(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135746
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】クラッキングエアゾール組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20240927BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240927BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240927BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240927BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240927BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240927BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240927BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q19/00
A61K8/891
A61K8/34
A61K8/86
A61K8/37
A61K8/25
A61K8/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046593
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広中 翼
(72)【発明者】
【氏名】三田地 喜樹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AD041
4C083AD161
4C083AD162
4C083BB04
4C083BB26
4C083BB49
4C083CC02
4C083CC31
4C083DD08
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】破泡感、塗布中の伸び、保湿感、べたつきのなさに優れたクラッキングエアゾール組成物を提供する。
【解決手段】 エアゾールバルブ及びノズルを備えた耐圧容器に封入してなるクラッキングエアゾール組成物であって、
(A) HLBが10~18の非イオン性界面活性剤を0.1~5質量%、
(B) HLBが2~7の非イオン性界面活性剤を0.1~5質量%、
(C) 25℃における動粘度が5~200mm2/sのフェニル変性シリコーンを0.1~5質量%、
(D) グリセリン又は平均重合度2~10のポリグリセリンを1~15質量%、
(E) 体積平均粒子径が1~30μmの球状粉体を1~10質量%、
(F) 噴射剤を35~75質量%、
含有するクラッキングエアゾール組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾールバルブ及びノズルを備えた耐圧容器に封入してなるクラッキングエアゾール組成物であって、
(A) HLBが10~18の非イオン性界面活性剤を0.1~5質量%、
(B) HLBが2~7の非イオン性界面活性剤を0.1~5質量%、
(C) 25℃における動粘度が5~200mm2/sのフェニル変性シリコーンを0.1~5質量%、
(D) グリセリン又は平均重合度2~10のポリグリセリンを1~15質量%、
(E) 体積平均粒子径が1~30μmの球状粉体を1~10質量%、
(F) 噴射剤を35~75質量%、
含有するクラッキングエアゾール組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
破泡感、塗布中の伸び、保湿感、べたつきのなさに優れたクラッキングエアゾール組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クラッキングエアゾール組成物は、エアゾール容器からジェル状または泡状で吐出された内容物に指や手のひらなどでせん断応力を加えるとパチパチと音を立てて破泡する剤型として知られている。破泡した際の噴射剤の気化による冷涼感やパチパチとはじける音や感触によって、使用者に爽快感等の独特な使用感を付与することができ、特に皮膚や頭皮に使用する化粧品として多く利用されている。
【0003】
クラッキングエアゾール組成物は、大量の噴射剤を乳化させるために界面活性剤を高配合したり、破泡音を増強するために増粘剤を加えたりする必要があるが、それによる様々な課題があった。
【0004】
特許文献1では、特定のIOB値を持つ油性基剤、水溶性高分子、界面活性剤、及び液化ガスを組み合わせたエアゾール組成物が開示されている。この文献では、このエアゾール組成物は、吐出すると自発的にパチパチと大きな破泡音を発し、指先や手のひらなどでせん断を加えると、さらに大きくパチパチと破泡音を発し、かつ、その破泡効果の持続性に優れているが、べたつきを感じやすいという課題があった。
【0005】
