(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135735
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】手押し式草刈り機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/90 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A01D34/90 N
A01D34/90 G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046574
(22)【出願日】2023-03-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】322007774
【氏名又は名称】秋山 正史
(74)【代理人】
【識別番号】100079083
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 實三
(72)【発明者】
【氏名】秋山 正史
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA03
2B083CA07
2B083DA02
2B083GA02
2B083HA23
2B083HA25
2B083HA32
2B083HA46
2B083HA52
(57)【要約】
【課題】本発明は、少ない操作力で起伏方向および水平方向に草刈り機本体を動かすことができ、所定範囲を十分に草刈りできる手押し式草刈り機の提供。
【解決手段】車輪21を支持した下部構造体10と、草刈り機本体40およびハンドル51を支持した上部構造体30と、上部構造体30と下部構造体10とを回転自在に支持する回転支持機構70と、上部構造体30を回転支持機構70に起伏可能に支持する起伏支持機構80と、起伏支持機構80を起立方向に付勢して上部構造体30に加わる荷重を負担する荷重支持付勢手段90と、上部構造体30と下部構造体10との間に掛け渡され上部構造体30を下部構造体10の所定位置に戻すように付勢する位置規制付勢機構110とを備え、草刈り機本体40を水平方向に回動可能、かつ上下方向に起伏可能にし、荷重支持付勢手段90と位置規制付勢機構110により起伏方向および水平方向の操作力を軽減できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を回転自在に支持した下部構造体と、草刈り機本体およびハンドルを支持した上部構造体と、前記上部構造体と前記下部構造体とを回転自在に支持する回転支持機構と、前記上部構造体を前記回転支持機構に対して上下方向起伏自在に支持する起伏支持機構と、前記上部構造体と前記回転支持機構との間に設けられるとともに前記起伏支持機構を起立方向に付勢して前記上部構造体に加わる荷重を負担し前記ハンドルの起伏操作力を軽減する荷重支持付勢手段と、前記上部構造体と前記下部構造体との間に掛け渡され前記上部構造体を前記下部構造体に対して所定位置に戻すように付勢する位置規制付勢機構と、を備えた手押し式草刈り機。
【請求項2】
請求項1に記載の手押し式草刈り機において、前記荷重支持付勢手段は圧縮コイルばねから構成されるとともに、前記圧縮コイルばねの付勢力を調整する支持付勢力調整手段が設けられた手押し式草刈り機。
【請求項3】
請求項2に記載の手押し式草刈り機において、前記支持付勢力調整手段は、前記回転支持機構に設けられた摺動案内部材を備え、前記圧縮コイルばねの前記回転支持機構側の端部を前記摺動案内部材に摺動可能に係止し、かつ、前記圧縮コイルばねの前記上部構造体側の端部を前記上部構造体に接離可能に当接して構成された手押し式草刈り機。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の手押し式草刈り機において、前記車輪は、前記下部構造体に2輪が設けられるとともに、草刈り機の進行方向に直列に配置された手押し式草刈り機。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の手押し式草刈り機において、前記上部構造体に取り付けられたガイド部材と、前記ハンドルが取り付けられるとともに前記ガイド部材に摺動可能に設けられた摺動部材と、前記ガイド部材と前記摺動部材との係合位置を調整可能な位置調整機構とを備え、前記ハンドルの前記上部構造体への取付位置が変更可能にされた手押し式草刈り機。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の手押し式草刈り機において、緊急時などにおいて前記草刈り機本体の駆動を停止する遮断スイッチを備え、前記遮断スイッチは、前記草刈り機本体の駆動源のストップスイッチに連結された電気回線と、常時閉鎖方向に付勢されるとともに接離可能な接点を有し前記電気回線の途中に設けられたスイッチ本体と、前記スイッチ本体の接離可能な前記接点間に着脱可能に挿入された絶縁部材と、前記絶縁部材に取り付けられた操作部材とを有する手押し式草刈り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手押し式草刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種草刈り機としては、各種提案されているが、草刈ヘッドとしての刈刃を左右に首振りできるようにして塀や障害物の際まで草刈りを可能にしたものとして、例えば、特許文献1に記載のものがある。この手押し式草刈り機は、左右の車輪で支持されて上下角度変更可能的に後延する長柄状のハンドルを有する架台と、架台に載設されて前方に草刈ヘッドを有する作業部とからなる手押し式草刈機である。この手押し式草刈機は、作業部を架台に対して車輪に干渉することなく左右に首振り可能にするとともに、所定の首振り角度で固定でき、この首振りをハンドルの手元で操作できるようになっている。
