(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135795
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】太陽電池付き屋根構造
(51)【国際特許分類】
E04G 3/22 20060101AFI20240927BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20240927BHJP
【FI】
E04G3/22 A
E04D13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046664
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000165505
【氏名又は名称】元旦ビューティ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】舩木 元旦
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM03
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】着脱自在のステップや安全設備等の外設資材により、屋根面を太陽光発電に有効に利用できると共に、施工後の太陽電池のメンテナンスをも容易に行うことができる太陽電池付き屋根構を提供する。
【解決手段】本発明の太陽電池付き屋根構造は、流れ勾配を有する屋根1上に、流れ方向に沿う複数の縦桟2と、隣り合う縦桟2,2に跨る着脱自在の外設資材と、が取り付けられ、縦桟2は、開口210が設けられた上面部21と、該上面部21の裏面側に形成される中空空間22とが備えられ、外設資材として、中空空間22に配される固定部21と、該固定部21から開口210より表出する脚状部23と、該脚状部23の先端に設けられる架設部24と、が備えられていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ勾配を有する屋根上に、流れ方向に沿う複数の縦桟と、隣り合う前記縦桟に跨る着脱自在の外設資材と、が取り付けられる太陽電池付き屋根であって、
前記縦桟は、開口が設けられた上面部と、該上面部の裏面側に形成される中空空間とが備えられ、
前記外設資材として、前記中空空間に配される固定部と、該固定部から前記開口より表出する脚状部と、該脚状部の先端に設けられる架設部と、が備えられていることを特徴とする太陽電池付き屋根構造。
【請求項2】
前記外設資材として、太陽電池の取付前後を含む施工の安全設備が用いられ、その取付基端が前記開口に装着可能な前記固定部であり、安全帯が前記脚状部であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池付き屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱自在のステップや安全設備等の外設資材により、屋根面を太陽光発電に有効に利用できると共に、施工後の太陽電池のメンテナンスをも容易に行うことができる太陽電池付き屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池システムの社会的重要性は広く認識されるに至っているが、建築物の屋根面に複数の太陽電池パネルを設置し、その太陽電池によって発電した電力を照明や空調などの生活資源として使用している。
【0003】
このような太陽電池パネルは、設置面積が太陽電池の発電量に直結することは言うまでもなく、屋根面に対して最大限の設置面積を確保されるものであった。
一方で、太陽電池はその表面がガラス等で覆われているため飛来物による破損等、汚れによる発電効率の低下、電気機器などの故障等によって、メンテナンスや交換等も必要になるものであった。
そこで、特許文献1などには、予め施工後の太陽電池の保守・点検を行うメンテナンスを想定し、太陽電池に隣接状にメンテナンス作業用の足場(保守点検作業用通路)を設けた構造が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の構造では、太陽電池の敷設領域に隣接させて作業用の足場(保守点検作業用通路)が設けられているため、この保守点検作業用通路分だけ太陽電池の敷設領域が狭くなっていた。また、太陽電池の表面の凸部は、滑り止めには効果を有するが、作業者自体の重量を負担できないので、有効な手法ではなかった。
【0006】
