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特開2024-135752出力アンプ、ソースドライバ及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135752
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】出力アンプ、ソースドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3275 20160101AFI20240927BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240927BHJP
   H03F 1/02 20060101ALI20240927BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G09G3/3275
G09G3/20 623C
G09G3/20 611J
G09G3/20 680G
H03F1/02 144
H03K17/687 A
G09G3/20 623B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046603
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 鋼児
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
5J055
5J500
【Fターム(参考)】
5C080AA06
5C080BB05
5C080DD12
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C380AA01
5C380AB06
5C380BA20
5C380CA04
5C380CA12
5C380CA17
5C380CA57
5C380CF28
5C380CF29
5C380CF52
5J055AX12
5J055AX25
5J055AX55
5J055AX64
5J055AX65
5J055BX16
5J055CX29
5J055DX12
5J055EY10
5J055EY21
5J055EZ56
5J055FX01
5J055FX05
5J055FX13
5J055GX01
5J500AA01
5J500AA51
5J500AC36
5J500AC41
5J500AC65
5J500AF18
5J500AH10
5J500AH29
5J500AM11
5J500RG05
(57)【要約】
【課題】
高スルーレートを維持しつつリンギングを抑制することができる出力アンプ、ソースドライバ及び表示装置を提供する。
【解決手段】
入力電圧と出力電圧との差分に対応した正駆動電圧及び負駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、正側電源端と負側電源端との間にコンプリメンタリー出力を形成した電流流れ出し用の第1のトランジスタと電流流れ込み用の第2のトランジスタとを有し、正駆動電圧に応じて第1のトランジスタが正側電源端から出力端子に電流を流し出し、負駆動電圧に応じて第2のトランジスタが出力端子から負側電源端に電流を流し込む出力部と、入力電圧に応じた正側クランプ電圧を正側電源端に印加し、入力電圧に応じた負側クランプ電圧を負側電源端に印加するクランプ電圧生成回路と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を増幅して出力電圧を生成して当該出力電圧を出力端子から出力する出力アンプであって、
前記入力電圧と前記出力電圧との差分に対応した正駆動電圧及び負駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、
第1の正側電源端と第1の負側電源端との間にコンプリメンタリー出力を形成した電流流れ出し用の第1のトランジスタと電流流れ込み用の第2のトランジスタとを有し、前記正駆動電圧に応じて前記第1のトランジスタが前記第1の正側電源端から前記出力端子に電流を流し出し、前記負駆動電圧に応じて前記第2のトランジスタが前記出力端子から前記第1の負側電源端に電流を流し込む出力部と、
前記入力電圧に応じた正側クランプ電圧を前記第1の正側電源端に印加する正側クランプ電圧生成回路と、
前記入力電圧に応じた負側クランプ電圧を前記第1の負側電源端に印加する負側クランプ電圧生成回路と、を有することを特徴とする出力アンプ。
【請求項2】
前記正側クランプ電圧生成回路は前記入力電圧の立ち上がり時に前記入力電圧の目標電圧より所定電圧だけ高い電圧を前記正側クランプ電圧として生成し、前記負側クランプ電圧生成回路は前記入力電圧の立ち下がり時に前記入力電圧の目標電圧より前記所定電圧だけ低い電圧を前記負側クランプ電圧として生成することを特徴とする請求項1記載の出力アンプ。
【請求項3】
前記正側クランプ電圧生成回路は、互いに異なる電圧レベルの複数の正側電圧のうちから前記入力電圧に応じて1つの正側電圧を選択し、前記1つの正側電圧を前記正側クランプ電圧として生成し、
前記負側クランプ電圧生成回路は、互いに異なる電圧レベルの複数の負側電圧のうちから前記入力電圧に応じて1つの負側電圧を選択し、前記1つの負側電圧を前記負側クランプ電圧として生成することを特徴とする請求項1記載の出力アンプ。
【請求項4】
前記正側クランプ電圧生成回路は、前記入力電圧をゲートに受け入れるPチャネルのトランジスタを有する正側ソースフォロア回路と、前記正側ソースフォロア回路の出力電圧をゲートに受けて電源電圧に基づいて前記正側クランプ電圧を生成するNチャネルのトランジスタと、を含み、
前記負側クランプ電圧生成回路は、前記入力電圧をゲートに受け入れるNチャネルのトランジスタを有する負側ソースフォロア回路と、前記負側ソースフォロア回路の出力電圧をゲートに受けてグランド電位に基づいて前記負側クランプ電圧を生成するPチャネルのトランジスタと、を含むことを特徴とする請求項1記載の出力アンプ。
【請求項5】
前記出力部は、コンプリメンタリー出力を形成した電流流れ出し用の第3のトランジスタと電流流れ込み用の第4のトランジスタとを有し、前記入力電圧の立ち上がり開始から所定期間内において前記正駆動電圧に応じて前記第3のトランジスタが前記出力端子に電流を流し出し、前記入力電圧の立ち下がり開始から前記所定期間内において前記負駆動電圧に応じて前記第4のトランジスタが前記出力端子から電流を流し込む補助出力部を有することを特徴とする請求項1記載の出力アンプ。
【請求項6】
前記第3のトランジスタ及び前記第4のトランジスタは、電源電圧が印加される第2の正側電源端とグランド電位が印加される第2の負側電源端との間にコンプリメンタリー出力を形成していることを特徴とする請求項5記載の出力アンプ。