【0003】
しかし、特許文献1の草刈り機にあっては、草刈ヘッドを左右に首振り可能にして所定の首振り角度で固定できるようにしたので、塀や障害物の際まで草刈りは可能である。しかし、草刈ヘッドを首振り状態で固定して草刈りするため、大きな操作力を必要とし、高齢者や女性には、操作が困難なものであった。また、凹凸のある地面に生育する雑草の草刈り作業を行う場合、エンジンなどの駆動源や架台全体の重量をハンドルで支持して操作するため、操作負担がより大きなものとなっている。
【0004】
凹凸のある地面に生育する雑草の草刈り作業を効率的に行うことができる手押し式草刈り機として、特許文献2に記載のものがある。この手押し式草刈り機は、車輪を備えるフレームに刈り刃駆動機構が支持され、作業者が握持するためのハンドルがフレームから後方に延びるように設けられている。この刈り刃駆動機構は、当該刈り刃駆動機構の支持管がその後端部に対して先端部が下位となるように傾斜する姿勢において、サスペンション機構を介してフレームに支持されている。
【0005】
特許文献2の草刈り機にあっては、刈り刃を備える刈り刃駆動機構がサスペンション機構を介してフレームに支持されているので、地面の凹凸に沿って上下動するフレームの上下動が刈り刃駆動機構に直接伝わらず、地面に対する刈り刃の位置関係を常に適正に維持することができる。また、動力源が振動による衝撃から保護される反面、刈り刃駆動機構がサスペンション機構を介してフレームに固定的に支持されているため、地面の凹凸などの状況に応じて、操作者が直接、刈り刃駆動機構を起伏することができず、その操作力も軽減されるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-229856号公報
【特許文献2】特開2014―103913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、少ない操作力で起伏方向および水平方向に草刈り機本体を動かすことができ、所定範囲を十分に草刈りできる手押し式草刈り機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車輪を回転自在に支持した下部構造体と、草刈り機本体およびハンドルを支持した上部構造体と、前記上部構造体と前記下部構造体とを回転自在に支持する回転支持機構と、前記上部構造体を前記回転支持機構に対して上下方向起伏自在に支持する起伏支持機構と、前記上部構造体と前記回転支持機構との間に設けられるとともに前記起伏支持機構を起立方向に付勢して前記上部構造体に加わる荷重を負担し前記ハンドルの起伏操作力を軽減する荷重支持付勢手段と、前記上部構造体と前記下部構造体との間に掛け渡され前記上部構造体を前記下部構造体に対して所定位置に戻すように付勢する位置規制付勢機構と、を備えた手押し式草刈り機である。
【0009】
本発明において、前記荷重支持付勢手段は圧縮コイルばねから構成されるとともに、前記圧縮コイルばねの付勢力を調整する支持付勢力調整手段が設けられて構成されることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記支持付勢力調整手段は、前記回転支持機構に設けられた摺動案内部材を備え、前記圧縮コイルばねの前記回転支持機構側の端部を前記摺動案内部材に摺動可能に係止し、かつ、前記圧縮コイルばねの前記上部構造体側の端部を前記上部構造体に接離可能に当接して構成されることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記車輪は、前記下部構造体に2輪が設けられるとともに、草刈り機の進行方向に直列に配置されて構成されることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記上部構造体に取り付けられたガイド部材と、前記ハンドルが取り付けられるとともに前記ガイド部材に摺動可能に設けられた摺動部材と、前記ガイド部材と前記摺動部材との係合位置を調整可能な位置調整機構とを備え、前記ハンドルの前記上部構造体への取付位置が変更可能に構成されることが好ましい。
【0013】
本発明において、緊急時などに前記草刈り機本体の駆動を停止する遮断スイッチを備え、前記遮断スイッチは、前記草刈り機本体の駆動源のストップスイッチに連結された電気回線と、常時閉鎖方向に付勢されるとともに接離可能な接点を有し前記電気回線の途中に設けられたスイッチ本体と、前記スイッチ本体の接離可能な前記接点間に着脱可能に挿入された絶縁部材と、前記絶縁部材に取り付けられた操作部材とを有して構成されることが好ましい。
【0014】
なお、本発明において、前記上部構造体と前記下部構造体とを回転自在に支持する前記回転支持機構は、前記上部構造体と前記下部構造体との間に設けられたスラストベアリングにより構成することも可能である。
【0015】
また、本発明において、前記位置規制付勢機構は、前記上部構造体と前記下部構造体との間に掛け渡された2本の引張りコイルばねにより構成することも可能である。
