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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135721
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】焼却残渣処分場、焼却残渣処分方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/20 20220101AFI20240927BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20240927BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20240927BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20240927BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20240927BHJP
   C04B 18/06 20060101ALI20240927BHJP
   B09B 101/30 20220101ALN20240927BHJP
【FI】
B09B3/20 ZAB
B09B3/40
B09B5/00 N
E04G21/02 103Z
C04B28/02
C04B18/06
B09B101:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046551
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】三反畑 勇
(72)【発明者】
【氏名】弘末 文紀
(72)【発明者】
【氏名】笠 博義
(72)【発明者】
【氏名】島岡 隆行
【テーマコード(参考)】
2E172
4D004
4G112
【Fターム(参考)】
2E172AA05
4D004AA36
4D004BA02
4D004CA28
4D004CA45
4D004CB34
4D004CC13
4G112PA26
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、処分領域を区画割りする壁体によって廃棄物の処分量が減ずることを抑えることができる焼却残渣処分場と焼却残渣処分方法を提供することである。
【解決手段】本願発明の焼却残渣処分場は、焼却残渣の処分場であって、複数のプレキャストブロックが積み上げられた区画壁を備えたものである。処分領域は、区画壁によって2以上の処分区画に分割される。プレキャストブロックは、搬入された焼却残渣、セメント、及び水を混錬したブロック材料に振動を与えた後に硬化させることで製造される。処分区画には、焼却残渣にセメント及び水を添加して混練した塑性混練物を層状に敷き均すとともに、塑性混練物の表面に対して面振動を与えたうえで硬化させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却残渣の処分場であって、
複数のプレキャストブロックが積み上げられた区画壁を、備え、
処分領域が、前記区画壁によって2以上の処分区画に分割され、
前記プレキャストブロックは、搬入された前記焼却残渣、セメント、及び水を混錬したブロック材料に振動を与えた後に硬化させることで製造され、
前記処分区画には、前記焼却残渣にセメント及び水を添加して混練した非流動性の塑性混練物を層状に敷き均すとともに、層状の該塑性混練物の表面に対して面振動を与えたうえで硬化させることができる、
ことを特徴とする焼却残渣処分場。
【請求項2】
前記プレキャストブロックのうち前記塑性混練物が接触する面には、不透水性の保護マットが密着して貼付された、
ことを特徴とする請求項1記載の焼却残渣処分場。
【請求項3】
焼却残渣処分場で焼却残渣を処分する方法であって、
複数のプレキャストブロックを積み上げて区画壁を構築し、該区画壁によって処分領域を2以上の処分区画に分割する区画割工程と、
前記焼却残渣処分場に搬入された前記焼却残渣に、セメント及び水を添加して混練することで、非流動性の塑性混練物を生成する混練物生成工程と、
前記処分区画に、前記塑性混練物を層状に敷き均すことで塑性層を形成する塑性層形成工程と、
前記塑性層の表面に対して面振動を与えることで、前記焼却残渣の粒子の周囲にセメント及び水を浸透させて流動性の塑性流体層を形成し、該塑性流体層が硬化した固化層を形成する固化層形成工程と、を備え、
前記プレキャストブロックは、前記焼却残渣処分場に搬入された前記焼却残渣、セメント、及び水を混錬したブロック材料に振動を与えた後に硬化させることで製造された、
ことを特徴とする焼却残渣処分方法。
【請求項4】
前記ブロック材料を型枠内に投入し、該ブロック材料の表面に対して面振動を与え、所定時間経過して硬化した前記プレキャストブロックを得るプレキャストブロック製造工程を、さらに備え、