特許文献2では、ポリアクリル酸ナトリウム、非イオン性界面活性剤、エタノール、及び特定の脂肪族炭化水素を組み合わせた人体用エアゾール化粧料が開示されている。この人体用エアゾール化粧料は、べたつきが少なく、破泡音の大きさ、破泡音の持続性に優れていることが示されている。しかし、保湿感が不十分であった。
【0006】
特許文献3では、2種以上のポリオキシエチレンアルキルエーテル、水溶性高分子、及び液化ガスを含有したエアゾール組成物が開示されている。このエアゾール組成物は、保湿感、破泡音の大きさ、破泡音の持続性、べたつきの少なさに優れているが、吐出物を塗り広げる際の伸びが不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-173613号公報
【特許文献2】特開2006-225274号公報
【特許文献3】特開2021-054730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の如く、クラッキングエアゾール組成物は、噴射剤の気化を抑制し、破泡感を高めるために増粘剤や乳化剤を加えるが、その量が過剰であるとべたつきや塗布時の伸びの悪化、吐出不良などの懸念が生じ、その量が不足すると十分な破泡感が得られない懸念があった。また、保湿感を向上させるために油分等の保湿成分を過剰に加えてもべたつきや吐出不良、破泡感が十分に得られないことが懸念された。したがって、破泡感を高めつつ、べたつきが少なく、保湿感や塗布中の伸びが高いクラッキングエアゾール組成物を得ること、すなわち、破泡感、塗布中の伸び、保湿感、べたつきのなさに優れたクラッキングエアゾール組成物が求められている。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑み、破泡感、塗布中の伸び、保湿感、べたつきのなさに優れたクラッキングエアゾール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下のクラッキングエアゾール組成物に関する。
【0011】
<1> エアゾールバルブ及びノズルを備えた耐圧容器に封入してなるクラッキングエアゾール組成物であって、
(A) HLBが10~18の非イオン性界面活性剤を0.1~5質量%、
(B) HLBが2~7の非イオン性界面活性剤を0.1~5質量%、
(C) 25℃における動粘度が5~200mm2/sのフェニル変性シリコーンを0.1~5質量%、
(D) グリセリン又は平均重合度2~10のポリグリセリンを1~15質量%、
(E) 体積平均粒子径が1~30μmの球状粉体を1~10質量%、
(F) 噴射剤を35~75質量%、
含有するクラッキングエアゾール組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、破泡感、塗布中の伸び、保湿感、べたつきのなさに優れたクラッキングエアゾール組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、本明細書において、記号「~」を用いて規定された数値範囲は、「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。
【0014】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、下記(A)~(F)の特定成分を所定量組み合わせることによって、破泡感、塗布中の伸び、保湿感、べたつきのなさに優れたクラッキングエアゾール組成物が得られることを見出した。
【0015】
これは、主に、(C)成分(動粘度が所定の範囲にあるフェニル変性シリコーン)と(F)成分(噴射剤)との相溶性が良好であることにより、エアゾール容器から内容物を噴出した際、(F)成分の気化を抑制することにより破泡感が高められること、さらに(A)成分(HLBが相対的に高い非イオン性界面活性剤)と(B)成分(HLBが相対的に低い非イオン性界面活性剤)との組み合わせにより混合HLBを調整し、乳化粒子径が最適化され、噴出後の泡を適度な大きさにすることにより破泡感が一層高められると考えられる。すなわち、(D)成分を必要以上に多く含有させなくても、これらの構成により破泡感が高められるため、べたつきが少なく、塗布時の伸びも維持しうると考えられる。
【0016】
本発明のクラッキングエアゾール組成物は、以下に説明する(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分および(F)成分を少なくとも含有する。
【0017】
[A成分]
本発明に用いられる(A)成分は、HLB10~18の非イオン性界面活性剤である。
【0018】
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン性界面活性剤のHLB値は、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
【0019】
(A)成分のHLBは、10~18であり、11~17が好ましく、12~16がより好ましい。
【0020】