【0016】
さらに、本発明において、前記上部構造体と前記下部構造体との位置を固定するロック機構が設けられ、前記ロック機構は、前記上部構造体に係止される第1の係止部材と、前記下部構造体に係止される第2の係止部材と、前記第1の係止部材と前記第2の係止部材とを位置調整可能に支持するとともに前記第1の係止部材と前記第2の係止部材とを移動させて前記上部構造体と前記下部構造体との動きを固定または開放する移動機構とを備えて構成することも可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、少ない操作力で起伏方向および水平方向に草刈り機本体を動かすことができ、所定範囲を十分に草刈りできる手押し式草刈り機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の全体を示す側面図である。
【
図3】本実施形態に係る下部構造体を示す分解斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る上部構造体、回転支持機構ならびにロック機構の要部を示す一部を切り欠いた分解斜視図である。
【
図5】本実施形態の支持付勢力調整手段を示す側面図である。
【
図6】本実施形態に係る位置規制付勢機構の要部を示す一部を切り欠いた斜視図である。
【
図7】本実施形態の遮断スイッチを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1、
図2において、本実施形態の手押し式草刈り機1は、車輪21を回転自在に支持した下部構造体としての下部フレーム10と、草刈り機本体40およびハンドル51を支持した上部構造体としての上部フレーム30と、上部フレーム30を下部フレーム10に対して回転自在に支持する回転支持機構としてのスラスト軸受70と、上部フレーム30をスラスト軸受70に対して上下方向起伏自在に支持する起伏支持機構としてのヒンジ80と、下部フレーム10に一端を回動可能に支持されたサイドスタンド22とを備えて概略構成されている。
【0021】
草刈り機本体40は、駆動源としてのエンジン41と、草刈り用の刈刃42と、エンジン41の回転駆動力を刈刃42に伝達する駆動機構43と、駆動機構43の図示しない軸部などを覆うメインパイプ44と、メインパイプ44に取り付けられ作業中に発生する小石などの飛散物を防ぐ飛散防止カバー45と、ハンドル51に取り付けられるとともにワイヤ46を介してエンジン41の回転状態を操作できるスロットルレバー47とを備えている。
【0022】
下部構造体としての下部フレーム10は、
図3に示されるように、全体としてU字状に形成された車輪支持フレーム11と、車輪支持フレーム11の中央部に立設された中央部支持フレーム12と、車輪支持フレーム11の後部に立設された後部支持フレーム13と、中央部支持フレーム12と後部支持フレーム13との接合部において車輪支持フレーム11と中央部支持フレーム12との間の上下方向に掛け渡されたスタンド取付部材14とを備えて構成されている。
【0023】
スタンド取付部材14には、バイクなどに取り付けられると同様なサイドスタンド22の一端がブラケット23を介して約90度回動可能に取り付けられ、ブラケット23とサイドスタンド22の中央部近傍との間には、引張りばね24が取り付けられてサイドスタンド22のスタンド位置と走行位置とを保持できるようになっている。
【0024】
後部支持フレーム13の下端には、フレーム立上げ用の一対の台形ゴムからなる支持突起28が取り付けられ、支持突起28側を下にして、手押し式草刈り機1の全体を
図1,
図2中、時計方向に回転して下部フレーム10や上部フレーム30などからなる草刈り機1全体を立ち上げ、所要部の点検、修理などが容易に行えるようになっている。
なお、本実施形態の上部フレーム30および下部フレーム10の主要骨組みは鉄製の角パイプから構成されている。
【0025】
2輪の車輪21は、車輪支持フレーム11の下面に設けられた2対の軸受15に各1本の軸16を介して回転自在に支持されている。軸16の車輪支持フレーム11から突出された両端部近傍にはそれぞれナット17が螺合されるとともに、ナット17の外方の軸16の端部には、それぞれスナップピン18が差し込まれ、ナット17の抜け止めがなされている。車輪支持フレーム11のU字の内側において、軸16の外周には、車輪21の両側面と車輪支持フレーム11の内面との間にスペーサ19が介装されている。
【0026】
車輪支持フレーム11のU字の折曲げ部には、U字状の板材11Aが固定されるとともに、板材11Aの外面には、断面がU字状のゴムカバー11Bが上方から嵌合されている。これにより、手押し式草刈り機1の草刈り時に、下部フレーム10の先端が、石段などの固い部分に当接した場合でも、草刈り機1への衝撃を少なくできるようになっている。
また、草刈り後にゴムカバー11Bなどに絡みついた刈り草を、ゴムカバー11Bを外すことで、容易に排除できる。
また、ゴムカバー11Bの位置は、エンジン40などの点検、補修のため、上部フレーム30を立ち上げた場合、後に詳述するように、後述のハンドル軸52の先端が、丁度、ゴムカバー11Bに当接するような位置に設定され、ハンドル軸52の先端の損傷などが防止されている。
さらに、刈刃42の交換や後方の車輪21のダブルタイヤへの交換などで、ハンドル51と支持突起28を使って草刈り機本体40を立てるとき、メインパイプ44がU字の板材11Aに干渉する可能性があるが、ゴムカバー11Bによりメインパイプ44の保護がなされている。
