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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135723
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20240927BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046553
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下村 健太
(72)【発明者】
【氏名】高山 華梨
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA30
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA32
5F083JA36
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR21
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】一つの実施形態は、動作の信頼性を向上できる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一つの実施形態によれば、第1の導電膜と積層体と半導体膜と絶縁膜と第2の導電膜とを有する半導体記憶装置が提供される。積層体は、第1の導電膜に半導体層を介して積層される。積層体では、複数の導電層が絶縁層を介して積層される。半導体膜は、第1の導電膜内及び積層体内を積層方向に延びる。絶縁膜は、複数の導電層及び半導体膜の間で積層方向に延びる。第2の導電膜は、第1の導電膜に接触する。第2の導電膜は、半導体膜の一端又は側面に接触する。第2の導電膜は、カーボンを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電膜と、
前記第1の導電膜に半導体層を介して積層され、複数の導電層が絶縁層を介して積層された積層体と、
前記第1の導電膜内及び前記積層体内を積層方向に延びる半導体膜と、
前記複数の導電層及び前記半導体膜の間で前記積層方向に延びる絶縁膜と、
前記第1の導電膜に接触し、前記半導体膜の一端又は側面に接触し、カーボンを含む第2の導電膜と、
を備えた半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2の導電膜は、前記半導体膜の一端に接触する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2の導電膜は、前記半導体膜の側面に接触する
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2の導電膜は、
前記半導体膜の一端に接触する第1の主面と、
前記第1の導電膜に前記第1の主面の反対側で接触する第2の主面と、
を有する
請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2の導電膜は、
前記半導体膜の側面に接触する第1の側面と、
前記第1の導電膜の端部に前記第1の側面の反対側で接触する第2の側面と、
を有する
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2の導電膜は、
前記半導体膜の側面に接触する第1の側面と、
前記絶縁膜の一端に接触する第1の主面と、
前記第1の導電膜の端部に前記第1の主面の反対側で接触する第2の主面と、
を有する
請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1の導電膜は、不純物を含む多結晶半導体を含み、
前記第2の導電膜は、不純物及びカーボンを含む多結晶半導体を含み、
前記第2の導電膜における多結晶半導体の平均粒径は、前記第1の導電膜における多結晶半導体の平均粒径より小さい
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1の導電膜は、不純物を含むポリシリコンを含み、
前記第2の導電膜は、不純物及びカーボンを含むポリシリコンを含み、
前記第2の導電膜における多結晶半導体の平均粒径は、前記第1の導電膜における多結晶半導体の平均粒径より小さい
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の導電層が絶縁層を介して積層された積層体と積層体内を積層方向に延びる半導体膜とを有する半導体記憶装置では、複数の導電層と半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが設けられる。半導体記憶装置は、動作の信頼性を向上することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-142654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの実施形態は、動作の信頼性を向上できる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施形態によれば、第1の導電膜と積層体と半導体膜と絶縁膜と第2の導電膜とを有する半導体記憶装置が提供される。積層体は、第1の導電膜に半導体層を介して積層される。積層体では、複数の導電層が絶縁層を介して積層される。半導体膜は、第1の導電膜内及び積層体内を積層方向に延びる。絶縁膜は、複数の導電層及び半導体膜の間で積層方向に延びる。第2の導電膜は、第1の導電膜に接触する。第2の導電膜は、半導体膜の一端又は側面に接触する。第2の導電膜は、カーボンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示す断面図。
図2】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の構成を示すブロック図。
図3】第1の実施形態におけるメモリセルアレイの構成を示す回路図。
図4】第1の実施形態におけるメモリセルアレイの構成を示す断面図。
図5】第1の実施形態におけるメモリセルの構成を示す断面図。
図6】第1の実施形態における半導体膜の不純物濃度の分布を示す図。
図7】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図8】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図9】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図10】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図11】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図12】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図13】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図14】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図15】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図16】第1の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図17】第2の実施形態におけるメモレイセルアレイの構成を示す断面図。
