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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135806
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】測距装置及び測距システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4861 20200101AFI20240927BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20240927BHJP
【FI】
G01S7/4861
G01S17/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046677
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 克行
(72)【発明者】
【氏名】久保田 寛
(72)【発明者】
【氏名】上橋 雅志
(72)【発明者】
【氏名】羽田 隆二
(72)【発明者】
【氏名】中野 尚久
(72)【発明者】
【氏名】小林 広幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄介
(72)【発明者】
【氏名】大嶽 達哉
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美彦
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA10
5J084AB01
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA39
5J084BA47
5J084BA49
5J084BB26
5J084CA44
(57)【要約】
【課題】測距距離性能を向上できる測距装置及び測距システムを提供する。
【解決手段】実施形態の測距装置は、光源23と、光センサ26と、計測回路27と、制御回路21とを含む。光源23は、第1レーザー光を出射する。光センサ26は、外部の被写体により反射された第1レーザー光に対応する第2レーザー光を検出する。計測回路27は、光源23が第1レーザー光を出射したタイミングと、光センサ26が第2レーザー光を検出したタイミングとに基づいて、被写体との距離を計測する。制御回路21は、測距装置の画角内の所定の領域において、計測回路27により単位時間あたりに計測される距離の数を示す測距点数を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距装置であって、
第1レーザー光を出射する光源と、
外部の被写体により反射された前記第1レーザー光に対応する第2レーザー光を検出する光センサと、
前記光源が前記第1レーザー光を出射したタイミングと、前記光センサが前記第2レーザー光を検出したタイミングとに基づいて、前記被写体との距離を計測する計測回路と、
前記測距装置の画角内の所定の領域において、前記計測回路により単位時間あたりに計測される前記距離の数を示す測距点数を制御する制御回路と
を備える、
測距装置。
【請求項2】
制御回路は、前記測距装置と前記被写体との相対速度に基づいて、前記測距点数を制御する、
請求項1記載の測距装置。
【請求項3】
制御回路は、前記相対速度が第1閾値以下である場合、前記測距点数を第1値に設定し、
前記相対速度が前記第1閾値よりも大きく、第2閾値以下である場合、前記測距点数を前記第1値よりも小さい第2値に設定し、
前記相対速度が前記第2閾値よりも大きい場合、前記測距点数を前記第2値よりも小さい第3値に設定する、
請求項2記載の測距装置。
【請求項4】
制御回路は、前記画角内の第1領域において、前記測距点数を第4値に設定し、前記画角内の第2領域において、前記相対速度に基づいて、前記測距点数を前記第1値、前記第2値、または前記第3値に設定する、
請求項3記載の測距装置。
【請求項5】
制御回路は、前記測距装置と前記被写体との相対距離に基づいて、前記測距点数を制御する、
請求項1記載の測距装置。
【請求項6】
制御回路は、前記相対距離が第3閾値よりも大きい場合、前記測距点数を第5値に設定し、
前記相対距離が前記第3閾値以下であり、第4閾値よりも大きい場合、前記測距点数を前記第5値よりも小さい第6値に設定し、
前記相対距離が前記第4閾値以下である場合、前記測距点数を前記第6値よりも小さい第7値に設定する、
請求項5記載の測距装置。
【請求項7】
制御回路は、前記画角内の第3領域において、前記測距点数を第8値に設定し、前記画角内の第4領域において、前記相対距離に基づいて、前記測距点数を前記第5値、前記第6値、または前記第7値に設定する、
請求項6記載の測距装置。
【請求項8】
制御回路は、天候に関する情報に基づいて、前記測距点数を制御する、
請求項1記載の測距装置。
【請求項9】
前記天候に関する情報は、視程であり、
制御回路は、前記視程が第5閾値以下である場合、前記測距点数を第9値に設定し、
前記視程が前記第5閾値よりも大きく、第6閾値以下である場合、前記測距点数を前記第9値よりも大きい第10値に設定し、
前記視程が前記第6閾値よりも大きい場合、前記測距点数を前記第10値よりも大きい第11値に設定する、
請求項8記載の測距装置。
【請求項10】
前記天候に関する情報は、雨量であり、
制御回路は、前記雨量が第7閾値以上である場合、前記測距点数を第12値に設定し、
前記雨量が前記第7閾値よりも小さく、第8閾値以上である場合、前記測距点数を前記第12値よりも大きい第13値に設定し、
前記雨量が前記第8閾値よりも小さい場合、前記測距点数を前記第13値よりも大きい第14値に設定する、
請求項8記載の測距装置。
【請求項11】
前記光源は、前記被写体が存在しない第5領域に第3レーザー光を出射し、
前記光センサは、前記第5領域から戻ってきた前記第3レーザー光に対応する第4レーザー光を検出する、
請求項8記載の測距装置。
【請求項12】
前記光センサにより検出された前記第4レーザー光の強度に基づいて、前記天候を判定する判定回路
を更に備え、
制御回路は、前記判定回路により判定された結果に基づいて、前記測距点数を制御する、
請求項11記載の測距装置。
【請求項13】
前記被写体の位置、前記被写体における前記第1レーザー光の反射率、及び前記第1レーザー光に対する前記第2レーザー光の低下量に基づいて、前記測距装置と前記被写体との間の空気の透過率を算出する判定回路
を更に備える、
請求項8記載の測距装置。
【請求項14】
前記判定回路は更に、前記透過率に基づいて、前記天候を判定し、
制御回路は、前記判定回路により判定された結果に基づいて、前記測距点数を制御する、
請求項13記載の測距装置。
【請求項15】
輸送機器に搭載される測距システムであって、
請求項1に記載の測距装置と、
GNSS(Global Navigation Satellite System)装置と、
前記GNSS装置により得られる現在位置を、前記測距装置から送信される前記測距点数に対応する距離情報を用いて補正する第1装置と
を備える、
測距システム。
【請求項16】
カメラと、
前記被写体の位置を記憶するデータベースと
を更に備え、
前記第1装置は、前記補正された現在位置、前記カメラから得られる画像、及び前記データベースから得られる前記被写体の位置に基づいて、前記測距装置と前記被写体との相対距離を算出する、
請求項15記載の測距システム。
【請求項17】
前記第1装置は、前記カメラから得られる画像に基づいて、前記輸送機器の前方の経路を検出し、前記検出した経路、及び前記相対距離に基づいて、支障物を検知する、
請求項16記載の測距システム。
【請求項18】
前記第1装置により検知された結果に基づいて、前記輸送機器の走行を制御する第2装置
を更に備える、
請求項17記載の測距システム。
【請求項19】
前記第1装置は、前記相対距離、前記カメラから得られる画像、及び前記データベースから得られる前記被写体の位置に基づいて、前記被写体を検知する、
請求項16記載の測距システム。
【請求項20】
前記輸送機器は、鉄道車両である、
請求項15記載の測距システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、測距装置及び測距システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LiDAR(Light Detection and Ranging)と呼ばれる測距装置が知られている。LiDARは、LiDARのレーザー光源によってレーザー光を測距ターゲットに向けて出射する。出射されたレーザー光は、測距ターゲットにより反射され、LiDARの光センサによって検出される。これにより、LiDARは、レーザー光を出射した時刻と、測距ターゲットにより反射されたレーザー光を検出した時刻との差に基づいて、レーザー光の飛行時間(ToF:Time of Flight)を算出する。そして、レーザー光の飛行時間とレーザー光の速度とに基づいて、LiDARと測距ターゲットとの間の距離を計測(測距)することができる。このような測距方法は、“ToF方式”とも呼ばれる。
【0003】
ToF方式を用いるLiDARは、長距離測距を行う測距装置として一般的であるが、ToF方式によって出射するレーザー光量には限りがある。すなわち、LiDARにレーザー光源を搭載すると、出射するレーザー光量は、そのLiDARに搭載されたレーザー光源が発光する量に限られる。LiDARにレーザー光源を複数搭載することにより性能を向上させることは可能であるが、直接LiDARのコストに影響するため、一般的に普及しているLiDARではレーザー光源を大幅に増やすことは難しい。
【0004】
このように、ToF方式によって出射するレーザー光量には限りがあるため、LiDARにおいて、所定の画角内で単位時間当たりに取得可能な距離の数(以下、「測距点数」と表記する)と測距距離性能は、トレードオフの関係にある。すなわち、より長い距離の測距性能を求めなければ測距点数を増やすことができ、測距点数を減らせば、より長い距離の測距性能が得られる。単位時間当たりに計測される測距点数は、例えば、解像度×測距周波数で表すことができる。
【0005】
また、LiDARが測距を実現するためには、レーザー光源から出射され、測距ターゲットにより反射されて返ってきたレーザー光を光センサにより検出できることが必要である。測距ターゲットにより反射されて返ってくるレーザー光は減衰するが、LiDARと測距ターゲットとの間の距離が長いほどレーザー光の減衰は大きくなる。このため、減衰したレーザー光が、太陽光などの外部光源の光に起因するノイズよりも大きいことが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6272347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
測距距離性能を向上できる測距装置及び測距システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の測距装置は、光源と、光センサと、計測回路と、制御回路とを含む。光源は、第1レーザー光を出射する。光センサは、外部の被写体により反射された第1レーザー光に対応する第2レーザー光を検出する。計測回路は、光源が第1レーザー光を出射したタイミングと、光センサが第2レーザー光を検出したタイミングとに基づいて、被写体との距離を計測する。制御回路は、測距装置の画角内の所定の領域において、計測回路により単位時間あたりに計測される距離の数を示す測距点数を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る測距システムの構成の一例を示す概略図。
図2】第1実施形態に係る測距システムに含まれる情報処理装置の構成の一例を示すブロック図。
図3】第1実施形態に係る測距装置の構成の一例を示すブロック図。
図4】第1実施形態に係る測距装置に含まれる光学系の構成の一例を示す概略図。
図5】第1実施形態に係る測距装置によってスキャンされ得るスキャン領域の構成の一例を示す概略図。
図6】第1実施形態に係る測距装置に含まれる光センサの構成の一例を示す概略図。
図7】第1実施形態に係る測距装置によるスキャンによって得られる2次元の画素領域の一例を示す概略図。
図8】第1実施形態に係る測距装置に含まれる光センサにより受光されるパルス信号の波形の一例を示す図。
図9】第1実施形態に係る測距装置に含まれる光センサにより受光されるパルス信号の波形の他の一例を示す図。
図10】第1実施形態に係る測距装置に含まれる計測装置により得られる測距点数の一例を説明する図。
図11】第1実施形態に係る測距装置に含まれる計測装置により得られる測距点数の他の一例を説明する図。
図12】第1実施形態に係る測距システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図13】第1実施形態に係る測距装置の測距動作の一例を示すフローチャート。
図14】第1実施形態の第1変形例に係る測距装置の画角における積算数の設定の一例を示す図。
図15】第1実施形態の第1変形例に係る測距システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図16】第1実施形態の第1変形例に係る測距装置の測距動作の一例を示すフローチャート。
