(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013576
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】地図情報作成装置、地図情報作成方法、地図情報作成プログラム、及び経路探索装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20240125BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115762
(22)【出願日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】石田 聖青
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181DD01
5H181FF05
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF32
5H181MB04
5H181MC12
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】特定の車両が進入することができない進入禁止規制がある道路を特定して地図情報を作成する地図情報作成装置を提供する。
【解決手段】 地図情報作成装置は、少なくとも車両が走行した位置を示す車両走行情報を取得する取得部と、複数の車両走行情報に基づいて交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する第1特定部と、前記複数の車両走行情報に基づいて前記所定のエリア内で、交通量が所定の閾値以下である交通量僅少地域を特定する第2特定部と、前記第2特定部が特定した交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図データに登録する登録部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両が走行した位置を示す車両走行情報を取得する取得部と、
複数の車両走行情報に基づいて交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する第1特定部と、
前記複数の車両走行情報に基づいて前記所定のエリア内で、交通量が所定の閾値以下である交通量僅少地域を特定する第2特定部と、
前記第2特定部が特定した交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図データに登録する登録部と、
を備える地図情報作成装置。
【請求項2】
前記車両走行情報に基づいて、当該車両走行情報に対応する車両の運転者が前記交通量僅少地域内の居住者であるか否かを判定する判定部を備え、
前記登録部は、前記第2特定部が特定した交通量僅少地域と重複する道路を通過した車両の車両走行情報のうち、車両走行情報に対応する車両の運転者が前記交通量僅少地域の居住者である割合が所定の割合を占める場合に、当該道路を進入禁止規制がある道路として前記地図データに登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記車両走行情報が前記交通量僅少地域内を始点とする車両走行情報である、または、前記交通量僅少地域内を終点とする車両走行情報である場合に、当該車両走行情報に対応する車両の運転者が前記交通量僅少地域の居住者であると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の地図情報作成装置。
【請求項4】
前記車両走行情報は、当該車両走行情報が対応する車両の拠点に関する拠点情報を含み、
前記判定部は、車両走行情報に含まれる拠点情報に基づいて前記拠点が前記交通量僅少地域内である場合に、対応する車両の運転手が居住者であると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の地図情報作成装置。
【請求項5】
前記第2特定部は、前記所定のエリア内を走行した車両の車両走行情報のうち、特定の車両の車両走行情報を除いた複数の車両走行情報に基づいて、前記交通量僅少地域を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
【請求項6】
前記登録部は、前記交通量僅少地域内に、一般駐車場が含まれている場合に、前記一般駐車場から前記交通量僅少地域の外に至る道路については、進入禁止規制がある道路としては前記登録しない
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
【請求項7】
前記登録部は、前記交通量僅少地域内に進入した車両が、Uターンして当該交通量僅少地域から退出していた場合に、当該車両が走行していた道路を進入禁止規制がある道路として登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
【請求項8】
前記登録部は、前記交通量僅少地域外を走行している車両が前記交通量僅少地域内に向かう方向に進入することを示すように方向指示器を操作した場合であって、前記方向指示器が指し示す方向に走行しなかったときには、前記交通量僅少地域の道路を進入禁止規制がある道路として登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
【請求項9】
前記登録部は、前記交通量僅少地域の所定範囲内において渋滞が発生していた場合であっても、前記交通量僅少地域内に進入する車両数が所定の閾値以下であるときに、前記交通量僅少地域内の道路を、進入禁止規制がある道路として登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
【請求項10】