前記区画割工程では、前記プレキャストブロック製造工程で得られた前記プレキャストブロックを積み上げて前記区画壁を構築する、
ことを特徴とする請求項3記載の焼却残渣処分方法。
【請求項5】
前記塑性層形成工程と前記固化層形成工程を繰り返し行うことによって、前記処分区画で上下に重なる複数段の前記固化層を形成する、
ことを特徴とする請求項3記載の焼却残渣処分方法。
【請求項6】
前記固化層の表面に、複数本の帯状又は棒状の補強材を敷設する補強工程を、さらに備え、
前記補強材の一端は、前記プレキャストブロックのうち前記固化層が接触する面に連結され、
上段における前記塑性層形成工程では、下段の前記補強材の上に前記塑性混練物を敷き均す、
ことを特徴とする請求項5記載の焼却残渣処分方法。
【請求項7】
前記区画割工程では、所定高の前記区画壁を構築し、該区画壁の頂部又は略頂部まで前記固化層が形成されると、該固化層の上面に上段の該区画壁を構築し、
また前記区画割工程では、下段の前記区画壁とは異なる平面配置で、上段の前記区画壁を構築する、
ことを特徴とする請求項5記載の焼却残渣処分方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、廃棄物焼却残渣の処分に関するものであり、より具体的には、処分しようとする廃棄物焼却残渣を利用してブロックを製造し、そのブロックで区画割された処分場と、この処分場で廃棄物焼却残渣を処分する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、国や自治体を中心とする様々な取り組みによって、我が国の廃棄物の排出量は減少傾向にある。それでも年間4億トンを超える大量の廃棄物が排出されており、処分場の確保はやはり大きな問題である。廃棄物の内訳をみると、約4,200万トンの一般廃棄物、約3.9億トンの産業廃棄物が排出されており、産業廃棄物が全体の9割近くを占めている。
【0003】
産業廃棄物や一般廃棄物は、資源化されるものと処分されるものに大別され、処分されるものはさらに焼却されるものとそうでないものに分けられる。例えば一般廃棄物の場合、処分される廃棄物は焼却施設に直接送られるものと、中間処理施設に送られるものに分かれ、中間処理施設で生じた処理残渣のうち焼却されるものは改めて焼却施設に送られる。そして、中間処理施設で生じた処理残渣のうち焼却されないものと、焼却施設で生じた焼却残渣は、最終処分場に送られる。
【0004】
最終処分場に送られる一般廃棄物、産業廃棄物ともにその大部分を焼却残渣が占めており、現状の最終処分場はいわば「灰捨て場」の様相を呈している。他方、令和3年に環境省は我が国における最終処分場の残余年数を21.4年と報告している。したがって、廃棄物のうち特に焼却残渣を、如何に効率的に埋立処分するかが喫緊の課題といえる。
【0005】
焼却残渣は、主灰と飛灰に区別される。焼却施設の炉の底などで集めたものが主灰(ボトムアッシュ)であり、集塵装置で集めたものやボイラーなどに付着したものが飛灰(フライアッシュ)である。飛灰は、主灰に対して約1/3程度しか排出されないが、主灰に比べてダイオキシン類や、鉛、亜鉛、カドミウムといった重金属などを多く含む。そのため、焼却残渣を最終処分場で埋立処分する前に、飛灰に液体キレート剤を添加する処理を行っている。液体キレート剤との化学結合によって、飛灰中の重金属イオンが環境中に溶出しにくくなるわけである。
【0006】
一般廃棄物の焼却残渣は一般廃棄物最終処分場で埋立処分され、産業廃棄物の廃棄物は管理型の最終処分場で埋立処分されることが多い。一般廃棄物最終処分場も「管理型」の最終処分場に分類されるもので、この管理型最終処分場は、処分場からの浸出水や周辺地下水などが省令で定める基準を満たすように維持管理しなければならない。さらに、管理型最終処分場を廃止するためには、場内で集められた保有水の水質が、2年以上にわたって所定の排水基準等に適合していると認められることが必要とされている。そのため、管理型最終処分場では、直接地山の上に焼却残渣等を埋め立てることはなく、図10に示すように、地山の上に遮水シートを敷設し、さらに保護層(砂や土砂)を設置したうえで、焼却残渣等を埋め立てている。また図10に示すように、準好気性と呼ばれる埋立方式を採用することによって、埋立地内の水分を排水管で除去し、埋立地内で発生したガスをガス抜き管で排除することもある。
【0007】
ところが、図10のような対策を施したとしても、必ずしも省令基準を満たすとはいえず、処分場からの浸出水をある程度貯留し、これを水処理したうえで排出しているのが現状である。つまり、多くの管理型最終処分場は維持管理さえ難しい状況にあり、廃止に至るまでには20~30年かかるといわれ、極めて長い期間最終処分場として運営しなければならない。したがって、浸出水の排出処理など維持管理にかかる費用がかさむうえ、跡地として上空利用するまでに相当な期間を要することとなる。
【0008】
