(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135808
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】床用化粧材
(51)【国際特許分類】
B27M 3/00 20060101AFI20240927BHJP
B32B 21/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B27M3/00 E
B32B21/04
B27M3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046681
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000157256
【氏名又は名称】丸玉木材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】大越 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼口 智行
(72)【発明者】
【氏名】清水 正文
(72)【発明者】
【氏名】土井 孝志
【テーマコード(参考)】
2B250
4F100
【Fターム(参考)】
2B250BA03
2B250EA02
2B250EA13
2B250FA21
2B250FA31
4F100AK07
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4F100JL10
4F100JL11
(57)【要約】
【課題】節の映出、板目の映出、及び、反りを抑制することができ、かつ、耐傷性、耐衝撃性に優れる床用化粧材を提供する。
【解決手段】合板と、化粧シートとを有し、上記合板は、広葉樹単板と針葉樹単板とを含む2枚以上の木単板が積層されてなり、上記合板の表層は、広葉樹単板が積層されており、上記化粧シートは、上記合板の表層上に積層され、かつ、厚みが0.20mm以上0.60mm以下である床用化粧材。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合板と、化粧シートとを有し、
前記合板は、広葉樹単板と針葉樹単板とを含む2枚以上の木単板が積層されてなり、
前記合板の表層は、広葉樹単板が積層されており、
前記化粧シートは、前記合板の表層上に積層され、かつ、厚みが0.20mm以上0.60mm以下である床用化粧材。
【請求項2】
前記合板の表層の広葉樹単板は、2枚以上の広葉樹小板が接合されている請求項1に記載の床用化粧材。
【請求項3】
前記合板の表層の広葉樹単板に存在する節は、長径が50mm以下である請求項1又は2に記載の床用化粧材。
【請求項4】
前記広葉樹単板は、カバノキ科、カツラ科、バラ科、アオイ科、ウコギ科、モクセイ科、ニレ科、及び、モクレン科からなる群より選択される少なくとも1種の広葉樹からなる請求項1又は2に記載の床用化粧材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床用化粧材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅内装用途で広く普及している化粧材は、被着材としてホワイトラワンやレッドラワン等のような南洋材からなる合板が用いられていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、合板からなる基材上に、合成樹脂層、化粧層を順に積層した床材用化粧材において、前記合成樹脂層が特定のパラメータを充足することを特徴とする床材用化粧材が開示されている。
上記床材用化粧材では、合板からなる基材(被着材)としてラワンが用いられている。
【0004】
しかしながら、熱帯雨林の違法伐採が環境問題を生み、東南アジアによる南洋材の輸出規制に伴い価格が高騰してきている。
加えて、covid-19に端を発したウッドショック等が木材の供給量不足に拍車をかけ、南洋材の安定的調達は以前に増して困難になってきている。
【0005】
そこで海外情勢の直接的影響を避けることができ、優先的に調達可能であり、かつ、日本の森林活用にも貢献できる国産材活用が注目を浴びている。
【0006】
日本国内における植林木の大半を占めるトド松やヒノキ、スギ等の針葉樹は、国内からの調達であるため、針葉樹からなる合板が南洋材に代わる材料として注目されているが、以下の理由により実現に至っていない。
【0007】
針葉樹は、南洋材を含めた広葉樹の節と比較して節はサイズが大きく、単位面積当たりの数も多いため、節の映出(節と節以外の含水率変化当たりの寸法変化率により生じる凹凸現象)が生じた場合に化粧シートで抑制しきれず外観品質が低下してしまう。
針葉樹は、夏と冬とで成長速度に差があることよりできる密度差を伴う木目(夏目と冬目)の影響が南洋材を含めた広葉樹の木目と比較して大きく、化粧シートで抑制しきれず板目の映出(表面の密度差に起因する凹凸が化粧材の表面に浮き出たように見える現象)によって外観品質が低下してしまう。