前記登録部が進入禁止規制がある道路として登録した道路を画面表示する表示制御部を備えることを特徴とする請求項1に記載の地図情報作成装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の地図情報作成装置により進入禁止規制がある道路の情報が登録された地図データを記憶する記憶部と、
経路探索装置を利用する利用者の拠点の設定を受け付ける設定部と、
出発地と目的地の入力を受け付ける受付部と、
前記出発地から前記目的地までの経路を、前記地図データを用いて、探索する経路探索部であって、拠点として設定されている場所が前記交通量僅少地域内を示す場合に、前記交通量僅少地域における前記進入禁止規制の対象外として経路探索を実行し、拠点として設定されている場所が前記交通量僅少地域外を示す場合には、前記交通量僅少地域における前記進入禁止規制の対象として経路探索を実行する経路探索部と、
を備える経路探索装置。
【請求項12】
コンピュータが、
少なくとも車両が走行した位置を示す車両走行情報を取得する取得ステップと、
複数の車両走行情報に基づいて交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する第1特定ステップと、
前記複数の車両走行情報に基づいて前記所定のエリア内で、交通量が所定の閾値以下である交通量僅少地域を特定する第2特定ステップと、
前記第2特定ステップが特定した交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図データに登録する登録ステップと、
を実行する地図情報作成方法。
【請求項13】
コンピュータに、
少なくとも車両が走行した位置を示す車両走行情報を取得する取得機能と、
複数の車両走行情報に基づいて交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する第1特定機能と、
前記複数の車両走行情報に基づいて前記所定のエリア内で、交通量が所定の閾値以下である交通量僅少地域を特定する第2特定機能と、
前記第2特定機能が特定した交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図データに登録する登録機能と、
を実現させる地図情報作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報を作成する地図情報作成装置、並びに、作成された地図情報に基づく経路探索を行う経路探索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路には、特定の車両以外の進入を禁止する進入禁止規制が設定されているものがある。このような進入禁止規制には、居住者用車両を除くといった例外を認めている場合があり、補助標識として、進入禁止規制標識とともに、道路に設置されていることがある。特許文献1には、車両の通行が制限された制限地域における通行実績のなかから、例外的に通行が許可された車両によって形成された通行実績である例外実績を除外し、通行実績を地点ごとに集計した集計結果に基づいて各地点の通行可否を判定する技術が開示されている。また、特許文献2には、走行実績が多い道路について、平常時と特定期間とで走行経路を比較して、走行が規制されているか否かを推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-030636号公報
【特許文献2】特開2018-040587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の技術は一時的なイベント等により、走行規制が発生しているかどうかは判定できるものの、上述したような居住者用車両を除く進入禁止規制を特定できない可能性があった。したがって、特許文献1や特許文献2に記載の技術により特定される道路を、特定の車両の進入が禁止された進入禁止規制がある道路として地図情報、特にナビゲーション用の地図情報に登録できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、進入禁止規制がある道路を特定し、地図情報に反映する一手法を開示する地図情報作成装置、地図情報作成方法、地図情報作成プログラムを提供することを一つの目的とする。また、当該地図情報作成装置により作成された地図情報に基づく経路案内を行う経路探索装置を提供することも一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地図情報作成装置は、少なくとも車両が走行した位置を示す車両走行情報を取得する取得部と、複数の車両走行情報に基づいて交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する第1特定部と、複数の車両走行情報に基づいて所定のエリア内で、交通量が所定の閾値以下である交通量僅少地域を特定する第2特定部と、第2特定部が特定した交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図データに登録する登録部と、を備える。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地図情報作成方法は、コンピュータが、少なくとも車両が走行した位置を示す車両走行情報を取得する取得ステップと、複数の車両走行情報に基づいて交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する第1特定ステップと、複数の車両走行情報に基づいて所定のエリア内で、交通量が所定の閾値以下である交通量僅少地域を特定する第2特定ステップと、第2特定ステップが特定した交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図データに登録する登録ステップと、を実行する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る地図情報作成プログラムは、コンピュータに、少なくとも車両が走行した位置を示す車両走行情報を取得する取得機能と、複数の車両走行情報に基づいて交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する第1特定機能と、複数の車両走行情報に基づいて所定のエリア内で、交通量が所定の閾値以下である交通量僅少地域を特定する第2特定機能と、第2特定機能が特定した交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図データに登録する登録機能と、を実現させる。
