(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135778
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ワイパ制御装置、ワイパ装置、ワイパ制御方法
(51)【国際特許分類】
B60S 1/08 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B60S1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046641
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
(72)【発明者】
【氏名】川島 義親
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AG01
3D225AG02
(57)【要約】
【課題】様々な環境下でワイパを最適に動作させるとともに、障害物によるワイパモータの損傷を防止できるワイパ制御装置を提供する。
【解決手段】正逆回転モータを用いたワイパモータを制御するワイパ制御装置であって、下反転位置から上反転位置までの払拭領域に属する加速領域、等速領域、減速領域のうち、等速領域においてワイパの過負荷を検知した場合に、ワイパモータの駆動を停止させるモータ制御部を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正逆回転モータを用いたワイパモータを制御するワイパ制御装置であって、
下反転位置から上反転位置までの払拭領域に属する加速領域、等速領域、減速領域のうち、等速領域においてワイパの過負荷を検知した場合に、前記ワイパモータの駆動を停止させるモータ制御部を有する
ワイパ制御装置。
【請求項2】
前記モータ制御部は、
前記過負荷を検知すると、下反転位置に到達するまで前記ワイパモータを逆回転させた後、前記ワイパモータの駆動を停止させる
請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項3】
前記等速領域は、
前記ワイパモータの回転数が最も高い状態で駆動する範囲を含み、かつ、前記下反転位置と前記上反転位置との中央である中央位置を含む領域である
請求項1に記載のワイパ制御装置。
【請求項4】
ワイパモータと、前記ワイパモータにより駆動されるワイパアームと、前記ワイパアームの先端に取り付けられたワイパブレードと、前記ワイパモータの回転を制御するモータ制御部とを備え、
前記ワイパモータは、正逆回転モータを用いて構成されており、
下反転位置から上反転位置までの払拭領域に、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域が設定されており、
前記第1領域は、前記上反転位置と、前記上反転位置から前記払拭領域の内側に向かって近傍に設定された上反転限界位置との間に設定され、
前記第2領域は、前記下反転位置と、前記下反転位置から前記払拭領域の内側に向かって近傍に設定された下反転限界位置との間に設定され、
前記第3領域は、前記上反転限界位置と前記下反転限界位置との間のうち、前記第4領域を除く領域に設定され、
前記第4領域は、下反転位置から上反転位置までの払拭領域に属する加速領域、等速領域、減速領域のうち等速領域に設定され、
前記モータ制御部は、
前記ワイパアームが往路方向に作動中に、前記ワイパモータの過負荷を検知すると、前記ワイパアームが前記第3領域にあれば障害物除去動作を行い、前記ワイパアームが前記第1領域にあれば前記ワイパアームの移動方向を反転させ、
前記ワイパアームが復路方向に作動中に、前記ワイパモータの過負荷を検知すると、前記ワイパアームが前記第3領域にあれば障害物除去動作を行い、前記ワイパアームが前記第2領域にあれば前記ワイパアームの移動方向を反転させるとともに、
前記ワイパアームが前記往路方向又は前記復路方向の少なくとも一方の方向に作動中に、前記ワイパアームが前記第4領域にあれば前記ワイパモータの駆動を停止させる
ワイパ装置。
【請求項5】
前記モータ制御部は、前記ワイパアームが前記往路方向又は前記復路方向の少なくとも一方の方向に作動中に、前記ワイパアームが前記第4領域にあれば、前記ワイパモータを逆回転させた後、前記ワイパモータの駆動を停止させる
請求項4に記載のワイパ装置。
【請求項6】
前記モータ制御部は、前記第3領域でのワイパモータのトルク限界値と、前記第4領域でのワイパモータのトルク限界値とを異なるようにした
請求項4に記載のワイパ装置。
【請求項7】
正逆回転モータを用いたワイパモータを制御するワイパ制御方法であって、
下反転位置から上反転位置までの払拭領域に属する加速領域、等速領域、減速領域のうち、等速領域においてワイパの過負荷を検知した場合に、前記ワイパモータの駆動を停止させる