また、針葉樹は、南洋材を含めた広葉樹と比較して比重が小さいため、耐傷性(鉛筆硬度傷)や、耐動荷重性が低下(キャスター傷が発生しやすい)し、特に密度が低い夏目部分で凹み量が大きくなる。
【0008】
近年では上記針葉樹の課題を解決するために、針葉樹からなる合板の表層にMDFを備える複合基材を被着材として用いる提案がされているが、表層のMDFは含水率変化により生じる寸法変化率が異なる材料により構成されているので反り等が発生しやすく施工作業性が低下するとともに、施工用接着剤を多く使わなければならないといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した課題を全て解決するものであり、節の映出、板目の映出、及び、反りを抑制することができ、かつ、耐傷性、耐衝撃性に優れる床用化粧材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、合板と、化粧シートとを有し、上記合板は、広葉樹単板と針葉樹単板とを含む2枚以上の木単板が積層されてなり、上記合板の表層は、広葉樹単板が積層されており、上記化粧シートは、上記合板の表層上に積層され、かつ、厚みが0.20mm以上0.60mm以下である床用化粧材である。
なお、上記化粧シートの厚みの数値限定「0.20mm以上0.60mm以下」とは、化粧シートの厚みの実測値において、小数点以下3ケタ目を四捨五入した値が、「0.20mm以上0.60mm以下」に収まるという意味であり、実測値「0.603」は「0.60」で数値限定に含まれるが、実測値「0.607」は「0.61」で数値限定から外れることになる。
【0012】
本発明の床用化粧材において、上記合板の表層の広葉樹単板は、2枚以上の広葉樹小板が接合されていることが好ましい。
上記合板の表層の広葉樹単板に存在する節は、長径が50mm以下であることが好ましい。
また、上記広葉樹単板は、カバノキ科、カツラ科、バラ科、アオイ科、ウコギ科、モクセイ科、ニレ科、及び、モクレン科からなる群より選択される少なくとも1種の広葉樹からなることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、節の映出、板目の映出、及び、反りを抑制することができ、かつ、耐傷性、耐衝撃性に優れる床用化粧材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の床用化粧材を構成する合板について説明する図面である。
【
図2】
図2は、本発明の床用化粧材の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の床用化粧材について説明する。
なお、以下の記載において、「~」で表される数値範囲の下限上限は「以上以下」を意味する(例えば、α~βならば、α以上β以下である)。
【0016】
本発明の床用化粧材は、合板と、化粧シートとを有し、上記合板は、広葉樹単板と針葉樹単板とを含む2枚以上の木単板が積層されてなり、上記合板の表層は、広葉樹単板が積層されており、上記化粧シートは、上記合板の表層上に積層され、かつ、厚みが0.20mm以上0.60mm以下である。
以下、本発明の床用化粧材の各構成について詳述する。
【0017】
<合板>
本発明の床用化粧材は、合板を有する。
【0018】
図1は、本発明の床用化粧材を構成する合板について説明する図面である。
図1に示すように、合板10は、2枚以上の木単板が積層された構成を有する。2枚以上の木単板としては、広葉樹単板と針葉樹単板とを含んでおり、表層1が広葉樹単板である。
図1に示すように、表層(第1層ともいう)1を構成する広葉樹単板は、広葉樹小板(a及びb)が接合されていることが好ましい。
なお、
図1に示す合板10では、原木をカツラ剥きすることで得られる単板を、隣接する層(第1層~第5層)同士の木目方向(
図1の矢印の方向、軸方向ともういう)が直交するように積層されている。
【0019】
上記合板は、広葉樹単板と針葉樹単板とを含む2枚以上の木単板が積層されている。
本発明の床用化粧材では、合板を構成する各層が木単板により形成されることにより、反りを抑制することができる。
【0020】
上記合板の表層は、広葉樹単板が積層されている。
広葉樹は、針葉樹と比較して夏目と冬目の密度差が小さいため板目の映出を抑制することができ、針葉樹と比較して比重が大きいため、耐傷性及び耐衝撃性に優れる。
【0021】
上記表層の広葉樹単板は、1枚板であっても良いが、調達量を好適に確保する観点から、2枚以上の広葉樹小板が接合されていることが好ましい。
国産の広葉樹は、高さが20m級、直径が20cm前後の中小径木が多く、また、南洋材には見られない大きな節が散見される。そのため表層の単板として用いた場合、節の映出を抑制することが困難であり、節のない部分(節が小さい、頻度も少ない部分)を用いる場合には調達量が少ないといった問題がある。
上記表層の広葉樹単板は、2枚以上の広葉樹小板が接合されていれば調達量を容易に確保することができ、節を避けることが容易であるため節の映出を好適に抑制することもできる。
なお、広葉樹小板は、木目方向に対して垂直方向に接合されていてもよいし、木目に対して平行方向に接合されていてもよい。
【0022】
上記表層の広葉樹単板に存在する節は、長径が50mm以下であることが好ましい。