【0009】
また、上記地図情報作成装置において、車両走行情報に基づいて、当該車両走行情報に対応する車両の運転者が交通量僅少地域内の居住者であるか否かを判定する判定部を備え、登録部は、第2特定部が特定した交通量僅少地域と重複する道路を通過した車両の車両走行情報のうち、車両走行情報に対応する車両の運転者が交通量僅少地域の居住者である割合が所定の割合を占める場合に、当該道路を進入禁止規制がある道路として地図データに登録することとしてもよい。
【0010】
また、上記地図情報作成装置において、判定部は、車両走行情報が交通量僅少地域内を始点とする車両走行情報である、または、交通量僅少地域内を終点とする車両走行情報である場合に、当該車両走行情報に対応する車両の運転者が交通量僅少地域の居住者であると判定することとしてもよい。
【0011】
また、上記地図情報作成装置において、車両走行情報は、当該車両走行情報が対応する車両の拠点に関する拠点情報を含み、判定部は、車両走行情報に含まれる拠点情報に基づいて拠点が交通量僅少地域内である場合に、対応する車両の運転手が居住者であると判定することとしてもよい。
【0012】
また、上記地図情報作成装置において、第2特定部は、所定のエリア内を走行した車両の車両走行情報のうち、特定の車両の車両走行情報を除いた複数の車両走行情報に基づいて、交通量僅少地域を特定することとしてもよい。
【0013】
また、上記地図情報作成装置において、登録部は、交通量僅少地域内に、一般駐車場が含まれている場合に、一般駐車場から交通量僅少地域の外に至る道路については、進入禁止規制がある道路としては登録しないこととしてもよい。
【0014】
また、上記地図情報作成装置において、登録部は、交通量僅少地域内に進入した車両が、Uターンして当該交通量僅少地域から退出していた場合に、当該車両が走行していた道路を進入禁止規制がある道路として登録することとしてもよい。
【0015】
また、上記地図情報作成装置において、登録部は、交通量僅少地域外を走行している車両が交通量僅少地域内に向かう方向に進入することを示すように方向指示器を操作した場合であって、方向指示器が指し示す方向に走行しなかったときには、交通量僅少地域の道路を進入禁止規制がある道路として登録することとしてもよい。
【0016】
また、上記地図情報作成装置において、登録部は、交通量僅少地域の所定範囲内において渋滞が発生していた場合であっても、交通量僅少地域内に進入する車両数が所定の閾値以下であるときに、交通量僅少地域内の道路を、進入禁止規制がある道路として登録することとしてもよい。
【0017】
また、上記地図情報作成装置において、登録部が進入禁止規制がある道路として登録した道路を画面表示する表示制御部を備えることとしてもよい。
【0018】
また、本発明の一態様に係る経路探索装置は、地図情報作成装置により進入禁止規制がある道路の情報が登録された地図データを記憶する記憶部と、経路探索装置を利用する利用者の拠点の設定を受け付ける設定部と、出発地と目的地の入力を受け付ける受付部と、出発地から目的地までの経路を、地図データを用いて、探索する経路探索部であって、拠点として設定されている場所が交通量僅少地域内を示す場合に、交通量僅少地域における進入禁止規制の対象外として経路探索を実行し、拠点として設定されている場所が交通量僅少地域外を示す場合には、交通量僅少地域における進入禁止規制の対象として経路探索を実行する経路探索部と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様に係る地図情報作成装置は、交通量が一定以上ある所定のエリアの中で、交通量が所定の閾値以下となる交通量僅少地域を特定することで、特定の車両の進入が禁止される進入禁止規制がある道路を特定し、地図データに登録することができる。その結果、この地図データを用いれば、例えば、特定の車両に該当しない車両が、当該進入禁止規制がある道路を用いた経路案内により、立ち往生したり、迂回して遠回りしたりすることになる可能性を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】地図情報作成装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】地図情報作成装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】経路探索装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】経路探索装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】(a)地図情報作成装置の他の構成例を示すブロック図である。(b)経路探索装置の他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一態様に係る地図情報作成装置並びに経路探索装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
<実施の形態>
<地図情報作成装置の構成>
本発明の一態様に係る地図情報作成装置(
図1の100参照)は、少なくとも車両が走行した位置を示す車両走行情報を取得する取得部(
図1の105参照)と、複数の車両走行情報に基づいて交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する第1特定部(
図1の105参照)と、複数の車両走行情報に基づいて所定のエリア内で、交通量が所定の閾値以下である交通量僅少地域を特定する第2特定部(