図18】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図19】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図20】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図21】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図22】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図23】第2の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図24】第3の実施形態におけるメモレイセルアレイの構成を示す断面図。
図25】第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図26】第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図27】第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
図28】第3の実施形態にかかる半導体記憶装置の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる半導体記憶装置を詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかる半導体記憶装置は、複数の導電層が絶縁層を介して積層された積層体と積層体内を積層方向に延びる半導体膜とを有するが、複数の導電層と半導体膜とが交差する複数の交差位置に複数のメモリセルが設けられる。半導体記憶装置は、動作の信頼性を向上するための工夫が施される。
【0009】
半導体記憶装置1は、図1に示すように構成される。図1は、半導体記憶装置1の概略構成を示す断面図である。
【0010】
以下の説明では、基板SUBの表面に平行な平面内で互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、より具体的には、X方向はワード線WLの延びる方向とし、Y方向はビット線BLの延びる方向とする。Z方向は、基板SUBの表面に直交する方向とする。このため、Z方向は、X方向及びY方向と直交する。
【0011】
図1に示すように、半導体記憶装置1には、選択ゲートSGS,SGSBと、ワード線WLと、選択ゲートSGDT,SGDとが含まれる。選択ゲートSGSは、絶縁層7を介してソース線SLの上に積層される。図1の例では、選択ゲートSGSBは4層設けられ、選択ゲートSGSは3層設けられる。ワード線WLは、最上層の選択ゲートSGSの上に絶縁層7を介して積層される。図1の例では、ワード線WLはZ方向に沿って、絶縁層7と交互に複数層設けられる。選択ゲートSGDは、最上層のワード線WLの上に絶縁層7を介して積層される。選択ゲートSGSB,SGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGD,SGDTは、それぞれX方向及びY方向に延びる板状である。
【0012】
図1の例では、選択ゲートSGDT,SGD、ワード線WL、及び選択ゲートSGS,SGSBは、スリットSTによりY方向に分断され絶縁される。ソース線は、2層構造であってもよい。2層構造は、ソース線BSL及びソース線SLの積層を含む。ソース線BSL、ソース線SLは、層間絶縁膜81を介して基板SUBの+Z側に順に積層される。ソース線BSLは、ソース線SLを低抵抗化するためにソース線SLの-Z側の面に接触している。スリットSTは、ソース線SLの+Z側に設けられ、X方向及びZ方向に延在する。
【0013】
選択ゲートSGDは、例えば、分断膜SHE(図示せず)によりY方向に分断される。分断膜SHEは、ワード線WLの上方(+Z側)に設けられ、X方向及びZ方向に延在する。
【0014】
基板SUBは、例えば、シリコン基板である。選択ゲートSGS、ワード線WL、選択ゲートSGDは、例えば、タングステン(W)を含む金属層である。絶縁層7および層間絶縁膜81は、例えば、酸化シリコンを含む絶縁体である。
【0015】
半導体記憶装置1は、複数の柱状体40をさらに備える。柱状体40は、選択ゲートSGS、ワード線WLおよび選択ゲートSGDを貫いて、それらの積層方向であるZ方向に延びる。半導体記憶装置1は、選択ゲートSGDの上方に設けられた複数のビット線BLをさらに備える。
【0016】
柱状体40は、それぞれコンタクトプラグ31を介してビット線BLに電気的に接続される。例えば、選択ゲートSGD0を共有する柱状体40のうちの1つと、選択ゲートSGD1を共有する柱状体40のうちの1つは、1つのビット線BLに電気的に接続される。
【0017】
柱状体40とビット線BLとの間には、層間絶縁膜83が設けられる。層間絶縁膜83と選択ゲートSGDとの間には、層間絶縁膜82が設けられる。コンタクトプラグ31は、層間絶縁膜83を貫通する。コンタクトプラグ31は、-Z側端が柱状体40の半導体膜に接続され、+Z側端がビット線BLに接続される。
【0018】
半導体記憶装置1では、選択ゲートSGD、ワード線WL、及び選択ゲートSGSが、それぞれ、導電層で構成される。ソース線SLの+Z側には、導電層と絶縁層7とが交互に積層された積層体SSTが構成される。積層体SSTが柱状体40で貫通されて3次元的なメモリセルの配列(メモリセルアレイ)が構成される。
【0019】
すなわち、半導体記憶装置1において、ワード線WLと柱状体40とが交差する部分がメモリセルとして機能するように構成され、複数のメモリセルが3次元的に配列されたメモリセルアレイ2が構成される。また、選択ゲートSGSと柱状体40とが交差する部分がソース側選択ゲートとして機能し、選択ゲートSGD0,SGD1と柱状体40とが交差する部分がドレイン側選択ゲートとして機能する。半導体記憶装置1では、積層体SSTにおけるワード線WLの積層数を増やすことによって、より微細なパターニング技術を利用しなくても、記憶容量を増加することが可能である。
【0020】
図2は、半導体記憶装置1の概略構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、半導体記憶装置1は、メモリセルアレイ2、周辺回路100、及びインタフェース200を有している。周辺回路100は、WL駆動回路110、SGS駆動回路120、SGD駆動回路130、SL駆動回路140、及びセンスアンプ回路150を含む。
【0022】
WL駆動回路110は、ワード線WLへの印加電圧を制御する回路であり、SGS駆動回路120は、選択ゲートSGSに印加する電圧を制御する回路である。SGD駆動回路130は、選択ゲートSGDに印加する電圧を制御する回路であり、SL駆動回路140は、ソース線SLに印加する電圧を制御する回路である。センスアンプ回路150は、ビット線BLに印加する電圧を制御する回路であるとともに、選択されたメモリセルからの信号に応じて読み出したデータを判定する回路である。
【0023】
周辺回路100は、インタフェース200経由で外部(例えば、半導体記憶装置1が適用されるメモリシステムのメモリコントローラ)から入力された指示に基づいて、半導体記憶装置1の動作を制御する。
【0024】
次に、メモリセルアレイ2の回路構成について図3を用いて説明する。図3は、メモリセルアレイ2の構成を示す回路図である。
【0025】
メモリセルアレイ2は、それぞれが複数のメモリセルトランジスタMTの集合である複数のブロックBLKを有する。以下では、メモリセルトランジスタMTを単にメモリセルMTと呼ぶことにする。
【0026】