ワイパ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ制御装置、ワイパ装置、ワイパ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントガラスやリアガラスには、ワイパが設けられている。ワイパは、ワイパアームをワイパモータにより揺動させ、ワイパアームの先端部に装着されたワイパブレードにより、フロントガラスやリアガラスに付着した雨や雪を払拭する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両のワイパは、雨天時ばかりでなく、様々な環境下で使用される。例えば、フロントガラスに雪が堆積した状態では、堆積した雪が障害物となり、ワイパの動きが悪化し、ワイパがロック状態になることがある。また、降雪の中を運転している際に、車両の屋根に載っている雪塊がフロントガラスに沿って落下することがある。この場合、落下した雪塊が障害物となり、ワイパがロック状態となることがある。ワイパの動きが障害物により急激に妨げられると、ワイパモータに大きな負荷を生じさせ、ワイパモータに損傷を与えることがある。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、様々な環境下でワイパを最適に動作させるとともに、障害物によるワイパモータの損傷を防止するようにしたワイパ制御装置、ワイパ装置、ワイパ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様1は、正逆回転モータを用いたワイパモータを制御するワイパ制御装置であって、下反転位置から上反転位置までの払拭領域に属する加速領域、等速領域、減速領域のうち、等速領域においてワイパの過負荷を検知した場合に、前記ワイパモータの駆動を停止させるモータ制御部を有する。
【0007】
このように構成することで、様々な環境下でワイパを最適に動作させるとともに、障害物によるワイパモータの損傷を防止できる。
【0008】
本発明の態様2は、態様1のワイパ制御装置において、前記モータ制御部は、前記過負荷を検知すると、下反転位置に到達するまで前記ワイパモータを逆回転させた後、前記ワイパモータの駆動を停止させる。
【0009】
このように構成することで、ワイパアームの移動方向と落下する障害物の方向とを近づけるようにして、ワイパモータに加わる負荷を軽減して、ワイパモータの損傷を防止できる。
【0010】
本発明の態様3は、態様1のワイパ制御装置において、前記等速領域は、前記ワイパモータの回転数が最も高い状態で駆動する範囲を含み、かつ、前記下反転位置と前記上反転位置との中央である中央位置を含む領域である。
【0011】
このように構成することで、落下する障害物によるワイパモータの損傷が生じやすい領域を特定できる。
【0012】
本発明の態様4はワイパモータと、前記ワイパモータにより駆動されるワイパアームと、前記ワイパアームの先端に取り付けられたワイパブレードと、前記ワイパモータの回転を制御するモータ制御部とを備え、前記ワイパモータは、正逆回転モータを用いて構成されており、下反転位置から上反転位置までの払拭領域に、第1領域と、第2領域と、第3領域と、第4領域が設定されており、前記第1領域は、前記上反転位置と、前記上反転位置から前記払拭領域の内側に向かって近傍に設定された上反転限界位置との間に設定され、前記第2領域は、前記下反転位置と、前記下反転位置から前記払拭領域の内側に向かって近傍に設定された下反転限界位置との間に設定され、前記第3領域は、前記上反転限界位置と前記下反転限界位置との間のうち、前記第4領域を除く領域に設定され、前記第4領域は、下反転位置から上反転位置までの払拭領域に属する加速領域、等速領域、減速領域のうち等速領域に設定され、前記モータ制御部は、前記ワイパアームが往路方向に作動中に、前記ワイパモータの過負荷を検知すると、前記ワイパアームが前記第3領域にあれば障害物除去動作を行い、前記ワイパアームが前記第1領域にあれば前記ワイパアームの移動方向を反転させ、前記ワイパアームが復路方向に作動中に、前記ワイパモータの過負荷を検知すると、前記ワイパアームが前記第3領域にあれば障害物除去動作を行い、前記ワイパアームが前記第2領域にあれば前記ワイパアームの移動方向を反転させるとともに、前記ワイパアームが前記往路方向又は前記復路方向の少なくとも一方の方向に作動中に、前記ワイパアームが前記第4領域にあれば前記ワイパモータの駆動を停止させる。
【0013】
このように構成することで、様々な環境下でワイパを最適に動作させるとともに、障害物によるワイパモータの損傷を防止できる。
【0014】
本発明の態様5は、態様4のワイパ装置において、前記モータ制御部は、前記ワイパアームが前記往路方向又は前記復路方向の少なくとも一方の方向に作動中に、前記ワイパアームが前記第4領域にあれば、前記ワイパモータを逆回転させた後、前記ワイパモータの駆動を停止させる。
【0015】
このように構成することで、ワイパアームの移動方向と落下する障害物の方向とを近づけるようにして、ワイパモータに加わる負荷を軽減して、ワイパモータの損傷を防止できる。
【0016】
本発明の態様6は、態様4のワイパ装置において、前記モータ制御部は、前記第3領域でのワイパモータのトルク限界値と、前記第4領域でのワイパモータのトルク限界値とを異なるようにする。
【0017】
このように構成することで、障害物除去動作を行うときには、ワイパモータの必要なトルクを確保し、落下する障害物があるときには、ワイパモータの損傷を防止できる。
【0018】
