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  • -魚釣用スピニングリール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135799
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】魚釣用スピニングリール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A01K89/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046669
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堤 わたる
(72)【発明者】
【氏名】上野 勇人
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108BC19
(57)【要約】
【課題】ラインスライダに対してベールを容易に取り付けることができ、低コストの組み立てを実現する。
【解決手段】ロータ3の支持アーム31に取り付けられ、ベール33を支持するベール支持部材32と、ベール支持部材32に支持され、釣糸が巻回保持されるスプール4に当該釣糸を案内するラインローラ35と、ベール33の一端部33aを支持し、ベール33によって拾われた釣糸をラインローラ35に導くラインスライダ34と、を備えている。ベール33の一端部33aは、ラインスライダ34に対して固定用ねじ36により取り付けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルの巻き取り操作により回転するロータと、前記ロータの支持アームに取り付けられ、ベールを支持するベール支持部材と、前記ベール支持部材に支持され、釣糸が巻回保持されるスプールに当該釣糸を案内するラインローラと、前記ベールの一端部を支持し、前記ベールによって拾われた釣糸を前記ラインローラに導くラインスライダと、を備えた魚釣用スピニングリールであって、
前記ベールの一端部は、前記ラインスライダに対して固定用ねじにより取り付けられることを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【請求項2】
前記ベールの一端部に設けられ前記ラインスライダ内に配置される取付部を備え、
前記ラインスライダ側から前記固定用ねじを締め付けることにより、前記取付部が前記ラインスライダに固定されることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項3】
前記ラインスライダに設けられ、前記取付部を収容する有底筒状の収容部を備え、
前記固定用ねじは、前記収容部の開口部を通じて前記ラインスライダに挿入されることを特徴とする請求項2に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項4】
前記ラインスライダの側面には、前記ベールの一端部が挿入される挿入孔が形成されており、
前記挿入孔は、前記ベールの一端部の外径よりも大きい内径を有していることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用スピニングリールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚釣用スピニングリールにおいて、ベールとラインスライダとの連結部分の固定を、溶接、溶着、かしめ、接着等により行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の魚釣用スピニングリールでは、例えば、ラインスライダの端部の中空部にピンを嵌入してラインスライダの端部とベールの端部とを互いに連結し、連結部に溶接処理や溶着処理を施すことで接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-279068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の魚釣用スピニングリールでは、溶接、溶着、かしめ、接着等によりラインスライダの端部とベールの端部とを接合するものであるため、接合作業が煩雑であり、高コストであるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために創作されたものであり、ラインスライダに対してベールを容易に取り付けることができ、低コストの組み立てを実現できる魚釣用スピニングリールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る魚釣用スピニングリールは、ハンドルの巻き取り操作により回転するロータと、前記ロータの支持アームに取り付けられ、ベールを支持するベール支持部材と、前記ベール支持部材に支持され、釣糸が巻回保持されるスプールに当該釣糸を案内するラインローラと、前記ベールの一端部を支持し、前記ベールによって拾われた釣糸を前記ラインローラに導くラインスライダと、を備えている。前記ベールの一端部は、前記ラインスライダに対して固定用ねじにより取り付けられる。