上記表層の広葉樹単板に存在する節の長径が50mm以下であることにより、節の映出を好適に抑制することができる。
上記表層の広葉樹単板に存在する節は、長径が45mmを超える節が排除されていることがより好ましい。
【0023】
上記合板を構成する広葉樹単板としては、日本国内から安定して調達する観点から、カバノキ科、カツラ科、バラ科、アオイ科、ウコギ科、モクセイ科、ニレ科、及び、モクレン科からなる群より選択される少なくとも1種の広葉樹からなることが好ましい。
なかでも、木目の平滑さや比重の観点(板目の映出を好適に抑制し、耐傷性、耐動荷重性を好適に付与する観点)から、カバノキ科がより好ましく、シラカバが更に好ましい。
【0024】
上記合板を構成する広葉樹単板の比重は0.50以上が好ましい。
【0025】
上記合板の表層以外の層としては、針葉樹単板の層を含む。
上記合板を構成する層の数としては特に限定されず、2層、3層、4層、5層、6層以上であってもよい。
【0026】
上記合板を構成する層の数が3層以上である場合、調達量を容易に確保する観点からは、上記合板の表層以外の層は針葉樹単板であることが好ましい。
また、反りを抑制する観点からは、上記合板の裏層(表層(第1層)と反対側の表面となる層)は、広葉樹単板であることが好ましい。
【0027】
上記針葉樹単板としては、カラマツ、エゾマツ、トドマツ、トウヒ、ストローブマツ、ツガ、モミ、クロマツ、アカマツ、杉、ヒノキ等が挙げられる。
【0028】
上記合板を構成する層の厚み(1つの層の厚み)としては、2層目の外観映出抑制と強度の観点から、1.00mm以上4.00mm以下であることが好ましい。
なお、上記合板の長さや幅は特に限定されない。
本明細書では、軸方向を「長さ」、軸方向と垂直な接線方向を「幅」、放射方向(半径方向)を「厚み」ともいう。
【0029】
上記合板の製造方法としては、公知の合板の製造方法を適宜選択すればよい。
例えば、広葉樹の原木をロータリーレース等で所定の厚みで剥き出し、節部分を排除しながら裁断して広葉樹小板を作製し、上記広葉樹小板を縦継ぎ機等により接合して広葉樹単板を作製する。その一方で、蒸煮処理した針葉樹の原木をロータリーレース等で所定の厚みで剥き出し、裁断して針葉樹単板を作製する(単板の製造工程)。
作製した広葉樹単板を表層とし、針葉樹単板と木目方向が直交するように積層する。なお、表層以外の層を複数有する場合には、隣接する層同士の木目方向が直交するように積層する(積層工程)。
上記積層工程では、フェノール、メラミン、ユリア系接着剤等の公知の接着剤を塗布して各層を貼り合わせればよく、例えば、コールドプレスで冷圧処理等を行った後、ホットプレス装置等で熱圧処理を行って接着をし、適量水をかけて養生処理して含水率を調整してもよい。
上記積層工程の後、端部の裁断や研磨を行って長さや厚み等を整えてもよい。
なお、上記単板の製造工程において、広葉樹単板は一枚板であってもよい。
【0030】
<化粧シート>
本発明の床用化粧材は、上記合板の表層上に化粧シートが積層されている。
【0031】
図2は、本発明の床用化粧材の一例を示す断面図である。
図2に示すように、本発明の床用化粧材20は、合板10の表層上に化粧シート11が積層されている。
【0032】
上記化粧シートは、厚みが0.20mm以上0.60mm以下である。
本発明の床用化粧材は、上記所定の厚みを有する化粧シートを備えることにより、節の映出を抑制することができ、かつ、耐傷性及び耐衝撃性に優れる。また、反りの発生を抑制することもできる。
【0033】
上記化粧シートの厚みは、耐傷性を好適に付与する観点から、0.25以上であることが好ましく、0.30mm以上であることがより好ましく、0.35mm以上であることが更に好ましく、0.40mm以上であることが特に好ましい。
一方で、上記化粧シートの厚みは、反りを好適に抑制する観点から、0.55mm以下であることが好ましく、0.50mm以下であることがより好ましい。
なお、化粧シートが凹凸形状を有する場合、上記凹凸形状を避けた最表面の平坦部分から、上記最表面と反対側の表面までの距離を意味する。
【0034】
上記化粧シートとしては、上記厚みを有するものであれば特に限定されず、公知の化粧シートを用いることができる。
【0035】
上記化粧シートの一例としては、基材シート、絵柄層、接着剤層、透明性樹脂層、表面保護層がこの順に積層された構成が挙げられる。
以下、各層について説明する。
【0036】
(基材シート)
上記基材シートとしては、オレフィン系樹脂を含むシートが挙げられる。
上記オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
【0037】
上記基材シートは、例えば、厚みが30μm以上120μm以下であることが好ましい。
【0038】
(絵柄層)
上記絵柄層は、例えば、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ層)であってもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される絵柄層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。