図17】第1実施形態の第2変形例に係る測距装置の画角における積算数の設定の一例を示す図。
図18】第1実施形態の第3変形例に係る測距装置の画角における積算数の設定の一例を示す図。
図19】第2実施形態に係る測距システムの構成の一例を示す概略図。
図20】第2実施形態に係る測距システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図21】第2実施形態に係る測距装置の測距動作の一例を示すフローチャート。
図22】第2実施形態の変形例に係る測距システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図23】第2実施形態の変形例に係る測距装置の測距動作の一例を示すフローチャート。
図24】第3実施形態に係る測距装置の構成の一例を示すブロック図。
図25】第3実施形態に係る測距装置に含まれる気象判定装置が行う気象判定処理の一例を説明する図。
図26】第3実施形態に係る測距システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図27】第3実施形態に係る測距装置の気象判定動作の一例を示すフローチャート。
図28】第3実施形態に係る測距装置の測距動作の一例を示すフローチャート。
図29】第3実施形態の第1変形例に係る測距装置に含まれる気象判定装置が行う気象判定処理の一例を説明する図。
図30】第3実施形態の第1変形例に係る測距システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図31】第3実施形態の第1変形例に係る測距装置の気象判定動作の一例を示すフローチャート。
図32】第3実施形態の第2変形例に係る測距システムの機能構成の一例を示すブロック図。
図33】第3実施形態の第2変形例に係る測距装置の気象判定動作の一例を示すフローチャート。
図34】第3実施形態の第3変形例に係る測距システムの構成の一例を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、各実施形態について図面を参照して説明する。各実施形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示している。図面は、模式的又は概念的なものである。各図面の寸法及び比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素には、同一の符号が付加されている。
【0011】
<1>第1実施形態
以下に、第1実施形態に係る測距システム1について説明する。
【0012】
<1-1>構成
<1-1-1>測距システム1の構成
図1は、第1実施形態に係る測距システム1の構成の一例を示す概略図である。図1は、測距システム1を備える輸送機器VEが所定の経路RT上を矢印で示す進行方向に向かって走行している状況を示している。図1に示すように、測距システム1は、情報処理装置10及び測距装置20を含む。図1の例では、輸送機器VEは鉄道車両RVであり、所定の経路RTは線路RLである。なお、測距システム1を備える輸送機器VEは、鉄道車両RVでなくてもよく、例えば、自動車やバス等であってもよい。輸送機器VEが自動車やバスである場合、所定の経路RTは、所定の道路(例えば、区画線等により自動車やバスが走行する領域が規定された道路)である。
【0013】
情報処理装置10は、例えば、輸送機器VEの現在位置、状態、及び周辺環境などの情報を収集する装置を有する。図1に示すように、情報処理装置10は、例えば、輸送機器VEの前方に設置(搭載)される。また、情報処理装置10は、測距装置20を制御可能に構成される。なお、情報処理装置10は、輸送機器VEの加減速や進行方向などを制御可能に構成されてもよい。すなわち、情報処理装置10は、輸送機器VEの自律走行を支援する機能を有していてもよい。
【0014】
測距装置20は、LiDARの一種である。測距装置20は、レーザー光を出射し、被写体(測距ターゲット)により反射されたレーザー光を検出する。そして、測距装置20は、レーザー光の出射時刻(タイミング)と反射されたレーザー光の検出時刻(タイミング)とに基づいて、測距装置20と被写体との間の距離を計測する。図1に示すように、測距装置20は、例えば、輸送機器VEの前方に設置され、輸送機器VEの進行方向における所定の画角の距離情報(以下、「測距情報」と表記する)を取得する。本明細書では、測距装置20の画角、すなわち測距装置20により測距される範囲のことを、“FOV(Field Of View)”とも表記する。また、測距装置20は、輸送機器VEの速度に基づいて、測距点数を変更し得る。
【0015】
<1-1-2>情報処理装置10の構成
図2は、第1実施形態に係る測距システム1に含まれる情報処理装置10の構成の一例を示すブロック図である。図2は、測距装置20も併せて示している。図2に示すように、情報処理装置10は、例えば、情報収集装置11、ストレージ装置12、輸送機器制御装置13、速度制御装置14、及び画像処理装置15を含む。
【0016】
情報収集装置11は、輸送機器VEの現在位置、状態、及び周辺環境などの情報を収集する装置である。情報収集装置11は、例えば、速度センサ31、GNSS(Global Navigation Satellite System)装置32、及びカメラ33を含む。速度センサ31、GNSS装置32、及びカメラ33は、輸送機器VEの現在位置、状態、及び周辺環境などの情報を収集するための装置群である。
【0017】
速度センサ31は、輸送機器VEの現在の速度を検知するセンサである。速度センサ31は、検知した速度を輸送機器制御装置13に送信する。
【0018】
GNSS装置32は、複数の人工衛星から発せられた電波を受信し、受信した電波に基づいて輸送機器VEの現在位置を特定する測位装置である。GNSS装置32は、例えば、衛星信号をデジタルデータに変換する受信装置と、衛星信号を受信するための受信アンテナと、加速度センサやジャイロセンサなどの自立計測装置と、衛星信号から現在位置を算出する演算処理装置と、記憶装置とを有する。演算処理装置は、例えば、衛星信号と、速度センサ31から得られる速度と、加速度センサから得られる加速度とに基づいて、輸送機器VEの現在位置を算出する。GNSS装置32は、衛星信号に基づいて算出した輸送機器VEの現在位置を、画像処理装置15に送信する。
【0019】
カメラ33は、輸送機器VEの周辺の画像を撮影可能な光学装置である。カメラ33は、例えば、輸送機器VEの前方に設置される。カメラ33は、撮影した画像を画像処理装置15に送信する。
【0020】
ストレージ装置12は、データやプログラム等の記憶に使用される記憶媒体である。ストレージ装置12には、例えば、輸送機器VEが走行可能な経路RTの情報(以下、「経路情報」と表記する)を含む経路情報データベース(DB)34が記憶される。なお、ストレージ装置12に記憶される情報は、ネットワーク上のサーバーを介してダウンロードされてもよい。
【0021】
経路情報データベース34は、経路情報、輸送機器VEの運行に関する情報(以下、「運行情報」と表記する)、及びFOVに関する情報(以下、「FOV情報」と表記する)等を保持する。経路情報としては、例えば、輸送機器VEが走行する経路RT上の始点からの距離等が挙げられる。運行情報としては、例えば、輸送機器VEの制限速度や、停止すべき場所ST(以下、「停止場所ST」と表記する)や、停止場所STでの停止位置等が挙げられる。輸送機器VEが鉄道車両RVである場合、停止場所STは、例えば駅である。輸送機器VEが自動車やバスである場合、停止場所STは、例えば停車場である。運行情報は、例えば、経路RT上の始点からの距離、又は輸送機器VEの現在位置に応じて設定される。FOV情報としては、FOVを規定するパラメータ等が挙げられる。FOV情報は、例えば、経路情報及び運行情報に基づいて設定される。
【0022】
輸送機器制御装置13は、例えば、画像処理装置15と通信可能に構成されるコンピュータである。輸送機器制御装置13は、例えば、速度センサ31から得られる速度や、画像処理装置15による指示や、画像処理装置15から得られる情報や、経路情報データベース34から得られる運行情報等に基づいて、輸送機器VEの加減速に関する制御信号を生成する。画像処理装置15から得られる情報は、例えば、輸送機器VEの現在位置を含む。そして、輸送機器制御装置13は、生成した制御信号を速度制御装置14に送信する。これにより、輸送機器制御装置13は、輸送機器VEを停止させたり、前の停止場所STと次の停止場所STの間で速度を調整したりして輸送機器VEの走行を制御する。
【0023】
速度制御装置14は、輸送機器VEの速度を制御する装置である。速度制御装置14は、例えば、輸送機器VEの速度を調整するための加速手段と、減速手段とを含む。速度制御装置14は、輸送機器制御装置13から受け取った制御信号に基づいて、輸送機器VEの停止や加減速を制御する。例えば、速度制御装置14は、輸送機器VEの車輪に繋がっているモーター又はエンジンや、ブレーキを制御する。
【0024】
画像処理装置15は、例えば、輸送機器制御装置13と通信可能に構成されるコンピュータである。画像処理装置15は、例えば、測距装置20から得られる測距情報に基づいて画像を生成する。また、画像処理装置15は、例えば、GNSS装置32から得られる輸送機器VEの現在位置を、測距装置20から得られる測距情報(測距点数に対応する距離情報)を用いて補正する。そして、画像処理装置15は、補正された輸送機器VEの現在位置と、経路情報データベース34から得られる情報(例えば、被写体の位置)と、カメラ33から得られる画像に基づいて、輸送機器VEの始点からの距離を求める。画像処理装置15は、輸送機器VEの始点を、例えば、経路情報データベース34から得られる情報に基づいて特定し得る。輸送機器VEの始点からの距離は、例えば、輸送機器VEの始点から輸送機器VEの前方に存在する被写体(例えば、支障物や目標物)までの距離である。本明細書において、“支障物”は、例えば、輸送機器VEの運行に差し支える物体のことを示している。“目標物”は、例えば、輸送機器VEの運行に用いられる標識等を示している。“目標物”の例としては、例えば、停止位置目標STG等が挙げられる。
【0025】
画像処理装置15は、カメラ33から得られる画像に基づいて、輸送機器VEの前方の経路RTを検出し、経路RT上の輸送機器VEが走行する領域を判定して、その領域に存在する支障物を検知する。支障物を検知した結果、輸送機器VEの始点からの距離に応じて、輸送機器VEを停止させる必要がある場合、画像処理装置15は、輸送機器制御装置13に輸送機器VEの停止を指示する。これにより、輸送機器制御装置13は、画像処理装置15が支障物を検知した結果に基づいて、輸送機器VEの走行を制御する。
【0026】
さらに、画像処理装置15は、例えば、経路情報データベース34から得られるFOV情報に基づいて、測距装置20のFOVを指示する。また、画像処理装置15は、例えば、輸送機器制御装置13から得られる速度を測距装置20に送信する。
【0027】
情報処理装置10内の機器間の接続は、例えば、イーサネット(登録商標)といったネットワークケーブルにより接続されてもよい。情報収集装置11及びストレージ装置12は、情報処理装置10に外部接続されてもよい。
【0028】
情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含んでいてもよい。情報処理装置10がCPUを含む場合、例えば、情報処理装置10のCPUが輸送機器制御装置13及び画像処理装置15の各々の処理を実行してもよい。
【0029】
情報処理装置10は、ユーザインターフェースを含んでいてもよい。ユーザインターフェースは、ユーザにより使用される入力インターフェースである。情報処理装置10がユーザインターフェースを含む場合、ユーザは、ユーザインターフェースを用いて、情報処理装置10を操作し得る。
【0030】
情報処理装置10は、ネットワーク上の端末の制御に基づいて動作してもよいし、ネットワーク上のサーバーに記憶された情報に基づいて動作してもよい。情報処理装置10は、ネットワークを介して接続された複数の装置により構築されたシステムであってもよい。情報処理装置10により使用されるネットワークは、有線であってもよいし、無線であってもよいし、有線と無線との両方が使用されてもよい。
【0031】
また、情報処理装置10は、図示せぬ通信インターフェースを介して測距装置20と通信可能に構成される。すなわち、情報処理装置10は、通信インターフェースを介して測距装置20を制御し得る。
【0032】
測距装置20は、画像処理装置15によるFOVの指示に基づいて、FOVを設定する。画像処理装置15から測距装置20へのFOVの指示は、例えば、FOV情報を含む。また、測距装置20は、画像処理装置15から受け取った速度に基づいて、測距点数を変更し得る。測距装置20は、画像処理装置15によるFOVの指示、及び測距点数に基づいて、所定の画角の測距情報を2次元的に取得し、取得した測距情報を画像処理装置15に送信する。
【0033】
<1-1-3>測距装置20の構成
図3は、第1実施形態に係る測距装置20の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、測距装置20は、例えば、測距制御装置21、レーザードライバ22、レーザーダイオード23、ミラー制御装置24、光学系25、光センサ26、及び計測装置27を含む。光学系25は、例えば、回転ミラー251を含む。