また、跡地利用の面では別の問題もある。管理型最終処分場で埋立処分するものの大部分は焼却残渣であることは既に述べたとおりである。焼却残渣は無機物であり、二酸化炭素などのガスが発生することは考え難いが、現実には焼却残渣の中には燃え残りのものもあり、これが原因でガスを発生させる可能性がある。通常、ガスの発生は長期間に渡って生じるもので、例えば最終処分場を跡地利用した後にガスが発生すると、その発生分だけ跡地は沈下することになり、跡地上に建てた施設や構造物に影響を及ぼすことになる。
【0009】
さらに、従来の管理型最終処分場には、処分場の空間利用の面でも問題がある。管理型最終処分場に運ばれた焼却残渣は、例えば50cm層に敷き均され、ブルドーザなどの重機によって転圧される。既述のとおり、飛灰は液体キレート剤の添加処理がされているので、当初はある程度湿気を帯びているが、その後乾燥すれば飛散しやすい状態になる。そのため、飛散防止対策を施す必要があり、図10図11に示すように転圧後の焼却残渣の上には中間覆土が設置される。中間覆土は5~6層積み重ねた焼却残渣の上に設置されるものであるため、焼却残渣が露出する期間が生ずる。そこで昨今では、日々の埋立作業後に覆土を行う即日覆土(デイリーカバー)が主流になっている。
【0010】
中間覆土や即日覆土を設置するということは、その分焼却残渣が埋立できないことを意味している。既述したように令和3年時点で最終処分場の残余年数は21.4年であり、残された処分領域を有効に活用することが極めて重要である。そのため、中間覆土や即日覆土を省略することのできる処分技術が切望されていた。
【0011】
そこで特許文献1では、「超流体工法」を応用して焼却残渣を処分する発明を開示している。この超流体工法は本願出願人が開発した技術であり、例えば特許文献2では、セメント、石炭灰、水(最適含水比程度)を練り混ぜて混練物を生成し、この混練物を施工現場まで搬送し、搬送された先で、混練物に振動を加えて流動状態にして、所定箇所に打設する発明を開示している。この技術によれば、混練物はただ単に湿り気のある粉体の状態を保つため、これを扱う搬送手段や混練手段には、ほとんど混練物が付着しない。その結果、搬送手段や練混手段の掃除が容易であるとともに、材料を無駄なく使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2015-73981号公報
【特許文献2】特開平10-311142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1に開示される発明は、安定した固化盤を形成しながら焼却残渣を埋立処分していくため、焼却残渣の飛散を防止する中間覆土や即日覆土を必要としない。その結果、中間覆土や即日覆土に相当する分だけ多くの焼却残渣を埋立処分することができるわけである。なおこの発明によれば、セメントを混入する必要があるものの、使用するセメント量を差し引いてもなお全体の5%ほど処分量が改善されることを試算により確認している。
【0014】
ところで、広大な面積を有する最終処分場では、多くの場合、あらかじめ平面的に処分領域を分けたうえで埋立処分を行っている。そして、処分領域を区画割りするにあたっては土堰堤や重力式擁壁といった壁体を構築している。すなわち処分すべき廃棄物(特に焼却残渣)とは異なるいわば「異物」が処分領域の一部を占めることとなり、故にその異物の分だけ廃棄物を処分することができない。特許文献1に開示される発明は、鉛直方向には処分領域を改善することに成功しているものの、平面的には処分領域を改善すべき余地があるといえる。
【0015】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、処分領域を区画割りする壁体によって廃棄物の処分量が減ずることを抑えることができる焼却残渣処分場と焼却残渣処分方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、出願人が開発した超流体工法を応用してプレキャストブロックを製造し、このプレキャストブロックによって処分領域の区画割りを行う、というこれまでにない発想に基づいて行われたものである。
【0017】
本願発明の焼却残渣処分場は、焼却残渣の処分場であって、複数のプレキャストブロックが積み上げられた区画壁を備えたものである。その処分領域は、区画壁によって2以上の処分区画に分割される。なお、プレキャストブロックは、搬入された焼却残渣、セメント、及び水を混錬したブロック材料に振動を与えた後に硬化させることで製造される。そして処分区画には、焼却残渣にセメント及び水を添加して混練した「非流動性の塑性混練物」を層状に敷き均すとともに、層状の塑性混練物の表面に対して面振動を与えたうえで硬化させることができる。
【0018】
本願発明の焼却残渣処分場は、不透水性の保護マットが貼付されたプレキャストブロックを用いたものとすることもできる。なお、プレキャストブロックのうち塑性混練物が接触する面に、保護マットが密着して貼付される。
【0019】