各ブロックBLKは、ワード線WLおよびビット線BLに関連付けられたメモリセルMTの集合である複数のストリングユニットSU0,SU1,SU2,SU3を有する。各ストリングユニットSU0~SU3は、メモリセルMTが直列接続された複数のメモリストリングMSTを有する。なお、ストリングユニットSU0~SU3内のメモリストリングMSTの数は任意である。
【0027】
複数のストリングユニットSU0,SU1,SU2,SU3は、複数の選択ゲートSGD0,SGD1,SGD2,SGD3に対応しているとともに選択ゲートSGSを共有しており、ブロックBLKにおける複数の駆動単位として機能する。各ストリングユニットSUは、その対応する選択ゲートSGDと選択ゲートSGSとで駆動され得る。また、各ストリングユニットSUは、複数のメモリストリングMSTを含む。
【0028】
各メモリストリングMSTは、例えば10個のメモリセルMT(MT0~MT9)および選択トランジスタDGT,SGTを含んでいる。メモリセルMTは、コントロールゲートと電荷蓄積膜とを有し、データを不揮発に保持・記憶する。そして10個のメモリセルMTは、選択トランジスタDGTのソースと選択トランジスタSGTのドレインとの間に直列接続されている。なお、メモリストリングMST内のメモリセルMTの個数は10個に限定されない。
【0029】
各ストリングユニットSU0~SU3における選択トランジスタDGTbのゲートは、それぞれ選択ゲートSGD0T~SGD3Tに接続される。各ストリングユニットSU0~SU3における選択トランジスタDGTaのゲートは、それぞれ選択ゲートSGD0~SGD3に接続される。これに対して、各ストリングユニットSUにおける選択トランジスタSGTaのゲートは、例えば選択ゲートSGSに共通接続される。各ストリングユニットSUにおける選択トランジスタSGTbのゲートは、例えば選択ゲートSGSBに共通接続される。
【0030】
各ストリングユニットSU内にある各メモリストリングMSTの選択トランジスタDGTのドレインは、それぞれ異なるビット線BL0~BLk(kは任意の2以上の整数)に接続される。また、ビット線BL0~BLkは、複数のブロックBLK間で各ストリングユニットSU内にある1つのメモリストリングMSTを共通に接続する。更に、各選択トランジスタSGTのソースは、ソース線SLに共通に接続されている。
【0031】
つまりストリングユニットSUは、異なるビット線BL0~BLkに接続され、且つ同一の選択ゲートSGDに接続されたメモリストリングMSTの集合である。また各ブロックBLKは、ワード線WLを共通にする複数のストリングユニットSU0~SU3の集合である。そしてメモリセルアレイ2は、ビット線BL0~BLkを共通にする複数のブロックBLKの集合である。
【0032】
なお、ワード線WLを共有するメモリセルMTの群を「メモリセルグループMCG」と呼ぶことにすると、メモリセルグループMCGは、ワード線WLを介して一括して所定の電圧(例えば、書き込み電圧、読み出し電圧)を印加可能なメモリセルMTの集合の最小単位である。
【0033】
次に、メモリセルアレイ2の断面構成について図4を用いて説明する。図4は、メモリセルアレイ2の構成を示す断面図である。
【0034】
半導体記憶装置1において、基板SUBの+Z側には、層間絶縁膜81を介して導電膜4が配される。導電膜4と柱状体40の半導体膜との間には、導電膜3が配される。導電膜4は、XY方向に板状に延び、ソース線SL(図1参照)の一部として機能する。導電膜3は、柱状体40の中心軸CA近傍でXY方向に円環状に延び、導電膜4と柱状体40の半導体膜との間に介在し、ソース線SLの他の一部として機能する。導電膜3の+Z側には、複数の柱状体40が配される。複数の柱状体40は、XY方向に配列される。各柱状体40は、Z方向に延び、積層体SST(図1参照)を貫通する。
【0035】
各柱状体40は、Z方向に沿った中心軸CAを有する柱形状を有し、例えば略円柱形状を有する。図4では、柱状体40における-Z側端近傍の部分が例示される。各柱状体40は、+Z側端の径に比べて-Z側端の径が狭いテーパ形状を有してもよい。各柱状体40は、+Z側端の径に比べて-Z側端の径が狭く且つ+Z側端及び-Z側端の間の所定のZ位置で径が広がったボーイング形状を有してもよい。柱状体40の-Z側端の径は、柱状体40の+Z側端の径より小さい。
【0036】
柱状体40は、図5に示すように、中心軸CA側から順にコア部材41、半導体膜42、絶縁膜43を有する。絶縁膜43は、中心軸CA側から順に絶縁膜43a、電荷蓄積膜43b、絶縁膜43cを含む多層膜である。図5(a)は、メモリセルの構成を示すYZ断面図であり、図4のA部分を拡大した拡大断面図である。図5(b)は、メモリセルの構成を示すXY断面図であり、図5(a)をB-B線に沿って切った場合の断面を示す。
【0037】
コア部材41は、柱状体40の中心軸CA近傍に配され柱状体40の中心軸CAに沿って延びた略円柱形状を有する。コア部材41は、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。
【0038】
半導体膜42は、コア部材41を外側から囲むように配され柱状体40の中心軸CAに沿って延びた略円筒状の形状を有する。半導体膜42は、さらにコア部材41の-Z側の端部を覆うとともに、導電膜3に接続される。半導体膜42は、実質的に不純物を含まない半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。
【0039】
絶縁膜43aは、半導体膜42を外側から囲むように配され柱状体40の中心軸CAに沿って延びた略円筒状の形状を有する。絶縁膜43aは、酸化物(例えば、シリコン酸化物またはシリコン酸窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。
【0040】
電荷蓄積膜43bは、絶縁膜43aを外側から囲むように配され柱状体40の中心軸CAに沿って延びた略円筒状の形状を含む。電荷蓄積膜43bは、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。
【0041】
絶縁膜43cは、電荷蓄積膜43bを外側から囲むように配され柱状体40の中心軸CAに沿って延びた略円筒状の形状を有する。絶縁膜43cは、酸化物(例えば、シリコン酸化物、金属酸化物またはそれらの積層)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、電荷蓄積膜43bが1対の絶縁膜43a,43cで挟まれたONO型の3層構造が構成され得る。
【0042】
絶縁膜8は、絶縁膜43cをXY方向外側から覆うとともに導電層6における+Z側の面、柱状体40側の面、導電層6における-Z側の面を覆うように延び、Z方向に沿った軸を有する略中空円盤形状を構成する。絶縁膜8は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。以下では、簡略化のため、絶縁膜8の図示及び説明を省略することがある。
【0043】
柱状体40の半導体膜42は、-Z側でソース線SLとしての導電膜3に接続され、+Z側でコンタクトプラグ31を介してビット線BLとして機能する導電層に接続される。すなわち、柱状体40の半導体膜42は、メモリストリングMSTにおけるチャネル領域(アクティブ領域)を含む。
【0044】
図4に示す各積層体SSTでは、導電層6と絶縁層7とが交互に繰り返し積層される。各導電層6は、XY方向に板状に延びる。各導電層6は、導電物(例えば、タングステンなどの金属)を主成分とする材料で形成され得る。各導電層6は、+Z側の面、-Z側の面、及び柱状体40に対向する面が絶縁膜8で覆われていてもよい。絶縁膜8は、絶縁膜43cと組成が異なっていてもよい。絶縁膜8は、絶縁物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムなどの金属酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。各絶縁層7は、XY方向に板状に延びる。各絶縁層7は、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。