【0034】
測距制御装置21は、測距装置20の全体の動作を制御する。測距制御装置21は、例えば、CPU、ROM、RAM、及び発振器を含む(図示せず)。測距制御装置21のROMは、測距装置20の制御プログラム等を記憶する。測距制御装置21のCPUは、制御プログラムに従って、レーザードライバ22、ミラー制御装置24、光センサ26、及び計測装置27を制御する。測距制御装置21のRAMは、CPUの作業領域として使用される。測距制御装置21の発振器は、間欠的なパルス信号の生成に使用される。測距制御装置21は、様々なデータ処理や、演算処理を実行可能に構成されてもよい。
【0035】
レーザードライバ22は、レーザーダイオード23を駆動する。すなわち、レーザードライバ22は、レーザーダイオード23の電流供給源として機能する。レーザーダイオード23は、レーザードライバ22により供給された駆動電流に基づいて、レーザー光を出射する。レーザーダイオード23により出射されたレーザー光は、光学系25に入射する。測距制御装置21は、レーザーダイオード23が間欠的にレーザー光を出射するようにレーザードライバ22を制御する。以下では、パルス信号に基づいて生成されるレーザー光のことを、“パルスレーザー”とも表記する。測距装置20において、パルスレーザーは、所定のパルス幅及び周期で出射される。
【0036】
ミラー制御装置24は、光学系25に含まれる回転ミラー251を駆動する。すなわち、ミラー制御装置24は、回転ミラー251を回転させるためのモーターの電源回路として機能する。回転ミラー251は、ミラー制御装置24により供給された駆動電流に基づいて駆動(回転)し、入射したレーザー光を反射する。回転ミラー251は、例えば、1つの軸を中心として回転可能に構成される。回転ミラー251は、両面ミラーであってもよいし、3以上の反射面(鏡面)を有するポリゴンミラーであってもよい。光学系25は、レーザーダイオード23や光センサ26の配置に応じた光学素子をさらに有する。光学系25の詳細な構成については後述する。なお、回転ミラー251の回転数は、測距制御装置21の指示に基づいて変更され得る。回転ミラー251は、2軸のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーであってもよい。回転ミラー251としては、回転ミラーと、一部の領域のスキャンに割り当てられた1軸のMEMSミラーとの組み合わせが使用されてもよい。回転ミラー251は、“可動ミラー”と呼ばれてもよい。
【0037】
光センサ26は、測距装置20に入射した光を検知する受光素子である。光センサ26は、複数の画素を含む。光センサ26は、レーザーダイオード23から出射され且つ測距装置20の外部の物体により反射されたレーザー光が、光学系25を介して入射するように配置される。そして、光センサ26は、測距装置20に入射したレーザー光を電気信号に変換する。電気信号への変換は、例えば、ADC(Analog-to-Digital Converter)やTDC(Time-to-Digital Converter)といった回路を用いて行われる。それから、光センサ26は、変換した電気信号の出力レベルを調整して、計測装置27に出力する。光センサ26の詳細な構成については後述する。
【0038】
計測装置27は、光センサ26から転送された受光結果(電気信号)に基づいて、光センサ26がレーザー光を検出した時刻を計測する。例えば、計測装置27は、受光結果と、いくつの画素の受光結果を積算してレーザー光の検出時刻を計測するかを示す数(以下、「積算数AN」と表記する)とに基づいて、レーザー光の検出時刻を計測する。積算数ANは、例えば、測距制御装置21によって設定される。1個の画素の受光結果を用いてレーザー光の検出時刻を計測する場合の積算数ANを1とすると、積算数ANが1である場合、計測装置27は、例えば、1個の画素の受光結果のピーク部分をレーザー光の検出時刻として判定する。また、i個(iは2以上の整数)の画素の受光結果を積算してレーザー光の検出時刻を計測する場合の積算数ANをiとすると、積算数ANがiである場合、計測装置27は、例えば、i個の画素の受光結果を積算し、積算された信号のピーク部分をレーザー光の検出時刻として判定する。そして、計測装置27は、レーザーダイオード23がレーザー光を出射した時刻と、被写体により反射されたレーザー光を検出した時刻との差に基づいて、ToFを算出する。それから、計測装置27は、ToFとレーザー光の速度とに基づいて、測距装置20と被写体との間の距離を計測(測距)する。計測装置27は、測距結果(測距情報)を情報処理装置10に出力する。
【0039】
なお、計測装置27は、レーザーダイオード23がレーザー光を出射した時刻を、例えば、測距制御装置21からの通知により取得する。レーザー光を出射した時刻は、レーザーダイオード23から出射されたレーザー光を光センサ26が検出することによって計測されてもよい。
【0040】
測距制御装置21は、情報処理装置10(画像処理装置15)によるFOVの指示に基づいて、FOVの設定、並びにレーザーダイオード23にパルスレーザーを出射させる周期及びタイミングや、回転ミラー251の回転速度を変更することができる。また、測距制御装置21は、情報処理装置10(画像処理装置15)から受け取った速度に基づいて、計測装置27で用いられる積算数ANの設定を変更することができる。これにより、測距制御装置21は、測距装置20のFOV及び測距点数を変更することができる。言い換えると、測距制御装置21は、情報処理装置10によるFOVの指示、及び情報処理装置10から受け取った速度に基づいて、レーザードライバ22、ミラー制御装置24、及び計測装置27のそれぞれの設定を連携して変更することができる。
【0041】
(光学系25の構成)
図4は、第1実施形態に係る測距装置20に含まれる光学系25の構成の一例を示す概略図である。図4は、レーザーダイオード23、光センサ26、及び物体OBも併せて示している。図4に示すように、光学系25は、例えば、光学素子252、253及び254をさらに有する。光学素子252及び254のそれぞれは、例えば、レンズやミラーである。光学素子252及び254のそれぞれは、複数のレンズ及び複数のミラーの組み合わせにより構成されてもよい。光学素子253は、例えば、ハーフミラーや穴あきミラーである。以下では、レーザーダイオード23により出射されるパルスレーザーのことを、“出射光LE”とも表記する。物体OBにより反射されたパルスレーザー(出射光LE)のことを、“反射光LR”とも表記する。
【0042】
光学素子252は、レーザーダイオード23から出射された出射光LEを、光学素子253に導く。光学素子252により導かれた出射光LEは、光学素子253を透過又は通過して、回転ミラー251に照射される。回転ミラー251は、照射された出射光LEを、照射面に対する出射光LEの入射角度に応じた方向に反射する。反射された出射光LEは、測距装置20の外部で出射光LEの進行方向に位置する物体OBにより反射される。
【0043】
物体OBからの反射光LRは、回転ミラー251により反射されて、光学素子253に照射される。光学素子253は、回転ミラー251により反射された反射光LRを、光学素子254に向けて反射する。光学素子254は、光学素子253により反射された反射光LRを、光センサ26に導く。光センサ26は、光学素子254により導かれた反射光LRを電気信号に変換して、計測装置27に出力する。
【0044】
本明細書では、回転ミラー251が6つの反射面S1~S6を有するポリゴンミラーである場合が例示されている。反射面S1~S6のそれぞれのチルト角は、異なっている。測距制御装置21は、一定の画角及び測距レートに基づいた一定の回転速度で回転するように回転ミラー251を制御する。測距装置20は、間欠的に出射される出射光LEと回転ミラー251とによって、測距したい場所を2次元的にスキャンすることができる。
【0045】
以下では、測距装置20によりスキャンされ得る領域のことを、“スキャン領域SA”と表記する。1回のスキャンに対応する複数点の測距結果の組のことを“フレーム”と表記する。1フレームの画像は、例えば、回転ミラー251の1回転に対応して生成される。測距装置20は、スキャンを連続的に実行することによって、測距装置20の前方の物体OBとの距離情報を逐次取得することができる。なお、光学系25は、レーザー光を用いたスキャンが可能な構成を有していればよく、その他の構成であってもよい。
【0046】
(スキャン領域SAの構成)
図5は、第1実施形態に係る測距装置20によってスキャンされ得るスキャン領域SAの構成の一例を示す概略図である。図5は、スキャン領域SAにおける1フレーム分の出射光LEの出射方向の一例を示している。図5に示すように、出射光LEは、PQR空間に照射される。R軸は、測距装置20から被写体に向かう軸であり、例えば、出射光LEの出射方向の中心に沿っている。PQ面は、R軸に直交し、出射光LEの出射口から同心円状に広がる曲面である。P軸及びQ軸は、PQ面内において互いに直交する軸である。各出射光LEに基づいて計測される距離データは、例えば、PQ面への写像として生成される。測距システム1は、PQR空間に存在する物体までの距離データをスキャン領域SA内のFOVに対応づけてマッピングし、FOVに存在する物体までの距離を認識することができる。
【0047】
図5には、画像処理装置15による指示に基づいて設定されたFOVが示されている。測距制御装置21は、設定されたFOVに基づくタイミングで出射光LEが間欠的に出射されるようにレーザードライバ22やミラー制御装置24等を制御する。これにより、測距装置20は、P方向(横方向)のスキャンを実現する。図4に示すような6つの反射面S1~S6を有する回転ミラー251が使用される場合、スキャン領域SAは、第1行SS1~第6行SS6を含む。第1行SS1~第6行SS6のスキャン位置は、それぞれ反射面S1~S6のチルト角に基づいている。すなわち、測距装置20は、回転ミラー251の回転により異なる反射面に出射光LEが照射されることによって、Q方向(縦方向)でシフトした複数行のスキャンを実現する。
【0048】
例えば、スキャン領域SAにおいて第j行SSj(jは1以上6以下の整数)の位置(方向)に出射される出射光LEは、回転ミラー251の反射面Sjにより反射された後、物体OBに照射され、物体OBにより反射される。物体OBにより反射された反射光LR(以下、「出射光LEに対応する反射光LR」とも表記する)は、反射面Sjにより反射された後、光センサ26により受光される。これにより、測距装置20は、設定されたFOVにおける測距情報を取得できる。
【0049】
なお、測距装置20は、1つの出射光LEに基づいて、1次元に配列された複数の画素(距離データ)を生成し得る。1次元に配列された複数の画素は、例えば、Q軸に沿って並ぶ。測距装置20は、1つの出射光LEに関連付けられた計測に関する計測周期の処理を、第1行SS1~第6行SS6のそれぞれでP軸に沿って1次元的にシフトさせながら繰り返し実行する。これにより、測距装置20は、設定されたFOVにおける距離データを生成することができる。このようなスキャン方法は、“マルチチャネルラスタスキャン”とも呼ばれる。マルチチャネルラスタスキャンを実現する手段としては、縦方向に細長い形状の照射面を有する出射光LEが使用される。なお、測距装置20の1回のスキャンにおける行数やスキャン方向は、その他の設定であってもよい。
【0050】
(光センサ26の構成)
図6は、図5に示すスキャン領域SAについて、第1実施形態に係る測距装置20に含まれる光センサ26の構成を示す図である。図6に示すように、光センサ26は、縦方向に1次元に複数、例えばP個(Pは2以上の整数)の画素Pxlが配列されるセンサSRによって構成され、同時にP個の画素PxlによってP個並列に画素Pxlに入射する反射光LRの量を電流もしくは電圧に変換して出力できる機能を持つ。一つの画素Pxlは、光を電気信号に変換する素子として、例えば、少なくとも1つの光電子増倍素子を含む。光電子増倍素子としては、例えば、アバランシェフォトダイオードの一種である単一光子アバランシェダイオード(SPAD:Single-Photon Avalanche Diode)が使用される。
【0051】
回転ミラー251の回転により異なる反射面に照射された出射光LEに対応する反射光LRは、センサSRにより受光される。図6では、センサSRにより受光される反射光LRが破線で示されている。
【0052】
なお、図6では、光センサ26が1次元センサである場合を示したが、光センサ26は2次元センサであってもよい。例えば、光センサ26は、図6で示したセンサSRが縦方向、横方向に複数個並んだ構成を有する2次元センサであってもよい。この場合、光センサ26は、レーザーダイオード23から出射された出射光LEが被写体に照射され、被写体で反射された出射光LEに対応する反射光LRを、回転ミラー251を介さずに受光する。
【0053】
(積算数と測距点数との関係)
図7は、第1実施形態に係る測距装置20によるスキャンによって得られる2次元の画素領域の一例を示す概略図である。以下では、測距装置20によるスキャンによって得られる2次元の画素領域のことを、“スキャン結果領域SRA”と表記する。
【0054】