本願発明の焼却残渣処分場は、本願発明の焼却残渣処分場に焼却残渣を処分する方法であって、区画割工程と混練物生成工程、塑性層形成工程、固化層形成工程を備えた方法である。区画割工程では、複数のプレキャストブロックを積み上げて区画壁を構築し、この区画壁によって処分領域を2以上の処分区画に分割する。混練物生成工程では、焼却残渣処分場に搬入された焼却残渣にセメント及び水を添加して混練することで非流動性の塑性混練物を生成し、塑性層形成工程では、処分区画に塑性混練物を層状に敷き均すことで塑性層を形成する。そして固化層形成工程では、塑性層の表面に対して面振動を与えることによって、焼却残渣の粒子の周囲にセメント及び水を浸透させて流動性の塑性流体層を形成し、所定期間が経過して塑性流体層が硬化すると焼却残渣の固化層が形成される。なお、プレキャストブロックは、焼却残渣処分場に搬入された焼却残渣、セメント、及び水を混錬したブロック材料に振動を与えた後に硬化させることで製造されたものである。
【0020】
本願発明の焼却残渣処分場は、プレキャストブロック製造工程をさらに備えた方法とすることもできる。このプレキャストブロック製造工程では、ブロック材料(焼却残渣処分場に搬入された焼却残渣、セメント、及び水を混錬した材料)を型枠内に投入し、ブロック材料の表面に対して面振動を与え、所定時間経過して硬化したプレキャストブロックを得る。この場合、区画割工程では、プレキャストブロック製造工程で得られたプレキャストブロックを積み上げて区画壁を構築する。
【0021】
本願発明の焼却残渣処分場は、塑性層形成工程と固化層形成工程を繰り返し行うことによって、処分区画で上下に重なる複数段の固化層を形成する方法とすることもできる。
【0022】
本願発明の焼却残渣処分場は、補強工程をさらに備えた方法とすることもできる。この補強工程では、固化層の表面に複数本の帯状(あるいは棒状)の補強材を敷設する。なお、補強材の一端は、プレキャストブロックのうち固化層が接触する面に連結される。この場合、上段における塑性層形成工程では、下段の補強材の上に塑性混練物を敷き均す。
【0023】
本願発明の焼却残渣処分場は、区画壁の略頂部(頂部を含む)まで固化層が形成されると、固化層の上面に上段の区画壁を構築していく方法とすることもできる。この場合、区画割工程では、下段の区画壁とは異なる平面配置で、上段の区画壁を構築することもできる。
【発明の効果】
【0024】
本願発明の焼却残渣処分場、焼却残渣処分方法には、次のような効果がある。
(1)安定した固化盤を形成しながら焼却残渣を埋立処分していくため、焼却残渣の飛散を防止する中間覆土や即日覆土を必要としない。しかも、処分領域を区画割りする区画壁が焼却残渣を利用したプレキャストブロックであることから、鉛直方向にも平面的にも処分領域が改善される。その結果、従来技術に比してより効率的に焼却残渣の埋立処分を行うことができる。
(2)焼却残渣を処分した後に形成される層、区画壁を構成する固化層プレキャストブロックともに、透水係数10-7~10-9(cm/s)オーダーの固化体であり、雨水など外部からの浸透水を排除できるうえに、焼却残渣中にある重金属等に由来する有害物質の浸出を抑えることができる。その結果、単位浸出水に係る処理費が軽減され、しかも浸出水そのものが大幅に減少することから浸出水の処理全体にかかる費用が軽減される。
(3)上記のとおり、透水係数10-7~10-9(cm/s)オーダーの固化体が形成され、焼却残渣中の有害物質の浸出を抑えることができることから、従来(20~30年)に比べ極めて短い期間(概ね2.5年)で処分場を廃止し、跡地として利用することができる。
(4)焼却残渣中には有機物が少なくケイ素やアルミナ分が多量に含まれており、これらケイ素等が水やセメントと水和反応することによって安定した結晶体が生成される。したがって、二酸化炭素等のガス発生などに伴う沈下現象が生じることがなく、この点においても早期に安心して跡地を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(a)は本願発明の焼却残渣処分場を模式的に示す断面図、(b)は本願発明の焼却残渣処分場を模式的に示す平面図。
図2】「超流体工法」を利用して焼却残渣処分を埋め立て処分する一連の流れを示す説明図。
図3】両側面に保護マットが貼付されたプレキャストブロックを模式的に示す断面図。
図4】6段のプレキャストブロックが積み上げられて形成された区画壁を模式的に示す正面図。
図5】段階的に区画壁を構築しながら固化層を形成していく手順を示すステップ図。
図6】上下に連続しない「千鳥配置」とされた区画壁を模式的に示す断面図。
図7】(a)は固化層間に敷設された補強材を模式的に示す断面図、(b)は固化層間に敷設された補強材を模式的に示す平面図、(c)補強材と連結具との連結を説明する部分断面図。
図8】本願発明の焼却残渣処分方法の主な工程の流れを示すフロー図。
図9】処分区画ごとに区画壁を構築しながら固化層を形成していく状況を示すステップ図。
図10】従来の管理型最終処分場の構造を示す部分断面図。
図11】従来の管理型最終処分場における中間覆土を説明する部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明の焼却残渣処分場、焼却残渣処分方法の実施形態の一例を、図に基づいて説明する。