本発明の態様7は、正逆回転モータを用いたワイパモータを制御するワイパ制御方法であって、下反転位置から上反転位置までの払拭領域に属する加速領域、等速領域、減速領域のうち、等速領域においてワイパの過負荷を検知した場合に、前記ワイパモータの駆動を停止させる。
【0019】
このような方法とすることで、様々な環境下でワイパを最適に動作させるとともに、障害物によるワイパモータの損傷を防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、様々な環境下でワイパを最適に動作させるとともに、障害物によるワイパモータの損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかるワイパ装置の概要を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態にかかるワイパ装置におけるワイパ制御装置の概要を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態にかかるワイパ装置におけるゾーンの説明図である。
【
図4】ワイパアームの作動角とワイパモータの回転速度との関係を示すグラフである。
【
図5】本発明の第1実施形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【
図6】往路方向でワイパがロック状態となったときの説明図である。
【
図7】往路方向でワイパがロック状態となったときの説明図である。
【
図8】復路方向でワイパがロック状態となったときの説明図である。
【
図9】復路方向でワイパがロック状態となったときの説明図である。
【
図10】障害物が落下してワイパがロック状態となったときの説明図である。
【
図11】障害物が落下してワイパがロック状態となったときの説明図である。
【
図12】本発明の第2実施形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【
図13】本発明の第3実施形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【
図14】本発明の第3実施形態の動作説明図である。
【
図15】本発明の第3実施形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかるワイパ装置1の概要を示す。
図1に示すように、ワイパ装置1は、ワイパモータ10と、リンク機構11と、2本のワイパアーム12と、各ワイパアーム12の先端部に装着されたワイパブレード13と、ワイパモータ10を制御するワイパ制御装置100とを備える。
【0023】
ワイパモータ10としては、正逆回転モータが用いられる。ワイパアーム12は、ワイパモータ10の回転駆動により、フロントガラス2の表面を動作し、先端部に装着されたワイパブレード13により払拭動作を行う。2つのワイパアーム12は、リンク機構11により連結されている。
【0024】
ワイパブレード13は、ワイパアーム12によって、フロントガラス2に押し付けられるようにして設けられている。ワイパブレード13は、ワイパモータ10によってワイパアーム12が揺動されると、フロントガラス2の外表面上の払拭範囲を往復動し、フロントガラス2を払拭する。
【0025】
図2は、ワイパ制御装置100の概要を示すブロック図である。
図2に示すように、ワイパ制御装置100は、モータ制御部101と、インバータ102と、回転角度センサ103とを含んで構成される。
【0026】
モータ制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、ワイパモータ10の動作を統括的に制御する。また、モータ制御部101は、車両全体を統括制御するECU(Electronic Control Unit)104とデータ通信を行うことができる。モータ制御部101は、ワイパモータ10の回転方向や回転速度に応じたモータ制御信号をインバータ102に供給する。
【0027】
インバータ102は、モータ制御部101が生成した制御信号に基づいて、PWM駆動信号を出力し、ワイパモータ10に供給する。ワイパモータ10は、このPWM駆動信号により回転駆動される。また、ワイパモータ10の回転角は、回転角度センサ103により検出される。回転角度センサ103の検出信号がモータ制御部101に供給される。
【0028】
モータ制御部101は、回転角度センサ103の検出信号により、ワイパアーム12の作動角を検出できる。また、モータ制御部101は、回転角度センサ103の検出信号を基に、ワイパの過負荷を検知する。
【0029】
すなわち、ワイパが過負荷になると、ワイパモータ10を駆動しているにもかかわらず、ワイパアーム12が移動できなくなり、ロック状態となる。このことから、モータ制御部101は、回転角度センサ103の検出信号を取得し、ワイパモータ10を駆動中に、ワイパモータ10が停止していると判定された場合、又はワイパモータ10の回転が所定値以下の場合には、ワイパは過負荷であり、ロック状態になったと判定する。
【0030】
次に、本実施形態におけるワイパ装置1の動作について説明する。本実施形態におけるワイパ装置1は、降雪時等、様々な環境化において、最適に作動できるように、ワイパアーム12の払拭範囲にゾーンを設定している。