図4に示すような6つの反射面S1~S6を有する回転ミラー251が使用される場合、スキャン結果領域SRAは、6つのスキャン結果群SRG1~SRG6を含む。スキャン結果群SRG1~SRG6は、図5で示したスキャン領域SAの第1行SS1~第6行SS6にそれぞれ対応している。スキャン結果群SRG1は、複数の画素PXを含む。以下では、スキャン結果群SRG1内の各画素PXをそれぞれPX(0,0)~PX(m,n)と表記する(m及びnは1以上の整数)。すなわち、スキャン結果群SRG1は、(m+1)×(n+1)個の画素PXを含む。なお、図示が省略されているが、スキャン結果群SRG2~SRG6も、同様に(m+1)×(n+1)個の画素PXを含む。また、以下では、画素PXを、スキャン位置PXとも表記する。
【0055】
図7では、センサSRにより受光される反射光LRとスキャン結果群SRG1内のスキャン位置PXとの対応関係を分かりやすくするために、反射光LRが破線で示されている。
【0056】
ここで、光センサ26により受光される反射光LR(パルス信号)について説明する。
【0057】
図8は、測距装置20と被写体との距離が比較的短い場合に光センサ26により受光されるパルス信号の波形の一例を示す図である。図8では、図7のスキャン結果群SRG1内のスキャン位置PX(0,0)及びスキャン位置PX(0,1)でセンサSRによってそれぞれ受光されるパルス信号及びノイズの波形が示されている。縦軸は信号の強度を表している。横軸は時間を表している。
【0058】
測距装置20と被写体との距離が比較的短い場合、パルス信号の減衰は比較的小さい。このため、図8に示すように、パルス信号の強度のピーク値は、ノイズよりも十分に大きい値をとる。例えば、スキャン位置PX(0,0)により受光されるパルス信号の強度は、時刻T1aにピーク値をとる。スキャン位置PX(0,1)により受光されるパルス信号の強度は、時刻T1bにピーク値をとる。スキャン位置PX(0,0)及びスキャン位置PX(0,1)は、横方向に隣り合う位置であるため、時刻T1a及びT1bは、比較的近い時刻となる。よって、計測装置27は、時刻T1aをスキャン位置PX(0,0)における反射光LRの検出時刻と判定することができる。同様に、計測装置27は、時刻T1bをスキャン位置PX(0,1)における反射光LRの検出時刻と判定することができる。このように、測距装置20と被写体との距離が比較的短い場合、計測装置27は、1つのスキャン位置PXの受光結果を用いて反射光LRの検出時刻を計測することができる。すなわち、測距装置20と被写体との距離が比較的短い場合、測距制御装置21は、例えば、積算数ANを1に設定することができる。
【0059】
図9は、測距装置20と被写体との距離が比較的長い場合に光センサ26により受光されるパルス信号の波形の一例を示す図である。図9では、図7のスキャン結果群SRG1内のスキャン位置PX(0,0)及びスキャン位置PX(0,1)でセンサSRによってそれぞれ受光されるパルス信号(以下、それぞれ「パルス信号A」、「パルス信号B」と表記する)及びノイズの波形を示している。更に、図9では、パルス信号Aとパルス信号Bを積算した信号及び積算したノイズの波形が示されている。縦軸は信号の強度を表している。横軸は時間を表している。
【0060】
測距装置20と被写体との距離が比較的長い場合、パルス信号の減衰は比較的大きい。このため、図9に示すように、パルス信号の強度のピーク値は、ノイズよりも小さい値をとる場合がある。例えば、スキャン位置PX(0,0)により受光されるパルス信号Aのピーク値は、ノイズよりも小さい。スキャン位置PX(0,1)により受光されるパルス信号Bのピーク値は、ノイズよりも小さい。よって、計測装置27は、スキャン位置PX(0,0)における信号の強度のピーク値により反射光LRの検出時刻を判定することは難しい。同様に、計測装置27は、スキャン位置PX(0,1)における信号の強度のピーク値により反射光LRの検出時刻を判定することは難しい。
【0061】
一方、図9に示すように、パルス信号Aとパルス信号Bを積算した信号の強度のピーク値は、積算したノイズよりも十分に大きい値をとる。例えば、パルス信号Aとパルス信号Bを積算した信号の強度は、時刻T2にピーク値をとる。よって、計測装置27は、時刻T2をスキャン位置PX(0,0)及びスキャン位置PX(0,1)における反射光LRの検出時刻と判定することができる。このように、計測装置27は、2つのスキャン位置PXの受光結果を積算して反射光LRの検出時刻を計測することができる。すなわち、測距装置20と被写体との距離が比較的長い場合、測距制御装置21は、例えば、積算数ANを2に設定することができる。
【0062】
図10は、積算数ANを1に設定した場合に計測装置27により得られる測距点数を説明する図である。図10に示すように、積算数ANを1に設定した場合、スキャン結果領域SRA内のスキャン結果群SRG1における積算単位は1画素である。積算単位は、スキャン結果領域SRA内のスキャン結果群SRG2~SRG6についても同様である。この場合、計測装置27によりスキャン位置1つ毎に1つの距離データ(画素PXデータ)が生成される。これにより、計測装置27により得られる測距点数は、(m+1)×(n+1)×6となる。計測装置27は、生成した((m+1)×(n+1)×6)個の距離データを測距情報として情報処理装置10に送信する。
【0063】
図11は、積算数ANを2に設定した場合に計測装置27により得られる測距点数を説明する図である。図11に示すように、積算数ANを2に設定した場合、スキャン結果領域SRA内のスキャン結果群SRG1における積算単位は2画素である。すなわち、積算単位は、横方向に並ぶ2個のスキャン位置PXである。積算単位は、スキャン結果領域SRA内のスキャン結果群SRG2~SRG6についても同様である。この場合、計測装置27によりスキャン位置2つ毎に1つの距離データ(画素PXデータ)が生成される。これにより、計測装置27により得られる測距点数は、((m+1)×(n+1)×6)/2となる。計測装置27は、生成した(((m+1)×(n+1)×6)/2)個の距離データを測距情報として情報処理装置10に送信する。
【0064】
このように、積算数ANを2に設定した場合、測距点数は、積算数ANを1に設定した場合の半分の点数になる。しかしながら、2個のスキャン位置PXの受光結果を積算することにより、反射光LRの光量は、積算数ANを1に設定した場合の2倍になる。このため、積算数ANを2に設定した場合、積算数ANを1に設定した場合よりも測距性能が向上する。
【0065】
図11の例では、横方向に並ぶ2個のスキャン位置PXの受光結果を積算しているが、縦方向に並ぶ2個のスキャン位置PXの受光結果を積算してもよい。この場合、例えば、スキャン結果領域SRA内のスキャン結果群SRG1において、スキャン位置PX(0,0)により受光されたパルス信号とスキャン位置PX(1,0)により受光されたパルス信号を積算することができる。スキャン位置PX(0,1)により受光されたパルス信号とスキャン位置PX(1,1)により受光されたパルス信号を積算することができる。以下、同様である。また、スキャン結果領域SRA内のスキャン結果群SRG2~SRG6についても同様である。
【0066】
また、積算数ANを2に設定した場合、1フレームの測距を2回連続して行い、1回目の測距及び2回目の測距についてスキャン結果領域SRAにおける受光結果を取得し、対応するスキャン位置PXの受光結果同士を積算してもよい。
【0067】
このように、計測装置27によって空間的又は時間的に積算することにより、測距点数を減らして測距性能を向上させることができる。なお、積算数ANは3以上に設定されてもよい。
【0068】
<1-1-4>測距システム1の機能構成
図12は、第1実施形態に係る測距システム1の機能構成の一例を示すブロック図である。図12に示すように、測距システム1において、情報処理装置10は、FOV情報取得部101、位置情報取得部102、速度情報取得部103、画像処理部104、制御信号生成部105、速度制御部106、画像取得部107、経路検出部108、現在位置補正部109、距離情報取得部110、支障物検知部111、及び経路情報データベース34として機能する。測距装置20は、出射制御部201、投光部202、受光部203、及び計測部204として機能する。
【0069】
FOV情報取得部101は、画像処理装置15に対応する機能ブロックである。位置情報取得部102は、速度センサ31、GNSS装置32、及び画像処理装置15に対応する機能ブロックである。速度情報取得部103は、速度センサ31、輸送機器制御装置13、及び画像処理装置15に対応する機能ブロックである。画像処理部104は、画像処理装置15に対応する機能ブロックである。制御信号生成部105は、輸送機器制御装置13に対応する機能ブロックである。速度制御部106は、速度制御装置14に対応する機能ブロックである。画像取得部107は、カメラ33に対応する機能ブロックである。経路検出部108、現在位置補正部109、距離情報取得部110、及び支障物検知部111は、画像処理装置15に対応する機能ブロックである。
【0070】
出射制御部201は、例えば、測距制御装置21及びレーザードライバ22に対応する機能ブロックである。投光部202は、レーザーダイオード23及び光学系25に対応する機能ブロックである。受光部203は、光学系25及び光センサ26に対応する機能ブロックである。計測部204は、測距制御装置21及び計測装置27に対応する機能ブロックである。
【0071】
FOV情報取得部101は、経路情報データベース34に記憶されているFOV情報を取得する。FOV情報取得部101は、取得したFOV情報を画像処理部104と出射制御部201とのそれぞれに送信する。
【0072】
位置情報取得部102は、GNSS装置32の計測結果に基づいて、輸送機器VEの現在位置を取得する。位置情報取得部102は、現在位置の取得に、例えば、衛星測位信号処理、自立計測データ演算処理、時刻演算処理を含む位置計測演算処理アルゴリズムを利用する。位置情報取得部102は、取得した現在位置を、画像処理部104と現在位置補正部109とのそれぞれに送信する。
【0073】
速度情報取得部103は、輸送機器VEの現在の速度を取得する。速度情報取得部103は、取得した速度を、画像処理部104と計測部204と制御信号生成部105とのそれぞれに送信する。なお、速度情報取得部103が取得する速度は、輸送機器VEと外部の被写体との相対速度であってもよい。
【0074】
計測部204は、速度情報取得部103から受け取った速度に基づいて、積算数ANを設定する。これにより、測距点数は、積算数ANに基づく値に設定される。出射制御部201は、FOV情報取得部101から受け取ったFOV情報に基づいて、FOVを設定するとともに、投光部202にパルス信号を供給する。投光部202は、出射制御部201から受け取ったパルス信号に応じてパルスレーザー(出射光LE)を出射する。また、投光部202は、回転ミラー251の回転と、出射制御部201による出射光LEの出射タイミングとの制御に基づいて、FOVをスキャンする。受光部203は、FOV内の物体OBから反射された反射光LRを受光して、電気信号に変換する。そして、受光部203は、変換した電気信号(受光結果)を計測部204に送信する。計測部204は、受光部203から受け取った電気信号(受光結果)、及び積算数ANに基づいて、測距点数に対応する距離データを生成する。すなわち、計測部204は、積算数ANに基づいて、FOVに対応する距離データを生成する。計測部204は、生成した距離データを測距情報として画像処理部104に送信する。
【0075】
画像処理部104は、計測部204から受け取った測距情報、FOV情報取得部101から受け取ったFOV情報に基づいて、フレーム単位で画像を生成する。画像処理部104により生成された画像は、測距装置20とFOV内の物体OBとの間の距離情報を含む。画像処理部104は、生成した画像を制御信号生成部105と現在位置補正部109とにそれぞれ送信する。
【0076】
制御信号生成部105は、例えば、速度情報取得部103から得られる速度や、画像処理部104による指示や、画像処理部104から得られる情報や、経路情報データベース34から得られる運行情報等に基づいて、輸送機器VEの加減速に関する制御信号を生成する。そして、制御信号生成部105は、生成した制御信号を速度制御部106に送信する。
【0077】
速度制御部106は、制御信号生成部105から受け取った制御信号に基づいて、輸送機器VEの停止や加減速を制御する。
【0078】
画像取得部107は、輸送機器VEの周辺の画像を取得する。画像取得部107は、取得した画像を経路検出部108に送信する。
【0079】
経路検出部108は、画像取得部107から受け取った画像から経路RTを検出する。つまり、経路検出部108は、輸送機器VEの前方の経路RTを検出し、経路RT上で輸送機器VEが走行する領域を判定する。そして、経路検出部108は、取得した経路RTの情報を支障物検知部111に送信する。
【0080】
現在位置補正部109は、位置情報取得部102から得られる輸送機器VEの現在位置を、画像処理部104から得られる測距情報を用いて補正する。現在位置補正部109は、補正した輸送機器VEの現在位置を距離情報取得部110に送信する。
【0081】
距離情報取得部110は、現在位置補正部109から得られる補正された輸送機器VEの現在位置と、経路情報データベース34から得られる情報と、画像取得部107から得られる画像に基づいて、輸送機器VEの始点からの距離(輸送機器VEと被写体との相対距離)を求める。被写体は、例えば、支障物である。距離情報取得部110は、輸送機器VEの始点からの距離を支障物検知部111に送信する。