(A)成分としては、HLBが上記範囲を満たす、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、およびポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。具体的には、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(40E.O.)(HLB=16.0)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(60E.O.)(HLB=15.7)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(80E.O.)(HLB=15.7)、モノカプリル酸ポリグリセリル-6(HLB=14.6)、モノラウリン酸ポリグリセリル-10(HLB=17.1)、ジステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB=11.1)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)(HLB=13.3)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)(HLB=15.0)、セテス-13(HLB=14.1)、ラウレス-20(HLB=16.5)等が挙げられるが、べたつきのなさの観点から、モノラウリン酸ポリグリセリル-10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)が好ましく、さらに破泡感を高める観点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)がより好ましい。
【0021】
本発明における(A)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(A)成分の含有量は、クラッキングエアゾール組成物に対して0.1~5質量%であり、好ましくは0.1~4質量%であり、より好ましくは0.2~3質量%である。(A)成分の含有量が0.1質量%以上では、破泡感や保湿感、塗布時の伸びが高まりやすく、5質量%以下であると、べたつきを低減しやすい。
【0022】
[B成分]
本発明に用いられる(B)成分は、HLB2~7の非イオン性界面活性剤である。(B)成分のHLBは、3~6であることが好ましい。
【0023】
(B)成分としては、例えば、HLBが上記範囲を満たす、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。具体的には、モノオレイン酸ソルビタン(HLB=4.3)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB=3.7)、モノステアリン酸グリセリル(HLB=3.0)、モノカプリル酸グリセリル(HLB=5.5)、セスキオレイン酸ポリグリセリル-2(HLB=5.3)、オレス-2(HLB=4.9)等が挙げられるが、その中でもモノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸グリセリルが好ましい。
【0024】
本発明における(B)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(B)成分の含有量は、クラッキングエアゾール組成物に対して0.1~5質量%であり、好ましくは0.1~4質量%であり、より好ましくは0.2~3質量%である。(B)成分の含有量が0.1質量%以上であると、破泡感が高まりやすく、5質量%以下であると、塗布時の伸びが損なわれにくい。
【0025】
また、(A)成分と(B)成分の含有比率は、例えば(B)/(A)が0.3~2、好ましくは0.5~1.8としうる。(B)/(A)が上記範囲内であると、水等との相溶性を維持しつつ、(F)成分との相溶性もより高まるため、破泡感がより高まりやすい。
【0026】
[C成分]
本発明に用いられる(C)成分は、フェニル変性シリコーンである。
【0027】
上記(C)成分としては、例えば、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等が挙げられるが、破泡感の強さの観点から、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンが好ましい。
【0028】
上記(C)成分の25℃における動粘度としては、5~200mm2/sであり、好ましくは5~100mm2/sであり、より好ましくは5~50mm2/sである。動粘度が5mm2/s以上であると、破泡感が損なわれにくい。動粘度が200mm2/s以下であると、べたつきや塗布時の伸びの低下を少なくしうる。動粘度は、フェニル変性シリコーンの分子量により調整することができる。
【0029】
なお、フェニル変性シリコーンの動粘度は、JIS Z 8803記載の方法に従って測定することができる。
【0030】
本発明における(C)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(C)成分の含有量は、クラッキングエアゾール組成物に対して0.1~5質量%であり、好ましくは0.3~4質量%であり、より好ましくは0.5~3質量%である。(C)成分の含有量が0.1質量%以上であると、べたつきを抑えつつ、破泡感を高めやすい。(C)成分の含有量が5質量%以下であると、破泡感が損なわれにくい。