【0007】
この魚釣用スピニングリールでは、固定用ねじを締め付けることにより、ラインスライダに対してベールの一端部を取り付けることができるので、ベールの取り付けが容易である。また、ベールの取り付けが容易であるとともに、ベールの固定時に溶接、溶着、かしめ、接着等が不要となるので、低コストの組み立てを実現できる。
【0008】
また、前記ベールの一端部に設けられ前記ラインスライダ内に配置される取付部を備え、前記ラインスライダ側から前記固定用ねじを締め付けることにより、前記取付部が前記ラインスライダに固定されることが好ましい。
【0009】
この構成では、ラインスライダ側から固定用ねじを螺合できるので、ベール支持部材の外面側にねじ穴を設ける必要がなくなる。これにより、釣糸の糸絡み時に、ベール支持部材の外面側を釣糸が移動した場合にもねじ穴との接触による釣糸の損傷が生じない。
【0010】
また、前記ラインスライダに設けられ、前記取付部を収容する有底筒状の収容部を備え、前記固定用ねじは、前記収容部の開口部を通じて前記ラインスライダに挿入されることが好ましい。
【0011】
この構成では、ラインスライダの収容部に取付部を収容しつつ、収容部の開口を通じて固定用ねじを挿入できる。したがって、ラインスライダ内にベールの取付部が好適に収容されるとともに、ベールの固定が容易である。また、固定用ねじの少なくとも一部が収容部に収容されるように構成した場合には、ラインスライダ側においても釣糸が固定用ねじの頭部に絡みにくくなる。
【0012】
前記ラインスライダの側面には、前記ベールの一端部が挿入される挿入孔が形成されていることが好ましい。前記挿入孔は、前記ベールの一端部の外径よりも大きい内径を有していることが好ましい。
【0013】
この構成では、ベールと挿入孔との間に隙間を形成することができ、釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間でベールを回動させた際に、振動等によりベールと挿入孔とが接触するのを好適に防止できる。したがって、ベールと挿入孔との接触による変形や損傷を未然に防止できる。このことは、釣糸の損傷の防止に寄与する。
また、ベールの外径よりも挿入孔の内径が大きいので、挿入孔にベールの一端部を挿入する際の自由度が高まり、組立性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の魚釣用スピニングリールによれば、ラインスライダに対してベールを容易に取り付けることができ、低コストの組み立てを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体構成を示す側面図である。
図2】同じく一方のベール支持部材とラインローラとラインスライダとを分解して並べた斜視図である。
図3】同じくスライダとベールの一端部とを示した拡大斜視図である。
図4】同じくラインスライダを示した拡大図であり、(a)は平面図、(b)は図4(a)の正面図、(c)は図4(a)の側面図、(d)は図4(a)のIV-IV線に沿う断面図である。
図5】同じくラインスライダに対するベールの一端部の延在角度を示した拡大斜視図である。
図6】同じくベールの一端部の折曲角度を説明するため説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態に係る魚釣用スピニングリールについて図面を参照しながら説明する。以下の説明において、「前後」「上下」を言うときは図1に示した方向を基準とする。
【0017】
本実施形態の魚釣用スピニングリールR1は、ハンドル2が取り付けられたリール本体1と、リール本体1の前側に設けられ、ハンドル2の巻き取り操作により回転するロータ3と、ロータ3の前側に設けられ、ハンドル2の巻き取り操作により前後方向に往復運動するスプール4とを備える。
【0018】
リール本体1は、ボディ10と、ボディ10の上部から上方に延びて釣竿に装着される竿取付部12を先端に有する脚部11とを備えている。ボディ10は、図示しない駆動軸筒及びスプール軸が貫通する筒状のボディ前部を備えている。駆動軸筒の前端にはボディ前部を覆うようにロータ3が取り付けられ、また、スプール軸の前端にはロータ3の円筒部(不図示)を覆うようにスプール4が取り付けられている。