図3は、本実施形態のワイパ装置1におけるゾーンの説明図である。
【0031】
図3に示すように、ワイパ装置1を作動させると、ワイパアーム12は下側から上側に向かって円を描くように移動し、頂点に達すると、ワイパアーム12の動きが反転し、上側から下側に向かって円を描くように移動する。そして、ワイパアーム12が下側の終端に到達すると、ワイパアーム12の動きが反転し、再び、下側から上側に向かって移動する。このように、ワイパ装置1を作動させると、ワイパアーム12は下側と上側との間で、揺動運動を繰り返す。以下の説明では、ワイパアーム12が下側から上側に向かって移動する方向を往路OTとし、上側から下側に向かって移動する方向を復路RTとする。また、頂点側でワイパアーム12の動きが反転する位置を上反転位置P1とし、下側の終端でワイパアーム12の動きが反転する位置を下反転位置P2とする。上反転位置P1と下反転位置P2との間においてワイパが往路または復路に沿って移動することによって払拭する範囲がワイパの払拭範囲となる。
【0032】
また、本実施形態では、上反転位置P1の近傍(上反転位置P1を基準として下反転位置P2に向かう方向に例えば15度移動した位置)に、上反転限界位置P11が設定される。そして、上反転位置P1と上反転限界位置P11との間に、Aゾーン(第1領域)Azが設定される。また、下反転位置P2の近傍(下反転位置P2を基準として上反転位置P1に向かう方向に例えば15度移動した位置)に、下反転限界位置P12が設定される。そして、下反転位置P2と下反転限界位置P12との間に、Cゾーン(第2領域)Czが設定される。また、上反転限界位置P11と下反転限界位置P12との間であってSゾーンSzを除く領域に、Bゾーン(第3領域)Bzが設定される。
【0033】
さらに、本実施形態では、上反転位置P1と下反転位置P2との間における中央位置を含む領域であり、位置P21から位置P22の間の領域に、Sゾーン(第4領域)Szが設定される。SゾーンSzは、ワイパモータ10の回転数が最も高く、等速となる領域を対象として設定される。
【0034】
つまり、
図4は、往路OTの向きにワイパアーム12が動くときのワイパアーム12の作動角とワイパモータ10の回転速度との関係を示すグラフである。
図4に示すように、ワイパモータ10の回転速度は、ワイパアーム12の移動方向が反転する下反転位置P2の位置で0になる。それから、ワイパアーム12が上反転位置P1に向かうに従って、ワイパモータ10の回転速度は加速していく(加速領域)。そして、下反転位置P2と上反転位置P1との中央位置付近で、ワイパモータ10の回転速度は最大で等速となる(等速領域)。その後、ワイパモータ10の回転速度は、ワイパアーム12が上反転位置P1に向かって移動するに従って減速していき(減速領域)、ワイパアーム12の移動方向が反転する上反転位置P1の位置で0になる。Sゾーンは、下反転位置P2と上反転位置P1との中央位置付近で、ワイパモータ10の回転速度が最大となる等速領域に設定される。
【0035】
図5は、本発明の第1実施形態の動作説明に用いるフローチャートである。本発明の第1実施形態では、回転角度センサ103の検出信号から、ワイパのロック状態を検出し、ロック状態が検出されると、ワイパアーム12がどのゾーンにあるかを判定し、これに応じて、ワイパの作動を制御することで、様々な環境下でワイパを最適に動作させることができるようにしている。
【0036】
(ステップS101)モータ制御部101は、回転角度センサ103の検出信号から、ワイパモータ10の回転角度を取得して、処理をステップS102に進める。回転角度センサ103の検出信号から、ワイパアーム12の作動角がAゾーン、Bゾーン、Cゾーン、Sゾーンのどこに含まれているかが判定できる。また、回転角度センサ103の検出信号から、ロック状態が判定できる。
【0037】
(ステップS102)モータ制御部101は、回転角度センサ103の検出信号から、ロック状態であるか否かを判定する。モータ制御部101は、ロック状態ではないと判定すると(ステップS102:No)、処理をステップS103に進め、ロック状態であると判定すると(ステップS102:Yes)、処理をステップS104に進める。
【0038】
(ステップS103)モータ制御部101は、ステップS102でロック状態ではないと判定すると(ステップS102:No)、ワイパ装置1の払拭動作を続ける。これにより、ワイパモータ10が回転し、フロントガラス2上をワイパアーム12が揺動して、フロントガラス2が払拭される。
【0039】
(ステップS104)モータ制御部101は、ステップS102でロック状態であると判定すると(ステップS102:Yes)、ワイパアーム12が往路方向に移動しているか否かを判定する。モータ制御部101は、ワイパアーム12が往路方向に移動していないと判定すると(ステップS104:No)、ワイパアーム12は復路を移動していると判定して、処理をステップS105に進め、ワイパアーム12が往路方向に移動していると判定すると(ステップS104:Yes)、処理をステップS110に進める。
【0040】