【0027】
2輪の車輪21は、
図1、
図2から明らかのように、手押し式草刈り機1の進行方向に沿って、前後方向に直列に設けられている。
【0028】
図4において、上部フレーム30は、回転支持機構としてのスラスト軸受70に起伏支持機構としてのヒンジ80を介して上下方向起伏自在に取り付けられた基部部材31と、基部部材31に下端部を固定されるとともに上端部にハンドル取付部材32を有し側面くの字状に折りまげられた立上りフレーム33と、立上りフレーム33の下部に設けられたエンジン取付部材34と、基部部材31と立上りフレーム33の立ち上がり部との間に設けられた補強部材35とを備えて構成されている。
【0029】
回転支持機構としてのスラスト軸受70は、中央部に穴71Aを形成された板状の鉄製部材から構成されるとともに中央部支持フレーム12に固定された下部軌道盤としてのハウジング軌道盤71と、ハウジング軌道盤71の上方に対向して配置された板状の鉄製部材から構成されるとともに中央部に下方に向かって立設された軸部材72を有する上部軌道盤としての軸軌道盤73と、リテーナ74に回転自在に支持された多数の転動体75と、軸部材72がリテーナ74の中心穴74Aとハウジング軌道盤71の中央部の穴71Aとを貫通してハウジング軌道盤71の下面から突出した部分において軸部材72に設けられた溝72Aに嵌合係止され軸部材72のハウジング軌道盤71からの抜け止めをする軸用スナップリング76とを備えて構成されている。
【0030】
起伏支持機構としてのヒンジ80は、一方の羽根81Aが軸軌道盤73の上面に固定された取付バー82に固定されるとともに、他方の羽根81Bが上部フレーム30の基部部材31に固定されている。
これにより、上部フレーム30は、回転支持機構としてのスラスト軸受70に対して起伏自在に構成されている。
【0031】
下部フレーム10とスラスト軸受70との間には、起伏支持機構としてのヒンジ80を開く方向、すなわち、上部フレーム30を起立方向に付勢し、上部フレーム30に加わる荷重の一部を負担してハンドル51の起伏操作力を軽減する荷重支持付勢手段としての一対の圧縮コイルばね90が設けられている。
圧縮コイルばね90は、支持付勢力調整手段100によりその付勢力を調整可能にされている。支持付勢力調整手段100は、
図5にも示されるように、軸軌道盤73の上面の
図4中前後方向に所定間隔を置いて設けられた一対の板状の摺動案内部材101を備えている。摺動案内部材101は、ばね性を有する鉄板製条材を扁平Ω字状に形成して構成され、ボルト102およびナット103により軸軌道盤73に取り付けられている。
【0032】
摺動案内部材101には、圧縮コイルばね90の下端部、すなわち、回転支持機構であるスラスト軸受70側の端部が摺動可能に取り付けられ、圧縮コイルばね90の上端部、すなわち、上部構造体である上部フレーム30側の端部は、基部部材31の下面に摺動自在、かつ、接離可能に当接されている。
これにより、圧縮コイルばね90を摺動案内部材101に沿って、
図1、
図5中左右方向に移動させることによって、圧縮コイルばね90による上部フレーム30に加わる荷重の支持力を変更できるようになっている。すなわち、圧縮コイルばね90を
図1、
図5中左方向に移動すれば、上部フレーム30に加わる荷重の支持力が増大し、
図1、
図5中右方向に移動すれば、上部フレーム30に加わる荷重の支持力が減少することとなる。
なお、圧縮コイルばね90は、板ばねやガススプリングなど他の付勢手段を用いても良い。
【0033】
図4、
図6において、基部部材31の図中前後の側面と後部支持フレーム13との間には、位置規制付勢機構110が設けられている。位置規制付勢機構110は、
図1、
図2にも示されるように、基部部材31の側面に取り付けられた係止部材としてのアイボルト111と、アイボルト111に一端部が係止されるとともに他端部がスイベルボルト115を介して後部支持フレーム13の上端部に取り付けられた一対の引張りコイルばね112とを備えて構成されている。
スイベルボルト115は、市販品を用いることができ、後部支持フレーム13を貫通して取り付けられたボルト本体116と、ボルト本体116の先端に回転自在に取付られるとともに先端部に引張りコイルばね112の他端部が係止された回転ヘッド117と、ボルト本体116の後部支持フレーム13を貫通した部分に位置調整可能にねじ込まれたダブルのナット118とを備えて構成されている。
【0034】
このような構成により、ナット118のボルト本体116に対する螺合位置を変更することにより、引張りコイルばね112の引き延ばし量が変更され、引張りコイルばね112の付勢力が調整できるようになっている。
この際、草刈りの作業者(操作者)などによって、引張りコイルばね112の付勢力を調整する必要がない場合は、スイベルボルト115を用いることなく、適宜な連結手段で引張りコイルばね112の他端部と後部支持フレーム13とを連結してもよい。適宜な連結手段としては、例えば、プラスチック製の結束バンドを用いることができる。この場合、結束バンドを引張りコイルばね112の他端部と後部支持フレーム13との間に掛け渡し、引張りコイルばね112が所定の付勢力を発揮できるように結束バンドの長さを調整することにより、基部部材31と後部支持フレーム13とを所定の付勢力で連結できる。
【0035】