【0019】
なお、ボディ10内には、ハンドル2の回転操作に伴いハンドル軸周りに回転するドライブギャ(不図示)と、駆動軸筒に外嵌されてドライブギャに噛合するピニオンギャ(不図示)と、が設けられている。また、スプール軸の後部は、ハンドル軸に取り付けられた駆動歯車により駆動されるオシレーティング機構に連結されている。これにより、ハンドル2の回転操作により駆動歯車が回転すると、スプール軸及びスプール4が前後動し、スプール4に釣糸が平行かつ均等に巻回される。
【0020】
ロータ3は、支持アーム31と支持アーム31の前部に回動可能に取り付けられたベール支持部材32とを備えている。支持アーム31及びベール支持部材32は、ロータ3の円筒部に対して略180度間隔でそれぞれ一対形成されており、ロータ3の回転によりスプール4の周りを回転する。図1に示される魚釣用スピニングリールR1では、リール本体1の片側となる一側の上下方向の中央に支持アーム31及びベール支持部材32が位置している状態を表している。
なお、一対の支持アーム31及び一対のベール支持部材32において、図1に示される一側の支持アーム31及びベール支持部材32を、一方の支持アーム31及び一方のベール支持部材32と称し、図示はしないが、これとは反対側の他側の支持アーム31及びベール支持部材32を、他方の支持アーム31及び他方のベール支持部材32と称する。また、両方を言うときは両支持アーム31,31及び両ベール支持部材32,32と称する。
【0021】
一方の支持アーム31は、ロータ3の円筒部から前方に延びており、一方のベール支持部材32を支持している。また、他方の支持アーム31も同様に、ロータ3の円筒部から前方に延びており、他方のベール支持部材32を支持している。
両ベール支持部材32,32は、両支持アーム31,31に対して釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間で回動可能に支持されている。図1では釣糸巻き取り位置にある状態を示している。
【0022】
両ベール支持部材32,32は、釣糸を拾うためのベール33を支持する部材である。図1図3に示すように、一方のベール支持部材32には、ベール33の一端部33aを支持するラインスライダ34が取り付けられている。また、一方のベール支持部材32とラインスライダ34との間には、ラインローラ35が回転可能に支持されている。なお、他方のベール支持部材32は、ベール33の他端部33b(図2参照)を直接支持している。
【0023】
ベール33は、図2に示すように、略半円形状に湾曲形成された線状部材である。ベール33の一端部33aは、図3に示すように、ラインスライダ34に向けて略90度(略直角)に折れ曲がった形状となっており、取付部33cと、直線部33dと、折曲部33eと、延在部33fとを備えている。
【0024】
取付部33cは、ラインスライダ34に取り付けられる部位であり、ループ状を呈している。取付部33cの内側には、固定用ねじ36(図2参照)が挿通される挿通孔33c1が形成されている。固定用ねじ36は、図2図6に示すように、ラインスライダ34を一方のベール支持部材32に取り付けるための固定部材である。固定用ねじ36は、図2に示すように、ベール33の一端部33aを装着したラインスライダ34側から挿入され、一方のベール支持部材32との間にラインローラ35を配置した状態で一方のベール支持部材32の円筒支軸32aに螺合される。ラインローラ35は、固定用ねじ36を締め付けた状態で円筒支軸32aに回転自在に支持されている。ベール33に拾われた釣糸は、ラインスライダ34を介してラインローラ35に導かれる。
取付部33cの形状は、ループ状を呈するものに限られることはなく、C字状や湾曲状等、固定用ねじ36により固定される形状であれば差し支えない。
【0025】
ベール33の直線部33dは、取付部33cに連続して形成される直線状の部位であり、図2に示すように、ラインスライダ34の後記する挿入孔34eに挿通されている。直線部33dは、ラインスライダ34に取付部33cが取り付けられた状態で、図5に示すように、挿入孔34eの後記する開口縁部34fに対して略90度(略直角)に延びている。
【0026】
折曲部33eは、直線部33dに連続して形成される弧状に折れ曲がった部位であり、図2図3に示すように、直線部33dに対して折曲角度が略90度(略直角)でベール33の他端部33bに近づく方向に折れ曲がっている。延在部33fは、折曲部33eに連続して形成される略直線状の部位である。延在部33fは、図6に示すように、直線部33dに対して略直角となる位置関係で配置されている。
【0027】
