収容部25の外形形状に倣った環状であり、アウタハウジング本体24の収容部25の外周面に嵌着される。シール部材34は、コネクタ嵌合時、相手側ハウジング3の内周面に密着する。
【0036】
(リアホルダ35A、35B)
リアホルダ35A、35Bは合成樹脂製であって、アウタハウジング本体24のうち、収容部25の後部空間に取り付けられている。リアホルダ35A、35Bは、上下2段に配置されたインナハウジング21A、21Bの後方に位置している。
【0037】
リアホルダ35A、35Bは、上下2段に配置されたインナハウジング21A、21Bに対応して上下2段の構成になっている。各リアホルダ35A、35Bには、対応するインナハウジング21A、21Bのキャビティ22A、22Bに対応して電線挿通孔36A、36Bを有している。
【0038】
(電線カバー37)
電線カバー37は、合成樹脂製であって、アウタハウジング本体24の後部に組付けられている。電線カバー37は、リアホルダ35A、35Bから導出された電線を保護するとともに、電線を所定方向に導出する部材である。
【0039】
電線カバー37の後面壁には、一部が切り欠かれた半円弧状の電線導出部38と並んで弾性ロック部39が設けられている。弾性ロック部39は、図2図8に示す嵌合位置において、レバー41をロックする部材である。
【0040】
(レバー41)
レバー41は、梃子の原理(倍力機構の一例)によって、相手側コネクタ1とコネクタ20の嵌合および離脱を補助する部材である。
【0041】
具体的に説明すると、レバー41は合成樹脂製であって、図6に示すように、一対のアーム部42、43と、連結部48を有する。連結部48は一対のアーム部42、43の先端同士を連結する。
【0042】
一対のアーム部42、43は、基端部42A、43Aに、軸孔45A、45Bを有している。軸孔45A、45Bは、アウタハウジング本体24のレバー取付壁28、29に形成された軸部30A、30Bと嵌合する。
【0043】
レバー41は、軸部30A、30Bを中心として、図1図7に示す嵌合解除位置と図2図8に示す嵌合位置との間で回転可能である。
【0044】
レバー41には、図7図8に示すように、第1カム46と第2カム47が設けられている。第1カム46と第2カム47は、各アーム部42、43の基端部42A、42Bにあって、軸孔45A、45Bの周囲に設けられている。第1カム46と第2カム47は、所定距離離れている。
【0045】
第1カム46と第2カム47は、相手側ハウジング3の突部8に対応する部材であり、レバー回転に伴って、コネクタ1、20の嵌合及びその離脱を行う。
【0046】
(取り外し規制部50)
取り外し規制部50は、相手側コネクタ1をフロアFに固定するボルトナット11に対応する部材であり、図1図2に示すように、アウタハウジング本体24の左右の側面壁のうち、ボルトナット11に近い右側面壁24Aに設けられている。
【0047】
取り外し規制部50は、対向壁部51と連結部52とからなる。対向壁部51は、概ね円柱形状である。図8図9に示すように、対向壁部51は、コネクタ嵌合状態において、ボルトナット11の軸方向である第3方向D3(上下方向)から見て、ほぼ全体がボルトナット11に対して重なる構成となっている。無論、ボルトナット11の中心Oにも重なる構成となっている。中心Oは、図7にて示す。
【0048】
連結部52はアウタハウジング本体24の右側面壁24Aと対向壁部51を連結する。連結部52の下部には、略三角形状の補強板53が設けられている。連結部52はレバー41の回転ストッパの役割を果たしており、図10に示すように、レバー41が嵌合位置から嵌合解除位置まで回転した時に、レバー41の前側の端面41Aが連結部52の後側の端面52Aに当接し、レバー41がそれ以上回転しないように、レバー41の回転を規制するようになっている。
【0049】
(コネクタ嵌合動作の説明)
レバー41が図1図7に示す嵌合解除位置にある状態で、コネクタ1、20を浅く嵌合させて行くと、第1カム46は相手側ハウジング3のガイド壁7A、7Bの間に移動する。その状態からレバー41を時計回りに回転してゆくと、回転する第1カム46が相手側ハウジング3の突部8を介して、第1方向D1の距離を縮めるように、両コネクタ1、20を引きつけてゆく。