【0039】
上記絵柄層に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合したものが使用される。
【0040】
上記バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられる。これらのバインダーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
【0041】
上記着色剤としては、後述する基材の地色を着色隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、例えば、白色顔料、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料;キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料;アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤を用いることもできる。
【0042】
上記絵柄層の模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。
【0043】
上記絵柄層の厚みは、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよいが、例えば、0.5μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、2μm以上5μm以下が更に好ましい。
【0044】
(接着剤層)
上記接着剤層としては、特に限定されず、公知の接着剤を用いればよい。
例えば、ポリウレタン系、アクリル系、ポリオレフィン系、ポリ酢酸ビニル系、ポリ塩化ビニル系、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン-アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。
これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
【0045】
上記接着剤層は、乾燥後の厚みが0.1μm以上30μm以下程度が好ましく、1μm以上5μm以下程度がより好ましい。
【0046】
(透明性樹脂層)
上記透明性樹脂層としては、熱可塑性樹脂により形成された層であることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナレフタレート、エチレングリコール-テレフタル酸-イソフタール酸共重合体樹脂、テレフタル酸-エチレングリコール-1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート-ブチル(メタ)アクリレート共重合体樹脂、メチル(メタ)アクリレート-スチレン共重合体樹脂等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アイオノマー等が挙げられる。
【0047】
上記透明性樹脂層は、1層により構成されていてもよいし、2層以上の層により構成されてもよい。
上記透明性樹脂層が2層以上の層により構成されている場合、接着性の観点から、上記接着剤層と接する側が、マレイン酸変性ポリエチレン又はマレイン酸変性ポリプロピレンにより形成された層であることが好ましい。
【0048】
上記透明性樹脂層の厚みは、30μm以上150μm以下が好ましく、40μm以上120μm以下がより好ましい。
【0049】
(表面保護層)
上記表面保護層としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂又は2液硬化型ウレタン系樹脂を含有する層が挙げられる。
【0050】
上記電離放射線硬化型樹脂としては、特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能な公知のラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。
【0051】
上記電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子を用いることができ、通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
【0052】
上記2液硬化型ウレタン系樹脂としては特に限定されないが、中でも主剤としてOH基を有するポリオール成分(アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオール等)と、硬化剤成分であるイソシアネート成分(トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート等)とを含むものが使用できる。
【0053】
上記表面保護層の厚みは特に限定されず、最終製品の特性に応じて適宜設定できるが、通常0.1μm以上50μm以下、好ましくは1μm以上20μm以下程度である。
【0054】
(その他)