【請求項7】
映像信号に対応する表示パネルの複数のデータ線分の階調電圧信号を生成する階調電圧信号生成部と、前記階調電圧信号を増幅して駆動信号を各々得て当該駆動信号を前記表示パネルの複数のデータ線に出力する複数の出力アンプと、を備えたソースドライバであって、
前記複数の出力アンプの各々は、
対応する前記階調電圧信号の電圧と前記駆動信号の電圧との差分に対応した正駆動電圧及び負駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、
正側電源端と負側電源端との間にコンプリメンタリー出力を形成した電流流れ出し用の第1のトランジスタと電流流れ込み用の第2のトランジスタとを有し、前記正駆動電圧に応じて前記第1のトランジスタが前記正側電源端から前記複数のデータ線の対応するデータ線に電流を流し出し、前記負駆動電圧に応じて前記第2のトランジスタが前記対応するデータ線から前記負側電源端に電流を流し込む出力部と、
前記対応する前記階調電圧信号の電圧に応じた正側クランプ電圧を前記正側電源端に印加する正側クランプ電圧生成回路と、
前記対応する前記階調電圧信号の電圧に応じた負側クランプ電圧を前記負側電源端に印加する負側クランプ電圧生成回路と、を有することを特徴とするソースドライバ。
【請求項8】
複数のデータ線及び複数のゲート線と、前記複数のデータ線及び複数のゲート線の交差部の各々にマトリクス状に設けられた表示セルと、を有する表示パネルと、
前記複数のゲート線に接続され、前記複数のゲート線を所定の順番で選択し、当該選択したゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバと、
映像信号に対応する前記複数のデータ線分の階調電圧信号を生成する階調電圧信号生成部と、前記階調電圧信号を増幅して駆動信号を各々得て当該駆動信号を前記表示パネルの複数のデータ線に出力する複数の出力アンプと、を有するソースドライバと、
前記映像信号に基づいて前記ゲートドライバ及び前記ソースドライバの各々の動作を制御する表示コントローラと、を備える表示装置であって、
前記複数の出力アンプの各々は、
対応する前記階調電圧信号の電圧と前記駆動信号の電圧との差分に対応した正駆動電圧及び負駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、
正側電源端と負側電源端との間にコンプリメンタリー出力を形成した電流流れ出し用の第1のトランジスタと電流流れ込み用の第2のトランジスタとを有し、前記正駆動電圧に応じて前記第1のトランジスタが前記正側電源端から前記複数のデータ線の対応するデータ線に電流を流し出し、前記負駆動電圧に応じて前記第2のトランジスタが前記対応するデータ線から前記負側電源端に電流を流し込む出力部と、
前記対応する前記階調電圧信号の電圧に応じた正側クランプ電圧を前記正側電源端に印加する正側クランプ電圧生成回路と、
前記対応する前記階調電圧信号の電圧に応じた負側クランプ電圧を前記負側電源端に印加する負側クランプ電圧生成回路と、を有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力アンプ、出力アンプを有するソースドライバ、及びソースドライバを有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時の表示装置では、表示パネルの高細化、高速化に伴って画素当たりの駆動時間が短くなってきている。そのため出力アンプのスルーレートは徐々に大きくなってきている。例えば、特許文献1には、消費電力の増大を抑制しつつ、高スルーレート化を図った液晶表示装置のソースドライバが開示されている。
【0003】
特許文献1のソースドライバは、入力信号に応答して表示パネルの複数のデータ線を駆動する複数の出力アンプと、出力アンプの電気的特性と整合性を有するダミーアンプを有するバイアス制御回路とを備え、バイアス制御回路は、出力アンプに入力されるγ抵抗回路の電圧を入力されたときのダミーアンプの出力遷移期間に基づいて、複数の出力アンプの高バイアス期間を制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-27127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶表示装置では液晶の反応スピードが遅い一方、有機EL表示装置のOELD(有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ)パネルでは応答スピードが早いため、OELDパネルの駆動波形の瞬間的なオーバーシュート、アンダーシュートに反応し階調がずれることが起きる。それに対応するために、有機EL表示装置のOELDパネルを駆動するソースドライバでは、リンギングを生じない出力アンプが求められている。
【0006】
そこで、本発明の目的は、高スルーレートを維持しつつリンギングを抑制することができる出力アンプ、ソースドライバ及び表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の出力アンプは、入力電圧を増幅して出力電圧を生成して当該出力電圧を出力端子から出力する出力アンプであって、前記入力電圧と前記出力電圧との差分に対応した正駆動電圧及び負駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、第1の正側電源端と第1の負側電源端との間にコンプリメンタリー出力を形成した電流流れ出し用の第1のトランジスタと電流流れ込み用の第2のトランジスタとを有し、前記正駆動電圧に応じて前記第1のトランジスタが前記第1の正側電源端から前記出力端子に電流を流し出し、前記負駆動電圧に応じて前記第2のトランジスタが前記出力端子から前記第1の負側電源端に電流を流し込む出力部と、前記入力電圧に応じた正側クランプ電圧を前記第1の正側電源端に印加する正側クランプ電圧生成回路と、前記入力電圧に応じた負側クランプ電圧を前記第1の負側電源端に印加する負側クランプ電圧生成回路と、を有することを特徴としている。
【0008】