【0050】
これにより、相手側ハウジング3に対してインナハウジング21A、21Bが嵌合してゆく。そして、レバー41が図2図8図9に示す嵌合位置まで回転すると、レバー41は電線カバー37の弾性ロック部39にロックするとともに、第1カム46が相手側ハウジング3の突部8に係止して、両コネクタ1、20は嵌合する。
【0051】
両コネクタ1、20が嵌合すると、相手側ハウジング3のタブ(図略)がインナハウジング21A、21Bの端子金具に接触する。また、図11に示すように、シール部材34が相手側ハウジング3の内面とアウタハウジング23の収容部25の外面に対して弾性的に接触して、両ハウジング間をシールする。
【0052】
そして、コネクタ嵌合状態では、図9図12図13に示すように、ボルトナット11の上方にアウタハウジング本体24に設けられた対向壁部51が位置する。これにより、図12図13に示すように、ボルトナット11に対して工具60のソケット61が装着されることを邪魔するから、工具60によるボルトナット11の取り外しを規制することができる。
【0053】
(コネクタ嵌合解除動作の説明)
また、レバー41を、図2図8図9に示す嵌合位置から反時計方向に回転すると、回転する第2カム47が相手側ハウジング3の突部8を介して、第1方向D1の距離を広げるように、両コネクタ1、20を引き離してゆく。
【0054】
レバー41が図10に示す嵌合解除位置まで回転すると、第1カム46が相手側ハウジング3の突部8から外れて、両コネクタ1、20の嵌合は解かれる。そして、図10に示す嵌合解除位置まで回転すると、レバー41は連結部52に当接し、それ以上の回転が連結部52により規制されるようになっている。
【0055】
(本実施形態の作用効果)
(1)両コネクタ1、20が嵌合した状態では、コネクタ20のアウタハウジング本体24に設けられた対向壁部51が、ボルトナット11の上方に位置し、ボルトナット11に対し、少なくとも上下方向(第3方向D3)からの工具アクセスを規制することが出来る。
【0056】
そのため、両コネクタ1、20の嵌合を解き、相手側コネクタ1からコネクタ20を外して、ボルトナット11の上方から対向壁部51を退けない限り、上下方向からの工具アクセスによるボルトナット11の取り外し作業を行うことは出来ない。
【0057】
そのため、嵌合した状態のままコネクタ全体(1、20)がフロアFから取り外され、電線やコネクタ嵌合部に無理な力が加わることを抑制できる。
【0058】
(2)アウタハウジング本体24と対向壁部51を連結する連結部52が、回転ストッパになっており、レバー41の回転を嵌合解除位置に規制する。これにより、嵌合解除位置を超えるオーバー回転によるレバー41の損傷を抑制できる。
【0059】
<実施形態2>
実施形態2のコネクタ130について、図14から図19を参照して開示する。コネクタ130は、相手側コネクタ100に嵌合する。
【0060】
(相手側コネクタ100の構成)
相手側コネクタ100は、基板用コネクタである。相手側コネクタ100は、図14図15に示すように、相手側ハウジング110、底壁121、装着部122、側壁123、第1後壁124、第2後壁125、側壁126及び端子127を備える。
【0061】
相手側ハウジング110は角筒状であり、第1方向D1に延びている。相手側ハウジング110の上面壁には、実施形態1の相手側ハウジング3と同様に、第2方向D2に、所定距離を空けて一対のガイド壁7A、7Bが設けられている。一対のガイド壁7A、7Bの先端部には突部8が設けられている。突部8は一対のガイド壁7A、7Bから内向きに突出している。
【0062】
底壁121は、相手側ハウジング110の後方に位置している。底壁121の上面には、基板131が取り付けられている。端子127は、相手側ハウジング110の後面壁110Aから突出している。端子127はL字状に屈曲しており、先端部は基板131のスルーホール等に接続されている。