ラインスライダ34は、図4(a)に示すように、外形状が平面視で略カム形状を呈している。ラインスライダ34は、図2に示すように、ベール33の一端部33aを支持するとともに、ラインローラの端部を支持する。ラインスライダ34は、図4(a)(d)に示すように、周壁部34aと、平面視略円形状の底部34dとを備えた有底筒状である。周壁部34aの側面(外周面)は、図4(a)に示すように、正面側に向けて幾分湾曲しながら窄まる形状の傾斜面34a1,34a1を備えている。そして、これらの傾斜面34a1,34a1の先端部に、ベール33の一端部33aが挿通される挿入孔34eが形成されている(図4(b)参照)。挿入孔34eの詳細は後記する。
【0028】
周壁部34aの内側には、図4(a)(d)に示すように、周壁部34aの内面34cと底部34dとで囲われた収容部34bが形成されている。収容部34bは、ベール33の取付部33cと、固定用ねじ36の頭部の一部とを収容する収容凹部として機能する(図6参照)。底部34dの中心部には、平面視円形状のねじ挿通穴34d1が開口形成されている。ねじ挿通穴34d1は、固定用ねじ36を挿通可能な大きさに形成されている。また、底部34dは、挿入孔34eに連続する突出部34d2よりも一段低く形成されている。
【0029】
挿入孔34eは、図4(b)に示すように、正面視で幅方向の中央部に形成されている。挿入孔34eは、断面略円形状を呈している。挿入孔34eは、傾斜面34a1,34a1に連続して形成されている。挿入孔34eの開口部34e1の最小内径は、ベール33の直線部33d(図3参照)の外径よりも大きくなるように設定されている。つまり、開口部34e1にベール33の直線部33dが挿通された状態で、図5に示すように、開口部34e1の内縁と直線部33dの外面との間に隙間S1が形成されるようになっている。別言すれば、挿入孔34eは、ベール33の直線部33dの外径よりも大きい内径(最小内径)を有している。隙間S1の大きさとしては、釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間でベール33を回動させた際に、ベール33の直線部33dと挿入孔34eとが接触しない程度の大きさに設定されている。なお、開口部34e1の一部の最小内径を直線部33d(図3参照)が挿通できる程度の大きさに設定して、開口部34e1のその他の部分の内面とベール33の直線部33dの外面との間に隙間S1が形成されるようにしてもよい。
【0030】
挿入孔34eの開口縁部34fは、挿入孔34eの軸(ベール33の直線部33dの軸)に略直交する面を含んでいる。本実施形態では、開口縁部34fの略全体が平らな面に形成されている。なお、挿入孔34eの軸に略直交する面は、緩やかに湾曲していてもよい。また、開口縁部34fは、挿入孔34eの周りの全体に連続しているものを示したが、これに限られることはなく、挿入孔34eの周りの一部に設けてもよい。
【0031】
挿入孔34eの開口部34e1の奥側には、図4(b)に示すように、開口部34e1の断面形状よりも小さい断面形状の内面34e2が形成されている。内面34e2の断面形状は、正面視で略小判形状(長孔形状)を呈している。内面34e2の横幅の大きさは、ベール33の直線部33d(図3参照)の外径の大きさと同等に設定されている。また、内面34e2の縦幅の大きさは、ベール33の直線部33d(図3参照)の外径の大きさよりも大きく設定されている。また、内面34e2の上側及び下側の湾曲面は、ベール33の直線部33d(図3参照)の外面の弧状に対応した弧状となっている。これにより、ベール33の直線部33dは、内面34e2の上側及び下側の少なくとも一方の湾曲面との間に隙間部を有して配置される。この隙間部は、ラインスライダ34にベール33の一端部33aを組み付ける際に、一端部33aの移動の自由度を確保するための逃げ部として機能する。また、組付後は、ベール33の振動等による内面34e2への当接を回避するためのスペースとして機能する。
【0032】
ラインスライダ34の下面には、図4(d)に示すように、ラインローラ35(図2参照)の端部を収容する凹部34hが形成されている。また、凹部34hを囲う周壁には、収容部34bと反対側に突出する突出壁34gが形成されている。突出壁34gは、図6に示すように、一方のベール支持部材32に設けられた釣糸誘導部32gの先端部を受ける受け部として機能する。
【0033】
次に、ベール33の一端部33aをラインスライダ34に取り付ける際の手順について説明する。はじめに、ベール33の他端部33bをラインスライダ34の収容部34bに挿入し、収容部34b側から挿入孔34eに他端部33bを挿通する。そして、挿入孔34eにベール33を順に通してゆき、最後にベール33の一端部33aを挿入孔34eに通す。
【0034】