上記化粧シートは必要に応じて、プライマー層やバッカー層を備えてもよく、表面(上記合板を備える側と反対側の表面)に凹凸形状を備えてもよい。
【0055】
上記プライマー層としては、特に限定されず、公知のプライマー剤から形成される層を用いることができる。
上記プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン-セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。
【0056】
上記バッカー層としては、特開2014-188941号公報等に開示された公知のバッカー層を適宜選択して用いることができる。
【0057】
上記凹凸形状としては、例えば、JIS B 0601(1982)に規定される中心線平均粗さRaが、1μm以上30μm以下の範囲であり、JIS B 0601(2001)に規定される最大高さRzが20μm以上200μm以下の範囲であるものが挙げられる。
【0058】
上記凹凸形状を形成する方法としては特に限定されず、例えば、熱によるエンボス加工、賦形シートによって凹凸形状を転写させる方法等が挙げられる。
熱によるエンボス加工としては、例えば、周知の枚葉、又は、輪転式のエンボス機によるエンボス加工を施す方法が挙げられる。
また、エンボスの柄模様としては、例えば、砂目、ヘアライン、梨地、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、万線条溝等が挙げられる。
【0059】
上記化粧シートの各層は、必要に応じて添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
【0060】
(化粧シートの製造方法)
上記化粧シートの製造方法としては特に限定されず、公知の方法を適宜選択すればよい。
例えば、上記化粧シートの各層を熱融着により積層しても良いし、上述した接着剤層やプライマー層を介して積層してもよい。上記化粧シートの各層を形成する工程は連続して進行する必要はなく、これらの工程どうしの間に、他の工程や処理を行ってもよい。
また、上記化粧シートと、上記合板とを積層する方法も特に限定されず、上述した接着剤層等により上記合板の表層と上記化粧シートの最下層となる層(例えば、基材シートやバッカー層)とが対向するように積層すればよい。
【0061】
本明細書では以下の事項が開示されている。
【0062】
本開示(1)は、合板と、化粧シートとを有し、上記合板は、広葉樹単板と針葉樹単板とを含む2枚以上の木単板が積層されてなり、上記合板の表層は、広葉樹単板が積層されており、上記化粧シートは、上記合板の表層上に積層され、かつ、厚みが0.20mm以上0.60mm以下である床用化粧材である。
本開示(2)は、上記合板の表層の広葉樹単板は、2枚以上の広葉樹小板が接合されている本開示(1)に記載の床用化粧材である。
本開示(3)は、上記合板の表層の広葉樹単板に存在する節は、長径が50mm以下である本開示(1)又は(2)に記載の床用化粧材である。
本開示(4)は、上記広葉樹単板は、カバノキ科、カツラ科、バラ科、アオイ科、ウコギ科、モクセイ科、ニレ科、及び、モクレン科からなる群より選択される少なくとも1種の広葉樹からなる本開示(1)~(3)の何れかに記載の床用化粧材である。
【実施例0063】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によって限定されるものではない。
【0064】
<実施例1>
(広葉樹単板Aの作製)
高さ1m、幹径が14cmのシラカバ原木を準備した。シラカバ原木をロータリーレースでスライスして得た単板を、単板の欠落などの大きな欠点を取り除きながらバットジョイントにより幅方向に接合した後、幅方向に切断し、長さ1m、幅1m、厚さ1.75mmの単板を作製した。
その後、上記単板をスカーフジョイントにより長さ方向に接合し、長さ2m、幅1m、厚さ1.75mmの広葉樹単板Aを作製した。
【0065】
(広葉樹単板Bの作製)
広葉樹単板Aと同様の方法で単板を製造した。広葉樹単板Bでは最大で長径50mmの節が残っていた。
【0066】
(針葉樹単板Aの作製)
高さ2m、幹径が25cmのトドマツ原木を準備した。トドマツ原木をロータリーレースでスライスした後、大きな欠点を取り除きながら、長さ1mに切断し、バットジョイントにより幅方向に接合した後、幅に切断し、長さ1m、幅2m、厚さ3.03mmの針葉樹単板Aを作製した。
【0067】
(針葉樹単板Bの作製)
高さ2m、幹径が25cmのトドマツ原木を準備した。トドマツ原木をロータリーレースでスライスした後、大きな欠点を取り除きながらバットジョイントにより幅方向に接合した後、幅方向に切断し、長さ2m、幅1m、厚さ3.03mmの針葉樹単板Bを作製した。
【0068】
(合板の作製)
表層(第1層)から、広葉樹単板B、針葉樹単板A、針葉樹単板B、針葉樹単板A、広葉樹単板Aの順に、隣接する層同士の木目方向が直交するようにユリア系接着剤を介して積層した。
その後、コールドプレス機を用いて常温で20分間×2の仮圧締めを行い、次いでホットプレス機を用いて圧力8kgf/cm2、120℃条件で5分間熱圧プレスして各層を貼り合わせて積層体を作製した。