スイベルボルト115の後部支持フレーム13への取付位置は、アイボルト111の一端の基部部材31への取付位置より内側、すなわち、一対の引張りコイルばね112の基部部材31への取付間隔より後部支持フレーム13への取付間隔の方が小さく設定されている。これにより、上部フレーム30の下部フレーム10に対する位置が規制され、一対の引張りコイルばね112の引張り力を、
図2中の前後方向で、同等にすることにより、上部フレーム30に支持された草刈り機本体40のメインパイプ44が手押し式草刈り機1の中心軸線方向を向くように設定されている。ここにおいて、手押し式草刈り機1の中心軸線は、2つの車輪21の配列方向に一致している。
【0036】
図1、
図2において、ハンドル51の中央部には、ブラケット51Aを介して長尺のスチール角パイプから構成された摺動部材としてのハンドル軸52の上端が固定され、ハンドル軸52はハンドル取付部材32の下面に中間部を固定された同じくスチール角パイプから構成されたガイド部材53に摺動自在に挿通されている。ハンドル軸52には多数、例えば11個の位置決め穴54が所定間隔を置いて開けられ、位置決め穴54はハンドル軸52の上面は大きめのスルーホール、下面はねじ穴とされている。
【0037】
ガイド部材53の上下2箇所には、位置決め穴54の所定間隔の整数倍、例えば4倍の間隔で、係合穴55が開けられている。係合穴55は、ガイド部材53の上面および下面ともにスルーホールとして設けられている。
ガイド部材53の係合穴55とハンドル軸52の位置決め穴54とが一致した位置で、係合穴55および位置決め穴54を貫通して止めねじ56が挿入され、止めねじ56の先端のねじ部はハンドル軸52の下面の位置決め穴54のねじ穴に螺合されている。
【0038】
これにより、止めねじ56を位置決め穴54に十分ねじ込むことで、摺動部材としてのハンドル軸52がガイド部材53に位置決めされて固定されている。従って、係合穴55と位置決め穴54との合わせる位置を変更すれば、ハンドル軸52をガイド部材53に対する係合位置を変更でき、上部フレーム30に対するハンドル51の取付位置を容易に変更できる。
ここにおいて、位置決め穴54、係合穴55、止めねじ56により、ハンドル軸52とガイド部材53との係合位置、換言するとハンドル51の長さを変更、調整可能にするハンドル位置の位置調整機構60が構成されている。
【0039】
摺動部材としてのハンドル軸52とガイド部材53とは必ずしも角パイプで構成する必要はなく、摺動部材としてのハンドル軸52がガイド部材53に沿って摺動し、ハンドル軸52に取り付けられたハンドル51の位置が上部フレーム30に対して位置変更可能に構成されていればよい。
また、ハンドル軸52の先端位置は、草刈り機本体40やスラスト軸受70などの点検整備のため、位置規制付勢機構110の一対の引張りコイルばね112を基部部材31の側面のアイボルト111から外し、ヒンジ80を中心として上部フレーム30を
図1、
図2中反時計方向に立ち上げた際、ハンドル軸52の先端部が丁度ゴムカバー11Bに当接するように、U字状の板材11Aおよびゴムカバー11Bの設置位置が設けられている。
これにより、ハンドル軸52の先端がゴムカバー11Bにより保護され、変形などを生じないようにされている。
なお、ハンドル51の両端部には、グリップ57が設けられている。
【0040】
図4において、符号120は、上部フレーム30の下部フレーム10に対する回転および起伏を固定するロック機構120である。ロック機構120は、T字状に形成された本体121と、この本体121の上面に固定され上部フレーム30に係止可能にされたL字状の一対の上部フレーム係止部材122と、下部フレーム10の中央部支持フレーム12に係止可能にされ鉄板などの板材の表面に硬質ゴム板などを被覆して形成された下部フレーム係止部材123と、本体121のT字の端部に取り付けられ上部フレーム係止部材122と下部フレーム係止部材123とを位置調整可能に支持するとともに上部フレーム係止部材122と下部フレーム係止部材123とを移動させて上部フレーム30と下部フレーム10との動きを固定または開放する移動機構124とを備えて構成されている。
移動機構124は、例えば、引き違い窓の動きを固定する窓ロック装置と同様な構造をしている。
【0041】
移動機構124は、具体的には、下部フレーム係止部材123を一端に取り付けられるとともに本体121のT字の端部に上下摺動可能に設けられたケース125と、ケース125に回転自在に支持されるとともにケース125を本体121に対し上下に駆動する操作つまみ126とを備えて構成されている。このような構成において、操作つまみ126を回転させることにより、ケース125に内蔵された図示しない運動変換機構を介してケース125が上下に駆動されるようになっている。
図示しない運動変換機構は、例えば、操作つまみ126のケース内方に設けられた多数の係止ピン付の回転盤と、本体121のT字の端部に固定され直線状に配列された多数の小孔付のガイド板とから構成され、操作つまみ126を回転させることにより、回転盤の係止ピンとガイド板の小孔との係止位置を変更できるようになっている。これにより、操作つまみ126を回転させることで、ケース125とともに下部フレーム係止部材123を上下に駆動できるようになっている。
【0042】
下部フレーム係止部材123を上下に駆動する機構は、引き違い窓の動きを固定する窓ロック装置と同様な構造に限らず、他の機構を用いてもよい。一例を挙げると、例えば、本体121のT字の端部に上下方向を軸心としてボルトを回転自在、かつ、上下方向に移動しないように支持し、このボルトの先端部を下部フレーム係止部材123に設けられたナットに螺合し、ボルトを回転することにより下部フレーム係止部材123の上下位置を変化させるものでもよい。この際、下部フレーム係止部材123は本体121に摺動自在、かつ、回り止めされている。