【0027】
1.全体概要
図1は、本願発明の焼却残渣処分場100を模式的に示す図であり、(a)は鉛直面で切断した断面図、(b)は上方から見た平面図である。この図に示すように焼却残渣処分場100は、複数のプレキャストブロック110が積み上げられた区画壁120を備えており、この区画壁120が配置されることによって焼却残渣処分場100の処分領域全体が2以上の処分区画130に分割される。便宜上ここでは、焼却残渣処分場100において、上流から下流に向かう水平方向(図では、左右方向)のことを「主軸方向」と、この主軸方向に直交する水平方向(図では、上下方向)のことを「副軸方向」ということとする。例えばこの図では、主軸方向に1列の区画壁120、副軸方向に3列の区画壁120が配置されることによって、焼却残渣処分場100の処分領域が6箇所に区画割りされており、すなわち6つの処分区画130が形成されている。なお焼却残渣処分場100の下流側(図では右側)には土堰堤DMなどの構造物が構築され、また処分領域の周囲にも土堰堤DMあるいは切土斜面などが構築される。
【0028】
処分区画130は、搬入された焼却残渣を埋立処分するための領域である。そして本願発明では、後述するように「超流体工法」を利用して焼却残渣を処分していく。また区画壁120を構成するプレキャストブロック110も、焼却残渣を材料として活用したうえで「超流体工法」によって製造される。従来、最終処分場の区画割りを行うにあたっては、処分領域内に土堰堤DMや重力式擁壁といった壁体を配置していた。そのため土堰堤DM等の体積分だけ、処分できる廃棄物の量が削られていたわけである。これに対して本願発明では、焼却残渣を材料として活用したプレキャストブロック110によって処分領域の区画割りを行うことから、換言すれば焼却残渣を処分しながら区画割りを行うことから、従来技術よりも多くの焼却残渣を処分することができる。
【0029】
ここで、「超流体工法」を利用して焼却残渣を処分する手順について、図2を参照しながら説明する。はじめに密閉型のダンプトラックDtなどの輸送車によって、飛灰を含む焼却残渣が焼却残渣処分場100内に搬入され、所定の場所で降ろされる(図2のA)。
【0030】
(混練物生成工程)
焼却残渣が搬入されると、この焼却残渣に水とセメントを添加し、スタビライザーやバックホウBhによって混練(撹拌~混ぜ合わせ)することによって、非流動性の「塑性混練物」を生成する(図2のB)。もちろん機械を用いた撹拌に代えて、別途用意したミキシングプラントによって塑性混練物を生成することもできる。この「塑性混練物」は、湿った土のような状態で、いわゆる0スランプの状態であり、後に説明する「塑性流体層」に比べるとその流動性は極めて低い。
【0031】
焼却残渣と水、セメントを配合するにあたっては、適量の水を加えることによって水セメント比を小さくするとよい。これは、後の工程で与える面振動によって塑性混練物を固化させたときに、小さな透水係数を得るためである。ここで「適量の水」について説明する。後述するように10-7~10-9(cm/s)オーダーの透水係数を得るためには、焼却残渣の粒子配置を一様かつ密実の状態にする必要があり、そのためには水を加えて塑性混練物を液状化させる必要がある。しかしながら過大の水を添加すると、塑性状態が維持できなくなり塑性混練物の取り扱いが困難になるし、ブリージングの問題もあって適切な強度が発現されず所望の透水係数が得られない。また、少量の水では十分な液状化が期待できないうえ、温度ひび割れが発生するおそれもある。したがって、適量の水が必要となるわけであるが、この適量を定める手法としては最適含水比を基準とする手法が例示できる。締固めの程度を表す値として、一般に乾燥単位体積重量(乾燥密度)が用いられており、この値が大きいほど強度が増大し、締固めの程度が向上し、透水係数は小さくなる。同じ締固め条件でも、含有する水量によって得られる乾燥単位体積重量は異なり、最も大きな乾燥単位体積重量を与える含水比が「最適含水比」である。なお、大量の塑性混練物を一度に締固めることもあることから、塑性混練物の最適含水比より若干量だけ増やした水量を「適量の水」として定めることが望ましい。例えば、「最適含水比」を基準としたときの「適量の水」は、「最適含水比+1~5%」とするとよい。
【0032】
(塑性層形成工程)
非流動性の塑性混練物を生成すると、バックホウBhなどの重機によって区画壁120内に塑性混練物を層状に敷き均し、塑性混練物の層状体(以下、「塑性層」という。)を形成する(図2のC)。
【0033】
(固化層形成工程)