得られた積層体では、広葉樹単板A及びBの厚みがそれぞれ1.66mm、針葉樹単板A及びBの厚みがそれぞれ2.88mmであり、総厚が11.96mmであった。
最後に総厚が11.8mmとなるように、第1層の広葉樹単板Bと第5層の広葉樹単板Aに対してサンディング研磨を行って合板を作製した。
【0069】
(化粧シートの作製)
着色ポリプロピレンフィルムからなる基材シート(厚み60μm)を準備し、その両面にコロナ放電処理を施した。
次いで、基材シートの一方の面に、アクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をバインダーとする印刷インキを用いて、グラビア印刷によりベタインキ層及び柄インキ層を順次形成し、木目柄の絵柄層(厚み3μm)を形成した。
更に、上記絵柄層上にウレタン系接着剤を用いて接着剤層(厚み3μm)を形成し、次いで上記接着剤層上に、Tダイ押出し機でポリプロピレン系樹脂を加熱溶融押出しして透明性樹脂層(厚み80μm)を形成した。
その後、上記透明性樹脂層にコロナ放電処理を施し、その処理面にアクリルウレタン系樹脂(アクリルポリオール100重量部にヘキサメチレンジイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により塗工してプライマー層を形成した。上記プライマー層の厚みは1μmであった。
上記プライマー層上にウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂をロールコート法で塗工し、乾燥した後、未硬化の電離放射線硬化型樹脂層に酸素濃度2000ppm以下の環境下で電子線(加速電圧175KeV、照射量5Mrad)を照射して硬化させ、電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層(厚み15μm)を形成した。
次いで、上記表面保護層を備える側から木肌調のエンボス版でエンボス加工を施して木目導管状の凹凸模様を形成した。
その後、260℃で溶融したポリプロピレンを押出し製膜することによりバッカー層(厚み250μm)を準備し、上記バッカー層と上記基材シート側とが対向するように積層させて熱ラミネートにより両者を接着した。
最後に、上記バッカー層を備える側に対してウレタンセルロース系樹脂(ウレタン及び硝化綿の混合物100重量部に対してヘキサメチレンイソシアネート5重量部を添加したもの)をグラビア塗工法により塗布し、裏面プライマー層(厚み1μm)を形成し、化粧シートを作製した。
作製した化粧シートの厚みは0.413mmであった。
【0070】
(床用化粧材の作製)
上記化粧シートの裏面プライマー層と、上記合板の表層とをウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤(9g/尺2wet)を用いて貼り合わせて床用化粧材を作製した。
なお、接着剤の塗布量で使用した単位「g/尺2wet」とは、日本では住宅等の建築で現在でのその使用が認められている長さ「尺(しゃく)」を使った単位であり、1尺=30.3cmであり、この「尺2」=「尺二乗」=「30.3cm×30.3cm」を単位面積として、この単位面積あたりの接着剤の「wet塗布量」を現したものである。MKS単位系に直すと、「g/尺2wet」は「g/(30.3cm)2wet」となる。
【0071】
<実施例2>
(広葉樹単板Cの作製)
広葉樹単板Aと同様の方法で単板を製造した。広葉樹単板Cでは最大で長径46mmの節が残っていた。
【0072】
(合板の作製)
表層(第1層)から、広葉樹単板C、針葉樹単板A、針葉樹単板B、針葉樹単板A、広葉樹単板Aの順に、隣接する層同士の木目方向が直交するようにユリア系接着剤を介して積層したこと以外は実施例1と同様にして合板を作製した。
【0073】
(化粧シートの作製)
260℃で溶融したポリプロピレンを押出し製膜することによりバッカー層(厚み120μm)を準備し、これをバッカー層として用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
作製した化粧シートの厚みは0.283mmであった。
【0074】
(床用化粧材の作製)
上記化粧シートの裏面プライマー層と、上記合板の表層とをウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤(9g/尺2wet)を用いて貼り合わせて床用化粧材を作製した。
【0075】
<実施例3>
(広葉樹単板Dの作製)
広葉樹単板Aと同様の方法で単板を製造した。広葉樹単板Dでは最大で長径48mmの節が残っていた。
【0076】
(合板の作製)
表層(第1層)から、広葉樹単板D、針葉樹単板A、針葉樹単板B、針葉樹単板A、広葉樹単板Aの順に、隣接する層同士の木目方向が直交するようにユリア系接着剤を介して積層したこと以外は実施例1と同様にして合板を作製した。
【0077】
(化粧シートの作製)
260℃で溶融したポリプロピレンを押出し製膜することによりバッカー層(厚み440μm)を準備し、これをバッカー層として用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