(ステップS105)モータ制御部101は、ワイパアーム12がCゾーンにあるか否かを判定する。モータ制御部101は、ワイパアーム12がCゾーンにあれば(ステップS105:Yes)、処理をステップS106に進め、ワイパアーム12がCゾーンになければ(ステップS105:No)、処理をステップS107に進める。
【0041】
(ステップS106)モータ制御部101は、ワイパアーム12を反転動作させる。すなわち、ワイパアーム12が復路を移動している場合、ワイパアーム12が下反転位置P2と下反転限界位置P12との間のゾーンCに達していたら、ワイパアーム12を反転動作させ、往路方向に移動させる。
【0042】
(ステップS107)モータ制御部101は、ワイパアーム12がAゾーン又はBゾーンにあるか否かを判定する。モータ制御部101は、ワイパアーム12がAゾーン又はBゾーンにあれば(ステップS107:Yes)、処理をステップS108に進める。また、モータ制御部101は、ワイパアーム12がAゾーン又はBゾーンになければ(ステップS107:No)、ワイパアーム12はSゾーンにあるとして、処理をステップS109に進める。
【0043】
(ステップS108)モータ制御部101は、障害物除去動作を作動させる。障害物除去動作では、ワイパモータ10に供給するPWM駆動信号のデューティ比を上げることで、ワイパモータ10のトルクを増大させる。これにより、フロントガラス2上の障害物を除去することができる。障害物除去動作は、所定回数、例えば最大5回繰り返され、障害物が除去されたら動作を継続し、障害物が除去されなければ、その後、ワイパモータ10は停止される。
【0044】
(ステップS109)モータ制御部101は、Sゾーンに障害物があるとして、ワイパモータ10を停止させる。
【0045】
(ステップS110)モータ制御部101は、ワイパアーム12がAゾーンにあるか否かを判定する。モータ制御部101は、ワイパアーム12がAゾーンにあれば(ステップS110:Yes)、処理をステップS111に進め、ワイパアーム12がAゾーンになければ(ステップS110:No)、処理をステップS112に進める。
【0046】
(ステップS111)モータ制御部101は、ワイパアーム12を反転動作させる。すなわち、ワイパアーム12が往路を移動している場合、ワイパアーム12が上反転位置P1と上反転限界位置P11との間のゾーンAに達していたら、ワイパアーム12を反転動作させ、復路方向に移動させる。
【0047】
(ステップS112)モータ制御部101は、ワイパアーム12がBゾーン又はCゾーンにあるか否かを判定する。モータ制御部101は、ワイパアーム12がBゾーン又はCゾーンにあれば(ステップS112:Yes)、処理をステップS113に進める。また、モータ制御部101は、ワイパアーム12がBゾーン又はCゾーンになければ(ステップS112:No)、ワイパアーム12の作動角はSゾーンにあるとして、処理をステップS114に進める。
【0048】
(ステップS113)モータ制御部101は、障害物除去動作を作動させる。障害物除去動作では、ワイパモータ10に供給するPWM駆動信号のデューティ比を上げることで、ワイパモータ10のトルクを増大させる。これにより、フロントガラス2上の障害物を除去することができる。障害物除去動作は、所定回数、例えば最大5回繰り返され、障害物が除去されたら動作を継続し、障害物が除去されなければ、その後、ワイパモータ10は停止される。
【0049】
(ステップS114)モータ制御部101は、Sゾーンに障害物があるとして、ワイパモータ10を停止させる。
【0050】
上述のように、本実施形態では、回転角度センサ103の検出信号から、ワイパのロック状態を検出し、ロック状態が検出されると、ワイパアーム12がどのゾーンにあるかを判定し、これに応じて、ワイパの作動を制御している。これにより、様々な環境下でワイパを最適に動作させることができる。
【0051】
まず、フロントガラス2に障害物がなく、通常の使用状態でワイパを作動させたとする。この場合、ステップS102でロック状態は検出されない。したがって、ステップS102、ステップS103の処理が行われ、通常の払拭動作となる。
【0052】
次に、例えば、降雪時に、雪が障害物となってフロントガラス2に堆積しているような環境下で、ワイパを作動したとする。この場合、堆積した雪が障害物となり、ワイパの動きが悪化し、往路又は復路で、ワイパがロック状態になることがある。
【0053】
図6及び
図7は、フロントガラス2に堆積した障害物により往路方向でワイパがロック状態となったときの説明図である。
【0054】
図6に示すように、往路方向にワイパアーム12が移動中に、障害物OB1により過負荷になり、BゾーンBzでワイパがロック状態になったとする。この場合、