図1の105参照)と、第2特定部が特定した交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図データに登録する登録部(
図1の105参照)と、を備える。以下、詳細に説明する。
【0023】
図1は、地図情報作成装置100の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、地図情報作成装置100は、通信部101と、入力部102と、出力部103と、記憶部104と、CPU105とを備える。
【0024】
地図情報作成装置100は、サーバ装置、PCなどにより実現されるコンピュータシステムであるが、これらに限定するものではなく、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末などにより実現されるものであってもよい。地図情報作成装置100は、一例として、経路案内に用いられる地図情報を作成するものであってよく、既存の地図情報に新たな情報として特定した道路に進入禁止規制の属性情報(メタデータと呼称されてもよい)を付与する機能を有する装置である。地図情報作成装置100は、複数の車両が走行する所定の地域において、車両の走行実績の少ない道路を特定し、特定の車両以外走行ができない進入禁止規制のある道路として地図情報に登録する。
【0025】
通信部101は、他の装置と、有線又は無線の通信により情報を送受信する機能を有する。通信部101は、例えば、外部の装置や走行している車両等から、車両走行情報を受信し、CPU105に伝達することとしてよい。外部の装置は、一例として、車両走行情報を収集するサーバ装置等であってよいが、これに限定するものではない。
【0026】
ここで、車両走行情報は、少なくとも車両が、いつ(日時情報)、どこ(位置情報)を走行したのかを示す情報を含み、プローブ情報やCAN(Control Area Network)情報などによって実現されてよいが、これらに限定するものではない。車両走行情報は、車両を識別可能な識別情報や、車両の走行速度、車両の移動方向、ハンドルの操舵情報、ウィンカー(方向指示器)の操作情報などの情報を含んでもよい。
【0027】
入力部102は、地図情報作成装置100のユーザからの入力を受け付けて、CPU105に伝達する機能を有する。入力部102は、例えば、地図情報作成装置100に備えられたハードウェアキーや、タッチパネルやタッチキーなどのソフトキーなどにより実現することができる。なお、入力部102に対する入力は音声による入力であってもよく、この場合、入力部102は、マイクロフォンにより実現される。入力部102は、例えば、進入規制情報を道路に対応付けて地図情報に登録することを確定する入力を受け付けてCPU105に伝達してもよい。
【0028】
出力部103は、CPU105からの指示に従って、指示されたデータを出力する機能を有する。出力部103は、例えば、道路規制情報を対応付けるべき道路として特定した道路の情報を出力する。出力部103による情報の出力は、地図情報作成装置100に付属する、あるいは、接続されたモニタ(表示装置)等に、文字あるいは画像による出力を行うものであってもよいし、地図情報作成装置100に付属する、あるいは、接続されたスピーカから音声を出力するものであってもよいし、通信部110を介して外部の装置に通信による情報の出力を行うものであってもよい。
【0029】
記憶部104は、地図情報作成装置100が動作するうえで必要とする各種のプログラム及び各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部104は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0030】
記憶部104は、地図情報141を記憶している。また、記憶部104は、複数の車両の車両走行情報を記憶していてもよい。また、記憶部104は、複数の車両走行情報に基づいて、特定の車両以外の進入が禁止されている道路を特定し、地図情報141に登録する処理を実行するためのプログラムを記憶していてよい。
【0031】
CPU105は、記憶部104に記憶されている各種のプログラム及び各種のデータを利用して、地図情報作成装置100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。
【0032】
CPU105は、記憶部104に記憶されているプログラムを実行して、車両走行情報に基づいて、特定の車両以外の進入が禁止されている道路を特定し、地図情報141に登録する。CPU105は、取得部、第1特定部、第2特定部、登録部として機能する。また、CPU105は、判定部として機能してよい。
【0033】
取得部は、少なくとも車両が走行した位置を示す車両走行情報を取得する。取得部は、車両走行情報を外部の装置から通信部110を介して取得することとしてもよいし、車両から通信部110を介して取得することとしてもよいし、記憶部104に記憶されているものを取得することとしてもよい。取得部は複数の車両走行情報を取得する。
【0034】
第1特定部は、取得部が取得した複数の車両走行情報に基づいて交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する。例えば、第1特定部は、地図情報上で任意の範囲を設定し、その範囲において、その範囲を走行した所定期間(例えば、一ヶ月。ただし、一ヶ月に限定するものではなく、一週間であってもよいし、半年でもよい)分の車両走行情報の数を計数する。計数した数が、予め定めた閾値を超えている場合には、設定した任意の範囲を所定のエリアとする。計数した数が、予め定めた閾値を超えていない場合には、第1特定部は別の場所に所定のエリアを設定することとしてよい。
【0035】
第2特定部は、第1特定部が特定した所定のエリア内で、交通量が所定の閾値以下である交通量僅少地域を特定する。
【0036】