【0063】
底壁121には、第2方向D2に並んで装着部122が設けられている。装着部122には、ボルト挿通孔(図略)が開口している。側壁123、第1後壁124、第2後壁125、側壁126は基板131及び装着部122の外周を囲っている。
【0064】
車両のフロアF(ボディ)には、実施形態1と同様に、ボルト12が取り付けられている。相手側コネクタ100は、実施形態1の相手側コネクタ1と同様に、車両のフロアFに対して装着部122をナット締めすることにより固定されている。
【0065】
コネクタ130は、実施形態1のコネクタ20に対して、アウタハウジング140の形状が異なる。そのため、同じ構成部品については、同じ符号を付し、以下、アウタハウジング140の形状相違部分のみ説明する。
【0066】
図14に示すように、アウタハウジング140は、合成樹脂製であり、アウタハウジング本体141と取り外し規制部150を有している。
【0067】
アウタハウジング本体141は、第1カバー部143を有している。第1カバー部143は、アウタハウジング本体141の上面壁142の前端から前方に延びている。図14において、第1カバー部143と上面壁142の境界を一点鎖線144で示している。
【0068】
取り外し規制部150は、天井壁151と周壁部154を有する。天井壁151は後部側が円弧形状になっている。周壁部154は、天井壁151の外周に沿って形成されている。
【0069】
図14に示すように、天井壁151の前方には、第2カバー部152が設けられている。第2カバー部152は、天井壁151の前端から前方に延びている。図中、第2カバー部152と天井壁151の境界を一点鎖線153で示している。第1カバー部143と第2カバー部152は段差145を介して連続している。
【0070】
また、周壁部154の前方には、第3カバー部155が設けられている。第3カバー部155は、周壁部154の前端から第2カバー部152に沿って前方に延びている。第1カバー部143、第2カバー部152及び第3カバー部155の前端位置は概ね一致している。
【0071】
尚、周壁部154の後部外面154Aは、レバー41の回転ストッパになっており、図14に示すように、レバー41の回転を嵌合解除位置にて規制するようになっている。
【0072】
図17に示すコネクタ嵌合状態においては、図18図19に示すように、取り外し規制部150の天井壁151がボルトナット11の真上に位置する。
【0073】
これにより、ボルトナット11に対して上方から工具が装着されることを規制できるから、実施形態1と同様に、コネクタ嵌合状態において、ボルトナット11が取り外されることを規制できる。また、図17に示すように、取り外し規制部150の周壁部154がボルトナット11の外周を囲む。具体的には、ナット13から突出するボルト12の先端部分を覆う。
【0074】
これにより、コネクタ嵌合状態において、ボルトナット11に対して外力が直接加わることを妨げることが出来るから、ボルトナット11を保護することが出来る。尚、周壁部154は、ナット13から突出するボルト12の先端部分を覆う態様に限らず、ボルトナット11の全体を覆う態様でもよい。
【0075】
更に、コネクタ嵌合状態においては、図17に示すように、第1カバー部143の前端が相手側コネクタ100の第1後壁124に当接し、第2カバー部152の前端が相手側コネクタ100の第2後壁125に当接する。
【0076】
これにより、第1カバー部143が、基板131の上方に重なって、相手側ハウジング110の後面壁110Aから引き出された端子127及び基板131を覆う。
【0077】
また、第2カバー部152が、装着部122の上方に重なって、天井壁151と共に、ボルトナット11を含む装着部122の全体を覆う。
【0078】
また、コネクタ嵌合状態では、図17に示すように、第3カバー部155が相手側コネクタ100の側壁126の上面に重なることで、装着部122の側方を閉じる構成となっている。
【0079】