【0031】
[D成分]
本発明に用いられる(D)成分は、グリセリン又は平均重合度2~10のポリグリセリンである。それらの中でもべたつきの抑制および塗布時の伸びの良さの観点から、好ましいのはグリセリン、又はジグリセリンである。
【0032】
ポリグリセリンの平均重合度は、末端基分析法により測定することができる。
【0033】
本発明における(D)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(D)成分の含有量は、クラッキングエアゾール組成物に対して1~15質量%であり、好ましくは3~12質量%であり、より好ましくは5~10質量%である。(D)成分の含有量が1質量%以上であると、保湿感や塗布時の伸びが高まりやすく、15質量%以下であると、べたつきにくくしうる。
【0034】
[E成分]
本発明に用いられる(E)成分は、体積平均粒子径が1~30μmの球状粉体である。球状とは、真球、略球状、回転楕円体を含み、表面に凹凸がある球状粉体等であっても良い。上記(E)成分の体積平均粒子径は、1~30μmであり、好ましくは3~20μmである。体積平均粒子径は、レーザー回折法により測定することができる。
【0035】
上記(E)成分は、化粧料に使用し得る球状粉体であれば特に制約されない。例えば、シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等の無機粉体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン等の有機粉体が挙げられる。
【0036】
本発明における(E)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(E)成分の含有量は、クラッキングエアゾール組成物に対して1~10質量%であり、好ましくは1~8質量%であり、より好ましくは1~5質量%である。(E)成分の含有量が1質量%以上であると、べたつきを低減しやすく、10質量%以下であると、塗布時の伸びが損なわれにくい。
【0037】
[F成分]
本発明に用いられる(F)成分は、噴射剤である。
【0038】
上記(F)成分としては、エアゾール化粧料に使用し得る噴射剤であれば特に制約されない。例えば、プロパン、n-ブタン、i-ブタン等を主成分とする液化石油ガス(LPG)等の炭化水素類;ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類;炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス等の圧縮ガスが挙げられるが、破泡感の強さの観点から、好ましくは液化石油ガス(LPG)等の炭化水素類である。
【0039】
本発明における(F)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(F)成分の含有量は、クラッキングエアゾール組成物に対して35~75質量%であり、好ましくは40~70質量%であり、より好ましくは45~65質量%である。(F)成分の含有量が35質量%以上であると、破泡感が十分となりやすく、75質量%以下であると、保湿感や塗布時の伸びが損なわれにくい。
【0040】
[水]
本発明のクラッキングエアゾール組成物は、水を含有することが好ましい。水の含有量は、クラッキングエアゾール組成物に対して20~60質量%であり、好ましくは30~45質量%である。
【0041】
[その他の成分]
本発明のクラッキングエアゾール組成物は、上述した成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料に一般に含まれる成分を適宜配合することができる。例えば、上記以外の界面活性剤、油性成分、高級アルコール類、糖類、アミノ酸、防腐剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、pH調整剤、各種薬剤、および溶剤等が挙げられる。溶剤としては、エタノール、1,3―ブタンジオール、フェノキシエタノール等のアルコール類が含まれる。
【0042】
本発明のクラッキングエアゾール組成物がその他の成分を含む場合、その他の成分の含有量は、クラッキングエアゾール組成物に対して30質量%以下、好ましくは15質量%以下としうる。
【0043】
本発明のクラッキングエアゾール組成物は常法に従って製造することができる。例えば、(F)成分以外の配合成分を適宜加熱して撹拌混合し((F)成分以外の油性成分と水性成分を乳化させ)、室温まで冷却した後、耐圧容器に充填する。更に(F)成分を耐圧容器に充填した後、耐圧容器の開口部にエアゾールバルブのマウント部材を固着することによって、エアゾール容器に封入された泡状洗浄剤組成物を製造することができる。
【0044】
本発明のクラッキングエアゾール組成物は、種々の用途、例えばスキンケア化粧料(化粧水、美容液などを含む)、頭皮用化粧料等の化粧料に使用することができる。特に、エアゾール容器に封入されて使用される用途に好ましく使用できる。エアゾール容器は、エアゾールバルブ及びノズルを備えた耐圧容器であり、金属、ガラス、プラスチック等の素材を用いた容器が使用できる。