ここにおいて、上部フレーム係止部材122により前記上部構造体としての上部フレーム30に係止される第1の係止部材が構成され、下部フレーム係止部材123により前記下部構造体としての下部フレーム10に係止される第2の係止部材が構成されている。
【0043】
ロック機構120のL字状の一対の上部フレーム係止部材122の先端部は、基部部材31の後端部に形成された一対の係合孔36(
図6参照)に係合可能にされ、下部フレーム係止部材123は、操作つまみ126を回転させて本体121から最も離れた位置、すなわち、一対の上部フレーム係止部材122との間隔が最も広い位置に移動された状態で、中央部支持フレーム12の上部後縁の下側に挿入可能にされている。
この状態で、一対の上部フレーム係止部材122の先端部を一対の係合孔36に係合するとともに、下部フレーム係止部材123を中央部支持フレーム12の上部後縁の下側に挿入し、操作つまみ126を回転させて下部フレーム係止部材123を上昇させ、中央部支持フレーム12の上部後縁の下側に当接させることにより、一対の上部フレーム係止部材122と下部フレーム係止部材123とによって、基部部材31と中央部支持フレーム12とが挟まれ、下部フレーム10に対して上部フレーム30がロックされることとなる。
【0044】
図7は、遮断スイッチ130の概略構成を示す断面図である。遮断スイッチ130は、作業終了時や手押し式草刈り機1の転倒時などの緊急時において草刈り機本体40の駆動を停止するもので、スイッチ本体131を備えている。
スイッチ本体131は、透明なアクリルパイプなどから構成された透明筒体132と、透明筒体132の両端部に係合されたゴムなどの絶縁素材から構成された端部カバー133と、先端に電気接点となる頭部134Aを有するボルト状に形成され端部カバー133を貫通して配置された一対の接点部材134と、各接点部材134の外周部において接点部材134の頭部134Aと端部カバー133の内端との間にそれぞれ介装された圧縮コイルばね135と、を備えて構成されている。ここにおいて、頭部134Aは、接点として機能している。また、圧縮コイルばね135の付勢力により、一対の接点部材134は常時閉鎖方向に付勢されている。
【0045】
スイッチ本体131には、エンジン41の図示しないストップスイッチの電気回路に接続された2本の電気回線136が接続されている。2本の電気回線136は、各端部に取り付けられた端子板137を介して、接点部材134の端部カバー133から突出したねじ状の端部にそれぞれ2つのナット138により取り付けられている。
スイッチ本体131の一対の接点部材134の頭部134A間には絶縁部材150が介装されている。
【0046】
絶縁部材150は、透明筒体132に設けられた開口部132Aから先端部を一対の接点部材134の頭部134A間に挿入可能にされ、一方、絶縁部材150の他端に取り付けられた取付環151には、操作部材としての紐部材152が取り付けられている。紐部材152の先端部はループ状に形成され、この紐部材152のループ状部分とハンドル51とは紐部材位置固定具153を介して連結されている。紐部材位置固定具153は、ハンドル51の適宜な位置に巻回されたループ紐153Aと、ループ紐153Aをハンドル51の任意の位置に固定する締め付け具153Bとを備えている。
これにより、紐部材152は一端をハンドル51の適宜な位置に固定され、途中がハンドル51の内側に垂れ下がった状態でスイッチ本体131に取り付けられている。
ハンドル51の内側に垂れ下がった紐部材152を引くことにより、絶縁部材150を一対の接点部材134の頭部134A間から容易に引抜くことができるようにされている。
絶縁部材150は、ゴム、皮革などの板材、棒材などから形成されている。操作部材としての紐部材152は、紐に限らず、チェーン、その他の部材でもよく、絶縁部材150を引抜き操作可能な部材であればよい。この際、紐としては、引抜き操作を容易にする上で、やや硬質のプラスチック製撚り紐や、打ち紐などが好ましく、チェーンは、絡みにくい喜平チェーンなどが好ましい。また、紐としては、ネームプレートを首に掛ける際に用いられる紐でもよい。
【0047】
図7において、上方の接点部材134の先端部は、開いたV字状に形成された板材からなる取付板139を貫通して突出され、この突出部に螺合された蝶ナット140により取付板139の一端部に固定されている。取付板139の他端部は、ハンドル51に固定されたブラケット51Aに蝶ボルト141により固定されている。
図7中、下方の接点部材134の先端部には、操作環142が取り付けられ、操作環142を圧縮コイルばね135の付勢力に抗して下方に引くことにより、接点部材134の頭部134Aの間隔が拡がり、絶縁部材150の挿入が可能になるようになっている。
【0048】
図7に記載されたように、絶縁部材150が一対の接点部材134の頭部134A間に挿入された状態では、一対の接点部材134が絶縁部材150により電気的接続が絶たれているため、遮断スイッチ130はOFF状態にされている。このため、エンジン41のストップスイッチは作動せず、エンジン41は駆動が可能な状態となっている。一方、操作部材としての紐部材152を操作して絶縁部材150が一対の接点部材134の頭部134A間から引き抜かれると、一対の頭部134Aが接触して遮断スイッチ130はON状態となり、ストップスイッチが作動してエンジン41は停止されることとなる。