ここで、交通量僅少地域について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、第1特定部が特定した所定のエリア200の一例を示しており、所定のエリア200上に車両走行情報をプロットした例を示している。
図2では、車両走行情報は、位置と走行方向が矢印により示されている。
図2の例では、道路211、212、221、222、223上の車両走行情報の数が、他の道路上の車両走行情報の数に比して、少ない。道路212、道路221のように、多くの車両が行き交う道路を接続する道路であるにもかかわらず、車両の走行数が少ないということは、いくつかの車両は通行可能であるのに多くの車両は通行できない状態であることが推定できる。したがって、そのような道路212、221には何らかの一部の車両が通行できない理由があることが想定できる。第2特定部は、このような道路があるにもかかわらず、車両走行情報の数が少ない地域を交通量僅少地域として特定する。
【0037】
したがって、
図2の例では、第2特定部は、点線210、220に含まれる範囲を交通量僅少地域として特定する。
【0038】
なお、車両走行情報には、対応する車両がどのような車両であるかを示す属性情報が含まれてよく、このとき、第2特定部は、タクシーや宅配車両、工事車両などの特定の車両の車両走行情報を除外して、残った車両走行情報を用いて、第2特定部を特定するようにしてもよい。第2特定部は、車両走行情報に含まれる車両の識別情報を参照して、上述のタクシーや宅配車両などの特定の車両の車両走行情報を特定して除外することができる。本発明に係る地図情報作成装置100は、現地に行かずとも車両の進入禁止規制がある可能性がある道路を特定することを目的の一つとしているが、上述の特定の車両の場合、この進入禁止規制の対象外となる(乗客が交通量僅少地域内の居住者であったり、荷物の届け先が交通量僅少地域内の住所を示す場合など)ことが多いので、そのような車両走行情報は、ノイズになる可能性が高いので除外してもよい。
【0039】
図1に戻って、判定部は、第2特定部が特定した交通量僅少地域が、交通量僅少地域として適切かどうかを、所定の条件を満たすか否かどうかを判定する。即ち、判定部は、第2特定部が特定した交通量僅少地域に含まれる道路について、その道路に対して進入禁止規制を設定してよいか否かを判定する。当該判定を行うことで、道路について進入禁止規制の適用が適切かどうかを判定し、地図情報141に確度の高い情報を登録することができる。なお、判定部による判定は必須ではない。
【0040】
判定部は、所定の条件として、交通量僅少地域の特定の確度を高めるために、一例として、第2特定部が特定した交通量僅少地域内を走行する車両が、交通量僅少地域内を拠点としている(例えば、自宅がある)か否かを判定し、その割合が所定の割合を占める(超える)場合に、そこには進入禁止規制がある道路がある可能性が高い交通量僅少地域であると判定することとしてよい。車両走行情報には、車両を識別可能な識別情報が含まれてよく、交通量僅少地域内を走行する同じ識別情報を有する車両走行情報について、その停車箇所、出発場所の位置情報のうち、その数が同様の場所に所定数以上ある場合には、そこがその車両の拠点である可能性が高いと推定することができる。そして、判定部は、推定した拠点の位置が、交通量僅少地域内に存在する場合に、その車両のユーザの拠点が交通量僅少地域内にある(ユーザが居住者である)と推定する。判定部は、そのような車両走行情報が、交通量僅少地域内の車両走行情報のうち、所定割合(例えば、6割としてよいが、これに限らず、7割としてもよいし、5割としてもよい)を占める場合に、所定の条件を満たすと判定することとしてよい。また、ここでは、判定部は、車両の停車位置、あるいは、出発位置が、交通量僅少地域内に存在し、その数が所定数以上(所定割合以上)であれば、ユーザの拠点が交通量僅少地域内に存在する(ユーザが交通量僅少地域内の居住者である)と判定しているが、車両走行情報には、ユーザの拠点情報(ユーザの住所あるいは拠点の位置情報)が含まれてよく、この情報に基づいて判定することとしてもよい。
【0041】
登録部は、第2特定部が特定した交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図情報141に登録する。
図2の例では、登録部は、交通量僅少地域210に含まれる道路211、212及び交通量僅少地域220に含まれる道路221、222、223に対して、特定の車両以外の車両に対して進入禁止規制が設定されている道路である道路として登録する。
【0042】
このとき、登録部は、第2特定部が特定した交通量僅少地域内に、時間貸しの駐車場であったり、特定店舗の専用駐車場などの一般駐車場が存在したりする場合には、交通量僅少地域外からその一般駐車場に至るまでの道路については、全ての車両が通行可能なはずであるため、当該道路には進入禁止規制を示す情報は対応付けないこととしてもよい。
【0043】
また、登録部は、第2特定部が特定した交通量僅少地域内に進入した車両走行情報が、Uターンして当該交通量僅少地域から退出していた場合には、その車両が走行していた車両には、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として、登録することとしてよい。
【0044】
また、登録部は、第2特定部が特定した交通量僅少地域内に向かう方向に進入することを示すように方向指示器が操作されたことを示す車両走行情報があり、当該車両走行情報の車両が、その方向指示器が示す方向に走行しなかった場合に、その車両が進入しようとしていた道路に、進入禁止規制があるとして、登録することとしてもよい。
【0045】
また、登録部は、第2特定部が特定した交通量僅少地域から、所定距離以内(例えば、1km以内。ただし、これに限定するものではない)で渋滞が発生している場合であっても、交通量僅少地域内に進入する車両の数が所定の閾値以下であるときに、登録部は交通量僅少地域の道路に進入禁止規制があるとして、登録することとしてもよい。渋滞しているにもかかわらず、迂回できそうな交通量僅少地域に進入しないということは、何らかの進入禁止規制があると想定される。