【0082】
支障物検知部111は、経路検出部108から得られる経路RTの情報、及び距離情報取得部110から得られる輸送機器VEの始点からの距離に基づいて、支障物を検知する。支障物を検知した結果、輸送機器VEを停止させる必要がある場合、支障物検知部111は、制御信号生成部105に輸送機器VEの停止を指示する。
【0083】
制御信号生成部105は、支障物検知部111による輸送機器VEの停止の指示に基づいて、輸送機器VEの停止に関する制御信号を生成する。そして、制御信号生成部105は、生成した制御信号を速度制御部106に送信する。
【0084】
<1-2>動作
図13は、第1実施形態に係る測距装置20の測距動作の一例を示すフローチャートである。以下に、図13を参照して、第1実施形態に係る測距装置20の測距動作について説明する。
【0085】
例えば、輸送機器VEが動作を開始すると、測距動作が開始され、測距制御装置21は、情報処理装置10からFOV情報及び速度を受信する(S101)。
【0086】
次に、測距制御装置21は、FOV情報に基づいて、FOVを設定する(S102)。
【0087】
次に、測距制御装置21は、受信した速度(相対速度)に基づいて、測距点数を制御する。具体的には、測距制御装置21は、速度が第1速度閾値SP1以下であるか否かを判定する(S103)。第1速度閾値SP1は、例えば、30km/hである。
【0088】
速度が第1速度閾値SP1以下である場合(S103:YES)、測距制御装置21は、積算数ANを1に設定する(S104)。
【0089】
速度が第1速度閾値SP1よりも大きい場合(S103:NO)、測距制御装置21は、速度が第1速度閾値SP1よりも大きく、第2速度閾値SP2以下であるか否かを判定する(S105)。第2速度閾値SP2は、例えば、60km/hである。
【0090】
速度が第1速度閾値SP1よりも大きく、第2速度閾値SP2以下である場合(S105:YES)、測距制御装置21は、積算数ANを2に設定する(S106)。
【0091】
速度が第2速度閾値よりも大きい場合(S105:NO)、測距制御装置21は、積算数ANを3に設定する(S107)。
【0092】
ステップS103~S107が実行されることにより、輸送機器VEの速度に基づいて、測距点数が変更される。
【0093】
積算数ANが1に設定された場合、測距点数がP1に設定され、積算数ANが2に設定された場合、測距点数がP2に設定され、積算数ANに3が設定された場合、測距点数がP3に設定されるとすると、P1とP2とP3との大小関係は、P1>P2>P3となる。
【0094】
次に、FOVに基づいてレーザーダイオード23から出射されたレーザー光が光センサ26により受光され、受光結果が転送されると、計測装置27は、積算数ANに基づいて、FOVに対応する測距情報を取得する(S108)。
【0095】
<1-3>第1実施形態の効果
以上で説明された第1実施形態に係る測距システム1によれば、測距距離性能を向上できる。以下に、第1実施形態の効果の詳細について説明する。
【0096】
一定の経路上を走行する輸送機器VEにLiDARを搭載して、カメラと連携させて前方の支障物を検知させたり、事前に経路周辺に配置した標識を識別して距離を測定させたり、雨、霧、雪といった天候を検知させたりする場合に求められるLiDARの測距距離性能はそれぞれの状況によって異なる。例えば、輸送機器VEが高速で走行している場合には、より長い距離にある支障物の検知の精度が求められるため、LiDARに求められる測距距離性能は、より長い距離の測距性能である。これを実現するために、LiDARにより得られる測距情報には、速度が速いほど、当該測距情報に基づいて生成される画像の解像度を犠牲にして測距点数を少なくすることが求められる。
【0097】
そこで、第1実施形態に係る測距システム1では、情報処理装置10が、センサ等により収集した情報に基づいて、測距装置20(LiDAR)の測距点数を制御する。具体的には、情報処理装置10は、速度センサ31により輸送機器VEの速度を取得する。そして、情報処理装置10は、取得した速度を測距装置20に送信する。測距装置20は、情報処理装置10から受け取った速度に基づいて、計測装置27で用いられる積算数ANの設定を変更する。例えば、測距装置20は、速度が速いほど、積算数ANにより大きい値を設定する。これにより、測距装置20は、速度が速いほど、測距点数を少なくすることができる。よって、第1実施形態に係る測距装置20は、輸送機器VEが高速で走行している場合に応じた測距距離性能を実現できる。すなわち、第1実施形態に係る測距装置20は、測距距離性能を向上できる。従って、第1実施形態に係る測距システム1を利用する輸送機器VEは、より長い距離にある支障物の検知の精度を向上させることができる。
【0098】
<1-4>第1変形例
第1実施形態の第1変形例に係る測距システム1Aは、画角の一部の測距点数を変更する。以下に、第1実施形態の第1変形例に係る測距システム1Aについて、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0099】
<1-4-1>積算数の設定
図14は、FOVの一部の測距点数を変更する場合のFOVにおける積算数の設定の一例を示す図である。図14では、FOVは、左側領域、中間領域、及び右側領域の3つの領域に分けられる。左側領域及び右側領域は、測距点数を変更しない領域、すなわち積算数を変更しない領域(以下、「積算数非変更領域UCA」と表記する)である。中間領域は、測距点数を変更可能な領域、すなわち積算数を変更可能な領域(以下、「積算数変更可能領域CA」と表記する)である。
【0100】
積算数非変更領域UCAの積算数は、例えば、1に設定される。以下では、積算数非変更領域UCAに設定される積算数を“初期積算数AN0”と表記する。初期積算数AN0は、例えば、FOV情報に含まれる。積算数変更可能領域CAは、変更開始位置CSP及び変更終了位置CEPにより規定される。図14では、変更開始位置CSPは、中間領域の左上に設定される。変更終了位置CEPは、中間領域の右下に設定される。変更開始位置CSP及び変更終了位置CEPは、例えば、FOV情報に含まれる。積算数変更可能領域CAの積算数は、例えば、情報処理装置10から得られる速度に基づいて設定される。なお、積算数変更可能領域CAは、FOV内に2か所以上設けられてもよい。
【0101】
<1-4-2>測距システム1Aの機能構成
図15は、第1実施形態の第1変形例に係る測距システム1Aの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0102】
FOV情報取得部101Aは、第1実施形態で説明したFOV情報取得部101の動作に加えて、FOV情報を計測部204Aに送信する。
【0103】
計測部204Aは、FOV情報取得部101Aから受け取ったFOV情報に基づいて、初期積算数AN0を設定する。また、計測部204Aは、FOV情報に基づいて、変更開始位置CSP及び変更終了位置CEPを設定する。計測部204Aは、速度情報取得部103から受け取った速度に基づいて、積算数ANを設定する。
【0104】
計測部204Aは、受光部203から受け取った電気信号(受光結果)、初期積算数AN0、変更開始位置CSP及び変更終了位置CEP、並びに積算数ANに基づいて、測距点数に対応する距離データを生成する。すなわち、初期積算数AN0に基づいて、FOVの非変更領域UCAに対応する距離データを取得する。積算数ANに基づいて、FOVの変更領域CAに対応する距離データを取得する。これにより、FOVに対応する測距情報を取得する。
【0105】
第1実施形態の第1変形例に係る測距システム1Aのその他の構成及び動作は、第1実施形態に係る測距システム1と同様である。
【0106】
<1-4-3>動作
図16は、第1実施形態の第1変形例に係る測距装置20の測距動作の一例を示すフローチャートである。図16では、第1実施形態で示した図13のステップS102の後にステップS111及びS112が追加され、図13のステップS108がステップS113に置き換えられている。以下に、図16を参照して、第1実施形態の第1変形例に係る測距装置20の測距動作について説明する。
【0107】
ステップS102において、FOVが設定されると、測距制御装置21は、FOV情報に基づいて、初期積算数AN0を設定する(S111)。
【0108】
次に、測距制御装置21は、FOV情報に基づいて、変更開始位置CSP及び変更終了位置CEPを設定する(S112)。
【0109】
次に、ステップS103~S107が実行された後、FOVに基づいてレーザーダイオード23から出射されたレーザー光が光センサ26により受光され、受光結果が転送されると、計測装置27は、初期積算数AN0及び積算数ANに基づいて、FOVに対応する測距情報を取得する(S113)。
【0110】
<1-4-4>第1変形例の効果
本変形例によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0111】
また、本変形例では、情報処理装置10Aは、画角内の測距点数を変更可能な領域を設定する。具体的には、情報処理装置10Aは、画角に対して積算数変更可能領域CA、変更開始位置CSP、及び変更終了位置CEPを設定する。そして、情報処理装置10Aは、画角に対して設定された積算数変更可能領域CA、変更開始位置CSP、及び変更終了位置CEP、並びにセンサ等により収集した情報に基づいて、測距装置20A(LiDAR)の測距点数を制御する。これにより、測距装置20Aは、特定の領域(例えば、画角内の経路RTの領域)について、測距点数を減らし、測距情報に基づいて生成される画像の解像度を上げることができる。従って、第1実施形態の第1変形例に係る測距システム1Aを利用する輸送機器VEは、経路RT上のような特定の領域における支障物の検知の精度を向上させることができる。
【0112】
<1-5>第2変形例
第1実施形態の第2変形例に係る測距システム1Bは、画角の一部の測距点数を変更する。測距システム1Bでは、FOVにおける積算数の設定が第1実施形態の第1変形例と異なる。以下に、第1実施形態の第2変形例に係る測距システム1Bについて、第1実施形態の第1変形例と異なる点を説明する。
【0113】
<1-5-1>積算数の設定
図17は、FOVの一部の測距点数を変更する場合のFOVにおける積算数の設定の一例を示す図である。図17では、FOVは、上側領域及び下側領域の2つの領域に分けられる。上側領域は、測距点数を変更可能な領域、すなわち積算数変更可能領域CAである。下側領域は、測距点数を変更しない領域、すなわち積算数非変更領域UCAである。積算数非変更領域UCAの積算数、及び積算数変更可能領域CAの積算数は、第1実施形態の第1変形例と同様に設定される。図17では、変更開始位置CSPは、上側領域の左上に設定される。変更終了位置CEPは、上側領域の右下に設定される。なお、積算数変更可能領域CAは、FOV内に2か所以上設けられてもよい。
【0114】
<1-5-2>第2変形例の効果
本変形例によれば、第1実施形態の第1変形例と同様の効果を奏する。
【0115】
<1-6>第3変形例
第1実施形態の第3変形例に係る測距システム1Cは、画角の一部の測距点数を変更する。測距システム1Cでは、FOVにおける積算数の設定が第1実施形態の第1変形例及び第2変形例と異なる。以下に、第1実施形態の第3変形例に係る測距システム1Cについて、第1実施形態の第1変形例及び第2変形例と異なる点を説明する。
【0116】
<1-6-1>積算数の設定
図18は、FOVの一部の測距点数を変更する場合のFOVにおける積算数の設定の一例を示す図である。図18では、FOVは、中央領域及び周辺領域の2つの領域に分けられる。中央領域は、測距点数を変更可能な領域、すなわち積算数変更可能領域CAである。周辺領域は、測距点数を変更しない領域、すなわち積算数非変更領域UCAである。積算数非変更領域UCAの積算数、及び積算数変更可能領域CAの積算数は、第1実施形態の第1変形例と同様に設定される。図18では、変更開始位置CSPは、中央領域の左上に設定される。変更終了位置CEPは、中央領域の右下に設定される。なお、積算数変更可能領域CAは、FOV内に2か所以上設けられてもよい。
【0117】
<1-6-2>第3変形例の効果
本変形例によれば、第1実施形態の第1変形例と同様の効果を奏する。
【0118】
<2>第2実施形態
第2実施形態に係る測距システム1Dは、停止位置目標STGと輸送機器VEの現在位置との相対距離に基づいて測距点数を変更する。以下に、第2実施形態に係る測距システム1Dについて、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0119】
<2-1>測距システム1Dの構成
図19は、第2実施形態に係る測距システム1Dの構成の一例を示す概略図である。図19は、測距システム1Dを備える輸送機器VEが所定の停止場所STに停止するために低速で走行している状況を示している。図19に示すように、第2実施形態に係る測距システム1Dは、情報処理装置10D及び測距装置20Dを含む。情報処理装置10Dのハードウェア構成は、例えば、第1実施形態に係る情報処理装置10と同様である。測距装置20Dのハードウェア構成は、例えば、第1実施形態に係る測距装置20と同様である。
【0120】
<2-2>測距システム1Dの機能構成