そこで本発明は、着脱自在のステップや安全設備等の外設資材により、屋根面を太陽光発電に有効に利用できると共に、施工後の太陽電池のメンテナンスをも容易に行うことができる太陽電池付き屋根構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、流れ勾配を有する屋根上に、流れ方向に沿う複数の縦桟と、隣り合う前記縦桟に跨る着脱自在の外設資材と、が取り付けられる太陽電池付き屋根であって、前記縦桟は、開口が設けられた上面部と、該上面部の裏面側に形成される中空空間とが備えられ、前記外設資材として、前記中空空間に配される固定部と、該固定部から前記開口より表出する脚状部と、該脚状部の先端に設けられる架設部と、が備えられていることを特徴とする太陽電池付き屋根構造に関するものである。
なお、前記外設資材は、常時取り付けられているものではなく、例えば太陽電池の敷設時や施工後のそのメンテナンス等には取り付けられており、太陽光が照射される時点においては取り除かれている。
【0008】
また、本発明は、前記太陽電池付き屋根構造において、前記外設資材として、太陽電池パネルの取付前後を含む施工の安全設備が用いられ、その取付基端が前記開口に装着可能な前記固定部であり、安全帯が前記脚状部であることを特徴とする太陽電池付き屋根構造をも提案する。
なお、前記安全設備は、屋根の先端に設置する鉛直状の支柱(安全柵)と、該支柱の傾倒を防ぐ安全帯と、を備え、前記安全帯は、前記支柱と前記開口との間に取り付けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の太陽電池付き屋根構造は、流れ勾配を有する屋根上に、流れ方向に沿う複数の縦桟と、隣り合う縦桟に跨る着脱自在のステップや安全設備等の外設資材と、が備えられるので、屋根面を作業用の足場として利用することなく、屋根面を太陽光発電に有効に利用できると共に、施工後の太陽電池のメンテナンスをも容易に行うことができる。
【0010】
また、外設資材として、太陽電池パネルの取付前後を含む施工の安全設備が用いられ、その取付基端が開口に装着可能な前記固定部であり、安全帯が前記脚状部である場合、支柱と縦桟の開口との間に安全帯を連絡して長さを調整することで、支柱の傾倒が防止され、各支柱が鉛直状に立設されることで、作業者を落下等の事故から守る安全柵として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)施工例Aの縦桟にステップ(外設資材)を取り付けた実施例1を示す正面図、(b)その側断面図である。
【
図2】(a)実施例1における施工例Aの二列の縦桟(その下方に正面図を付記)及びその間に取り付けたステップ(外設資材)の平面図、(b)その側面図、(c)その正面図、(d)そのステップを拡大して示す平面図、側面図、正面図、(e)縦桟にステップを取り付けた状態を拡大して示す分解正面図である。
【
図3】(a)実施例1における施工例Aの縦桟にステップ(外設資材)を取り付けて太陽電池の施工後のメンテナンスを行う状態の正面図、(b)その側断面図である。
【
図4】施工例Aの縦桟の水下端に安全設備(外設資材)を取り付けて落下防止用の安全柵として用いる実施例2を示す側面図である。
【
図5】(a)施工例Bの縦桟が用いられた太陽電池の採光状態を示す実施例3の斜視図、(b)この屋根構造の断面構造を示す断面図、(c)それに用いられた縦桟及びカバー材を示す斜視図、(d)縦桟の一部を拡大して示す斜視図、(e)屋根材へ縦桟を受支する固定受具を固定する状態を示す斜視図である。
【
図6】(a)実施例3における太陽電池のメンテナンス作業時の状態を示す斜視図、(b)連結柱の斜視図(その側端面を付記)である。
【
図7】施工例Bの縦桟の水下端に安全設備(外設資材)を取り付けて落下防止用の安全柵として用いる実施例4を示す側面図である。
【
図8】(a)実施例4における施工例Bの縦桟にステップ(外設資材)を架け渡した状態を示す平面図、(b)縦桟に中央にステップを、その左右に太陽電池を取り付けた状態を示す正面図、(c)左側に太陽電池を、その右側に三つの縦桟に亘るステップが取り付けられた状態の正面図、(d)縦桟にステップが取り付けられた状態の側面図及びステップの足場が位置調整可能であることを示す斜視図、(e)屋根に縦桟が取り付けられた状態を拡大して示す正面図である。
【