【実施例0045】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
【0046】
[実施例1~9および比較例1~4]
耐圧性を有するエアゾール試験瓶(東京高分子(株)、容量100ml)に(F)成分の噴射剤以外の組成物を充填し、エアゾールバルブにて当該試験瓶を密閉し、エアゾールバルブを介して噴射剤を規定量充填し、ノズルを取りつけてエアゾール容器に封入されたクラッキングエアゾール組成物を調製した。
【0047】
10名(24~59歳)をパネラーとし、調製したクラッキングエアゾール組成物を前腕部に1秒間吐出し、下記の通り、(1)破泡感、(2)保湿感、(3)べたつきのなさ、(4)伸びの良さについて評価した。
【0048】
使用した化合物は以下の通りである。
(A)成分
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) (「ユニオックスHC-40」(日油株式会社、HLB=13.3)
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(80E.O.) 「NOFABLE ESO-8520」(日油株式会社、HLB=15.7)
モノラウリン酸ポリグリセリル-10 「サンソフトQ-12Y-C」(太陽化学株式会社、HLB=17.1)
(B)成分
モノオレイン酸ソルビタン 「ノニオンOP-80R」(日油株式会社、HLB=4.3)
モノステアリン酸グリセリル 「サンソフトNo.2500-C」(日油株式会社、HLB=3.0)
(C)成分
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 「KF-56A」(信越化学工業株式会社、25℃における動粘度15mm2/s)
(C)’分
ジメチコン 「KF-96A-20CS」(信越化学工業株式会社、25℃における動粘度20mm2/s)
動粘度は、JIS Z 8803に準拠して25℃にてオストワルド粘度計を用いて測定した。
(D)成分
グリセリン 「RG-S」(日油株式会社)
(E)成分
タルク 「ローズタルク」(日本タルク株式会社、体積平均粒子径17μm)
体積平均粒子径は、レーザー回折法により測定された値である。
(F)成分
液化石油ガス
【0049】
(1)破泡感
手で塗り広げた際の破泡感について官能評価を行い、下記評価基準により評価させ、10名の合計点を求めて、下記判定基準により判定した。
〈評価基準〉
2点:破泡感を強く感じる
1点:破泡感を感じる
0点:破泡感をあまり感じない
〈判定基準〉
◎:合計点が15点以上;破泡感が良好である
〇:合計点が10点以上、15点未満;破泡感がやや良好である
△:合計点が5点以上、10点未満;破泡感がやや不良である
×:合計点が5点未満;破泡感が不良である
【0050】
(2)伸びの良さ
手で塗り広げる際の伸びの良さについて官能評価を行い、下記評価基準により評価させ、10名の合計点を求めて、下記判定基準により判定した。
〈評価基準〉
2点:伸びが良いと感じる
1点:伸びがやや良いと感じる
0点:伸びが悪いと感じる
〈判定基準〉
◎:合計点が15点以上;塗布時の伸びが良好である
〇:合計点が10点以上、15点未満;塗布時の伸びがやや良好である
△:合計点が5点以上、10点未満;塗布時の伸びがやや不良である
×:合計点が5点未満;塗布時の伸びが不良である
【0051】
(3)べたつきのなさ
手で塗り広げた際のべたつきについて官能評価を行い、下記評価基準により評価させ、10名の合計点を求めて、下記判定基準により判定した。
〈評価基準〉
2点:べたつかない
1点:ややべたつく
0点:べたつく
〈判定基準〉
◎:合計点が15点以上;べたつきがない
〇:合計点が10点以上、15点未満;ややべたつきがある
△:合計点が5点以上、10点未満;べたつきがある
×:合計点が5点未満;かなりべたつきがある
【0052】
(4)保湿感
手で塗り広げて5分経過後の塗布部のしっとり保湿感について官能評価を行い、下記評価基準により評価させ、10名の合計点を求めて、下記判定基準により判定した。
〈評価基準〉
2点:保湿しっとり感を非常に感じる
1点:保湿しっとり感をやや感じる
0点:保湿しっとり感をあまり感じない
〈判定基準〉
◎:合計点が15点以上;保湿感が良好である
〇:合計点が10点以上、15点未満;保湿感がやや良好である
△:合計点が5点以上、10点未満;保湿感がやや不良である
×:合計点が5点未満;保湿感が不良である
【0053】
実施例1~9および比較例1~4の組成物の組成および評価結果を表1および表2に示す。また、表3に記載した組成は、表1および表2に記載した共通成分の組成を示す。
【表1】
【0054】
【0055】
【0056】
表1に示されるように、実施例1~9の組成物は、良好な破泡感を示しつつ、塗布中の伸び、保湿感に優れ、べたつきも少ないことがわかる。
【0057】
これに対し、表2に示されるように、比較例1~4は、破泡感、塗布中の伸び、保湿感、べたつきのなさのうちいずれかが良好ではないことがわかる。