【0045】
積層体SSTにおいて、Z方向に互いに離間して配される複数の導電層6のうち、-Z側の導電層6は、選択ゲートSGSB,SGS(図1参照)として機能し、+Z側の導電層6は、選択ゲートSGDT,SGD(図1参照)として機能し、それらの間の導電層6は、ワード線WLとして機能する。図4では、積層体SSTにおいて、-Z側から、選択ゲートSGSB1の導電層6、選択ゲートSGSB2の導電層6、選択ゲートSGSB3の導電層6、選択ゲートSGSB4の導電層6、選択ゲートSGS1の導電層6、選択ゲートSGS2の導電層6、選択ゲートSGS3の導電層6が積層される構成が例示される。
【0046】
選択ゲートSGSB1の導電層6が半導体膜42と交差する位置には、選択トランジスタSGTb1が形成される。選択ゲートSGSB2の導電層6が半導体膜42と交差する位置には、選択トランジスタSGTb2が形成される。選択ゲートSGSB3の導電層6が半導体膜42と交差する位置には、選択トランジスタSGTb3が形成される。選択ゲートSGSB4の導電層6が半導体膜42と交差する位置には、選択トランジスタSGTb4が形成される。
【0047】
選択ゲートSGS1の導電層6が半導体膜42及び電荷蓄積膜43bと交差する位置には、選択トランジスタSGTa1が形成される。選択ゲートSGS2の導電層6が半導体膜42と交差する位置には、選択トランジスタSGTa2が形成される。選択ゲートSGS3の導電層6が半導体膜42及び電荷蓄積膜43bと交差する位置には、選択トランジスタSGTa3が形成される。
【0048】
ワード線WL0の導電層6が半導体膜42及び電荷蓄積膜43bと交差する位置には、メモリセルMT0が形成される。ワード線WL1(図1参照)の導電層6が半導体膜42及び電荷蓄積膜43bと交差する位置には、メモリセルMT1(図3参照)が形成される。ワード線WL10の導電層6が半導体膜42及び電荷蓄積膜43bと交差する位置には、メモリセルMT10が形成される。
【0049】
選択ゲートSGD(図1参照)の導電層6が半導体膜42と交差する位置には、選択トランジスタSGTa(図3参照)が形成される。
【0050】
選択ゲートSGDT(図1参照)の導電層6が半導体膜42と交差する位置には、選択トランジスタSGTb(図3参照)が形成される。
【0051】
なお、柱状体40は、選択ゲートSGD,SGDBの導電層6と交差する位置において、部分的に電荷蓄積膜43b及び絶縁膜43cが省略されていてもよい。
【0052】
図4に示すように、メモリセルアレイ2は、積層体SSTの-Z側にDSC(Direct Strap Contact)構造を有する。DSC構造では、ソース線SLが半導体膜42に接触する。DSC構造では、基板SUB(図1参照)と積層体SSTとの間に、層間絶縁膜81、半導体膜5、導電膜4、及び半導体膜9が順に積層され、半導体膜42と導電膜4との間に導電膜3が配される。半導体膜5、導電膜4、導電膜3及び半導体膜9は、ソース線SLとして機能し、半導体膜5は、ソース線BSLとして機能する。柱状体40において、絶縁膜12、絶縁膜43、半導体膜42は、コア絶縁膜41の側面を覆いながら積層体SSTをZ方向に貫通するが、導電膜3,4に対応するZ位置に開口40aが配されている。導電膜3,4は、開口40aを介して半導体膜42に電気的に接続されている。
【0053】
半導体膜5は、XY方向に延びる。半導体膜5には、柱状体40の-Z側の先端が達している。半導体膜5は、多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され、N型の不純物(例えば、リン又はヒ素)を第1の濃度で含む。半導体膜5は、ソース線BSLとして機能する。
【0054】
導電膜4は、Z方向における半導体膜5及び半導体膜9の間に配される、導電膜4は、XY方向に延びる。導電膜4は、柱状体40によりZ方向に貫通される。
【0055】
導電膜4は、導電膜4a、導電膜4b、導電膜4cを含む。導電膜4cは、コア絶縁膜41の側面を覆う。柱状体40に対応するXY位置において、導電膜4cは、+Z側の主面が導電膜3に接触し、-Z側の主面が導電膜3に接触する。導電膜4aは、導電膜4cの外周面における+Z側の部分からXY方向に延びる。導電膜4bは、導電膜4cの外周面における-Z側の部分からXY方向に延びる。コア絶縁膜10は、Z方向における導電膜4a、導電膜4bの間に配される。コア絶縁膜10は、導電膜4cの外周面におけるZ方向における中間の部分からXY方向に延びる。
【0056】
導電膜4a、導電膜4b、導電膜4cは、それぞれ、多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され、N型の不純物(例えば、リン又はヒ素)を第2の濃度で含む。コア絶縁膜10は、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成される。
【0057】
半導体膜9は、多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され、N型の不純物(例えば、リン又はヒ素)を第3の濃度で含む。半導体膜9は、ソース線SLとして機能する。
【0058】
導電膜3は、Z方向における導電膜4と半導体膜42との間に配される。導電膜3は、半導体膜42の一端と導電膜4の+Z側の主面との間に介在する。導電膜3は、導電膜4に接触し、半導体膜42の一端に接触する。
【0059】
導電膜3は、導電膜3a、導電膜3bを含む。導電膜3aは、-Z側の主面が導電膜4に接触し、+Z側の主面が半導体膜42の-Z側の一端に接触される。導電膜3bは、+Z側の主面が導電膜4に接触し、-Z側の主面が半導体膜42の+Z側の一端に接触される。
【0060】
導電膜3a、導電膜3bは、それぞれ、多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され、N型の不純物(例えば、リン又はヒ素)を第4の濃度で含む。
【0061】
導電膜3a、導電膜3bは、さらにカーボンを第5の濃度で含む。これに応じて、導電膜3a、導電膜3bにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜4a、導電膜4b、導電膜4cにおける多結晶半導体の平均粒径より小さい。
【0062】
なお、平均粒径の求め方は、特に限定されないが、例えばフロー式粒子像分析装置、レーザー回析・散乱法を用いた粒度分布測定装置などを用いて測定した平均粒径を用いてもよい。あるいは、TEM(Transmission Electron Microscope)画像から、Intercept法(Heyn法とも呼ばれる)、またはPlanimetric法(Jeffries法とも呼ばれる)を用いて、平均粒径を算出してもよい。
【0063】
メモリセルMTへの情報の書き込み処理では、選択ワード線WLの導電層6へ書き込み電圧が印加され、非選択ワード線WLの導電層6へ転送電圧が印加され、半導体膜42へ基準電圧が印加され、選択ストリングの選択ゲート線SGD,SGDTに選択電圧が印加され、選択ゲート線SGS,SGSBに基準電圧が印加される。書き込み電圧は、半導体膜42の電荷(電子)を電荷蓄積膜43bへ注入するための電位(例えば、20V)を有する。転送電圧は、書き込み電圧と基準電圧との間の電位(例えば、10V)を有する。基準電圧は、基準となる電位(例えば、0V)を有する。選択電圧は、選択トランジスタDGTa,DGTbがオンするような電位(例えば、2.5V)を有し、基準電圧は、選択トランジスタSGTa,SGTbがオフするような電位を有する。これにより、選択ワード線WLの導電層6と半導体膜42とが交差する位置の選択メモリセルMTの電荷蓄積膜43bに電荷が蓄積され、選択メモリセルMTに情報が書き込まれる。