本発明のソースドライバは、映像信号に対応する表示パネルの複数のデータ線分の階調電圧信号を生成する階調電圧信号生成部と、前記階調電圧信号を増幅して駆動信号を各々得て当該駆動信号を前記表示パネルの複数のデータ線に出力する複数の出力アンプと、を備えたソースドライバであって、前記複数の出力アンプの各々は、対応する前記階調電圧信号の電圧と前記駆動信号の電圧との差分に対応した正駆動電圧及び負駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、正側電源端と負側電源端との間にコンプリメンタリー出力を形成した電流流れ出し用の第1のトランジスタと電流流れ込み用の第2のトランジスタとを有し、前記正駆動電圧に応じて前記第1のトランジスタが前記正側電源端から前記複数のデータ線の対応するデータ線に電流を流し出し、前記負駆動電圧に応じて前記第2のトランジスタが前記対応するデータ線から前記負側電源端に電流を流し込む出力部と、前記対応する前記階調電圧信号の電圧に応じた正側クランプ電圧を前記正側電源端に印加する正側クランプ電圧生成回路と、前記対応する前記階調電圧信号の電圧に応じた負側クランプ電圧を前記負側電源端に印加する負側クランプ電圧生成回路と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明の表示装置は、複数のデータ線及び複数のゲート線と、前記複数のデータ線及び複数のゲート線の交差部の各々にマトリクス状に設けられた表示セルと、を有する表示パネルと、前記複数のゲート線に接続され、前記複数のゲート線を所定の順番で選択し、当該選択したゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバと、映像信号に対応する前記複数のデータ線分の階調電圧信号を生成する階調電圧信号生成部と、前記階調電圧信号を増幅して駆動信号を各々得て当該駆動信号を前記表示パネルの複数のデータ線に出力する複数の出力アンプと、を有するソースドライバと、前記映像信号に基づいて前記ゲートドライバ及び前記ソースドライバの各々の動作を制御する表示コントローラと、を備える表示装置であって、前記複数の出力アンプの各々は、対応する前記階調電圧信号の電圧と前記駆動信号の電圧との差分に対応した正駆動電圧及び負駆動電圧を生成する駆動電圧生成部と、正側電源端と負側電源端との間にコンプリメンタリー出力を形成した電流流れ出し用の第1のトランジスタと電流流れ込み用の第2のトランジスタとを有し、前記正駆動電圧に応じて前記第1のトランジスタが前記正側電源端から前記複数のデータ線の対応するデータ線に電流を流し出し、前記負駆動電圧に応じて前記第2のトランジスタが前記対応するデータ線から前記負側電源端に電流を流し込む出力部と、前記対応する前記階調電圧信号の電圧に応じた正側クランプ電圧を前記正側電源端に印加する正側クランプ電圧生成回路と、前記対応する前記階調電圧信号の電圧に応じた負側クランプ電圧を前記負側電源端に印加する負側クランプ電圧生成回路と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の出力アンプ、ソースドライバ及び表示装置によれば、出力アンプの入力電圧に応じた正側クランプ電圧及び負側クランプ電圧が第1及び第2のトランジスタには印加され、これにより出力アンプの出力電圧がオーバーシュート及びアンダーシュートする余地がなくなるので、高スルーレートを維持しつつリンギングを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1の出力アンプの内部構成を示す回路図である。
図2図1の出力アンプの動作を示すタイミングチャートである。
図3図1の出力アンプと動作を比較するための出力アンプの内部構成を示す回路図である。
図4図3の出力アンプの動作を示すタイミングチャートである。
図5図1の出力アンプ内のクランプ電圧生成回路の具体例の構成を示す回路図である。
図6図5のクランプ電圧生成回路を有する出力アンプの動作を示すタイミングチャートである。
図7図1の出力アンプ内のクランプ電圧生成回路の他の具体例構成を示す回路図である。
図8図7のクランプ電圧生成回路を有する出力アンプの動作を示すタイミングチャートである。
図9】本発明の実施例2の出力アンプの内部構成を示す回路図である。
図10図9の出力アンプの動作を示すタイミングチャートである。
図11図1及び図9の出力アンプ内の駆動電圧生成部の内部構成を示す回路図である。
図12図1及び図9の出力アンプが採用されるソースドライバを有する表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図13図12のソースドライバの内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施例1の出力アンプの概略構成を示している。図1において、出力アンプは、符号AMPで示され、駆動電圧生成部1と、出力部2と、クランプ電圧生成回路3、4とを有している。出力アンプAMPは電圧フォロワを形成している。
【0014】
駆動電圧生成部1は、入力端子INに供給される入力電圧VINと、出力部2の出力ラインLOの電圧VOUTとの差分に対応した正駆動電圧PGを生成し、正駆動電圧PGを正側駆動ラインLHを介して出力部2に供給する。また、駆動電圧生成部1は、入力電圧VINと、出力ラインLOの電圧VOUTとの差分に対応した負駆動電圧NGを生成し、負駆動電圧NGを負側駆動ラインLLを介して出力部2に供給する。すなわち、正駆動電圧PG及び負駆動電圧NGは、電圧VOUTが入力電圧VINに等しくなるように生成される。
【0015】
出力部2は、PチャネルMOS(metal oxide semiconductor)型のトランジスタT21と、NチャネルMOS型のトランジスタT22とを有する。トランジスタT21とトランジスタT22とはコンプリメンタリー出力(トーテムポール出力)を形成している。トランジスタT21は電流流れ出し用であり、トランジスタT22は電流流し込み用である。
【0016】
トランジスタT21のソースは、クランプ電圧生成回路3の出力ラインCL1(第1の正側電源端)に接続されており、そのゲートは正側駆動ラインLHに接続されている。トランジスタT21のドレインは出力ラインLO及びトランジスタT22のドレインに接続されている。トランジスタT22のソースには、クランプ電圧生成回路4の出力ラインCL2(第1の負側電源端)に接続されており、そのゲートは負側駆動ラインLLに接続されている。出力ラインLOは駆動電圧生成部1に接続されると共に出力端子OUTに接続されている。出力ラインLOの電圧VOUTが出力駆動電圧である。
【0017】
クランプ電圧生成回路3、4は、入力端子INに接続され、入力端子INに供給される入力電圧VINのレベルに応じてクランプ電圧PCL、NCLを生成する。クランプ電圧生成回路3が生成する正側クランプ電圧PCLはVIN+α、クランプ電圧生成回路4が生成する負側クランプ電圧NCLはVIN-αである。αはリンギング、すなわちオーバーシュートやアンダーシュートが生成されないように設定される所定電圧である。クランプ電圧PCL、NCLと、出力アンプAMPの電源電圧VDD及びグランド電位VSSとの間にはVDD≧PCL、VSS≦NCLの関係がある。