図5のフローチャートで示したように、ワイパアーム12が往路において移動中にロック状態となった場合には、ステップS102においてロック状態であると判定され(ステップS102:Yes)、ステップS104において往路であると判定される(ステップS104:Yes)。そして、この場合、ワイパアーム12がBゾーンBz又はCゾーンCzにあれば、ステップS110でワイパアーム12がAゾーンAzにないと判定され(ステップS110:No)、ステップS112でワイパアーム12がBゾーンBz又はCゾーンCzにあると判定されることになる(ステップS115:Yes)。この場合には、ステップS113で、障害物除去動作が作動される。障害物除去動作が作動されると、ワイパモータ10を制御するためのPWM駆動信号のデューティ比が上げられ、ワイパモータ10のトルクが上昇する。これにより、障害物OB1は、ワイパアーム12によって上方(上反転位置P1に向かう方向)に向かって移動されて、除去されていく。なお、障害物除去動作は、例えば最大5回繰り返され、障害物が除去できずにロック状態が継続している場合には、その後、ワイパモータ10の回転は停止される。
【0055】
また、
図7に示すように、障害物OB2が存在する場合において、往路方向にワイパアーム12が移動している途中に、ワイパがこの障害物OB2に当接することにより、AゾーンAzでワイパがロック状態になったとする。この場合、
図5のフローチャートで示したように、ワイパアーム12が往路において移動している間にロック状態となった場合には、ステップS102においてロック状態であると判定され(ステップS102:Yes)、ステップS104において往路であると判定される(ステップS104:Yes)。そして、この場合、ワイパアーム12がAゾーンAzにあれば、ステップS110でワイパアーム12がAゾーンAzにあると判定されることになる。この場合には、ステップS111で、ワイパアーム12の動きが反転(符号Rv)される。
【0056】
図6に示したように、往路OT方向では、ワイパアーム12がBゾーンBz又はCゾーンCzにある場合には、障害物除去動作が行われ、障害物は上方側に向かって除去されていく。その結果、
図7に示すように、上反転位置P1と上反転限界位置P11との間に、障害物が溜まりやすい。
図7に示すように、上反転位置P1と上反転限界位置P11との間に障害物OB2があるような場合には、ワイパアーム12が上反転位置P1に到達する前でも、ワイパアーム12がAゾーンAz内に達していれば、その位置でワイパアーム12の移動方向が復路方向に反転(符号Rv)する。これにより、上反転位置P1と上反転限界位置P11との間の障害物OB2を回避できる。
【0057】
図8及び
図9は、フロントガラス2に堆積した障害物により復路RT方向に移動している間にワイパがロック状態となったときの説明図である。
【0058】
図8に示すように、復路方向にワイパアーム12が移動中に、障害物OB3により、Bゾーンでワイパがロック状態になったとする。この場合、
図5のフローチャートで示したように、ステップS102でロック状態であると判定され(ステップS102:Yes)、ステップS104で往路ではないと判定される(ステップS104:No)。そして、この場合、ワイパアーム12がAゾーン又はBゾーンにあれば、ステップS105でワイパアーム12がCゾーンにないと判定され(ステップS105:No)、ステップS107でワイパアーム12がAゾーン又はBゾーンにあると判定されることになる(ステップS107:Yes)。この場合には、ステップS108で、障害物除去動作が作動される。障害物除去動作が作動されると、ワイパモータ10を制御するためのPWM制御信号のデューティ比が上げられ、ワイパモータ10のトルクが上昇される。これにより、障害物OB3は、下方に向かって移動されて、除去されていく。なお、障害物除去動作は、例えば最大5回繰り返され、障害物が除去できずにロック状態が継続している場合には、その後、ワイパモータ10の回転は停止される。
【0059】
また、
図9に示すように、復路RT方向にワイパアーム12が移動している途中において、障害物OB4により、CゾーンCzにおいてワイパがロック状態になったとする。この場合、
図5のフローチャートで示したように、ステップS102でロック状態であると判定され(ステップS102:Yes)、ステップS104で往路ではないと判定される(ステップS104:No)。そして、この場合、ワイパアーム12がCゾーンCzにあれば、ステップS105でワイパアーム12がCゾーンCzにあると判定されることになる(ステップS105:Yes)。この場合には、ステップS106で、ワイパアーム12の動きが反転(符号Rv)される。
【0060】
図8に示したように、復路RT方向では、ワイパアーム12がAゾーンAz又はBゾーンBzにある場合には、障害物除去動作が行われ、障害物は下方側に向かって除去されていく。その結果、
図9に示すように、下反転位置P2と下反転限界位置P12との間に、障害物OB4が溜まりやすい。
図9に示すように、下反転位置P2と下反転限界位置P12との間に障害物OB4があるような場合には、ワイパアーム12が下反転位置P2に到達する前でも、ワイパアーム12がCゾーン内に達していれば、その位置でワイパアーム12の移動方向が往路方向に反転する。これにより、下反転位置P2と下反転限界位置P12との間の障害物OB2を回避できる。
【0061】
図10及び
図11は、フロントガラス2に障害物が落下してワイパがロック状態となったときの説明図である。
【0062】
例えば、降雪の中を運転している際に、車両の屋根からのフロントガラス2に沿って雪塊が落下することがある。この場合、落下した雪塊がワイパブレード13に当たり、ワイパアーム12が動かなくなり、ロック状態となる。