【0064】
メモリセルMTに対する情報の消去処理では、各ワード線WLの導電層6へ基準電圧が印加され、半導体膜42へ消去電圧が印加され、選択ゲートSGD,SGDTに選択電圧が印加され、選択ゲートSGS,SGSBに両者の中間電圧が印加される。消去電圧は、半導体膜42の反対電荷(正孔)を電荷蓄積膜43bへ注入するための電位(例えば、20V)を有する。基準電圧は、基準となる電位(例えば、0V)を有する。選択電圧は、選択トランジスタDGTa,DGTbがオフするような電位(例えば、20V)を有し、中間電圧は、消去処理と基準電圧との間の電位(例えば、5V)を有する。このような制御によって、選択トランジスタSGTbのドレイン近傍でGIDL(Gate Induced Drain Leakage)により電子・正孔対を発生させ、反対電荷(正孔)を半導体膜42から電荷蓄積膜43bに注入する。これにより、電荷蓄積膜43bに蓄積された電荷が消去され、メモリセルMTの情報が消去され得る。
【0065】
消去処理において、選択ゲートSGSBに対応する選択トランジスタSGTbはGIDL生成の機能を担い、選択ゲートSGSに対応する選択トランジスタSGTaは半導体膜42とソース線SL(導電膜3,4)との電気的な接続・遮断の機能を担う。
【0066】
半導体記憶装置1の製造時に、半導体膜5,9及び導電膜4に含まれるN型の不純物は、導電膜3を介して半導体膜42へ拡散していく。それに応じて、半導体膜42におけるN型の不純物の濃度は、図6(a)に実線で示されるように、導電膜3に接する部分が比較的高いが、選択ゲートSGSBのチャネル領域のZ位置に近付くにつれて減少する傾向にある。
【0067】
図6は、半導体膜42の不純物濃度の分布を示す図である。図6(a)は、Z方向における半導体膜42のN型の不純物の濃度の分布を示し、縦軸がN型の不純物の濃度を示し、横軸がZ位置を示す。図6(b)は、図6(a)の横軸(Z位置)に対応する半導体膜42のYZ断面を示す。
【0068】
このとき、前述のように、導電膜3a、導電膜3bがカーボンを第5の濃度で含むことに応じて、導電膜3a、導電膜3bにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜4a、導電膜4b、導電膜4cにおける多結晶半導体の平均粒径より小さい。これにより、半導体膜5,9及び導電膜4から導電膜3a、導電膜3bを介した半導体膜42へのN型の不純物の拡散量が適正に制御され得る。
【0069】
すなわち、図6(a)に実線で示されるように、半導体膜42において、選択ゲートSGSBのチャネル領域にはN型の不純物が閾値濃度Cth以上に含まれるが、選択ゲートSGSのチャネル領域にはN型の不純物が閾値濃度Cth未満に抑制されている。これにより、消去処理時における選択ゲートSGSBでのGIDL生成を効率化できるとともに、選択ゲートSGSを適正にオン・オフできる。
【0070】
なお、不純物濃度の求め方は、特に限定されないが、例えばSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)装置などを用いて測定した濃度を用いてもよい。
【0071】
次に、半導体記憶装置1の製造方法について図7図16及び図4を用いて説明する。図7図16は、半導体記憶装置1の製造方法を示すYZ断面図である。図4は、半導体記憶装置1の構造を示すYZ断面図であるが、製造方法を示す断面図として流用する。
【0072】
図7に示す工程では、基板SUB(図1参照)にトランジスタを形成し、基板SUB上に、コンタクトプラグ、配線膜及びビアプラグ等を形成するとともにそれらの周囲に層間絶縁膜81を形成する。これにより、周辺回路100が形成される。層間絶縁膜81は、基板SUBの+Z側に、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料を堆積させることにより形成され得る。
【0073】
層間絶縁膜81の+Z側に半導体層5iが堆積される。半導体層5iは、N型の不純物(例えば、リン又はヒ素)を含む半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。
【0074】
半導体層5iの+Z側に、絶縁層21iが堆積される。絶縁層21iは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。
【0075】
絶縁層21iの+Z側に、犠牲層11iが堆積される。犠牲層11iは、半導体層5iとエッチング選択比を確保可能な材料(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。
【0076】
犠牲層11iの+Z側に、絶縁層22iが堆積される。絶縁層22iは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。
【0077】
絶縁層22iの+Z側に、半導体層9iが堆積される。半導体層9iは、N型の不純物(例えば、リン又はヒ素)を含む半導体(例えば、シリコン)を主成分とする材料で形成され得る。
【0078】
半導体層9iの+Z側に、絶縁層7iと犠牲層13iとを交互に複数回堆積し、積層体SST1iを形成する。絶縁層7iは、酸化物(例えば、シリコン酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。犠牲層13iは、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。各絶縁層7i及び各犠牲層13iは、概ね同様な膜厚で堆積され得る。
【0079】
図8に示す工程では、メモリホール26の形成位置が開口されたレジストパターンを積層体の上に形成する。レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)法などの異方性エッチングを行い、積層体SST1j、半導体層9、絶縁層22、犠牲層11、絶縁層22を貫通し半導体層5に到達するメモリホール26を形成する。
【0080】
図9に示す工程では、メモリホール26の側面及び底面に、絶縁膜43ci、電荷蓄積膜43bi、絶縁膜43ai(図5参照)を順に堆積する。絶縁膜43ciは、酸化物(例えば、シリコン酸化物、金属酸化物またはそれらの積層)を主成分とする材料で形成され得る。電荷蓄積膜43biは、窒化物(例えば、シリコン窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。絶縁膜43aiは、酸化物(例えば、シリコン酸化物またはシリコン酸窒化物)を主成分とする材料で形成され得る。図9では、簡略化のため、絶縁膜43ci、電荷蓄積膜43bi、絶縁膜43aiが積層された多層膜を絶縁膜43iとして示している。メモリホール26の側面及び底面に半導体膜42iが堆積される。半導体膜42iは、実質的に不純物を含まない半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され得る。そして、メモリホール26にコア部材41が埋め込まれる。コア部材41は、絶縁物(例えば、シリコン酸化物などの半導体酸化物)を主成分とする材料で形成され得る。これにより、積層体SST1i、半導体層9、犠牲層11、半導体層5をZ方向に貫通する柱状体40が形成される。
【0081】
図10に示す工程では、ウェットエッチングなどの等方性エッチングによって犠牲層11が除去され、空隙27が形成される。空隙27は、柱状体40の外側面40aの一部を露出する。
【0082】