【0018】
クランプ電圧PCLは出力ラインCL1を介してトランジスタT21のソースに供給される。クランプ電圧NCLは出力ラインCL2を介してトランジスタT22のソースに供給される。
【0019】
かかる構成を有する本発明による出力アンプAMPにおいて、入力端子INに供給される入力電圧VINが図2に示すように所定周期の矩形波として変化するとする。入力電圧VINの立ち上がり時には入力電圧VINは直ちに目標電圧VTARに達して正駆動期間となるので、クランプ電圧PCLは目標電圧VTAR+αとなる。すなわち、正駆動期間には入力電圧VINの目標電圧VTARが小さくなるほどクランプ電圧PCLは小さくなる。一方、入力電圧VINの立ち下がり時には入力電圧VINは直ちに目標電圧VTARに達して負駆動期間となるので、クランプ電圧NCLは目標電圧VTAR-αとなる。すなわち、負駆動期間には入力電圧VINの目標電圧VTARが大きくなるほどクランプ電圧NCLは大きくなる。
【0020】
クランプ電圧PCL、NCLによって目標電圧VTARと実際のトランジスタT21、T22のソース電圧との電圧差が小さくなるので、出力であるトランジスタT21、T22のドレイン電圧がオーバーシュート及びアンダーシュートする余地がなくなる。よって、出力ラインLOの電圧VOUTは図2に示すように、目標電圧VTARに達すると、その目標電圧VTARをオーバーシュート及びアンダーシュートすることなく維持する。入力電圧VINの目標電圧VTARの大きさが変化してもオーバーシュート及びアンダーシュート等のリンギングの発生を抑制することができる。
【0021】
図3は、図1に示した本発明による出力アンプAMPの動作と比較するために、図1のクランプ電圧生成回路3、4を用いない出力アンプAMP’の概略構成を示している。図3において、出力部2のトランジスタT21のソースには電源電圧VDDが印加され、トランジスタT22のソースにはグランド電位VSSが印加されている。その他の構成は図1の出力アンプAMPと同じである。
【0022】
図3に示した出力アンプAMP’では、図4に示すように、目標電圧VTARの大きさが小さくなるほど目標電圧VTARと実際のトランジスタT21、T22のソース電圧との電圧差が大きくなる。よって、出力ラインLOの電圧VOUTは図4に示すように、目標電圧VTARに達すると、その目標電圧VTARを越えるオーバーシュートOS又はアンダーシュートUSが生じる。入力電圧VINの目標電圧VTARの大きさが小さくなるほど、大きなオーバーシュートOS及びアンダーシュートUSが発生する。
【0023】
これに対し、本発明の実施例1である図1の出力アンプAMPでは、入力電圧VINの目標電圧VTARの大きさが小さくなってもクランプ電圧PCL、NCLがその目標電圧VTARに追従して小さくなるので、出力ラインLOの電圧VOUTは、図2に示すように、目標電圧VTARに達すると、その目標電圧VTARからのオーバーシュート又はアンダーシュートの発生を抑制して目標電圧VTARを維持することとなる。逆に、入力電圧VINの目標電圧VTARの大きさが大きくなるほどクランプ電圧PCL、NCLは目標電圧VTARに追従して大きくなる。
よって、入力電圧VINの目標電圧VTARへの立ち上がり又は立ち下がりに応じて電圧VOUTはその目標電圧VTARに急速に達して目標電圧VTARを維持することができるので、高スルーレートを維持しつつリンギングを抑制することができる。
【0024】
図5図1のクランプ電圧生成回路3、4の具体例を示している。クランプ電圧生成回路3は、PチャネルMOS型のトランジスタT31、T32、T33、T34と、選択制御部6とを有している。クランプ電圧生成回路4は、NチャネルMOS型のトランジスタT41、T42、T43、T44と、選択制御部7とを有している。
【0025】
トランジスタT31のソースには10Vが印加され、トランジスタT32のソースには9Vが印加され、トランジスタT33のソースには8Vが印加され、トランジスタT34のソースには7Vが印加される。トランジスタT31、T32、T33、T34のドレインは共にトランジスタT21のソースに接続されている。トランジスタT31、T32、T33、T34のゲートは選択制御部6に接続されている。選択制御部6は入力端子INに接続され、入力電圧VINを受け入れ、入力電圧VINのレベルに応じて論理0又は1に相当する選択信号Pa、Pb、Pc、Pdを生成する。選択信号PaはトランジスタT31のゲートに供給され、選択信号PbはトランジスタT32のゲートに供給され、選択信号PcはトランジスタT33のゲートに供給され、選択信号PdはトランジスタT34のゲートに供給される。
【0026】
同様に、トランジスタT41のソースには0Vが印加され、トランジスタT42のソースには1Vが印加され、トランジスタT43のソースには2Vが印加され、トランジスタT44のソースには3Vが印加される。トランジスタT41、T42、T43、T44のドレインは共にトランジスタT22のソースに接続されている。トランジスタT41、T42、T43、T44のゲートは選択制御部7に接続されている。選択制御部7は入力端子INに接続され、入力電圧VINを受け入れ、入力電圧VINのレベルに応じて論理1又は論理0に相当する選択信号Na、Nb、Nc、Ndを生成する。選択信号NaはトランジスタT41のゲートに供給され、選択信号NbはトランジスタT42のゲートに供給され、選択信号NcはトランジスタT43のゲートに供給され、選択信号NdはトランジスタT44のゲートに供給される。
【0027】
かかる図5の構成のクランプ電圧生成回路3、4を有する本発明による出力アンプAMPにおいて、クランプ電圧生成回路3の選択制御部6は初期状態では論理0を示すレベルで選択信号Paを生成し、論理1を示すレベルで選択信号Pb、Pc、Pdを生成する。論理0の選択信号Paに応じてトランジスタT31がオンとなり、論理1の選択信号Pb~Pdに応じてトランジスタT32、T33、T34がオフとなる。トランジスタT21のソースに10Vが印加される。一方、クランプ電圧生成回路4の選択制御部7は初期状態では論理1を示すレベルで選択信号Naを生成し、論理0を示すレベルで選択信号Nb~Ndを生成する。論理1の選択信号Naに応じてトランジスタT41がオンとなり、論理0の選択信号Nb、Nc、Ndに応じてトランジスタT32、T33、T34がオフとなる。トランジスタT22のソースに0Vが印加される。
【0028】
入力端子INに供給される入力電圧VINが図6に示すように所定周期の矩形波として変化するとする。選択制御部6は入力電圧VINの立ち上がり時の到達電圧に応じて選択信号Pa、Pb、Pc、Pdを生成し、選択制御部7は入力電圧VINの立ち下がり時の到達電圧に応じて選択信号Na、Nb、Nc、Ndを生成する。