【0046】
また、登録部は、第2特定部が特定した交通量僅少地域の周囲を走行する車両から車両走行情報として車両車外を撮像した撮像画像内に、画像解析を行って、居住用車両を除く等の補助標識を特定できた場合に、その道路に進入禁止規制があるとして、登録することとしてもよい。
【0047】
以上が、地図情報作成装置100の構成例である。
【0048】
<地図情報作成装置の動作>
図3を用いて、地図情報作成装置100の動作例を説明する。
図3は、道路に進入禁止規制を対応付けて地図情報141に登録する際の動作例を示すフローチャートである。
【0049】
図3に示すように、地図情報作成装置100のCPU105は、車両走行情報を取得する(ステップS301)。
【0050】
CPU105は、取得した車両走行情報に基づいて、交通量が一定以上ある所定のエリアを特定する(ステップS302)。CPU105は、任意の地域を特定し、その地域を走行した形跡のある車両走行情報を取得し、その数が所定の閾値を超える場合に、その任意の地域を所定のエリアとして特定する。所定の閾値を超えない場合には、別の場所を任意の地域として設定し、所定のエリアとしてよい。
【0051】
CPU105は、所定のエリア内で交通量が所定の閾値以下となる交通量僅少地域を特定する(ステップS303)。CPU105は、所定のエリア内の道路上に、各車両走行情報をマッピングする。そして、マッピングした結果、交通量が所定の閾値以下となる場所、即ち、車両走行情報がマッピングされる数が相対的に少ない場所を特定する。車両走行情報がマッピングされる数が相対的に少ないとは、例えば、所定のエリアを複数の部分領域に分割していき、その部分領域に含まれる車両走行情報の数が所定の閾値以下であることであってよい。また、車両走行情報がマッピングされる数が相対的に少ないとは、各部分領域に含まれる車両走行情報の平均数の所定割合以下であることであってよい。また、あるいは、車両走行情報がマッピングされる数が相対的に少ないとは、ある部分領域の車両走行情報の数が、他の部分領域であって当該部分領域に含まれる車両走行情報の多い領域と比して、その数が少ない(一定数以上少ない、あるいは、所定割合以下)ことであってよい。
【0052】
CPU105は、特定した交通量僅少地域もしくは交通量僅少地域の道路が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS304)。所定の条件は上述したように判定部又は登録部が行う判定に係る条件である。交通量僅少地域または交通量僅少地域内の道路が所定の条件を満たしていない場合には(ステップS305)、処理を終了する。
【0053】
交通量僅少地域が所定の条件を満たすと判定した場合に(ステップS304のYES)、CPU105は、交通量僅少地域と重複する道路を、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路として地図情報141に登録し(ステップS305)、処理を終了する。なお、ステップS304の処理は省略することとしてもよい。即ち、CPU105は、ステップS303で交通量僅少地域を特定した場合に、その交通量僅少地域に重複する道路をそのまま地図情報141に進入禁止規制がある道路として登録することとしてよい。
【0054】
地図情報作成装置100は、適宜任意のタイミング(所定時間毎あるいはユーザからの指示に基づいて)、所定のエリアを特定し、その所定のエリア内の交通量僅少地域を特定し、対応する道路に進入禁止規制を示す情報を対応付けて登録することとしてよい。
【0055】
<地図情報作成装置のまとめ>
上述したように、地図情報作成装置100は、車両走行情報を利用して、道路があるにも関わらず他の道路と比較すると交通量が少ない交通量僅少地域を特定する。所定以上の交通がある所定のエリア内において、エリアとしては所定以上の交通量がある中で、交通量が少ないということは、何らかの原因で交通量が少ないことが想定され、その可能性の一つとして、進入禁止規制があることが推定される。そして、地図情報作成装置100は、交通量僅少地域に含まれる道路に対して、進入禁止規制があることを示す情報を対応付けて地図情報141に登録することができる。特に、交通量僅少地域内を拠点としているユーザの車両のみが走行している場合には、その道路には、居住者用車両という特定の車両以外の車両に対する進入禁止規制があると特定することができる。その結果、地図情報作成装置100により作成された地図情報141を参照して経路探索を行う際には、進入禁止規制がある道路を含む経路探索をしてユーザが目的地に到達できない、あるいは、迂回しなければならないという事態を防止することができる。
【0056】
<経路探索装置の構成例>
本発明の一態様に係る経路探索装置(
図4の400参照)は、前述の地図情報作成装置により進入禁止規制がある道路の情報が登録された地図データ(
図1の141参照)を記憶する記憶部(
図4の104参照)と、経路探索装置を利用する利用者の拠点の設定を受け付ける設定部(
図4の405参照)と、出発地と目的地の入力を受け付ける受付部と、出発地から目的地までの経路を、地図データを用いて、探索する経路探索部(
図4の405参照)であって、拠点として設定されている場所が交通量僅少地域内を示す場合に、交通量僅少地域における進入禁止規制の対象外として経路探索を実行し、拠点として設定されている場所が交通量僅少地域外を示す場合には、交通量僅少地域における進入禁止規制の対象として経路探索を実行する経路探索部と、を備える。以下、詳細に説明する。
【0057】
図4は、経路探索装置400の構成例を示すブロック図である。
図4に示すように、経路探索装置400は、通信部401と、入力部402と、出力部403と、記憶部404と、CPU405と、位置情報取得部406と、を備える。
【0058】