図20は、第2実施形態に係る測距システム1Dの機能構成の一例を示すブロック図である。図20に示すように、測距システム1Dにおいて、情報処理装置10Dは、FOV情報取得部101、位置情報取得部102、速度情報取得部103D、画像処理部104、制御信号生成部105D、速度制御部106、画像取得部107、経路検出部108、現在位置補正部109、距離情報取得部110D、支障物検知部111、TG検知部112、ブレーキ制御情報取得部113、停止位置予測部114、及び経路情報データベース34として機能する。なお、経路検出部108及び支障物検知部111は、図示を省略している。測距装置20Dは、出射制御部201、投光部202、受光部203、及び計測部204Dとして機能する。
【0121】
TG検知部112は、画像処理装置15に対応する機能ブロックである。ブレーキ制御情報取得部113及び停止位置予測部114は、輸送機器制御装置13に対応する機能ブロックである。
【0122】
速度情報取得部103Dは、取得した速度を、画像処理部104と制御信号生成部105Dとのそれぞれに送信する。
【0123】
距離情報取得部110Dは、現在位置補正部109から得られる補正された輸送機器VEの現在位置と、経路情報データベース34から得られる情報と、画像取得部107から得られる画像に基づいて、輸送機器VEの始点からの距離(輸送機器VEと被写体との相対距離)を求める。被写体は、例えば、停止位置目標STGである。距離情報取得部110Dは、輸送機器VEの始点からの距離をTG検知部112に送信する。
【0124】
TG検知部112は、画像取得部107から得られる画像、距離情報取得部110Dから得られる輸送機器VEの始点からの距離、及び経路情報データベース34から得られる停止位置目標STGの位置に基づいて、停止位置目標STGを検知する。停止位置目標STGを検知した場合、TG検知部112は、停止位置予測部114に輸送機器VEの停止位置の予測を指示する。
【0125】
ブレーキ制御情報取得部113は、ブレーキ制御情報を取得する。ブレーキ制御情報取得部113は、取得したブレーキ制御情報を停止位置予測部114に送信する。
【0126】
停止位置予測部114は、TG検知部112から指示を受け取ると、ブレーキ制御情報取得部113から得られる蓄積された複数のブレーキ制御情報に基づいて、ブレーキの制御量とその制御量に基づく輸送機器VEの停止位置を予測する。停止位置予測部114は、予測した停止位置を制御信号生成部105に送信する。
【0127】
制御信号生成部105は、画像処理部104から得られる輸送機器VEの始点からの距離に基づいて、停止位置予測部114から得られる予測した停止位置と、経路情報データベース34から得られる所定の停止位置(例えば、停止位置目標STGの位置)とが一致するようなブレーキ制御を行うことができるように、輸送機器VEの加減速に関する制御信号を生成する。そして、制御信号生成部105は、生成した制御信号を速度制御部106に送信する。
【0128】
第2実施形態に係る測距システム1Dのその他の構成及び動作は、第1実施形態に係る測距システム1と同様である。
【0129】
<2-3>動作
図21は、第2実施形態に係る測距装置20Dの測距動作の一例を示すフローチャートである。以下に、図21を参照して、第2実施形態に係る測距装置20Dの測距動作について説明する。
【0130】
例えば、測距装置20Dが停止位置目標STGを検知すると、測距動作が開始され、測距制御装置21は、情報処理装置10からFOV情報、及び輸送機器VEの始点と停止位置目標STGとの相対距離を受信する(S201)。
【0131】
次に、測距制御装置21は、FOV情報に基づいて、FOVを設定する(S202)。
【0132】
次に、測距制御装置21は、受信した相対距離に基づいて、測距点数を制御する。具体的には、測距制御装置21は、相対距離が第1距離閾値DT1よりも大きいか否かを判定する(S203)。第1距離閾値DT1は、例えば、500mである。
【0133】
相対距離が第1距離閾値DT1よりも大きい場合(S203:YES)、測距制御装置21は、積算数ANを1に設定する(S204)。
【0134】
相対距離が第1距離閾値DT1以下である場合(S203:NO)、測距制御装置21は、相対距離が第2距離閾値DT2よりも大きく、第1距離閾値DT1以下であるか否かを判定する(S205)。第2距離閾値DT2は、例えば、50mである。
【0135】
相対距離が第2距離閾値DT2よりも大きく、第1距離閾値DT1以下である場合(S205:YES)、測距制御装置21は、積算数ANを2に設定する(S206)。
【0136】
相対距離が第2距離閾値DT2以下である場合(S205:NO)、測距制御装置21は、積算数ANを3に設定する(S207)。
【0137】
ステップS203~S207が実行されることにより、輸送機器VEの始点と停止位置目標STGとの相対距離に基づいて、測距点数が変更される。
【0138】
次に、FOVに基づいてレーザーダイオード23から出射されたレーザー光が光センサ26により受光され、受光結果が転送されると、計測装置27は、積算数ANに基づいて、FOVに対応する測距情報を取得する(S208)。
【0139】
<2-4>第2実施形態の効果
上述のように、一定の経路上を走行する輸送機器VEにLiDARを搭載して、輸送機器VEが高速で走行している場合にLiDARに求められる測距距離性能は、より長い距離の測距性能である。これに対して、例えば、輸送機器VEが停止場所STに停止するために低速で走行している場合には、停止場所STの停止位置目標STGに対する輸送機器VEの現在位置測定の精度が求められるため、LiDARに求められる測距距離性能は、より短い距離の測距性能である。これを実現するために、LiDARにより得られる測距情報には、停止位置目標STGとLiDARとの相対距離が短いほど、当該測距情報に基づいて生成される画像の解像度を高くして測距点数を多くすることが求められる。
【0140】
そこで、第1実施形態に係る測距システム1Dでは、情報処理装置10Dが、センサ等により収集した情報に基づいて、測距装置20D(LiDAR)の測距点数を制御する。具体的には、情報処理装置10Dは、情報収集装置11D、画像処理装置15D、及び経路情報データベース34等から得られる情報に基づいて、輸送機器VEの始点からの距離(輸送機器VEと被写体との相対距離)を取得する。そして、情報処理装置10は、取得した相対距離を測距装置20Dに送信する。測距装置20Dは、情報処理装置10から受け取った相対距離に基づいて、計測装置27Dで用いられる積算数ANの設定を変更する。例えば、測距装置20Dは、相対距離が短いほど、積算数ANにより小さい値を設定する。これにより、測距装置20Dは、相対距離が短いほど、測距点数を多くすることができる。よって、第2実施形態に係る測距装置20Dは、輸送機器VEが停止場所STに停止するために低速で走行している場合に応じた測距距離性能を実現できる。すなわち、第2実施形態に係る測距装置20Dは、測距距離性能を向上できる。従って、第2実施形態に係る測距システム1Dを利用する輸送機器VEは、停止場所STの停止位置目標STGに対して多くの測距点数を得ることができ、結果として、輸送機器VEの現在位置測定の精度を向上させることができる。
【0141】
<2-5>変形例
第2実施形態の変形例に係る測距システム1Eは、画角の一部の測距点数を変更する。以下に、第2実施形態の変形例に係る測距システム1Eについて、第2実施形態と異なる点を説明する。
【0142】
<2-5-1>積算数の設定
FOVの一部の測距点数を変更する場合のFOVにおける積算数の設定は、第1実施形態の第1変形例で示した図14と同様である。なお、FOVの一部の測距点数を変更する場合のFOVにおける積算数は、第1実施形態の第2変形例で示した図15、または第1実施形態の第3変形例で示した図16と同様に設定されてもよい。変更開始位置CSP及び変更終了位置CEPについては、経路情報データベース34に記憶されている停止位置目標STGの3次元位置情報とサイズ情報と輸送機器VEの現在位置とから幾何学的に算出される相対位置を用いて動的に設定してもよい。また、この算出により求めた相対位置の近辺で、測距装置20により測距した際に距離と同時に得られるレーザー光の反射強度からの輝度情報を用いて、経路情報データベース34に記憶されるか、あらかじめ決められた範囲のパターンから構成される停止位置目標STG上に描かれているパターンと画像処理でのパターンマッチングの結果、得られた画角内の位置について動的に変更してもよい。
【0143】
<2-5-2>測距システム1Eの機能構成
図22は、第2実施形態の第1変形例に係る測距システム1Eの機能構成の一例を示すブロック図である。
【0144】
FOV情報取得部101Eは、第1実施形態で説明したFOV情報取得部101の動作に加えて、FOV情報を計測部204Eに送信する。
【0145】
計測部204Eは、FOV情報取得部101Eから受け取ったFOV情報に基づいて、初期積算数AN0を設定する。また、計測部204Eは、FOV情報に基づいて、変更開始位置CSP及び変更終了位置CEPを設定する。計測部204Eは、距離情報取得部110から受け取った輸送機器VEの始点からの距離(輸送機器VEと停止位置目標STGとの相対距離)に基づいて、積算数ANを設定する。
【0146】
計測部204Eは、受光部203から受け取った電気信号(受光結果)、初期積算数AN0、変更開始位置CSP及び変更終了位置CEP、並びに積算数ANに基づいて、測距点数に対応する距離データを生成する。すなわち、初期積算数AN0に基づいて、FOVの非変更領域UCAに対応する距離データを取得する。積算数ANに基づいて、FOVの変更領域CAに対応する距離データを取得する。これにより、FOVに対応する測距情報を取得する。
【0147】
第2実施形態の第1変形例に係る測距システム1Eのその他の構成及び動作は、第2実施形態に係る測距システム1Dと同様である。
【0148】
<2-5-3>動作
図23は、第2実施形態の変形例に係る測距装置20Eの測距動作の一例を示すフローチャートである。図23では、第2実施形態で示した図21のステップS202の後にステップS211及びS212が追加され、図21のステップS208がステップS213に置き換えられている。以下に、図23を参照して、第2実施形態の変形例に係る測距装置20Eの測距動作について説明する。
【0149】
ステップS202において、FOVが設定されると、測距制御装置21は、FOV情報に基づいて、初期積算数AN0を設定する(S211)。
【0150】
次に、測距制御装置21は、FOV情報に基づいて、変更開始位置CSP及び変更終了位置CEPを設定する(S212)。
【0151】
次に、ステップS203~S207が実行された後、FOVに基づいてレーザーダイオード23から出射されたレーザー光が光センサ26により受光され、受光結果が転送されると、計測装置27は、初期積算数AN0及び積算数ANに基づいて、FOVに対応する測距情報を取得する(S213)。
【0152】
<2-5-4>変形例の効果
本変形例によれば、第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0153】
また、本変形例では、情報処理装置10Eは、画角内の測距点数を変更可能な領域を設定する。具体的には、情報処理装置10Eは、画角に対して積算数変更可能領域CA、変更開始位置CSP、及び変更終了位置CEPを設定する。そして、情報処理装置10Eは、画角に対して設定された積算数変更可能領域CA、変更開始位置CSP、及び変更終了位置CEP、並びにセンサ等により収集した情報に基づいて、測距装置20E(LiDAR)の測距点数を制御する。これにより、測距装置20Eは、特定の領域(例えば、画角内の停止位置目標STGの領域)について、測距点数を増やし、測距情報に基づいて生成される画像の解像度を上げることができる。従って、第2実施形態の変形例に係る測距システム1Eを利用する輸送機器VEは、目標物(例えば、停止位置目標STG)の検知の精度を向上させることができる。
【0154】
<3>第3実施形態
第3実施形態に係る測距システム1Fは、測距動作を実行する測距モードと、気象の判定を行う気象判定モードとを含み、気象判定モードで判定された天候に基づいて測距点数を変更する。以下に、第3実施形態に係る測距システム1Fについて、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0155】
<3-1>測距装置20Fの構成
図24は、第3実施形態に係る測距装置20Fの構成の一例を示すブロック図である。図24に示すように、測距装置20Fは、第1実施形態で示した測距装置20の構成に加えて、気象判定装置28及びストレージ装置29を含む。
【0156】
測距制御装置21Fは、第1実施形態で示した測距制御装置21の動作に加えて、気象判定装置28を制御する。
【0157】
気象判定装置28は、光センサ26Fから転送された受光結果に基づいて、気象を判定する。気象判定装置28は、判定結果を測距制御装置21Fに送信する。
【0158】
ストレージ装置29は、データやプログラム等の記憶に使用される記憶媒体である。ストレージ装置29には、例えば、天候に関する情報を含む気象情報データベース(DB)41が記憶される。なお、ストレージ装置29に記憶される情報は、ネットワーク上のサーバーを介してダウンロードされてもよい。
【0159】