時点t1にて入力電圧VINが立ち上がり、その立ち上がり時に入力電圧VINが目標電圧VTARの9.5Vに到達すると、選択制御部6は論理0を示すレベルで選択信号Paを生成し、論理1を示すレベルで選択信号Pb、Pc、Pdを生成する。初期状態と同様に、トランジスタT31がオンとなり、トランジスタT32、T33、T34がオフとなるので、トランジスタT31を介して供給される10Vがクランプ電圧PCLとなる。すなわち、クランプ電圧PCLは入力電圧VINの9.5Vより0.5Vだけ高い電圧10Vとなる。
【0029】
時点t2にて入力電圧VINが立ち下がり、その立ち下がり時に入力電圧VINが目標電圧VTARの0.5Vに到達すると、選択制御部6は論理1を示すレベルで選択信号Naを生成し、論理0を示すレベルで選択信号Nb、Nc、Ndを生成する。初期状態と同様に、トランジスタT41がオンとなり、トランジスタT42、T43、T44がオフとなるので、トランジスタT41を介して供給される0Vがクランプ電圧NCLとなる。すなわち、クランプ電圧NCLは入力電圧VINの0.5Vより0.5Vだけ低い電圧0Vとなる。
【0030】
次に、時点t3にて入力電圧VINが立ち上がり、その立ち上がり時に入力電圧VINが8.5Vに到達すると、選択制御部6は論理0を示すレベルで選択信号Pbを生成し、論理1を示すレベルで選択信号Pa、Pc、Pdを生成する。トランジスタT32がオンとなり、トランジスタT31、T33、T34がオフとなるので、トランジスタT32を介して供給される9Vがクランプ電圧PCLとなる。すなわち、クランプ電圧PCLは入力電圧VINの8.5Vより0.5Vだけ高い電圧9Vとなる。
【0031】
時点t4にて入力電圧VINが立ち下がり、その立ち下がり時に入力電圧VINが1.5Vに到達すると、選択制御部6は論理1を示すレベルで選択信号Nbを生成し、論理0を示すレベルで選択信号Na、Nc、Ndを生成する。トランジスタT42がオンとなり、トランジスタT41、T43、T44がオフとなるので、トランジスタT42を介して供給される1Vがクランプ電圧NCLとなる。すなわち、クランプ電圧NCLは入力電圧VINの1.5Vより0.5Vだけ低い電圧1Vとなる。
【0032】
以下、同様に、時点t5にて入力電圧VINが目標電圧VTARの7.5Vまで立ち上がり、オンとなるトランジスタT33を介して供給される8Vがクランプ電圧PCLとなる。すなわち、クランプ電圧PCLは入力電圧VINの7.5Vより0.5Vだけ高い電圧8Vとなる。時点t6にて入力電圧VINが2.5Vまで立ち下がり、オンとなるトランジスタT43を介して供給される2Vがクランプ電圧NCLとなる。すなわち、クランプ電圧NCLは入力電圧VINの2.5Vより0.5Vだけ低い電圧2Vとなる。時点t7にて入力電圧VINが6.5Vまで立ち上がり、オンとなるトランジスタT34を介して供給される7Vがクランプ電圧PCLとなる。すなわち、クランプ電圧PCLは入力電圧VINの6.5Vより0.5Vだけ高い電圧7Vとなる。時点t8にて入力電圧VINが3.5Vまで立ち下がり、オンとなるトランジスタT44を介して供給される3Vがクランプ電圧NCLとなる。すなわち、クランプ電圧NCLは入力電圧VINの3.5Vより0.5Vだけ低い電圧3Vとなる。
【0033】
図7図1のクランプ電圧生成回路3、4の他の具体例を示している。クランプ電圧生成回路3は、PチャネルMOS型のトランジスタT36と、NチャネルMOS型のトランジスタT37と、電流源5とを有している。クランプ電圧生成回路4は、NチャネルMOS型のトランジスタT46、PチャネルMOS型のトランジスタT47と、電流源9とを有している。
【0034】
図7のクランプ電圧生成回路3では、トランジスタT36のゲートには入力電圧VINが印加されている。トランジスタT36のソースには電源電圧VDDが電流源5を介して印加され、ドレインはグランド接続されている。これによりPチャネルのソースフォロア回路が形成されている。トランジスタT36のソースはトランジスタT37のゲートに接続されている。トランジスタT37のドレインには電源電圧VDDが印加され、ソースはトランジスタT21のソースに接続されている。トランジスタT37のソース電圧がクランプ電圧PCLとなる。
【0035】
図7のクランプ電圧生成回路4では、トランジスタT46のゲートには入力電圧VINが印加される。トランジスタT46のドレインには電源電圧VDDが印加される。トランジスタT46のソースは、トランジスタT47のゲートに接続されると共に、電流源9を介してグランド接続されている。これによりNチャネルのソースフォロア回路が形成されている。トランジスタT47のソースはトランジスタT22のソースに接続されている。トランジスタT47のドレインはグランド接続されている。トランジスタT47のソース電圧がクランプ電圧NCLとなる。
【0036】
かかる図7の構成の本発明による出力アンプAMPにおいて、入力電圧VINがクランプ電圧生成回路3のトランジスタT36のゲートに供給され、これによりトランジスタT36のソース・ドレイン間に電流が流れると、トランジスタT36のソース電圧PCLGはVIN+Vtp1となる。Vtp1はトランジスタT36のソース・ゲート間電圧である。このソース電圧PCLGがトランジスタT37のゲートに印加される。トランジスタT37のソース電圧PCLはPCLG-Vtn1となる。Vtn1はトランジスタT37のソース・ゲート間電圧である。ここでクランプ電圧PCLはVIN+αであるので、PCLG-Vtn1=VIN+αとなるように電流源5の電流量等の調整が行われる。
【0037】
入力電圧VINがクランプ電圧生成回路4のトランジスタT46のゲートに供給され、これによりトランジスタT46のドレイン・ソース間に電流が流れると、トランジスタT46のソース電圧NCLGはVIN-Vtn2となる。Vtn2はトランジスタT46のソース・ゲート間電圧である。このソース電圧NCLGがトランジスタT47のゲートに印加される。トランジスタT47のソース電圧NCLはNCLG+Vtp2となる。Vtp2はトランジスタT47のソース・ゲート間電圧である。ここでクランプ電圧NCLはVIN-αであるので、NCLG+Vtp2=VIN-αとなるように電流源9の電流量等の調整が行われる。
【0038】
よって、図8に示すように、入力電圧VINの立ち上がり時には入力電圧VINが目標電圧VTARに達すると、入力電圧VINに応じてトランジスタT36のソース電圧PCLGが上昇し、それがトランジスタT37のゲートに印加される。トランジスタT37のドレイン・ソース間に電流が流れ、それによりクランプ電圧PCL=VIN+αが生ずる。
【0039】