図10は、往路OT方向にワイパアーム12が移動している途中に、上から障害物OB5が落下してワイパがロック状態となったときの状態を示し、
図11は、復路RT方向にワイパアーム12を移動中に、上から障害物OB6が落下してワイパがロック状態となったときを示している。
【0063】
車両の屋根から雪塊がフロントガラス2に落下してワイパがロックする場合には、障害物に重力が加わるため、ワイパアーム12に強い衝撃が加わる。特に、ワイパモータ10の回転数が最も高くなる位置において、ワイパモータ10の動きが急激に阻害されると、ワイパモータ10に大きな負担がかかり、ワイパモータ10が損傷する可能性がある。
【0064】
図5のフローチャートで示したように、ワイパアーム12が往路方向に移動中にロック状態となった場合には、ステップS102でロック状態であると判定され(ステップS102:Yes)、ステップS104で往路であると判定される(ステップS104:Yes)。このとき、ワイパアーム12がSゾーンの位置にあると、ステップS110でAゾーンではないと判定され(ステップS110:No)、ステップS112でBゾーンBz又はCゾーンCzではないと判定される(ステップS112:No)。これにより、ステップS114でワイパモータ10の回転が停止される。
【0065】
同様に、ワイパアーム12が復路方向に移動中にロック状態となった場合には、ステップS102でロック状態であると判定され(ステップS102:Yes)、ステップS104で往路ではないと判定される(ステップS104:No)。このとき、ワイパアーム12がSゾーンSzの位置にあると、ステップS105でCゾーンではないと判定され(ステップS105:No)、ステップS107でAゾーンAz又はBゾーンBzではないと判定される(ステップS107:No)。これにより、ステップS109でワイパモータ10の回転が停止される。
【0066】
図4に示したように、SゾーンSzは、ワイパモータ10の回転数が最も高くなり、上反転位置P1と下反転位置P2との中央位置を含む部分に設定されている。本実施形態では、ワイパアーム12を往路方向及び復路方向に移動中に、障害物OB5及び障害物OB6が落下してワイパがロック状態となったとき、ワイパアーム12がSゾーンにあると判定されると、ワイパモータ10の回転が停止される。これにより、ワイパモータ10の回転数が最も高くなる位置で、ワイパアーム12の動きが急激に阻害されても、ワイパモータ10に損傷を回避できる。
【0067】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図12は、本発明の第2実施形態の動作説明に用いるフローチャートである。なお、前述の第1実施形態と同一部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0068】
前述の第1実施形態では、往路方向と復路方向にとの双方で、ワイパがロック状態となったときに、ワイパアーム12がSゾーンSzにあれば、ワイパモータ10の回転を停止させて、フロントガラス2に障害物が落下してワイパがロック状態となることに対処している。これに対して、この実施形態では、往路方向でのみ、ワイパがロック状態となったときに、ワイパアーム12がSゾーンSzにあれば、ワイパモータ10の回転を停止させる処理を行っており、復路方向では、このような処理は行っていない。
【0069】
つまり、第1実施形態では、
図5に示したように、往路方向において、SゾーンSzの検出処理(ステップS110、ステップS112)と、SゾーンSzにあるときにワイパモータ10を停止させる処理(ステップS114)があるとともに、復路方向において、SゾーンSzの検出処理(ステップS105,ステップS107)と、SゾーンSzにあるときにワイパモータ10を停止させる処理(ステップS109)がある。これに対して、第2実施形態では、
図12に示すように、復路方向では、SゾーンSzの検出処理(ステップS107)やSゾーンSzにあるときにワイパモータ10を停止させる処理(ステップS109)が除かれている。
【0070】
これは、フロントガラス2に障害物が落下してワイパがロック状態となったときに、ワイパモータ10に与えられる負荷が、ワイパアーム12が往路方向に移動しているときと、復路方向に移動しているときとで異なるからである。つまり、
図10に示したように、ワイパアーム12が往路方向に移動しているときには、ワイパアーム12の移動方向V2と障害物OB5の落下方向V1とが対峙する。このため、フロントガラス2に障害物OB5が落下すると、ワイパモータ10に大きな負荷がかかり、ワイパモータ10に損傷を与える可能性が高い。これに対して、
図11に示したように、ワイパアーム12が復路方向に移動しているときには、ワイパアーム12の移動方向V3と障害物OB5の落下方向V1とが略同方向になるため、フロントガラス2に障害物OB5が落下したときに、ワイパモータ10に与えられる負荷は小さく、ワイパモータ10に損傷を与える可能性は小さい。
【0071】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図13は、本発明の第3実施形態の動作説明に用いるフローチャートである。
図14は、本発明の第3実施形態の動作説明図である。