塑性層が形成されると、バックホウBhなどに装着した振動版Vbによって、層状体の表面から面振動を与える(図2のD)。非流動性の塑性層に概ね30~60秒間の振動を与えると、焼却残渣の粒子の周囲(粒子間)にセメントと水が浸透していくことで塑性層は流体化し、その結果、流体状(超流体状態)の「塑性流体層」が形成される。焼却残渣のように球形の粒子を比較的多く含むものは、振動が与えられるとその中に含まれる球形粒子のベアリング効果によって粒子間が分離しやすく、その結果粒子の周囲には水分とセメント分が万遍なく行き渡っていく。そして塑性層は有効応力を失い、間隙水圧のみとなって液状化現象を起こす。塑性層が液状化したものが、いわばプリン状とされた塑性流体層(超流体層)であり、液状化により粒子配置が一様かつ密実とされ、しかも焼却残渣中には少量の有機物とケイ素やアルミナ分が多量に含まれているため水とセメントの水和反応により安定した結晶体(固化体)が生成される。
【0034】
塑性流体層が形成された後、所定の期間(概ね1日)が経過すると、塑性流体層が硬化した「固化層SL」が形成される。超流体工法によって形成された固化層SLは、ひび割れが少なく高強度なものであり、その透水係数は10-7~10-9(cm/s)オーダーである。したがって、飛散防止対策のために固化層SLの上に中間覆土を設置する必要がなく、中間覆土の体積分だけ多くの焼却残渣を処分することができる。
【0035】
2.焼却残渣処分場
本願発明の焼却残渣処分場100について説明する。なお、本願発明の焼却残渣処分方法は、焼却残渣処分場100において焼却残渣を処分する方法である。したがって、まずは焼却残渣処分場100について説明し、その後に本願発明の焼却残渣処分方法について説明することとする。
【0036】
既述したように焼却残渣処分場100は、区画壁120が配置されることによって焼却残渣処分場100の処分領域が2以上の処分区画130に分割される。そしてこの区画壁120は、複数のプレキャストブロック110を積み上げることで形成される。以下、焼却残渣処分場100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0037】
(プレキャストブロック)
プレキャストブロック110は、焼却残渣を活用した「超流体工法」によって製造されるものであり、上述した超流体工法による焼却残渣の処分と同様の手順で製造される。すなわち、焼却残渣処分場100に搬入された焼却残渣に適量の水とセメントを添加したうえで混練し、非流動性の「塑性混練物」を生成する。なお、処分区画130内で処分するために生成される「塑性混練物」と区別されるため、プレキャストブロック110を製造するために得られる「塑性混練物」のことを単に「ブロック材料」ということとする。
【0038】
非流動性の「ブロック材料」を生成すると、型枠内にそのブロック材料を投入する。そして、ブロック材料の表面に面振動を与えたり、型枠に対して振動を与えたりすることによって、流体状(超流体状態)の「塑性流体」を形成する。この塑性流体が形成された後、所定の期間(概ね3日)が経過すると、塑性流体が硬化したプレキャストブロック110が形成される。超流体工法によって形成されたプレキャストブロック110は、上述した「固化層」と同様、ひび割れが少なく高強度なものであって、その透水係数は10-7~10-9(cm/s)オーダーである。
【0039】
プレキャストブロック110には、図3に示すように保護マット140を貼付することもできる。特にプレキャストブロック110のうち、区画壁120内に敷き均された塑性層と接触する面(つまり、両側面)に、保護マット140を貼付するとよい。なお図3では便宜上、塑性層が振動付与後に硬化した固化層SLを示している。また保護マット140を貼付するにあたっては、プレキャストブロック110表面に密着させたうえで貼付するとよい。この保護マット140は、止水性および耐候性のある樹脂層が設けられた不織布からなるシート状(あるいは板状)のもので、例えば保護マット140としてはユニチカ株式会社製の「アピール(登録商標)L1500」や「アピール(登録商標)LN650」などを利用することができる。あるいは、アスファルト製のシートを保護マット140として利用したり、プレキャストブロック110表面に直接アスファルトを敷設することで保護マット140としたり、「耐食ライニング工法協会」のスラスラ工法による防食被覆を保護マット140として利用したりすることができる。
【0040】
(区画壁)
図4に示すように区画壁120は、複数段(図では、6段)のプレキャストブロック110が積み上げられた壁状体である。プレキャストブロック110を積み上げていくにあたっては、この図に示すように上下に隣接するプレキャストブロック110境界が連続しないように、いわゆる「千鳥配置」で積み上げるとよい。もちろん、積み上げる段数が少ないなど特段の事情があるときは、プレキャストブロック110境界が上下に連続するような「いも継ぎ配置」で積み上げることもできる。
【0041】
(処分区画)
処分区画130は、区画壁120を配置することによって焼却残渣処分場100の処分領域が平面分割された領域であって、焼却残渣処分場100に搬入された焼却残渣を埋立処分するための領域である。ここまで説明したように、「超流体工法」を利用して焼却残渣を処分することは、すなわち焼却残渣を含む固化層SLを形成することであることから、便宜上ここでは「焼却残渣を埋立処分する」ことを「固化層SLを形成する」と表現する。