次に、入力電圧VINの目標電圧VTARからの立ち下がりが始まると、入力電圧VINに応じてトランジスタT36のソース電圧PCLGが低下し、それがトランジスタT37のゲートに印加される。トランジスタT37のドレイン・ソース間に電流が減少し、それによりクランプ電圧PCLが低下する。
【0040】
入力電圧VINの立ち下がりにより入力電圧VINが目標電圧VTARに達すると、入力電圧VINに応じてトランジスタT46のソース電圧NCLGが低下し、それがトランジスタT47のゲートに印加される。トランジスタT47のドレイン・ソース間に電流が流れ、それによりクランプ電圧NCL=VIN-αが生ずる。
【0041】
次に、入力電圧VINの目標電圧VTARからの立ち上がりが始まると、入力電圧VINに応じてトランジスタT46のソース電圧NCLGが上昇し、それがトランジスタT47のゲートに印加される。トランジスタT47のドレイン・ソース間に電流が減少し、それによりクランプ電圧NCLが上昇する。
【0042】
このように変化するクランプ電圧PCL、NCLによって目標電圧VTARと実際のトランジスタT21、T22のソース電圧との電圧差が小さくなるので、出力であるトランジスタT21、T22のドレイン電圧がオーバーシュート及びアンダーシュートする余地がなくなる。よって、出力ラインLOの電圧VOUTは図8に示すように、目標電圧VTARに達すると、その目標電圧VTARをリンギングのオーバーシュート及びアンダーシュートすることなく維持する。入力電圧VINの目標電圧VTARの大きさが変化してもオーバーシュート及びアンダーシュートの発生を抑制することができる。
【0043】
図9は本発明の実施例2として駆動力切替機能を有する出力アンプAMPの構成を示している。出力アンプAMPには出力部2の他に、補助出力部として出力部8が設けられている。出力部8は、PチャネルMOS型のトランジスタT51と、NチャネルMOS型のトランジスタT52とを有する。また、出力アンプAMPは出力部2、8の動作状態を切り替えるためにスイッチ素子S11、S12と、PチャネルMOS型のトランジスタT53と、NチャネルMOS型のトランジスタT54とを有する。
【0044】
トランジスタT51のソースは電源電圧VDDの供給ライン(第2の正側電源端)に接続され、ゲートはスイッチ素子S11を介してトランジスタT21のゲートに接続されている。トランジスタT52のソースはグランド電位VSSの供給ライン(第2の負側電源端)に接続され、ゲートはスイッチ素子S12を介してトランジスタT22のゲートに接続されている。トランジスタT51、T52のドレインは互いに接続されかつ出力ラインLOに接続されている。スイッチ素子S11、S12はオンオフスイッチである。
【0045】
トランジスタT53のソースは電源電圧VDDの供給ラインに接続され、ドレインはトランジスタT51のゲートに接続されている。トランジスタT53のゲートとスイッチ素子S11には切替信号SLが供給される。切替信号SLが論理1を示すときスイッチ素子11はオンとなり、トランジスタT53はオフとなる。切替信号SLが論理0を示すときスイッチ素子11はオフとなり、トランジスタT53はオンとなる。
【0046】
同様に、トランジスタT54のソースはグランド電位VSSの供給ラインに接続され、ドレインはトランジスタT52のゲートに接続されている。スイッチ素子S12には切替信号SLが供給される。切替信号SLが論理1を示すときスイッチ素子12はオンとなり、切替信号SLが論理0を示すときスイッチ素子12はオフとなる。トランジスタT54のゲートには切替信号XSLが供給される。切替信号XSLは切替信号SLの反転信号である。切替信号XSLが論理0を示すときトランジスタT54はオフとなる。切替信号XSLが論理1を示すときトランジスタT54はオンとなる。
【0047】
その他の実施例2の出力アンプAMPの構成は図1に示した実施例1の出力アンプAMPと同一である。なお、切替信号SL、XSLは入力電圧VINに応じて図示しない制御部によって生成される。
【0048】
かかる構成の実施例2の出力アンプAMPにおいて、入力端子INに供給される入力電圧VINが図10に示すように所定周期の矩形波として変化するとする。入力電圧VINの立ち上がり時には入力電圧VINは直ちに目標電圧VTARに達して正駆動期間となるので、クランプ電圧PCLは目標電圧VTAR+αとなる。すなわち、正駆動期間には入力電圧VINの目標電圧VTARが小さくなるほどクランプ電圧PCLは小さくなる。一方、入力電圧VINの立ち下がり時には入力電圧VINは直ちに目標電圧VTARに達して負駆動期間となるので、クランプ電圧NCLは目標電圧VTAR-αとなる。すなわち、負駆動期間には入力電圧VINの目標電圧VTARが大きくなるほどクランプ電圧NCLは大きくなる。このことは実施例1の出力アンプAMPと同じである。
【0049】
正駆動期間及び負駆動期間各々の前半では、切替信号SLが論理1を示し、切替信号XSLが論理0を示し、正駆動期間及び負駆動期間各々の後半では、切替信号SLが論理0を示し、切替信号XSLが論理1を示す。
【0050】
図10に示すように、正駆動期間及び負駆動期間各々の前半ではスイッチ素子11、12がオンとなり、トランジスタT53、T54がオフとなる。駆動電圧生成部1が生成する正駆動電圧PGは正側駆動ラインLHを介してトランジスタT21のゲートに供給され、更にスイッチ素子11を介してトランジスタT51のゲートに供給される。これによりトランジスタT21及びトランジスタT51各々のソース・ドレイン間に電流が流れる。また、駆動電圧生成部1が生成する負駆動電圧NGは負側駆動ラインLLを介してトランジスタT22のゲートに供給され、更にスイッチ素子12を介してトランジスタT52のゲートに供給される。これによりトランジスタT22及びトランジスタT52各々のドレイン・ソース間に駆動電流が流れる。よって、正駆動期間及び負駆動期間各々の前半では駆動力が大きくなり、出力電圧VOUTを目標電圧VTARに向けて素早く変化させることができる。
【0051】
一方、正駆動期間及び負駆動期間各々の後半ではスイッチ素子11、12がオフとなり、トランジスタT53、T54がオンとなる。駆動電圧生成部1が生成する正駆動電圧PGは正側駆動ラインLHを介してトランジスタT21のゲートにのみ供給され、スイッチ素子11のオフによりトランジスタT51のゲートには供給されない。トランジスタT51のゲート電圧はトランジスタT53によって電源電圧VDDに維持される。これによりトランジスタT21のソース・ドレイン間にだけ駆動電流が流れる。また、駆動電圧生成部1が生成する負駆動電圧NGは負側駆動ラインLLを介してトランジスタT22のゲートにだけ供給され、スイッチ素子12のオフによりトランジスタT52のゲートには供給されない。トランジスタT52のゲート電圧はトランジスタT54によってグランド電位VSSに維持される。これによりトランジスタT22のドレイン・ソース間にだけ駆動電流が流れる。よって、正駆動期間及び負駆動期間各々の後半では駆動力が前半より小さくなり、また、実施例1と同様にクランプ電圧PCL、NCLのトランジスタT21、T22への印加により、出力電圧VOUTを目標電圧VTARに対してリンギングを生じさせることなく収束させることができる。