図11に示す工程では、ウェットエッチングなどの等方性エッチングによって絶縁層21,22を除去するとともに、絶縁膜43i及び半導体膜42iにおける露出面近傍の部分を除去する。これにより、コア部材41の外側面41aの一部と-Z側の半導体膜42の+Z側端421と+Z側の半導体膜42の-Z側端422とを露出するとともに、外側面41aに沿った溝271,272を形成する。溝271は、空隙27からコア部材41の外側面41aに沿って-Z方向に突出する。溝271は、略円筒状である。溝272は、空隙27からコア部材41の外側面41aに沿って+Z方向に突出する。溝272は、略円筒状である。溝271、溝272及び空隙27は、XY平面視において、コア部材41を囲む。
【0083】
図12に示す工程では、CVD法などにより、空隙27の露出面、及び溝271,272に導電膜3i、導電膜25iを堆積させる。導電膜3iは、N型の不純物及びカーボンを含む多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。導電膜25iは、N型の不純物を含む多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。これにより、溝271,272に導電膜3iが埋め込まれる。
【0084】
図13に示す工程では、ウェットエッチングなどの等方性エッチングによって導電膜3i、導電膜25iのエッチバックが行われる。エッチバックにおけるエッチング量は、エッチング時間などにより制御される。これにより、導電膜3iにおける溝271,272(図12参照)に埋め込まれた部分が導電膜3として残されながら、導電膜3iにおけるそれ以外の部分と導電膜25iとが除去される。導電膜3のうち、空隙27の-Z側の溝271に埋め込まれた部分が導電膜3aとして残され、空隙27の+Z側の溝272に埋め込まれた部分が導電膜3bとして残される。
【0085】
図14に示す工程では、CVD法などにより、空隙27の露出面に導電膜4を堆積させる。導電膜4は、N型の不純物を含む多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。これにより、空隙27の露出面が導電膜4で覆われる。
【0086】
図15に示す工程では、CVD法などにより、空隙27に絶縁物を埋め込み、コア絶縁膜10を形成する。
【0087】
図16に示す工程では、ウェットエッチングなどの等方性エッチングによって積層体SST1jにおける犠牲層13が除去され、空隙28が形成される。そして、空隙28の露出面を覆う絶縁膜8(図5参照)が形成される。絶縁膜8は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0088】
図4に示す工程では、空隙28に導電物質が埋め込まれ導電層6が形成される。導電層6は、タングステンなどの金属を主成分とする材料で形成される。これにより、絶縁層7と導電膜6とが交互に複数積層された積層体SSTが形成される。すなわち、積層体SSTを含む半導体記憶装置1が形成される。
【0089】
以上のように、第1の実施形態では、半導体記憶装置1において、ソース線SLが半導体膜42に接触するDSC構造が設けられる。DSC構造において、ソース線SLとして機能する導電膜3,4のうち、導電膜3bは、-Z側で導電膜4に接触し、+Z側で半導体膜42の一端に接触する。導電膜4は、不純物を含む多結晶半導体を含む。導電膜3bは、不純物及びカーボンを含む多結晶半導体を含む。これに応じて、導電膜3bにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜4における多結晶半導体の平均粒径より小さい。これにより、半導体膜5,9及び導電膜4から導電膜3bを介した半導体膜42への不純物の拡散量が適正に制御され得る。この結果、消去処理時における選択ゲートSGSBでのGIDL生成を効率化できるとともに、選択ゲートSGSを適正にオン・オフできるので、半導体記憶装置1の動作の信頼性を向上できる。
【0090】
例えば、導電膜4が半導体膜42の側面に直接接触する場合、図6(a)に一点鎖線で示されるように、導電膜4に接する部分が比較的高いが、選択ゲートSGSBのチャネル領域のZ位置に近付くにつれて減少する傾向にある。
【0091】
このとき、導電膜4(導電膜4a、導電膜4b、導電膜4c)における多結晶半導体の平均粒径が比較的大きい。これにより、半導体膜5,9及び導電膜4から半導体膜42へのN型の不純物の拡散量が過剰になり得る。
【0092】
すなわち、図6(a)に一点鎖線で示されるように、半導体膜42において、選択ゲートSGSのチャネル領域にはN型の不純物が閾値濃度Cth以上に含まれる。これにより、選択ゲートSGSが非選択時にオンしてしまうなど、選択ゲートSGSを適正にオン・オフすることが困難になり、半導体記憶装置1の動作の信頼性が劣化し得る。
【0093】
一方、第1の実施形態では、導電膜3bにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜4における多結晶半導体の平均粒径より小さい。これにより、半導体膜5,9及び導電膜4から導電膜3bを介した半導体膜42への不純物の拡散量が適正に制御され得る。例えば、図6(a)に実線で示されるように、半導体膜42において、選択ゲートSGSBのチャネル領域にはN型の不純物が閾値濃度Cth以上に含まれるが、選択ゲートSGSのチャネル領域にはN型の不純物が閾値濃度Cth未満に抑制される。この結果、消去処理時における選択ゲートSGSBでのGIDL生成を効率化できるとともに、選択ゲートSGSを適正にオン・オフできるので、半導体記憶装置1の動作の信頼性を向上できる。
【0094】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかる半導体記憶装置101について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0095】
DSC構造として、第1の実施形態では、半導体膜42の一端と導電膜4の+Z側の主面との間にカーボンを含む導電膜3が介在する構造が例示されるが、第2の実施形態では、半導体膜42の側面と導電膜4の端部との間にカーボンを含む導電膜103が介在する構造が例示される。
【0096】
半導体記憶装置101において、メモリセルアレイ102は、図17に示すように、導電膜3(図4参照)に代えて導電膜103を有する。図17は、メモレイセルアレイ102の構成を示すYZ断面図である。
【0097】
導電膜103は、XY方向における導電膜4と半導体膜42との間に配される。導電膜103は、半導体膜42の側面と導電膜4の端部との間に介在する。導電膜103は、コア絶縁膜41側の側面(内側面)が半導体膜42の側面に接触し、その反対側の側面(外側面)が導電膜4の端部に接触する。
【0098】
導電膜103は、導電膜103a、導電膜103b、導電膜103cを含む。導電膜103aは、+Z側の主面が導電膜4の端部に接触するとともに導電膜103cに接続され、コア絶縁膜41側の側面(内側面)が半導体膜42の側面に接触される。導電膜103bは、-Z側の主面が導電膜4の端部に接触するとともに導電膜103cに接続され、コア絶縁膜41側の側面(内側面)が半導体膜42の側面に接触される。導電膜103cは、コア絶縁膜41側の側面が半導体膜42の側面に接触し、その反対側の側面が導電膜4の端面に接触し、-Z側の端部が導電膜103aに接続され、+Z側の端部が導電膜103bに接続される。
【0099】
導電膜103a、導電膜103b、導電膜103cは、それぞれ、多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され、N型の不純物(例えば、リン又はヒ素)を第4の濃度で含む点は、第1の実施形態の導電膜3a、導電膜3bと同様である。
【0100】