作製した化粧シートの厚みは0.603mmであった。
【0078】
(床用化粧材の作製)
上記化粧シートの裏面プライマー層と、上記合板の表層とをウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤(9g/尺2wet)を用いて貼り合わせて床用化粧材を作製した。
【0079】
<実施例4>
(広葉樹単板Eの作製)
広葉樹単板Aと同様の方法で単板を製造した。広葉樹単板Eでは最大で長径58mmの節が残っていた。
【0080】
(合板の作製)
表層(第1層)から、広葉樹単板E、針葉樹単板A、針葉樹単板B、針葉樹単板A、広葉樹単板Aの順に、隣接する層同士の木目方向が直交するようにユリア系接着剤を介して積層したこと以外は実施例1と同様にして合板を作製した。
【0081】
(化粧シートの作製)
実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
作製した化粧シートの厚みは0.413mmであった。
【0082】
(床用化粧材の作製)
上記化粧シートの裏面プライマー層と、上記合板の表層とをウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤(9g/尺2wet)を用いて貼り合わせて床用化粧材を作製した。
【0083】
<比較例1>
(針葉樹単板Cの作製)
高さ2m、幹径が25cmのトドマツ原木を準備した。トドマツ原木をロータリーレースでスライスした後、大きな欠点を取り除きながら、長さ1mに切断し、バットジョイントにより幅方向に接合した後、幅に切断し、長さ1m、幅2m、厚さ1.95mmの針葉樹単板Cを作製した。
【0084】
(針葉樹単板Dの作製)
高さ2m、幹径が25cmのトドマツ原木を準備した。トドマツ原木をロータリーレースでスライスした後、幅方向に切断し、長さ2m、幅1m、厚さ1.95mmの針葉樹単板Dを作製した。
【0085】
(合板の作製)
表層側から、針葉樹単板D、針葉樹単板C、針葉樹単板D、針葉樹単板C、針葉樹単板Dの順に、隣接する層同士の木目方向が直交するようにユリア系接着剤を介して積層した。
その後、コールドプレス機を用いて常温で20分間×2の仮圧締めを行い、次いでホットプレス機を用いて圧力8kgf/cm2、120℃条件で5分間熱圧プレスして各層を貼り合わせて積層体を作製した。
得られた積層体では、各単板の厚みがそれぞれ1.85mmであり、総厚が9.25mmであった。
最後に総厚が9.2mmとなるように、第1層と第5層の針葉樹単板Dに対してサンディング研磨を行った。
【0086】
長さ2m、幅1m、厚さ2.7mmのMDF板(購入品)を準備し、PUR(ポリウレタン系接着剤)を介して表層(表層側の針葉樹単板D上)に積層し、合板を作製した。
【0087】
(化粧シートの作製)
バッカー層を積層せず、基材シートの絵柄層を備える側と反対側に裏面プライマー層(厚み1μm)を形成したこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
作製した化粧シートの厚みは0.163mmであった。
【0088】
(床用化粧材の作製)
上記化粧シートの裏面プライマー層と、上記合板の表層(MDF板)とをウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤(9g/尺2wet)を用いて貼り合わせて床用化粧材を作製した。
【0089】
<比較例2>
(針葉樹単板Eの作製)
高さ2m、幹径が25cmのトドマツ原木を準備した。トドマツ原木をロータリーレースでスライスすることにより、長さ2m、幅1m、厚さ1.75mmの針葉樹単板Eを作製した。
【0090】
(合板の作製)
表層(第1層)から、針葉樹単板E、針葉樹単板A、針葉樹単板B、針葉樹単板A、針葉樹単板Eの順に、隣接する層同士の木目方向が直交するようにユリア系接着剤を介して積層したこと以外は実施例1と同様にして合板を作製した。
【0091】
(化粧シートの作製)
実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
作製した化粧シートの厚みは0.413mmであった。
【0092】
(床用化粧材の作製)
上記化粧シートの裏面プライマー層と、上記合板の表層とをウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤(9g/尺2wet)を用いて貼り合わせて床用化粧材を作製した。
【0093】
<比較例3>
(広葉樹単板Fの作製)
広葉樹単板Aと同様の方法で単板を製造した。広葉樹単板Fでは最大で長径45mmの節が残っていた。
【0094】
(合板の作製)
表層(第1層)から、広葉樹単板F、針葉樹単板A、針葉樹単板B、針葉樹単板A、広葉樹単板Aの順に、隣接する層同士の木目方向が直交するようにユリア系接着剤を介して積層したこと以外は実施例1と同様にして合板を作製した。
【0095】
(化粧シートの作製)
比較例1と同様にして化粧シートを作製した。
作製した化粧シートの厚みは0.163mmであった。
【0096】
(床用化粧材の作製)