気象情報データベース41は、天候に関する情報(以下、「天候情報」と表記する)、雨量に関する情報(以下、「雨量情報」と表記する)、及び視程に関する情報(以下、「視程情報」と表記する)等を保持する。天候情報としては、例えば、雨、霧、雪等である。雨量情報としては、例えば、一定時間内の雨量(降水量)である。視程情報としては、例えば、どの程度の距離まで見えるかを示す距離である。
【0160】
測距装置20Fのその他の構成は、第1実施形態で示した測距装置20と同様である。
【0161】
<3-2>気象判定処理
図25は、気象判定装置28が行う気象判定処理の一例を説明する図である。図25は、雨や霧の天候時に、測距システム1Fを備える輸送機器VEが所定の経路RT上を矢印で示す進行方向に向かって走行している状況を示している。
【0162】
雨や霧の天候の場合、測距装置20Fから被写体TGが存在しない領域(例えば、空等)に向けて出射されたレーザー光LE1は、雨や霧により反射され、反射された(被写体TGが存在しない領域から戻ってきた)レーザー光LR1が光センサ26により受光される。雨や霧の領域は比較的広範囲にわたるため、測距装置20Fから雨や霧により反射される位置までの距離は、測距装置20Fから比較的近い距離となる。
【0163】
また、霧の天候の場合、霧が濃いほど光センサ26により受光されるレーザー光の光量は多くなる。雨の天候の場合、雨量が多いほど光センサ26により受光されるレーザー光の光量は多くなる。雨の天候の場合は、霧の天候の場合よりも光センサ26により受光されるレーザー光の光量は多くなる。
【0164】
そこで、気象判定装置28は、被写体TGが存在しない領域から戻ってきたレーザー光LR1の強度に基づいて、天候を判定する。具体的には、気象判定装置28は、画角内の被写体TGが存在しない可能性が比較的高い特定の領域(例えば、画角の上側)を指定する。気象判定装置28は、指定された領域において、対応する光センサ26の画素の時間毎の受光量を取得する。そして、気象判定装置28は、比較的近距離(例えば、測距装置20Fから10メートル以内)で反射されたレーザー光を受光した光センサ26の画素と、当該反射されたレーザー光の強度のピーク値PKNを取得する。また、気象判定装置28は、指定された領域において反射されたレーザー光の強度のピーク値の平均値PKAを算出する。そして、気象判定装置28は、取得したレーザー光の強度のピーク値PKNが、ピーク値の平均値PKAを超える確率PBを算出する。確率PBが所定の閾値以上である場合、気象判定装置28は、天候を雨と判定し、気象情報データベース41にあらかじめ記憶されている確率PBと雨量との対応関係が規定された雨量情報から、算出した確率PBに対応する雨量を取得する。確率PBが所定の閾値未満である場合、気象判定装置28は、天候を霧と判定し、気象情報データベース41にあらかじめ記憶されている確率PBと視程との対応関係が規定された視程情報から、算出した確率PBに対応する視程を取得する。
【0165】
<3-3>測距システム1Fの機能構成
図26は、第3実施形態に係る測距システム1Fの機能構成の一例を示すブロック図である。図26に示すように、測距システム1Fにおいて、情報処理装置10Fは、FOV情報取得部101、位置情報取得部102、速度情報取得部103F、画像処理部104、制御信号生成部105、速度制御部106、画像取得部107、経路検出部108、現在位置補正部109、距離情報取得部110、支障物検知部111、及び経路情報データベース34として機能する。測距装置20Fは、出射制御部201、投光部202、受光部203F、計測部204F、確率算出部205、気象判定部206、及び気象情報データベース41として機能する。
【0166】
確率算出部205及び気象判定部206は、気象判定装置28に対応する機能ブロックである。
【0167】
速度情報取得部103Fは、取得した速度を、画像処理部104と制御信号生成部105Dとのそれぞれに送信する。
【0168】
確率算出部205は、受光部203Fから受光結果を取得する。確率算出部205は、画角内の被写体TGが存在しない可能性が比較的高い特定の領域を指定する。確率算出部205は、指定された領域において、対応する受光部203Fの画素の時間毎の受光量を取得する。そして、確率算出部205は、所定の距離以内で反射されたレーザー光を受光した受光部203Fの画素と、当該反射されたレーザー光の強度のピーク値PKNを取得する。また、確率算出部205は、指定された領域において反射されたレーザー光の強度のピーク値の平均値PKAを算出する。そして、確率算出部205は、取得したレーザー光の強度のピーク値PKNが、ピーク値の平均値PKAを超える確率PBを算出する。確率算出部205は、算出した確率PBを気象判定部206に送信する。
【0169】
気象判定部206は、確率算出部205から得られる確率PBに基づいて、天候を判定し、気象情報データベース41から天候に応じた情報(雨量または視程)を取得する。気象判定部206は、取得した情報(気象判定結果)を計測部204Fに送信する。
【0170】
第3実施形態に係る測距システム1Fのその他の構成及び動作は、第1実施形態に係る測距システム1と同様である。
【0171】
<3-4>動作
(気象判定動作)
図27は、第3実施形態に係る測距装置20Fの気象判定動作の一例を示すフローチャートである。以下に、図27を参照して、第3実施形態に係る測距装置20Fの気象判定動作について説明する。
【0172】
例えば、測距システム1Fが気象判定モードに設定されると、気象判定動作が開始され、気象判定装置28は、画角内の特定の領域(例えば、画角の上側)を指定する(S301)。
【0173】
次に、気象判定装置28は、指定された領域において、対応する光センサ26Fの画素の時間毎の受光量を取得する(S302)。
【0174】
次に、気象判定装置28は、所定の距離以内(例えば、測距装置20Fから10メートル以内)で反射されたレーザー光を受光した光センサ26Fの画素と、当該反射されたレーザー光の強度のピーク値PKNを取得する(S303)。
【0175】
次に、気象判定装置28は、指定された領域において反射されたレーザー光の強度のピーク値の平均値PKAを算出する(S304)。
【0176】
次に、気象判定装置28は、取得したレーザー光の強度のピーク値PKNが、ピーク値の平均値PKAを超える確率PBを算出する(S305)。
【0177】
次に、気象判定装置28は、確率PBが所定の閾値PBT以上であるか否かを判定する(S306)。所定の閾値は、例えば、雨と霧を判定するための閾値である。
【0178】
確率PBが所定の閾値PBT以上である場合(S306:YES)、気象判定装置28は、天候を雨と判定し、確率PBに基づいて雨量を取得する(S307)。
【0179】
確率PBが所定の閾値PBTよりも小さい場合(S306:NO)、気象判定装置28は、天候を霧と判定し、確率PBに基づいて視程を取得する(S308)。
【0180】
気象判定装置28は、取得した気象情報(雨量または視程)を含む気象判定結果(天候に関する情報)を測距制御装置21に送信する(S309)。
【0181】
以下、ステップS301~S309までの動作を、“第1気象判定動作”と表記する。
【0182】
(測距動作)
図28は、第3実施形態に係る測距装置20Fの測距動作の一例を示すフローチャートである。以下に、図28を参照して、第3実施形態に係る測距装置20Fの測距動作について説明する。
【0183】
例えば、測距システム1Fが測距モードに設定されると、測距動作が開始され、測距制御装置21Fは、情報処理装置10FからFOV情報を受信し、気象判定装置28から気象判定結果を受信する(S311)。
【0184】
次に、測距制御装置21Fは、FOV情報に基づいて、FOVを設定する(S312)。
【0185】
次に、測距制御装置21Fは、受信した気象判定結果に基づいて、測距点数を制御する。具体的には、測距制御装置21Fは、視程が第1視程閾値VB1以下、または雨量が第1雨量閾値RF1以上であるか否かを判定する(S313)。第1視程閾値VB1は、例えば、80mである。第1雨量閾値RF1は、例えば、50mm/hである。
【0186】
視程が第1視程閾値VB1以下、または雨量が第1雨量閾値RF1以上である場合(S313:YES)、測距制御装置21Fは、積算数ANを3に設定する(S314)。
【0187】
視程が第1視程閾値VB1よりも大きい、または雨量が第1雨量閾値RF1よりも小さい場合(S313:NO)、測距制御装置21Fは、視程が第2視程閾値VB2以下、または雨量が第2雨量閾値RF2以上であるか否かを判定する(S315)。第2視程閾値VB2は、例えば、120mである。第2雨量閾値RF2は、例えば、30mm/hである。
【0188】
視程が第2視程閾値VB2以下、または雨量が第2雨量閾値RF2以上である場合(S315:YES)、測距制御装置21は、積算数ANを2に設定する(S316)。
【0189】
視程が第2視程閾値VB2よりも大きい、または雨量が第2雨量閾値RF2よりも小さい場合(S315:NO)、測距制御装置21は、積算数ANを1に設定する(S317)。
【0190】
ステップS313~S317が実行されることにより、画角内の被写体TGが存在しない可能性が比較的高い特定の領域に出射されたレーザー光の反射光の強度に基づく気象判定結果に基づいて、測距点数が変更される。
【0191】
次に、FOVに基づいてレーザーダイオード23から出射されたレーザー光が光センサ26Fにより受光され、受光結果が転送されると、計測装置27は、積算数ANに基づいて、FOVに対応する測距情報を取得する(S318)。
【0192】
<3-5>第3実施形態の効果
本実施形態では、測距装置20Fは、被写体が存在しない可能性が高い領域にレーザー光を出射し、その反射光を光センサ26Fで受光し、反射光の強度に基づいて気象判定を行う。これにより、測距装置20Fは、より簡易に気象判定を行うことができる。
【0193】
また、上述のように、一定の経路上を走行する輸送機器VEにLiDARを搭載して、輸送機器VEが停止場所STに停止するために低速で走行している場合には、停止場所STの停止位置目標STGに対する輸送機器VEの現在位置測定の精度が求められるため、LiDARに求められる測距距離性能は、より短い距離の測距性能である。これに対して、例えば、天候が雨や霧である場合には、LiDARにより得られる測距情報には、悪天候であるほど(例えば、雨量が多いほど、または霧が濃いほど)、当該測距情報に基づいて生成される画像の解像度が高いことが求められる。すなわち、LiDARにより得られる測距情報には、悪天候であるほど測距点数が少ないことが求められる。
【0194】
そこで、第1実施形態に係る測距システム1Gでは、上述のように、測距装置20が反射光の強度に基づいて気象判定を行う。測距装置20が、気象判定により得られた判定結果に基づいて、測距装置20G(LiDAR)の測距点数を制御する。具体的には、測距装置20Gは、気象判定により得られた判定結果に基づいて、計測装置27Gで用いられる積算数ANの設定を変更する。例えば、測距装置20Gは、悪天候であるほど、積算数ANにより大きい値を設定する。これにより、測距装置20Gは、悪天候であるほど、測距点数を少なくすることができる。よって、第3実施形態に係る測距装置20Gは、天候が雨や霧である場合に応じた測距距離性能を実現できる。すなわち、第3実施形態に係る測距装置20Gは、測距距離性能を向上できる。従って、第3実施形態に係る測距システム1Gを利用する輸送機器VEは、視程の精度を向上させることができる。
【0195】
<3-6>第1変形例
第3実施形態の第1変形例に係る測距システム1Gは、気象判定モードで判定された天候に基づいて測距点数を変更する。測距システム1Gでは、気象判定処理が第3実施形態と異なる。以下に、第3実施形態の第1変形例に係る測距システム1Gについて、第3実施形態と異なる点を説明する。
【0196】
<3-6-1>気象判定処理
図29は、気象判定装置28Gが行う気象判定処理の一例を説明する図である。図29は、雨や霧の天候時に、測距システム1Gを備える輸送機器VEが所定の経路RT上を矢印で示す進行方向に向かって走行している状況を示している。
【0197】
雨や霧の天候の場合、測距装置20Gから被写体TGに向けて出射されたレーザー光LE2は、雨や霧により減衰するため、被写体TGにより反射されたレーザー光LR2の光量は、レーザー光LE2の光量よりも低下する。このため、被写体TGの反射率と、測距装置20Gと被写体TGとの間の距離と、レーザー光LE2に対するレーザー光LR2の低下量が分かれば、測距装置20Gと被写体TGとの間の空気の透過率を算出することができる。
【0198】
また、霧の天候の場合、霧が濃いほどレーザー光LE2に対するレーザー光LR2の低下量は多くなる。すなわち、霧が濃いほど測距装置20Gと被写体TGとの間の空気の透過率の低下量も多くなる。雨の天候の場合、雨量が多いほどレーザー光LE2に対するレーザー光LR2の低下量は多くなる。すなわち、雨量が多いほど測距装置20Gと被写体TGとの間の空気の透過率の低下量も多くなる。雨の天候の場合は、霧の天候の場合よりもレーザー光LE2に対するレーザー光LR2の低下量は多くなる。すなわち、雨の天候の場合は、霧の天候の場合よりも測距装置20Gと被写体TGとの間の空気の透過率の低下量は多くなる。
【0199】