導電膜103a、導電膜103b、導電膜103cは、それぞれ、さらにカーボンを第5の濃度で含む点も、第1の実施形態の導電膜3a、導電膜3bと同様である。これに応じて、導電膜103a、導電膜103b、導電膜103cにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜4a、導電膜4b、導電膜4cにおける多結晶半導体の平均粒径より小さい。
【0101】
また、半導体記憶装置1の製造方法が、図18図23及び図17に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。図18図23は、半導体記憶装置1の製造方法を示すYZ断面図である。図17は、半導体記憶装置1の構造を示すYZ断面図であるが、製造方法を示す断面図として流用する。
【0102】
図7図10の工程が第1の実施形態と同様に行われた後、図18に示す工程が行われる。
【0103】
図18に示す工程では、ウェットエッチングなどの等方性エッチングによって絶縁層21,22(図10参照)を除去するとともに、絶縁膜43iにおける露出面近傍の部分を除去し、半導体膜42の外側面42aの一部を露出するとともに、外側面42aに沿った溝271a,272aを形成する。溝271aは、空隙27から半導体膜42の外側面42aに沿って-Z方向に突出する。溝271aは、略円筒状である。溝272aは、空隙27から半導体膜42の外側面42aに沿って+Z方向に突出する。溝272aは、略円筒状である。溝271a、溝272a及び空隙27は、XY平面視において、半導体膜42を囲む。
【0104】
図19に示す工程では、CVD法などにより、空隙27の露出面、及び溝271a,272a(図18参照)に導電膜103i、導電膜25iを堆積させる。導電膜103iは、N型の不純物及びカーボンを含む多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。導電膜25iは、N型の不純物を含む多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。これにより、溝271a,272aに導電膜103iが埋め込まれる。
【0105】
図20に示す工程では、ウェットエッチングなどの等方性エッチングによって導電膜103i、導電膜25iのエッチバックが行われる。エッチバックにおけるエッチング量は、エッチング時間などにより制御される。これにより、導電膜103iにおける溝271a,272a(図18参照)に埋め込まれた部分及び溝271a,272a間の部分が導電膜103として残されながら、導電膜103iにおけるそれ以外の部分と導電膜25iとが除去される。導電膜103のうち、空隙27の-Z側の溝271aに埋め込まれた部分が導電膜103aとして残され、空隙27の+Z側の溝272aに埋め込まれた部分が導電膜103bとして残され、溝271a,272a間の部分が導電膜103cとして残される。
【0106】
図21に示す工程では、CVD法などにより、空隙27の露出面に導電膜4を堆積させる。導電膜4は、N型の不純物を含む多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。これにより、導電膜103cの外側面が導電膜4で覆われるとともに、空隙27の露出面が導電膜4で覆われる。
【0107】
図22に示す工程では、CVD法などにより、空隙27に絶縁物を埋め込み、コア絶縁膜10を形成する。
【0108】
図23に示す工程では、ウェットエッチングなどの等方性エッチングによって積層体SST1jにおける犠牲層13が除去され、空隙28が形成される。そして、空隙28の露出面を覆う絶縁膜8(図5参照)が形成される。絶縁膜8は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0109】
図17に示す工程では、空隙28に導電物質が埋め込まれ導電層6が形成される。導電層6は、タングステンなどの金属を主成分とする材料で形成される。これにより、絶縁層7と導電膜6とが交互に複数積層された積層体SSTが形成される。すなわち、積層体SSTを含む半導体記憶装置101が形成される。
【0110】
以上のように、第2の実施形態では、半導体記憶装置101において、ソース線SLが半導体膜42に接触するDSC構造が設けられる。DSC構造において、ソース線SLとして機能する導電膜103,4のうち、導電膜103cは、コア絶縁膜41側の側面(内側面)が半導体膜42の側面に接触し、その反対側の側面(外側面)が導電膜4の端部に接触する。導電膜4は、不純物を含む多結晶半導体を含む。導電膜103cは、不純物及びカーボンを含む多結晶半導体を含む。これに応じて、導電膜103cにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜4における多結晶半導体の平均粒径より小さい。これにより、半導体膜5,9及び導電膜4から導電膜103cを介した半導体膜42への不純物の拡散量が適正に制御され得る。この結果、消去処理時における選択ゲートSGSBでのGIDL生成を効率化できるとともに、選択ゲートSGSを適正にオン・オフできるので、半導体記憶装置101の動作の信頼性を向上できる。
【0111】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかる半導体記憶装置201について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0112】
DSC構造として、第2の実施形態では、導電膜4が導電膜103を介して半導体膜42に接触する構造が例示されるが、第3の実施形態では、導電膜204が半導体膜42の一端に直接接触しながら導電膜203を介して半導体膜42の側面に接触する構造が例示される。
【0113】
半導体記憶装置201において、メモリセルアレイ202は、図24に示すように、導電膜3、導電膜4(図4参照)に代えて導電膜203、導電膜204を有する。図24は、メモレイセルアレイ202の構成を示すYZ断面図である。
【0114】
導電膜204は、柱状体40がZ方向に貫通する。導電膜204は、半導体膜42の一端に直接接触しながら導電膜203を介して半導体膜42の側面に接触する。導電膜204は、コア絶縁膜41に近接する部分がZ方向両側で半導体膜42の一端に接触し、コア絶縁膜41からより遠い部分がZ方向両側で導電膜203の主面に接触する。
【0115】
導電膜204は、導電膜4c(図18参照)に代えて導電膜204cを含む。導電膜204cは、コア絶縁膜41の外側面41aを覆う。柱状体40に対応するXY位置において、導電膜204cは、+Z側の主面が半導体膜42及び導電膜203に接触し、-Z側の主面が半導体膜42及び導電膜203に接触する。
【0116】
導電膜4a、導電膜4b、導電膜204cは、それぞれ、多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され、N型の不純物(例えば、リン又はヒ素)を第2の濃度で含む点は、第1の実施形態の導電膜4a、導電膜4b、導電膜4cと同様である。
【0117】
導電膜203は、導電膜204と半導体膜42との間に配される。導電膜203は、半導体膜42の側面と導電膜204の端部とにそれぞれ接触する。
【0118】
導電膜203は、導電膜203a、導電膜203bを含む。導電膜203aは、コア絶縁膜41側の側面(内側面)が半導体膜42の側面に接触し、+Z側の主面が導電膜4の端部に接触する。導電膜203bは、コア絶縁膜41側の側面(内側面)が半導体膜42の側面に接触し、-Z側の主面が導電膜4の端部に接触する。
【0119】
導電膜203a、導電膜203bは、それぞれ、多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)を主成分とする材料で形成され、N型の不純物(例えば、リン又はヒ素)を第4の濃度で含む点は、第1の実施形態の導電膜3a、導電膜3bと同様である。