なお、上方の接点部材134に螺合されたナット138の螺合位置を変更することにより、一対の接点部材134の頭部134A間の接触圧を調整することができ、絶縁部材150の引き抜き力を調整できる。
【0049】
次に、本実施形態の具体的な使用方法について説明する。
遮断スイッチ130の一対の接点部材134の頭部134A間に絶縁部材150が挿入された状態で、エンジン41を駆動して刈刃42を回転させる。次いで、サイドスタンド22を外し、ハンドル51を操作して雑草などの草刈りを開始する。
生えている草の状態に応じて、刈刃42を水平方向に対して、左側が5~10度程度低くなるように傾けた状態で、左右に所定角度、振りながら手押し式草刈り機1を前進させて草刈りを行う。この際、刈刃42を左側に傾けることにより、草が左側に寄せられることになり、刈られた草が左右に散ることがなく、左側に片寄せられ、草刈り後の草の収容が容易となる。
また、本実施形態においては、スラスト軸受70が設けてあるので、刈刃42の首振りは小さな力で操作できる。
上部フレーム30の水平方向の首振り操作にあたり、上部フレーム30と下部フレーム10との間には、位置規制付勢機構110が設けられているので、上部フレーム30は、引張りコイルばね112の引張り力により常に手押し式草刈り機1の所定位置である進行方向の中心側に付勢されるので、刈刃42が常に前方の草の方向を向き、前方の草を容易に刈ることができる。また、位置規制付勢機構110の付勢力を適宜に調整することにより、首振り操作をスムースに行える。
【0050】
手押し式草刈り機1の前進動作にあたり、本実施形態では、車輪21が草刈り機1の進行方向に直列に2輪設けてあるので、草刈り地にある程度の凹凸があったり、不整地があっても、草刈り機1を左右に傾倒させながら進めることができ、前進操作も小さな力で行うことができる。
【0051】
草刈り地に大きな凹凸があったり、草丈が大きく変化する場合、従来の草刈り機では操作が困難になる場合があるが、本実施形態では、下部フレーム10に対して上部フレーム30が水平方向のみならず、起伏支持機構としてのヒンジ80の作用により草刈り機本体40の刈刃42を上下方向にも起伏できるので、草丈や地面の凹凸などに対応して刈刃42を上げ下げして対応できる。
この際、上部フレーム30とスラスト軸受70との間には、荷重支持付勢手段としての圧縮コイルばね90が設けられているので、上部フレーム30の起伏動作も小さな力で行うことができる。一方、上部フレーム30と下部フレーム10とは、圧縮コイルばね90を介して連結されているので、上部フレーム30と下部フレーム10とが必要以上に起伏方向に開くことがなく、草刈り作業の操作の妨げになることはない。
上部フレーム30の起伏動作力は、支持付勢力調整手段100の摺動案内部材101に対する圧縮コイルばね90の位置を摺動させて操作することにより、簡単に調整でき、作業者(操作者)の体力などに応じた調整が可能になる。
この際、上部フレーム30の起伏動作力は、圧縮コイルばね90の本数を変更したり、ばね定数を変更するなどして調整することもできる。
【0052】
手押し式草刈り機1による草刈り操作が終わった場合、下部フレーム10と上部フレーム30との間にロック機構120を装着すれば、下部フレーム10と上部フレーム30とは水平方向にも上下方向にも動くことがないので、納屋などへの手押し式草刈り機1の収納を容易に行える。
ロック機構120の装着操作は、移動機構124の操作つまみ126を操作して下部フレーム係止部材123を上部フレーム係止部材122に対して拡げた状態で、手押し式草刈り機1に取り付ける。具体的には、本体121を持ち、上部フレーム係止部材122を上部フレーム30の係合孔36に係合するとともに、下部フレーム係止部材123を下部フレーム10の中央部支持フレーム12の上辺の下面に係合し、操作つまみ126を操作して下部フレーム係止部材123が上部フレーム係止部材122に近づく方向、すなわち、締まる方向に移動すればよく、ロック機構120の装着操作を簡単に行える。
【0053】
草刈り操作において、操作者の背の高さが異なる場合は、ハンドル51の取付位置を変更することができる。すなわち、ガイド部材53の上下の係合穴55に挿入されている止めねじ56を外し、摺動部材としてのハンドル軸52の位置決め穴54とガイド部材53の係合穴55との合わせる位置を変更することにより、ハンドル51の取付位置を変更することができる。
これにより手押し式草刈り機1の操作性をより向上できる。
【0054】
下部フレーム10の後部支持フレーム13の下部には、一対の支持突起28が設けられているので、この支持突起28を下側にして下部フレーム10を
図1中、時計方向に回転させれば、刈刃42を上方にして下部フレーム10および上部フレーム30を立ち上げることができ、刈刃42、車輪21、その他の部材の点検、清掃などを容易に行うことができる。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果がある。
草刈り機本体40が取り付けられた上部フレーム30はスラスト軸受70を介して下部フレーム10に回転自在に支持されているので、草刈り機本体40の刈刃42を小さい操作力で首振り操作できる。
また、上部フレーム30はヒンジ80を介して下部フレーム10に起伏自在に支持されているので、草刈り機本体40の刈刃42を小さい操作力で上下方向に起伏操作でき、草刈り地の凹凸状況、草の背丈などに応じて刈刃42を起伏操作して草の絡みなどを生じさせることなく効率よく作業できる。