このとき、挿入孔34eの内面34e2の縦幅の大きさが、ベール33の直線部33dの外径の大きさよりも大きく設定され、かつ挿入孔34eの開口部34e1の最小内径が、ベール33の直線部33dの外径よりも大きくなっている。これにより、ベール33の一端部33aが挿入孔34eを通過する際の孔内における移動の自由度が高くなっており、ベール33の折曲部33eもスムーズに通過させることができる。
【0035】
その後、図2に示すように、ラインスライダ34と一方のベール支持部材32との間にラインローラ35を配置し、ラインスライダ34側から固定用ねじ36をベール33の取付部33c及びラインスライダ34に通して、ラインローラ35が支持された一方のベール支持部材32の円筒支軸32aに螺合して締め付ける。
これにより、ベール33の一端部33a、ラインスライダ34及びラインローラ35をひとまとめにして、一方のベール支持部材32に取り付けることができる。
【0036】
なお、ベール33の取付部33cが略C字状や湾曲状等である場合には、取付部33cの端部をラインスライダ34の正面側から挿入孔34eに直接挿入して取り付けるようにしてもよい。
【0037】
以上説明した本実施形態の魚釣用スピニングリールR1によれば、固定用ねじ36を締め付けることにより、ラインスライダ34に対してベール33の一端部33aを取り付けることができるので、ベール33の取り付けが容易である。また、ベール33の取り付けが容易であるとともに、ベール33の一端部33aの固定時に溶接、溶着、かしめ、接着等が不要となるので、低コストの組み立てを実現できる。
【0038】
また、ベール33の一端部33aの固定に際してラインスライダ34側から固定用ねじ36を螺合できるので、一方のベール支持部材32の外面側にねじ穴を設ける必要がなくなる。これにより、釣糸の糸絡み時に、一方のベール支持部材32の外面側を釣糸が移動した場合にもねじ穴との接触による釣糸の損傷が生じない。
【0039】
また、ラインスライダ34の収容部34bに取付部33cを収容しつつ、収容部34bの開口を通じて固定用ねじ36を挿入できる。したがって、ベール33の取付部33cが好適に収容されるとともに、ベール33の一端部33aの固定が容易である。また、固定用ねじ36の頭部の少なくとも一部を収容部34bに収容できるので、ラインスライダ34側においても釣糸が固定用ねじ36の頭部に絡みにくくなる。
【0040】
また、ベール33の直線部33dと挿入孔34eとの間に隙間S1が形成されているので、釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間でベール33を回動させた際に、振動等によりベール33の直線部33dと挿入孔34eとが接触するのを好適に防止できる。したがって、ベール33の直線部33dと挿入孔34eとの接触による変形や損傷を未然に防止できる。このことは、釣糸の損傷の防止に寄与する。
また、ベール33の直線部33dの外径よりも挿入孔34eの内径が大きいので、挿入孔34eにベール33の一端部33aを挿入する際の自由度が高まり、組立性の向上を図ることができる。
【0041】
また、固定用ねじ36によって、ラインスライダ34を一方のベール支持部材32に固定する際に、ベール33の一端部33aを一緒に固定することができるので、組立性に優れる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は実施形態で示した例に限定されない。
例えば、実施形態では、挿入孔34eとして断面略円形状のものを示したが、これに限られることはなく、断面略小判形状等、種々の形状のものを採用することができる。
【0043】
また、ラインスライダ34は、外形状が平面視で略カム形状を呈するものを示したが、これに限られることはなく、側面に対して挿入孔34eが形成されているものであれば、種々の形状のものを採用することができる。
【0044】
また、挿入孔34eの開口縁部34fは、全体が挿入孔の軸に略直交する面としたが、これに限られることはなく、ベール33によって拾われた釣糸がベール33に沿ってラインスライダ34へ誘導される際に釣糸が当接する可能性のある部分について設けてもよい。
【0045】
また、ラインスライダ34をベール支持部材32に固定する部材として固定用ねじ36を用いたが、これに限られることはなく、圧入や接着等により固定するピン部材により固定するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 リール本体
2 ハンドル
3 ロータ
4 スプール
31 支持アーム
32 ベール支持部材
33 ベール
33a 一端部
33c 取付部
34 ラインスライダ
34b 収容部
34e 挿入孔
34f 開口縁部
35 ラインローラ
36 固定用ねじ
R1 魚釣用スピニングリール
図1
図2
図3
図4
図5
図6