【0072】
前述の第1及び第2実施形態では、ワイパがロック状態となったときに、ワイパアーム12がSゾーンSzにあれば、ワイパモータ10の回転を停止させて、フロントガラス2に障害物が落下してワイパがロック状態となることに対処している。これに対して、この第3実施形態では、往路方向の移動時に、ワイパがロック状態となったときに、ワイパアーム12がSゾーンSzにあれば、ワイパモータ10の回転を反転させた後、停止させるようにしている。
【0073】
すなわち、
図13に示すように、第3実施形態では、ワイパアーム12を復路方向に移動中に、ステップS112でワイパアーム12がSゾーンSzにあるか否かを検出し、SゾーンSzにあると判定されると(ステップS112:No)、ワイパモータ10の回転方向を逆転させた後に、ワイパモータ10を停止させている(ステップS114a)。これにより、フロントガラス2に障害物が落下してワイパがロック状態となったときに、障害物の落下方向とワイパアーム12の移動方向とを同方向となり、障害物の落下による影響を軽減できる。
【0074】
つまり、
図14に示すように、フロントガラス2に障害物OB6が落下すると、ワイパアーム12には、障害物OB5の落下方向V1の力が加わる。往路方向では、障害物OB6の落下方向V1とワイパアーム12の移動方向V2とは対峙している。これに対して、ワイパアーム12の移動方向を復路方向にとなるように反転すれば、ワイパアーム12の移動方向V3と障害物OB6の落下方向V1とが略同じになり、ワイパモータ10に対する影響を軽減できる。
【0075】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図15は、本発明の第4実施形態の動作説明に用いるフローチャートである。
【0076】
本実施形態では、ワイパアーム12がSゾーンSzにあるときと、その他のゾーンあるときとで、ワイパモータ10のデューティ比のリミット値を変えるようにしている。
【0077】
つまり、ワイパモータ10のトルクは、インバータ102からワイパモータ10に供給されるPWM駆動信号のデューティ比により設定できる。このPWM駆動信号のデューティ比を大きくすれば、ワイパモータ10のトルクは上昇する。
【0078】
往路方向では、ワイパアーム12がCゾーンCz又はBゾーンBzにあるときには、障害物除去動作を行うのに大きなトルクが必要になる。このため、ワイパモータ10のデューティ比のリミット値は高く設定する必要がある。また、復路方向では、ワイパアーム12がAゾーンAz又はBゾーンBzにあるときには、障害物除去動作を行うのに大きなトルクが必要になる。このため、ワイパモータ10のデューティ比のリミット値は高く設定する必要がある。
【0079】
これに対して、障害物がフロントガラス2に落下してワイパがロック状態となったときに、ワイパモータ10のトルクが大きいと、ワイパモータ10に与える影響も大きくなる。このため、ワイパアーム12がSゾーンSzにあるときには、ワイパモータ10のデューティ比のリミット値を低く設定して、ワイパモータ10の破損を防止することが望まれる。
【0080】
そこで、この第4実施形態では、往路方向でワイパアーム12がBゾーンBz又はCゾーンCzにあると判定されたときには(ステップS112:Yes)、ワイパモータ10のデューティ比のリミット値は大きな値(例えば80%)に設定される(ステップS201)。そして、ステップS113で、障害物の除去動作が作動される。同様に、復路方向でワイパアーム12がBゾーンBz又はAゾーンAzにあると判定されたときには(ステップS105:No)、ワイパモータ10のデューティ比のリミット値が大きな値(例えば80%)に設定される(ステップS202)。
【0081】
これに対して、往路方向で、ワイパアーム12がSゾーンSzにあると判定されたときには(ステップS112:No)、障害物が落下したときにワイパモータ10の破損を防止するために、ワイパモータ10のデューティ比のリミット値は小さい値(例えば40%)に設定される(ステップS203)。
【0082】
以上説明したように、本発明の実施形態によれば、フロントガラスに雪等の障害物が堆積してワイパがロック状態になることが回避できるとともに、落下した雪塊等が障害物となり、ワイパがロック状態となっても、ワイパモータに損傷を与えることが防止できる。
【0083】
また、これにより、モータの破損を生じにくくすることができるため、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「全ての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」に貢献することが可能となる。
【0084】
上述した実施形態におけるワイパ制御装置100の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0085】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0086】
10…ワイパモータ、12…ワイパアーム、13…ワイパブレード、100…ワイパ制御装置、101…モータ制御部、102…インバータ、103 …回転角度センサ