【0120】
導電膜203a、導電膜203bは、それぞれ、さらにカーボンを第5の濃度で含む点も、第1の実施形態の導電膜3a、導電膜3bと同様である。これに応じて、導電膜203a、導電膜203bにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜4a、導電膜4b、導電膜204cにおける多結晶半導体の平均粒径より小さい。
【0121】
また、半導体記憶装置1の製造方法が、図25図28及び図24に示すように、次の点で第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる。図25図28は、半導体記憶装置1の製造方法を示す断面図である。図24は、半導体記憶装置1の構造を示す断面図であるが、製造方法を示す断面図として流用する。
【0122】
図7図10の工程が第1の実施形態と同様に行われ、図18図19に示す工程が第2の実施形態と同様に行われた後、図25に示す工程が行われる。
【0123】
図25に示す工程では、ウェットエッチングなどの等方性エッチングによって導電膜103i、導電膜25i(図19参照)のエッチバックが行われる。エッチバックにおけるエッチング量は、エッチング時間などにより制御される。これにより、導電膜103iにおける溝271a,272a(図18参照)に埋め込まれた部分が導電膜203として残されながら、導電膜103iにおけるそれ以外の部分と導電膜25iとが除去される。導電膜103iにおける溝271a,272a間の部分も除去され、コア絶縁膜41の外側面41a、-Z側の半導体膜42の+Z側端421、+Z側の半導体膜42の-Z側端422が露出される。導電膜203のうち、空隙27の-Z側の溝271aに埋め込まれた部分が導電膜203aとして残され、空隙27の+Z側の溝272aに埋め込まれた部分が導電膜203bとして残される。
【0124】
図26に示す工程では、CVD法などにより、空隙27の露出面に導電膜204を堆積させる。導電膜204は、N型の不純物を含む多結晶半導体(例えば、ポリシリコン)で形成され得る。
【0125】
図27に示す工程では、CVD法などにより、空隙27に絶縁物を埋め込み、コア絶縁膜10を形成する。
【0126】
図28に示す工程では、ウェットエッチングなどの等方性エッチングによって積層体SST1jにおける犠牲層13が除去され、空隙28が形成される。そして、空隙28の露出面を覆う絶縁膜8(図5参照)が形成される。絶縁膜8は、アルミニウム酸化物等の絶縁物で形成され得る。
【0127】
図24に示す工程では、空隙28に導電物質が埋め込まれ導電層6が形成される。導電層6は、タングステンなどの金属を主成分とする材料で形成される。これにより、絶縁層7と導電膜6とが交互に複数積層された積層体SSTが形成される。すなわち、積層体SSTを含む半導体記憶装置201が形成される。
【0128】
以上のように、第3の実施形態では、半導体記憶装置201において、ソース線SLが半導体膜42に接触するDSC構造が設けられる。DSC構造において、ソース線SLとして機能する導電膜203,204のうち、導電膜203bは、半導体膜42の側面と導電膜204の端部とにそれぞれ接触する。導電膜204は、半導体膜42の一端に直接接触しながら導電膜203bを介して半導体膜42の側面に接触する。導電膜204は、不純物を含む多結晶半導体を含む。導電膜203bは、不純物及びカーボンを含む多結晶半導体を含む。これに応じて、導電膜203bにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜204における多結晶半導体の平均粒径より小さい。これにより、半導体膜5,9及び導電膜204から導電膜203bを介した半導体膜42への不純物の拡散量が適正に制御され得る。この結果、消去処理時における選択ゲートSGSBでのGIDL生成を効率化できるとともに、選択ゲートSGSを適正にオン・オフできるので、半導体記憶装置201の動作の信頼性を向上できる。
【0129】
なお、ソース線SLが半導体膜42に接触するDSC構造について、図4に示す構造と図17に示す構造と図24に示す構造とでは、ソース線SLから半導体膜42への不純物の拡散しやすさが互いに異なる。不純物の拡散しやすさは、拡散係数で表され得る。拡散係数は、単位時間当たりに単位面積を通過する物質の量として定義され得る。
【0130】
図4に示す構造では、導電膜4が導電膜3bを介して半導体膜42の一端に間接的に接触している。導電膜4は、不純物を含む多結晶半導体を含む。導電膜3bは、不純物及びカーボンを含む多結晶半導体を含む。導電膜3bにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜4における多結晶半導体の平均粒径より小さい。導電膜3bは、導電膜4から半導体膜42へ拡散される不純物の拡散量を制御するための膜として機能する。
【0131】
図4に示す構造では、導電膜4の導電膜3bを介した半導体膜42への間接的な接触面積が半導体膜42の一端の面積であり比較的に小さい。このため、図4に示す構造における導電膜4から半導体膜42への不純物の拡散係数Dは比較的小さい。
【0132】
図17に示す構造では、導電膜4が導電膜103cを介して半導体膜42の側面に間接的に接触している。導電膜4は、不純物を含む多結晶半導体を含む。導電膜103cは、不純物及びカーボンを含む多結晶半導体を含む。導電膜103cにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜4における多結晶半導体の平均粒径より小さい。導電膜103cは、導電膜4から半導体膜42へ拡散される不純物の拡散量を制御するための膜として機能する。
【0133】
図17に示す構造では、導電膜4の導電膜103cを介した半導体膜42への間接的な接触面積が半導体膜42の側面の面積であり図4に示す構造に比べて大きい。このため、図17に示す構造における導電膜4から半導体膜42への不純物の拡散係数D17は、図4に示す構造の拡散係数Dより大きい。
【0134】
図24に示す構造では、導電膜204が半導体膜42の一端に直接接触するとともに導電膜203bを介して半導体膜42の側面に間接的に接触している。導電膜204は、不純物を含む多結晶半導体を含む。導電膜203bは、不純物及びカーボンを含む多結晶半導体を含む。導電膜203bにおける多結晶半導体の平均粒径は、導電膜204における多結晶半導体の平均粒径より小さい。導電膜203bは、導電膜204から半導体膜42へ拡散される不純物の拡散量を制御するための膜として機能する。
【0135】
図24に示す構造では、導電膜204の導電膜203bを介した半導体膜42への直接的な接触面積が存在する。このため、図24に示す構造における導電膜204から半導体膜42への不純物の拡散係数D24は、図17に示す構造の拡散係数D17より大きい。
【0136】
すなわち、図4に示す構造の拡散係数D図17に示す構造の拡散係数D17図24に示す構造の拡散係数D24とは、
<D17<D24
の関係にある。これにより、DSC構造におけるソース線SLから半導体膜42への不純物の要求される拡散係数に応じて、図4に示す構造と図17に示す構造と図24に示す構造とのいずれかを選択して採用することにより、半導体記憶装置が構成されてもよい。
【0137】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0138】
1、101,201 半導体記憶装置、3,103,203 導電膜、4,204 導電膜、42 半導体膜、43 絶縁膜。
図1
図2
図3
図4
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