上部フレーム30とスラスト軸受70との間には、圧縮コイルばね90を設けたので、圧縮コイルばね90の付勢力により草刈り機本体40の起伏操作力を軽減できる。この際、圧縮コイルばね90の付勢力の変更は、支持付勢力調整手段100の摺動案内部材101に沿って圧縮コイルばね90の位置を変更することで容易に行える。
【0056】
さらに、下部フレーム10と上部フレーム30との間には、一対の引張りコイルばね112を備えた位置規制付勢機構110が設けられているので、下部フレーム10と上部フレーム30との位置を常に手押し式草刈り機1の進行方向中心位置に規制することができて前方の草刈りを容易にできる。引張りコイルばね112の付勢力は、位置規制付勢力調整手段としてのスイベルボルト115を回転させることにより容易に調整できるので、手押し式草刈り機1の水平方向の首振り操作力を容易に調整できる。
【0057】
車輪21は、下部フレーム10に手押し式草刈り機1の進行方向に直列に2つ配置されているので、従来の草刈り機のように車輪を車台に対し横方向に2つ設けた場合と異なり、手押し式草刈り機1の進行操作が容易で、草刈り地の凹凸状況や、泥濘地でも手押し式草刈り機1全体を左右の横方向に傾倒させながら簡単に進行させることができる。
【0058】
草刈り作業の終了後は、上部フレーム30と下部フレーム10との間にロック機構120を係止すれば、上部フレーム30が下部フレーム10に対して回動や起伏することがなく、収納作業が容易にできる。また、草刈り機本体40の刈刃42が横ぶれすることもなく、収納作業を安全に行うことができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明の具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれる。
【0060】
たとえば、前記実施形態では、上部フレーム30および下部フレーム10の主要骨組みは鉄製の角パイプから構成されているが、材料はアルミなど他の素材でも良く、骨組みも角パイプに限らず、板材、丸棒、ブロック状のものや、それらの組合せであってもよい。
【0061】
また、回転支持機構としては、スラスト軸受70に限らず、ラジアル軸受、軸とスリーブとによる滑り軸受でもよい。しかし、スラスト軸受70とすれば、大きな荷重をスムースに負担することができ、 稼働寿命を長くできるメリットがある。
起伏支持機構としてのヒンジ80は他の機構、例えば、軸と軸受で構成してもよく、その設置位置も上部フレーム30の前端部に限らず、中央部や後端部でもよい。しかし、ヒンジ80を用いれば、起伏支持機構を安価に製作でき、設置位置を上部フレーム30の前端部に設ければ、支持付勢力調整手段100の設定スペースが容易に確保でき、設定を容易にできる。
【0062】
車輪21は、進行方向直列の2輪に限らず、2輪で左右の横方向に取り付けても良いが、直列にすれば、前記実施形態の効果で記載した直進性、操作性がよいというメリットがある。また、車輪21は3輪、4輪などでもよい。車輪21を3輪とする場合、前輪を1輪、後輪を近接して並列に2輪、配置すれば、平地で前方にまっすぐ草刈りをする時、ターンがしやすくなるというメリットがある。
位置規制付勢機構110は、本実施形態のように2本の引張りコイルばね112でなくても良く、上部フレーム30の後部中心部を後部支持フレーム13側に引っ張る1本の引張りコイルばね112でもよい。また、引張りコイルばね112の代わりに上部フレーム30の両側面を押圧する板ばねとしてもよいが、引張りコイルばね112とすれば、付勢力を簡易に調整できる。さらに、引張りコイルばね112の代わりにガススプリングを用いてもよいが、引張りコイルばね112とすれば、安価に位置規制付勢機構110を構成できる。
草刈り機本体40の駆動源としては、エンジン41に限らず、モータでもよい。刈刃42としては、チップソーに限らず、ナイロンカッターなどでもよい。
さらに、サイドスタンド22は、センタースタンドなどとしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 手押し式草刈り機
10 下部構造体としての下部フレーム
11 車輪支持フレーム
12 中央部支持フレーム
13 後部支持フレーム
21 車輪
28 支持突起
30 上部構造体としての上部フレーム
40 草刈り機本体
41 駆動源としてのエンジン
42 刈刃
51 ハンドル
52 摺動部材としてのハンドル軸
53 ガイド部材
56 止めねじ
60 ハンドル位置の位置調整機構
70 回転支持機構としてのスラスト軸受
71 下部軌道盤としてのハウジング軌道盤
73 上部軌道盤としての軸軌道盤
80 起伏支持機構としてのヒンジ
90 荷重支持付勢手段としての圧縮コイルばね
100 支持付勢力調整手段
101 摺動案内部材
110 位置規制付勢機構
112 引張りコイルばね
120 ロック機構
121 本体
122 第1の係止部材としての上部フレーム係止部材
123 第2の係止部材としての下部フレーム係止部材
124 移動機構
125 ケース
126 操作つまみ
130 遮断スイッチ
131 スイッチ本体
134 接点部材
136 電気回線
150 絶縁部材
152 操作部材としての紐部材
【手続補正書】
【提出日】2023-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】