そこで、測距装置20Gは、あらかじめ経路情報データベース34に記憶されている被写体TGの反射率、空気の透過率と視程との対応関係が規定された視程情報、及び空気の透過率と雨量との対応関係が規定された雨量情報を気象情報データベース41に記憶しておく。気象判定装置28Gは、画角内において反射率が分かっている被写体TGの位置を気象情報データベース41から取得する。気象判定装置28Gは、画角内の被写体TGの位置に対応する光センサ26Gの画素により受光されたレーザー光を取得する。そして、気象判定装置28Gは、レーザー光の低下量を算出した後、レーザー光の低下量と、被写体の位置と、被写体TGの反射率に基づいて、測距装置20Gと被写体TGとの間の空気の透過率TRを算出する。気象判定装置28Gは、気象情報データベース41に記憶されている視程情報から、算出した透過率TRに対応する視程を取得する。気象判定装置28Gは、気象情報データベース41に記憶されている雨量情報から、算出した透過率TRに対応する雨量を取得する。
【0200】
<3-6-2>測距システム1Gの機能構成
図30は、第3実施形態の第1変形例に係る測距システム1Gの機能構成の一例を示すブロック図である。図30に示すように、測距システム1Gにおいて、情報処理装置10Gは、FOV情報取得部101、位置情報取得部102、速度情報取得部103F、画像処理部104、制御信号生成部105、速度制御部106、画像取得部107、経路検出部108、現在位置補正部109、距離情報取得部110、支障物検知部111、及び経路情報データベース34として機能する。測距装置20Gは、出射制御部201、投光部202、受光部203G、計測部204G、気象判定部206G、透過率算出部207、及び気象情報データベース41として機能する。
【0201】
透過率算出部207は、気象判定装置28Gに対応する機能ブロックである。
【0202】
透過率算出部207は、画角内において反射率が分かっている被写体TGの位置を経路情報データベース34から取得する。透過率算出部207は、被写体TGの反射率を気象情報データベース41から取得する。透過率算出部207は、画角内の被写体TGの位置に対応する受光部203Gの画素により受光されたレーザー光を取得する。そして、透過率算出部207は、レーザー光の低下量を算出する。透過率算出部207は、被写体TGの反射率、測距装置20Gと被写体TGとの距離、及び算出した低下量に基づいて、測距装置20Gと被写体TGとの間の空気の透過率TRを算出する。透過率算出部207は、算出した透過率TRを気象判定部206Gに送信する。
【0203】
気象判定部206Gは、透過率算出部207から得られる透過率TRに基づいて、気象情報データベース41から天候に応じた情報(雨量または視程)を取得する。気象判定部206Gは、取得した情報(気象判定結果)を計測部204Gに送信する。
【0204】
第3実施形態の第1変形例に係る測距システム1Gのその他の構成及び動作は、第3実施形態に係る測距システム1Fと同様である。
【0205】
<3-6-3>動作
図31は、第3実施形態の第1変形例に係る測距装置20Gの気象判定動作の一例を示すフローチャートである。以下に、図31を参照して、第3実施形態の第1変形例に係る測距装置20Gの気象判定動作について説明する。
【0206】
例えば、測距システム1Gが気象判定モードに設定されると、気象判定動作が開始され、気象判定装置28Gは、画角内において反射率が分かっている被写体TGの位置、被写体TGの反射率、及び画角内の被写体TGの位置に対応する光センサ26Gの画素により受光されたレーザー光を取得する(S321)。被写体TGの位置は、経路情報データベース34から取得される。被写体TGの反射率は、気象情報データベース41から取得される。受光されたレーザー光は、光センサ26Gから取得される。
【0207】
次に、気象判定装置28Gは、受光されたレーザー光に基づいて、レーザー光の低下量を算出する(S322)。
【0208】
次に、気象判定装置28Gは、被写体TGの反射率、測距装置20Gと被写体TGとの距離、及び算出した低下量に基づいて、測距装置20Gと被写体TGとの空気の透過率TRを算出する(S323)。
【0209】
次に、気象判定装置28Gは、算出した透過率TRに基づいて、気象情報データベース41から天候に応じた情報(雨量または視程)を取得する(S324)。
【0210】
次に、気象判定装置28Gは、取得した情報(気象判定結果)を測距制御装置21Gに送信する(S325)。
【0211】
以下、ステップS321~S325までの動作を、“第2気象判定動作”と表記する。
【0212】
<3-6-4>第1変形例の効果
本変形例によれば、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0213】
また、本変形例では、測距装置20Gは、反射率が分かっている特定の被写体が存在する領域にレーザー光を出射し、その反射光を光センサ26Fで受光し、出射光に対する反射光の低下量を算出し、算出した低下量に基づいて、測距装置20Gと特定の被写体との間の空気の透過率を算出する。そして、測距装置20Gは、算出した空気の透過率に基づいて、気象判定を行う。これにより、測距装置20Gは、第3実施形態と同様に、より簡易に気象判定を行うことができる。
【0214】
<3-7>第2変形例
第3実施形態の第2変形例に係る測距システム1Hは、気象判定モードで判定された天候に基づいて測距点数を変更する。測距システム1Hは、第1気象判定動作の判定結果と第2気象判定動作の判定結果に基づいて気象判定を行う点で第3実施形態と異なる。以下に、第3実施形態の第2変形例に係る測距システム1Hについて、第3実施形態と異なる点を説明する。
【0215】
<3-7-1>測距システム1Hの機能構成
図32は、第3実施形態の第2変形例に係る測距システム1Hの機能構成の一例を示すブロック図である。図32に示すように、測距システム1Hにおいて、情報処理装置10Hは、FOV情報取得部101、位置情報取得部102、速度情報取得部103F、画像処理部104、制御信号生成部105、速度制御部106、画像取得部107、経路検出部108、現在位置補正部109、距離情報取得部110、支障物検知部111、及び経路情報データベース34として機能する。測距装置20Hは、出射制御部201、投光部202、受光部203H、計測部204H、確率算出部205、気象判定部206H、透過率算出部207、及び気象情報データベース41として機能する。
【0216】
気象判定部206Hは、第3実施形態で示した気象判定部206F、及び第3実施形態で示した気象判定部206Gと同様の動作を行う。
【0217】
また、気象判定部206Hは、第1気象判定動作により得られる気象判定結果、及び第2気象判定動作の気象判定結果のうち、より悪天候である結果を取得する。気象判定部206Hは、取得した結果を計測部204Hに送信する。
【0218】
第3実施形態の第2変形例に係る測距システム1Hのその他の構成及び動作は、第3実施形態に係る測距システム1Fと同様である。
【0219】
<3-7-2>動作
図33は、第3実施形態の第2変形例に係る測距装置20Hの気象判定動作の一例を示すフローチャートである。以下に、図33を参照して、第3実施形態の第2変形例に係る測距装置20Hの気象判定動作について説明する。
【0220】
例えば、測距システム1Hが気象判定モードに設定されると、気象判定動作が開始され、気象判定装置28Hは、第1気象判定動作及び第2気象判定動作を実行する(S341)。
【0221】
次に、気象判定装置28Hは、第1気象判定動作による気象判定結果(以下、「第1気象判定結果」と表記する)、及び第2気象判定動作による気象判定結果(以下、「第2気象判定結果」と表記する)を取得する(S342)
【0222】
次に、気象判定装置28Hは、第1気象判定結果及び第2気象判定結果のうち、より悪天候の結果を取得する(S343)。例えば、一方の判定結果の天候が雨であり、他方の判定結果の天候が霧の場合、気象判定装置28Hは、天候が雨である判定結果を取得する。いずれの判定結果も天候が雨である場合、気象判定装置28Hは、より雨量が多い判定結果を取得する。いずれの判定結果も天候が霧である場合、気象判定装置28Hは、より視程が低い判定結果を取得する。
【0223】
次に、気象判定装置28Hは、取得した結果を測距制御装置21Hに送信する(S344)。
【0224】
<3-7-3>第2変形例の効果
本変形例によれば、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0225】
また、本変形例では、測距装置20Hは、第1気象判定動作及び第2気象判定動作を実行する。そして、測距装置20Hは、第1気象判定動作による第1気象判定結果、及び第2気象判定動作による第2気象判定結果のうち、より悪天候の結果を取得する。これにより、測距装置20Hは、第1気象判定動作または第2気象判定動作により気象判定を行う場合と比べて、気象判定の精度を向上させることができる。
【0226】
<3-8>第3変形例
第3実施形態の第3変形例に係る測距システム1Iは、気象判定モードで判定された天候に基づいて測距点数を変更する。測距システム1Iでは、測距装置20Iが経路RTの外側に配置される点で第3実施形態と異なる。以下に、第3実施形態の第3変形例に係る測距システム1Iについて、第3実施形態と異なる点を説明する。
【0227】
<3-8-1>測距システム1Iの構成
図34は、第3実施形態の第3変形例に係る測距システム1Iの構成の一例を示す概略図である。図34に示すように、情報処理装置10Iは、輸送機器VEに搭載されている。測距装置20Iは、輸送機器VEが走行する経路RTの外側に配置されている。具体的には、測距装置20Iは、経路RTの外側に配置された設置台51の上に設置されている。情報処理装置10Iと測距装置20Iは、図示せぬネットワークを介して通信可能に構成される。
【0228】
測距装置20Iは、上記構成をとるため、第3実施形態と同様に、気象判定動作及び測距動作を実行することができる。
【0229】
<3-8-2>第3変形例の効果
本変形例によれば、第3実施形態と同様の効果を奏する。
【0230】
<4>その他
上記実施形態は、可能な範囲で組み合わされてもよい。例えば、第1実施形態の第2変形例及び第3変形例は、第2実施形態と組み合わせてもよい。
【0231】
なお、実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0232】
第3実施形態で示した気象の判定は、カメラ33から取得した画像に基づいて行われてもよい。この場合、更に第1気象判定動作により得られた判定結果または第2気象判定動作により得られた判定結果と組み合わせて、より悪天候である判定結果を採用してもよい。
【0233】
また、上記実施形態で説明したフローチャートは、その処理の順番を可能な限り入れ替えることができる。
【0234】
各実施形態において説明された処理のそれぞれは、専用のハードウェアによって実現されてもよい。各実施形態では、ソフトウェアにより実行される処理と、ハードウェアによって実行される処理とが混在していてもよいし、どちらか一方のみであってもよい。測距制御装置21やCPUは、“制御回路”や“プロセッサ”と呼ばれてもよい。計測装置27は、“計測回路”と呼ばれてもよい。レーザーダイオード23は、“光源”と呼ばれてもよい。気象判定装置28は、“判定回路”と呼ばれてもよい。
【0235】
上記実施形態では、測距装置20によりマルチチャネルラスタスキャンが実行される場合について例示したが、その他のスキャン方法が使用されてもよい。例えば、測距装置20は、その他のスキャン方法として、“ラスタスキャン”や、“マルチチャネルスキャン”や、“OPA方法(Optical Phased Array)”等を使用してもよい。
【0236】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0237】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1I…測距システム、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10I…情報処理装置、11…情報収集装置、12…ストレージ装置、13…輸送機器制御装置、14…速度制御装置、15…画像処理装置、20,20F,20G,20H,20I…測距装置、21,21F…測距制御装置、22…レーザードライバ、23…レーザーダイオード、24…ミラー制御装置、25…光学系、26,26F…光センサ、27…計測装置、28…気象判定装置、29…ストレージ装置、31…速度センサ、32…GNSS装置、33…カメラ、34…経路情報データベース、41…気象情報データベース、51…設置台、101,101A,101E…FOV情報取得部、102…位置情報取得部、103,103D,103F…速度情報取得部、104…画像処理部、105,105D…制御信号生成部、106…速度制御部、107…画像取得部、108…経路検出部、109…現在位置補正部、110,110D…距離情報取得部、111…支障物検知部、112…TG検知部、113…ブレーキ制御情報取得部、114…停止位置予測部、201…出射制御部、202…投光部、203,203F,203G,203H…受光部、204,204A,204D,204E,204F,204G,204H…計測部、205…確率算出部、206,206G,206H…気象判定部、207…透過率算出部、251…回転ミラー、252~254…光学素子
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