図9】実施例5における施工例Bの縦桟の水下端に安全設備(外設資材)を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図10】実施例5における太陽電池の採光状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の太陽電池付き屋根構造は、流れ勾配を有する屋根上に、流れ方向に沿う複数の縦桟と、隣り合う前記縦桟に跨る着脱自在の外設資材と、が備えられ、前記縦桟は、開口が設けられた上面部と、該上面部の裏面側に形成される中空空間とが備えられ、前記外設資材として、前記中空空間に配される固定部と、該固定部から前記開口より表出する脚状部と、該脚状部の先端に設けられる架設部と、が備えられていることを特徴とする。
【0013】
前記屋根としては、流れ勾配を有し、強度や雨仕舞い性等の特性を備えるものであれば新設又は既設を問うものではなく、その形式(横葺き又は縦葺き)等についても、何等限定するものではない。
【0014】
また、前記太陽電池(ソーラーセル)についても、特にその構成及び形状を限定するものではなく、多結晶,単結晶,アモルファス等のシリコン系、化合物系、有機系などどのような太陽電池を用いてもよい。例えば近年提案されたアモルファスシリコン、又は微結晶シリコンを用いる薄膜シリコン太陽電池は、大量生産し易く、軽量で、フレキシブルな(可撓性を有する)パネルを造ることができる。
この太陽電池パネルは、太陽電池の表面に透光性を有する強化ガラスや透明樹脂などの保護材で被覆して耐久性や耐候性が付与されているが、前述のように飛来物による破損等、汚れによる発電効率の低下、電気機器などの故障等によって、メンテナンスや交換等も必要であった。
【0015】
前記屋根上には、流れ方向に沿うように複数の縦桟が配設され、隣り合う前記縦桟に跨るように着脱自在にステップや安全設備等の外設資材と、が取り付けられている。
【0016】
前記縦桟は、開口が設けられた上面部と、該上面部の裏面側に形成される中空空間とを有する部材であり、着脱自在の外設資材が取り付けられる部材である。開口については、後述する図示実施例(実施例1,2)では流れ方向に所定の間隔を隔てた複数の開孔であり、後述する図示実施例(実施例3,4)では長さ方向に連続する開口条であるが、外設資材を着脱自在に取り付けらればよい。
なお、流れ方向に沿うように複数の縦桟が前記屋根上に適宜間隔を隔てて略平行状に配設されるが、この縦桟としては、太陽電池の側端に配置される側方縦桟や、太陽電池の裏面側に配置される裏側縦桟等の複数種が想定される。そのうち、側方縦桟は、太陽電池の側端を支持する支持材を兼ね、特に施工後の太陽電池のメンテナンスに有効であり、裏側縦桟は、太陽電池の裏面を受支する受下地材を兼ね、特に太陽電池の敷設作業に有効である。
【0017】
前記外設資材は、前述のように隣り合う縦桟に跨る着脱自在の部材であって、具体的には作業者の安全を確保(補助)する設備を指す。
この外設資材として、後述する図示実施例(実施例1)では縦脚部と該縦脚部と直交状の横脚部とからなる(L字状の)取付脚部が備えられるステップが用いられ、横脚部が縦桟の開口(複数の開孔)から上面部の裏面に沿うように係合状に装着可能である。
このステップについては、中空の棒状パイプ材が屈曲加工され、L字状の取付脚部と、隣り合う縦脚部間に架設状に形成される横踏枠とが備えられている。そのため、このステップの取付脚部(横脚部)を前記縦桟の開口に挿入すると共に中空空間に配設されるように取り付けることで、上面部の裏面に沿うように係合状に装着可能である。
このように取り付けられたステップは、横踏枠が縦脚部の上端に位置するので、該横踏枠を足場として、太陽電池パネルの施工作業、或いは施工後の太陽電池の点検保守等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。特にメンテナンス作業を、太陽電池表面の上方から行うことができるので、極めて作業効率が高いものとなる。
【0018】
また、前記外設資材として、後述する図示実施例(実施例2)では屋根の先端に設置する鉛直状の支柱と、該支柱の傾倒を防ぐた安全帯と、を備える安全設備が用いられ、その安全帯は、支柱と開口(複数の開孔又は連続する開口条)との間に取り付けられていればよい。例えば安全帯の先端を複数の開孔に取り付ける場合には、前述のステップのL字状の取付脚部を備える取付材を併用すれば、後述する図示実施例(実施例2)に示すように複数の開孔に引っ掛け状に取り付けることができる。また、例えば安全帯の先端を連続する開口条に取り付ける場合には、頭部が中空空間に配置される取付具(ボルト材及びナット)を併用すれば、後述する図示実施例(実施例3)に示すように連続する開口条に締着状に取り付けることができる。