このようにコネクタ130は、第1カバー部143、第2カバー部152及び第3カバー部155により、相手側コネクタ100、基板131、ボルトナット11からなる部品群を覆うことが出来る。
【0080】
そのため、これら部品群を覆うカバー部材を別途設ける必要がなく、部品点数を削減することが出来る。
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0081】
・上記実施形態1、2では、相手側コネクタ1をフロアFに対してボルトナット11で固定した。ボルトナット11に代えて相手側コネクタ1をビスで固定してもよい。ビスで代用する場合、工具はドライバーでもよい。ビスは螺子部材の一例である。
【0082】
・上記実施形態1、2では、相手側コネクタ1を車両のフロアF(ボディ)に対して固定した。相手側コネクタ1の取付箇所は、車両のフロアF以外の場所でもよい。相手側コネクタ1の取付箇所は、水平面でもよいし、垂直面でもよい。
【0083】
・上記実施形態1、2では、ボルトナット11の向きを上下方向とした。ボルトナット11の向きは、コネクタ嵌合方向(第1方向D1)に対して直交していれば、上下方向以外でもよい。
【0084】
・上記実施形態1では、コネクタ20を、インナハウジング21A、21B、アウタハウジング23、フロントリテーナ33、シール部材34、リアホルダ35A、35B、電線カバー37及びレバー41を備える構成とした。コネクタ20は、少なくとも、インナハウジング21A、21B及びアウタハウジング23を有していれば、他の部材は省いてもよい。レバー41を省く場合、ロックアーム等、コネクタを嵌合状態にロックする部材を有してもよい。また、インナハウジング21A、21Bは上下2段の構成に限定されるものではなく、例えば、1段のみの構成でもよい。
【0085】
・上記実施形態1では、第3方向D3(上下方向)から見て、対向壁部51のほぼ全体がボルトナット11に対して重なる構成とした。対向壁部51はボルトナット11に対して少なくとも一部が重なっていればよい。尚、好ましくは、ボルトナット11の中心Oに対して対向壁部51が重なっているとよい。
【0086】
・上記実施形態1では、取り外し規制部50の連結部52を、レバー41の回転ストッパとしたが、対向壁部51を回転ストッパにしてもよい。実施形態2も同様である。
【0087】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
1:相手側コネクタ
2:壁部
3:相手側ハウジング
5:上面壁
7A、7B:ガイド壁
8:突部
10:装着部
11:ボルトナット(螺子部材)
12:ボルト
13:ナット
20:コネクタ
21A、21B:インナハウジング
22A、22B:キャビティ
23:アウタハウジング
24:アウタハウジング本体
24A:右側面壁
25:収容部
25A:第1収容部
25B:第2収容部
26:隔壁
27:フード部
28、29:レバー取付壁
30A、30B:軸部
31:リテーナ組み付け孔
32:フロントリテーナ
33:抜け止め片
34:シール部材
35A、35B:リアホルダ
36A、36B:電線挿通孔
37:電線カバー
38:電線導出部
39:弾性ロック部
41:レバー
41A:端面
42、43:アーム部
42A、43A:基端部
45A、45B:軸孔
46:第1カム
47:第2カム
48:連結部
50:取り外し規制部
51:対向壁部
52:連結部
52A:端面
53:補強板
60:工具
61:ソケット
100:相手側コネクタ
110:相手側ハウジング
110A:後面壁
121:底壁
122:装着部
123:側壁
124:第1後壁
125:第2後壁
126:側壁
127:端子
130:コネクタ
131:基板
140:アウタハウジング
141:アウタハウジング本体
142:上面壁
143:第1カバー部
144:境界
145:段差
150:取り外し規制部
151:天井壁
152:第2カバー部
153:境界
154:周壁部
154A:後部外面
155:第3カバー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図16
図17
図18
図19