【0052】
なお、図1に示した実施例1の出力アンプAMPの構成において、正駆動期間の前半ではクランプ電圧PCLを電源電圧VDDに等しくし、正駆動期間の後半でPCLをVIN+αに調整し、負駆動期間の前半ではクランプ電圧NCLをグランド電位VSSに等しくし、負駆動期間の後半でPCLをVIN-αに調整することにより、正駆動期間及び負駆動期間各々の後半では駆動力を前半より小さくしても良い。
【0053】
また、上記した実施例2では、駆動力を増大させる期間は正駆動期間及び負駆動期間の前半としているが、正駆動期間及び負駆動期間の各々の開始からの所定期間だけ駆動力を増大させる構成であれば良い。
【0054】
上述した実施例1及び2における出力アンプAMP内の駆動電圧生成部1は、例えば、図11に示すように構成することができる。図11において、駆動電圧生成部1は、差動入力部INP、及びカレントミラー部MRNを有する。
【0055】
差動入力部INPは、PチャネルMOS型のトランジスタT1、T2、NチャネルMOS型のトランジスタT3、T4、電流源CG1及びCG2を含む。
【0056】
電流源CG1は、電源ラインLVを介して電源電圧VDDの供給を受ける。電流源CG1は当該電源電圧VDDの供給を受けて所定の一定電流Iを生成し、当該一定電流Iを分割してトランジスタT1及びT2各々のソース端に供給する。
【0057】
トランジスタT1のゲート端には、入力電圧VINが供給される。トランジスタT1のドレイン端はカレントミラー部MRNのラインL4に接続されている。トランジスタT1は、ゲート端に供給された入力電圧VINに応じた電流IをラインL4に供給する。
【0058】
トランジスタT2のゲート端は出力ラインLOに接続されており、そのドレイン端はカレントミラー部MRNのラインL2に接続されている。トランジスタT2は、出力ラインLOの電圧に応じた電流IをラインL2に供給する。
【0059】
なお、上記した電流Iと電流Iとを加算した電流値は、上記した一定電流Iと等しくなる。
【0060】
電流源CG2の一端には接地ラインLGが接続されており、その他端はトランジスタT3及びT4各々のソース端に接続されている。電流源CG2は、所定の一定電流Icを生成してこれを接地ラインLGに供給する。尚、接地ラインLGには接地電圧VSSが印加されている。
【0061】
トランジスタT3のゲート端には入力電圧VINが供給されており、そのドレイン端はカレントミラー部MRNのラインL3に接続されている。トランジスタT3は、入力電圧VINに応じた電流IaをラインL3から引き抜きこれを電流源CG2に流す。
【0062】
トランジスタT4のゲート端は出力ラインLOに接続されており、そのドレイン端はカレントミラー部MRNのラインL1に接続されている。トランジスタT4は、出力ラインLOの電圧に応じた電流IbをラインL1から引き抜きこれを電流源CG2に流す。
【0063】
なお、上記した電流Iaと電流Ibとを加算した電流値は、上記した一定電流Icと等しくなる。
【0064】
カレントミラー部MRNは、PチャネルMOS型のトランジスタT5~T8、T23、NチャネルMOS型のトランジスタT9~T12、及びコンデンサCNを含む。
【0065】
トランジスタT5及びT6各々のソース端は電源ラインLVに接続されている。また、トランジスタT5及びT6各々のゲート端同士は互いに接続されている。トランジスタT5のゲート端及びドレイン端は第1の基準電流ラインとしてのラインL1に接続されている。トランジスタT6のドレイン端は第1の出力電流ラインとしてのラインL3に接続されている。
【0066】
上記したトランジスタT5及びT6により、高電圧側のカレントミラー回路が形成されている。よって、トランジスタT5のソース及びドレイン間に流れる電流と同一電流量の電流が、トランジスタT6のソース及びドレイン間に流れる。
【0067】
トランジスタT7及びT8各々のゲート端には、図示しないバイアス生成部にて生成されたバイアス電圧BS4が供給されている。トランジスタT7のソース端はラインL1に接続されており、そのドレイン端は第2の基準電流ラインとしてのラインL2に接続されている。トランジスタT8のソース端はラインL3に接続されており、そのドレイン端は、正側駆動ラインLHに接続されている。正側駆動ラインLHを介して正駆動電圧PGが出力される。
【0068】
トランジスタT9のドレイン端はラインL1に接続されており、ソース端はラインL2に接続されている。トランジスタT9及びT10各々のゲート端には、上述したバイアス生成部にて生成されたバイアス電圧BS5が供給されている。トランジスタT10のソース端は第2の出力電流ラインとしてのラインL4に接続されており、そのドレイン端は正側駆動ラインLHに接続されている。
【0069】
トランジスタT11のドレイン端及びゲート端は共にラインL2に接続されており、そのソース端は接地ラインLGに接続されている。トランジスタT11及びT12各々のゲート端は互いに接続されている。トランジスタT12のドレイン端はラインL4に接続されており、ソース端は接地ラインLGに接続されている。
【0070】
上記したトランジスタT11及びT12により、低電圧側のカレントミラー回路が形成されている。よって、トランジスタT11のドレイン及びソース間に流れる電流と同一電流量の電流が、トランジスタT12のドレイン及びソース間に流れる。
【0071】
トランジスタT23のソース端は正側駆動ラインLHに接続されており、ドレイン端は負側駆動ラインLLに接続されている。負側駆動ラインLLを介して負駆動電圧NGが出力される。トランジスタT23のゲート端には、上述したバイアス生成部にて生成されたバイアス電圧BS6が供給されている。
【0072】
正側駆動ラインLH及びラインL3間にはコンデンサCNが設けられている。つまり、コンデンサCNの一端が正側駆動ラインLHに接続されており、コンデンサCNの他端がラインL3に接続されている。
【0073】
上記した構成により、入力電圧VINと、出力ラインLOの電圧VOUTとの差分に対応した正駆動電圧PGが正側駆動ラインLH上に生成され、当該正駆動電圧PGが正側駆動ラインLHを介して出力部2に供給される。また、入力電圧VINと、出力ラインLOの電圧VOUTとの差分に対応した負駆動電圧NGが負側駆動ラインLL上に生成され、当該負駆動電圧NGが負側駆動ラインLLを介して出力部2に供給される。