このように安全設備は、複数の安全帯が前記縦桟の開口に着脱自在に取り付けられるので、安定に支柱を立設でき、横柵や支柱が、作業者を落下等の事故から守る安全柵として機能する。
【0019】
なお、前述のように縦桟としては、太陽電池の側端を支持する支持材を兼ねる側方縦桟、太陽電池の裏面を受支する受下地材を兼ねる裏側縦桟等の複数種が想定されるが、必ずしも両方が用いられなくてもよく、何れか一方が用いられていれば良い。
また、前述のように外設資材として、ステップや安全設備等が用いられるが、当該外設資材は着脱自在であるから、必要時に容易に取り付けられて各種作業を補助し、使用後に取り外して採光の邪魔にならない。
【0020】
そして、本発明の太陽電池付き屋根構造は、流れ勾配を有する屋根上に、流れ方向に沿う複数の縦桟と、隣り合う縦桟に跨る着脱自在のステップや安全設備等の外設資材と、が備えられるので、屋根面を太陽光発電に有効に利用できると共に、施工後の太陽電池のメンテナンスをも容易に行うことができる。
【0021】
また、外設資材として、太陽電池パネルの取付前後を含む施工の安全設備が用いられ、その取付基端が開口に装着可能な前記固定部であり、安全帯が前記脚状部である場合、支柱と縦桟の開口との間に安全帯を連絡して長さを調整することで、支柱の傾倒が防止され、各支柱が鉛直状に立設されることで、作業者を落下等の事故から守る安全柵として機能させることができる。
【実施例0022】
図1(a),(b)は、流れ勾配を有する屋根1上に、当該図面には図示していない太陽電池を施工する過程において、複数の縦桟2と着脱自在の外設資材であるステップ3Aとを取り付けた状態を示している。
なお、この実施例1における屋根1は、
図1(b)では右方から左方へ流れる勾配を有し、複数の横葺き屋根材1Aが敷設された強度や雨仕舞い性等の特性を備えるものであって、各屋根材1Aの裏面側には断熱材1Cが配設され、一つおきの屋根材1Aに表面から沿わせる上方金具1b1と、裏面側から沿わせる下方金具1b2と、これらを一体化させる固着具1b3と、からなる支持金具1Bが配設され、隣り合う屋根材1,1の係合強度を補強している。
【0023】
縦桟2は、
図2(a),(b)に示すように流れ方向(図では上下方向)に所定の間隔を隔てた複数の開口(開孔)210が設けられた上面部21と、該上面部21の裏面側に形成される中空空間22とが備えられる構成(以下、施工例Aの縦桟という)である。この実施例1では、縦桟2は断面Ω字状の長尺材である本体2Aに、側面部23,23と中空空間22とが形成されている。なお、この開孔210は長孔状であり、その水下側の端縁には起立状の規制片211が設けられている。
また、この縦桟2は、
図2(e)に示すように本体2Aが固定具2b等を用いて固定されており、符号2cは固定受具、2dは筒状のスペーサ、2eは左右に凹状部分を備える支持体、2fは締着具、2gはボルトである。そして、支持体2eの裏面から立設させたボルト2gに、スペーサ2d及び固定受具2cを貫通させた状態で締着具2fを締め付けることにより、固定受具2cが支持体2eに一体的に固定され、この固定受具2cに本体2Aを被せた状態で固定具2b,2bが装着されて一体的に固定されている。
【0024】
また、ステップ3Aは、
図2(c),(d)に示すように隣り合う前記縦桟2,2に跨って設けられ、縦脚部311と該縦脚部311と直交状の横脚部312とからなる取付脚部31が備えられる構成である。この実施例1では、
図2(d)に拡大して示すようにステップ3Aが中空状の棒状パイプ材の屈曲加工品であり、左右に設けられた取付脚部31,31と、水下側へ続いて上方へとL字状に延在させた脚状部(延在片)32,32を介し、これら延在片32,32間に架設状に形成される二重横棒状の架設部(横踏枠)33と、が備えられている構成である。
【0025】
そのため、ステップ3Aの取付脚部31の横脚部312の先端を、縦桟2の開孔210に上方から挿入すると共に、中空空間22に配設されるように取り付けることで、上面部21の裏面に沿うように係合状に装着することができる。
なお、ステップ3Aの縦脚部311より水下側に横踏枠33が設けられているため、このステップ3Aには自重にて水下側へズレ落ちようとする力が働くが、縦脚部311が縦桟2の規制片211に当接する状態でズレ落ちることがない。
【0026】
次に、
図3(a),(b)は、太陽電池4A施工後のメンテナンスを行う状態を示している。なお、見易くする観点から、
図3(a)の左側には太陽電池を図示していないし、その右側及び
図3(b)にはステップを図示していない。