経路探索装置400は、いわゆるナビゲーション装置と呼称されるコンピュータシステムであるが、PC、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末などにより実現されるものであってもよく、それらの情報処理機器において実行されるアプリケーションプログラムとして実行されるものであってもよい。経路探索装置400は、車両等の移動体に取り付けられて利用されるナビゲーション装置であってよい。経路探索装置400は、一例として、ユーザが入力した目的地に向かうための経路を探索し、ユーザに提示する。このとき、経路探索装置400は、ユーザの拠点が交通量僅少地域に含まれるか否かに応じて、その交通量僅少地域に含まれる進入禁止規制が設定されていると想定される道路を、使用可能か否かを判断して、経路探索を行う。
【0059】
通信部401は、他の装置と、有線又は無線の通信により情報を送受信する機能を有する。通信部401は、例えば、地図情報作成装置100から、ネットワークを介して、地図情報作成装置100が、進入禁止規制がある道路が登録された地図情報141を受信し、CPU405に伝達する。
【0060】
入力部402は、経路探索装置400のユーザからの入力を受け付けて、CPU405に伝達する機能を有する。入力部402は、例えば、経路探索装置400に備えられたハードウェアキーや、タッチパネルやタッチキーなどのソフトキーなどにより実現することができる。なお、入力部402に対する入力は音声による入力であってもよく、この場合、入力部402は、マイクロフォンにより実現される。入力部402は、目的地の入力を受け付けてCPU405に伝達する。また、入力部402は、出発地の入力を受け付けてCPU405に伝達してもよい。また、入力部402は、ユーザの拠点を示す拠点情報の入力を受け付けてCPU405に伝達してもよい。
【0061】
出力部403は、CPU405からの指示に従って、指示されたデータを出力する機能を有する。出力部403は、例えば、CPU405により探索された経路を示す情報を出力する。出力部403による情報の出力は、経路探索装置400に付属する、あるいは、接続されたモニタ(表示装置)等に、文字あるいは画像による出力を行うものであってもよいし、経路探索装置400に付属する、あるいは、接続されたスピーカから音声を出力するものであってもよいし、通信部110を介して外部の装置に通信による情報の出力を行うものであってもよい。
【0062】
記憶部404は、経路探索装置400が動作するうえで必要とする各種のプログラム及び各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部404は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0063】
記憶部404は、地図情報141を記憶している。この地図情報141は、前述の地図情報作成装置100により、特定の車両以外の車両の進入を禁止する進入禁止規制の情報が、地図情報作成装置100により特定された道路に対して登録されている情報である。また、記憶部404は、ユーザにより指定された目的地に向かう経路を、地図情報141を参照して探索する処理を実行するためのプログラムを記憶していてよい。
【0064】
位置情報取得部406は、経路探索装置400の現在位置情報を取得する。位置情報取得部406は、GNSS(Global Navigation Satellite System)、GPS(Global Positioning System)等を利用することにより、経路探索装置400の現在位置情報を取得する。位置情報取得部406は、取得した現在位置情報をCPU405に伝達する。
【0065】
CPU405は、記憶部404に記憶されている各種のプログラム及び各種のデータを利用して、経路探索装置400が実行すべき処理を実行するプロセッサである。
【0066】
CPU405は、記憶部404に記憶されているプログラムを実行して、車両走行情報に基づいて、特定の車両以外の進入が禁止されている道路を特定し、地図情報141に登録する。CPU405は、設定部、受付部、経路探索部として機能する。
【0067】
設定部は、入力部402から伝達されたユーザの拠点に関する情報を、記憶部404に、ユーザの拠点として設定、登録する。ユーザの拠点は複数設定されてもよい。また、設定部は、経路探索装置400が設けられる車両の位置情報取得部406が取得した位置情報に基づき、例えば、車両が所定回数以上駐停車した位置や、車両が所定時間以上停車している位置を、ユーザの拠点であると推定し、推定した位置を、ユーザの拠点として記憶部404に設定、登録することとしてもよい。
【0068】
受付部は、入力部402から伝達されたユーザの目的地を受け付ける。また、受付部は、入力部402から伝達された出発地を受け付ける。ユーザの目的地を受け付けたときに、出発地を受け付けなかった場合は、その時に位置情報取得部406が取得した位置を、出発地として受け付ける。受付部は、受け付けた出発地と目的地との情報を経路探索部に伝達する。
【0069】
経路探索部は、出発地と目的地を伝達されると、出発地から目的地に至る経路を探索する。このとき、設定部により設定された拠点がある場合に、その拠点が交通量僅少地域のいずれかに含まれるかを判定する。そして、ユーザの拠点が交通量僅少地域のいずれかに含まれる場合には、その交通量僅少地域内に含まれる道路については、通行可能な道路であるとして、出発地から目的地までの経路を探索する。経路探索部は、ユーザの拠点が含まれていない交通量僅少地域について、道路に進入禁止規制の情報が設定登録されている場合には、その道路は通行不可能な道路として経路探索に用いる道路からは除外する。経路探索部は、例えば、Aスター法、ダイクストラ法などを利用して出発地から目的地までの経路を探索することとしてよいが、経路探索のアルゴリズムはこれらに限定するものではない。経路探索部は、探索した経路を出力部403に出力させる。
【0070】
以上が、経路探索装置400の構成例である。
【0071】
<動作>
図5は、経路探索装置400の動作例を示すフローチャートである。
図5を用いて、経路探索装置400による経路探索の処理を説明する。
【0072】