【0042】
区画壁120を設置して、つまり処分区画130を形成して、固化層SLを形成するにあたっては、種々の手順によって実施することができる。例えば、始めから最終計画高さの区画壁120を構築したうえで、固化層SLを段階的に形成していくことができる。あるいは図5に示すように、段階的に区画壁120を構築しながら固化層SLを形成することもできる。いわば、焼却残渣処分場100の処分領域が上下方向にも区画割りされた処分区画130に、固化層SLを形成していくわけである。以下、図5を参照しながら上下分割された処分区画130に固化層SLを形成していく手順について説明する。
【0043】
まずは図5(a)に示すように所定高さ(ただし、最終計画高さよりも低い)で区画壁120(1段目の区画壁120)を構築し、その後、図5(b)に示すように1段目の区画壁120の頂部付近(あるいは頂部)まで固化層SLを形成していく。次いで図5(c)に示すように、1段目の区画壁120の上部に継ぎ足すように区画壁120(2段目の区画壁120)を構築する。そして図5(d)に示すように、2段目の区画壁120の頂部付近まで固化層SLを形成していく。このように、区画壁120の構築と固化層SLの形成を繰り返し行いながら、最終計画高さまで固化層SLを積み上げていくわけである。
【0044】
図5では、1段目の区画壁120の上部に継ぎ足すように、つまり同じ平面配置となるように2段目の区画壁120を構築しているが、これに限らず下段の区画壁120とは異なる平面配置となるように上段の区画壁120を構築することもできる。例えば図6では、上下に隣接する区画壁120が連続しない「千鳥配置」とされている。この図では、第1層~第4層の区画壁120が構築され、第1層~第3層まで固化層SLが形成されており、第2層における区画壁120は第1層における区画壁120の間に配置され、同様に、第3層における区画壁120は第2層における区画壁120の間に、第4層における区画壁120は第3層における区画壁120の間に、それぞれ配置されている。
【0045】
上記したように区画壁120は始めから最終計画高さで構築することもできるが、他方、固化層SLは所定寸法(例えば、20cm程度)の層厚で段階的に形成される。そこで図7に示すように、上下に隣接する固化層SLの間に、補強材150を敷設することもできる。図7は、固化層SL間に敷設されたの補強材150を模式的に示す図であり、(a)は鉛直面で切断した断面図、(b)は上方から見た平面図、(c)は補強材150と連結具160との連結を説明する部分断面図である。
【0046】
補強材150は、上下に積み上げられた固化層SLに対してせん断補強を施すことができる部材であり、例えば鋼材を使用した帯状(あるいは棒状)の部材とすることができる。特に、テールアルメ(登録商標)工法で用いられる「ストリップ」を補強材150として利用するとよい。また、区画壁120と一体として機能するように、補強材150の一端(図では左端)はプレキャストブロック110に連結される。具体的には、プレキャストブロック110に固定された連結具160に、補強材150の一端を連結する。連結具160と補強材150を連結するにあたっては、ボルトやピンを用いた連結や、接着剤やテープを用いた接合など、従来用いられている種々の手法を採用することができる。
【0047】
補強材150は、固化層SLに対してせん断補強を施すものであるから、当然ながらプレキャストブロック110のうち固化層SLが形成される側面に設けられ、もちろん連結具160も固化層SL側に設けられる。なお図7の例では、1つのプレキャストブロック110に2段(図7(a))×2列(図7(b))の補強材150が連結されているが、これに限らず任意の段数×列数で補強材150を連結することができる。
【0048】
以下、補強材150を敷設しながら固化層SLを形成する手順について説明する。まずは所定高さ(あるいは最終計画高さ)で区画壁120を構築する。このとき、まだ補強材150は連結具160に連結しない。次いで、固化層SLを繰り返し形成していく。そして固化層SLが連結具160の固定位置まで積み上がると、その固化層SLの上面に補強材150を敷設し、さらに補強材150の一端を連結具160に連結する。このように、固化層SLの形成と補強材150の敷設を繰り返し行うことで、せん断補強された固化層SLを形成していくわけである。
【0049】
3.焼却残渣処分方法
続いて、本願発明の焼却残渣処分方法ついて説明する。なお、本願発明の焼却残渣処分方法は、ここまで説明した本願発明の焼却残渣処分場100において焼却残渣を処分する方法である。したがって、焼却残渣処分場100について説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の焼却残渣処分方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.全体概要」や「2.焼却残渣処分場」で説明したものと同様である。
【0050】