この太陽電池4Aは、その表裏両面に透光性を有する強化ガラス等の保護材が被覆されているボード状であり、平面視矩形状に形成されており、隣り合う太陽電池4A,4Aは断面U字状の取付部材4Bにて連結されている。
そのため、ステップ3Aの横踏枠33より低い位置に太陽電池4Aの表面が位置するので、
図4に示すように作業者Pは横踏枠33を足場として太陽電池4Aの点検、保守等のメンテナンス作業を行うことができる。
【0027】
なお、前述の
図1(a),(b)では、複数の縦桟2にステップ3Aを着脱自在に取り付けた状態であることを太陽電池を図示せずに説明したが、太陽電池4Aを図示した状態が、
図3(a)の右側のようになる。即ちステップ3Aの横踏枠33より低い位置に太陽電池4Aを施工するので、作業者は横踏枠33を足場として太陽電池4Aを傷つけることなくその施工を行うことができる。
【0028】
この実施例1においては、外設資材としてステップ3Aを用いたが、このステップ3Aは着脱自在であるから、必要時に取り付けておけばよく、それ以外には取り外しておくようにしてもよい。そのため、太陽光が照射される際には、ステップ3Aを取り外して屋根面を有効に利用することができる。
【0029】
このように施工される実施例1の太陽電池付き屋根構造では、流れ勾配を有する屋根1上に、流れ方向に沿う複数の縦桟2と、隣り合う縦桟2,2に跨る着脱自在のステップ3Aである外設資材と、が備えられるので、屋根面を太陽光発電に有効に利用できると共に、太陽電池4Aの配設の施工にも施工後の太陽電池4Aのメンテナンスをも容易に行うことができる。
言い換えれば、この実施例1における縦桟2は、太陽電池4Aの側端に配置される側方縦桟としても、太陽電池4Aの裏面側に配置される裏側縦桟としても利用できる。そのため、裏側縦桟として、太陽電池4Aの裏面を受支する受下地材としても、太陽電池4Aの側端を支持する支持材としても有効である。
なお、この支柱5Aの立設については、縦桟2の水下端に延設状に固定した底辺バー5C及びその長さの途中から傾斜状に固定された斜辺バー5Dにて三角形を形成するように固定されている。
これらのうち、底辺バー5Cは、支柱5Aの下端に固定具5iにてその水下端が固定され、その水上端が縦桟2の軒先端にL状材を含む固定体5gを介して固定され、その長さ方向に複数の固定孔5c0が形成されている。また、斜辺バー5Dは、その上端が支柱5Aの途中に回動自在に留め付けられ、その下端が適宜箇所の固定孔5c0に留め具5hにて固定され、上部バー5d1及び下部バー5d2を締着具5d3にて、長さ調整可能に連結されている。
そのため、鉛直状に立設させた支柱5Aと、縦桟2の水下端から屋根勾配に沿って配設された底辺バー5Cとの間に、斜辺バー5Dを架設すると共に長さ調整することで、底辺バー5C及び支柱5Aのそれぞれの角度を安定に維持することができる。
また、横柵5Fについては、それぞれ中空のパイプ材等で形成される横架バー5f1,5f2が、それぞれ支柱5Aの外側に固定された保持具5f3,5f4に平行状に保持されることで、支柱5Aに架設状に横柵5Fを取り付けることができる。
この横柵5Fを含む安全設備5は、屋根面の水下端に形成されるため、作業者Pが屋根面から落下することなく安全に作業できる。
なお、支柱5Aの傾倒を防ぐ安全帯5Bの水上側の先端が、縦桟2の開口210に取り付けられた状態については図示していないが、前述のステップ3Aの取付脚部31を備える取付材を固定しておく構造を採用できる。但し、その取付脚部の横脚部は、前述のステップ3とは異なり、水上側から水下側へ向くように中空空間22に配設され、要するに取付脚部が開孔210に対して引っ掛け状に取り付けられていればよい。
この実施例2においては、外設資材として安全設備5を用いたが、この安全設備5は着脱自在であるから、必要時に取り付けておけばよく、それ以外には取り外しておくようにしてもよい。そのため、太陽光が照射される際には、安全設備5を取り外して屋根面を有効に利用することができる。
このように施工される実施例2の太陽電池付き屋根構造では、流れ勾配を有する屋根1上に、流れ方向に沿う複数の縦桟2と、隣り合う縦桟2,2に跨る着脱自在の安全設備5である外設資材と、が備えられるので、屋根面を太陽光発電に有効に利用できると共に、太陽電池4Aの配設前後の作業において、作業者Pの安全に好適に利用できる。
また、この実施例2における安全設備5は、その取付基端が開孔210に装着可能であるため、支柱5Aと縦桟2の開孔210との間に安全帯5Bを連絡して長さを調整することで、支柱5Aの傾倒が防止され、各支柱5Aが鉛直状に立設されることで、作業者Pを落下等の事故から守る安全柵として機能させることができる。