図5に示すように、経路探索装置400のCPU405は、入力部402から伝達された拠点の情報を受け付ける。若しくは特定の位置をユーザの拠点として推定して受け付ける。そして、受け付けた拠点の情報を、ユーザの拠点として記憶部404に設定する(ステップS501)。
【0073】
CPU405は、入力部402から、出発地と目的地を受け付ける(ステップS502)。出発地を受け付けなかった場合には、現在位置を出発地として取得する。
【0074】
出発地と目的地とを受け付けるとCPU405は、記憶部404に設定されている拠点の情報を読み出す。そして、読み出した拠点の位置が特定の交通量僅少地域内に存在するか否かを判定する(ステップS503)。ユーザの拠点が特定の交通量僅少地域内に存在する場合には(ステップS503のYES)、ステップS504の処理に移行し、存在しない場合には(ステップS503のNO)、ステップS505の処理に移行する。なお、記憶部404にユーザの拠点の情報が設定されていない場合にも、ステップS505の処理に移行する。
【0075】
ユーザの拠点が特定の交通量僅少地域内に存在する場合に(ステップS503のYES)、CPU405は、その特定の交通量僅少地域に含まれる進入禁止規制が設定されている道路も、経路探索の対象となり得る道路として、受け付けた出発地から目的地までの経路探索を実行する(ステップS504)。なお、ユーザの拠点が含まれない交通量僅少地域に含まれる進入禁止規制が設定されている道路は経路探索に用いる道路から除外する。
【0076】
ユーザの拠点が特定の交通量僅少地域内に存在しない場合や、拠点が設定されていない場合には(ステップS503のNO)、CPU405は、受け付けた出発地から目的地に至る経路を、進入禁止規制が設定されている道路を除外して、探索する(ステップS505)。
【0077】
そして、CPU405は、探索により得られた経路を示す情報を、出力部403に出力させて(ステップS506)、処理を終了する。
【0078】
このように、経路探索装置400は、拠点の存在する場所に応じて、使用可能な道路を使い分けて、経路探索を実行することができる。
<経路探索装置についてのまとめ>
【0079】
このように経路探索装置400は、ユーザから指定された目的地に向かって移動するための経路であって、ユーザの拠点が交通量僅少地域に含まれる場合には、その交通量僅少地域に含まれる道路(進入禁止規制が設定されている道路)については、通行可能な道路として、経路探索を実行することができる。即ち、経路探索装置400は、従来のナビゲーション装置よりもフレキシブルに経路の探索を実行し、探索された経路をユーザに提供することができる。
【0080】
<補足>
上記実施の形態に係る地図情報作成装置及び経路探索装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0081】
(1)上記実施の形態において、地図情報作成装置100は、経路探索装置400が有する経路探索機能を保持していてもよい。逆に、経路探索装置400が、地図情報作成装置の、特定の車両の進入を禁止する進入禁止規制がある道路を特定して地図情報に登録する機能を有していてもよい。
【0082】
(2)上記実施の形態においては、地図情報作成装置における進入禁止規制が設定されている道路を特定する手法、及び、経路探索装置におけるユーザの拠点の所在に応じた経路探索を実行する手法について、地図情報作成装置及び経路探索装置のプロセッサが所定のプログラム等を実行することにより、特定することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能は1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。すなわち、
図6(a)に示すように、地図情報作成装置100は、通信回路101a、入力回路102a、出力回路103a、記憶回路104a、制御回路105a、とから構成されてよく、それぞれ、通信部101、入力部102、出力部103、記憶部104、CPU105、に相当する。同様に、
図6(b)に示すように、経路探索装置400は、通信回路401a、入力回路402a、出力回路403a、記憶回路404a、制御回路405a、位置情報取得回路406aとから構成されてよく、それぞれ、通信部401、入力部402、出力部403、記憶部404、CPU405、位置情報取得部406、に相当する。
【0083】
また、上記プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。つまり、例えば、スマートフォン等の情報処理機器を利用して、ネットワーク上からプログラムをダウンロードして実行する構成としてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0084】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)、C++、Python、Rなどのオブジェクト指向プログラミング言語などを用いて実装できるが、これらの言語は一例である。
【0085】
(3)上記実施の形態に示した各種の実施例や、<補足>に示した各種の例は適宜組み合わせることとしてもよい。また、フローチャートに示した各動作は、結果として矛盾がなければその実行順序を入れ替えたり、並列に実行したりすることとしてもよい。例えば、
図5に示すステップS501の処理と、ステップS502の処理との実行タイミングは、別に行なわれてよく、例えば、S502以降の処理は、ステップS501の処理の1か月後に実行されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
100 地図情報作成装置
101 通信部
102 入力部
103 出力部
104 記憶部
105 CPU(取得部、第1特定部、第2特定部、登録部、判定部)
400 経路探索装置
401 通信部
402 入力部
403 出力部
404 記憶部
405 CPU(設定部、受付部、経路探索部)
406 位置情報取得部