図8は、本願発明の焼却残渣処分方法の主な工程を示すフロー図である。この図に示すように、焼却残渣処分場100で焼却残渣を処分するにあたっては、まず処分すべき焼却残渣を焼却残渣処分場100に搬入する(図8のStep201)。そして、搬入された焼却残渣を材料として活用したうえで、「超流体工法」によってプレキャストブロック110を製造していく。具体的には、搬入された焼却残渣に適量の水とセメントを添加したうえで混練して「ブロック材料」を生成し(図8のStep202)、そのブロック材料を型枠内に投入したうえで面振動を与え「塑性流体」を形成する(図8のStep203)。そして、塑性流体が形成された後、所定の期間が経過すると、塑性流体が硬化したプレキャストブロック110が形成される(図8のStep204)。
【0051】
プレキャストブロック110を製造すると、そのプレキャストブロック110を積み上げていくことで区画壁120を構築していく(図8のStep205)。このとき、始めから最終計画高さの区画壁120を構築することもできるし、あるいは所定高さ分だけ段階的に区画壁120を構築することができることは既述したとおりである。そのため、最初に計画された全数のプレキャストブロック110を製造することもできるし、段階的に構築する区画壁120に必要な数だけプレキャストブロック110を製造することもできる。
【0052】
区画壁120を構築し、すなわち処分区画130が形成されると、本格的に焼却残渣を処分していく。具体的には、搬入された焼却残渣に適量の水とセメントを添加したうえで混練して「塑性混練物」を生成し(図8のStep206)、その塑性混練物を処分区画130まで運搬するとともに、塑性混練物を層状に敷き均して「塑性層」を形成する(図8のStep207)。そして、振動版Vbなどを用いて層状体の表面から面振動を与えることによって流体状(超流体状態)の「塑性流体層」を形成し、その後、所定の期間(概ね1日)が経過すると塑性流体層が硬化した「固化層SL」が形成される(図8のStep208)。
【0053】
固化層SLを繰り返し形成していくと、連結具160の固定位置まで固化層SLが積み上がる。このとき、その固化層SLの上面に補強材150を敷設し、さらに補強材150の一端を連結具160に連結する(図8のStep209)。所定高さ分だけ段階的に区画壁120を構築する場合、1段目の区画壁120の頂部付近まで固化層SLを形成すると、2段目の区画壁120を構築したうえで(図8のStep205)、一連の工程(図8のStep206~Step209)を繰り返し行う。そして、最終計画高さまで固化層SLを積み上げると、その最上部に最終覆土を敷設する(図8のStep210)。
【0054】
ところで、高さ方向に分割して段階的に区画壁120を構築することができると説明したが、平面的にも分割して段階的に区画壁120を構築することができる。図9は、処分区画130ごとに区画壁120を構築しながら固化層SLを形成していく状況を示すステップ図である。この図の例では、まず図9(a)に示すように第1の処分区画130(図では〇内の数字で示す)を区画するための区画壁120を構築する。このとき、始めから最終計画高さの区画壁120を構築することもできるし、あるいは所定高さ分だけ段階的に区画壁120を構築することもできる。次いで図9(b)に示すように、第1の処分区画130内に構築された区画壁120の頂部付近まで固化層SLを形成していく。
【0055】
第1の処分区画130内に計画どおり固化層SLが形成されると、今度は図9(c)に示すように第2の処分区画130を区画するための区画壁120を構築し、図9(d)に示すように第2の処分区画130内に固化層SLを形成していく。このように区画壁120を順次構築しながら、つまり処分区画130を順次形成しながら固化層SLを形成していくわけである。なお図9では、上流から下流に向かって処分区画130を形成しているが、これに限らず下流から上流に向かって処分区画130を形成するなど、任意の順で処分区画130を形成し、固化層SLを形成していくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明の焼却残渣処分場、焼却残渣処分方法は、一般廃棄物最終処分場や産業廃棄物の管理型最終処分場で特に有効に実施することができる。本願発明は、いままさに喫緊の課題となっている「最終処分場の残容量の逼迫」に対して好適な解決策を提供することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明である。
【符号の説明】
【0057】
100 本願発明の焼却残渣処分場
110 (焼却残渣処分場の)プレキャストブロック
120 (焼却残渣処分場の)区画壁
130 (焼却残渣処分場の)処分区画
140 (焼却残渣処分場の)保護マット
150 (焼却残渣処分場の)補強材
160 (焼却残渣処分場の)連結具
Bh バックホウ
DM 土堰堤
Dt ダンプトラック
SL 固化層
Vb 振動版
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11