【0074】
次に、図12は上述した実施例1及び2における出力アンプAMPが採用されるソースドライバを有する表示装置の概略構成を示している。
【0075】
図12に示すように、表示装置100は、表示コントローラ10、ゲートドライバ11、ソースドライバ12、基準電圧源13、及び表示パネル20と、を有する。
【0076】
表示パネル20は、例えば液晶表示パネル又はOELDパネルからなり、2次元画面の水平方向に伸張するm個(mは2以上の自然数)のゲート線GL1~GLmと、2次元画面の垂直方向に伸張するn個(nは2以上の偶数)のソース線DL1~DLnとを有する。ゲート線GL1~GLm及びソース線DL1~DLnによる各交叉部には、赤色、緑色又は青色の表示を行う表示セル(破線にて囲まれた領域)が形成されている。
【0077】
表示コントローラ10は、映像信号VDを受け、当該映像信号VDに基づき、ゲート線GL1~GLmの各々にゲート選択信号を印加するタイミングを示すゲートタイミング信号をゲートドライバ11に供給する。
【0078】
また、表示コントローラ10は、映像信号VDに基づき、クロック信号、極性反転信号及び同期信号等を含む各種の制御信号、並びに各画素の輝度レベルをデジタル値で表す表示データPDの系列を生成する。表示コントローラ10は、これら制御信号及び表示データPDの系列を含むデジタルの映像信号DVSをソースドライバ12に供給する。
【0079】
ゲートドライバ11は、表示コントローラ10から供給されたゲートタイミング信号に応じて、ゲート線を選択する少なくとも1つのパルスを含むゲート選択信号を順に生成し、表示パネル20のゲート線GL1~GLmの各々に供給する。
【0080】
ソースドライバ12は、映像信号DVSに含まれる表示データPDの系列を1水平走査ライン分(n個)ずつ取り込み、各表示データPDを、輝度レベルに対応したアナログ電圧値を有する画素駆動信号に変換する。そして、ソースドライバ12は、生成したn個の画素駆動信号を、表示パネル20のソース線DL1~DLnに夫々供給する。
【0081】
なお、ソースドライバ12は、各々が独立したS個(Sは2以上の整数)の半導体ICチップに各々含まれているS個のソースドライバ12-1~12-Sから構成されているが、1個のソースドライバによって構成しても良い。
【0082】
ソースドライバ12-1~12-Sは、表示パネル20のソース線DL1~DLnを互いに隣接するw(wは2以上の整数)本のソース線からなるソース線群に区分けした各ソース線群に対応して設けられており、互いに同一の内部構成を有する。例えばソースドライバ12-1はソース線DL1~DLnのうちのw本のソース線DL1~DLwの各々に、各々に対応した画素駆動信号を供給する。また、ソースドライバ12-Sはソース線DL1~DLnのうちのw本のソース線DLq(qは2以上の整数)~DLnの各々に、各々に対応した画素駆動信号を供給する。
【0083】
基準電圧源13は2つの基準電圧VGH、VGLを生成する。VGH、VGLの電圧レベルの大小関係はVGH>VGLである。基準電圧源13は、ソースドライバ12-1~12-Sの各々に接続され、基準電圧VGH、VGLをソースドライバ12-1~12-Sの各々に供給する。
【0084】
図13は、ソースドライバ12-1~12-Sのうちからソースドライバ12-1を抜粋して、その内部の構成を概略的に表すブロック図である。なお、ソースドライバ12-2~12-Sの構成はソースドライバ12-1の構成と同一である。
【0085】
図13に示すように、ソースドライバ12-1は、階調電圧生成回路130、データ取込部131、DA変換部132、及び出力アンプ部133を有する。
【0086】
階調電圧生成回路130は基準電圧源13に接続されている。階調電圧生成回路130は、基準電圧源13から出力される基準電圧VGH、VGLに基づいて、映像信号によって表現可能な輝度レベルの範囲を例えば256段階で表す、互いに異なる電圧値を示す階調電圧X0~X255を生成し、DA変換部132に供給する。
【0087】
データ取込部131は、1水平走査期間毎に、映像信号DVSに含まれる表示データPDの系列中から、ソース線DL1~DLwに対応したw個の表示データPDを順次取り込み、各々を表示データP1~PwとしてDA変換部132に供給する。
【0088】
DA変換部132は、階調電圧X0~X255を用いて、表示データP1~Pwをアナログの電圧値を有する階調電圧信号Q1~Qwに変換する。すなわち、DA変換部132は、表示データP1~Pwの各々毎に、階調電圧X0~X255のうちから、その表示データPにて示される輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧を選択する。そして、DA変換部132は、表示データP1~Pwの各々毎に選択した階調電圧を各々が有する階調電圧信号Q1~Qwを得る。DA変換部132は、階調電圧信号Q1~Qwを出力アンプ部133に供給する。
【0089】
出力アンプ部133は、階調電圧信号Q1~Qwを各々個別に増幅した信号を画素駆動信号G1~Gwとして出力する。すなわち、ソースドライバ12-1の出力アンプ部133は、当該画素駆動信号G1~Gwを出力し、各々を表示パネル20のソース線DL1~DLwに供給する。出力アンプ部133の各出力アンプとして上述した実施例1又は2の出力アンプAMPが用いられる。各出力アンプAMPの入力電圧VINとして階調電圧信号Q1~Qwが入力され、出力電圧VOUTとして画素駆動信号G1~Gwが生成される。
【0090】
なお、本発明による出力アンプは、表示パネルを駆動するソースドライバの出力アンプとして用いられることに限らず、様々な回路におけるインピーダンス変換器やバッファとして用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 駆動電圧生成部
2、8 出力部
3、4 クランプ電圧生成回路
5、9、CG1、CG2 電流源
6、7 選択制御部
10 表示コントローラ
11 ゲートドライバ
12、12-1~12-S ソースドライバ
13 基準電圧源
20 表示パネル
100 表示装置
130 階調電圧生成回路
131 データ取込部
132 DA変換部
133 出力アンプ部
AMP、AMP’ 出力アンプ
IN 入力端子
OUT 出力端子
S11、S12 スイッチ素子
T1~T12、T21、T22、T23、T31~T34、T36、T37、T41~T44、T46、T47、T51~T54 トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13