上記化粧シートの裏面プライマー層と、上記合板の表層とをウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤(9g/尺2wet)を用いて貼り合わせて床用化粧材を作製した。
【0097】
<比較例4>
(広葉樹単板Gの作製)
広葉樹単板Aと同様の方法で単板を製造した。広葉樹単板Gでは最大で長径44mmの節が残っていた。
【0098】
(合板の作製)
表層(第1層)から、広葉樹単板G、針葉樹単板A、針葉樹単板B、針葉樹単板A、広葉樹単板Aの順に、隣接する層同士の木目方向が直交するようにユリア系接着剤を介して積層したこと以外は実施例1と同様にして合板を作製した。
【0099】
(化粧シートの作製)
260℃で溶融したポリプロピレンを押出し製膜することによりバッカー層(厚み540μm)を準備し、これをバッカー層として用いたこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを作製した。
作製した化粧シートの厚みは0.703mmであった。
【0100】
(床用化粧材の作製)
上記化粧シートの裏面プライマー層と、上記合板の表層とをウレタン変性エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン接着剤(9g/尺2wet)を用いて貼り合わせて床用化粧材を作製した。
【0101】
<節の映出>
作製した床用化粧材を303mm角に裁断し、60℃オーブンで1週間乾燥させた。
その後、明るい部屋で床面に平置きした床用化粧材を床面に座ったまま間近で観察し、節の映出について下記評価基準に従って評価した。
なお、++、+の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
++:節の映出なし、又は、映出が極軽微であった
+:節の映出が軽微であった
-:節の映出があった
【0102】
<板目の映出>
作製した床用化粧材を303mm角に裁断し、60℃オーブンで1週間乾燥させた。
その後、明るい部屋で床面に平置きした床用化粧材を間近で観察し、板目の映出について下記評価基準に従って評価した。
なお、++、+の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
++:板目の映出なし、又は、映出が極軽微であった
+:板目の映出が軽微であった
-:板目の映出があった
【0103】
<鉛筆硬度(耐傷性)試験>
JIS K 5600-5-4(1999) 塗膜一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)に準拠した評価方法により評価した。
具体的には、作製した床用化粧材の表面に対し、鉛筆の先端が750±10gの荷重をかけた状態となるようにして、0.5~1.0mm/sの速度で7mm以上の距離を押した。
なお、鉛筆の芯は傷の無い滑らかな円柱状とし、5~6mm露出させた。
試験機器は、東洋精機製:鉛筆引っかき塗膜硬さ試験機を用いた。
また、試験用の鉛筆としては、三菱鉛筆(株)社製鉛筆を使用した。試験を3回行い、下記評価基準に従って評価した。
なお、++、+の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
++:鉛筆硬度がHB以上であった
+:鉛筆硬度がHB未満2B以上であった
-:鉛筆硬度が2B未満であった
【0104】
<耐キャスター(耐衝撃性)試験>
作製した床用化粧材の表面に対して垂直に、ハンマーキャスター(株)社製ナイロン車輪キャスター(直径75mm、巾25mm)を接地し、25kgの荷重をかけながら10m/minで25000往復させ、下記評価基準に従って評価した。
なお、+の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
+:床用化粧材の表面の凹み量0.2mm以下であった
-:床用化粧材の表面の凹み量0.2mmを超えていた
【0105】
<寒熱繰り返し(反り)試験>
作製した床用化粧材を303mm角に裁断し、80℃恒温槽で2時間乾燥させた後、-20℃恒温槽で2時間冷却することを1サイクルとして、10サイクル後の床用化粧材の長さの中点付近(150mm)の反りの最大量を測定し、下記評価基準に従って評価した。
また、++、+の評価であれば実使用において問題ないと評価される。
++:反りの最大量が±0.6mm未満であった
+:反りの最大量が-1mmを超え、-0.6mm以下、又は、0.6mm以上1mm未満であった
-:反りの最大量が-1mm以下、又は、1mm以上であった
【0106】
【0107】
表1より、実施例の床用化粧材では、節の映出、板目の映出、及び、反りを抑制することができ、かつ、耐傷性、耐衝撃性に優れることが確認された。
一方で、表層がMDFであり、化粧シートの厚みが0.20mm未満である比較例1では、反りを抑制することができなかった。また、表層が針葉樹単板であった比較例2では節の映出、板目の映出を抑制することができず、耐衝撃性にも劣っていた。
また、化粧シートの厚みが0.20mm未満である比較例3では耐傷性に劣っており、化粧シートの厚みが0.60mmを超えている比較例4では反りを抑制することができず表層の広葉樹単板Gに亀裂が発生した。